【今回レビューする内容】2023年 光熱費が安い縦型洗濯乾燥機の性能とおすすめ・選び方・上開き洗濯乾燥機・洗剤上面投入型洗濯乾燥機の性能ランキング :日立・ビートウォッシュ・東芝・ザブーン・シャープ・パナソニック アクア 7kg 8kg 9kg 10kg 11kg 12kg
【比較する製品型番】SHARP ES-TX6G-S ES-T6GBK-N ES-TX8H-W ES-PW11H-N ES-PT10H-S ES-TX8H-W S-TX8G-W パナソニック A-FW10K2-N NA-FW10K1 NA-FW12V1-W NA-FW100K9 日立 BW-DX90J BW-DX100J BW-DX120J BW-DX90H W BW-DX100H V BW-DX120H W BW-DV80J-W BW-DV80H W BW-DKX120H V 東芝 AW-10VP2 AW-12VP2 AW-8VM2 AW-8VM3-W AQUA AQW-TW10P-W AQW-TW10N-W
今回のお題
家庭用のタテ型洗濯乾燥機のおすすめはどの機種?
ども、Atlasです。
今日は、2023年9月現在、最新のタテ型洗濯乾燥機の比較です。
水道光熱費(電気代・水道代)の違いや、洗浄力などに力点を置きつつ、各機のスペックを詳しく分析しました。
1・縦型洗濯乾燥機の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2; シャープ〈日本〉
1-3:パナソニック〈日本〉
1-4:日立 〈日本〉
2・縦型洗濯乾燥機の比較 (2)
2-1:東芝〈日本〉
2-2:アクア〈日本〉
2-3:最終的なおすすめの提案【結論】
記事では、はじめに、タテ型洗濯乾燥機の「選び方の基本」を示します。
その上で、メーカーごと、各機を見ていくという構成にしました。
縦型の洗濯乾燥機は、さほど数はないので、 デンキヤで手に入る「洗濯乾燥機」は、Atlasの知る限り全機種を比較できたと思います。
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洗浄力の強さ ★★★★★
カビ対策 ★★★★★
光熱費の安さ ★★★★★
静音性 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
また、最後の「結論」では、上表のようなポイントから、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。
よろしくお願いします。
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1・タテ型の小型洗濯機 の比較
2・タテ型の中型洗濯機の比較
3・タテ型の洗濯乾燥機の比較
4・ドラム式洗濯乾燥機の比較
なお、今回の記事は、「家電批評モノマニア」の洗濯機の比較シリーズ全体としては、3回目記事として書きました。
1-1・タテ型洗濯乾燥機の選び方の基本
はじめに、「縦型の洗濯乾燥機を選ぶ場合のポイント」を確認しておきます。
1・洗濯容量と乾燥容量
2・光熱費の安さ(乾燥時)
3・洗剤の自動投入
結論的にいえば、ドラム式洗濯機を選ぶ場合、上表の3点が重要です。
大事なポイントとなるため、順番に解説しておきます。
1・洗濯容量と乾燥容量の違い
第1に、洗濯乾燥機のサイズです。
洗濯容量は、洗濯できる量を示す値です。
日本市場で売られる縦型洗濯乾燥機の場合、最小で5.5kg、最大で12kgです。
10kgを超えてくると、4人以上の世帯の1週間分の量を「まとめ洗い」することも可能です。
乾燥容量は、乾燥運転できる量を示す値です。
どの洗濯乾燥機も、洗濯容量よりも少なめです。
ドラム式の場合もそうですが、この点をふまえずに買うと「たいへんなこと」になります。
例えば、「8kg」程度の洗濯容量の製品でも、乾燥容量は4.5kg、11kg以上の洗濯容量でも、乾燥容量は、6kgというのが、業界の平均値です。
結論的にいえば、週2回利用する場合、乾燥容量が、4.5kgだと1-2人用、6kgで世帯用と考えてください。
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なお、洗濯乾燥機の場合、設置寸法は、どれもほぼ共通です。
容量によって変わるのは洗濯機の背丈ですので、10kgモデルでも、マンションの小さめの防水パン(540mm)でも、基本入ります。
12kgの大型モデルでも(一部を除いて)大丈夫ですが、底面以外の縦横の実寸は大きくなるので、設置場所はやはり事前にチェックしましょう。
2・光熱費の安さ
第2に、水道光熱費です。
各社とも、洗濯1回の標準使用水量と消費電力量を示すので、光熱費の推定は可能です。
業界団体(家電公取協)の定めた平均な水道代の額(1L=0.262円)と業界団体が定める電気代の目安(1Wh・0.031円)の指標を利用しつつ、1回の洗濯における水道代と電気代の合計を比べます。
最近の電気代・水道代の高騰を受けて、 2022年7月に基準額が相当久しぶりに改定されました。今回は(しっかり)新基準に統一して比較しました。
電気代は、縦型の場合、どの機種もドラム式より「高め」です。
低消費電力のヒートポンプ式がないため、1回の洗濯乾燥でだいたい40円ほどの電気代がかかります。
ただ、特定のメーカーは「省エネ性がより良い」ので、今回しっかり比較します。
水道代は、メーカーによってかなり変わってきます。
8kgの洗濯で、平均20円の水道代がかかります。
ただし、水道代は、節水に役立つセンサーや穴なし槽などの槽の技術で、電気代以上にメーカーごと異なります。
水道代は、少し補足が必要です。
乾燥機能の方式が、水冷除湿式の機種は、乾燥にも水を利用するため、空冷除湿(排気式)より、使用水量が多めだからです。
ただ、空冷除湿の場合、温度を持った湿気が外気に出ていくので、設置場所の気密性と換気扇の設置状況によっては、別の注意が必要になります。
今回の記事では、これらの部分もしっかり比較します。
3・洗剤の自動投入
第3に、洗剤の自動投入機能です。
最近の上位機の「トレンド」で、液体洗剤や柔軟剤を自動で入れられます。
洗濯作業における「時短効果」は、乾燥機能ほどないので、個人的には「なくても(まあ)良い機能」のような気はしています。
構造上、数ヶ月に1度はメンテが必要で、故障につながる特有の問題(液体洗剤の固化する)もありますので。
