【今回レビューする内容】2025年 LGエレクトロニクスの最新4Kテレビの性能とおすすめ・選び方:LGテレビの評判・人気機種の違いや性能ランキング
【比較する製品型番】LGエレクトロニクス UT8000シリーズ 43UT8000PJB 43UR8000PJB 50UT8000PJB 50UR8000PJB 55UT8000PJB 65UT8000PJB 75UT8000PJB 86UT8000PJB QNED80Tシリーズ 43QNED80TJA 50QNED80TJA 55QNED80TJA 65QNED80TJA QNED85Tシリーズ 75QNED85TJA 86QNED85TJA QNED80JRAシリーズ 50QNED80JRA 55QNED80JRA 65QNED80JRA QNED85JRA シリーズ 75QNED90TJA 86QNED90TJA UHD TVサイネージ 43UN640S0JD 50UN640S0JD 55UN640S0JD 65UN640S0JD
今回のお題
最新モデルの4K液晶テレビのおすすめはどの機種?
どもAtlasです。
今回は、2025年4月現在、最新の4K液晶テレビの比較の5回目記事です。
4K液晶テレビのうち、LGエレクトロニクスの製品を紹介していきます。
1・4K液晶テレビの比較【導入編】
:選び方の基本の説明
:東芝・レグザ〈日本〉
2・シャープの4K液晶TVの比較
:アクオス〈日本〉
3・ソニーの4K液晶TVの比較
:ブラビア〈日本〉
4・Panasonicの4K液晶TVの比較
:ビエラ〈日本〉
5・LGの4K液晶TVの比較
:ナノセル〈韓国〉
6・ハイセンスの4K液晶TVの比較
:Hisense TV〈中国〉
7・TCLの4K液晶TVの比較
:TCL TV〈中国〉
8・アイリスオーヤマの4K液晶TVの比較
:LUCA〈日本〉
9・各社の4K液晶TVの比較
:オリオン〈日本〉
:マクスゼン〈日本〉 ほか
10・おすすめの4K液晶テレビ 【結論】
=全機からのおすすめの提案
なお、全般的な「4Kテレビの選び方の基本」は、1回目記事の冒頭(こちら)に書きました。
そちらを先にお読みいただいた方が、わかりやすいかと思います。
よろしくお願いします。
映像の美しさ ★★★★★
目の疲れにくさ ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
ネット動画 ★★★★★
番組表 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
というわけで、以下では、いつものように、各製品を比較します。
そして、最後の「結論編」(こちら)では、上表のようなポイントから、目的別、予算別にAtlasのおすすめ機種!を提案する型式で書いていきます。
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1・小型液晶テレビの比較
2・大型液晶テレビの比較
3・4K液晶テレビの比較
4・有機ELテレビの比較
5・8Kテレビの比較
6・おすすめTVのまとめ 【結論】
なお、今回の記事は、TVを紹介した一連の記事としては「3回目記事」の一環として書きました。
LGの場合、上位は(もちろん)OLEDですが、そちらは、4回目記事でのフォローです。
5-1・LGの液晶TVの比較
というわけで、韓国のLGの液晶テレビの紹介です。
グローバル仕様な機種が多い印象ですが、最近は、番組表などを含めて、日本の現地化にも力を入れています。
LGはいくつかグレードがわかれていて、それぞれ旧機種もあるため、「入門機」「中級機」「高級機」にわけて説明します。
5-1・LGの入門機
はじめに、各年度のLGの4K液晶テレビの入門機からです。
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なお、以下では、前回と同じように、Atlasのおすすめできるポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で書きます。
【2024年6月発売】
【43インチ】
1・LGエレクトロニクス 43UT8000PJB
¥98,461 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
(23年旧モデル)
2・LGエレクトロニクス 43UR8000PJB
¥61,800 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【50インチ】(VA)
3・LGエレクトロニクス 50UT8000PJB
¥76,800 楽天市場 (4/11執筆時)
