Top 映像機器 比較2025’【最新型】有機ELテレビ90機の性能とおすすめ・選び方 (1)

2025年01月16日

比較2025’【最新型】有機ELテレビ90機の性能とおすすめ・選び方 (1)

【今回レビューする内容】2025年 新製品の有機ELテレビの性能とおすすめ・選び方:液晶テレビと4K有機ELテレビの画質の違い 性能ランキング 42v 43v 48v 55v 65v 75v 77v 83v:10万円台のOLEDテレビ 4K 120p 120Hz対応

【比較する製品型番】パナソニック VIERATV-55Z90A TV-65Z90A TH-55MZ1800 TH-65MZ1800 TH-48LZ1800 TV-42Z85A TV-48Z85A TH-42LZ1000 TH-55LW1 TH-55LW1L TV-55Z95A TV-65Z95A TH-55MZ2500 H-65MZ2500 TH-65LZ2000 TH-77LZ2000 TV-77Z93A ソニー BRAVIA 8 K-55XR80 65XR80 65XR80 XRJ-55A95L XRJ-65A95L XRJ-55A80L XRJ-65A80L XRJ-42A90K XRJ-48A90K XRJ-55A95K XRJ-65A95K シャープ AQUOS OLED 4T-C55GQ1 4T-C65GQ1 4T-C77GQ1 4T-C42GQ2 4T-C48GQ2 4T-C48GQ3 4T-C55GQ3 4T-C55FQ1 4T-C65FQ1 4T-C55ES1 4T-C65ES1 4T-C42EQ2 4T-C48EQ2 4T-C55EQ1 4T-C55GS1 4T-C65GS1 4T-C55FS1 4T-C65FS1 LGエレクトロニクス OLED48B4PJA OLED55B4PJA OLED65B4PJA OLED77B4PJA OLED55B3PJA OLED65B3PJA OLED55B2PJA OLED42C4PJA OLED48C4PJA OLED55C4PJA OLED65C4PJA OLED42C3PJA OLED48C3PJA OLED55C3PJA OLED42C2PJA OLED48C2PJA OLED55G4PJB OLED65G4PJB OLED77G4PJB OLED83G4PJA OLED97G4PJA OLED77M3PJA 42LX3QPJA 東芝 TVS REGZA 48X8900L 55X8900L 65X8900L 55X9900N 65X9900N 77X9900N 55X9900M 65X9900M 77X9900M 55X9900L  ハイセンス 65X8F ほか

今回のお題
最新の有機ELテレビのおすすめはどの機種?

 どもAtlasです。

 今回は、2025年1月現在、最新の有機ELテレビ(OLED)の比較です。

 OLEDの場合、特に重要になる輝度色域のスペックを中心に、パネル性能を重視して比べます。

 そのほか、画像エンジンの精度から、番組表や録画機能など利便性かかわる部分まで、広く射程に入れて各機をみていきます。

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1・有機ELテレビの比較 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】
 1-2:パナソニック
2・ 有機ELテレビの比較 (2)
 2-1:ソニー
 2-2:シャープ
3・ 有機ELテレビの比較 (3)
 3-1:LGエレクトロニクス
4・ 有機ELテレビの比較(4)
 4-1:レグザ(東芝)
 4-2:ハイセンス
5・ 有機ELテレビの比較(5)
 5-1:最終的なおすすめの提案【結論】

 記事では、はじめに有機ELテレビの「選び方の基本」を説明します。

 その後、上表のようなメーカー順に、各社の最新機種を見ていきます。

 現行機は、激安機から高級機まで(ほぼほぼ)全て網羅できたと思います。

 比較的安く手に入る「型落ちの旧製品」も紹介しました。

パネル品質  ★★★★★
画像エンジン ★★★★★  
音質の良さ  ★★★★★
ネット動画  ★★★★★
番組表    ★★★★★
総合評価   ★★★★★

 また、記事の最後の「結論」部分では、上表のようなポイントから、Atlasのおすすめ機種を提案していく予定です。

 よろしくお願いします。

ーーー

1・10v-15v型液晶TVの比較
2・19v型液晶TVの比較
3・24v型小型液晶TVの比較
4・32v型中型液晶TVの比較
5・40v型のFHD液晶TVの比較
6・4K液晶テレビの比較 
7・有機ELテレビの比較
8・8Kテレビの比較
9・チューナーレス4Kテレビの比較
10・テレビの選び方まとめ 【結論】

 なお、今回の記事は、このブログ「モノマニア」のテレビ比較記事の7回目記事として書いたものです。

1・有機ELテレビの選び方の基本

 はじめに、有機ELテレビの「選び方の基本」の説明からです。

 液晶タイプを含めたテレビ全体の選び方の「基本中の基本」は、このブログの【おすすめテレビのまとめ】の記事で、すでに詳しくまとめました。

1・画質面の違い
2・装置寿命と焼き付き
3・パネルの世代と性能

 そのため、ここでは「有機EL」と「液晶テレビ」とを較べた場合、有機ELテレビの「良い部分イマイチな部分」がどこにあるか?という部分にに焦点をしぼって、説明することにします。

 有機ELパネルにも「パネルグレードの違い」があるため、その部分の解説もしたいと思います。

1・画質面での相違点

 はじめに、皆さんが機になる部分だろう「画質面」のはなしから入ります。

 液晶テレビと較べた場合、有機ELはどのような特長があるのかについて、3点にわけて説明します。


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 第1に、黒表現です。

 有機ELテレビは、液晶テレビに較べて、深みのある「真の黒」が表現できるという点で、確実に優れます。

 なぜなら、パネルの仕組みがそもそも異なるからです。

 簡単に解説しておきます。

 202206211653.jpg

 液晶テレビは、LED光源から発せられた白色の光を、カラーフィルタ(赤・緑・青)を通して色付けしていく仕組みです。

 黒色を表現したい場合(左図)、LEDの明かりをシャッターで「遮って」います。

 ただ、LEDの光源は常に点灯し続けるので光漏れは防げません。つまり「真の黒」が表現できません

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 有機ELテレビは、しかし、素子自体が自発光できます。

 白色OLED自体が作る光を、カラーフィルタを通して色付けしています。

 液晶と違って黒色を作る際に光源を消灯できる(左図)ので、画面上には「真の黒」が出せます。

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 結論的にいえば、こうした性質の違いにより有機ELテレビは「黒の締まり」がとびきり良いと言うことになります。

