【今回レビューする内容】2025年 最新ハイレゾイヤホンの音質とおすすめ:人気機種の違いと性能ランキング:カナル型・密閉型
今回のお題
ハイレゾ対応イヤホンのおすすめはどのモデル?
どもAtlasです。
今日は、2025年6月現在、最新のハイレゾ対応イヤホンの比較です。
バランス接続やUSB-C接続を含む有線接続の製品と、左右独立型のBluetoothワイヤレス(TWS)製品、双方に対応するように書きました。
1・ハイレゾイヤホンの比較記事 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:SONY:TWS・有線
1-3:AVIOT:TWS・BT・有線
1-4:Panasonic:TWS・有線
2・ハイレゾイヤホンの比較記事 (2)
2-1:JVC:TWS・有線
2-2:Audio-Technica:TWS・有線
2-3:ファーウェイ・シャオミ:TWS
2-4:ANKER:TWS
2-5:ゼンハイザー:TWS
3・ハイレゾイヤホンの比較記事 (3)
3-1:オーツェイド:有線
3-2:フィリップス:有線
3-3:Shanling:有線
3-4:FiiO:有線
4・ハイレゾイヤホンの比較記事 (4)
4-1:MTI: 有線
4-3:その他の企業:TWS・有線
4-3:最終的なおすすめの提案【結論】
記事ではハイレゾイヤホンの「選び方の基本」を説明したあと、上表のようなメーカー順に、各社の代表的なハイレゾ対応機を見ていきます。
近年は「ハイレゾ対応」でも、TWS(完全ワイヤレス)が全盛なので、TWSのラインナップが充実する企業から順番に見ることにしました。
ソニーなど、有線ほかの展開がある企業は、「TWS→BT(左右ワイヤ)→有線」の順で整理して書いています。
なお、TWS型の場合、コーデックが「ハイレゾ対応」でも、ドライバの周波数帯域の部分で、「ハイレゾ対応」と言えるか不明(未記載)な機種が多いです。
そのため、今回は、業界団体のハイレゾ認証マークがある製品と、メーカーが「ハイレゾ対応」と言い切る機種だけを選んで比較しました。
ある程度「安心」してお読みいただけるかなと思います。
音質の良さ ★★★★★
重低音 ★★★★★
音の個性 ★★★★★
装着感 ★★★★☆
先進性 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
と言うわけで、以下では各社の製品を順番に比較します。
そして、最後の「結論」では、上表のようなポイントから、「Atlasのおすすめ機種」を提案する形で記事を進めていきます。
よろしくお願いします。
ーー
1・完全ワイヤレスイヤホンの比較
2・左右直結Bluetoothイヤホンの比較
3・ハイレゾ対応イヤホンの比較
4・ノイキャン対応イヤホンの比較
5・Bluetoothヘッドホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ハイレゾヘッドホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
9・ネックスピーカーの比較
10・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】
なお、今回はヘッドホン・イヤホン比較シリーズ全体としては、3回目記事として書きました。
1-1・ハイレゾイヤホンの選び方の基本
具体的な製品比較にはいる前に、ハイレゾ対応イヤホンの「選び方の基本」について書いておきます。
音質面やノイズキャンセル機能など、選び方の「基本中の基本」は【イヤホンの選び方の記事】で、記しました。
とくに、TWS(完全ワイヤレス)の選び方は(クセがあるので)【TWSイヤホンの比較記事】で別にまとめました。
−
1・再生周波数帯域
2・Bluetoothコーデック
一方、「ハイレゾ」を選ぶ場合とりわけ「重要」な、上記2点については、あまり細かくは書きませんでした。
記事への「導入」を兼ねて、以下で、順番に説明していきます。
第1に、再生周波数帯域についてです。
信頼できる製品の仕様表にはこのスペックが(ほぼほぼ)出ます。
低音域
=1Hzに向かい値が小さなほど充実
高音域
=100kHzに向かい値が大きなほど充実
ハイレゾには、このうち、高音域のスペックが重要です。
CD音源場合の、メーカーがマスター音源などを加工する際、高域帯のデータを20kHzで切っています。CDのデータ量を節約するためです。
ハイレゾ音源は、この部分が「切られない」ので、高音域の原音再生能力が高い、ということになります。
人間の耳は、(あまり高性能ではないので)高周波数域まで完全に知覚できません。
しかし、臨場感の再現において「聞こえない音が無意味」ではないです。
(プラシーボではなく)削除する際、実際聞こえる音域まで消してしまうためでしょう。実際、ハイレゾ音源は、人間が「良い音」として違いを認知できます。
そのため、業界団体は、ドライバー(振動板)ほかの性能部分で、高音域が40kHzまで出せることを基準の1つとして「Hi-Res Audio」の認定マークを作りました。
音楽データも、CDデータに加工される前の「マスター音源」から、新たにハイレゾ音源を作り直し、販売しています。
定額聴き放題サービスでも、アマゾンのサブスクとなる「Amazon Music Unlimited 」(こちら)」の一部音源で、ハイレゾ対応しています。。
試してみたい方は無料お試し期間もあるので、あらかじめ聴いても良いでしょう。
第2に、Bluetoothのコーデックです。
TWS型を含むBluetooth接続の製品を選ぶ場合、コーデック(=転送時の圧縮方式)も注意が必要です。