(23年旧モデル)
4・LGエレクトロニクス 50UR8000PJB
¥89,800 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【55インチ】
5・LGエレクトロニクス 55UT8000PJB
¥97,800 楽天市場 (4/11執筆時)
【65インチ】
7・LGエレクトロニクス 65UT8000PJB
¥123,326 楽天市場 (4/11執筆時)
【75インチ】
9・LGエレクトロニクス 75UT8000PJB
¥186,421 楽天市場 (4/11執筆時)
【86インチ】(VA)
10・LGエレクトロニクス 86UT8000PJB
¥276,196 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:IPS (50はVA)
バックライト:直下型
解像度:4K画質
倍速液晶:
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 60p
新4K放送チューナー:搭載(1)
UT8000シリーズは、LGの4K液晶テレビの入門機です。
同社は、世界的な液晶パネルメーカーであるため、比較的低価格で品質の良い液晶テレビを出すことができます。
なお、1年落ちの旧機としてUT8000シリーズが一部サイズですが残ります。
画像エンジンの世代は1世代前なのですが、画像補正面で、明示的な差はないので、買われる際に、一定の値段差があるようならば、選んでもOKです。
液晶パネルは、LG製のIPSパネルです。
50型・86型のみVAです。こちらは調達だと思います。
IPSは、コントラストが弱いので「黒の引き締まり」はVAに及びません。
しかし、視野角の広さと目の疲れにくさは、定評があります。
なお、一時期、色の三原色に白を加えた4色IPSパネル(RGBW型)という、色域が劣り白っぽくなる、廉価版IPSがありました(コントラスト比は1200:1〜)。
ただ、大手ではこの手の製品はほぼ「淘汰」されており、また、LGを含め、過去の事例だとそのような機種には註記がありました。心配なさそうです。
普通にRGBでしょう。
バックライトは、直下型です。
以前は、入門機はエッジ型が多かったのですが、直下型でもスリム化できるようになったのでだいぶ減りました。直下型のほうが、画面を明るく作りやすいからです。
ただ、発光する場所を個別制御するエリア制御(部分駆動)はしないので、水準としては、価格相応の入門機です。
4Kチューナーは、新4K放送チューナーを搭載です。
ただし、4Kチューナーは1基だけですので、新4K放送視聴中の裏番組の録画は非対応です。
HDR10技術は、対応です。
HDRは、4Kと同時に普及してきている輝度に関する新しい業界規格です。
対応する場合、画像の立体感や解像感を高まります。
最近は、ゲーム機やNetflixなどの映画コンテンツほか、新4K衛星放送では、HLGとして対応しているので、4Kテレビを選ぶ場合には重要です。
同社の場合、HDRダイナミックトーンマッピングプロとして、フレーム単位でHDRコンテンツ再現性の調整もしています。
一方LGの場合「すべての画像で」HDR地デジなど標準画質(SDR)のコンテンツも、計算でHDR水準の輝度とする技術(旧名:HDR効果)も対応です。
倍速液晶は、非搭載です。
対応機は、スポーツなど動きのある映像の場合、残像感が減ります。
一方、同社の場合、バックライト点滅制御で疑似的にこれを表現するTruMotion(モーション補間)が、旧機だと対応でした。
業界的な言い回しだと「2倍速相当」ですが、今回記載がないです。
ただ、フィルムメーカーモード(フレーム補完をオフにして、制作者の意図通りの原画質をそのまま表現する機能)は搭載なので、モードによっては明滅制御をしているのかもしれません。
いずれにしても、倍速パネルでない以上、動く映像にはさほど強くはないです。
画像エンジンは、α5 AI Processor 4K Gen7を搭載です。
同社の入門機に搭載されるもので、毎年世代が更新されます。
画質向上技術は、LGは「AI映像」と総称しています。
近年は、膨大な映像のビッグデータを深層学習させたAIを搭載し、処理を任せる技術が高度化していますが、LGもその路線です。
ただ、LGはかなり細かくエンジンの性能差をつけていて、本機のような入門機だと、明示的に示される機能性は他社より少なめです。
説明書には、ノイズ削減・超解像・高詳細化などわりと細かい調整はできますので、説明されていないだけで、何かしらの処理はしています。
