【今回レビューする内容】2023年 最新のヘッドホン/イヤホンの音質・選び方とおすすめ・選び方:密閉型・オープンエア型・インイヤー型・カナル型・オーバーヘッド型など:Bluetooth・ハイレゾ対応など人気の高音質イヤフォン・ヘッドフォンのランキング
今回のお題
最新のヘッドホン・イヤホンの賢い選び方は?
ども!Atlasです。
今日は、2023年7月現在、最新のヘッドフォンとイヤフォンの比較です。
ここ5年来、Atlasはヘッドホンの比較記事に力を入れており、11本の記事を定期的に更新しています。
1・Bluetoothヘッドホンの比較
2・Bluetoothイヤホンの比較
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較
4・ハイレゾヘッドホンの比較
5・ハイレゾイヤホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ノイキャンイヤホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
9・ライトニング端子イヤホンの比較
10・ウェアラブルネックスピーカーの比較
11・Dyson Zone 空気清浄機ヘッドホンの比較
12・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】
多くのカテゴリーのヘッドホン・イヤホンについて、全て合わせると100機種以上比較できています。
今回の記事は、12回目の最終回の記事で、全記事の「まとめ」です。
音質の良さ ★★★★★
ノイズキャンセル ★★★★★
防塵・防滴性 ★★★★★
疲れにくさ ★★★★★
ワイヤレス ★★★★★
総合評価 ★★★★★
「ヘッドホン・イヤホンの選び方」を解説したあと、上表のようなポイントから、「最もオススメな機種」を提案していきたいと思います。
1・ヘッドホン/イヤホン選びの基本
このブログでは、100種類以上の製品を紹介してきました。
特に初心者には「多すぎて選びがたい」ともいえる数です。
しかし、形状や用途から分類する場合、これらは「大ざっぱに」4つのカテゴリー分けが可能です。
1・密閉型のヘッドホン
2・開放型のヘッドホン
3・密閉型のイヤホン
3・開放型のイヤホン
以下では、「選び方の第一段階」として、上記4つのカテゴリーに沿って、利用時のメリット性とデメリット性について説明していきます。
1・密閉型ヘッドホン
第1に 密閉型のオーバーヘッド型ヘッドホンです。
こちらは、最も一般的なヘッドホンで、やや圧迫感があるが、音が漏れにくいタイプです。
代表的な「入門機」と「高級機」を2機種だけ挙げておきます。
1・SONY WH-CH520
¥6,036 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(オーバーヘッド)
Bluetooth:5.2
ノイキャン:
周波数帯域:20Hz-20kHz
ドライバー: 30mm
コーデック: SBC・AAC
重さ:147g
2・SONY WH-XB910N
¥25,800 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(オーバーヘッド)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク(自動)
周波数帯域:3Hz-20kHz
ドライバー: 40mm
コーデック: SBC AAC LDAC
重さ:252g
価格は、格安なものでは、小型(オンイヤー型)で人気なSONYのWH-CH520をはじめとして、5000円以下から購入可能です。
また、WH-XB910Nは、同社の中位機機です。
カップがやや大きめの中型(オーバーイヤー型)と呼ばれるタイプです。
遮音性は、「密閉型」という名前が示すように、遮断性が高く、没入感を得やすいです。
外出先で利用しても、周囲に騒音を出しません。また、周囲の雑音を気にせずに、音楽に集中できます。
音質は、他方式と比較して、充実した低音が得やすいといえます。
密閉型は、本体(ハウジング)を振動(共鳴)させられるからです。
また、大きなドライバー(振動版)を載せやすいため、イヤホンと比べると、音質は圧倒的に良いです。
なお、基本的に、ドライバーの口径が大きいほど、このタイプのヘッドホンの音質は良いです。
素材やチューニングも重要ですが、選ぶ際はドライバーのサイズも気にしてみてください。オーバーイヤー型だと、だいたい、40mmが平均値です。
重さは、例外もありますが、高級・高音質になればるほどに、その重量感が増します。
なぜなら、ドライバー(振動板)が大きくなるからです。