ハイレゾ音源のワイヤレス再生には、、ソニー系のLDACか、クアルコム系のApt-X Adaptiveなどの「ハイレゾ対応」のコーデックに、イヤホンが対応する必要があります。
その上で、PC・スマホほか、音楽を送る側の「再生機器側」も、同じコーデックに対応することが必要です。
iOS:SBC AAC
Android:SBC Apt-X (LDAC)
Xperia・ウォークマン:SBC AAC LDAC
Mac&Windows:SBC AAC Apt-X
上表は、各OS(機器)のコーデック対応状況を示したものです。
結論的にいえば、PCにせよ、スマホにせよ、LDAC・Apt-X Adaptiveなどのコーデックにネイティブに対応している機種は少ないです。
未対応スマホやPC・Mac場合、周辺機器の導入が必要です。
方法は2つ考えられます。
【USB-C to USB-A変換端子付属】
SENNHEISER BTD-600
¥7,009 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
第1に、Bluetoothトランスミッターを使う方法です。
LDAC対応製品はないですが、Apt-X Adaptiveなら、以上の製品があります。
PC・Android・Macにつなげて使える通信端末です。
USB-CとUSB-Aどちらでも使えます。iOSも対応ですが、Lightning端子のものは、アダプタが必要なので、やや不格好です。
第2に、Bluetooth対応ポータブルアンプを導入する方法です。
小型で格安なものもあるので、導入しやすいです。
LDACに対応できる製品もあります。
このブログの【ポータブルアンプ(ポタアン)の比較記事】で詳しく説明しています。
音質アップ効果も高いので、こちらの方法のが良いかと思います。
---
以上、ハイレゾの「選び方の基本」といえる2点の紹介でした。
以下では、こうした現況をふまえながら、この規格に対応する、ハイレゾ対応イヤホンを、主に再生周波数帯域や重さなどに注目して比較します。
1-2・ソニーのハイレゾ対応イヤホン
はじめに、ソニーのハイレゾ対応のワイヤレスイヤホンからです。
大手音響メーカーでは、ハイレゾに最も力を入れている企業といえ、ラインナップは最も多いです。
冒頭書いたように、「TWS(完全ワイヤレス)→有線」という順番で、同社の製品をみていくことにします。
なお、同社の場合、左右直結のBluetooth型は、すでに生産終了です。
--
なお、以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
WF-1000XM5 は、SONYの完全ワイヤレス型イヤホンの最上位機です。
旧機(WF-1000XM4)と比べて、ノイキャン用のプロセッサとマイクの数が増えたほか、音質に欠かせないドライバについて、8.4mmという大きな新ユニットを搭載指摘しました。
その上で、5.9gと軽量化された上で、サイズも25%小型になりました。
−
結論的にいえば、かなり大きな変化といえます。新しく買う方ほか、旧モデルからの買換もおすすめできる変化と言えます。
本体色は、ブラック:WF-1000XM5 (S) とシルバー:WF-1000XM5 (B) の2色構成です。
重量は、5.9gです。
完全ワイヤレスイヤホンの場合、音質を保持しての小型軽量化は難しいです。
しかし、ソニーの場合、半導体製造技術で部品のSiP化(System in Package)をなしつつ、後述する、薄型ドライバの開発で、これを実現しています。
実際、みかけも「小粒」になりました。
イヤーピースは、4サイズ付属です。
旧機とは形状が変わりましたが、別売もされる、自社の「ノイズアイソレーションイヤーピース」を採用します。
こちらは(アナログな意味での)遮音機能と装着性を重視するものです。
(デジタルな意味での)遮音機能がある機種でも、対策がないと音漏れはあるので、この仕様で良いでしょう。
ドライバーは、先述のように新型です。
ダイナミック型の8.4mmの薄型ドライバーです(ダイナミックドライバーX)。
振動板のエッジ部とドーム部に異なる素材を利用し、それぞれ、低音域・高音域をならせる方式で、小型でも、ハイレゾ対応水準の周波数帯域にする工夫です。
それぞれの素材は非開示ですが、エッジは軟性素材、振動版は硬質素材です。ソニーは、従来、あまり大きなドライバーを搭載しなかったのですが、今回は大きめです。
周波数帯域は、20Hz-40kHzとの表記です。
高音域側が「ハイレゾ対応水準」である40kHzを超えており、(業界基準として)ハイレゾ音源に対応です。
正確には、後述するBluetooth(LDAC)の伝送帯域としての表記ですが、業界団体のハイレゾ対応表記はありますので、ドライバーも対応といえます。
SONYは重低音を重視する機種がありますが、本機は、エキストラバス機能がないので、低音域を過度に強調した機種ではないです。
とはいえ、ドライバーは大きいですし、従来機より低音域の厚みは出ています。Appleに比べても「厚い」ように思えました。
立体音源は、ソニーの360 Reality Audio規格に対応です。
Appleの「空間オーディオ」に相当するものです。同名の専用アプリ経由で、最先端の3D立体音響を楽しめます。
360 Reality Audioの場合、Dolby Atmosコーデックではなく、独自の音楽用コーデックを利用します。音源とアプリベースの処理なので、ソニー製品でなくても、Bluetooth搭載のイヤホンならば、他社製品でも使える点で汎用性があります。
