1回目記事からの続きです→こちら
2-1・東芝の石窯ドームの比較(続き)
2回目記事は、はじめに、東芝のスチームオーブン「石窯ドーム」のうち、1回目記事で説明できなかった下位機の説明からです。
1・中型スチームオーブンの比較(1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:シャープ〈ヘルシオ〉
1-3:東芝 1〈石窯ドーム〉
2・中型スチームオーブンの比較(2)
2-1:東芝 2〈石窯ドーム〉
2-2:日立〈ヘルシーシェフ〉
3・中型スチームオーブンの比較(3)
3-1:パナソニック〈ビストロ〉
3-2:アイリスオーヤマ
4・中型スチームオーブンの比較(4)
4-1:目的別・予算別のおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事【こちら】の冒頭で書いた「中型スチームオーブンの選び方の基本」の説明に沿いつつ、各機を解説します。
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なお、以下の記事では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記します。
【2024年6月発売】ER-D5000B(K)
14・東芝 石窯ドーム ER-D5000B-K
14・東芝 石窯ドーム ER-D5000B-W
¥106,193 楽天市場 (7/4執筆時)
センサー:高精度赤外線センサー
【2024年6月発売】ER-D5000A(K)
15・東芝 石窯ドーム ER-D5000A-K
15・東芝 石窯ドーム ER-D5000A-W
¥99,980 楽天市場 (7/4執筆時)
【2023年発売】ER-YD5000(K)
16・東芝 石窯ドーム ER-YD5000-K
¥88,915 楽天市場 (7/4執筆時)
【2022年発売】ER-XD5000(K)
17・東芝 石窯ドーム ER-XD5000-K
¥78,420 楽天市場 (7/4執筆時)
センサー:64眼赤外線ムーブ+温度
庫内容量:30L
トースト:2枚まで(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
オーブン最高温度:350度(10分)
外形寸法: 幅498×奥行399×高さ396mm
ER-XD5000は、東芝では、2番目に高額な製品です。
なお、あらかじめ書いておくと、既に見た上位機と、レンジ・オーブン・グリルの性能、それを利用する調理機能は「ほぼ同じ」です。
大きく変わるのは、無線LANを持たない点と、モノクロ液晶になる部分でレシピ表示ができないほどになります。
一方、旧機種が残りますが、違いは上位機の場合とほぼ同じです。
25年機は、センサーが新型になった点と市販ピザのおまかせ調理に対応したのが大きな違いです。
24年機は、「おまかせレンジ」の新設と・分量フリー自動メニューの冷凍対応です。
23年機は、グラタンコースと、(冷凍は非対応ながら)分量フリー自動メニュー機能の新設が目玉でした。
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結論的にいえば、このクラスも25年機は「センサー」面で旧機とは別格で、とくに、レンチン、解凍部分、使って分かる性能差があります。
ただ、旧機とは一定の価格差がある上で、旧機のセンサーも実際「悪くない」ので、こちらの場合も、値段面で下位機を選んでも良いと思います。
本体サイズは、幅498×奥行399×高さ396mmです。
庫内容量は、30リットルです。
レンジの段数も、同じく2段で、広めに使える世帯用です。
これらの部分は、先ほどのみた上位機と変わりません。
ただ、液晶パネルはモノクロです。
カラーだった上位機と異なり、表示できる情報量も少ないです。
スチームオーブンは、上位機とからず、過熱水蒸気式式です。
仕様も変わりません。
上位機で書いたように、過熱水蒸気だけだと、焼き目が付けられるほど豊かな蒸気量が出せないため、ヒーターと併用する形式です。
本機の場合も、シャープ機と比べると減油・減塩などのヘルシー調理方面のレシピの訴求は、かなり限られます。
本機の場合も、100度以下の「スチーム料理(蒸し料理)」を目的に水タンクが付いている感じです。
設定できる温度なども、上位機と変わりません。
オーブン機能・グリル機能も、上位機と同様です。
したがって、オーブンは「石窯(ピザ釜)」を摸したも「石窯ドーム」です。
350度が5分間出せる部分を含めて、この部分を優先した設計です。
逆に、グリル機能は、熱を食材表面に集中させにくい構造であり、あまり強調できません。
電子レンジ機能は、2025年から、高密度赤外線センサー(ファインeyeセンサー)です。
各社通して見ても、最も新しいタイプの赤外線センサーです。
測定精度が良いので、熱ムラや、加熱終了の誤判断が少ないと言えます。
市販の冷凍食品を指定された時間と出力で解凍した際の「加熱不足」を検知して教えてくれる「仕上がりアシスト」も便利です。