 黒が締まると、画像の解像感・奥行感も必然的に出てくるので、映像美が楽しめるわけです。


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 第2に、ダイナミックレンジ(白と黒の明暗の幅)です。

 ここも、有機ELテレビの良い部分です。

 数値でいえば、液晶テレビが14stopほどであるのに対して、最近の有機ELテレビは21stopほどと、広いです。

 適切な視聴環境使うならば画質は液晶テレビより良いといえます。

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 黒表現も高い上で、従来液晶のメリット性だった白表現(光線表現)も、上位機パネルだと、上手にできるようになりました。

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 結論的にいえば、有機ELテレビは、液晶テレビに対して、画質面で有利と、はっきり言えます。

 暗くしてのシアターならば、さらに明確な優位性があります。

 もちろん、同じほどのグレードのテレビ同士で比較した場合の話になります。例えば、有機ELでも、30万円を超える機種では、輝度が高いパネルも出てきました。


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 第3に、パネル輝度です。

 ここは、例外はありますが、有機ELテレビ一般的にここが課題です。 

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 液晶テレビは、加法混色(左図)でRGBをカラー混ぜることで色を作る仕組みです。

 例えば、白色(全白)を作る場合、シャッターを開けて全フィルタから光を出せば良いので、輝度は高めやすいです。

 カラー輝度を含めて、LED光源を増やせばピーク輝度は上げられるため、輝度強化はOLEDより簡単と言えます。

 10万円前後の中級機以上ならば、輝度に問題を感じることは少ないです。

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 有機ELテレビは、行程がかなり複雑です。

 LG方式と、サムスン方式で仕組みが違いますが、日本でシェア率が高いLGを例に説明します。サムスン式は後で別に説明します。

 LGの場合まず、RGBカラーの素子(下段)を混ぜ「白色OLED」を作ります。

 その上で、RGBカラーに白を追加したフィルタ(RGBW)を通して、色を作る仕組みです。

 白色(全白)を作る場合、シャッター全開で表現します。しかし、行程が多い分 光源の明るさを外まで届かせにくく、輝度を出しにくい弱点があります。

 なお、フィルタに白を加えるのは、少しでも光を外に届けるための「苦肉の策」です。白輝度は上がりますが、カラー輝度は落ちるので、色表現に悪影響を与えます。

 また、RGB光源を無理に強化しても、パネルが熱を持ちやすいので、熱の影響で画質が劣化します。パネルの「焼きつき」の恐れも生じますので、過度に光源強化できません。

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 輝度が出せない場合、日差しの差し込む部屋で日中使う場合、映り込みが生じやすい部分で、画質面で不利です。

 例えば、パネルを生産するLGも数年前のカタログでは、明るいリビングでは「液晶テレビ」を推奨していました。今年も、最上位クラスのOLEDの扉絵は、(真っ暗ではないが)それなりに日差しのない空間の写真です。

 ただ、次に説明しますが、2024年に液晶並みピーク輝度と言える3000ニトを出せる新パネルをLGサムスンが開発しました。

 熱問題は残るものの、ここで書いたの弱点は克服できる見通しはあります。

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 結論的にいえば、主に明るい日中に視聴するだろう方は、液晶パネルが良いと言えます。

 先述のように、有機ELテレビは高級パネルを例外とすると、この部分はまだ課題で、日中利用の場合、輝度が出せない関係で画質(視認性)が落ちます。

 また、高級パネルでも、長時間利用などで熱を帯びると保護のため輝度を自動で落とす部分と、(全白輝度はともかく)RGBWフィルタという仕組み上、カラー輝度が伸びないので、やはり、明るい場所では(高級)液晶パネルがやや良さそうな部分はあります。

2・装置寿命と焼き付き

 続いて、有機ELテレビの装置寿命焼き付きについて、少し書いておきます。

 これは、液晶に比べての「懸念材料」として、しばしば指摘される部分です。


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 第1に装置寿命です。

 熱を持つ部分で、寿命が短くなるのは確かです。

 ただ、放熱対策には各社とも力を入れているため、液晶テレビと比較してもここは問題ないと感じます。

 有機ELテレビは、パネルの10万時間と言われます。液晶より短いですが、10年間使うと仮定しても、家庭用として問題ない水準です。

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 第2に画面の焼きつき問題です。

 焼付けとは、同じ画面を表示し続けた場合など、それが消えなくなる現象のことです。

 ここも、熱が関係してくる部分です。

 しかし、この部分は、(各社が採用する)LG第2世代パネルの登場以降は、ほとんど言われなくなりました。

 各社の熱対策や、焼き付け異常を検知するセンシング技術が高まった結果です。ただ、危険を感じると、すぐ画質(輝度)を落とすようになったとは言いかえられます。

3・パネルの世代と種類

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 最後に、パネルの世代と種類に関する話です。

 2013年に登場して以来、LGがテレビ用のOLEDパネルを各社に独占供給してきました。

 しかし、2022年にサムスンQD-OLED(量子ドット有機EL)が日本市場にも参戦したので、最近は2社供給体制になりました。


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 上表は、両社が供給する代表的な有機ELパネルの種類です。