立体音響の音楽コンテンツは、360 by deezerかnugs.netほかで対応します。
そのほか、定額聴き放題サービスでも、「Amazon Music Unlimited」で、3Dオーディオの配信がはじまりました(ただし後述のパーソナライズはAmazonは非対応)。
イヤホンも2021年後半からアマゾンで使えます。(こちら)で無料体験が可能です。
ヘッドトラッキングも、対応です(360 Reality Audio ヘッドトラッキング)。
Appleでみたように、位置・ジャイロセンサーで、顔の向きを変えても、方向的な立体感が維持されます。
この機能があると、音楽だけでなく映像も立体音響に対応できます。
空間オーディオ(360 Reality Audioの)で利用するには、「360 Reality Audio認定スマートフォン(22年以降のソニーのXperia)」であることが必要です。
あとは、「Android ヘッドトラッキング」に対応するスマホの特定アプリで利用できます。その意味ではiOS系との相性はあまり良くないです。
音質のパーソナライズは、対応です。
先述のように、ソニーの立体音響(360 Reality Audio)は他社機でも再生可能です。
ただ、ソニーによる「360 Reality Audio認定ヘッドホン」の場合、再現性が高いです。
耳の形をカメラで撮影し聴覚特性に応じて、カスタマイズされるからです。
そのほか、アプリでの初期設定時、適切なイヤーチップをカメラを使い提案してくれる機能ほか、ノイキャンのかかりを最適化させるため、内蔵マイクを使いつつ調整する機能があります。
この際、周囲の気圧状態も見ながら調整する点は独自です。
Bluetoothコーデックは、SBCとAACほか、LDACにも対応します。
ハイレゾ音源再生をしたい場合、こちらを使う必要があります。
スマホならば、SONYのXperiaや、GalaxyのS20シリーズ、音楽再生機機ならば【ウォークマンの比較記事】で書いた同社製品に(ほぼ)限定されます。
音がだいぶ遅延するので、ゲームなどには使えない、ハイレゾ専用のコーデックです。
そのほか、最近話題になってきたLC3コーデックも対応です。
SBCよりは音質が良いコーデックです。
その上で、低ビットレートで音質が確保できるので(口パクズレが問題になる)映像視聴・ゲーム用の音楽機器においてちらほら採用が見られはじめたものです。むろん、プレーヤーやスマホ側の対応も必要です。
遅延は60msと書きましたが、実際的にもう少し良い(30 ms前後)まで伸ばせると言われます。
ハイレゾの部分で言えば、本機は、DSEE Extremeという、SBC/AACなどの圧縮音源を「ハイレゾ相当」に再計算してアップスケーリングする機能を持ちます。
通常音源が「ハイレゾ級」にはなるので、ワンポイントとは言えるでしょう。
通信安定性の面では、本機はBluetooth5.3に対応しており、優秀です。
ノイズキャンセリングは、旧世代(左図)と同じ、イヤホンの内外にマイクがある構成なのですが、新モデル(左図)は、フィードバックマイクが2つに増量され、片側3マイクになりました。
つまり、Apple(上位機)と同じです。
仕組み的には、(片側3マイクですが)Wマイク式(自動)に当てはまります。
リアルタイム分析は、マイクせ収集した騒音の種類(周波数)ほか、先述のイヤホン装着状況のデータほか、後述する、スマホの加速度計の情報を付け合わせて、高度な分析をおここないます。
こうした複数のデータを基に、かかりの強度が自動調整されるため、シーンに応じた的確なノイキャンができます。
チップは、ソニーは専用設計です。
Bluetooth SoCとノイズキャンセルにも使う統合プロセッサーV2と、ノイキャン専用の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2eとを搭載します。
クアルコムなどの半導体メーカーの既製品ではなく 独自企画のプロセッサ名の言及があるのは、イヤホンだとソニーほどであり、それが、高度なノイキャンに寄与しています。
同社は、昔からノイズ対策に相当力を入れてきたメーカーですし、精度には定評があります。
一方、この分野に強いAppleやBOSEに比べる場合、ソニーは、ノイズの完全な「無音化」よりも、周囲の騒音状況に合わせて、聴き手の違和感なしに、「自然に」騒音を抑える方向に強いといえます。
しっかり音楽が聞こえつつ、「ノイキャン疲れ」が起こりにくい部分が、聞き比べた場合の特徴です。
使い勝手も、優秀です。
例えば、スマホの加速度センサーと連動し、歩行・走行・静止状態・電車内と状況を検知し、外音の取り込みレベル・ノイズキャンセルのレベルを自動調整してくれます。
スマホのGPSと連動し、事前に登録した場所と連動させることも可能です。
「アダプティブサウンドコントロール」と言いますが、移動時の実際の実用性は高いです。
また、アンビエントサウンド(外音取り込み)モードほか、タッチセンサーによるクイックアテンションモードも利用できるため、使用中の一時的なボリューム調整も簡単です。
外音取り込みも、対応です。
歩行中など、外音も聴きたい場合、便利です。
本機の場合、「スピーク・トゥ・チャット」機能として、ユーザーの発声を検知した場合、勝手にモード変更してくれます。
不意に発話をしなければならない際など、便利でしょう。
連続再生時間は、8時間です。
ステレオ再生でノイキャンONの状態の値ですので、長いと言えます。
バッテリーケースは、充電器を兼ねており、約2回分フル充電可能です。