解凍も、このセンサーを活かした「すばラク解凍」が上位機同様に装備です。
しっかりセンシングしつつ「時短」で解凍できます。精度が良いが時間がかかるスチーム解凍が面倒に感じる方は、とくに良いでしょう。
自動メニューは、一方、上位機と差がある部分です。
ここまで見たように、機能面での上位機との差はあまりないですが、情報量の少ない「モノクロ液晶」である点からも推測できるよう、自動メニュー数が126とだいぶ少なくなります。
ただ、付属レシピ集にある料理は、上位機と同じ対応幅であり、できないのは、ネット掲載の自動レシピの部分です。
本機の場合、上位機と、オーブン、グリル、レンジ、付属品は同じだからです。
自動調理機能は、本機も、石窯おまかせ焼きとして搭載です。
豚・牛・鶏・野菜・グラタンなどを、材料、分量、味付けを(半ば)自由に設定し、「フルオート」でオーブンで焼き上げる、同社の目玉機能です。
上位機と同じで、深皿も備えますので、この部分の機能性も変わりません。
トーストは、対応できます。
この部分の仕様も上位機とかわらず、スチームトーストも焼けます。
割と高速に焼ける一方、途中で裏返さないといけないのも、上位機と同じです。
ネットワーク機能は、無線LANがないので、上で書いた便利機能は使えません。
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以上、ER-D5000Bの紹介でした。
予算的に同社の上位機が選びにくい場合、選択肢になるグレードといえます。
特に、25年の「新センサー」は魅力だが、上位機だと高いと感じる場合、予算面でこちらでも良いでしょう。
機能面でも、レンジ・オーブン・グリル・付属品の部分で上位機と差はつけないので、こちらを選んでも問題ないです。
実際、便利な「石窯おまかせ焼き」はフル機能ですし、カラー液晶でのレシピ表示や、ネット機能に興味がないならば、本機は「狙い目」です。
【2025年6月発売】ER-D3000B(K) ER-D3000B(W)
18・東芝 石窯ドーム ER-D3000B-K
19・東芝 石窯ドーム ER-D3000B-W
¥89,800 楽天市場 (7/4執筆時)
【2024年発売】ER-D3000A(K) ER-D3000A(W)
20・東芝 石窯ドーム ER-D3000A-K
21・東芝 石窯ドーム ER-D3000A-W
¥47,800 Amazon.co.jp (4/2執筆
【2023年発売】
22・東芝 石窯ドーム ER-YD3000-K
23・東芝 石窯ドーム ER-YD3000-W
¥49,385 Amazon.co.jp (4/2執筆
庫内容量:30L
トースト:2枚まで(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
センサー:8眼赤外線+温度
オーブン最高温度:300度(5分)
外形寸法: 幅498×奥行399×高さ396mm
ER-D3000Aは、東芝の中型機では3番目に高い機種です。
旧機種が残ります。
2024年機は、新機種と目立った仕様差はないです。
唯一、センサー名が「8つ目赤外線センサー」から「ワイド8つ目赤外線センサー」に鳴っていますがそれによる明示的な機能差は示されません。
後ほど見る2025年登場の新仕様の下位機種と「差異化」するため、名称を替えただけでしょう。
2023年機は、その後の世代だとある、石窯おまかせ焼きの「グラタンコース」がないです。
上位機ではこの世代でも対応でしたが、このグレードだと24年機からです。
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結論的にいえば、現状の価格からすれば、24年機が良いかと思います。
ただ、23年機は、最も便利なフルオートの「石窯おまかせ焼き」は(グラタン対応以外)同じですので、皆さんが買われる際に、結構なセールなどがあれば、選んで構いません。
あとは、だいたい同じなので、同時にみていきます。
サイズは、上位機と同じ30Lです。
引き続き、庫内2段ですが、機能面で次の部分で、先ほどの記事みた上位シリーズと異なります。
第1に、電子レンジのセンサーです。
こちらは、8眼赤外線センサーです。
上表で言えば、「5位」のものです。
東芝の上位機は、新機種だと「高密度赤外線センサー」でしたし、それに比べると、精度がだいぶ落ちます。
この仕様だと、温度ムラ制御は期待できませんし、解凍機能の精度も落ちます。
第2に、深皿の種類です。
2段調理には対応しますが、普通の角皿しか付属しません。
そのため、「石窯おまかせ焼き」でも「煮込み」の自動メニューは省略になります。
第3に、オーブンの庫内温度です。
こちらは、350℃ではなく、300℃熱風コンベクションです。
最高300度が5分間と、下位機種より50度ほど最高温度が低いです。
200℃到達時間も8分と遅いです。
この部分は、東芝の石窯ドームの最大のポイントだけに残念です。
第4に、冷温蒸し(スチーム料理)です。
同社の上位機は、低温蒸しについて、栄養素をのこせる「野菜蒸し」など、温度設定をして割と柔軟にできました。
