Top カメラ 比較2025’ フルサイズのミラーレス85機の性能とおすすめ・選び方 (7-3)

2025年06月24日

比較2025’ フルサイズのミラーレス85機の性能とおすすめ・選び方 (7-3)

1回目記事からの続きです→こちら

3-1・パナソニックのフルサイズミラーレス

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 3回目記事のトップバッターは、パナソニックのフルサイズのミラーレスです。

 同社は、伝統的に「動画撮影」に力を入れますが、フルサイズミラーレスでもその傾向です。

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1・フルサイズミラーレスの比較 (1)
 1-1:ソニー
2・フルサイズミラーレスの比較 (2)
 2-1:キヤノン
3・フルサイズミラーレスの比較 (3)
 3-1:パナソニック
4・フルサイズミラーレスの比較 (4)
 4-1:ニコン
 4-2:シグマ
5・フルサイズミラーレスの比較 (5)
 5-1:最終的なおすすめの提案【結論】

 今回も、ここまで見てきた各社の製品と同じ基準で、同社の製品をみていきます。

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 以下では、高評価できるポイントは赤系の文字色で、イマイチなところは青字で記していきます。


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 【2024年発売】

 【ボディのみ】

 45・パナソニック LUMIX DC-S9-K
 45・パナソニック LUMIX DC-S9-S
  ¥168,300 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【標準ズームレンズキット】

 46・パナソニック LUMIX DC-S9K-K
 46・パナソニック LUMIX DC-S9K-S
  ¥210,000 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【高倍率ズームレンズキット】

 47・パナソニック LUMIX DC-S9H-K
 47・パナソニック LUMIX DC-S9H-S
  ¥252,800 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【広角ズームレンズキット】

 48・パナソニック LUMIX DC-S9N-K
 48・パナソニック LUMIX DC-S9N-D
 48・パナソニック LUMIX DC-S9N-S
  ¥213,944 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 (25年追加色:チタンゴールド

 48・パナソニック LUMIX DC-S9N-N
  ¥230,000 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【ダブルレンズキット】(25年追加)

 49・パナソニック LUMIX DC-S9W-K
 49・パナソニック LUMIX DC-S9W-D
 49・パナソニック LUMIX DC-S9W-S
  ¥245,520 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:8コマ/秒
動画: 6K/30p
モニター:3型(184万)
重さ:350グラム

 DC-S9は、パナソニックのLUMIXシリーズのフルサイズミラーレスの入門機です。

 従来なかったグレードですが、24年に登場しました。

 23年登場のソニーのα7C IIよりさらに軽い軽量機となります。ただし、後述するように、電子シャッター機です。

 なお、チタンゴールドは、広角ズームキットのみの色展開ですが、25年に追加されています。

 レンズマウントは、パナソニックは、ライカのL-Mountを採用します。

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 重さは、バッテリー込みで、350グラムです。

 実際、フォーサーズのカメラより軽いほどで、よくフルサイズが載せられたなと思います。

 さすがに、防塵・防滴性の表明はないです。センサーの防塵はありますが。

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 撮像素子は、35mmフルサイズで、画素数2420万画素です。

 各社のフルサイズエントリー機とだいたい同じです。

 常用ISO感度は、最大ISO 100〜51200です。

 十分でしょう。

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 フォーカスは、ハイブリッド方式です。

 パナソニックは長年コントラストAFの進化形となる空間認識AFでしたが、2022年あたりから他社のように、像面位相差AFを併用するハイブリッドになりました。

 位相差AFの測距点は779点と多いです。

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 同社は、位相差AFの採用のメリット性を上図のように説明します。

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 一方、ハイブリッド式なので、コントラストAFは引き続き採用です。

 また、従来機同様に、空間認識オートフォーカス(DFD)になる部分はパナソニックの引き続きの特色です。コントラストAFに比べて精度と速度が増すので、あって損はないです。