Xperiaからのワイヤレス給電もできますが、これはまあ「おまけ」でしょう。
マイクは、搭載です。
ヘッドセットとして利用することができます。
指向性を強めるビームフォーミング技術ほか、骨振動(骨伝導)センサーを利用した集音設定と、AI技術を利用したノイズ軽減など、この部分も高度です。
音声AIは、AmazonのAlexaとGoogle アシスタントと連携できます。
GoogleについてはAndroid系端末のみですが、AlexaはiOSでも呼べます。
防水性は、日常生活防水、つまり、IPX4等級です。
1つ前の世代からイヤーチップの改良があり、ずり落ちにくくなったので、雨天でのトレーニングに使えるといえます。
---
以上、ソニーのWF-1000XM5の紹介でした。
小型軽量化をなしつつ、ライバル社並の大きめドライバーを採用した機種です。両立しにくいこれらの要素を、ユニット自体の全体の見直しで実現した部分が本機の魅力です。
ノイキャン部分を含めて自製できるソニーの良い部分が全面的に活かされた製品と言えます。
もともと良かった「ノイズキャンセラの精度と効き」は、今回の改変でさらに手が入りました。外で利用する場合、良音を得るために最重要な部分ですので、この部分も高く評価できます。
ライバルは、同じく「2マイクのノイズキャンセラ」を持つAirPods Proです。
iOSとの連動性はH2チップの採用で、SONYは分が悪いです。しかし、ノイズキャンセラの実用性や精度、また、特に低音域のボリューム感はSONYが上回るでしょう。
その上で、「ハイレゾに真面目に対応した」完全ワイヤレスである点で、音源自体の音質を重視する人にも向く機種です。
音質も、良い意味で「音響専門メーカーの味」があるので、純粋にイヤホンの音質で選ぶとしても、この機種はおすすめです。個人的にも、かなり好みの音質です。
ーーー
【TWS型(完全ワイヤレス)】
【2024年発売】
2・ SONY LinkBuds Fit WF-LS910N
¥19,980 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
【2022年発売】
2・ SONY LinkBuds S WF-LS900N
¥19,935 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC LC3
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:5.5時間
ドライバー:8.4mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4相当
重さ:4.9g×2
なお、ソニーは、より小型・軽量で、ハイレゾに対応できる LinkBudsシリーズの展開もあります。
左右独立型で、ハイレゾ対応の製品では、他社も含めて最も小型と言えます。
LinkBuds Fitは、イヤーチップが浅めで、本体も小粒です(上図)。
ドライバーも上位機と同じ大きさです。
LinkBuds Sは、ドライバーが5mmと少し小さめです。
ただ、イヤーチップは深型で、ノイキャン精度を含めて、性能も大きく変わりません。
ーー
1・完全ワイヤレスイヤホンの比較(1)
1-2:ソニー〈日本〉
なお、本機を含めたソニーのTWS型イヤホンだとハイレゾ対応機は他にもあります。
詳しくは、以上の【完全ワイヤレスイヤホンの比較記事】の方で、詳しく見ましたので、同社の製品を総覧したい場合は、そちらをご覧ください。
【2014年発売】
【有線イヤホン】
3・ソニー ハイレゾイヤホン XBA-Z5
¥84,000 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
再生周波数帯域: 3Hz〜40kHz
ドライバー:16mm+BA×2
ノイキャン:
防水性能:
重さ:11g
XBA-Z5 は、ソニーのインナーイヤー型のイアフォンの高級機です。
従来は、この中間に、XBA-N3Q・BA-N3BPというミドルクラスがありましたが、しばらく前に廃止です。
接続方法は、有線方式です。
装着方式は、やや特殊です。
大きめのユニットで、上から回し入れる形状です。
なお、こちらは、付属するケーブルは普通のステレオミニプラグですが、ケーブル交換でバランス端子にも対応できます。
バランス標準プラグ MUC-M12NB1
¥11,509 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
ケーブルは、ソニーからも売られています。
再生周波数帯域は、低音域は3Hzで、高音域は40kHzまでです。
いずれも十分でしょう。
ドライバーは、3way方式です。
低音域は、16mmダイナミック型ドライバーが担当です。
バランスドアーマチュア型ではないため、パワーを感じます。
高音域は、小型のバランスド・アーマチュア・ドライバユニットが、高音域専用のトゥイーターとフルレンジとに分かれるダブル仕様であり、豪華です。
先述のように、ハイレゾに重要なのは「高音域」です。
そして、中音域と高音域を別のユニットが担当する3WAY方式の方が、高音域専用のユニットがある分、ハイレゾには向いていると言えます。
一方、複雑なシステムの場合、音の受け渡しが問題となります。しかし、小型ユニットの組み合わせに長けたSONYらしいサウンドを実現できています。
とくに、低音域・高音域はとくに充実し、迫力のある同社らしいサウンドです。
また、ハイレゾ音源にとって重要な高音域の質に関わるトゥイーターの振動板にマグネシウム合金が採用され音質が向上しています。