ただ、このグレードだと、茶碗蒸しと普通のプリンの温度(80度)のみしか出せません。
スチーム発酵も40度固定で柔軟性がないです(ドライだと30度〜45度)。
自動メニュー数も、こうした仕様変更の関係で、119個と減少しています。
「低温蒸し」も温度設定ができず、自動調理のみです。
トーストも、火力の関係で、多少時間がかかります(スチームトーストで9分20秒)
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以上、東芝のER-D3000Aの紹介でした。
価格は安いですが、東芝の最大の「売り」のスチームオーブンの火力が弱まっているのがネックです。石窯構造は魅力ながら、選ぶならば、上位機種が良いでしょう。
とはいえ、上位機とはかなり格差がありますので、この値段ならば十分なお買得感がある選択肢と言えます。
【2024年発売】(後継機あり)
ER-D100A(W) ER-D100A(H)
24・東芝 石窯ドーム ER-D100A-W
25・東芝 石窯ドーム ER-D100A-H
¥41,479 楽天市場 (7/4執筆時)
【2023年発売】
26・東芝 石窯ドーム ER-YD100-W
¥------ 楽天市場 (7/4執筆時)
【2022年発売】
27・東芝 石窯ドーム ER-XD100-W
¥34,800 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
庫内容量:30L(庫内1段のみ)
トースト:2枚まで(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
センサー:8眼赤外線センサー+温度
オーブン最高温度:250度(5分)
外形寸法: 幅500×奥行416×高さ388m
ER-YD100は、東芝の中型機では最も安い機種です。
なお、2025年後継機が出ていますが、性能が大きく変わったので、後ほど別に見ます。
2023年以前の機種も残ります。
2023年機は、現状で在庫がないのですが、22年機があるので解説しておきます。
こちらは、分量フリー自動メニューが未搭載でした。
2022年機は、さらにオーブン自動調理の「石窯おまかせ焼き」の対応幅が狭く「肉・野菜」のみで、魚に非対応だったのが、現行機との違いです。
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結論的にいえば、魚に対応できるのは便利なので、そこを重視する場合は、2023年、2024年機が良いでしょう。
本体サイズは、幅493×奥行399×高さ378mm です。
同じ、30Lの庫内容量ですが、上位機に比べて少し小型です。
但し、シャープの下位機と同じで、庫内1段で、同時調理が出来ません。
調理機能も、1つ上でみた機種の持つ機能をだいたい踏襲します。
便利な自動調理機能である「石窯おまかせ焼き」も、深皿調理とグラタンを除けば、上位機のように「対応」です。
分量フリー自動メニューも、上位機と比べて、ピーマンの肉詰めと茶碗蒸し以外はできます。
自動メニューも、総数として100種はあります。
電子レンジ機能は、1つ上でみた製品と同じ8眼赤外線センサーです。
オーブンは、上位機と比べた場合の大きな相違点です。
この機種は、最大温度が250度が5分と、中型機としてはかなり非力です。
トーストは、庫内が狭い関係で若干速め(スチームトースト2枚で7分45分)です。
裏返す必要は最上位機どうようにあります。
あとは、1つ上の機種とだいたい同じです。
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以上、東芝のER-VD100の紹介でした。
中型機は「高級機」が多いですが、この点でこちらは明らかに「入門機」です。
上位シリーズと明らかな「格差」がある機種で、1段調理の機種としては本体も大きいともいえるので、積極的にはおすすめしがたい機種です。
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【2025年発売】ER-D100B(W) ER-D100B(H)
28・東芝 石窯ドーム ER-D100B-W
29・東芝 石窯ドーム ER-D100B-H
¥69,800 楽天市場 (7/4執筆時)
庫内容量:30L(庫内1段のみ)
トースト:2枚まで(裏返し)
スチーム:角皿スチーム
センサー:赤外線センサー+温度
オーブン最高温度:250度(5分)
外形寸法: 幅493×奥行399×高さ378mm
なお、このシリーズは、2025年後継機が出ています。
サイズは、幅493×奥行399×高さ378mmです。
従来よりすこし小さくなり、操作部が上部になったことで操作性は旧機より良くなっています。
スチームは、ただ(簡易的な)角皿式になっています。
水を角皿に貼るタイプなので、スチームレンジも、蒸し料理も使えません。
センサーも、1眼の赤外線センサー(ハイアングル赤外線センサー)になりました。