装着感は、製品により異なります。
オーバーヘッド型ヘッドホンは、耳にすっぽり入る小型機を「オンイヤー型」、耳を覆う大きめを「オーバーイヤー型」と、細かく分けられます。
第1に、「オンイヤー型」です(左図)。
こちらは、軽量・小型で持ちはこびに向きます。
しかし、圧迫感があり、長時間だと耳が疲れやすいという難点があります。
第2に、「オーバーイヤー型」です(右図)。
こちらは、重さがあるため、持ちはこびは面倒です。
しかし、耳への圧迫感は少なめで疲れにくいです。家庭で長時間利用する場合に快適です。
また、ピアスなどをしている場合は、女性でもこちらが向きます。
装着の快適性は、パッドの材質など価格による差がかなり大きいです。
一方、「密閉型」に共通するのは、密閉度が高いため、長時間装着すると聴き疲れしやすい点です。
「ゲーマー」の方など、長時間付けっぱなして使うようには、あまり意図して設計されていません。
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【良い部分】
・遮音性が高い
・音質が良い
【悪い部分】
・やや聴き疲れしやすい
以上、密閉型ヘッドホンの説明でした。改めてまとめれば、上表のようになります。
結論的にいえば、ヘッドホンタイプを探す場合は、多くの場合、この方式を選ぶのが標準です。
2・開放型ヘッドホン
第2に 開放型(オープンエア)のオーバーヘッド型ヘッドホンです。
特長は、ヘッドホンの外側が「開放」され、音抜けやすく籠もらない構造になっている点です。
こちらも、代表的な「入門機」と「高級機」を2機種だけ挙げておきましょう。
3・ゼンハイザー オープン型 HD 599
¥24,738 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:開放型(オーバーヘッド)
Bluetooth:なし(有線型)
ノイキャン:
周波数帯域:12Hz-38.5kHz
ドライバー:40mm
コーデック:
重さ:250g
開放型のヘッドホンは、かなりニッチな分野のヘッドホンで、中級者以上に限られます。
価格は、あまり安いモデルが用意されません。
信頼のできるものに限定すれば、最低1万円程が「相場」です。
遮音性は、構造的に、全く期待が持てません。
密閉型は、プラスチックなどの被い(ハウジング)があります。
しかし、開放型は、メッシュなどで開放されているため、盛大に音が漏れます。
電車の中、歩行中など、周囲の人の迷惑になりますから、完全に自宅で楽しむべきものといえます。
音質は、密閉型に比べると、バランス重視(原音重視)といえます。
構造的に、音が外にも広がり、中にこもならいので、全体的に臨場感も出ます。
低音域は、共振を伴わないので、同じ大きさのドライバーならば、密閉型のほうがこの部分は強いです。
そのため、AKGなど「半開放型」という、中間的な仕様の製品にしている場合もあります。ただ、こちらも、遮音性に課題があるため、開放型の亜種に分類出来ます。
重さは、以前は密閉型の製品に比べると、軽量なモデルが多かったといえます。
ただし、最近は、さして変わらなくなってきました。
基本的に開放型は「音質重視」の上級者向けです。
彼らの満足にたる低音を得るためには、ある程度ドライバサイズを確保する必要性があるからでしょう。
装着の快適性は、高いです。
なぜなら、開放型は、長時間付けても不快感をださない工夫がなされている機種が多いからです。
聴き疲れも少ないので、大音量で自室でゲームや音楽を「長時間」聴きたいならば、このタイプが最適です。
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【良い部分】
・聴き疲れしにくい
・音質がかなり良い
【悪い部分】
・ 音漏れする
以上、開放型のオーバーヘッド型ヘッドホンについての説明でした。
結論的にいえば、開放型は、自宅専用として考える場合は音質的にも良い選択肢です。しかし、外出先では決して使わないと断言できる人以外は、選ぶべきではないジャンルです。
3・密閉型のイヤホン
第3に カナル型の密閉型イヤホンです。
耳の形状に合わせ、いくつかの着脱式の「耳せん」が付属するのが特徴です。イヤホン版の「密閉型ヘッドホン」と言えるでしょう。
なお、ここでは、左右独立型の多くも、構造的に「密閉型ヘッドホン」に分類されます。
4・Bose QuietComfort Earbuds II
¥30,600 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(左右独立/カナル)
Bluetooth:5.3
ノイキャン:Wマイク式
周波数帯域:
ドライバー:
コーデック:SBC AAC
重さ:8.5g×2
5・ソニー ハイレゾイヤホン XBA-N3Q
¥86,098 楽天市場 (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(カナル)
Bluetooth:なし(有線式)
ノイキャン:
周波数帯域:3Hz-40kHz
ドライバー:9mm+BA
コーデック:
重さ:7g(ケーブル除く)
密閉型イヤホンの価格は、数千円代から高級品では10万円台までかなりの幅があります。
ただし、音質重視といえる製品は、Bose QuietComfort Earbuds IIをはじめ、このタイプの製品は3万円前後に多いです。
装着方式は、 最近人気の左右独立型のほか、図のようなネックバンド型や、イヤーフック型など多彩です。
ただ、耳せんの部分が、遮音性のあるカナル型である点は、同じです。
遮音性は、「耳せん」を耳に挿入するようなイメージです。
そのため、「自分の世界」への没入感は「最強」です。
ただ、米国のShureのイヤホンのように、遮音性がキツすぎて、歩きながらの利用は相当「危険」と言えるものも一部あります。
重さは、基本カナル型は、軽量です。
ネックバンド型の一部は、大きめのノイズキャンセル用ユニットを載せているので、多少重い場合があるので、その部分は注意は必要です。
とはいえ、ヘッドホンに比べたら重さなどないに等しいわけですが。
装着の快適性は、人によって意見が分かれる部分です。
しっかり、付属の「耳せんサイズ」を合わせれば、長時間付けていても不快になりにくいと言えます。
音質は、基本的にドライバーが重要です。
以下、2つのタイプを紹介しておきます。
第1に、「1WAY方式」です。
ヘッドホンのようにドライバー(振動版)を1基で、全レンジの音を鳴らすタイプです。
イヤホンの場合、このタイプが最も多いです。
「1WAY方式」は、ドライバが大きいほど、音域に余裕があり音質は良いです。
耳に近い部分で慣らすので、10mm程度あれば大きい方です。
一方、小型ゆえに、ヘッドホン以上に、素材や構造の工夫が重要です。
この点で言えば、カタログなどで、振動版のサイズや細かい技術が開示されていない製品は、(一部メーカーを除き)「やや怪しい」とみて良いでしょう。
第2に、ハイブリッド方式です。
ドライバーを複数搭載させ、レンジごとに担当させるタイプです。
多いのは、低音域用ドライバーと、高音域用の小型BAドライバー(バランスドアーマチュア)1基を組み焦れた「2WAY方式」または、BAを複数搭載する「3WAY方式」です。
なかには、「BA6基と13mmドライバー」という、ハイスペックでユニークな機種もあります。
いずれの場合も「1WAY方式」より、音域を広くとれるため、後述するようハイレゾ再生に強い機種が多いです。
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2種の方式を比べると、ハイブリッド式のほうが、「上位技術」と言えます。
しかし、2WAY式は担当する「音域の境目」が発生するため、チューニングがまずいと、中音域がスカスカになる場合があります。
そのため、店頭で試聴ができないようならば、SONYなど実績のある音響機器メーカーの製品を除けば、「1WAY方式」のほうがハズレをひきにくいとはいえます。
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なお、イヤホンの場合も、カナル型の密閉を装備した上で、孔(ベント)を設けた半開放型イヤホン(セミオープン)を採用する製品があります。
ただ、オーバーヘッド型の場合とは目的が少し異なり、孔により低音の表現力を高めるために、この方式が採用されます。
とくに(BAでなく)ドライバを2つ搭載した格安機は、圧を逃がすためこの構造の場合が多いです。
こうした点で言えば、半開放型イヤホンは、イヤホンにおいては「カナル型(密閉型)」の亜種ですが、音漏れが伴う点では、次に紹介するオープンエア型ともいえます。
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【良い部分】
・聴き疲れしにくい
・音質が良い
・音漏れしない
【悪い部分】
・ながら歩きが危険
結論的にいえば、通勤通学用で探している方は、基本的にこのタイプを選ぶのが基本です。
ただし、種類はかなり多いので、以下で説明していくような、その他の要素を考えつつ選ぶ必要があります。
4・開放型のイヤホン
第4に 開放型のイヤホン(オープンエア型イヤホン)です。
イヤホンは、昔はこの方式が主流でしたが「とある欠点」から、「レア」になり、音楽用としては、主に高級機だけのラインナップとなっています。