 実際、照度不足の環境だとコントラストAFも重要なので、その部分が強いのは今でもワンポイントでしょう。

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 顔検出機能は、顔・瞳認識AFに対応します。

 加えて、体の認識もできます。

 ディープラーニング技術の進化の結果ですが、遠くの被写体の追尾に有効です。このあたりの仕様も、このクラスだと、最近は、各社標準になってきました。

 また、瞳・顔の追尾も可能です。左右の瞳の区別は、(ソニーと違い)言及がないです。

 そのほか、追尾時は、上半身だけでも人を認識できるようになったこと、複数人(最大人数は非開示)を同時把握してフォーカスする性能もあります。

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 被写体認識は、動物認識に対応です。

 鳥系・イヌ科・ネコ科の動物とされます。ライオンもいけるそうでうす。

 動物は、体全体ほか、瞳の区別もできる用になっています(動物瞳認識)

 ピントが合わせやすいので、普段持ちで、地域猫などをちょっと撮影したい場合など、良さそうです。

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 乗り物は、車認識・バイク認識が可能です。

 詳しい説明はないですが、車は「モータースポーツ」という意味で、乗用車の区別はしないかと思います。

 一方、ファームウェアアップデートで、飛行機(機首・機体)、列車(先頭、主要部)の認識にも対応しました。

 暗い場所での利用は、測光範囲が、0EVからです。

 他社機や上位機に比べると、この部分の数字は必ずしも良くないです。

 とはいえ、感度は十分ですし、本機の用途性からいって問題点ではないです。

 連写は、最大8コマ/秒です。

 先述のようにメカシャッターはない、電子シャッター専用です。

 この仕様は、論争的でしょう。

 電子シャッターの弱点である、連写時ほかローリングシャッター現象(歪みが生じやすい部分)は、本機搭載のセンサーで「抑えられる」という表記です。

 ただ、先述のように、本機の形状と軽さからして、本格的なカメラでもないですし、電子シャッターだけでもあまり問題ないような気はします。

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 手ぶれ補正は、Dual I.S.2を搭載します。

 上表で言えば、2軸+5軸の仲間です。

 ボディ・レンズ双方のジャイロセンサーから情報を得て、ボディ5軸レンズ内の2軸の情報から手ぶれ制御を行う仕組みです。

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 手ぶれ補正は、ミラーレス方式の場合、先述のようにボディ5軸でだいたいOKです。

 ただ、補足的にレンズその他の情報を使えるのは、意義があります。かなり大きなブレは収束しきれないため、それをレンズ側が補う仕組みです。

 補正は、シャッター速度6.5段分という強い効果を表明します。

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 液晶モニターは、3.0型・184万画素のフリーアングルモニターを採用します。

 180度裏側にはできない仕様ですが、用途的には問題ないでしょう。 

 ファインダーは、一方、未搭載です。

 軽量化の部分で仕方ないですが、注意点です。

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 動画撮影は、最大で6K/30Pです。

 4Kだと60P、フルHDだと120Pも対応です。

 手ぶれ補正は動画にも有効です。動画の場合、大ブレ対策に、電子式のアクティブISも使えます。

 動画周辺歪み補正もあるので、ブレ対策はわりと充実します。

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 動画の連続撮影は、ただ、あまり長くないです。

 この時間以内でも、温度上昇で記録は止まります。

 ただ、繰り返しますが、カジュアルに持ち運ぶという本機の用途性からして問題ないです。

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 ネットワークは、Wi-Fi4のほか、Bluetooth 5.0 LEを搭載します。

 パナソニックの場合は、待機時に消費電力の少ないBluetoothLEを用いて、撮影時に自動でWi-Fi方式に切り替わる仕様です。

 したがって、オリジナル画像のスマホへの自動転送は、かなり快適です。

 GPS内蔵スマホについては、位置情報を付与することも可能です。

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1・ LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6
2・ LUMIX S 28-200 mm F4-7.1 MACRO O.I.S
3・ LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3
4・ LUMIX S 50mm F1.8 S-S50

 レンズキットは、4種類のレンズからの構成です。

 第1に、LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6です。

 標準ズームレンズキットとに付属します。

 3倍ズームで350gのレンズです。

 第2に、LUMIX S 28-200 mm です。

 高倍率ズームレンズキットのみに付属です。

 24年新登場の望遠レンズで、7倍ズームです。 

 小型軽量化を意識していて、重さは413gと、200mクラスのSレンズだと最軽量です。

 セット構成だと、こちらだけ、光学式手ブレ補正(IS)対応レンズです。

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 第3に、LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3 です。