従来の固定の1眼赤外線センサーよりに比べて、高い場所にあるので、(赤外線センサーでも完全には見えない)ラップや容器内の温度は「より正確に見やすくなった」部分はあるようです。ただ、検知範囲は狭いですし、明らかに下位ではあります。
自動調理も、上位機に比べると、「石窯おまかせ焼き」がグラタンに対応できない仕様(肉・野菜・魚のみ)です。
そのほか、自動でのスチームトーストに本機は対応できません。
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結論的にいえば、2025年機は、加熱水蒸気式ではなくなったので(真の)スチームオーブンではなくなりました。
このタイプは、このブログだと(スチームではない)普通のオーブンレンジのカテゴリで紹介しています。しかし、先ほどの機種の「後継機」としてだされているので、こちらで書いた感じです。そのうち、そちらに記事を「移動させる」予定です。
レンジとしての性能は、旧機の方が段違いに良いです。旧機が安く残る現状で言えば、候補にはできません。
2-2・日立の石窯ドームの比較
続いて、日立のヘルシーシェフシリーズです。
日立は、電子レンジとしての基本性能がとても良いメーカーになります。
【2023年7月発売】MRO-W10Z-K後継品
30・日立 ヘルシーシェフ MRO-W10B-K
¥67,320 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
庫内容量:30L
トースト:4枚(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
センサー:重量/8眼赤外線/ 温度
オーブン最高温度:300度(5分)
外形寸法:幅497×奥行442×高さ375mm
MRO-W10B Kは、日立の最高級機です。
日立は2024年から最上位機の更新はなく(今のところ)今年は出ていません。
こちらが執筆時の最新上位機です。
庫内容量は、30Lです。
フラットな庫内で、手入れがしやすい仕様です。
液晶は、他社の最上位機種のようにカラーではないですが、文字表示は可能です。
本体サイズは、幅497×奥行442×高さ375mmです。
東芝に比べると多少奥行が必要です。
設置面では、他社同様に、後方と左右の壁ピタ配置はできます。
しかし、本機も上方向に10cmの蒸気を逃がすスペースは必要です。
レンジの段数は、2段です。
角皿は、他社の大型機種よりワイドサイズです。上下の2段調理にも対応しています。
スチームオーブンは、過熱水蒸気式です。
東芝と同じくヒーターと過熱水蒸気を併用するタイプを採用します。
日立も、減油・減塩効果は表明していますが、蒸気量はシャープより少ないです。
レシピとしてもそこまで強調しません。
実際、唐揚げ・とんかつ・エビフライには、東芝と同じで、「水を使わずに熱で焼く」レシピです。
もちろん油で揚げない点で「ヘルシーなノンフライ調理」ではありますが、過熱水蒸気で油脂や塩分を効果的に落とすシャープには及ばない実力でしょう。
スチーム調理も、発酵温度(30〜45度)のみの対応です。
他社上位機とちがって、50〜100度の低温スチーム(低温蒸し)には対応できません。
野菜の低温蒸しや卵系の調理は難しいといえます。
例えば、野菜の処理はできますが、あくまで「下ゆで」になります。
なお、スチーム調理について補足すると、日立の場合、スチームグリルほか、後述するテーブルプレートの利用することで、レンチンと同時にスチームをなすスチームレンジという機能性も持ちます。
いずれの機能性も、ユーザーに、マニュアル設定で「メニュー開発」して欲しいという感じではなく、レシピ集に沿って作る「自動メニュー」用に加えられている機能性を、マニュアルで使いたいユーザーに向けて「開放」されている感じです。
ただ、使用者側からすると、日立機は、何にどう使うか分からない機能がてんこ盛りな感じで、逆に不便に思わないことはないです。
ちなみに、同じく「スチームレンジ発酵」という機能性も、マニュアルでも使えます。
ヒーターを使う「スチームオーブン発酵」もあるのに機能重複でやはりややこしいです。ただ、これについては、もともと日立はパン焼き用の「ベーカリーオーブン」に力を入れていたので、そのあたりの名残りかと思います。
オーブン機能は、火力として言えば、300度(5分)ですので、普通です。
弱くはないですが、東芝ほどの特徴はないです。
その後は230度ですので、上位機としては、そこまでパワフルではないです。ただ、実用的なレベルはキープしています。
しかし、日立の自慢は「立ち上がり時間」です。面ヒーター(大火力平面グリルヒーター)が上部にあり、そちらがメイン出力です。
しかし、立ち上がりを素早くするため、補助的にダブル光速ヒーターを、背面の上下に備えます。赤外線の種類は不明ですが、グラファイトヒータを含む、遠赤より速暖性が優るなにかしらでしょう。
その上で、東芝のようにファンで熱風を回す構造も持ちます。
結果、200度までの立ち上がり時間は、4分50秒とだいぶ速いです。
もちろん、石窯ドーム構造をとる東芝のほうが、出力も庫内温度の均一性も圧倒的でしょうが、日立も、実用上、十分な火力です。