【2021年 第3世代】
6・Apple AirPods MME73J/A
¥26,667 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:開放型(オープンエア)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:
周波数帯域:
ノイキャン:
コーデック:SBC・AAC
重さ:4.3g ×2
開放型イヤホンは、割とラインナップが多いジャンルです。
価格は、100円ショップにあるほど安いものから、高級品まで広くラインナップされます。
わかりやすい例は、Apple AirPodsでしょう。ちなみに、上位のAirPods Proはカナル型(密閉型)です。
遮音性は、「開放型」のものがほとんどで、期待が持てません。
電車の中で利用している人もいますが、音漏れを気にする人は多いです。実際、仕組みを知らずに使ってしまっている方も多そうです。
重さは、このタイプは、く「軽量」です。
装着の快適性は、カナル型に比べると、耳への圧迫感がないので快適性はより高レベルです。
取り外しも容易です。
音質は、カナル型に比べると、没入感が乏しく、低音も出にくいです。
ただ、開放型ヘッドホンの場合と同じで、自然な音の広がりが得やすいので、モニターヘッドホン的に、フラットな音質で聴きたい場合に向きます。
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【良い部分】
・聴き疲れしにくい
【悪い部分】
・音漏れする
以上、開放型イヤホンについての説明でした。
結論的にいえば、このタイプは音漏れの問題と切り離せないため、ランニング時など確実に迷惑にならない場所以外の利用には、向きません。
一般的には、次に紹介する、密閉型が良いでしょう。
5・初心者におすすめなのはどれか?
以上、ここまでは、4つのヘッドホン分類について、メリット・デメリットを紹介しました。
結論的に言えば、現状において、ヘッドホンなら「密閉型」、イヤフォンなら「密閉型(カナル型)」を選ぶのが初心者には「最適」です。
その理由は、以下の2点です。
1・種類が豊富
= 同じ価格なら音質が総じて優れる
2・音漏れしにくい
= どこで使っても人に迷惑をかけない
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とはいえ、「密閉型」「カナル型」だけでも、デンキヤにいけば100種類近くはあるわけです。
このブログでも60種類以上の製品を紹介していますが、とても全機種を網羅することはできません。
そのため、以下では、もう少し別の角度からさらに絞る方法について書いていきます。
2・Bluetooth方式の長所と短所
続いて、「ワイヤレスが良いか?」「有線が良いか?」という点を考えます。
これについても、メリット性とデメリット性があります。
1・Bluetoothヘッドホンのデメリット
はじめに、Bluetooth製品の「イマイチな部分」の確認です。
第1に、ヘッドホンの再生時間です。
Bluetoothの場合、バッテリー(電池)が必要です。そのため、連続再生時間に限りがあります。
最大で35時間保つものもありますが、ヘッドホンタイプだと平均16時間、イヤホンタイプだと10時間程度で充電が必要です。
第2に、ヘッドホンの重さです。
バッテリーの分だけ、音質に比して、本体の重量がやや重くなります。
ヘッドホンの場合、だいたい同じ音質のユニットを搭載しているもので比較すると、50gほどの違いです。
ただ、この2点を理由として「ワイヤレスヘッドホンは駄目」とはなりません。なぜなら、確実にメリット性のほうが多いからです。
2・Bluetoothヘッドホンのメリット
つづいて、Bluetooth製品の「良い部分」の確認です。
第1に、装着時の快適性です。
ケーブルがないと、体の動きに制限がかからないため、アクティブに活動できます。
言葉にすれば単純ですが、この利点はかなり大きいです。肩こりなども緩和するでしょう。
第2に、スマホとの相性です。
特にiPhoneですが、現在、ヘッドホン端子が廃止されました。
そのため、見映えの悪い変換ケーブルか、このブログで紹介した「Lightning対応イヤホンを使う」という迂回手段」を用いなければ、有線モデルは選択肢として利用できなくなっています。
3・Bluetoothヘッドホンの音質
音質は、誰もが気になる部分でしょう。
Bluetoothの場合、無線で圧縮して伝送するため、有線より音質は少なからず悪化します。