ただ、一部の製品でIOT化して「スマホアプリで、洗剤の銘柄に応じた分量指定」までできる機種がでてきました。また、経路問題に高度な対策をした機種も出はじめました。
そこまでこだわった機種ならば、高く「評価」できます。
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以上、最近の洗濯機を選ぶ場合のポイントを3点紹介しました。
その他、温水洗浄を含めた洗浄力の高さや、洗濯乾燥機の静音性、清潔性、インバーターの有無などを比較基準として、各社の製品を比較してみたいと思います。
こうした要素をふまえて、具体的な製品を紹介していきます。
1-2・シャープの洗濯乾燥機の比較
はじめに、シャープの洗濯乾燥機からです。
同社の上位機は、乾燥機能との親和性が高いといえる「穴なし洗濯槽」を採用する関係で、光熱費や利便性において、他社より優秀な側面が見られます。
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なお、以下では、いつものように、高評価できるポイントは赤字系の文字色で、イマイチな点は青字で紹介していきます。
【2022年11月発売】
【6.5L】
1・SHARP 洗濯乾燥機 ES-TX6G-S
¥65,382 Amazon.co.jp (9/7執筆時)
2・SHARP 洗濯乾燥機 ES-T6GBK-N
¥82,800 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:6.5kg
使用水量:65L(洗濯時84L)
標準電力量:2100Wh(60Hz)
乾燥方式:排気式(空冷除湿)
センサー:布量
ステンレス槽:あり
インバーター:
騒音値:42/46/47dB
風呂水ポンプ:
乾燥容量: 3.5kg
水道光熱費:82.1円(洗濯/乾燥時)
ES-TX6Fは、シャープの発売する洗濯乾燥機の格安機です。
8kg以下の小型機では、唯一乾燥機能を持つ機種で、その点で売れています。
なお、 ES-T6GBK-Nは、ビック系列のオリジナルモデルです。
基本的に同じ製品ですが、「ちょっと乾燥」というオマケコースが付きます。
短時間の乾燥(30分〜60分)だけさせて、干し時間を短縮するモードです。多少シワも抑えられるでしょう。
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結論的にいえば、さほどの違いはないため、基本的に値段で決めてOKでしょう。
洗濯容量は、5.5kgです。
洗濯だけならば2人暮らしでも対応できそうです。
乾燥容量は、3.5kgです。
容量的には小型のドラム式と同等です。Atlasはそのサイズを利用したことがあります。
しかし、毎回乾燥機能を利用するならば、1人暮らし以上でないならば、あまり快適ではないでしょう。
使用する水量は、洗濯時(5.5kg)には75L、洗濯乾燥時(3.5kg)の場合65Lです。
洗濯槽に穴がない「穴なしステンレス槽」を採用するため、5.5kgの機種としては使用水量76Lとかなり少なくて済みます。
消費電力量は、洗濯〜乾燥利用時に、2100Whです。
水道光熱費は、冒頭書いた業界団体の新しい統一計算式から算出すれば、電気代と水道代の合計で82.1円です。
水準としてはあまり良くないです。
洗浄力の点では、上位機のような特別な工夫はありません。
また、本機には、インバーター(交流モーター)非搭載です。
この場合、消費電力の面でやや不利なほか、稼働時の細かい制御ができないので、搭載機とは「差」があります。
この部分は静音性にも悪影響を与えるので、総合的には「入門機」の水準です。
センサーは、布量検知センサーだけ搭載です。
パルセーター(プロペラ)下のモーターにかかる負荷から、「はじめの」洗濯ものの量を推測し、使用水量を自動設定する、昔ながらのものです。
一方、水温や乾燥時の温度を検知するセンサーはないです。
そのため、乾燥は、「はじめの」洗濯ものの量からの推測でのタイマー運転(定時運転)となるため、完璧に乾かない場合は、「追加乾燥ボタン」を押すという操作が必要です。
値段的には仕方ないでしょう。
清潔性の点では、どのメーカーもこのグレードは、「ステンレス槽」です。
しかし、シャープはそれに加えて、「穴なし槽」なので、カビに強いと言えます。
この点では問題ないでしょう。
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以上、シャープの小型洗濯機の紹介でした。
乾燥機能が付属する唯一の小型洗濯機です。1人暮らしでも、乾燥機能が欲しい方は一定数いると思います。そういった方に、おすすめできる機種です。
【2023年6月発売】
3・シャープ ES-TX8H-W 【8kg】
¥131,800 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年8売】
4・シャープ ES-TX8G-W 【8kg】
¥90,867 Amazon.co.jp (9/7執筆時)
洗濯容量:8.0kg
使用水量:75L(洗濯時83L)
標準電力量:1800Wh (60Hz)
乾燥方式:排気式(空冷除湿)
センサー:重量・水位・温度
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:35/38/44dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量:4.5kg
水道光熱費:75.5円(洗濯/乾燥時)
ES-TX8シリーズは、シャープの洗濯機乾燥機です。
新旧両機種ありますが、型番のみの変更で、性能は同じです。
安い方を選んでOKです。
洗濯容量は、8kgです。
世帯用として利用できるサイズです。
乾燥容量は、4.5kgです。
週に2回利用する場合1-2人家族に便利なサイズです。
もちろん、タテ型洗濯乾燥機を選ぶ方は「普段は日干し、たまに乾燥機」という方も多いでしょう。その場合は、洗濯容量を基準に選んで構いません。
使用する水量は、洗濯時(8kg)には83L、洗濯乾燥時(4.5kg)の場合、75Lです。
いずれにしても、他社よりもかなり節水力が高いといえ、1回の洗濯で20円前後で済みます。
こちらの場合も、「穴なしステンレス槽」構造を採用していることが大きな要因です。
穴がない構造はシャープの独自技術でとくに水道代の抑制に貢献します。
消費電力量は、洗濯〜乾燥利用時に、1800Whです。