グリル機能は、出力から推測して、上火火力は上位機として問題ないです。
一方、スチームグリル機能もあります。
手動設定での利用もできますが、具体的な使途の説明はないです。
基本は、後ほど見る「自動調理」に使うために用意されている感じです。
電子レンジ機能は、日立は、この部分に伝統的に力を入れてきた企業です。
本機は、センターの8眼赤外線スイングセンサーが、15箇所(かけ算で120ポイント)の温度を細かく測定します。
ただ、この部分だけで言えばは、他社高級機ではもっと良い装備も見られます。
本機は、高級機では唯一、重量センサーが付属します。
重量に合わせて適切な加熱をします(Wスキャン)。
赤外線センサーは、あくまで表面温度を測る機能なので、スタート直後の加熱はイマイチ不安定です。また、オーブン利用後などは、(庫内が赤外線だらけで)正確に使えません。
重量センサーは、加熱前重量を量ることで、火力を最初から調節できるため、こうした部分で有用です。
とくに、ハンバーグなど重さ・密度が高い料理や、揚げ物の入った市販のお弁当の温めなどは、重量センサーがあったほうが正確です。
これらのセンサーと、庫内全体の温度状況を補助的にみるための温度センサーも加えた、「トリプルセンサー」体制である点が、日立の「売り」といえます。
東芝は、先述のように、赤外線センサーを(日立以上に)最大限に高精度にしています。
しかし、センサーは1種なので、食品の種類を間違えたり、例えばラップした状態の食品の中の熱を判定できない可能性はあります。
日立は、複数の種の異なるセンサーから得たデータを「付け合わせて」分析することで、情報の信頼性を高める方式です。
しかし、日立も、データの「付け合わせ作業」で、即時反応が遅くなる部分はあるでしょう。
したがって、甲乙は付けがたいといえますが、総合的な「失敗しにくさ」という観点では日立かなと思います。
解凍機能も、センサーがものを言う部分ですから、日立は優れます。
重さと温度のデータから、分量に合わせて適切に加熱します。
1・薄切り肉
2・牛・豚角切り肉
3・牛・豚ブロック肉
4・牛・豚厚切り肉
5・しゃぶしゃぶ用肉
6・ひき肉
7・鶏角切り肉
8・鶏ブロック肉
9・刺身・切り身
10・魚丸身・干物
日立は、以上の10種類をダイヤルで選択してから加熱する方式です。
細かく指定することで、同社のセンサーの能力を引き出し、上手に解凍させる方向性です。
ローストビーフほかの解凍に対応できる、シャープの「食べごろ解凍」のような目を引く面白さはないものの、実際、日立のように、よく使う機能を小分けにだしてくれたほうが、実際には便利だと言えます。
カラー液晶採用なので、メニューが多くても利便性を損ないません。
自動メニューは、280種類です。
最上位機としてはあまり多くはないですが、後述するように、スマホから新レシピが転送できます。
また、Wスキャン調理という機能は ひとつの見所です。
これは、重量センサー・赤外線センサーなどを巧みに利用しつつ、レンジや、オーブンなど他の調理法を併用する調理機能です。
レシピ掲載のメニューならば、規定分量より少なく作る場合も「調整不要」です。
レシピに左右されなない「フルオート」な完全おまかせはできないですが、その仕様でも便利です。
とくに、日立機を、東芝・シャープ機と比べる場合、過熱水蒸気(蒸す)・オーブン・グリルという調理法と、レンジ加熱が併用できるのが見どころです。
他社の場合、角皿の仕様(レンジ不可)でそれができませんが、日立は後述する理由で、角皿とは別にセラミック塗装のテーブルプレートが付属です。
テーブルプレート利用時は、レンジとスチームオーブン、レンジ・スチームレンジが併用(連続利用)できます。また、自動調理時のみですが、レンジと焼網も併用できます。
そのため、厚みがあり、内面加熱がほしい製品にも、柔軟に対応できます。
例えば、それを使って、スチームオーブンでは従来「難しい」と言われてきた、肉厚のローストビーフなどのレシピが豊富です。
シャープの「あぶり豊潤焼き(こだわり火加減)」でもローストビーフなどはできますが、本機の見どころの1つでしょう。
そのほか、やはりセンシングを利用して上手に野菜を仕上げる、「野菜シャキシャキメニュー(11種)」がも売りの機能と言えます。
そのほか、ボウルを使ったメニューも加わります(簡単プラボウルメニュー)。
ただ、これは、後述するパナソニックの後追い的で、そちらの方が優れます。
自動料理は、2022年機から「熱風旨み焼き」として搭載です。
「熱風旨み焼き」は、新型の黒色プレートの上に金網を乗せて、お肉や野菜を「フルオート」の「おまかせ」で焼く機能です。
お肉(牛肉・豚肉・鶏肉)に加えて、先述のように23年機からはお魚のメニューが加わりました。
レンジに備わる各調理機能を駆使して、全自動で焼き上げていきます。
シャープ・東芝と比べると、「焼く」に限定される自動メニューです。ただ、常温・冷蔵のほか、冷凍食材に対応できる部分は、東芝より柔軟で、シャープと同じです。使途を広げるでしょう。