しかし、現在の技術水準では新しい音声圧縮規格(コーデック)の開発で、規格上、有線方式とほぼ同等といってよい水準に近づいてきました。
コーデックについては、「たいへんややこしい」部分があるため、以下詳しく説明しておきます。
Bluetoothで音楽再生機器とをつなげる場合、以上の音声圧縮規格(コーデック)のどれかが使われます。
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第1に、SBCです。
(例外もありますが)基本的に、音質は相当悪いです。
また、転送時の遅延問題(平均220ms)があり、動画再生時に、画像と音声がずれる場合があります。
一部のヘッドホンでは、「ゲームモード」などチップ(Soc)の改良で60msほどに改善させたものもありますが、消費電力部分で不利になります。
第2に、AACです。
こちらの場合、音楽再生機器側に保存してある音源が圧縮音源ならば、劣化なしに聴くことが可能です。
遅延も、SBCより改善しています。
第3に、apt-Xです。
CD並での音質が保証されるため、スマホ側でロスレスでCDを保存している方に人気があります。
第4に、Apt-X LLです。
音質は、Apt-X方式と同じCD音質ですが、LL(ローレーテンシー)表記が示すように、遅延がほぼなくなります。動画視聴やゲーム向きです。
第4に、LDACです。
詳しくはあとで説明しますが、最近増えているハイレゾ音源(CDより音が良い音源)の再生に対応できる、上級のコーデックです。
ソニーが推す規格です。ただ、遅延が大きいので音楽専用です。
第5に、Apt-X Adaptiveです。
ハイレゾに対応する上で、遅延対策もある「夢の」コーデックです。
米国クアルコムの規格ですが、汎用性が最も高いので、今後拡がっていくと思います。
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結論的に言えば、音質を重視する場合は、ヘッドホンのスペックを見て、より上位の規格を採用している機種を選んだ方が音質が良いと言えます。
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ただし、上位のコーデックにヘッドホンが対応していても、スマホなどの音楽再生機器側がそのコーデックに非対応であるならば、利用できません。
また、どの上位規格にも対応しない場合は、業界の標準規格であるSBC方式が自動的に使われます。
iOS
:SBC AAC
Android
:SBC Apt-X(Apt-x Adaptive)
SONY(Xperia/ Walkman)
:SBC AAC LDAC
Mac&Windows
:SBC AAC Apt-X
一般的な対応状況をは、上表の通りです(例外あり)。
結論的にいえば、サブスクの音楽サービスの視聴などを含めて、IOS系ならばAAC、Android系ならばApt-X以上に対応しているイヤホンを選べば、音質面で「そこそこの改善効果がある」と言えます。
パソコン(Mac・Windows)でも、Apt-Xまで、対応できます。
一方、スマホでのハイレゾ音源に対応したい方は一定数いると思います。
その場合、iPhoneを含めて、LDACやApt-X Adaptiveに対応できるスマホは少ないです。
対処法は、2つ考えられます。
【USB-C to USB-A変換端子付属】
SENNHEISER BTD-600
¥7,255 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
第1に、Bluetoothトランスミッタを使う方法です。
PC・Android・Macにつなげて使う通信端末です。
LDAC対応製品はないですが、Apt-X Adaptiveなら、以上の製品があります。
第2に、Bluetooth対応ポータブルアンプを使う方法です。
小型で格安なものもあるので、導入しやすいです。
LDACに対応できる製品もあります。
このブログの【ポータブルアンプ(ポタアン)の比較記事】で詳しく説明しています。
音質アップ効果も高いので、こちらの方法のが良いかと思います。
ーー
以上、コーデックの紹介でした。
iOS系ユーザーの場合、AACを利用することになりますが、iPhoneにCDグレードの音質で保存していないならば、Bluetoothヘッドホンを選んでも問題ないと言えます。
Android系は、Aptxに公式対応していれば、音質の面でも安心して、ワイヤレスを選べると思います。
4・SBC規格のアップコンバート
一方、「コーデック至上主義」に走るのは、ヘッドホンの評価の部分で「危険」なことも確かです。
7・Bose Noise Cancelling Headphones 700