 スペックは公式発表と現品から分かる限りです。とくに、色域(DCI-P3)・輝度は推定も混じる点はご了承ください。

 Atlasが知る限り、世代の違いを含めると「10種類」の製品が市場に投入されているか、あるいは投入予定です。

 いか、日本市場に現在多くみられるパネルについて、主な違いを説明しておきます。


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 第1に、OLED(Gen2)です。

 2015年ほどに登場したLGのパネルです。今も各社の入門機向けに供給されています。

 各社の製品で「OLED」とだけの表記の場合、このパネルの場合が多いです。

 ピーク輝度は、4KHDR全盛時代なので、その性能を測る重要な指標です。

 このクラスは、全白輝度で約800ニトです。

 カラー輝度は、先述のようにLG方式だと落ちる仕様です。

 平均輝度は、ただ、130cd/m2あたりです。

 液晶は最低でも250〜300cd/m2の数字ですし、OLEDは日中使うには弱い世代です。

 信頼性は、この世代は信頼性(焼付け対策)の改善がなされています。

 そのため、明るい場所で使わない方向けに、今でもロングセラーとなっています。


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 第2に、EVO gen2 (OLED.ex)です。

 2022年登場のLGパネルですが、現在では、中級機に多いパネルです。

 ピーク輝度は、約1300ニトです。

 既に市場ない初代EVO(1000ニト)を改良した世代です。

 本機も、白ピクセルがある関係で、カラー輝度は1/3程度まで落ちます。

 平均輝度は、推定で180cd/m2あたりです。

 まだまだ、日中は「要カーテン」な水準ではありました。

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 色域は、DCI-P3で、98.5%カバーな水準です。

 LG OLEDと違い、Evoは白色のOLEDを作る際に、RGBカラーのうち、を2色(YG・G)にすることで、波長を整える部分に個性があります(上図の下段)。

 映像美の部分では、(カラー輝度の問題も含め)後ほどみるサムスンのQD-OLEDには負けるものの、十分広色域と言えます。


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 第3に、 EVO gen3 ・EVO Gen4(OLED.meta)・EVO Gen5です。

 EVOシリーズの上位版で、LGの近年のハイエンドパネルです。

 LGやパナソニックほかの最上位モデルに搭載しています。

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 この世代は「マイクロレンズアレイ」を装備します。

 パネル内での反射による光源のロスを減らす仕組みです。照明における導光レンズのようなもので、輝度部分で大きな進化がありました。

 ピーク輝度は、毎年上がっています。

 23年で約2100ニト、24年で約3000ニト、25年は約4000ニトです。

 問題だったカラー輝度も、先述の工夫で、24年で1500ニト、25年で2100ニトと強化されます。

 平均輝度は、24年機で250cd/m2あたりです。

 コンテンツを問わず、これなら「日中対応」と言えそうです。

 色域は、どれもDCI-P3 99%以上です。


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 第4に、QD-OLEDです。

 「LG OLED EVO」のライバルで、サムスンがだすパネルです。

 サムスンは日本直販はしていませんが、ソニーとシャープがこの種のパネルを使って日本市場に製品を投入しています。

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 仕組みは、LGと変わります。

 LGのような白合成の有機EL素子と4色のカラーフィルタではなく、青色の有機EL素子に、赤と緑をだすためのフィルタ(量子ドットフィルタ)を組み合わせる新方式です(右図)。

 LGのRGBWフィルタ方式(左図)と比べると、光や青色表現をする場合、フィルタを通す必要がない点と、(輝度を保証するための)白のサブピクセルが不要な点がメリットです。 

 ピーク輝度は、22年で約1500ニト、23年で約2000ニトと、24年は3000ニトです。

 同社の仕組みの場合、LGと違いカラー輝度も落ちません。

 25年機は、数百万の超高級機でしょうが、約9500ニトとの情報もでました。

 ただ、1000ニトの下位機も併売なので、販売企業側のスペック情報は注意は必要です。

 平均輝度は、パネル小売があまりないので、不明です。

 ただ、少なくとも、23年機以降は「日中対応」の水準です。青色OLEDの新素材(OLED HyperEfficient EL material)の開発があったためです。

 白系のピーク輝度ほか、緑の発色がとくに強化された関係で、宣伝だと緑色を強調した写真が多いです。LGの「EVOシリーズ」への対抗かなと思います。

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 色域は、量子ドット方式の「得意」とする部分です。

 実機のP3は、LGとそこまで変わりませんが、カラー輝度の部分の仕様差を含めて、鮮やかさという意味では違いは視認できます。

 鮮やかさを伝統的に重視するソニーのブラビアがいち早くこのパネルをを採用したのも頷けます。

 視野角も、QD-OLEDは、フィルムで高められるので、RGBW式より一般的に広めです。

 黒精度は、課題だと言われます。 

 むろん「全消灯」で純黒表現ができるので、あらゆる液晶パネルより良いです

 しかし、量子ドットは明るい場所では外光反射を若干受けやすい傾向で、黒の階調表現はノイズの影響を受けやすい面があります。

 この部分はフィルムの改良で、世代ごとで改善していく方針のようです。

ーーー

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 以上、有機ELテレビの「選び方の基本」の説明でした。

 黎明期と較べて、輝度ムラ・焼き付け問題・ノイズの問題の解消が進んでおり、個人的には、一般家庭が「有機ELテレビ」を選んでも問題ないレベルになったと考えています。

 実際、パネル性能において、ピーク輝度で2000ニト以上出せる機種ならば、日中対応でききます。画質も(同価格帯の液晶より)上位と言って良いでしょう。

 入門機に多い1000ニト以下のOLEDでも、3級以上の遮光カーテンで遮光対策するなどすれば、問題ないです。

1・有機ELテレビの比較 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】
 1-2:パナソニック
3・ 有機ELテレビの比較 (2)
 2-1:ソニー
 2-2:シャープ
3・ 有機ELテレビの比較 (3)
 3-1:LGエレクトロニクス
 3-2:フナイ  
4・ 有機ELテレビの比較(4)
 4-1:東芝
 4-2:ハイセンス
5・ 有機ELテレビの比較(5)
 5-1:最終的なおすすめの提案【結論】

 以下、冒頭で示したようなメーカー順に、各社の有機ELテレビを見ていきます。

1-2・パナソニックの有機ELテレビ

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 はじめに、パナソニックが販売する有機ELテレビの紹介です。