水道光熱費は、冒頭の計算式を使えば、電気代と水道代との合計で、1回あたり75.5円です。
高いと思われるかしれませんが、タテ型洗濯乾燥機では「安い」です。
本機はインバーターを搭載する上で、穴なし洗濯槽を使いますので、ヒーターの効率が良いからです。多用する方は、魅力でしょう。
ちなみに、洗濯のみに利用する場合、光熱費は約23.8円となります。
センサーは、この機種の場合、重量センサーと水位センサーを搭載しています。
その上で、本機は、温度センサーがあるので、乾燥不足が少ないです。
水温も見れます。上述のように経済性が良いのは、こうしたセンサーを活かしているためでもあります。
洗浄力の点では、「ドルフィンパル」という仕組みが強調されます。
これは、パルセーター(回転盤)で上方に巻き上げるような水流を起こすことで、「もみ洗い・こすり洗い」を行うものです。
後ほど見るつもりの日立機の「押す・叩く」という表現より穏やかです。ただ、ダイヤカット上の槽内壁に(ある種)たたきつける仕組みはあるので、洗浄力は決して弱くないです。
ただ、水流を上からたたきつける仕組み(シャープ・日立上位機)や、洗剤の泡を使う仕組み(パナ・東芝)のような追加の工夫には乏しいので、総合するとこの部分は、値段なりであり、平均値以下です。
なお、本機も、インバーターモーター搭載なので、細かい制御も期待できます。
清潔性の点では、引き続き、「穴なし槽」「ステンレス槽」ですから、「カビに強い」と言えます。
また、カビの繁殖を抑えるためのプラズマクラスターイオン放出機能が付属するのが、目新しいです。
一般的に、こうしたマイナスイオン発生装置は、密閉空間に限定すればそれなりに効果があるため、洗濯機との親和性は高いでしょう。
静音性の面では、インバーターモーターを採用しており、静かさは期待できます。
脱水時に38dB、乾燥時に44dBです。一般的に言えば、乾燥運転時に、45dB(デシベル)を超えない水準なら、縦型洗濯乾燥機としては「静かな機種」です。
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以上、シャープのES-TX8シリーズの紹介でした。
乾燥機能が付属する機種としては比較的格安な機種です。
シャープは、穴なし槽を採用する唯一のメーカーですが、この仕組みは、「熱を逃さない」という側面でもタテ型洗濯乾燥機と親和性の高い技術でしょう。
頻繁に乾燥機能を使われる方で、光熱費を節約したい方に魅力な機種です。
【2023年6月発売】
5・シャープ ES-PW8H-N 【8kg】
¥172,050 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:8.0kg
使用水量:75L(洗濯時83L)
標準電力量:1600Wh (60Hz)
騒音値:35/38/44dB
乾燥容量:4.5kg
水道光熱費:69.3円(洗濯/乾燥時)
【2023年6月発売】(廉価版)
6・シャープ ES-PT10H-S 【10kg】
¥179,200 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:10.0kg
使用水量:82L(洗濯時83L)
標準電力量:1850Wh (60Hz)
騒音値:39/38/44dB
乾燥容量:4.5kg
水道光熱費:78.8円(洗濯/乾燥時)
【2023年6月発売】
7・シャープ ES-PW11H-T 【11kg】
¥206,460 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:11.0kg
使用水量:88L(洗濯時115L)
標準電力量:2200Wh (60Hz)
騒音値:39/38/44dB
乾燥容量: 6kg
水道光熱費:91.3円(洗濯/乾燥時)
乾燥方式:排気式
センサー:重量・水位・温湿度・光
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
風呂水ポンプ:付属
ES-PW8HとES-PW11Hは、シャープの洗濯機乾燥機の最上位機種です。
一方、同時に紹介しましたが、10kgモデルのES-PT10Hだけは、廉価版です。
外観は同じですが、後述する超音波ウォッシャーが未付属のほか、Wi-Fi未付属で、IOT対応しない点が違いです。
外観は、全機とも、高級洗濯機らしくガラストップを採用します。
この場合、操作パネルも前面にくるため、押しやすいでしょう。
また、「プレミア機」として庫内LED灯も装備され、洗濯状況を視認できるような工夫があります。
その上で、言及に値するのは、シャープのこのグレード以上の製品には、内ふたがない点です。
縦型の洗濯乾燥機の場合、他社を含めて右図のように、内部に内ふたがあります。これは、乾燥効率を上げるためですが、その弊害として洗濯物の出し入れ操作の際に、「2回ふたを開ける動作が必要」です。
しかし、シャープの中位機以上は、密閉性が高い「穴なし槽」が効果を発揮し、内ふたなしで開け閉めがしやすいです。
洗濯容量は、8kg と11kgです。
11kg機は大家族でも利用できるでしょう。
なお、設置幅は555mmと両方同じです。高さも3cmしか変わらないので、11kgモデルのほうが「お得感」はあります。
乾燥容量は、4.5kgと6kgです。
中型のドラム式でも最大6kgが平均値なので、多用する場合は11kgでしょう。
使用する水量は、11kgモデルの場合、洗濯時(10kg)には115L、洗濯乾燥時(4.5kg)の場合85Lです。
大型機でも節水力が高いです。1回の洗濯で25円前後で済みます。
消費電力量は、11kgモデルで乾燥まで行った場合、2200Whです。
消費電力上がっているのは、乾燥容量が増加しているためです。
水道光熱費は、先述の計算式に基づけば、電気代・水道代の合計で、洗濯乾燥時、8kgモデルでが69.3円ですが、11kgモデルで91.3円です。
11kgモデルは、乾燥容量が6kgですので、やはり少し高めになりますが、他社の同級に比べると、やはり安いほうです。
センサーは、重量・水位・温度センサーに加えて、光センサーを搭載します。
こちらは、洗剤の透明度を監視するもので、とくに、液体洗剤を利用する場合に効果を発揮し、自動的に「すすぎ1回」とします。
洗浄機能は、下位機種も搭載の「ドルフィンパル」に加えて、パワフルシャワー機能を搭載しています。
水量が少ない段階で、洗濯物を濃い洗剤のなかに押し込み、洗浄力を強化する仕組みです。