日立は、21年まではこの手の自動調理の部分で他社に遅れを取っていたのですが、22年機以降は、この機能の新搭載し挽回した形です。
そのほか、(レシピに沿う必要はありますが)先述の「Wスキャン調理」も「セミオート」調理とみなすならば、レンジに対応できる部分で、他社に比べても充実していると言えます。
ネットワーク機能は、本機は無線LANを搭載します。
他社最上位機のように、メニューを検索してそれをスマホアプリから転送できます。
先述のように、本機は、5型と大きめの液晶パネルがつくため設定が容易です。
レンジで、お気に入り登録も可能で、調理終了情報の提案も対応します。
なお、何も使っていない状況での表示は温度・天気・時計ですが、この配置は実用上、割と良いかなと思います。
トーストは、グリルの火が強いため、2枚を7分で焼きあげます。
ただ、強いのは上火なので、途中で裏返す必要があります。日立もスチームトーストで焼けるため、味は良いでしょう。
なお、自動トーストメニューもありますが、2枚までで、スチームトースト非対応です。利便性向上はやや課題です。
利便性の部分では、「一点」だけ注意が必要です。
日立の場合、重量センサーを搭載する関係で、「レンチン」を含めた通常利用時に、セラミック製のテーブルプレートが下部底面に入ります。
2021年機までは色映えがする白(セラミック製)でしたが、2022年からは、(熱風旨み焼き対応のため)黒(セラミック製)にしています。
どちらも外して洗えますので清潔です。
テーブルプレートは、マイクロ波を弾くので(黒皿と違い)レンジ(=レンチン)利用時でも底面に入れっぱなしで良いという利点があります。
ただし(スチームを使わない)オーブン・グリルを利用する際に、一時的に「外に出す」という手間が生じます。
「耐熱性」もあるため「割れたりはしない」のですが、加熱が遅くなるからです。
なお、本機は「カラー液晶」でどのようにセットするかを、イラストで図示してくれるので、(一手間増えるとしても)パターンが覚えられなくて困るようなことはないでしょう。
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以上、日立のMRO-W10Bの紹介でした。
日常的に最も利用するだろう、電子レンジ機能が充実しているのが「売り」です。
フルオート調理も、熱風旨み焼きに対応していますし、その方面の面白みもあります。
ただ、やはり注目するべきは、レシピ記載の料理に限られる点で「セミオート」ですが、規定分量を変えてもレンジが「賢く」調整してくれる「Wスキャン」調理でしょう。多様な調理パターンを利用できる点で、面白い機能に思います。
週末は凝った料理もするが、平日は冷凍食品の利用頻度が多いご家庭などは、電子レンジ機能が重視された日立のスチームオーブンはオススメです。
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なお、このシリーズの下位機がいくつかあります。
順番にみておきます。
【2025年発売】
(通常型番)
31・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1D-W
31・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1D-K
¥95,199 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
【2024年発売】
(通常型番)
32・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1C-W
32・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1C-K
¥53,300 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
(エディオン限定)MRO-WCE4(K)
33・日立 ヘルシーシェフ MRO-WCE4-K
¥69,800 楽天市場 (7/4執筆時)
【2023年発売】
(通常型番)
34・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1B-W
34・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1B-K
¥43,000 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
【2022年発売】
35・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1A-W
35・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1A-K
¥42,550 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
【2021年発売】
36・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1Z-W