 広角ズームレンズキットとダブルレンズキットのみ付属です。

 24年10月登場の新レンズで、売出時7万円台の高級品です。

 155gと軽い、2.2倍ズームです。

 本体と合わせても505gですし「お散歩用」に良さそうな構成です。オレンジ系の外観色がこちらだけ展開出あることも含めて、広いユーザー層をターゲットにしているレンズでしょう。

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 第4に、LUMIX S 50mm F1.8 S-S50です。

 25年に追加されたレンズで、ダブルレンズキットに付属するレンズの1つです。

 8群9枚のレンズからなる直径73.7mmの大口径の単焦点で、F値1.8と明るいです。

 重さは、300gとそれなりで、重量も合計で700gほどで収まります。

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 以上、パナソニックのDC-S9の紹介でした。

 普段持ち歩いて、フルサイズの鮮明感を楽しみたい方に向けた製品です。入門機というには高めですが、最近の高級スマホの値段を考えても納得感はあります。

 メカシャッター・ファインダーがない部分はありますが、「お散歩カメラ」的に考えるならば、良い製品です。AFが強く、ピントがあわせやすいですし、ちょっとした動画を含めて楽しめるでしょう。



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 【2022年発売】

 【ボディのみ】

 50・パナソニック LUMIX DC-S5M2
  ¥219,800 楽天市場 (6/23執筆時)

 【標準ズームレンズキット】

 51・パナソニック LUMIX DC-S5M2K
  ¥248,790 楽天市場 (6/23執筆時)

 【ダブルズームレンズキット】

 52・パナソニック LUMIX DC-S5M2W
  ¥263,331 楽天市場 (6/23執筆時)

 【高倍率ズームレンズキット】(24年追加)

 53・パナソニック LUMIX DC-S5M2H
  ¥319,500 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:0.5型有機EL(368万)
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:7コマ/秒
動画: 6K(30p)
モニター:3型(184万)
重さ:740グラム

 DC-S5M2 は、パナソニックのLUMIXシリーズのフルサイズミラーレスの中級機です。

 重さは、バッテリー込みで、740グラムです。

 先ほどの機種より重さはありますが、フルサイズとして重いというほどではないです。

 なお、防塵・防滴性はなりますが、フィールド用の設計というわけではないグレードです。

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 撮像素子は、35mmフルサイズで、画素数2420万画素です。

 常用ISO感度は、最大ISO 100〜51200です。

 下位機種と変わりません。

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 本機は、ローパスレス機であることが表明されます(下位機は非公表ですがおそらく同じ)

 超解像技術を利用したインテリジェントディテール処理の言及もあり、パナソニック「らしい」仕様です。

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 フォーカス性能は、本機も、ハイブリッド方式を採用しました。

 位相差AFの測距点は779点、コントラストAFは、空間認識AF方式315点と同じです。

 顔検出機能は、頭部をふくむ、顔・瞳認識AFに対応します。

 瞳の追尾も可能です。

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 被写体認識も、だいたい同じで、動物認識に対応です。

 ただ、この世代だと、動物の瞳レベルの認識で、動体全体のフォーカスはできませんでした。

 乗り物部分ほか、ここは発売時期で大きく差が付く部分です。

 暗い場所での利用は、本機も、測光範囲が、0EVからです。

 さほど津よ苦はないです。

 連写は、最大7コマ/秒です。

 ほんきは、しっかりメカシャッターを装備します。

 平均的な数字です。ピントを1枚目に固定させるAFS利用時は、9コマです。後者の場合、ライブビューは利用できません。

 電子シャッターだと、最大で30コマです。

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 手ぶれ補正は、こちらも、Dual I.S.2を搭載します。

 上表で言えば、2軸+5軸です。

 下位機種と同じ仕組みですので、そちらの説明をご覧ください。

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 液晶モニターは、3.0型のフリーアングルモニターを採用します。