ハウジングも、マグネシウム合金になっているので、音質に大敵である振動の軽減効果も期待できます。
音質の特性は、試聴した限り、高音域から低音域まで、また、小音量でも大音量でも、かなりクリアに聴かせてくれました。
異なるドライバーユニット感の音のつながりに問題ありません。
実際、ロングセラーで、構造の見直しも必要なく売れているものです。この点でも、投資する価値はある水準です。
---
以上、ソニーのXBA-Z5の紹介でした。
低音用の大きなドライバーと2機のバランスドアーマチュア型ドライバと、良くもこれだけ詰めたものだと感心する設計です。
価格は高いですが、買って後悔の無い品質は期待できます。
【2018年発売】
【有線イヤホン】
【クワッド式】
4・ソニー ハイレゾイヤホン IER-M7
¥82,800 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
【ペンタ式】
5・ソニー ハイレゾイヤホン IER-M9
¥159,800 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
再生周波数帯域: 5Hz〜40kHz
ドライバー:4/6WAY式
ノイキャン:
防水性能:
重さ:9g
IER-M7とIER-M9は、ソニーのインナーイヤー型のイアフォンの最高級機です。
接続方法は、有線方式です。
こちらも、バランス接続対応ですが、バランスケーブルとヘッドホンケーブル双方とも付属します。
再生周波数帯域は、低音域は5Hzで、高音域は40kHzまでです。
ドライバーは、良い意味で「作り込み過ぎ」とも思えますが、極小のバランスド・アーマチュアを4ないし5個搭載した特別なユニットです。
並列的に配置するようですが、「フルレンジ」用に2つと、「ウーファー・トゥイーター・スーパートゥイーター」という構成です。
再生周波数帯域にこの特性がでそうなものですが「最大40kHz」とのことです。
音の受け渡しが5カ所で発生する仕様です。SONYは「相互補完的」と説明しますが、この部分の精度で音質評価は大きく変わるでしょう。
音質の特性は、IER-M7を試聴しましたが、音の解像度はさすがに高いです。
ただ、このレベルになると、再生する音源の善し悪しで音質が大きく変わるため、(音楽と言うより)「音自体を楽しみたい」方向けでしょう。
---
以上、IER-M7とIER-M9の紹介でした。
購買層に想定しているのは、完全にプロとハイアマチュアでしょう。この手の製品は、生産数の絶対数が少ないため、一般的に技術水準に比べて「割高」ではあります。
ただ、アーリーアダプタがいてこそ技術が下位機に降りてくる部分はあるので、その面を含めて大局的に考えられる方には、オススメできます。
とはいえ、ユニット数の増加は「目に見えて試したくなる」要素でしょう。
1-3・AVIOTのハイレゾ対応イヤホン
続いて、日本のAVIOT(プレシードジャパン)が販売する製品です。
日本の新興ブランドで、「クラシックから最新のアニソンまで」日本の音を知り尽くした技術者が作っているという触れ込みで、主にネットで人気です。
ハイレゾ対応機も割と力を入れます。
ブランド運営会社は、バリュートレードという日本のオーディオ輸入業者で、先述のERATOの輸入にかかわったこともある企業です。
【2024年4月発売】
6・AVIOT TE-ZX1
¥45,000 Amazon.co.jp (3/4執筆時)
7・AVIOT TE-ZX1PNK
¥45,000 Amazon.co.jp (3/4執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:4時間
ドライバー:10mm+BA×3+平面磁気駆動TW
マイク: 搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4相当
重さ:7.1g×2
TE-ZX1 は、 プレシードジャパンがAVIOTブランドから発売する製品です。同社のフラッグシップです。
恒例のピエール中野さんのチューンモデルも展開です。
重量は、7.1gです。
量販店ベースの情報ですが、それほどかと思います。サイズは若干大粒です。
イヤーピースは、充実します。
シリコン製が6サイズと、ウレタン系が2サイズです。
ドライバーは、注目に値します。
本機は、「トライブリッド5ドライバーシステム」だからです。
低音域を担当する10mmのドライバーと、中音域を担当する6mmほどの平面磁気駆動型ドライバーが、同軸上に一体形成されています。
その上で、BA型ドライバーを3基を組み合わせて5基です。
TWS型でも、ハイエンドでは、ドライバー数を競う時代に来たように思いました。
こういった場合、解像度(情報量)が増す一方、音域間のバランス調整が相当難しくなるといえます。本機の場合、異なる種類のドライバが3種類なので、かなり難しかっただろうと想像します。
音質は、優等生タイプです。
中音域のつなぎは良く、BA由来の充実した高音域の解像感も楽しめます。ドライバーが多い部分で問題点なる部分を、丁寧に潰したといえる音質でした。
あえて言えば、低音域の膨らみの少なさと、音源によっては「効きすぎる」高音域とのバランスは、課題かなとは思います。
ただ、このタイプは、音源の質ほか、イヤーピースと普段使われる音量によっても評価がかわりやすい部分があるので、他の評価もあり得るでしょう。
音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。
Bluetoothコーデックは、一方、SBC AACのほか、ハイレゾはLDACをフォローします。仕組み的に、ハイレゾ用を強く意識した設計かなと思います。