ただし、同社の上位エンジンの独自機能(超解像・オブジェクト型映像処理・AI分析を利用したノイズ除去)は非対応なので、いずれにしても入門機の域はでないでしょう。
この点で言えば、入門機から割としっかりした機能性を持たせている、ここまで見てきたような国内他社との差とは言えます。
画質の自動調整は、未搭載です。
コンテンツに合わせて、自分でのモード変更が必要です。
手動だと、ゲームは、映像及び音を最適化するする設定は、LGは入門機から細かいです(ゲームオプティマイザー)。
一方、本機は明るさセンサーが搭載です。
部屋の明るさを判定し、画像全体の適当に自動調整する機能です(AI輝度)。他機のような(照明色もみて調整できる)環境光センサーではないです。
操作性は、良質な画像エンジンを採用しているため、他社に劣りません。
【Amazon限定】
【2TB-8TB】
・IODATA EX-HDAZ-UTL2K
¥12,800〜 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
録画機能も、別売の外付けハードディスクの増設により対応します。
新4K放送を除けば、裏番組録画も対応です。
番組表は、その一方であまり強調されません。
EPGは取得し、日本の他社同様に番組情報も得られますが、画面の情報量と視認性は、工夫がイマイチです。
ただ、乗せているエンジンが良いためか、サクサクと動く操作性はかなり良いですし、ネットテレビなどを操作するためのUIの出来も良いです。
いずれにしても、TV機能をさほど重視しない(ゲーム・ブルーレイレコーダー・スカパー中心など)の方は、基本性能が高くお買得なこのモデルを選ぶのは「あり」です。
映像配信サービスは、LGの場合、同社のWebOSを利用します。
ソニーやシャープは、GoogleのGoogleTVを、パナソニックはAmazon Fire TVを採用していますが、独自のものです。
日本の独自サービスを含めて、メジャーなサービスは対応します。
過去の検索履歴から、おすすめ(キーワード)提案してくれるAIコンコルジュなど、コンテンツはわりと充実します。
【2024年モデル】
LG マジックリモコン MR24JP
¥4,470 楽天市場 (4/11執筆時)
【2023年モデル】
LG マジックリモコン MR23JP
¥5,120 楽天市場 (3/14執筆時)
ただ、本機は、リモコンが普通のものです。
LGの場合、以上のマジックリモコンでの操作に最適化されているため、問題を感じたら増設しても良いでしょう。
なお、このリモコンを考究した場合、オートサウンドチューニングが利用できます。
リモコン搭載のマイクを利用して、部屋の状況に合わせてサウンドを最適化します。本格的なオーディオ機器だとよくある機能です。
スピーカーの音質は、総合出力は、20Wと非力です。
フルレンジスピーカー2基のステレオですし、特段、強調する部分はないです。むろん、普通に利用するには十分でしょうが、強調はできないと言う話です。
音質を重視する場合は、このブログの【サウンドバーの比較記事】で紹介したような製品を導入してもよいでしょう。
その点で言えば、本機は、HDMI端子がeARC対応なので、多チャンネル機でも増設しやすいです。
なお、このグレードでは画質は自動調整されませんが、音はAIサウンドプロとして一部の調整が可能です。
例えば、ドラマ・スポーツ・映画・ニュース・音楽のジャンルが識別できるため、コンテンツに合わせて自動で最適化されます(アダプティブサウンドコントロール)。
音量も、コンテンツを移動しても、テレビ側が音量を分析し、大きさがキープされます。サービスでボリュームが変わる場合が多いので、ネット動画視聴時にこれは割と有効です(オートボリュームレベリング)。
HFR(ハイフレームレート)は、次世代ゲーム機に使う場合、あると「なめらかな動き」が楽しめます
本機は、ただ、4K/120pには非対応です。
自動的に遅延時間を短縮するALLM設定はフォローです。
1・Amazon Echoの比較
2・各社のスマートスピーカーの比較
3・スマート学習リモコンの比較
音声アシスタントサービスは、未搭載です。
音声でのハンズフリー操作をしたい場合は、【スマートスピーカーの比較記事】で紹介したような各社の専用スピーカーが必要です。
詳しくは、上表のリンク記事をご覧ください。
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以上、LGのUT8000シリーズの紹介でした。
パネル部分は、近年の国内各社の入門機だと、直下型LEDでIPS液晶を採用する機種は減っていますので、その部分でプレゼンスがあります。