36・日立 ヘルシーシェフ MRO-W1Z-K
¥44,270 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
庫内容量:30L
トースト:4枚(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
センサー:重量/8眼赤外線/ 温度
オーブン最高温度:310度(5分)
外形寸法:幅497×奥行442×高さ375mm
なお、日立の上から2番目のグレードの中級機になるのはMRO-W1Dです。
このクラスからは、毎年型番を替えています。
新旧両機種あります。
2025年モデルは、上位機にもあった「火加減おまかせ」なフルオート自動調理機能、つまり「熱風旨み焼き」において、野菜に対応した点です。
野菜の種類(葉果菜・根菜・ミックス)を選んで、1ボタンで調理できるようになりました。野菜は、本機の発売時、上位機でも対応しておらず、こちらだけです。
あとは、「簡単ボウルメニュー」で、適当な材料で、一部「オート調理」的なものができるようになっています(わがやのアレンジ料理)。
煮物のほか、パスタソース、シチューなどもできますが、結構分量面の制約が厳しいので、使えそうなのは、調味液を利用する煮物系に限定されそうです。
2024年モデルは、この世代以降、オーブンの最高温度がわずかですが、310度/5分になったのが目立つ違いです。
この部分で、上火で焼き目を付ける料理の仕上がりが従来機より良いことが強調されます。
ただし、それでも東芝ほどの火力はないです。あとは、メニューの入替えがあった程度です。
2023年モデルは、「熱風旨み焼き」において、「魚料理」の諸メニューの充実度の部分で、過年度モデルより進化がありました。
ただ、22年モデルでもお肉はこちらも使えるので、魚料理に興味がなければ(基本的には)旧モデルでも良いかと思います。
あとは、若干の概関係上の変更と、メニューの多少の入替だけです。
2022年モデルは、「熱風旨み焼き」の新設が見どころでした。
21年モデルはそれがないので、機能性はだいぶ落ちます。選ぶならば、22年機以降でしょう。
このほか、エディオン系に向けた特定店向け型番があります。
女子栄養大学出版部監修の独自メニューと、16種の和食系オートメニューがおまけで付きます。あとは、文字表示部分にバックライトがある点が違いです。
その分、少し高めですので、上位機を含めて値段は比べた方が良いでしょう。
一方、各世代ともですが、1つ上で見た上位機と較べた場合の大きな違いは、見た目で分かるかと思いますが、カラー液晶パネルがない点です。
無線LANは装備されるのでスマホからレシピ転送はできますが、液晶にレシピを表示することは不可です。
先述のように、日立は、角皿のほかテーブルプレートがある分、セット方法がすこし複雑です。
この部は、カラーではないものの、本機でも案内があるので問題はないかと思います。ただ、それ以外の部分は、自動メニューが多少少ない(242)になるくらいで同じです。
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結論的にいえば、上位機と2万円以上の差がある場合、(予算によっては)本機の型落ちをを選んでも良いかと思います。
とくに、普段最も使うだろう「レンチン」の精度に期待する場合は、他社の同級品と比べても、優位性があるといえます。
【2025年2月発売】(白・黒)
37・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8CA-W
38・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8CA-K
¥38,114 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
【2024年8月発売】(白・黒)
39・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8C-W
40・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8C-K
¥37,800 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
【2023年発売】(白・黒)
41・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8B-W
42・日立 ヘルシーシェフ MRO-S8B-K
¥30,880 Amazon.co.jp (7/4執筆時)
庫内容量:31L(庫内1段のみ)
トースト:2枚(裏返し)
スチーム:過熱水蒸気 (水タンク)
センサー:重量・蒸気・温度
オーブン最高温度:250度(5分)
外形寸法:幅487x高さ365x奥行430 mm
MRO-S8CAは、日立のヘルシーシェフの中位機種です。
過年度モデルも残ります。
2024年モデルは、2025年モデルとほぼ変わりません。