単に濃い洗剤で洗うのではなく、シャワー水流を使う分だけ通常よりも強力と言えます。
加えて、温風で衣類と温度を温めて洗剤を活性化する「温風プラス洗浄」も付属します。
温つけおき洗いコース時のみ利用可能で、洗濯容量は4.5kgまでという制限があります。
同様に、「シャツのシワをおさえるシワ抑えコース」もこの機種からの搭載です。
使えそうな機能ですが、1kgまでの洗濯時に有効で、温風以上に利便性は高くないです。
そのほか、最後の「ためすすぎ」の際に柔軟剤を入れるようにする「香りプラスコース」もあります。ただし、2kgまでの洗いものに制限されます。
面白い部分では、付属ハンガーで1kgまでの衣類を乾燥する機能があります。
主に緊急時ですが、例えば体操服ならば15分で乾燥できます。シワ問題がないので、天日で乾かなかった緊急時には便利でしょう。
なお、下位機種もこの機構はありますが、親ハンガーにクリップが付き、上下干せるのはこのグレードからです。
ネットワーク機能は、Wi-Fiを装備しており対応です。
最近は他社もですが、独自のコース設定、洗濯状況の通知、外出先からの予約操作などに対応します。
家電のIOT化は、他社と比べても良い方です。
【シャープの4K液晶テレビの比較記事】で紹介した同社のテレビほか、【高級冷蔵庫の比較記事】で紹介した同社の高級冷蔵庫も「喋る」ので、そちらで通知させることも可能です。一方、他社の音声AIとの連携は課題で、現状でAmazon Alexaと連携ができるだけです。
付属品は、超音波ウォッシャーです。
割と話題になった生活家電ですが、超音波で襟汚れなどの下処理ができるものです。
洗濯機の奥に収納スペースがあるので、気になったと聞き、ピンポイントで汚れの処理が可能です。
清潔性の点と静音性の面は、下位機種と同じです。
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以上、シャープの洗濯乾燥機の上位機種の紹介でした。
やはり、11kgモデルが魅力的です。
言及するべきは、乾燥容量の多さで、最大6kgまでの乾燥に対応するからです。
一週間の「ため洗い」を乾燥まで行う場合など、割とニーズがあるでしょう。
一方、Wi-Fi搭載で、IOT家電としての部分は面白みがある一方、トレンドで言えば、洗剤自動投入機能がないのが、他社上位機との違いでしょう。
1-3・パナソニックの洗濯乾燥機の比較
続いて、パナソニックの洗濯乾燥機を紹介していきます。
総合家電メーカーとして洗濯機も古くから展開しますが、洗剤の自動投入機能など、先端の機能を素早く洗濯機に取り入れてきています。
【2023年6月発売】NA-FW10K2
8・パナソニック NA-FW10K2-N 【10kg】
¥187,797 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年6月発売】NA-FW10K1
9・パナソニック NA-FW10K1-N 【10kg】
¥179,800 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:10.0kg
使用水量:131L(洗濯時110L)
標準電力量:2290Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水温・衣類の質
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:32/37/45dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量: 5kg
水道光熱費:99.8円(洗濯/乾燥時)
FNA-FW10K2は、パナソニックの洗濯機乾燥機です。
以前は、10kgモデル以外もあったのですが、2022年からは本機のみになっています。
新旧両機種あります。
最も大きな違いは、後ほど説明する「スマホで洗濯」機能の改良です。
旧機種も同じ機能を持ちますが、ウールとシーツの専用コースが追加になりました。アプリ面の変更ですが、旧機では使えません。
そのほかは、後ほど説明する 「次亜除菌」コースで、「洗濯槽も除菌」という効果が「検証」されたことを除けば、短時間の槽洗浄(1時間)が追加された程度です。
結論的にいえば、マイナーチェンジですので、値段が安いようならば旧機種でOKです。
外観は、フレームが最上位機クラスの「フレームレス ガラストップ」です。
デザイン性も高く、高級機として売っていると言えます。
なお、実用性には問題ないですが、パナソニックは、上位機も、操作パネルが後方配置ですので、この部分は他社と比べても良いでしょう。
洗濯容量は、10kgです。
前年度まであった8kg 9kgモデルはなくなっています。
乾燥容量は、5kgです。
6kgのシャープの最上位機には負けますが、それなりに多めです。
使用する水量は、洗濯時(10kg)には110L、洗濯乾燥時(5kg)の場合131Lです。
シャープと逆で、5kgの洗濯乾燥時のほうが、10kg洗う洗濯時より水を使います。
これは、乾燥方式の違いによるものです。
シャープは、乾燥方式が空冷式(排気式)です。乾燥時に生じた水蒸気をそのまま洗濯機の外に逃がしています。
パナソニックは水冷除湿式で、水を利用して水蒸気を冷やしてからホースに戻していますので、この差になります。もちろん「穴なし槽」など構造的な違いとも言えます。
ただ、水冷除湿式は、部屋の湿度と温度が上がりにくい利点があります。
気密性の部分で結露の心配があるご家庭の場合は、光熱費だけでなく、この部分も気にして考えても良いでしょう。
消費電力量は、1960Wです。
水道光熱費は、業界団体の統一計算式では、洗濯乾燥時に1回99.6円です。
数字としてシャープほど良くないです。
なお、1週間に7回、10年間使うとして、1回あたり10円の光熱費の差は、3.5万円ほどの差になります。白物家電は、本体価格とのトータルコストで考えた方が、実際のところ節約になります。
ただ、普段は天日干しで「たまにしか乾燥しない」ならばは、大きくは変わらないでしょう。
センサーは、パナソニックが展開する省エネシステムエコナビに対応になります。
水温センサーのほか、乾燥機用に衣類の質を感知するセンサー(温度差検知センサー)を搭載します。
利用する場合、標準モード比較して16%の節電となり、シャープ機の光熱費水準に並びます。
ただし、使用水量の節約には貢献せず、水温の低い時期は、あまり効果がでにくいことを考えると、光熱費の部分では、このグレードでも、「穴なし槽+センサー」のシャープが有利でしょう。