 ここも同じです。

 ファインダーは、本機は装備です。

 約368万ドット有機ELディスプレイとなります。

 0.5型で、倍率は0,78倍、視野角100%です。

 動画撮影は、4K/30P動画の撮影に対応します。

 こちらは、4Kでの60フレームは無理です。ただ、HEVC方式の圧縮で、6K/30Pは対応します。

 APS-C水準に落とした場合は、60フレームにも対応できます(HDR・C4K)。

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 一方、特に、動画の連続撮影時は、しっかり放熱しないと連続撮影が止まりますが、新たな放熱構造の採用で、6Kを含め、撮影時の時間制限が(事実上)なくなっているのは、言及に値します。

 ネットワークは、Wi-Fi5のほか、Bluetooth 5.0LEを搭載します。

 仕様は下位機と変わりません。

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1・LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6
2・LUMIX S 50mm F1.8(S-S50)
3・LUMIX S 28-200 mm F4-7.1 MACRO O.I.S

 レンズキットは、3種類です。

 第1に、LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6です。

 標準ズームレンズキットとダブルズームレンズキットに付属します。

 3倍ズームで350gのレンズです。

 第2に、LUMIX S 50mm F1.8です。

 ダブルレンズキットにのみ付属します。

 F1.8と明るい単焦点レンズで、重さは300gです。

 第3に、LUMIX S 28-200 mm です。

 高倍率ズームレンズキットのみに付属です。

 24年新登場の望遠レンズで、7倍ズームです。 

 小型軽量化を意識していて、重さは413gと、200mクラスのSレンズだと最軽量です。

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 以上、パナソニックのDC-S5M2の紹介でした。

 メカシャッターとファインダーを装備する点で、中級機です。

 装備を考えると重さも納得水準です。

 一方、先んじて下位のDC-S9が発表されたのでなおさらですが、AF(被写体認識)の水準は、やや見劣りします。他社に比べてもそうです。

 逆に、この価格帯の他社機と比べて最も「光る」のは動画の部分です。

 放熱部分の対策をしっかりするので、静止画ほかVlog撮影を含めた動画用途を重視したい場合は、放熱対策を含めて結構良いフルサイズかと思いました。

 他社だと、キヤノンもそこに力を入れますが、この価格帯だと本機が良くみえます。

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 【2022年発売】(一部は2023年)

 【ボディのみ】

 54・パナソニック LUMIX DC-S5M2X
  ¥251,289 楽天市場 (6/23執筆時)

 【標準ズームレンズキット】

 55・パナソニック LUMIX DC-S5M2XK
  ¥278,960 楽天市場 (6/23執筆時)

 【ダブルズームレンズキット】

 56・パナソニック LUMIX DC-S5M2XW
  ¥336,680 楽天市場 (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:0.5型有機EL(368万)
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:7コマ/秒
動画: 6K(30p)
モニター:3型(184万)
重さ:740グラム

  なお、同時に発表されたDC-S5M2Xは、本機の改良版です。

 仕様はほぼ同じですが、クリエーター向けです。

 動画RAW出力・ Apple ProRes 422HQ外付けSSD記録・IPストリーミングに対応させています。あとは同じです。一般的には先ほどの機種で良いでしょう。

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 【2020年発売】(後継機あり)

 【ボディのみ】

 57・パナソニック LUMIX DC-S5
  ¥129,800 楽天市場 (6/23執筆時)

 【ズームレンズキット】

 58・パナソニック LUMIX DC-S5K
  ¥184,890 楽天市場 (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:0.39型有機EL(236万)
AF:空間認識AF(225点)
連写速度:5コマ/秒
動画: 4K(30p)
モニター:3型(184万)
重さ:714グラム

 そのほか、1世代前のDC-S5 が残ります。

 ただ、この世代のパナソニック機の場合、AFに、像面位相差AFが不採用で、空間認識AFのみでした。

 その上で、画像解析の部分で「AI世代以前」になるので、顔・瞳認識AFと、一般的な動物全体の認識ができるほどです。

 値段は安めながら、陳腐化しつつあり、オススメはしにくいです。


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 【2025年発売】

 【ボディのみ】

 59・パパナソニック LUMIX DC-S1M2
  ¥455,400 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【標準レンズキット】

 60・パナソニック LUMIX DC-S1M2M
  ¥574,200 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2410万画素(積層型)
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:有機EL(576万)
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:8コマ/秒
動画: 5.9K(60p)
モニター:3.0型(184万)
重さ800グラム

