Top オーディオ製品 比較2025' 新型ノイキャンヘッドホン38機の性能とおすすめ・選び方 (1)

2025年06月15日

比較2025' 新型ノイキャンヘッドホン38機の性能とおすすめ・選び方 (1)

【今回レビューする内容】2025年 ノイズキャンセリングヘッドホンの性能とおすすめ・選び方:通勤通学・電車・飛行機でのノイズキャンセル:iPhone Android対応ノイズキャンセリング対応ヘッドホン

【比較する製品型番】SONY WH-1000XM6 WH-1000XM5 WH-1000XM4 MDR-ZX110NC SONY ULT WEAR WH-ULT900N WH-CH720N Bose QuietComfort 45 Bose QuietComfort Headphones Bose QuietComfort Ultra Headphones Apple AirPods Max Beats Studio Pro MQTP3PA/A ヤマハ YH-L700A(B) YH-E700B(B) JVC HA-S88BN final UX3000 FI-UX3DPL ag AG-WHP01K MK2 final UX2000 Black FI-UX2DPL UX3000 Black FI-UX3DPL JBL Quantum 910 Wireless JBL TOUR ONE M2 JBL JBL TOUR ONE M3 JBL LIVE 770NC  Tune 770NC SHURE AONIC 50 GEN 2 SBH50G2-BK-J ANKER Soundcore Space One Pro A3062N11 A3062N21 Soundcore Space Q45 A3040011 Soundcore SPACE ONE Soundcore Life Q30 Q20i ゼンハイザー MOMENTUM 4 Wireless ACCENTUM Wireless ACAEBT B&W PX7 S2 PX8 Px8/B B&O Play HX B&O Beoplay Portal AKG N9 Hybrid AKGN9HYBRIDBLK AKGN9HYBRIDWHT プレシードジャパン AVIOT WA-V1 WA-V1-PNK Sonos Ace ‎ACEG1JP1BLK ACE1G1JP1 オーディオテクニカ ATH-S300BT BK ほか

今回のお題
ノイズキャンセリング対応ヘッドホンのおすすめはどれ?

 どもAtlasです。

 今回は、2025年6月現在、最新のノイキャン対応ヘッドホンの比較です。

 メーカー別にわけながら、ノイキャンの精度ほか、音質にかかわるスペックに注目しながら各機を比較します。

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1・ノイキャンヘッドホンの比較 (1)
  1-1:選び方の基本の説明【導入】
  1-2:ソニー〈日本〉
  1-3:BOSE〈日本〉
  1-4:Apple〈米国〉
2・ノイキャンヘッドホンの比較 (2)
  2-1:Beats〈米国〉
  2-2:ヤマハ〈日本〉
  2-3:Ag.・Final〈日本〉
  2-4:オーディオテクニカ〈日本〉
3・ノイキャンヘッドホンの比較 (3)
  3-1:JBL〈米国〉
  3-2:ANKER〈米国〉
  3-3:SHURE〈米国〉
  3-4:B&W〈イギリス〉
  3-5:B&O〈デンマーク〉
4・ノイキャンヘッドホンの比較 (4)
  4-1:ゼンハイザー〈ドイツ〉
  4-2:他の企業〈各地〉    
  4-3・最終的なおすすめの提案【結論】

 今回は、「選び方の基本」を説明したあと、以上のような順番で各社の製品をみていきます。

 1回目記事で、定番メーカーの製品を総覧したあと、各企業のある地域ごとに見ていくような感じにしました。

音質の良さ     ★★★★★
重低音       ★★★★★
ノイズキャンセル  ★★★★★
ハイレゾ再生    ★★★★★
空間オーディオ再生 ★★★★★
総合評価      ★★★★★

 また最後の「結論」部分では、上表のようなポイントから、「Atlasのおすすめ機種!」を提案する形で記事を進めていきます。

1・完全ワイヤレスイヤホンの比較
2・左右直結Bluetoothイヤホンの比較
3・ハイレゾ対応イヤホンの比較
4・ノイキャン対応イヤホンの比較
5・Bluetoothヘッドホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ハイレゾヘッドホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
9・ネックスピーカーの比較
10・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】

 なお、今回の記事はこのブログのヘッドホン比較シリーズ全体としては、6回目記事として書きました。

1-1・ノイキャンヘッドホンの選び方の基本

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 はじめに、ノイキャンヘッドホンの「選び方の基本」からです。

 Bluetooth方式のヘッドホン選び方の「基本中の基本」は【Bluetoothヘッドホンの比較記事】の冒頭で、キッチリと「まとめ」ました。

 そのため、以下では、とく「ノイキャンの精度」に関わる部分について、新しい情報を加えつつ、詳しめに紹介することにします。

1・ノイズキャンセリングの仕組み

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 ノイキャンの基本となる技術は、どの製品も同じ仕組みです。

 ヘッドホン外部につけられた「マイク」がノイズ(騒音)を拾い、それと逆の傾向を持つ音を発生させて、ノイズを打ち消すというものです。

 しかし、同じ「ノイキャン」でも製品ごとに精度に差があります。 

1・搭載されるマイクの数
 
=騒音種類とLVの正確な把握
2・搭載されるセンサーの種類
 =装着状態や周囲環境の把握
3・プロセッサーの処理能力
 =AIによるデータの統合と処理

 これは、主に、上表の3点において各製品ごとに能力が異なるためです。

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 文字だとやや分かりにくいかと思いますので、もう少しかみ砕いて、ノイキャン精度の違いを「ざっくり」と図示したものが上表です。

 どうして、このように区分できるのか、以下、簡単に説明しておきます。

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 第1に、1マイク式です。

 耳せんのようなパッシブな遮音を除けば、最もシンプルな方式です。

 カップの外側に1つだけマイク(センサー)があり、その情報だけで音を打ち消すというものです。

 ユーザーが実際に「聞こえている音楽」の音の情報がないので、精度良く、騒音を打ち消せないと言えます。

 少し昔までは、(イヤホンに比べ)もともとパッシブに遮音性できる「ヘッドホン」の場合この程度でも良いと言われていました。

 しかし、ノイキャン性能が格段に向上した今では、その手の「言説」は、宣伝でもあまりききません。

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 第2に、Wマイク式です。

 2万円前後の製品で採用例が多いです。

 1マイクと違って、内側にもマイクを配置することで精度をあげています。

 一般的には、ハイブリッドANCと呼ばれます。

 Wマイクの場合、外側の騒音だけでなく、実際にきこえている内側の騒音(音楽)もAIが理解できるため、ノイズが実際どのように実際伝わっているかも合わせて分析できます。