実際有利でしょう。
立体音響は、対応、未記載です。
通信安定性の面では、しっかり、Bluetooth5.3です。
マルチポイント接続対応なので、スマホの待ち受けしつつ、PCで利用しても、電話を逃しません。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式で対応です。
一方、後ほど見る同社の下位機だと、周囲の状況をみて調整できる、自動式で「アダプティブ」なノイキャンになっています。
本機は、リアルタイム分析による、「かかり」の自動制御の行わないタイプで、そこまではランクが高くないノイキャンになります。
連続再生時間は、最大4時間となります。
これは、多連装のドライバの場合しかたない部分があります。
LDACは電池を「食べやすい」のでもう少し短いでしょう。
バッテリーケースは、最大20時間分の充電量です。
防水性は、日常防水(IPX4等級)です。
マイクは、こちらも搭載です。
外音取り込みモードも搭載です。
最近他社もキーワードにする「AI技術を利用したアルゴ」で、通話品質を高める工夫もあります。
---
以上、AVIOT TE-ZX1の紹介でした。
あまり重くないにせよ、大粒で、バッテリー持続時間も短めなので、基本的には、自宅での利用で、また、「音の違い」自体を楽しみたい上級者層にむけた製品でしょう。
先述のように、こうしたタイプは面白いのですが、経験上、音域間のバランス調整が難しいので、人や音源によって、合う合わないは大きいので、レビュー評価は大きく変わりやすいです。買われるならば、少し試してからのが良いかなと思います。
とはいえ、ドライバー方面で工夫してくれる企業がないと、立体音響への対応と、ヘッドトラッキングあたりだけに技術進化が集中して、ドライバ周りのコモディティ化が進みそうなので、個人的には評価しています。
逆に言えば、そちら側の対応が不十分なのが、大手との差とは言えます。
【2025年発売】(加筆予定)
8・ プレシードジャパン AVIOT TE-J2-BK
9・ プレシードジャパン AVIOT TE-J2-WH
¥33,000 楽天市場 (6/14執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:(12時間)
ドライバー:11mm+ピエゾ
マイク: 搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4相当
重さ:5.5g×2
AVIOT TE-J2は、AVIOTブランドんお上級機です。
2025年登場で「ハイプレシジョン2wayドライバー」搭載機として売られます。
重量は、片側5.5gです。
さきほどの機種と比べれば「小粒」で、装着時のファッション性に多少「振った」感があるラインです。
イヤーピースは、シリコン製が6サイズです。
SとMは、ショートとトールの2系統があります。
ドライバーは、低音域用の11mmのダイナミックドライバと、中高域用のレーストラック型で8mmほどのピエゾドライバーのデュアルです。
ピエゾ方式は、圧電素子と振動板を一体成形したタイプです( 圧電セラミックピエゾ)。
例えば、(丸形で有効面積が四角形より大きいタイプですが)日本のオーツェイドが高級有線イヤホンで使っています。また、TWS型イヤホンだと、あとで見る、中国のシャオミが使う「圧電セラミックドライバ」も同じですが、やはり珍しい素材です。
音質は、視聴後に加筆します。
写真を見る限り、結構な数のベント(孔)が見えるので、音漏れがないか気になる部分があるので。
音質のパーソナライズは、本機も、機能としてないです。
Bluetoothコーデックは、一方、SBC AACとハイレゾのLDACです。
周波数特性は非公開ですが、ピエゾドライバーは「それ向き」ですし、対応と言って良いかと思います。
そのほか、ゲーム向きの低遅延モードもあります(要専用アプリ)。
立体音響は、対応です。
「AVIOT独自の頭外定位アルゴリズム」を利用したものとされます。
おそらく、外販のシステムを使っていると思いますが、詳しい情報はないです。
また、この機能性自体もそこまで強調されません。
ヘッドトラッキングは非対応です。
通信安定性の面では、しっかり、Bluetooth5.3です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式(自動)です。
しっかり、状況に応じて「アダプティブ」に調整できることが示されます。
マイクは片側3つですが、1つは通話用なので、ノイキャン用は片側2マイクです。
連続再生時間は、12時間とされます。
ただ、おそらく、ノイキャンをオフにした状況の評価時間でしょう。
バッテリーケースは、最大40時間分の充電量です。
防水性は、日常防水(IPX4等級)です。
マイクは、こちらも「AIアルゴ」をつかって、通話品質を向上する機のグアあります。
外音取り込みモードも搭載です。
---
以上、AVIOT TE-J2の紹介でした。
この価格帯では「軽量・小粒」で、ドライバ回りの工夫もある機種です。外観もスマートで、その部分も良いと思います。
ハイレゾほか、自社方式ながら立体音響も対応するなど、トレンドを押さえてもいますし、悪くないように思います。
ただ、売出時価格として言えば、Appleやソニーのハイエンドが買えてしまう値段です。
そういった機種と比べる場合、ノイキャン部分ほか、立体音響(空間オーディオ)の部分が弱いです。音質面では、ピエゾドライバーは「珍しい」ですが、全く「新味」があるとも言えませんので。
ーーーー