洗浄力は、パナソニックは「泡洗浄」と名付ける独特の仕組みがあります。
上図のように「3要素」を複合的に組み合わせるシステムです。
第1に、ジェットバブルシステムです。
泡立て用の特別な水路設計で、水を高圧で吹き付けることで、洗剤の泡をやく3秒で発生させる構造を意味します。
それにより、洗剤の浸透力を初期から高める工夫です。
第2に、パワフル立体水流です。
3枚のパルセーター(回転盤)の工夫で、水を上下と、内外(左右)にかくはんさせています
仕組みはシャープに似ています。タンクの壁がダイヤモンド状にカットされ、こすり洗いも再現しています。
第3に、2段階シャワーです。
一方、日立(ビートウォッシュ)のナイアガラシャワーのように、上からシャワー水流を出す仕組みもあります。
本機は、2段となっていて、かくはん性を高めています。
洗濯中に、左右の吐出口から泡を含んだ水を出し続け、泡をムラ無く浸透させる構造となっています。
日立の場合もそうですが、シャワーは、洗剤液が槽の下部に集中してしまうという、縦型洗濯機共通の弱点を克服しており、優れた工夫です。
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結論的にいえば、パナソニックは、パルセーター・シャワー・泡という「3つの技術」で、洗浄力を強化しています。
汚れ落ちに定評がある、日立に負けない工夫があります。
なお、「特別コース」として、「パワフル滝すすぎコース」と「温風つけおきコース」も選べます。
前者は「3回すすぎ」、後者は「40度の温水でつけ置き(3kgまで)」するコースです。
便利と言えばそうですが、光熱費は上がります。
そのほかは、洗濯の前に1.5時間ほど温風でプレ乾燥させてから洗う「ダニバスター」コースも搭載です。これは、3kgに限定されますが、ペットが入るご家庭には良いでしょう。
漂白に便利な、あらかじめの「つけおき」コースもあります。
次亜除菌コース専用錠剤 (20錠)N-Z1
¥43 楽天市場 (9/7執筆時)
一方、パナソニックのさらなる目玉は、「次亜除菌コース」です。
専用の次亜塩素酸のタブレットを手動投入し、ニオイ対策をするというものです。
新機軸ですが、このブログの【脱臭機の比較記事】で紹介した同社の製品で長年使ってきた方法の応用となります。
ためすすぎの1回目での投入になるので、洗剤に処方される「除菌」成分より強力な対策になるでしょう。「洗剤ではとれないニオイ」というのはたまにあるので便利と言えば便利ですが、(まあ)漂白剤でも良いと言えばそうです。
ただ消耗品は安めです。色柄にも使えますが、塩素系なので反応して変色する金属パーツ(ホックやファスナー)がある場合は使えません。
洗剤の自動投入は、パナソニックはこのグレードから搭載です。
本機は、液体洗剤・柔軟剤の自動投入タンクが搭載されます。
容量は、洗剤が390mL、柔軟剤が490mlはいります。大容量タイプではない「詰替用洗剤・柔軟剤」が1本入りきる量です。
ただし、メンテフリーではなく、3ヶ月ごとにタンクの水道での水洗いと、自動の流路おそうじ(4分間)は必要です。
また、粘性の高い一部の洗剤は使えないので、使える洗剤のリストが公開されています。
清潔性は、通知機能が多少充実します。
1ヶ月相当の利用後「槽洗浄サイン」が点滅し、掃除を促す機能(機能オフ可)と、使用前8分間と短時間の槽洗浄(サッと槽すすぎコース)があります。
また、シャープの「穴なし」ほどの徹底度ではないですが、カビに強いカビクリーンタンク(ステンレス槽)も搭載です。
そこそこの安心感があります。
静音性の面でも、インバーターモーターを採用しており、期待できます。
乾燥時に45デシベル、脱水時に37デシベルですから、良好と言って良い水準です。
ネットワーク機能は、搭載です。
他社と同じで、独自コースの設定や追加、洗濯完了などの通知、外出先からの操作などが行えます。また、洗剤自動投入について、銘柄を選ぶだけで指定もできます。
IOT対応は、各社の音声AIとの連携は不可です(正確には、Amazon Alexaについては、洗剤の自動購入(Amazon Dash)だけは連携可)。
一方、総合家電企業ですので、自社システム(音声プッシュ通知)に対応するテレビや、【LEDシーリングライトの比較記事】で書いた同社のスピーカー付照明などと連携し、通知を発信できます。
好きなメーカーの家電が選びにくい部分では「囲い込み」的な部分は感じなくもないですが、パナソニックで家電を揃えているならば、特に便利でしょう。
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以上、パナソニックのFWシリーズの紹介でした。
最も「注目度の高い」部分は、液体洗剤・柔軟剤の自動投入でしょう。
利便性の向上はもちろん、「洗剤の使いすぎ」による消耗品費の節約が可能な点で、良いと思います。
一方、電気代と水道代の「省エネ性」については、エコナビ対応になり、下位機種よりは良くなってはいます。
しかし、総合的には、節電性・節水性はシャープに及ばないため、この部分は引き続きネックでしょう。
【2022年6月発売】(在庫限り)
10・パナソニック NA-FW12V1-W【12kg】
¥198,000 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:10.0kg
使用水量:174L(洗濯時150L)
標準電力量:2290Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水温・衣類の質
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:37/37/46dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量:6kg
水道光熱費:110.3円(洗濯/乾燥時)
FW120Vシリーズは、パナソニックの洗濯乾燥機の最上位ラインです。
2023年機は発表されていません。本機も在庫限りなのでこのサイズは終息の可能性はあります。
一方、1つ上の機種と較べた場合、パルセーターの形状が旧式であるほか、2022年の新機種でも「次亜除菌コース」がないほか、Wi-Fiも未搭載です。
加えて、このグレードは、液体洗剤・柔軟剤の自動投入が未搭載です。
その代わりに、後述する「温水泡洗浄W」に対応しますが、純粋に全ての点で上位ではない点、注意してください。