一方、先述のように、LGはかなり細かく画像エンジンをグレード分けするので、入門機だと、画像補正について示される機能性は他社より少なめです。
ただ、型落ちはかなり安いですし、特にIPSは、この値段で買えるのは全メーカー通しても希少ですし、予算が限られた中での選択肢としては良さそうです。
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【2024年6月発売】
【43インチ】300nit
11・LGエレクトロニクス 43UN640S0JD
¥59,800 楽天市場 (4/11執筆時)
【50インチ】400nit
12・LGエレクトロニクス 50UN640S0JD
¥74,800 楽天市場 (4/11執筆時)
【55インチ】400nit
13・LGエレクトロニクス 55UN640S0JD
¥84,800 楽天市場 (4/11執筆時)
【65インチ】400nit
14・LGエレクトロニクス 65UN640S0JD
¥123,326 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:IPS
バックライト:エッジ型
解像度:4K画質
倍速液晶:
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 60p
新4K放送チューナー:搭載(1)
なお、一部流通限定ですが、LGから、UHD TVサイネージシリーズの販売があります。
名前通り、サイネージ用(映像広告)向けの薄型で、TVチューナーが必要な方向けに向けた製品です。低発熱、低消費電力なので、24時間運用もありえるサイネージ用に入門用パネルを使う例は、割と見ます。
Web OSも搭載で、定額動画サービスなども利用できます。
その点で、家庭向けに使えないこともないですが、画像処理(エンジン)部分の仕様が不明瞭なので、個人があえてこちらを選ぶ必要はないかと思います。
パネルは、LGの日本サイトによると、全サイズともIPSです。
ただ、スペック表自体の記載ではないので、50型もIPSかは保証できません。LGで50型のIPSはありますが、TV用ではあまり聞いたことがないので。
バックライトは、サイネージ向けの薄型(エッジ型)です。
5-2・LGの中級機
つづいて、各年度のLGの4K液晶テレビの中級機です。
このグレードの場合、売り出し時価格は10万を超える場合が多いです。
ただ、型落ちだと10万を下回る場合もあります。
【2024年6月発売】
【43インチ】
15・LGエレクトロニクス 43QNED80TJA
¥116,999 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【50インチ】(VA)
16・LGエレクトロニクス 50QNED80TJA
¥166,513 楽天市場 (4/11執筆時)
【55インチ】
17・LGエレクトロニクス 55QNED80TJA
¥199,816 楽天市場 (4/11執筆時)
【65インチ】
18・LGエレクトロニクス 65QNED80TJA
¥------ 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:Nano Cell IPS(量子ドット)
バックライト;エッジ型+エリア制御
解像度:4K画質
倍速液晶:4倍速相当
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(1)
QNED80Tシリーズは、LGエレクトロニクスの中級機です。
同社の場合、このグレードから、パネル生産メーカーらしい「個性」が強まります。
液晶パネルは、本機も、自然な色合いで、目も疲れにくいIPSを採用します。
ただし、50インチ機だけは、黒が引き締まるVAです。
TVの場合、PC用と違って(長時間見つめるわけではないので)VAパネルでも問題はないです。VAのが少し「派手め」な味つけの場合が多いですが逆に、「黒の締まり」は良く、画像の奥行感はだせる傾向です。
一方、両モデルともに、液晶パネル部分に工夫があります。
「ナノセル(LG NanoCell)」と呼ばれる技術です。少し詳しく書いておきます。
ナノセルは、液晶(LCD)部分についてのLG独自の工夫です。
液晶テレビは、一般的に(青と黄色の蛍光体を混ぜて作った)白色のLED光源(WLED)から、中間のフィルムでカラー(RGB)を作っています。
ただこの方式だと、HDR時代の輝度と演色性が十分出せないため、LGはバックライト直上の蛍光体フィルムに工夫をします。
それがナノセル(Nano-IPS)です。
バックライト直上に、特定の波長の光を吸収する1nmの微小粒子(蛍光体フィルム)を敷くすることで、色バランスを最適化し、パネルの演色性を高めます。