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
5-1:AVIOT〈日本〉
このほか、AVIOTは、Apt-x Adaptive系ですが、ハイレゾに対応する機種が他にあります。
以上の記事の方で紹介しています。
1-4・パナソニックのハイレゾイヤホン
つづいて、日本のパナソニックのハイレゾ対応イヤホンです。
言わずと知れた、日本でも稀少な総合家電メーカーですが、「テクニクス」ブランドとして、高級オーディオ部門も抱える、オーディオ界の名門の1つです。
【2025年発売】
10・ パナソニック Technics EAH-AZ100
¥35,539 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:10時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式 (自動)
防水性能:IPX4
重さ:5.9g×2
Technics EAH-AZ100は、パナソニックの完全ワイヤレスイヤホンです。
同社の高級オーディオブランドである「テクニクス」の名を冠する製品で、同社の最新ハイエンド機です。
重量は、5.9gです。
同社の従来機よりだいぶ軽く、サイズも一見してわかるほど小型化しました。
ソニーの最上位機相当であり、このクラスだと軽めです。
ドライバーは、10mmです。
小型・軽量化しましたが、ドライバは従来のままのサイズです。
音漏れしないタイプの軽量小型機だと最大クラスでしょう。大きいに越したことはない部分ですので、妥協しなかったのは良いところです。
構造的には、ハイレゾ対応のため高音域を綺麗に出せる特殊アルミニウム振動板を採用します。その上で、低音域を出せるよう、振動板を柔らかめで「動く」エッジ素材で囲むフリーエッジ構造で、低域に必要な振動を担保します。
加えて、動きすぎることでの歪みを防ぐため、磁性流体を注入しそれをおさえる工夫が加わりました。この磁性流体の部分が、今回の改良での新機軸です。
このほか、旧機に引き続き、空気の流れを制御するアコースティックコントロールチャンバーのほか、高音域の音質を改善するためのハーモナイザーが前方に付く構成です。
本機の場合、同社の(有線イヤホンの)最上位であるEAH-TZ700と同じ音質を、TWS型で出すことを当面の目標としているようです。
今回、磁性流体の工夫もそれに加えることで、一段と近づいたと言えそうです。
大手各社とも、ドライバー自体の工夫は、そこまでこだわらない中、テクニクスは、逆にここを詰めている部分が好感触です。
イヤーピースは、5サイズが添付されます。
今回改良された部分で、耳のコンチャにフィットしやすい構造を維持しつつ、重量と体積をカットしてます。本機の軽量化にも寄与しています。
再生周波数帯域は、20Hz-40kHzです。
ハイレゾ対応水準です。
音漏れもほぼ感じません。
音質は、高音域の音質は旧機に引き続きクリアです。
低音域は旧機もよかったのでそこまで伸びた印象はないもののかなり余裕があります。
先述のように、軽量小型になった点を含めて言えば、良い進化すで。
音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。
マイクを使って個々人の聴覚特性に合わせて「カスタムメイド」するような方向性の製品ではないです。この部分が、1回目記事でみた3社の上位機と違うと言えます。
Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・LDACに対応します。
ソニーと同じでLDACでのハイレゾ対応です。
通常音源のハイレゾ水準へのアップグレード技術はみられません。
一方、ダイレクトモードとして、イコライザで味付けされにくい音質が選べます。方向性の違いでしょう。
立体音響は、独自の対応情報については未記載です。
接続安定性の面では、一方、本機はBluetooth5.3に対応しています。
左右独立受信方式で、マルチポイント対応です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式(自動)です。
旧モデルにくらべ進化したところです。
単純なWマイク式だった旧機とちがってリアルタイム分析を行えます。
同社によると、これにより低周波がより良く取れるようになっています。
一方、イヤホンの装着状況や、スマホの加速度センサーを利用した移動状況は、ソニーとちがって、未対応です。
ノイキャン用のマイクは、他社上位機と同じく、片側3マイク(内1、外2)の仕様ですが、状況に対する対応力を含めて、少なくとも、ここを第一の目当てにして選ぶ感じではないといえます。
外音取り込みも、対応です。
新機種からは、電車のアナウンスなど必要な音だけスルーする「アテンションモード」も加わりました。ソニーなどでもみられたものです。
連続再生時間は、ノイキャンを使ってAAC接続をする場合、10時間です。
バッテリーケースは、18時間分の給電量です。
マイクは、高性能です。
本機は、Voice Focus AIとして、AI対応の内蔵ICチップで、送信だけでなく、受信音の改善も図れる部分が新しいです。
マイクは、片側3つで、風切り音低減のため、開口部に金属メッシュを採用スタ上で、風切り音を低減する「ラビリンス構造」を採用しています。
なお、発話検知マイクは、発話開始時の音声検知水準が向上させることで、通話品質を上げる仕組みです。
防水性は、IPX4等級です。
防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないでしょう。