洗濯容量は、12kgです。
大家族でも利用できるサイズです
乾燥容量は、6kgです。
中型のドラム式と同水準ですので、これ以上は望めないでしょう。
使用する水量は、12kgモデルの場合、洗濯時(12kg)には150L、洗濯乾燥時(6kg)の場合174Lです。
消費電力量は、2290Wです。
水道光熱費は、電気代・水道代との合計で、洗濯乾燥時に110.3円です。
乾燥容量が下位機より1kg多い6kgとはいえ、水準はより悪いです。
最上位機として見た場合、優れませんが、これは、コインランドリーのように、温水で洗う機能が付属するためです(温水泡洗浄)。
毛布も6kgまで選択可能ですので、使い勝手は良いでしょう。
センサーは、下位機種と同等です。
洗浄は、温水による洗浄機能となる「温水泡洗浄W」が魅力です。
ただ、40度以上のコインランドリークラスの温水にする場合、光熱費が結構高く、洗濯容量が6kgに制限される点、運転時間が長めの点には、注意が必要です。
とはいえ、温水の洗浄効果は、実際、効果が期待できるため、欠点以上に、メリット性があるとも言えます。
清潔性は、下位機種と同じ水準です。
ただし、シャープのプラズマクラスターに相当するナノイーがこちらには付属です。
静音性の面は、温風機構が付属するからか、下位機種より多少落ちますが、それでも、平均水準はクリアします。
ネットワーク機能は、Wi-Fiは未搭載です。
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以上、パナソニックのFW120Vシリーズの紹介でした。
本体価格が非常に高い機種です。「温水」という新機軸は魅力です。
ただ、本体サイズが、幅643×高さ1073×奥行672mmと変則的です。60×65cmの既設の洗濯台に置けるかどうかは、確認してください。
1-4・日立の洗濯乾燥機の比較
続いて、日立の洗濯乾燥機です。
「モーターの日立」らしく、洗浄力にこだわる機種が多いです。
【9kg】
【2023年6月発売】
11・日立 ビートウォッシュ BW-DX90J-W
¥190,000 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年8月発売】
12・日立 ビートウォッシュ BW-DX90H-W
¥141,212 Amazon.co.jp (9/7執筆時)
洗濯容量:9.0kg
使用水量:118L(洗濯時99L)
標準電力量:1780Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水硬度/水温/布質/布量/すすぎ/脱水
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:32/38/43dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量:5.0kg
水道光熱費:86.1円(洗濯/乾燥時)
【10kg】
【2023年6月発売】
13・日立 ビートウォッシュ BW-DX100J-V
¥200,000 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年8月発売】
14・日立 ビートウォッシュ BW-DX100H-V
¥138,800 Amazon.co.jp (9/7執筆時)
洗濯容量:10.0kg
使用水量:126L(洗濯時103L)
標準電力量:2030Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水硬度/水温/布質/布量/すすぎ/脱水
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:32/38/43dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量: 5.5kg
水道光熱費:95.9円(洗濯/乾燥時)
【12kg】
【2023年6月発売】
15・日立 ビートウォッシュ BW-DX120J-W
¥236,984 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年8月発売】
16・日立 ビートウォッシュ BW-DX120H-W
¥168,000 Amazon.co.jp (9/7執筆時)
洗濯容量:12.0kg
使用水量:140L(洗濯時125L)
標準電力量:1980Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水硬度/水温/布質/布量/すすぎ/脱水
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:37/36/43dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量: 6kg
水道光熱費:98.1円(洗濯/乾燥時)
DXシリーズは、日立のビートウォッシュの洗濯乾燥機です。
新旧両機種あります。
今期は日立としては久しぶりのパルセーター(プロペラ)の変更があり、仕様が大きく変わりました。
具体的には本文中で示しますが、糸くず残りと衣類へのダメージを防ぐための改良です。
これに伴い、洗濯だけする場合の標準洗浄時間と消費電力量が(ごくごく)僅か変わりました。
あとは、若干のコース変更(つけおき2度洗いコース)に止まります。
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結論的にいえば、洗浄力にかかわる部分の改良なので、(マイナーとは言いがたい)変更です。値段差から言えば、旧機がお得かと思います。
ただ、旧機(のさらに旧モデル)をAtlasも某所で使っていましたが、他社機に比べて糸くず残りは少なめでした。徹底したのはむろん良いことです。
本体色は、基本1色ですが、サイズにより色は異なります。
いずれも、上面は高級感があるガラストップ仕様です。
洗濯機のサイズも、12kgを除けば、どれも610mm×660mmのサイズで、(規格化されている)マンションの洗濯台にほぼ対応できます。
ただ、12kgについては、650mm×715mmのサイズで多少奥行があります。恐らく問題ないとは思うのですが、寸法に注意してください。
洗濯容量は、9kgから12kgの幅で選択可能です。
乾燥容量は、5kgkから6kgの幅で選択可能です。