 言わずと知れた日本の総合家電メーカーです。

 同社は、液晶テレビは(ほぼ)中国のTCLへの外注生産に移行しました。

 しかし有機ELは、自社生産を続けます。

 昔のプラズマテレビ時代から、黒の締まる「自発光」を重視してきた企業ですし、この方向性には納得感があります。実際、テレビの宣伝としては「有機ELは完全に画質上位」という感じでの展開です。

 逆に言えば、パナソニックで中級以上のテレビを買うならば「有機EL」が良いとも言えますし、実際「売れている」ともいえます。

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 なお、以下では、いつものように、Atlasのおすすめできるポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で書いていきます。


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 【2024年6月発売】

 【55インチ】

 1・パナソニック VIERA TV-55Z90A
  ¥265,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【65インチ】

 2・パナソニック VIERA TV-65Z90A
  ¥380,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED.EVO gen2
倍速パネル:4倍速相当
ネット動画:Amazon Fire TV
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 Z90A シリーズは、パナソニックの有機ELテレビの2024年の入門機です。

 同社の場合、液晶の格安機はTCLの生産に移行しましたが、高級機は引き続き自社生産とのことです。

 24年登場で、Amazon Fire TVとタッグを組んだ機種になります。

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 パネルは、パナソニックの場合、明確な使用パネルをは示しません。

 カタログだと「Dynamic ハイコントラスト 有機ELディスプレイ」との表記です。

 過年度同様にLGからの調達らしいので、LGのOLED.EVO gen2でしょう。

 ピーク輝度が1300ニトと強化された上で、色域も拡がった「EVO」世代のパネルです。

 日中に「本格的」に見たいなら一定の遮光対策は必要といえる世代です。

 ただ、例えば、遮光3級あたりのそこそこのカーテンがあるような部屋なら、リビングでも問題ないでしょう。

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 一方、パナソニックの場合、提供を受けているのは「パネル部分だけ」と強調します。それ以外の場所に「自社の工夫」を加えます。

 背面構造・素材を見直し、パネルの持つスペックを最大限引き出す、という方向性です。

 本機の場合、バックパネルに「放熱プレート」を入れています。熱が画質(とくにコントラスト)に与える影響を減らすためです。

「熱問題」があったプラズマテレビを生産していた時代があったので、そのあたりのノウハウを活かしてのことで、画質向上に寄与します。

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 このほか、パネル表面にブラックフィルターを装備するのも独自性でしょう。高級液晶テレビでもみられる工夫ですが、外光反射を抑えます。

 日中視聴に関して課題のある、OLED固有の弱点を緩和するものと言えます。

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 パネル制御も「Dot ContrastパネルコントローラーPro」として独自調整しています。

 独自回路で、画面の明るさ分布と入力信号(色)をエリアごと個別解析し、コントラスト・色表現・暗部階調を整える仕組みです。

 液晶における「エリア制御」の有機EL版的な感じで、Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイという、特別な名前がつけられます。

 同じパネルでもこうした工夫で、他社と画質の上で差をつけています。

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 画像エンジンは、HCX PRO AI Processor MK IIです。

 同社の場合、エンジンは、4K液晶と共通化しており、機能性も似ます。

 エンジン(CPU)の質が良いと、リモコンなどの駆動性がよくなるほか、画質補正面で色々な恩恵を受けられます。

 実際、本機も画質向上の部分では、多くの機能性があります。 

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 広色域化技術は、パナソニックが特に強調する部分です。

 ヘキサクロマドライブという三次元カラーマネジメント回路(3D-LUT)で、明るさ段階ごとに色補正(色変換)をする技術です。

 先ほど、明るさと色情報を別に制御できる「Dot Contrast パネルコントローラー」の説明をしましたが、それと不可分の技術であり、やはり、本機の「キモ」です。

 簡単に言えば、LGからパネルはユニット提供されるため、そのままだと画質面でいじれないため、パナソニックの「絵作りの哲学(理想)」に合わせてカスタマイズできるようにするため、特別に付けている回路です。

 パナソニックは、有機ELテレビと同じ自発光タイプの「プラズマテレビ」を終盤まで生産していたメーカーですので、蓄積してきたノウハウを活かすための仕組みです。

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 暗いシーンでは、暗部の階調域の広さが災いしての黒つぶれ・黒浮きを防ぐため、回路を利用した計算で、階調性と色彩を復元します。

 これは、眩しいほどのデンキヤの展示室ではわかりにくい部分です。ただ、同じ方式の製品をシアターで見た際に、暗部表現は良好と感じました。

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 明るいシーンでも、輝度を最適化した上で、階調や色帯異常を補正します。

 有機EL(RGBW)が弱いといわれる白色系の光線表現の補正といえます。

 この部分の工夫が、他社に比べた場合の同社のメリット性と感じます。あまり他社機では強調されていない部分でもあり、パナソニックが目指す画質かなと思っています。

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 ノイズ除去は、ネット動画視聴の部分で重要です。

 高圧縮の画像で階調がない縞模様(バンディングノイズ)問題があるからです。

 レグザ(東芝)もこの仕組みはありますが、ネット動画ノイズリダクションとして、入門機からこの機能を搭載するのは、ひとつの見どころでしょう。

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 超解像技術は、4Kテレビでは注目してよい部分です。

 再計算によって4K画質に「アップコンバート」する際の処理技術の総称として、その際の技術を、一般的に「超解像技術」と呼びます。

 デュアル超解像という機能名です。

 これは、AIを利用した高詳細なアップコンバート映像(AI超解像)と、数理モデルを利用した自然なアップコンバート映像(数理モデル3次元超解像)を、合成するというものです。

 人間の「目の性能」をふまえても、こうした工夫は効果がありそうです。

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 美肌系系機能は、「肌色」に特化した機能性としてはないです。

 色補正としては、エリアごとの輝度抜けを検出する機能(高輝度対応色補正)と、シーンごとに色を補正する機能(適応型色補正)の言及があります。

 パナソニックは、パネルの輝度情報をエリアで見れるので、階調補正(微細ブロック階調補正)にも利用します。

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 高精細化の部分では、高輝度パネル輝度の管理に注目します。