特に赤色は、黄色系の類似色の混ざりを押さえられるので、鮮明度が高まります。
パネル成形時の工夫なので、パネル提供業者ゆえにできる工夫と言えます。
方向性としてはRGBカラーの純度向上をと目指すものです。横から見ても色変化が少ないといえます。2010年代後半に登場した技術となります。
一方、2020年年代になると、この記述はさらに進化します。
「ナノセル」の進化形としての「量子ドットナノセル」の登場です。
具体的には、バックライト直上に量子ドットフィルム(QLED)を備え、その上にナノセルフィルム(ナノオーガニックフィルム)を被せる「ハイブリッド方式」にしました。
量子ドットフィルムは、他社モデルでも説明しましたが、HDR時代のコンテンツに対応するため、近年出てきた技術です。
色域(あざやかさ)ほか「輝度」と「黒の締まり(コントラスト)」を同時に高めることができるので、他社高級機では多く採用がみられます。
LGの場合、ナノセル方式(Nanocell)と量子ドット方式(QLED)を「ハイブリッド」にするので、QNED(量子ドットナノセル)という独自名を付けます。
この場合、従来の赤の純度の高さを維持したまま、「黒の締まり」(輝度・コントラスト表現)を高めることを意図しています。
なお、ナノセル・量子ドットナノセルとも、LGのテレビ以外には使われない単語(商標)です。
しかし、LGはパネル世界的なパネル提供業者ですから、QLEDを併用した最新パネルを含めて、実質的に他社の上位機クラスに、(遅かれ早かれ)技術提供をしています。
他社の上位機にも「LGパネルかな」と思わせるモデルはあります。
実際、「パネル名」として商標登録し、その名前を他社に使ってもらった方が、LGのブランド力は高まる気がします。しかし、業界的な「事情」があるのでしょう。
とはいえ、いずれも、LGの自社技術ですので、先端技術を搭載したテレビを、ライバルより「安く販売できる」部分はあるとおもいます。
実際、量子ドットナノセル(QNED)を売出時価格で中級機の価格で出せるのは同社くらいでしょう。LG機を選ぶ、大きな「動機」になると言えます。
バックライトは、エッジ型+エリア制御です。
エッジ型は、直下型に比べて、テレビが薄くスタイリッシュにできる反面、直下型より光の明暗表現に弱いです。
おそらく、壁掛けニーズをふまえて、この方式を採用しています。
ただ、本機は、エリア制御(部分駆動)ができるタイプなので、(エッジ型の範疇では)対策はあるタイプです。
パネル部分で高度な工夫があるから「薄型化できた」ととも言えます。
4Kチューナーは、新4K放送チューナーを搭載です。
ただし、LGは4Kチューナーは1基だけですので、裏番組録画は非対応です。
HDR10技術は、対応です。
先述のHDR効果モードも対応です。
倍速液晶は、このグレードも非対応です。
動く映像には引き続き、あまり強くないです。
画像エンジンは、α5 AI Processor 4K Gen7を搭載です。
処理面は、したがって入門機と変わりません。
明示的な機能性としては、明るさセンサーを利用するAI輝度が言及されるのみです。
入門機きとしてはともかく、中位機としては、ここはやや弱い印象です。
画質の自動調整は、やはり非対応です。
なお、音声の自動調整(AIサウンドプロ)も、下位機種同様に搭載です。
操作性・録画機能・番組表・映像配信サービスなどの部分は、同社の下位機種と同じです。
ただ、下位機種では別売だった、(上位の)マジックリモコンが付属です。
スピーカーの音質は、ユニット自体は総合出力は20Wの2.0chステレオなので強調できません。
一応、バーチャルサラウンド技術で、仮想的に9.1.2chを再現できます。また、Dolby Atmos対応とはなりますが、イマイチです。
ただ、LGの場合、2023年以降のQNED採用機は、【サウンドバーの比較記事】で紹介した、自社の外部スピーカーと連携できるようになりました。
この場合、TV内蔵のスピーカーも(消えずに)連動するので、機種によっては最大で9.1.5 chまで伸ばせることで評判です。
この場合、10万円程度の通貨投資になります。ただ、(テレビスピーカーと連動しないにせよ)本機の出力から言えば、1万円台の予算で買えるモデルでも、音質はそちらのが上です。
詳しくは【サウンドバーの比較記事】で紹介しています。
本機は、eARCも対応するので、増設も容易です。
音声アシスタントサービスは、先述のマジックリモコンのボタンを押すことで、AIを呼び出せます。
LGのAI以外に(排他的ですが)「Amazon Alexa」「Google アシスタント」も選べます。リモコンのボタンを押すことで、AIに情報を聞いたり、声で操作をお願いしたりできます。