  LUMIX DC-S1M2 は、パナソニックのLUMIXシリーズのフルサイズミラーレスの上級機です。

 2025年登場で、同社の「上から2番目」です。なお、実際に下位機となる似た型番の製品も同時発売になっていますが、そちらについては、本機の解説が終わった後に説明します。

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 重さは、バッテリー込みで800グラムです。

 軽くはないですが、この価格クラスでは納得の重さです。

 防水・防塵性・耐低温設計で、放熱ファン搭載で40度での耐暑性も説明がありますが、防塵防水等級は示されません。

 本体は上位機らしく軽量で剛性のあるマグネシウム合金を利用することで、軽量化しています。

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 撮像素子は、こちらも、35mmフルサイズです。

 画素数は、有効画素数が2410万画素です。

 撮像素子は、2025年に新開発の部分積層型センサーで、下位機種とは種類が変わります。

 積層型CMOSで、後述するように連写性が良い上で、HDR合成系の技術ですが、ダイナミックレンジブースト対応です。あまり動きのない写真(風景)の撮影時に有効な技術です。

 動画などで歪みを抑えたい場合、こちらはモードなのでOFFにもできます。

 部分積層型センサーは、読み出し専用の層があるので、もともと読み出しが速いため、レンジブーストをOFFにした状態ならば、下位機よりローリングシャッター現象(歪み)が起こりにくいと言えます。 

 ソニー機(一部上位機)のようにグローバルシャッターなわけでは「歪みゼロ」ではないですが、大幅に改善したようです。

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 画像エンジンは、2025年登場の「新ヴィーナスエンジン」で、ライカと共同開発とのことです。「エル・スクエア・テクノロジー」と書いている場合もあります。

 ここは、のちほどみる最上位機と同じです。

 常用ISO感度は、写真・動画ともISO 100〜51200です。

 拡張時は、ISO 50〜102400にできます。

 いずれにしても、「酷な利用条件」に強い仕様で、パナソニックらしいです。

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 HDR機能は、先ほど書いたダイナミックレンジブーストとして対応です。

 低ISO回路と高ISO回路を合成することで、ダイナミックレンジを拡張するという機能性です。同社のフルレンジ機でも搭載されるものです。こちらは、主に動画撮影時に有効で、その場合、「15+ストップ」にできます。 

 静止画でもIOS感度が極度に低くなければ、使えるようです(具体的に数字は不明)。

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 このほか、一般的なシーンに使うものではないものの、類するものを備えます。

 約9000万画素ハイレゾモードです。

 センサーをシフトさせつつ連続で自動撮影させ、解像感を高める処理をします。

 オリンパスも同じ機能を持ちますが、両者とも、三脚なしでも利用できるという部分を「売り」にします。合成枚数など、細かい仕組みは非公開です。 

 なお、本機は、ローパスレスとのことです。

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 フォーカス性能は、本機も、ハイブリッド方式です。

 位相差AFの測距点は779点、コントラストAFは、空間認識AF方式315点と同じです。

 ここは下位機と同じです。

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 顔検出機能は、頭部をふくむ、顔・瞳認識AFに対応します。

 最上位機とエンジンは同じです。パナソニックによると、そちらと、先行した中級機(DC-S5M2 S5M2X)に比して2倍の精度との表記であので、こちらもそうなるでしょう。

 先述のようにエンジンが「2025年登場の新世代」になった恩恵の1つです。

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 追尾AFも、被写体の自動認識に新対応です。

 追尾を開始したい位置に、AF枠を置き、被写体が入ったら自動で追尾する機能性です。

 また、追尾対象を人物(瞳・顔・体)に置く場合の追従性も、新エンジンと、AI学習・解析の進化で、旧世代(25年より前)より向上します。

 キャノンのような、スポーツジャンルをふまえた区別の方向性ではないので新味はないですが、既存技術の発展系として強力でしょう。

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 被写体認識は、リアルタイム認識AFとして対応です。

 ここは、AI技術の進歩が著しいため、本体グレードの上下というより、発売時期が新しいほど有利です。

 本機の場合、2024年に登場の下位機(DC-S9)の持つ機能性を網羅です。

 繰り返せば、動物は、鳥系・イヌ科・ネコ科の動物とされます。

 動物は、体全体ほか、左右の瞳の区別もできます(動物瞳認識)