使用する水量は、9kgモデルの場合、洗濯時(9kg)には99L、洗濯乾燥時(5kg)の場合118Lです。
パナソニック同様、部屋の湿気が上がりにくい水冷除湿式ですので、洗濯乾燥時のほうが水を使います。
「排気式」のシャープは例外的ですが、この方式の製品のなかでは十分節水です。
消費電力量は、洗濯〜乾燥までの場合、9kgで1780Whです。
方式の違うシャープは例外として、日立は節電です。
水道光熱費も、とくに12kgモデルは、乾燥容量6kgで、98.1円と100円を切る水準ですから、わりと良いです。
センサーは、他社と比べても充実したセンサーを搭載します。
水硬度・水温・布量・布質・光(洗剤)・すすぎ具合・脱水具合・汚れ具合・汚れ量をそれぞれ把握することで、洗濯時間や水量を節約できます。
これらのセンサーによるセンシングで、洗剤量表示、使用水量、洗濯時間を調整します。
乾燥機能だけではなく、洗濯機能についてもより高機能と言えます。
日立は、センシングを利用した本機の仕組みを「AIお洗濯」と呼んでいます。この機能は、全てAIにおまかせであらうので「標準運転」時だけ有効ですが、それでも便利でしょう。
ここまでの数のセンサーが搭載される機種は、日立以外は、実際ありません。
「穴なし槽」でない日立の洗濯機の光熱費の水準が良いのは、高いセンシング技術による部分も大きいでしょう。
一方、日立のビートウォッシュは、その洗浄力(パワー)に期待して買う人も多いようです。
そのため、「洗浄力を重視したい場合はセンサーボタンをオフ」にすることが、伝統的に推奨されてきました。
ただ、「AIお洗濯」は、節電のためだけでなく、汚れが多い場合は、運転時間の延長もするため、標準運転時は、基本的に使った方が良いとは思います。
洗浄力は、「ビートウォッシュ」最大の魅力です。
基本となるのは、インバーター式モーターで動かす、ビートウィングという特別な、回転盤(パルセーター)です。
以前の洗濯機は、縦型洗濯機は、「ため洗い」しかしませんでした。
ビートウォッシュは、低水位の水で、たたき洗い(ほぐしあらい)・押し洗い・もみ洗いをドラム式のように再現しています。
「ビートウォッシュ」の名前の由来はここです。先ほど書いた節水性の向上にもつながる技術です。
その上で、注水していく際、上部から「ナイヤガラシャワー」を吹きつけ、洗剤の浸透をさらにはかるという方向性です。
この際、水を惜しみなく使うので、汚れと「糸くず残り」が防がれるという仕組みです。
「すすぎ」は、 標準では「ため+シャワー」の2回です。ただ、ここでも、上から水流を打ち付ける「ナイヤガラすすぎ」設定が可能です。
稼働時間と使用水量は伸びますが、(満量ためる)「注水すすぎ」ほどではないです。通常モードでも問題ないですが、洗剤残りが過度に気になる方は、このモードに設定するのが効果的です。
一方、冒頭で少し書いたように、2023年機から、パルセーターの形状が多少変わり「ビートウイングプラス」になりました。
洗濯の初期段階で高濃度で溶かした洗剤液を効果的に「回す」ための工夫が加わりました(スピード循環水流)。
同社によると洗浄力の強化しとくに「糸くず残り」のさらなる軽減のための改良です。
ただ、この工夫は、主に液体洗剤の利用を想定した設計変更に思います。液体は洗剤を溶かす所作は不要ですから、このような仕組みの方が効率はよいでしょうから。
本機は、洗剤の自動投入が付く機種ですし、粉洗剤だとまずい仕組みというわけでもないので、良いかと思います。
上の写真は旧機のパルセーター(ビートウイングX)です。
新機種と比べると、パルセーター中央部の突起(ビートスロープ)の高低差がやや大きいほか、「叩き」部分にかかわる「洗濯板効果」を生むビートボールが付いていました。
いずれも、衣類へのダメージを軽減させるための変更といえます。
「衣類への優しさ」を強調する場合、日立の魅力である「パワフルさ」が犠牲になりそうですが「そこは従来通り」と、日立はしっかり言及しています。
なお、これらの改良に伴って、標準運転の機能名も「衣類長もちナイヤガラビート洗浄」に変わりました。
そのほか、「つけおきナイアガラ ビート洗浄」として、あらかじめ、酸素系漂白剤などで長時間つけ置きさせてから、自動で洗うような設定も可能です。
その上で、温水をミスト状にして洗濯物に吹き付けながら洗浄する「温水ナイヤガラビート洗浄」も採用します。
温水を使う機種は、他社も縦型でいくつかあります。ドラム式にはさらに多いです。
本機の場合、本体底面に温水専用ヒーターは装備するわけではないので、温水温度は30-40度とアバウトな表記に止まります。ようするに、温水温度キープについての保証性はないです。
あくまで、洗剤液の状況での温度で、乾燥機に使うヒーターを応用した機能に止まります。
とはいえ、黄ばみの除去に効果があるでしょうし、補助的にたまに使うには良い機構です。実際、日立はこの部分以外に良いところも多いですから。
なお、電気代は、2kg 180分の場合1300Wh(約40円)ほど、水は50Lの追加です。
洗剤の自動投入は、いずれの機種も搭載です。
タンク容量は、洗剤400mL、柔軟剤500mLで、パナソニックとだいたい同じです。
お徳用ではない、普通サイズの詰め替え用洗剤の利用を想定しています。
タンクの洗浄メンテは2-3ヶ月ごとに必要です。
ただ、日立はタンクをバラして洗えるので楽です。
洗剤が通る経路については、他社機とおなじで、自動掃除対応ですが、日立は4分間以外に、9時間モードも選べるので、しばらく使わなかった際の手入れなどで安心感があります。
なお、日立は、液体洗剤を投入したか、粉洗剤を利用したかを判別し、ドラムの回転数も調整しています。液体洗剤は粉洗剤とちがって、溶かす手間が不要だからです。
清潔性の点では、カビに強いステンレス槽が採用されています。
加えて、洗濯中に、洗濯槽の裏側などの見えない部分に付着した汚れ(皮脂汚れ、洗剤カス、菌、黒カビの胞子など)をきれいな水で洗い流すという「自動お掃除機能」も搭載です。
パナソニックにも付属する清潔機能で、「穴あり槽」の場合は、高級機で「必須」ともいえる機能です。なお、糸くずフィルタも「抗菌」です。
静音性は、こちらも、静かなインバーターモーターを採用します。
12kgモデルだけは、洗い・すすぎ時の騒音値が他サイズより少し悪いのですが、気にするほどではないです。
ネットワーク機能は、Wi-Fi搭載です。
日立は「洗濯コンコルジュ機能」と呼びますが、他社同様に、オリジナルの洗濯モード設定、洗剤の管理、リモート予約や通知に対応します。