ただ、指定位置に貼り付けるメニュー番号とレシピ集リンク(QRコード)シールの添付は25年機からです。
液晶に文字表示ができないレンジの場合、この手の番号表が最初から本体にある場合が昔はふつうでした。皆さんのご自宅のレンジにもあるかもしれません。
ただ、最近は「美観重視」で貼っていない機種がでてきました。
覚えてしまえば感覚で分かる部分もあります。しかし、レンジ以外の目立たない場所に貼っておくなどあればあったで便利でしょう。
ちなみに、他社の場合、庫内に印字することで目立たなくするなどの機種もあります。
あとは、同じです。
2023年モデルは、メニューが多少変わります。
これ以後の世代のメニュー(カレー・シチュー・カルボナーラ・ペペロンチーノなど)がない一方、以前のメニュー(豚の唐揚げ・串カツ・やみつきピーマン)がある形です。
加えてこの年のみ、液晶にバックライトがありました(新機種は省略)。
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結論的にいえば、バックライトがある部分で23年が少し豪華です。
ただ、基本的には、値段で決めてOKでしょう。メニュー番号表は、必要なら自作して、レンジ以外の場所に貼っておく形でも(まあ)良いかと思います。
あとは、同じなので、同時にみていきます。
庫内容量は、31Lです。
本体サイズは、幅487x高さ365x奥行430 mmです。
さほど小型というわけではないです。
設置は、壁にはピッタリ寄せられますが、左右は4.5cmと割と余裕が必要です。
各社の「上位機」はだいたい左右も壁ピタ配置対応なので、この部分では「中級クラス」です。
レンジの段数は、ただし1段です。
その点で言えば、実用面でさほど容量の多い機種とも言えないでしょう。
スチームオーブン機能は、上位機と同じくヒーターと過熱水蒸気を併用するタイプの方式を採用します。
オーブン機能は、ダブル光速ヒーターが不採用で、最高250度が5分間です。
その後は210度ですので、値段相応ですが、パワーは弱めです。
ただ、過熱水蒸気を使ったヘルシーな料理は、上位機種同様には作れます。
グリル機能は、付属しますが、とくに特長はありません。
電子レンジ機能は、一方、上位機とは異なります。
本機の場合、シングルの重量センサーと蒸気・温度センサーという構成です。
重量センサーを重視する方向性は、上位機と同じですが、精度には差があるでしょう。それでも、他社の同価格帯の製品よりは、性能は良いわけですが。
解凍は、上位機同様に、種類を指定して解凍する方式です。
本機の場合、文字表示用の液晶がないので、薄切り肉・挽き肉・ブロック肉・さしみ・しゃぶしゃぶ用・角切りなどを、番号指定で選ぶ選ぶ点で不便です
とはいえ、しっかり合わせれば、複数のセンサーの力でうまく解凍してくれますし、慣れれば平気でしょう。
自動メニューは、ヘルシーメニュー32種を含めて109の自動メニューの調理が可能です。
ノンフライの揚げ物18種類のほか、ローストビーフや、鶏のハーブ焼など面白いメニューもあります。
一方、分量・加熱時間を完全センサー任せ、自由にアレンジできるような自動化調理は、日立はあまり充実しません。この部分は、シャープなどに負けます。
トーストは、この機種の「欠点」です。
2枚まで焼けますが、皿の余熱時間を含めて最短で14分、こんがり焼き目を入れようとすると20分以上かかります。
さらに、途中で裏返す必要があるため、トースター兼用と考えれば、おすすめしません。
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以上、MRO-S8CAの紹介でした。
上位機種と較べると機能面で弱い部分も目立ちます。
ただ、3万円前後で買える機種としては、電子レンジ性能が高く、庫内も広めです。庫内が比較的大きめの機種が良いが、予算が限られている場合など、結構良い選択肢と言えそうです。
とくに、「トースト機能は要らない!」という方にオススメできます。
次回に続く!
中型スチームオーブンレンジのオススメは、結論的にこれ!
というわけで、今回は、中型のスチームレンジの比較の2回目記事でした。
しかし、記事は、まだまだ「続き」ます。
3・中型スチームオーブンの比較(3)
3-1:パナソニック〈ビストロ〉
3-2:アイリスオーヤマ
4・中型スチームオーブンの比較(4)
4-1:目的別・予算別のおすすめの提案【結論】
続く、3回目記事(こちら)では、パナソニックとアイリスオーヤマの製品をみていきます。
対応人数 4人以上対応
スチーム調理 ★★★★★
レンジ調理 ★★★★★
オーブン調理 ★★★★★
グリル調理 ★★★★★
レシピ充実度 ★★★★★
おまかせ調理 ★★★★★
高級感 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、結論編となる4回目記事【こちら】に入ります。
今回紹介した機種全体から、「結論」として、目的別・予算別のおすすめ機種をあげていきたいと思います。
ひきつづき、よろしくお願いします。
3回目記事は→こちら