 ジョイスティックで、左右瞳の移動にも対応できます。

 乗り物は、車とバイク(ヘルメット)、飛行機(機首・機体)、列車(先頭、主要部)の認識に対応します。

 そのほか、「アーバンスポーツ(ブレイクダンス、スケートボード、パルクール)」も2025年登場機からは対応になりました。

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 結論的にいえば、この部分の機能性は、最も進んでいたソニーと比べても、同等クラスの水準になったと言えそうです。

 パナソニックは、この部分をアップデート対応しているようなので、今後増えていくこともあるでしょう。

 暗い場所での利用は、AF利用時に、-6EVと性能は良いです。

 連写は、AFC時に、最大8コマ/秒です。

 ピントを1枚目に固定させるAFS利用時は、9コマです。

 電子シャッター時は、最大で70コマ/秒です。

 この部分の最大速度は、後ほど見る最上位機より高速です。ここも、本機が、「部分積層型CMOSイメージセンサー」により、読み出し速度の高速化が可能になったことによる恩恵です。

 先述のように、、電子シャッター利用時に問題になる「ローリングシャッター現象(歪み)」の軽減も図れたことから出せた数字でしょう。

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 手ぶれ補正は、本機も、Dual I.S.2方式です。

 上表で言えば、2軸+5軸です。

 ボディ内5軸(B.I.S.)と、レンズ内2軸(O.I.S.)を組み合わせる方式です。

 先述のように、レンズの併用は、大きなブレ対策には効果的です。中央・周辺7段の補正力です。なお、望遠状況でない場合、ボディ内5軸(B.I.S.)のみで中央8段(周辺7段)です。

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 液晶モニターは、186万ドットのチルトフリーアングルモニターです。

 アングルの調整力は高いです。

 ファインダーは、約576万ドット有機ELとなります。

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 動画撮影は、5.9K/30P・4K 120Pの撮影に対応します。

 3:2の縦横比ならば、6K/30Pです。

 同社上位機は8Kですが、対応幅として、これだけあれば普通十分です。

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 手ぶれ対策は、動画の場合、電子式(E.I.S)と、ボディ内のアクティブ I.S.を併用する方向です。

 アクティブ I.S.ば、動画専用の開発で、手持ち時の大ブレ対策のために備わります。

 情報は、ボディ5軸+レンズ2軸から得たものです。電子式は、周辺歪みの低減に使われるとの情報です。

 なお、電子式は画角が変化しますが、本機は「クロップレス」(モード)対応で、クロップせず、手ぶれ補正そする選択肢もとれます。広角レンズには良いでしょう。

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 録音は、32bitフロート録音に対応です。

 録音レベルの調整が不要で集音できる規格です。このブログだと【音楽用のICレコーダーの比較記事】でも紹介しています。最近のトレンドの1つです。

 そのほか、外部機器との連携面を含めて、冒頭書いたように「動画専用のハイエンド」ともいえる機能性、拡張性が自慢です。

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 熱対策は、一方、冷却ファンを基本搭載です。

 熱停止までの時間は、発売前なので現状で調査中ですが、 おそらく、先行発売していた同仕様の上位機と変わりません。

 停止温度は2段階で調整できます。

 ネットワークは、Wi-Fi 5のほか、Bluetooth 5.0 LEを搭載します。

 それなりに新しいユニット構成で、USBもUSB-Cになっています。 

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1 ・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.

 レンズキットは、Sシリーズ24-105mmを採用します。

 4倍ズームの680gで、もちろん防塵・防滴・耐寒性があります。

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 以上、パナソニックのLUMIX DC-S1M2 の紹介でした。

 後ほど見る上位機と実売価格ではそこまで差はないです。

 むしろ用途性として、解像感がそこまであまりない場合で、連写速度や、ローリングシャッター現象が少ない部分を含めた、撮影時の安定性を重視したい場合、候補になる感じです。

 スポーツほかの動く被写体の撮影の場合、同じほどの解像感で、グローバルシャッターのソニー機(Sony α9 III)も良さそうです。ただ、手持ちで、そうした被写体を追わない状況ならば、高速性と暗部性と、動画回りの使い勝手や、熱対策などの信頼性などの部分を総合しても、パナソニックのほうがが良いなとは思います。