ネットワーク機能は、2023年機から搭載です。
日立は「洗濯コンコルジュ機能」と呼びますが、他社同様に、オリジナルの洗濯モード設定、洗剤の管理、リモート予約や通知に対応します。
IOT対応は、他社と状況が異なります。
日立は、TVなどの「AV家電」を自社では売らなからです。シャープ・パナソニックと違って、自社家電に対する通知の発信は難しいと言えます。
生活家電も(他社と違い)スピーカー搭載機はないですから。
そのため、解決策として、Google Homeに対応させています。
本機は【スマートスピーカーの比較記事】で書いた、Google系の音声AIと連携が取れます。上のリンクでみている、Googleの液晶モニター付きでもOKです。
一方、他社のAIスピーカー(Amazon・Apple)での通知受け取りは現状で非対応です。パナソニック同様、Amazonでの洗剤自動注文(Amazon dash)に対応するだけで、通知は受けられません。今後の課題に思えます。
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以上、日立のビートウォッシュの洗濯乾燥機タイプの紹介でした。
やや高いですが、高性能の洗濯乾燥機が欲しい場合は、 これらの機種を選ばれると良いと思います。
シャープに比べると、光熱費の面では「そこそこ優秀」といった水準で及びませんが、洗剤の自動投入が付くほか、洗浄力の面では、それを凌駕する性能を期待できます。
総合力ならばこちらでしょう。
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【洗剤自動投入なし】
【2023年6月発売】(電力量:1720Wh)
17・ビートウォッシュ BW-DV80J-W 【8kg】
¥157,664 楽天市場 (9/7執筆時)
【2022年8月発売】(電力量:1670Wh)
17・ビートウォッシュ BW-DV80H-W 【8kg】
¥112,920 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:8.0kg
使用水量:103L(洗濯時92L)
標準電力量:1720Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水硬度/水温/布質/布量/すすぎ/脱水
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:32/37/43dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量:4.5kg
水道光熱費:80.3円(洗濯/乾燥時)
なお、ビートウォッシュは、下位機種といえるDVシリーズもあります。
新旧両機種ありますが、本機の場合も、パルセーターの形状の変更があります。
一方、新型を含めて、これらは「洗剤の自動投入が未付属」です。
洗剤の自動投入以外の部分は、年度による細かいコースの改編だけであとは同じなので、場合によっては本機を選んでも良いでしょう。
【2022年8月発売】BW-DKX120G-W後継
18・日立 ビートウォッシュ BW-DKX120H-V
¥182,700 楽天市場 (9/7執筆時)
洗濯容量:12.0kg
使用水量:155L(洗濯時125L)
標準電力量:2170Wh (60Hz)
乾燥方式:水冷除湿
センサー:水硬度/水温/布質/布量/すすぎ/脱水
ステンレス槽:あり
インバーター:搭載
騒音値:37/36/44dB
風呂水ポンプ:付属
乾燥容量:6kg
水道光熱費:107.9円(洗濯/乾燥時)
DKXシリーズは、日立の洗濯乾燥機の最上位機です。
ただ、2023年に後継機が出ていない機種なので、生産終了かもしれません。
洗濯容量は、12kgです。
乾燥容量は、6kgです。
先ほど見たDXシリーズの大容量モデルと、いずれも同じです。
使用する水量は、一方で、洗濯乾燥時に155Lと増加します。
消費電力量もおなじで、洗濯乾燥時に、2170Wですから、10%以上悪いです。
水道光熱費は、水道代と電気代の合計で、107.9円です。
したがって、乾燥容量に対して、さほど良いとは言えません。
ただ、これは理由あってのことです。
本機は、上方にジェットファンモーターを搭載します。
発生させた強風で、庫内の洗濯物のシワ伸ばしつつ乾燥する「風アイロン機能」が付属します。
シワが寄らないように大きめの槽、特殊なパルセーターも採用しているため、光熱費の部分で悪化したということになります。
効果は期待できますが、このような機能共通の弱点として、シワ伸ばし運転ができる最大の乾燥容量は、洗濯物2kg までです。
ネットワーク機能は、本機も搭載です。
その他の基本機能は、洗濯・乾燥容量以外の部分は、センシングを含めて、下位機と同じです。
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以上、日立のDKXシリーズの紹介でした。
縦型洗濯機で、乾燥部分に「メス」を入れたのは近年では希で、高く評価できます。ただ、光熱費の水準が相当程度上がったうえ、容量性制限が相当厳しいです。
槽の体積が増えたので、風アイロン機能が使えない、2kgを超える洗濯物を通常乾燥させる場合の光熱費も上がってしまったのは、少しマイナスでしょう。
ただ、洗濯だけして、天日干しする場合は、水道・電気代は下位機の12kgと同じです。そのため、(ニッチながら)基本は天日干しの方で、少量のシワ伸ばし運転に魅力を感じるならば、本機は選択肢にはなるでしょう。
今回の結論
タテ型の洗濯乾燥機のおすすめ機種は結論的にこれ!
というわけで、今回は、タテ型の洗濯乾燥機を紹介してきました。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
2・縦型洗濯乾燥機の比較 (2)
2-1:東芝〈日本〉
2-2:アクア〈日本〉
2-3:最終的な「おすすめ」の提案
次回の2回目記事(こちら)では、今回紹介に漏れた東芝とAQUA(アクア)の製品を紹介します。
洗浄力の強さ ★★★★★
カビ対策 ★★★★★
光熱費の安さ ★★★★★
静音性 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、ここまで紹介してきた全機種から、「予算別」「目的別」に、Atlasのおすすめ機種をあげていきます。
引き続きよろしくお願いします。
2回目記事は→こちら!