 パナソニックは、輝度をシーン(フレーム間)と、エリア(フレーム内)で測れるようにしています。

 派手に明るくしすぎて階調を消さないようにする技術(微細ブロック階調補正)と、明るいシーンで輝きをしっかり出す技術(ダイナミックメタデータクリエーション)に使われます。

 輝度の部分はシャープも注目して開発していますが、パナソニックも優れます。

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 HDR技術(HDR10)は、対応です。

 一方、地デジを含む低解像ソースをHDRにアップコンバートする技術は、AI HDRリマスター搭載です。

 アップコンバートの際の変換アルゴリズムは、膨大な映像データーを機械学習させたAI技術を利用しています。

 上位のHDR技術は、ドルビージョンIQ・HDR10+に対応です。

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 画質の自動調整も、高度です。

 ディープラーニングを利用し、100万コンテンツを分析した学習用データベースを元にAI(人工知能)が処理を加えます。

 これにより、単純に「番組の種類」だけでなく、細かい「シーン」にあわせた自動調整ができます。レグザ(東芝)も採用する技術です。

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 効果的でしょうが、何のシーンが判断できるのかは、同社の場合、非開示です。

 写真から判断するに、映画(暗いシーン)、スポーツ(明るいシーン)と、人間の動き(静止した状態か、動いているか)は、判断できるようです。

 高画質化技術も、コンテンツの内容をAIが理解してこそ、効果を発揮できるといえます。

 その点で言えば、画質モードを手動で切り替えず「自動モード(オートAI画質モード)」でずっと見ているような(一般人の)使い方の場合、画質の底上げはかなり期待できるでしょう。

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 また、環境光センサーを搭載します。 

 この場合、部屋の明るさだけでなく、照明色も把握できます。

 視聴状況に合わせて、画質が自動調整されるので便利です。

 近年流行している機能で、効果的なので、各社とも取り入れています。

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 倍速液晶は、4Kの2倍速パネルです。

 パナソニックの場合、単純にパネルが倍速だけでなく、物体の動き量を検出・分析・表示する「オブジェクト検出 倍速表示」に対応です。

 24年機からの新機軸ですが、同社によると、動く物体(人体)との境界線が破綻しがちな倍速利用を、この処理で「くっきり・なめらか」にするようです。 クリアモーションも対応ですので、4倍速相当+αと言えます。

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 各社とも、最近、倍速パネル周りの新機軸がなかったと言え、液晶テレビでは、久しぶりの新機軸です。

 オブジェクト(人体)は、レグザ(東芝)などでも上位機だと検出しますが、 動きの速い映像に対応するようにしている部分が、パナソニックの個性です。

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 録画機能も搭載です。

 3チューナーなので、見ている番組以外に2つの番組が同時録画できる仕様です。

 一方、録画機能面は、他社(特にレグザ)と比べて、あまり充実しません

 この部分は、【ブルーレイディーガの比較記事】で書いたように、同社のレコーダーがかなり優れるため、「そっちを買ってね」という話になります。

 連携面でも優れ、例えば、レコーダーの全録(タイムシフト)で録画した番組と現在の番組をまとめて表示される「過去未来番組表」などは面白いです。

 こちらは、本体発売後のアップデートでの対応になります。

 4Kチューナーは、搭載です。

 チューナー数は2つなので、裏番組も録画も可能です。

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 スピーカーは、総出力80Wのそこそこ強力なシステムです。

 構成的には、左右のフルレンジに、中央のウーハーと、上方に向けたハイトスピーカー2基で、2.1.2chです。

 上向きスピーカーが用意されますが、ステレオ音源を、3D立体音響にアップコンバートする仕組みは、非対応です。

 ただ、3D立体音響規格であるドルビーアトモスは対応するので、対応コンテンツ(映画やゲームは)リアルなサラウンド感が期待できます。マイクを利用して、利用する部屋に合わせた音響環境の最適化もできます。

 いずれにしても、テレビ内蔵型としていえば、高レベルの工夫があります。これ以上となると、このブログの【サウンドバーの比較記事】で紹介したような専門機が必要です。

 本機は、HDMI端子がeARC対応なので、上位の多チャンネル機の増設でも容易です。

 番組表は、平均的水準です。 

 番組表のメイン画面の視認性やフォントの見やすさの点では、無理に押し込んだ感じがあります。このあたりは、改善の余地を感じます。

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 映像配信サービスは、Amazon Fire TVと「強固なタッグ」を組みました。

 相当力をいれた宣伝です。後ほどみるフナイが数年前から出しますが、映像技術で一日の長がある、パナソニックとの連携は、Atlasとしては驚きました。

 シャープ・ソニーはGoogle TVである一方、パナソニックは、今まで自社展開でかなり負ける部分があったのが、改善されました。

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 いずれにしても、本体のリモコン操作で、Fire TVの初期画面を出せ、無料のTVer(地上波テレビの再視聴サービス)から、Amazon Video・Netflix・Hulu・DAZNなどメジャーな定額動画サービスまで、対応できます(Apple系除く)。

 アプリのインストールが可能なので、マイナーな日本独自の動画サービスもたいてい対応するでしょう。

 なお、詳しいサービス内容は、このブログだと【FireTVなどSTB機器の比較記事】で書いているので、ご覧ください。

 本機の場合、UI(インターフェース)はTV向けは特別です。地上波・BSなどの番組選択も、Fire OS上で可能です。

 搭載のFire OSのバージョンは不明ですが(最新:Fire OS 8)おそらく、最新かと思います。

 Fire TV側のUIの仕様は、Amazonが他社(フナイ)に提供しているものと同じですし、Amazon側が用意しているようです。その点で言えば、アップデート面は安心でしょう。

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 音声アシスタントサービスは、Amazon Alexaを搭載です。