 そのため、1マイク式よりも高精度にノイズキャンセリングされます。

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 第3に、Wマイク式(自動)です。

 一般的には、Adaptive ANC、あるいは、Adaptive Hybrid ANCなどと呼ばれますが、「長い」ので、Atlasが便宜的に名付けました。

 この場合、Wマイク式である上で、さらに、センサーで周囲の環境を判断しリアルタイムで、自動に強度が調整される仕組みも加わります。

 この方式は、マイクの音情報から騒音の種類(周波数)のみ分析する製品のほか、気圧計スマホの加速度計など、別のセンサーを併用して高度に分析するタイプなど多様です。

 最近だと、ユーザーの装着状況まで「リアルタイム」でみて「パーソナライズ」できる機種も普通になってきました。

 センシングの仕組みの違いで精度は大きく変わるので、記事でも違いが分かるように説明します。

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 第4に、Wマイク式(第5世代)です。

 2025年登場のソニーの最上位機が採用するWマイク式(自動)の最高峰です。

 片側6つのマイクと、高度なプロセッサで、急激な騒音の立ち上がりから、その音をキャンセルする現状「最高峰」の方式です。

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 一方、メーカーで言えば、ノイキャン技術はSONY・BOSE・Appleの高級機が優秀です。

 いずれも古くからノイキャンに取込みこんでいた企業で、自社で企画、設計した仕様のチップを採用するからです。

 他社は、半導体を製造するクアルコムMediaTekが販売する、ANC機能が内装される汎用チップ(Bluetooth SOC)の機能性をそのまま搭載する感じで、独自性は、先述の3社に及びません

 ただ、公平を期して言えば、クアルコム製の汎用チップは、2022年に登場したの第4世代 Adaptive ANC (QCC307x)以降、基本性能がだいぶ上がりました。

 2024年登場の第5世代 Adaptive ANC(QCC309x)だと、最大-50dB程度のノイズ低減が見込めるなど、潜在性能がさらに向上しています。

 こうしたチップの採用は、TWS型イヤホンが先行しているものの、JBLほか一部ヘッドホンでも(搭載していると思われるモデルが)見られるようになってきました。

 こうした現状で言えば、先述の大手3社との差は縮まってきていると言えそうです。

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 以上、キャンセリング技術について見てきました。

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 結論的にいえば、少なくとも、なにかしらのリアルタイム解析ができるWマイク式(自動)以上が、ノイキャンを重視したい場合、今だと「マスト」といえます。

 ただ、そういった製品でも、マイク数ほか、気圧計や加速度計などのデータ、あるいは、ヘッドホンの装着状況が分かる仕組みの有無などで、製品ごとに、結構差があります。

 また、歩行時など「動いているシーン」に強い機種、電車など「騒音の種類が常に変わるシーン」に強い機種、飛行機など「ほぼ一定の強度の騒音が発生しているシーン」に強い機種など、製品ごと、得意分野が違うとも言えます。

 今回の記事では、そのあたりの情報を含めて説明しようと思います。 

2・キャンセルできる音・できない音

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 ノイズキャンセリングは、全ての音を完全に無音化できる、という機能ではありません。

 例えば、電車の走行音オフィスの空調音自動車騒音などは、音の軽減は大得意です。

 しかし、電車のアナウンスや話し声、プリンターの駆動音など、高い周波数の音の軽減は、高性能な上位機でないと苦手といえますす。

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 結論的にいえば、自宅用と言うより、移動中に使うことを想した機能です。

 最近は、必要な音を消してしまわないように、必要に応じて、外音も聴きとれる外音取り込み機能を備える機種が一般的です。

3・ノイキャンヘッドホンの音質

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 音質には、仕組み上、ノイキャン機は特殊なチューニングが必要なので、原音を大事にするユーザーに、あまり評価されない場合もあります。

 しかし、率直に言って、ノイキャン搭載機でも、優れたドライバー(スピーカー)を搭載し、高音質なハイレゾ音源に対応できる機種は、近年は多くあります。

 ノイキャン搭載機は、騒音下という状態の悪い場所で、音楽を「ある程度」キレイに聴くと言うのが究極の目的です。

 そのため、自宅などの静かな環境で聴く音響機器とは、別の評価軸で選ぶべきです。

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 結論的にいえば、原音に忠実な再生を好む「音質重視」の人が一般的に好まない音質、つまり、「低音域・高音域双方が強調されるドンシャリ系」の方が、現実的には「音が良い」とAtlasは考えます。

 その上で、「小音量再生でも低音域がしっかり出せる」製品を選ぶと、特に大音量を好まない「落ち着いた世代」には最高でしょう。

 今回は、こうした点も含めつつ、「オススメ機種」を考えていきたいと思います。

1-2・ソニーのヘッドホン

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 はじめに、SONYのBluetoothヘッドホンからです。

 なお、以下では、Atlasのおすすめポイントについては赤系の文字色で、イマイチだと思う部分は青字で書いていきます。


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 【2024年発売】WH-XB910N後継機

 1・SONY ULT WEAR WH-ULT900N
  ¥25,664 Amazon.co.jp (
6/15執筆時)

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:3Hz-20kHz
ドライバー: 40mmドーム型
コーデック: SBC AAC LDAC
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
連続再生時間:30時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
有線接続:対応
重さ:255g

 WH-XB910Nは、ソニーの密閉型ヘッドフォンの中級機です。

 「重低音」と「ノイキャン」を重視する系統として目立つ機種です。

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 本体の重さは、255gです。

 割と重いですが、その分機能面では充実します。

 また、このクラスでは(まだ)比較的軽量と評価できるレベルです。装着感も良いです。

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 再生周波数帯域は、5Hz-20kHzというスペックです。

 同社の製品としては、低音域方向に測定値を高く出しており、その部分を強調する製品であることが分かります。

 実際この製品は、ドライバーやダクト構造、内蔵アンプを用いて「低音域を強調」するULTパワーサウンドも採用します。

 なお、従来機のブースト(EXTRA Bass)と異なり、通常モードほか2段階で重低音の「かかり」が選べるようになりました。ボタン1つで調整されます。

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 ドライバーは、40mmです。

 「ULT専用設計40mmドライバーユニット」とされます。上図は旧機のユニットです。それに対して、振動板の追従性がアップしたような書き方ですが、実際は同じかもしれません。