1・Amazon Echoの比較
2・各社のスマートスピーカーの比較
3・スマート学習リモコンの比較
ただし、リモコンを押さずに、「座ったまま」たのみたい場合は、以上の記事で説明したような製品が別に必要です。
HFR(ハイフレームレート)は、非対応です。
対応機はもう1グレード上になります。
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以上、LGのQNED80Tシリーズの紹介でした。
上位の量子ドットナノセルパネルが、この値段で買える、という部分が魅力です。
パネル部分だけで言えば、大手のテレビメーカーの中でもLGはやはり強いです。、LG製品の色彩の鮮やかさやクリアさは、この部分に由来するため、パネルを重視する場合は、こちらはよい選択肢でしょう。
一方、課題はやはり、倍速パネルの非採用と、さほど充実するとは言えない画像処理の部分です。スポーツなどをよく見られるかたは、少し物足りないかもしれません。
スピーカーもイマイチですが、ここは外部機器を導入すれば問題ないですから。
個人的にはこれらの部分のバランスを重視したいので、予算もありますが、LGで選ぶならば、もう1グレード上が良いように思えます。
ただ、(新機種だと)一般家庭向けの中画面機がないのが、もどかしいところです。
【2024年7月発売】
【75インチ】IPS
19・LGエレクトロニクス 75QNED85TJA
¥297,000 楽天市場 (4/11執筆時)
【86インチ】VA
20・LGエレクトロニクス 86QNED85TJA
¥(382,563) 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:Nano Cell IPS/VA(量子ドット)
バックライト;エッジ型+エリア制御
解像度:4K画質
倍速液晶:2倍速
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(1)
QNED85Tシリーズも、LGエレクトロニクスの製品です。
先ほどの機種の1ランク上の製品ですが、中級機と言えます。
液晶パネルは、75インチがIPSで、86インチがVAです。
1つ上の製品と同じで、ナノセルと量子ドット方式を利用した、量子ドットナノセル(QNED)です。
バックライトも、エッジ型+エリア制御です。
パネル周りの仕様は、下位機と同じです。
4Kチューナーは、新4K放送チューナーを搭載です。
やはりLGは4Kチューナーは1基だけですので、裏番組録画は非対応です。
HDR10技術は、対応です。
先述のHDR効果モードも利用可能です。
倍速液晶は、 2倍速(120Hz)で搭載です。
最新機だと、LGはこのグレードからの搭載になります。
画像エンジンは、本機からα8 AI Processor 4Kを装備します。
6世代(6年)つづづいたα7から久しぶりに名前が変わりました。
処理力向上に伴い、画像処理の部分で、革新がありました。
いくつか注目するべき機能を説明しておきます。
第1に、AIスーパーアップスケーリングです。
先述のように、4K液晶テレビを快適にみるには、地デジを含む低解像度コンテンツを4K表示するのアップスケーリングの精度が重要です。
こちらは、映像系のビッグデータから処理を深層学習したAIが映像品質を測定し、適切にノイズリダクションした上で、超解像処理(AI超解像)をするものです。
OLED(有機LE)に装備される上位のエンジン(α9)だと、さらに表情の解析もしますが、α8だとここまでです。
プロセスとしては、以前からあるオーソドックスな「フレーム内処理」の超解像ですが、膨大な情報を学習したAIの解析で、精度は上がったと言えます。
この部分の技術向上は著しく、そのためのプロセッサ性能の向上だったと言えます。
第2に、オブジェクト型リアルタイム映像処理です。
AI映像プロとしてまとめられる諸機能の中核機能です。
レグザやパナソニックも似た技術がありますが、各社とも利用方法に個性があります。
LGの場合、人間・人間の顔・車・動物の情報をAIが区別できる水準で、それら(前景)と背景を区別して認識します。その上で、前景をくっきり、立体的に表示するという技術です。
映像の奥行感を強化する方向性で、利用しています。
第3に、ダイナミックトーンマッピングプロです。
下位機にもあったHDR画像の色調を整えるものです。
OLEDの上位機は、上図のようにエリア分けでの細かい処理をしますが、ただ、このグレードだと、1フレーム単位の最適化になるようです。
それでも配慮があるのはよいことです。