 ただし、TVが起動中で、リモコンの音声認識ボタンを押した場合に限ります。

 ボタン操作なしにTV内蔵マイクで利用できる機種は、現状で、液晶テレビでは最上位までない(有機ELのみ)です。

 天気予報などの情報取得などに、常時利用したい場合は、このブログの【Amazon Echoの比較記事】で比較した、専用製品を導入すると良いでしょう。

 このほか、Apple系デバイスからも、Apple HomeKit対応なので、本機の操作に対応できますが、やはり、本機の場合便利なのは、Amazon系です。

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 家電の音声操作は、Amazon Alexaが対応している家電ならば、対応可能です。

 パナソニック製品の場合、近年登場のWi-Fi搭載のIOT家電(エアコン・照明・カメラ・空浄機・洗濯機・ロボット掃除機)などが対応しています。

 見どころは、写真のような操作画面で、各機の稼働状況がテレビで確認できる点です。

 他社製品も、Amazon Alexa対応ならば操作可能です。

 また、Wi-Fi未搭載の家電でも、赤外線方式のリモコン付の家電、あるいは、コンセントにさすだけで利用できるような家電は、このブログの【スマート学習リモコンの比較記事】で書いたような機器を導入すれば、5000円以下で対応可能です。

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 そのほか、パナソニック機は、音声プッシュ通信に対応するため、スマホで設定した情報、(ゴミの日・天気・宅配のお届け情報)などを表示することもできます。

 なお、テレビがついていない場合も、スマホの通知機能ほか、同社のスピーカー付き家電の一部で通知再生ができます。例えば、【LEDシーリングライトの比較記事】で書いた、同社のスピーカー付きシーリングライトがそれにあたります。

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 HFR(ハイフレームレート)は、PS5(プレステ5)など次世代ゲーム機を利用する場合、注目して良い部分です。

 対応する場合、60フレーム/秒以外に、120フレーム/秒(4K/120Hz)の表示も可能になり「なめらかな動き」が楽しめます。

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 以上、パナソニックのMZ1800シリーズの紹介でした。

 画質面では、ヘキサクロマドライブの部分の工夫が充実しています。

 同じパネルを採用する他社機より、パナソニックのパネルが画質が良い上で「ナチュラルで見疲れしない」のは、プラズマテレビ以来の長年の画質補正のノウハウをこの仕組みで活かしているからという部分が大きいそうです。

 画像エンジンも、AI技術を多くの部分で用いた新世代と言え、この部分に注力するレグザ(東芝)を除けば、現行機では優秀に思います。

 スピーカーも、内蔵スピーカーとしては合格点です。

 その上で、Fire TVやスマートホームとの連携、も高く評価できます。

 パナソニックは液晶テレビは外注生産ですが、有機ELは、かなり技術と時間を投資している感じがあります。

 画像エンジンと録画周りは東芝も良いですが、OLEDでは、パナソニックも強いです。(社運をかけて取り組んでいた)過去のプラズマテレビの経験を経て進化させた同社の製品も、こと有機ELとは相性が良いように思えます。

ーーー

 このほか、パナソニックからは同グレードの旧型として、以下の機種が残ります。

 違いを確認しておきます。

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 【2023年5月発売】

 【55インチ】

 3・パナソニック VIERA TH-55MZ1800
  ¥239,800 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【65インチ】

 4・パナソニック VIERA TH-65MZ1800
  ¥289,800 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED.EVO gen2
倍速パネル:4倍速相当
ネット動画:自社規格
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 第1に、MZ1800シリーズです。 

 1世代前の同級機です。

 新機種と比べる場合、パネルは同じで、重要なヘキサクロマドライブ プラス周りの仕様も同じです。

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 画像エンジンは、ただ、旧世代の4Kファインリマスターエンジンです。

超解像処理の部分で、デュアル超解像非対応で、それに変わる処理の言及も明確にないです。そのほか、ネット動画ノイズリダクションも新機種からです。

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 そのほか、Fire TVとの提携は、24年からだったので、動画サービスのOSは「自社方式」で、使い勝手や拡張性の部分で、イマイチです。

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 結論的にいえば、価格は安いものの、エンジンの変更部分は大きいため、新機種が良いかと思います。

 近年はとにかく、映像のビッグデータを深層学習させたAIによる処理による画質向上効果が顕著なので、AI向けエンジンへの更新は、かなり大きいと言えます。

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 【2024年5月発売】

 【42インチ】(放熱プレートなし)

 5・パナソニック VIERA TV-42Z85A
  ¥194,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【48インチ】(放熱プレートなし)

 6・パナソニック VIERA TV-48Z85A
  ¥206,061 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【2022年発売】

 【42インチ】(放熱プレートなし)

 7・パナソニック VIERA TH-42LZ1000
  ¥198,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED
倍速パネル:4倍速相当
ネット動画:自社規格
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 第2に、Z85A シリーズです。

 こちらは、現行機です。

 冒頭見た2024年の入門機から、パネルグレードを落とした廉価版です。

 なお、旧機が残りますが、1つ上で書いたように、エンジンが旧世代で、デュアル超解像に非対応になります。Fire TVもこの世代だと非対応です。

 ただ、安めではある上で、他の部分の工夫は新世代と同じなので、お買得感はあります。

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 パネルは、入門機相当のLG OLED (gen2)です。

 ただ、パナソニックでは「最小」となる42インチを選べる部分が見どころです。

 ただし、小型なので放熱プレートが未装備です。

 小型で載せるのが難しい事情があるため仕方ないです。

 ただ、それ以外の部分は同じです。

 エンジンは、最新同世代のHCX PRO AI Processor MK IIです。

 むろん、画質のポイントとなるヘキサクロマドライブ プラスもありますし、パネルも倍速パネルですから、

 スピーカーは、ただし、相違点です。

 30Wの普通のステレオなので、音質はあまり期待できません。

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 結論的にいえば、42型は、より画面の大きな新モデルが部屋に入るならば、そちらをオススメしますが、スペース的な問題がある場合、値段を含めて選択肢にはなりそうです。