 いずれにしても、オーバーイヤー型のヘッドホンに多いサイズですが、ソニー機としては「大きめ」に分類されます。

 もちろん、音質は、大きさだけでは決まりません。本機の場合、振幅・耐気圧特性を「低域」に最適化した専用振動板を採用するなどの工夫が見られます。

 音質は、完全に、低音域を重視した作りです。

 中音域を重視しているわけではないですが、低音が通気孔の作用であまり籠もらないので、バラナスも良いです。

 高音域はさほど特徴が無く、ハイレゾ再生にも非対応です。

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 下位機種同様、DEEEには対応できます。

 一方、補正面で言えば、ソニーの独自技術となるDSEEに対応するため、再計算により、圧縮音源をCDレベルまで高め、高音域の音質をアップさせる効果が、期待できます。

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 Bluetoothコーデックは、SBCとAACのほか、ハイレゾ級のLDAC対応です。

 しかし、ヘッドホン自体がハイレゾ水準に満たないので、再現性はありません。 202106151130.jpg

 立体音源は、ソニーの360 Reality Audio規格に対応です。

 本機は、「360 Reality Audio」の認定製品である点も、SONYは強調します。

 Appleの「空間オーディオ」に相当するものです。同名の専用アプリ経由で、最先端の3D立体音響を楽しめます。

 360 Reality Audioの場合、Dolby Atmosコーデックではなく、独自の音楽用コーデックを利用します。音源とアプリベースの処理なので、ソニー製品でなくても、Bluetooth搭載のイヤホンならば、他社製品でも使える点で汎用性があります。

 立体音響の音楽コンテンツは、360 by deezernugs.netほかで対応します。

 そのほか、定額聴き放題サービスでも、「Amazon Music Unlimited」で、3Dオーディオの配信がはじまりました(ただし後述のパーソナライズはAmazonは非対応)。

 イヤホンも2021年後半からアマゾンで使えます。(こちら)で無料体験が可能です。

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 ヘッドトラッキングも、対応です(360 Reality Audio ヘッドトラッキング)。

 対応機の場合、位置・ジャイロセンサーで、顔の向きを変えても、方向的な立体感が維持されるので、音楽だけでなく映像立体音響に対応できます。

 ただ、空間オーディオ(360 Reality Audioの)で利用するには、「360 Reality Audio認定スマートフォン(22年以降のソニーのXperia)」であることが必要です。

 あとは、「Android ヘッドトラッキング」に対応するスマホの特定アプリで利用できます。その点では、iOS系との相性は良くないです。

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 音質のパーソナライズは、対応です。

 先述のように、ソニーの立体音響(360 Reality Audio)は他社機でも再生可能です。

 ただ、ソニーによる「360 Reality Audio認定ヘッドホン」の場合、再現性が高いです。

 耳の形をカメラで撮影し聴覚特性に応じて、カスタマイズされるからです。

 接続は、ステレオケーブル対応ですから、有線接続も可能です。

 ソニーの場合、ケーブルは付属します。

 通信安定性の面でも、Bluetooth5.0に対応です。

 連続再生時間は、30時間です。

 やはり、USBケーブルで充電することになります。

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 ノイズキャンセリング技術は、搭載されます。

 しかも、冒頭で書いた区分で言えば、最上位のWマイク式(自動)で、周りの環境を見て精度を帰られる上位版です。

 外音分析用のマイクが外側に、実際に聞こえている方向の音を分析するマイクが内側にあり、双方のデータを分析して音を打ち消します。

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 注目点は、最上位機同様、自社開発のV1プロセッサを採用する点です。

 ノイキャン精度はチップの処理面にも大きく依存するため、ノイズキャンセルの精度は高まっています。

 汎用チップを利用する他社製品との大きな違いです。

 さらに、ノイキャンの使い勝手にかかわる部分でいくつかの独自機能があります。

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 また、自動処理といえるアダプティブサウンドコントロールに対応です。

 スマホの加速度センサーを利用しつつ、「歩行」「静止」「着席時」などシーンに合わせて自動でキャンセルや外音取り込みレベルを変更する機能です。

 日本の通勤や出張は、複数の乗物を乗り継ぐパターンが多いため、この機能は重要です。

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 高度に使いこなしたい場合は、スマホのGPSと連動した設定もできます。

 よく行く場所を登録し、スマホの位置センサーで設定したモードに自動で切り替える機能です。

 こうした便利機能を持つため、同じノイズキャンセリングでも利便性はSONYは高いです。

 ノイズキャンセルはSONYが昔から力を入れてきた部分で、能力は期待できます。

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 外音取り込みモードも、持ちます。

 通勤中などに、電車のアナウンスなどを聴きたい場合に便利です。

 他社にも搭載機は多いですが、ソニーは アプリで20段階で設定可能な部分で細かいです。

 また、ヘッドホンのタッチセンサーにふれている際だけに、マイクから外音を取り込める「クイックアテンションモード」も搭載です。

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 マイクも、搭載です。

 通話用マイクと、ビームフォーミングマイクを併用する工夫で、一般的なマイク用のノイキャンより、口元の声を拾いやすくする工夫があります。

 そのため、ヘッドセット型でなくてもしっかりハンズフリー通話ができます。

 あとは、スマホに依存するものの、Google系とAmazon系のAIを操作に利用できますが、IOS系では利用できません。

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 以上、ソニーのWH-XB910Nの紹介でした。

 ハイレゾに対応する必要の無い方で、「低音域の迫力重視」ならば、「最先端」な製品だと思います。

 重低音重視のものデルながらWマイク式のノイズキャンセリングと豪華ですし、音声アシスタントにも対応しますので、外出先でも、自宅でも割と便利に使えるでしょう。

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 【2023年発売】WH-CH710N後継機

 2・SONY WH-CH720N
  ¥14,355 Amazon.co.jp (
6/15執筆時

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:7Hz-20kHz
ドライバー: 30mm
コーデック: SB, AAC, aptX
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:35時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
有線接続:対応
重さ:192g

 なお、ソニーは、WH-CH720Nという本機の下位機種も出します。

 一方、WH-XB910Nと比較する場合、ドライバー30mmと小さめです。

 先述の計算による低音強化技術(ULTパワーサウンド)も不採用です。

 DSEE技術は搭載ですが、低音強化には関係ないですし、上位機と比べると、豊かな低音再生力はいくぶん犠牲になります。

 そのほか、先述のヘッドトラッキングに非対応になります。

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 重さは、ただ192gです。

 オンイヤーと言えるほど小型のカップではないですが、長時間利用時に疲れにくいという部分で本機の軽さは魅力です。

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 結論的にいえば、強力なノイキャンさえあれば、そこそこ良い位の重低音でもOKという方には、こちらも良いかと思います。