このほか、LGの場合、AIディレクター処理という技術がみられます。カタログだとα8でも搭載のような書き方ですが、プレスリリースをみると、そちらは上位エンジン(α11)のみの対応のようです。
画質の自動調整は、対応です(自動ジャンル選択/シーン検出)。
標準(ニュースなど)・シネマ・アニメ・スポーツを映像情報から判断し、その上で、適切に映像を調整する機能です。
他社でもおなじみですが、LGだとこのグレード以降のみです。
加えて、夜景・町並み・自然というシーンも理解しそのシーンに合わせた適切な画質に調整もします(シーン検出機能)。
レグザ(東芝)にもみられた機能性ですが、やはり、AIに何を学習させたかの違いで、個性があり、面白いです。
そのほか、パーソナルピクチャーウィザードに対応です。
2種類の見本映像のうち、好みのほうの画像をいくつか選んでいくと、自動で、好みの画質に調整されるというものです。1人暮らしならば便利でしょう。
操作性・録画機能・番組表・映像配信サービスなどの部分は、ここまでの機種と同じです。
スピーカーの音質は、一方、このグレードでも20Wの2.0chステレオです。
やはり、LGとしては、ここは「増設」で、という方法でしょう。
エッジ型で本体を薄く作っている関係で、音質強化が難しいと部分もあるでしょう。
HFR(ハイフレームレート)は、こちらも、4K/120Hz対応です。
ゲーム向きの機能は引き続き充実します。
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以上、LGのQNED85Tシリーズの紹介でした。
パネルは1つ上の製品と同じですが、上位のエンジンで、画像処理の部分が、国内各社の中位機・上位機と「並べて語れる」水準になっている製品です。同社の場合もAI学習を最大限活かした方向性で、現代的です。
一方、エッジ型ですので、基本的には壁掛け向きで、そのような開発だと思います。そうした目的がある方で、画面サイズがお部屋のニーズに合うならば、有力な候補でしょう。
ーー
【2023年5月発売】
【50インチ】(VA)
21・LGエレクトロニクス 50QNED80JRA
¥99,990 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【55インチ】
22・LGエレクトロニクス 55QNED80JRA
¥119,550 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【65インチ】
23・LGエレクトロニクス 65QNED80JRA
¥184,000 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:Nano Cell IPS(量子ドット)
バックライト;エッジ型+エリア制御
解像度:4K画質
倍速液晶:4倍速相当
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(1)
なお、このクラスの旧世代としてQNED80JRAシリーズが一部残ります。
パネル部分は新機種と同じ量子ドットナノセル(QNED)です。
50型はVAになるのも同じです。
画像エンジンは、ただ、1世代前のα7 AI Processor 4K Gen6を装備します。
新機種のα8の旧世代なので、α5採用機よりは性能は上です。
一方、上で触れたAI学習に関わる処理全般と、オブジェクト型リアルタイム映像処理は、この世代だと非対応です。
人の肌の色の補整(ダイナミックビット処理)などの言及はありますが、やはり、AI向きのプロセッサを採用した新世代とは差を感じます。
画質の自動調整は、この世代でも対応です。
ただ、シーン解析は非対応です。
あとは、目立つ違いはないです。
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結論的にいえば、価格としていえば、上級の性能が期待できる量子ドットナノセル(QNED)が、かなり格安で手に入るのは見どころです。
倍速パネル、4K/120P対応と必要そうなスペックは網羅した上で、画像エンジンも、新世代よりは劣るとは言え、自動画質・音質調整をふくめて、10万円前後の製品としては、十分以上の性能に思えます。
先述のように、IPSを「指名買い」したい場合、国内勢にほぼ展開がなくなっているため、選択肢になり得るでしょう。
5-3・LGの上級機
最後に、各年度のLGの4K液晶テレビの上位機です。
【2024年6月発売】
【75インチ】(IPS)
24・LGエレクトロニクス 75QNED90TJA
¥400,000 楽天市場 (4/11執筆時)
【86インチ】(VA)