 もちろん、発売時期がこちらの方が新しかった部分の恩恵もあります。

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 【2025年発売】

 【ボディのみ】

 61・パパナソニック LUMIX DC-S1M2ES
  ¥356,400 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【ズームレンズキット】

 62・パナソニック LUMIX DC-S1M2ESM
  ¥475,200 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:有機EL(576万)
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:8コマ/秒
動画: 5.9K(30p)
モニター:3.0型(184万)
重さ795グラム

 なお、 DC-S1M2ESは、このシリーズの下位機になります。

 画像エンジンは、2025年登場の「新ヴィーナスエンジン」なので、AF回り、手ぶれ補正まわりの性能はほぼ同じです。

 撮像素子は、ただ、従来からある(部分積層型ではない)2420万画素のものです。

 ようするに、下位機と同じ仕様の撮像素子なります。

 その部分で、先述のダイナミックレンジブースト非対応で、ローリングシャッターの軽減部分の技術の省略なので、この部分の新味は乏しいです。

 動画も、16;9だと、5.9K/30Pまでです。

 4Kも60Pで、高速な4K/120Pには非対応です。

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 結論的にいえば、この仕様ならば、下位シリーズに当たるDC-S5M2と、エンジンの世代差による、AF回り(特にAI技術による被写体認識)にに関わる部分を除けば、そこまで決定的な差はない感じです。

 その点で言えば、本機は、現在的に、2グレードの狭間にあって「中途半端」な位置にあるといえます。本機がプレゼンスを増すとすれば、下位機種野DC-S5M2が廃版となったあとか、あるいは、その後継機が出た位での時期で、本機の値段も十分に下がった頃でしょうか。


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 【2025年発売】

 【ボディのみ】

 63・パナソニック LUMIX DC-S1RM2
  ¥475,200 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

 【標準ズームレンズキット】

 64・パナソニック LUMIX DC-S1RM2M
  ¥594,000 Amazon.co.jp (6/23執筆時)

撮像素子:フルサイズ
画素数:4430万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸(ボディ)
ファインダー:有機EL(576万)
AF:ハイブリッドAF(779点)
連写速度:7コマ/秒
動画: 8K(30p)
モニター:3.0型(184万)
重さ:795グラム

 LUMIX DC-S1RM2 は、パナソニックのLUMIXシリーズのフルサイズミラーレスです。

 2025年登場の同社の、静止画用、動画用双方のハイエンドです。

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 重さは、バッテリー込みで795グラムです。

 このグレードの旧機で、本体で1000gを超えていた同社従来の最上位機(DC-S1 DC-S1R)と比べて軽量志向です。

 下位機と同じく防塵・防滴設計で、-10度から40度の耐寒・耐暑性能を持ちます。

 なお、防水防塵は「配慮した構造」との註記はありますが、フィールド用を想定しての設計です。

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 撮像素子は、35mmフルサイズです。

 画素数は、4430万画素です。

 ここは下位機との大きな違いで、解像感が高めのタイプです。

 2025年に新開発の35mmセンサー(35.8×23.9mm)です。

 他社の上級機と比する高画素、高解像度機な最上位機です。

 こちらは、積層型ではなく、普通の裏面照射型です。

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 画像エンジンは、下位機種2025年からの新世代の「新ヴィーナスエンジン」です(エル・スクエア・テクノロジー)。

 常用ISO感度は、写真・動画とも最大ISO 80-51200です。

 拡張時は、ISO 40-102400にできます。

 解像度が下位構成より2倍ですが、数字的に悪くなっていないです。

 HDR機能は、一方、部分積層型センサーではないのでレンジブーストは非対応です。

 正確には、裏面照射型でも対応する機種は、同社のフォーサーズの下位機にありますが、本機は(いずれにしても)非対応です。

 HDR技術自体も、撮影機能で使われるような記述はないので、解像度を上げた副作用かもしれません。

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 ただ、先述のハイレゾショットについては「約1億7,700万画素相当のハイレゾ」という形で対応します。