 こちらも、騒音下でも通話しやすいビームフォーミングマイクの工夫もあるので、ノマドワーカーが集中して作業をしたい場合など、特に良い製品に思えます。


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 【2025年発売】

 3・SONY WH-1000XM6(B)
 3・SONY WH-1000XM6(S)
  ¥63,559 楽天市場 (6/15執筆時)

コーデック: SBC AAC LDAC LC3
3D音響:対応(360 Reality Audio+360 Upmix for Cinema)
重さ:254g

 【2022年発売】

 3・SONY WH-1000XM5
  ¥36,800 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

コーデック: SBC AAC LDAC
3D音響:対応(360 Reality Audio+360)
重さ:250g

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:4Hz-40kHz
ドライバー: 30mm(高機能)
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
連続再生時間:30時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動 5th)
有線接続:対応
重さ:250g

 WH-1000XM6は、ソニーのBluetoothヘッドホンの最上位機です。

 旧機種として、WH-1000XM5が残ります。

 新機種は、ステレオ音源の立体音響へのアップコンバート(360 Upmix for Cinema)に対応したほか、ノイキャン部分で、かなりの性能アップがありました。

 WH-1000XM6とWH-1000XMとの違いは、記事中で詳しく書きます。

 しかし、個人的には、「利用形態によっては」値下がりした旧機を選んでも良いように思います。

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 本体の重さは254gです。

 大きめのパットを採用したオーバーイヤー型です。

 耳と肌にあたる部分に伸縮素材を採用しフィット感を高める工夫があります。

 とくに従来に比べて、ヘッドバンドの幅が広まりました。これは、後述するように、本機のノイキャン機能が「帽子の上から」など、不規則な装着でも対応度が高まったことと関係するでしょう。

 再生周波数帯域は、4Hz-40kHzです。

 したがって、「ハイレゾに対応」するスペックです。

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 ドライバーは、30mmです。

 平均より小さめといえます。

 ただ、小型化するにあたって、軟性のある素材をエッジ部に、硬質なカーボンファイバーコンポジット素材をドーム部に採用するなど、配慮はあります。

 なお、旧世代(WH-1000XM5)と、ドライバ部分の工夫はそこまでは変わりません。

 あえて言えば、中央に孔を開けたボイスコイルボビン構造は今回からです。高音質の再生成に効果があるとされます。

 低音域は、一方、ドライバーサイズが小さい点で「課題」にみえます。

 ただ、ソニーの音作りは、DSP(デジタル信号処理)を駆使して、低音の量感を増す「作り込みタイプ」です。少なくとも、ワイヤレスでデジタル利用する限り、そのサイズ感の小さは感じさせません

 そのほか、通気口の工夫で、低音再現性も強化する工夫もあります。

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 音質面では、同社の音源のアップスケーリング技術となるDSEEが、現状で最上位の「DSEE Extreme」になります。

 ハイレゾ相当にアップコンバートする 点は同じです。i学習で膨大な楽曲データを分析したDBを利用し、再現性を高めたというものです。

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 Bluetoothコーデックは、SBC AAC LDACに対応します。

 LC3にも今回から対応になりました。

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 立体音源は、対応です。

 「360 Reality Audio」の認定製品ですので、「Amazon Music Unlimited」(こちら)で、3Dオーディオの配信が楽しめます。

 その上で、360 Upmix for Cinemaにも対応です。

 普通のステレオ音源を「立体音響へのアップコンバート」できる機能性です。

 もともと、ソニー製スマホ(Xperia)の処理で対応させていた機能性ですが、ヘッドホン自体に内装することで、汎用的に使えるようにしたものです。

 ヘッドトラッキングも、しっかり、対応です。

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 音質のパーソナライズは、アダプティブNCオプティマイザーを搭載です。

 リアルタイムで装着状況(髪型、メガネ、帽子など)を音波センサーで検知して、ノイキャン精度を高めます。気圧計も内蔵され、飛行機では気圧に応じた適切なノイズキャンセルを行えます。

 1世代前(1000XM5)も「NCオプティマイザー」と似た機能性がありました。

 違いは、装着状況を(定点ではなく)「リアルタイム」でスキャンするようになった部分です。

 この機能はノイキャンと不可分ですから、後ほど「ノイキャン」の説明でも補足しますが、状況に合わせた「リアルタイム(高速)」での静粛化というのが、この世代の改良の主テーマだったといえます。

 このほか、本機も「360 Reality Audio認定ヘッドホン」ですので、立体音響の調整もされます。

 通信安定性は、Bluetooth5.3です、

 こちらも、旧機よりバージョン上がっています。安定性を増しました。

 ビームフォーミング対応になるので、接続性は良いです。

 連続再生時間は、30時間です。

 旧機と同じ水準ですが十分な時間です。 

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 ノイズキャンセリングは、他社機に比べても高度です。

 今回の分類だと、「Wマイク式自動(第5世代)」になります。

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 本機は、、自社製の高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN3を装備します。

 同社のノイキャン用プロセッサの最新世代です。

 1世代前(WH-1000XM5)はQN1 (+V1)でした。

 同社のTWS型イヤホンのハイエンド機(WF-1000XM5)で使われていたQN2e (+V2)を飛ばして、今回、新採用された最新世代になります。

 処理力は、QN1の7倍とされます。

 QN3は、QN2eと方向性は同じく「リアルタイム」なノイキャン性能の向上を志向したものです。

 「急しゅんな音の立ち上がり」への応答性を高めたという表現ですが、騒音に変化があった瞬間から「リアルタイム」な処理がかかるので「より自然なノイキャン」になりました(先読み型ノイズシェーパー技術)。

 性能は、旧世代(QN1)と比べる場合、自宅内や職場内などで使うならば、そこまで大きく違いは分からないです。

 しかし、移動時(電車、飛行機)だと、大きく印象が変わると言えます。

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 方式は、同じWマイク方式(自動)」の仲間です。

 しかし、ノイキャン用のマイクを両側合計で12個装備し、専用プロセッサで、解析、処理することができています。旧機(合計8マイク)より増えています。

 クアルコムの第5世代プロセッサ(QCC309x )は6マイク対応のようですが、いずれにしても、片側6マイクでの処理は「最大」です。

 マイク(音声通話)も、この部分を活かしつつ、ノイズレスな通話を可能にしています。

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 外音取り込みは、高度です。

 先述のように、本機はQN3の恩恵で「リアルタイム」な状況のスキャンが可能ですので、状況(音の大きさ)のあわせて処理できます。

 新機種の場合、外音取り込み時の感度(外音取り込み量)も設定できます。

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 そのほか、旧機同様スピーク・トゥ・チャットも対応です。