 ただし、パネルの世代が古く、明るい日中だとやや厳しい画質である点に注意してください。

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 【2022年発売】

 【55インチ・2TB HDD付属】

 8・パナソニック VIERA TH-55LW1
  ¥366,300 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【55インチ・HDDなし】

 9・パナソニック VIERA TH-55LW1L
  ¥299,724 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED
倍速パネル:4倍速相当
ネット動画:自社規格
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 第3に、 TH-55LWシリーズです。 

 2022年末にでた製品で、同年出たLZ1800シリーズの「55インチ機」をベースとした製品です。

 「ワイヤレスモニター」的な珍しい製品です。

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 写真のようにウォールマウント(ウォールフィット)させることを前提としています。

 チューナーが外付けで、モニターまでは無線で飛ばす仕組みですので、壁の部分にコンセントケーブル以外這わないため、美観が非常に良いのが「売り」です。

 一方、ゲーム機ほか周辺機器をつなげるためのHDMI端子は「モニター側」になります(本体側HDMIはメンテ専用)。その場合は、ケーブルは(むろん)見えます。

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 チューナーとTVの間の接続は、Wi-Fi(Wi-Fi5)です。

 アドホックに直接つなげる(最大35メートル)こともできます。

 ただ、ルーターを介した方が、安定します(上図)。最近は、このブログの【無線LANルーターの比較記事】でも記したように、通信安定性を高められる製品もでています。

 画質は、基本的にLZ1800シリーズと同じです。

 補整も変わりません。

 一方、無線伝送なので、データ量の多い4Kについては、「圧縮」(ビットレート変換)して送る仕様です。電波状況を判断しつつDRモードで送る場合、あるいはそれ以下の場合もあります。

 可変性は、VOD(サブスク動画)利用時に調整されるようなイメージで良いかと思いますが、家庭内なので、しっかりしたルーターなら問題ないでしょう。

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 音質は、画面を振動させるタイプのアクチュエーターが2基です。

 「画面から音がきこえてくるような」仕組みですが、パワー自体は20Wです。

 立体音響規格などもフォローしませんし、普通のステレオです。

 本機は、ARC対応のHDMI端子がモニター側なので、外部オーディオをつなげにくい(=配線部分のメリット性を失う)部分があります。あくまで「インテリア性重視の機種」と言えます。


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 録画は、上位機(左図)の場合、ワイヤレスチューナー部分に2TBのHDDを搭載しています。

 下位機(右図)でも、USB経由でチューナー側に増設可能です。

 いずれの場合も、新4K放送の長時間録画にも対応しており、結構優秀です。

 機能面でも、スマホでの遠隔視聴(どこでもディーガ)や遠隔予約に対応するなど、(一般ユーザーには)同社のレコーダーとなるDIGAの代わりを十分果たせる性能です。

 なお、ドライブもあれば完全な「ハイブリッド」でしょうが、BDドライブは未搭載で、ディスクは利用できません。

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 結論的にいえば、主にインテリア性を重視した機種です。

 配線を這わさず、テレビを見る、録画番組を見る、あるいは、チューナーを介して、ネット動画をみることだけで満足できるようならば、選んでも良いかと思います。

 ただし、サウンドにこだわりたい方は、先述のHDMIの仕様ゆえに、外部機器との接続性が良くない部分が注意点となります。

 同社の「テクニクス」の音響で、音の部分も「ワイヤレス」にしたシステムをセットで出してくれるとさらに魅力が増すかなと思いました。


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 【2024年7月発売】

 【55インチ】

 10・パナソニック VIERA TV-55Z95A
  ¥336,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【65インチ】

 11・パナソニック VIERA TV-65Z95A
  ¥490,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【2023年7月発売】

 【55インチ】

 12・パナソニック VIERA TH-55MZ2500
  ¥266,200 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【65インチ】

 13・パナソニックVIERA  TH-65MZ2500
  ¥405,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED EVO gen3
倍速パネル:2倍速
ネット動画:Amazon Fire TV
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 Z95Aシリーズは、パナソニックの2023年モデルの最上位機です。

 新旧あります。

 こちらの場合も、大きな違いは、画像エンジンの世代の違いに伴い、デュアル超解像非対応である部分と、Fire TVが未搭載になる部分です。

---

 結論的にいえば、エンジン部分で世代差はあるので、補正部分ではあります。

 ただ、現状の価格差をふまえると、旧機にお買得感は相当あります。ネットだとまだ在庫があるので、そちらを選んでも良いでしょう。

 一方、本機の仕様部分は、記事のはじめにみた入門機( TV-55Z90Aシリーズ)と被る部分が多いので、違う部分だけ書いておきます。

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 第1に、パネルです。

 本機は、マイクロレンズ有機ELとの表記です。  

 ようするに、冒頭書いた区分でいえば、LG OLED EVO Gen3のことです。

 Gen4はパナソニックのプレスリリースを見る限り「来年以降」か、(出るか分かりませんが)上位機かなと思います。

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 先述のように、マイクロレンズアレイを利用し集光を行う仕組みで、ピーク輝度が約2100ニト輝度を大幅に改善した新世代です。

 もちろん、EVOシリーズなので色再現性も高いパネルです。

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 その上で、パナソニック独自の「味付け」が、やはりなされます。

 パネル部分に放熱シートを追加し「デュアルヒートレス構造」にしています。

 背面にバックパネル一体型放熱プレートのほか、その手前に放熱シートを搭載した、二重構造になります。

 光は熱源でもあるので、レンズ集光にしたことに伴う「再対策」といえます。

 したがって、同じパネルでもこの対策がない機種に比べると、コントラストが高く、輝度も落ちも軽減するでしょう。

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 加えて、下位機種にない温度センサーも搭載します。

 前後の時間軸を含めつつ、発光状態を解析します(3次元映像信号解析)。

 輝度部分に性能の良くなったパネルの潜在能力をさらに引き出すための工夫でしょう。

 そのほか、1台ごと、自社工場でかなり細かくキャリブレーションをしている点も評価できるでしょう。

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 第2に、スピーカーです。

 55・65インチ機で、それぞれ総合出力150W・160Wとかなりパワフルです。

 本機は、下部に、ラインアレイスピーカー16基ならびます。

 その上で、壁を利用して水平方向の音場を表現するためのワイドスピーカー2基、、3D立体音響を実現するための上方向のハイトスピーカー2基と、低音のためのウーハーというユニット構成です。