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 フォーカス性能は、下位機同様、ハイブリッド方式です。

 位相差AFの測距点は779点、コントラストAFは、空間認識AF方式315点と同じです。

 顔検出追尾AF被写体認識の部分を含めて、先述のように、エンジンは、下位機と同じなので、ここは同じです。

 暗い場所での利用は、本機も、AF利用時に、-6EVと性能は良いです。

 連写は、AFC時に、最大8コマ/秒です。

 ピントを1枚目に固定させるAFS利用時は、10コマです。

 電子シャッター時は、最大で40コマ/秒です。

 実用水準ですが、先述のように、この部分のスペックは下位機種に負けます。

 解像感重視の方向性ですので。

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 手ぶれ補正は、本機も、Dual I.S.2方式です。

 上表で言えば、2軸+5軸です。

 ボディ内5軸(B.I.S.)と、レンズ内2軸(O.I.S.)を組み合わせる方式です。

 補正力は本機も7段です。ズームさせない状況でB.I.S.だけを作動させて、中央8段です。

 このあたりの仕様は、下位機と同じです。

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 液晶モニターは、186万ドットのチルトフリーアングルモニターです。

 アングルの調整力は高いですが、やはり、仕様は下位機と同様です。

 ファインダーも、約576万ドット有機ELとなりますので、同じです。

 202503191456.jpg

 動画撮影は、8K/30P・4K 120Pの撮影に対応します。

 下位機と比べると、8K/30Pに対応したのが目をひきます。

 ソニーも対応しますが、この価格クラスで対応したのは優秀です。

 手ぶれ対策は、動画の場合、電子式(E.I.S)と、ボディ内のアクティブ I.S.を併用する方向です。

 「クロップレス」(モード)がある部分を含めて、下位機種と仕様差は見られません。

 録音は、本機も、32bitフロート録音に対応です。

 ここも、下位機と大きく変わりませんが、引き続き優秀です。

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 熱対策は、こちらも、冷却ファンを搭載します。

 停止温度も2段階で調整できます。

 なお、バッテリー面では、USB-C PD対応なので、モバイルバッテリーで給電中に利用はできそうです。30W程度の出力があれば良いかと思います。

 ネットワークは、Wi-Fi 5のほか、Bluetooth 5.0 LEを搭載します。

 それなりに新しいユニット構成で、USBもUSB-Cになっています。 

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1 ・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.

 レンズキットは、Sシリーズ24-105mmを採用します。

 4倍ズームの680gで、もちろん防塵・防滴・耐寒性があります。

---

 以上、パナソニックのLUMIX DC-S1RM2 の紹介でした。

 下位機種と比べる場合、大きく変わるのは、解像度の部分です。そこに由来する「絵作り」をパナソニックで行いたい場合、こちらを選べば良い感じに思います。あとは8K/30Pに対応する部分が「マスト」な場合もこちらです。

 一方、連写速度や、レンジブーストに対応しないなど、部分積層型センサーである下位機のほうが、仕様が優る部分もあります。

 どちらかと言えば、実用と安定性重視で「プロ向け」なのがLUMIX DC-S1M2 であり、最先端技術を楽しみたい感じの方が、DC-S1RM2と考えたら良いような気がします。う。

次回に続く!
フルサイズのミラーレス一眼のおすすめはこれ!

  というわけで、今回は、フルサイズミラーレスの比較の3回目記事でした。

 しかし、記事はもう少しだけ「続き」 ます。

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4・フルサイズミラーレスの比較 (4)
 4-1:ニコン
 4-2:シグマ
5・フルサイズミラーレスの比較 (5)
 5-1:最終的なおすすめの提案【結論】

 続く4回目記事こちら)では、ニコンなどのフルサイズミラーレスを追加で紹介します。

画質の良さ   ★★★★★
フォーカス性能 ★★★★★
連写速度    ★★★★★
動画撮影    ★★★★★
手ぶれ補正   ★★★★★
軽量性     ★★★★★
総合評価    ★★★★★

 その上で、結論編となる5回目記事こちら)で、目的別・価格別にAtlasのおすすめ機種を提案していきます。

 引き続き、よろしくお願いします。

 4回目記事は→こちら

posted by Atlas at 01:41 | カメラ

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