 マイクがユーザーの声だけに反応し、音楽を止めて外音取り込みを自動で開始する機能です。

 声紋登録のような仕組みではなく、マイクが感知した発生方向を検知する仕組みですから、感度が調整できます。会話終了後30秒で、音楽が自動的に再生されます。

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 以上、ソニーのWH-1000XM6の紹介でした。

 旧機に比べても、売出時価格は高めですが、とくに、ノイキャンのかかり(というより自然さ)は、最高レベルに高まった感じがあります。

 「リアルタイム」処理の強化により、突発的な音(騒音)の変化が生じやすい、移動時(電車や飛行機)での快適性は、全機種を通しても最も良さそうです。

 とくに、飛行機に比べても騒音状況が代わりやすい電車(新幹線)には、効果を発揮しやすそうです。

 集中力を高めるためシンプルに「静か」にしたい場合、後ほどみるBOSEは良いです。ただ、騒音状況に応じたかかりの調整力は、やはり本機の良い部分です。

 音源的にも、ハイレゾにも対応できる上で、立体音響の対応レベルも高い点で、コンテンツも楽しみやすいですし、そこを含めて「隙の無い」モデルです。

 一方、価格的に「お買得感」があるのは、旧機のWH-1000XM5でしょう。

 ステレオ音源の立体音響へのアップコンバート(360 Upmix for Cinema)に興味がない方で、ほぼ「自宅内」で利用するような場合、あるいは、移動時に使うとしても「たまに」という場合は、旧機でも良いように思います。

 宣伝の「きらい」のあるチューニング部分は別として、ドライバー回りは(ほぼ)マイナーチェンジといえますし、音質はそこまで変わりません。

 旧機でも移動時に「快適」に使える点では変わりないですから。

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  【2020年発売】

 4・SONY WH-1000XM4
  ¥32,909 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:4Hz-40kHz
ドライバー: 40mmドーム型
コーデック: SBC AAC LDAC
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:30時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
有線接続:対応
重さ:254g

 このほか、2世代前となる、2020年発売の旧機種も残ります。

 201911081224.jpg

 ドライバーは、これ以降の製品との、最も大きな「違い」と言えます。

 旧機種の場合、その後の製品より10mm大きい40mmでした。

 その上で、同社の高級機にも乗せる、剛性素材のアルミニウムコートLCP振動板が採用されていました。

 基本的にドライバは大きいほど音に余裕が生まれます。その部分も含めて、旧機種は、新機種より、音質部分の基本スペックにおいて「優る」部分があると言えます。

 ノイキャン機能は、ただ、圧倒的に、これ以降の機種と性能差があります。

 こちらもWマイク式(自動)ではあるのですが、2マイクによる、旧式の処理だからです。

 ヘッドトラッキングも、この世代だと非対応です。

---

 結論的にいえば、自宅内などの普通の環境でステレオ音源を中心として聞くような使い方ならば、ドライバーサイズに余裕がある点を含めて、こちらでも良いかと思います。

 ただ、現状「第5世代」とはそこまで価格差は付いていません。その部分で言えば、あまり「お得感」はないです。


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 【2014年発売】

 5・ソニー MDR-ZX110NC
  ¥5,580 Amazon.co.jp (
6/15執筆時

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:10Hz-22kHz
ドライバー: 30mm
コーデック:
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:80時間
ノイズキャンセル:1マイク式
外音取込:
有線接続:対応
重さ:150g

 ソニーMDR-ZX110NCは、同社の製品としては、最も安い製品です。

 接続方法は、本機に限っては、付属の有線ケーブルを使う方式です。

201612020727.jpg

 重さは、乾電池の重さを入れても150gと軽量です。

 サイズもコンパクトですし、折りたためるので持ちはこびに便利です。

 再生周波数帯域は、低音域10Hz高音域22kHzです。

 201911081531.jpg

 ドライバーは、30mmのドーム型ドライバー(振動板)を採用します。

 同社の最上位機とサイズだけで言えば同じです。

 音質は、ただ、この部分だけで決まるわけではありません。

 実際、同社の製品としては、やや余裕がないです。

 同社の製品としては、低音域の再生周波数帯域が、10Hzと弱めなのは、この部分があってのものでしょう。

 201612020729.jpg

 ノイズキャンセリング技術は、マイクを1つだけ使う、最も基本的な技術のみ用いられています。

 そのため、騒音の抑制量が劣ります。

 スペックとして言っても、上位機の総騒音抑制量は、17デシベル(98%)に達しますが、こちらは13デシベル(95%)までです。

 外音取り込み機能も、未装備です。

 稼働時間は、80時間と長いです。

 ただし、この機種は、乾電池式であり、単4乾電池を利用する点には注意が必要でしょう。

---

 以上、ソニーMDR-ZX110NCの紹介でした。

 非常に安く手に入る点が、最大の魅力です。

 手軽に試せるのは良いですが、ノイキャンの精度は最低限で、ドライバも小さくあまり音質には期待できない製品です。

1-3・BOSEのヘッドホン

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 続いて、アメリカのBOSEのBluetoothヘッドホンです。音質重視の方に人気のアメリカ東海岸を代表する高級オーディオメーカーです。

 独特の「BOSEサウンド」への作り込みは中毒性があり、コアなファンが多いです。


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 【2023年発売】

 6・Bose QuietComfort Ultra Headphones
   ¥45,900 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:
ドライバー:(35mm)
コーデック:SBC AAC Aptx-Adaptive
3D音響:対応(Bose Immersive Audio)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
3D音響:
個人最適化:対応
連続再生時間:24時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
有線接続:対応
重さ:250g