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 画面サイズごとの出力は、ラインアレイスピーカー部分の出力の差になり、構成は同じです。

 ラインアレイスピーカーは、実際的にセンタースピーカーの機能性を持つので、セリフの聞きとりなどに強いと言えます。

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 この部分を利用した、サウンドフォーカス機能も面白い工夫です。

 音質は落ちるものの、音を特定の方向にビームフォーミングできるため、お年寄りのいる家族には特に便利に思えます。

 チャンネル数は(特殊なので)明確には言えません。

 ワイドスピーカーを壁反射を利用したリアスピーカーとして勘定するならば、「5.1.2ch相当」のリアルサラウンドといえます。

 ここまで強化されていれば、Atlasでも別売のスピーカーを買わなくても「まあOK」と、仲の良い友人には言うだろう水準です。

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 ゲーム機や映画コンテンツで採用例が増えている、3D立体音響のドルビーアトモスも、「リアル」に表現できる水準です。

 映画館のような「天井降そそぎ音」がフォローされます。

 さらに、リモコン搭載のマイクで、部屋の環境に合わせた補正をするSpace Tune Autoにも対応なので、立体音響の設定も容易です。

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 その他の部分は手動での首振りに対応するくらいで、あとは同じです。

---- 

 以上、パナソニックのZ95Aシリーズの紹介でした。

 個人的にはここまで強化されれば、内蔵スピーカーでも(まあ)良いかなと思えます。

 パネル部分も、2023年登場のOLED EVO gen3をベースに独自に改良した製品です。24年版パネルはより明るいとは言え、これくらいの明るさがあれば、日中対応OLEDといっても良いでしょう。

 同じパネルを採用した他社機により安いモデルはあります。しかし、有機ELは「発熱対策」が画像に大きく影響するので、パナソニックを選ぶ意味はあるでしょう。

 エンジン部分の工夫を含めて、OLED上位機では高レベルでよくまとまった製品です。

ーーー

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 【2024年11月発売】

 【77インチ】

 14・パナソニック VIERA TV-77Z93A
  ¥840,000 Amazon.co.jp (10/2執筆時)

 【2022年7月発売】

 【65インチ】

 15・パナソニックVIERA  TH-65LZ2000
  ¥304,800 楽天市場 (10/2執筆時)

 【77インチ】

 16・パナソニックVIERA  TH-77LZ2000
  ¥599,000 楽天市場 (10/2執筆時)

モニターパネル:OLED EVO gen2
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社規格
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(2)

 なお、Z93Aシリーズは、現行機では同社の最大サイズとなる77型になります。

 LZ2000シリーズという2年前の製品の事実上後継機です。

 そちらも残りますが、先述のデュアル超解像Fire TV対応が主な違いです。あとは、 地デジの「美肌補正」がない点、レガシー端子の省略、あるいは、UI部分のマイナーな改良(ゲームプロモードの追加など)です。

 結論的にいえば、今の値段差だと旧機がお買得に感じます。

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 パネルは、いずれも「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ NEO」という名前です。

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 これは、LGのOLED EVO gen2のことです。

 ピーク輝度が1300ニト、標準輝度で180ニトあたりの世代ですので、日中にしっかりした画質で見たい場合「要カーテン」クラスの中級パネルと言えます。

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 スピーカーは、77型は、総合170Wです。

 構成は先ほどの機種と同じですが、77型と横長なので、ラインアレースピーカーが18連になる関係で、出力がすこし強まっています。

 いずれにしても、特徴的なスピーカーで、工夫として面白いです。

 あとは、先ほどの機種に対して、言及したい違いはないです。

---

 結論的にいえば、パネルは現行の入門機とおなじ水準ですが、あとは最上位機相当といえる製品です。

 パナソニックの画質の基礎となるヘキサクロマドライブ プラスもありますし、しっかり、倍速パネルです。新機種は、デュアル超解像などのエンジン由来の機能性もそのように言えます。

 その上で、熱対策などは温度センサーを含め高度で、かつ、スピーカーも面白い構造です。ここも、先ほどの最上位機相当です。

 パネル部分は、77型もLGの次世代は展開があるので、そちらが採用されなかったのは残念といえばそうです。ただ、パネル以外の工夫に費やされる費用考えると、価格はおそらく売出時100万は軽く越えそうなので、それもあってなとは思いました。

 逆に言えば、そこまで日中に使わないならば、問題のないパネルです。旧機を含めて選択肢になるでしょう。

次回記事につづく!
有機ELテレビのおすすめは結論的にこの機種!

 というわけで、今回は、有機ELテレビの比較1回目記事でした。

 しかし、記事はまだまだ「続き」ます。

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2・ 有機ELテレビの比較 (2)
 2-1:ソニー
 2-2:シャープ
3・ 有機ELテレビの比較 (3)
 3-1:LGエレクトロニクス
4・ 有機ELテレビの比較(4)
 4-1:レグザ(東芝)
 4-2:ハイセンス
5・ 有機ELテレビの比較(5)
 5-1:最終的なおすすめの提案【結論】

 次回の2回目記事こちら)では、ソニーシャープの製品を紹介します。

パネル品質  ★★★★★
画像エンジン ★★★★★  
音質の良さ  ★★★★★
ネット動画  ★★★★★
番組表    ★★★★★
総合評価   ★★★★★

 その上で、最終回記事こちら)では、今回紹介した全製品からいつものように、目的別・用途別にAtlasのおすすめ機種をあげておきたいと思います。

 2回目記事は→こちら!

ーー

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posted by Atlas at 13:53 | 映像機器

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