---
以上、パナソニックのEAH-AZ100の紹介でした。
ハイレゾ水準に対応した部分で、ソニーの最上位機(WF-1000X系)の有力なライバルになりました。
較べる場合、やはり余裕があるドライバサイズである上で、TWS型では例外的と言って良い、ドライバ自体に「語れる」音周りの工夫があるのが魅力です。
アルミの振動板で、高音域が綺麗にでますし、サイズ感を感じさせない低音も出ているので、味付け(イコライザ)を使わなず、ナチュラルにハイレゾを楽しむにはとても良い機種です。
一方、ノイズキャンセリングは「新開発」とされますが、そこまで利きは強調できないです。自社開発かも今回は不明です。
そのほか、音質のパーソナライズと3D音源に対応しない点など、他社上位機にみられる「トレンド」はふまえないのが注意点です。
ただ、ハイレゾを含む「ステレオサウンド」を上質に楽しむという、本来的な目的では相当水準が高い製品であり、評価に値します。
音質に妥協がない「テクニクス」的な製品だと感じました。
ーー
【2023年発売】
11・ パナソニック Technics EAH-AZ60M2
¥22,450 Amazon.co.jp (6/14執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC・LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:8mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2
このほか、同社のTWSだと、1つ下位までがハイレゾ水準です。
ドライバーは、8mmと少し小さくなります。
重さは、上位機種と同じですが、手前方面に多少小粒で、見た目はスッキリします。
一方、本機も、高音域はしっかりでますが、低音を含めた膨らみは、上位機と差がやはりでます。
ただ、価格は安めですので、その部分で選択肢にはできるでしょう。
【2019年発売】
【有線イヤホン】
12・Panasonic Technics EAH-TZ700-K
¥132,000 (実店舗限定)
再生周波数帯域:3Hz 〜100kHz
ドライバー:1way
ノイキャン:
防水性能:
重さ:7g(コード込み22g)
EAH-TZ700は、Panasonicが自社の音響ブランドである、テクニクスから販売するハイレゾ対応イヤホンです。
接続方法は、有線方式です。
再生周波数帯域は、3Hz〜100kHzです。
低音域の3Hzは他社にも見かけるスペックですが、高音域に100kHzの測定値を付けたのは、イヤホンでは、恐らくこの機種が初でしょう。
ドライバーは、11mmのダイナミック型です。
多少大きいですが、とくに代わり映えのないシステムで、100kHzを表明できたのは、PEEK素材のエッジと、高剛性の特殊アルミニウム振動板の採用による部分が大きいとのことです。
なお、ハウジングは、マグネシウム合金です。
アルミニウムは素材として、ハイレゾに向いていそうですし、個人的には長期で試したいです。
音質の特性は、ダイナミック型一基にしたことが奏功してか、全域に安定感のある音質です。
素材に由来するハイレゾ特性と共に、ボイスコイル部の磁気ギャップに磁性流体(磁石の性質を持つ液体)を充填することによる、(自然的な)低音域の品質の向上も強調しています。
ケーブルは、バランス対応で、コードも付属します。
---
以上、Technics EAH-TZ700の紹介でした。
ドライバーの素材面の工夫をどの程度評価するか、で位置づけが変わりそうな機種です。
個人的には、アルミ系の素材は好きなので期待値は高いです。その上で、高音域と低音域と双方を高める2つの技術的な工夫もあります。
ただ、多少「魔術的要素」を感じないわけでもありません。
次回につづく
ハイレゾイヤホンのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、ハイレゾ対応イヤホンの比較の1回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ「続き」ます。
2・ハイレゾイヤホンの比較記事 (2)
2-1:JVC:TWS・有線
2-2:Audio-Technica:TWS・有線
2-3:ファーウェイ・シャオミ:TWS
2-4:ANKER:TWS
2-5:ゼンハイザー:TWS
3・ハイレゾイヤホンの比較記事 (3)
3-1:オーツェイド:有線
3-2:フィリップス:有線
3-3:Shanling:有線
3-4:FiiO:有線
4・ハイレゾイヤホンの比較記事 (4)
4-1:MTI: 有線
4-3:その他の企業:TWS・有線
4-3:最終的なおすすめの提案【結論】
続く2回目記事(こちら)では、TWS型(完全ワイヤレス)だす企業を中心に、今回見ていない企業の製品を見ていきます。
展開数が少ない小規模メーカーもありますが、面白い製品も多いです。
音質の良さ ★★★★★
重低音 ★★★★★
音の個性 ★★★★★
装着感 ★★★★☆
先進性 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、4回目記事(こちら)で、紹介する全機種から、いつものようにAtlasのおすすめ機種!を提案したいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
2回目記事は→こちら
--
今回の記事がお役に立ったようならば幸いです。Twitter Facebook はてなブックマークなどで話題を共有していただければ嬉しいです。