 Bose QuietComfort Ultra Headphones は、アメリカのBOSEのBluetoothヘッドホンの最上位機です。

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 本体の重さは250gです。 

 従来のBOSEのヘッドホンと重さはあまり変わらないのですが、形状が大きく変わりました。

 スタイリッシュでモダンですが、従来モデルに比べると、他社にも見られる形状に近づいた感じはあります。

 ドライバーは、BOSEは、スペックが未開示です。

 ユーザーレベルの情報だと35mmとされますが、詳しくは分かりません。

 その場合、小さめなのですが、BOSEは低音域を中心とする味付け(音のアップコンバート)に個性のある企業なので、あまりここは気にしなくて良いように思います。

 周波数帯域も、非開示です。

 音質は、BOSEは、非開示な部分が多いです。

 試聴の限り、同社の製品に共通する特長はありました。音がこもらない安定した低音域をもちつつ、聴き疲れしにくい中音域を保つという特性です。

 同社の場合、内部構造のほか、イコライザー(アクティブEQ)で「BOSEサウンド」に味付けするため、ある種の「中毒性」があり、リピートユーザーも多いです。

 比較的小音量でも、しっかり音のバランスが取れるのも特徴で、小音量再生時の音質の良さは、他社を凌ぎます。

 テクノロジー的には、伝統的にTriPortという低音再生技術で、重低音を強調しています。

 SONYやBeatsが、現在的な若者音楽をターゲットにしているとすれば、こちらは、少し大人世代です。

 ジャズやロックを低音を響かせながら使いたい人に向く、ヘッドフォンといえます。

 音質のパーソナライズは、対応です。

 CustomTuneテクノロジーという名前ですが、同社のTWS型とは方式が違うようです。

 ヘッドホンの場合、耳の形状を分析し、最適化する方法になります。良くある方法ですが、効果はあるでしょう。

 202311021507.jpg

 Bluetoothコーデックは、SBC・AACに対応します。

 そのほか、説明書レベルの記載ですが、Apt-X Adaptiveに対応します。

 上表のように、ハイレゾにも対応できる規格です。ただ、ヘッドホン側の仕様として、ビットレートの部分で対応水準まで伸ばせるのかは、明言がないです。

 同時期に出た同社のTWS型の場合(HD水準の)48kHz/24bitで「ハイレゾ対応」という表記がありましたが、こちらは「Hi-fiサウンド」という表記なので、対応水準でないような感じはします。

 一方、このコーデックのもうひとつの特長である「低遅延」という部分は、本機もあるので、機器(Snapdragon Sound対応スマホなど)があれば、映像用には(音ズレの部分で)使いやすいでしょう。

 202311021823.jpg

 立体音響は、対応です。

 今回の新機種の「目玉」であり、Bose Immersive Audioに対応します。

 こちらはAppleの「空間オーディオ」や、SONYの「360 Reality Audio」のように、専用音源に依存せず、(ソフト的なサラウンド処理で)通常の音源を、独自の計算で「立体音響」にするという方向です。

 つまり、BOSEの場合、もともと立体音源のデータがあるDolby Atmosなどの音源も扱えますが、通常のステレオ音源も独自のアルゴで「立体音響」にして、再生をすることができます。技術としては、ヤマハが先行しましたが、BOSEも採用したという感じです。

 Apple・SONY式と、BOSE・ヤマハ式の違いは、表現が難しいのですが、ハイレゾ音源と、ステレオ音源のハイレゾアップコンバートとの違いに近いでしょうか。前者が「リアル空間オーディオ」志向だとすると、後者はバーチャルな「空間オーディオ」といえるかもしれません。

 そもそも、BOSEは「音を自社様式で作り込む(みたい)」方向なので、これで良いのだと思います。

 ヘッドトラッキングは、BOSEも対応です。

 先述のように、対応の場合、音楽だけでなく、映像コンテンツでも立体音響が楽しめます。

 通信安定性の面では、Bluetooth5.3に対応します。

 202506151707.jpg

 ノイズキャンセリング機能は、Wマイク式(自動)です。

 合計10マイクのうち8つ(片側4つ)をノイキャンに利用する方式です。

 ソニー(片側6つ)と違って「第5世代」ではないですが、優秀です。

 同社の場合も、リアルタイム分析を行い、AIが周囲の状況を判断して自動で出力を調整します。

 BOSEのノイズキャンセルは従来的に評判が良く、特に(アメリカらしく)飛行機のノイズのキャンセル力は高いです。

 一方、ボーズの場合騒音種類の違いのリアルタイム分析はなしますが、装着状況や気圧、あるいは、移動状況までの分析は(ソニーと違って)言及はないです。

 なお、ボーズは、アプリで、ノイキャンの効き方(外音の取り込み程度)を10段階から選び、そのうち7段階を本体に登録し、ユーザーがボタンで可変させる仕組みです(=可変ノイズキャンセリング)。

 効きを最大にした状態で使う場合「静粛性」は、抜群です。

 段階調整できる点を含めて、騒音の質がだいたい同じ「飛行機」の場合、没入感は高めに感じます。

 一方、トンネルや駅の停車のほか、しょっちゅう騒音状況(レベル)が変わる電車の場合、「リアルタイム」で瞬間的に把握できるソニーが、多少有利に思います。

 両国の移動文化の違いかなと思いました。

 ただ、いずれも「ハイエンド」な機種なので、全く無能になるわけでなく「あえて言えば」くらいの違いと捉えてください。

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 外音取り込みは、可能です。

 マイクを通じて外音を入れるヒアスルーは対応です(Awareモード)。このモードの際、大きな音がした場合、Bose ActiveSenseテクノロジーにより、しっかりノイズを押さえます。

 このほか、通常は最大(Quiet)で使いますが、ノイキャンのかかりは段階的に軽減でき、2種までカスタマイズして登録可能です。

 連続再生時間は、24時間です(立体音源利用時18時間)。

 長時間のフライトにも向いた仕様です。

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 加えてこの機種は、GoogleAssistantとAmazon Alexaに対応です。これらは、【スマートスピーカーの比較】で紹介した音声コントロールシステムです。

 この場合、ヘッドホン本体のボタンを押すことで、音声による音楽コントロールや、アシスタントへの質問・お願いをマイク経由で可能としています。

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 マイク(ハンズフリー通話)は、一方、他機については、あまり検証しませんでしたが、本機のもうひとつよい部分です。

 電話が着信すると「セルフボイス」が自動的にONとなり取り込めるので、受話器での電話のような感覚で通話ができます。

 なお、本機は先述のように、ノイキャン(アダプティブノイズキャンセル)についてはマイク4基の「4マイクシステム」ですが、合計では「マイク8基」です。

 別の2組4基マイク(ビームフォームアレイ・リジェクションアレイ)は、通話と音声コントロールの品質向上のために利用されています。

 接続方法は、Bluetoothほか、全製品とも、有線ケーブル付属で、ワイヤードでも使えます。

 ノイキャンとEQを利用する場合はバッテリーが必要ですが、不要ならば、未充電でも使えます。

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 このほか、本機は「Bose SimpleSyncテクノロジー」対応です。【サウンドバーの比較記事】で紹介した、BOSEのサウンドバーをお持ちの場合、ペアリングが可能です。