25・LGエレクトロニクス 86QNED90TJA
¥498,000 楽天市場 (4/11執筆時)
パネル:Nano Cell IPS/VA(量子ドット)
バックライト:MiniLED+エリア制御
解像度:4K画質
倍速液晶:4倍速相当
ネット動画:Web OS(LG)
フレームレート: 4K/ 120p
新4K放送チューナー:搭載(1)
QNED85JRA シリーズは、LGエレクトロニクス社の最上位機です。
4K液晶パネルでは、同社の製品では最も高価な製品です。
旧機種がのこります。
違いは、
液晶パネルは、中位機と同じで「量子ドットナノセルカラーディスプレイ」です。
先述のように、色域が広く、輝度やコントラストも出しやすい、最新の「ブランド液晶」です。こちらについては、すべてIPSを採用します。
バックライトは、本機も直下型+エリア制御です。
その上で、本機については、MiniLEDバックライトで、より細かく制御できるため、「高詳細直下型エリア駆動」と呼ばれます。
明暗差の表現がよりかなり細かくできます。
コントラスト部分に難がある、IPS液晶の欠点を補う技術と言えます。
結果、液晶パネルの部分だけで言えば、本機が、業界ではトップクラスの性能といえそうです。
もちろん、広色域化や明暗表現の強化は、他の方法でもできるので、他社高級機が劣るわけではないですが、IPS液晶を採用する機種に限れば、このやり方が最先端に思えます。
東芝ほかも上位機だとこの構成なので、他社にも提供されてはいるでしょうけれど。
画像エンジンは、中位機同様のα8 Gen5 AI Processor 4K です。
LGの場合、同じエンジンだと、画像処理、音声処理の部分の機能は変わらないため、この部分のプラスアルファはありません。
もうひとつ上位のエンジンもあるのですが、有機ELのみで4K液晶だと使われていません。
スピーカーの音質は、総合出力は40Wです。
2022年機になって中位機は20Wとすこし弱めになりましたが、このグレードの場合はそのままです。
スピーカー構成は、ミッドレンジ+トゥイーター+ウーファーで、総計6基のユニットです。
このうち2基は、ハイトスピーカーの役割を果たすため、ゲームや映画コンテンツで、流行している、3D立体音響規格である、ドルビーアトモスにリアルで対応できます。
一方、ソニーなどと比べると、地デジなどの通常音源を再計算で立体音響化するアップコンバートには、非対応です。
ただ、先述のように、LGの場合、自社販売の外部スピーカーとの連動運転ができるので、その部分で、「リアル」サラウンドが強化できます。
その場合【サウンドバーの比較記事】で紹介した、LGの外部スピーカーが必要です。
倍速液晶など、そのほかの仕様は、上で見た同年度の中級機と基本的に同じです。
HFR(ハイフレームレート)は、本機も4K/120Hz対応です。
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以上、LGのQNED90シリーズの紹介でした。
高画質ですが、値段的にはLGが得意にする有機ELに手が届くクラスです。
そうなると、液晶をあえて選ぶメリット性という話になりますが、LGがいうように、明るい昼間の部屋での視認性は、OLEDに対してメリット性があると言えます。
次回記事の予告
4K液晶TVのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、LGの4K液晶テレビの比較でした。
しかし、記事は、まだまだ「つづき」ます。
6・ハイセンスの4K液晶TVの比較
:Hisense TV〈中国〉
7・TCLの4K液晶TVの比較
:TCL TV〈中国〉
8・アイリスオーヤマの4K液晶TVの比較
:LUCA〈日本〉
9・各社の4K液晶TVの比較
:オリオン〈日本〉
:マクスゼン〈日本〉 ほか
10・おすすめの4K液晶テレビ 【結論】
=全機からのおすすめの提案
次回の第6回目の記事(こちら)では、ハイセンスの4K液晶テレビを比較します。
映像の美しさ ★★★★★
目の疲れにくさ ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
ネット動画 ★★★★★
番組表 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、10回目の結論(こちら)では、ここまで紹介してきた全機種を対象に、上表のようなポイントから、目的別・用途別にAtlasのおすすめ機種!について書きたいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
6回目の記事は→こちら