 子供のお昼寝中など、シームレスにテレビなどの音をヘッドホン再生に移行できます。そして、音量調整もそちらでできます。この機能のために(低遅延の)Apt-X Adaptiveを搭載したような気がします。

 ただ、サウンドバー側でApt-X Adaptiveに対応しない場合は、SBCでの転送になるかと思います。遅延はあるように思います。

---

 以上、BOSEBose QuietComfort Ultra Headphones の紹介でした。

 自然な音の再生とは方向性が異なりますが、豊かな低音域をベースに作り込まれた「BOSEサウンド」のファンには最適です。

 ノイズキャンセリングは、静粛性という意味ではソニーに優りますが、先述のように、移動中の微調整という部分は、逆に負ける感じです。

 とはいえ、自宅や職場、あるいは、飛行機などの移動中に使うならばBOSEでしょう。

 そのほか、小音量で再生した際のバランスが良いので、飛行機などの騒音下でも、低音量で聞きたい場合などは、良い選択肢です。、こちらの方がよく見えます。


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 【2023年発売】

 【ハードケース】

 8・Bose QuietComfort Headphones
   ¥34,763 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

 【ソフトケース】(黒のみ)

 9・Bose QuietComfort SC Headphones
   ¥35,889 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:
ドライバー:(35mm)
コーデック:SBC AAC Aptx-Adaptive
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:24時間
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
有線接続:対応
重さ:240g

 Bose QuietComfort Headphones も、BOSEのノイキャンヘッドホンです。

 先ほどの機種の下位機になります。

 202503131525.jpg

 なお、2機種ありますが、付属ケースの違いになります。

 一方、本機は、1つ上で見たQuietComfort Ultraと比べて、機能性が被る部分が多いです。

 そのため、以下では、そちらとの違いをメインに説明します。

 202311041521.jpg

 本体の重さは250gです。 

 デザインは上位機を踏襲しますが、バンドやハウジング部分の外観は、多少グレード差があります。

 音質部分は、ただ、ドライバ周りを含めて、明確な機能差は付けていない印象です。

 ただし、音源対応部分で、Bose Immersive Audio対応しないほか、コーデックの部分でApt-X Adaptiveにも対応しません。

 音質のパーソナライズも、こちらは、CustomTuneテクノロジー非対応です。

 ノイズキャンセリング機能は、 QuietComfort Ultraと同じ精度です。

 基本的な部分(キャンセル力)は、旧上位機( Noise Cancelling Headphones 700)よりも上位です。

 ただ、マイクを通じて外音を入れるヒアスルー(Awareモード)を利用する場合、大きな音がした場合、自動的にノイキャンを入れるBose ActiveSenseテクノロジーが、下位機だと不採用になります。

 あとは、GoogleAssistantとAmazon Alexaなどの音声アシスタントに対応しない部分と、操作系(特に音量ボタン)のデザインが、上位機と若干違うといえます。

---

 以上、Bose QuietComfort Headphonesの紹介でした。

 結論的にいえば、QuietComfort Ultraとの実用面での差は、「空間オーディオ(Bose Immersive Audio)」の対応の有無が最も大きい言えます。

 その部分が不要ならば、とくに上位機でなくても良いかなと思います。とくに、自宅だけで利用する方で、「空間オーディオ」にさほど興味がないならば、こちらでも良いでしょう。

1-4・APPLEのヘッドホン

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 というわけで、メーカー別に、各社の代表的なヘッドホンを見ていきます。

 続いて、AppleのBluetoothヘッドホンです。

 同社の別ブランド(Beats)のものは後ほど見ますが、Apple直販の製品は「超高級機」だけです。


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 【2024年発売】(USB-C充電)

 10・ Apple AirPods Max USB-C
  ¥81,374 Amazon.co.jp (6/15執筆時)

 【2021年発売】(Lightning充電)

 10・ Apple AirPods Max
  ¥64,480 楽天市場 (6/15執筆時)

1・MWW43ZA/A [ミッドナイト]
2・MWW53ZA/A [スターライト]
3・MWW73ZA/A [オレンジ]
4・MWW83ZA/A [パープル]
5・MWW63ZA/A [ブルー]

タイプ:密閉型
再生周波数帯域:
ドライバー:40mm
コーデック:SBC AAC
3D音響:対応(Apple 空間オーディオ)
個人最適化:対応
連続再生時間:20時間
ノイキャン:Wマイク式 (自動)
有線接続:   
重さ:366.2g

 AirPods Max は、Appleが出す高級ヘッドホンです。

 本機は、傘下のBeatsブランドの製品を除けば、自社では初めてのオーバーイヤー型でした。

 なお、Apple機は高級機ながら他社と違ってBluetooth専用です。ワイヤード接続に非対応ですので、注意してください。

 一方、新旧あります。

 ただ、充電方法が、Lightning充電から、USB-C充電に変わっただけです。それに伴い2g程度ですが重さが増えました。

---

 結論的にいえば、とくに安くない場合は、新機種が良いでしょう。

 あとは、同じなので、同時にみていきます。

 202103031440.jpg

 本体の重さは366.2gです。

 わりと最近見かけない楕円形のドライバーで、見かけはすっきり軽く見ますが、平均よりけっこう重めです。

 ただ、形状記憶フォーム性のイヤークッションのフィット感の調整が抜群なので、長時間でも疲れにくいです。

 このあたりは、やはり「うまい」です。イヤーパッド以外も、頭の部分がメッシュで放熱性に配慮があったり、デザイン性と機能性が両立した伸縮アームなど、かなりレベルは高いです。

 202103031446.jpg

 ドライバーは、実寸で40mmです。

 このクラスとしては、大きいとも言えません。

 下部に、強力なデュアルネオジウムリングを装備し、音の歪みを除去する仕組みです。

 202103031455.jpg

 音質は、基本的に、フラットで、原音忠実性を優先した作りです。

 ドライバのサイズからすれば、低音も出ます。

 音質のパーソナライズは、アダプティブイコライゼーションに対応します。

 内側のマイクを利用して実際聞いている音を把握し、中・低音域の周波数を調整をする技術です。密着度、あるいは、音源の性質に由来する不快感は吸収します。

 なお、ソニーは、ノイキャン時の性能向上のためのパーソナライズだったので、少し方向性が違います。

 202311021507.jpg

 Bluetoothコーデックは、SBCとAACのみに対応します。

 同社のiPhoneに準じた仕様で、ハイレゾは非対応です。

 通信安定性は、Bluetooth5.0(Class1)ですので、問題ないです。

 その上で、本機はAppleのH1チップを搭載です。iPhoneなどのApple製品に対して、通信安定性・音の遅延が減少に効果を発揮します。

 また、このチップにより、同社の人工知能、Sirとiも連携可能です。

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 ノイズキャンセリング機能は、Wマイク式(自動)です。

 マイクは、片側に合計3マイクです。

 正確には、外向きに3個、内向きに1個のマイクを装備します。

 ただ、1基は通話用なので、片側3マイク(両側6マイク)をノイキャンに使っています。

 したがって、片側6マイクでノイキャン制御している、ソニー最上位機の「第5世代」のWマイク式(WH-1000XM6)には、及ばないとは言えます。

 ただ、それを除けば、キャンセル力はだいぶ高い水準といえる方式です。

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 自動処理の部分は、(ノイキャンとは別のモードとしての)適応型ノイズコントロール(モード)で利用できます。

 自宅では、自然な外音を取り入れ「普通のステレオスピーカー」のように、外出先では、AIが周囲の外音や会話状況を即時に分析し、(電車のアナウンスなど)必要な外音か、そうではないかを判別し、ノイキャンと外音取り込みを(ある程度)自動化させるという方向です。

 この部分の「効き」の評価は現状で意見の分かれる部分です。ただ、OSアップデートを含めて、今後進化・改善している部分でしょう。

 なお、同社のTWS型にみられるコンテンツ間の音量の最適化(適応型オーディオ)と、会話検知は、非対応です。

 外部音取り込みモードも対応です。

 ノイキャンをしつつ、電車のアナウンスは聞きたい場合などに使います。

 「適応型環境音除去( Adaptive Transparency reduce)」に対応し、周囲の騒音状況が酷い場合、自動でかかりが調整されます。

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 立体音響は、「空間オーディオ」をフォローします。

 空間オーディオという名前自体は(商標でないので)各社でいろいろ使っています。

 Appleの「空間オーディオ」は、7.1chまでのドルビーほか、映画用の立体音響技術のドルビーアトモスを音源として 利用する形式です。

 ドルビーアトモスは、映画館のような上からの振り下ろし音を3D的にフォローできるサラウンド規格で、ネットを含む映画コンテンツで採用が多い音響規格です。

 これらのデータを利用しつつ、再計算して立体音響を再現しています。

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 耳の聴覚特性で立体感は変わるので、iPhoneのカメラ(TrueDepth)を使い頭の形を測定して、カスタマイズする機能を備えます(=パーソナライズされた空間オーディオ機能)。

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 ヘッドトラッキング機能も、空間オーディオの補間技術として対応です。 

 内蔵される加速度・ジャイロセンサーを利用し、利用者の頭の向きに連動して、立体音響(ドルビーアトモス)の方向性を正しく調整する技術です。ようするに、普通のスピーカーのように、自分が首を振ったりしても、音が正しく定位します。

 技術自体は10年以上前に確立していて、立体音響についても、ゲーム用ヘッドホン(写真はJBL Quantum ONE)などで既に先行しました。

 ただ、ワイヤレスイヤホンでは初で、素直に「すごい技術」だと素直に思います。ちなみに、2022年から「Dolby Head Tracking」という汎用規格が登場したので、他社にも普及していきそうです。

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 立体音響の対応コンテンツは、Apple系の場合、基本的にAppleの提供する音源・映像になります。

 音楽コンテンツは、Apple Music(Dolby Atmos音源)です。

 映像コンテンツは、Apple TV(Dolby Atmos音源)とFace Timeです。

 このほか、Netflix・Amazon Musicなどの空間オーディオコンテンツも一部再生可能です。

 端末は、iPhone・iPadほかMac OS(itunes)を介して使う形です(Intel Macは一部機能制限あり)。

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 本機は【STB機器の比較記事】で紹介したApple TVともBluetoothペアリングできます。

 Apt-X LLなど使用できませんが、あまり音ズレを気にする声が聞こえてきません。

 TV側で何かしらの音ズレのタイミング処理がなされている可能性はあるでしょうが、単純にSBCの性能向上によるものかもしれません。

 連続再生時間は、20時間です。

 充電は、現行のiPhoneと同じUSB-C端子を利用する方式です。

 5分の充電で、1.5時間分の緊急充電も可能です。

 また、付属ケースに入れることで、自動的に低電圧モードになり、バッテリーを節約します。

 マイク(ハンズフリー通話)は、搭載です。

 先述のように、外音取り込みモード(会話モード)も搭載しますし、使い勝手は良好です。

---

 以上、AppleAirPods Max 紹介でした。

 値段は相当高いですが、Apple製品を軸にしてオーディオ環境を整えている場合、この値段でも、十分納得がいく機能性です。

 メインの用途が、iPhoneやiPadを利用した「映像視聴」ならば、本機を買う価値があります。

 ただ、そうでない場合は、単純に40mmのドライバーの高級機にすぎないわけで、本機はオーバースペックで割高でしょう。 

 ノイキャンにしても、外出先で使う分には他社機が優れますから、ある種ニッチな高級機と言えます。

次回につづく
ノイキャン対応ヘッドホンのオススメは結論的にこの機種!

 というわけで、今回は、ノイキャン対応ヘッドフォンの比較の1回目記事でした。

 しかし、記事はまだまだ「続き」ます。

  201810071115.jpg

2・ノイキャンヘッドホンの比較 (2)
  2-1:Beats〈米国〉
  2-2:ヤマハ〈日本〉
  2-3:Ag.・Final〈日本〉
  2-4:オーディオテクニカ〈日本〉
3・ノイキャンヘッドホンの比較 (3)
  3-1:JBL〈米国〉
  3-2:ANKER〈米国〉
  3-3:SHURE〈米国〉
  3-4:B&W〈イギリス〉
  3-5:B&O〈デンマーク〉
4・ノイキャンヘッドホンの比較 (4)
  4-1:ゼンハイザー〈ドイツ〉
  4-2:他の企業〈各地〉    
  4-3・最終的なおすすめの提案【結論】

 続く2回目記事こちら)では、Apple傘下のBeatsほか、上表の各社のノイキャン機を追加で紹介します。

音質の良さ     ★★★★★
重低音       ★★★★★
ノイズキャンセル  ★★★★★
ハイレゾ再生    ★★★★★
空間オーディオ再生 ★★★★★
総合評価      ★★★★★

 その上で、全体の結論編となる3回目記事こちら)では、ここまで紹介した全機種から、予算別・目的別に「Atlasのおすすめ機種!」を提案していきます。

 引き続き、よろしくお願いします。

 2回目記事は→こちら

posted by Atlas at 21:38 | オーディオ製品

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