¥42,070 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(オーバーヘッド)
Bluetooth:4.0
ノイキャン:Wマイク式
周波数帯域:
ドライバー:
コーデック:SBC AAC
重さ:240g
特に、高級オーディオで有名な米国のBoseの製品や、Apple傘下のBeatsの製品の場合はそうです。
この2社の場合は、「SBCだけか、AACまでの対応」です。
しかし、試聴すれば、音質面で他社に全く負けていないと感じます。
これは、低音質音源のアップコンバート技術に長けているからです。
ただ、それでも、SBCである以上、遅延問題からは逃げられないのは確かでしょう。
「低遅延モード」という「逃げ道」がある製品はあるものの、動画を見る予定の人は、心にとどめておいて良い部分です。
5・左右独立型の問題点
8・Apple AirPods Pro MQD83J/A
¥37,400 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(カナル)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク式(自動)
周波数帯域:
ドライバー:
コーデック:SBC AAC
重さ:5.3g×2
9・ SONY LinkBuds WF-LS900N
¥19,982 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(カナル)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク式(自動)
周波数帯域:20Hz-40kHz
ドライバー:5mm
コーデック:SBC AAC LDAC
重さ:4.8g×2
皆さんもご存じのように、近年、左右独立型(TWS型)の「完全ワイヤレスイヤホン」という新ジャンルの製品が登場しています。
写真のように左右のケーブルがないので、身体の動きの自由度の高い製品です。
1・バッテリー寿命
=5時間以上保つモデルが少ない
2・イヤホンの音質
=遅延問題・左右の音ズレ
このような形状の製品は従来、バッテリー寿命と音ズレの問題がありました。
ただ、最近は、通信安定性が高い、Bluetooth 5.0を利用する製品や、左右同時送信対応チップを採用する製品などが普及しており、問題は解決されたと言えます。
ハイレゾ対応機も、ソニーは片側4.8gの小型軽量機まで展開を済ませました。
こうした部分で、他方式のワイヤレスイヤホンとの「垣根」も減ってきました。
音質重視の方も、「導入して問題ない」といって良い状況といえます。
実際、小型のイヤホンについていえば、音質や利便性における技術革新は「ほぼTWS型イヤホンしか起こっていない」という現状があります。
最先端技術を楽しみたいならば、こちらのタイプが良いですし、安めで楽しめます。
とくに、個々人の「耳の性能」に合わせた、最適な周波数・音量などのパーソナライズについては、このタイプが突出して進んでいる印象です。
一方、このほか「新ジャンル系」としては、「首かけタイプ」も登場しています。
1・完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の比較
2・ウェアラブルネックスピーカーの比較
この2つのジャンルの製品は特殊です。
そのため、より詳しく知りたい方は、個別の製品を具体的に比較しているこれらの記事をご覧ください。
3・ノイキャンヘッドホンの選び方
ここまでの記事で、「Bluetoothヘッドホンか?」「有線ヘッドホンか?」を決断できたでしょうか。
続いて、考えるべきなのは、「ノイズキャンセリング機能」の必要性です。
人気の対応機を「イヤホン」と「ヘッドホン」で2機種だけ挙げておきましょう。
10・SONY WH-1000XM5
¥48,500 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(オーバーヘッド)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク(自動)
周波数帯域:5Hz-40kHz
ドライバー:30mm(高機能)
コーデック: SBC AAC LDAC
重さ:250g
ノイキャンの基本となる技術は、どの製品も同じ仕組みです。
ヘッドホン外部につけられた「マイク」がノイズ(騒音)を拾い、それと逆の傾向を持つ音を発生させて、ノイズを打ち消すというものです。
しかし、同じ「ノイキャン」でも製品ごとに精度に差があります。
1・搭載されるマイクの数
=騒音種類とLVの正確な把握
2・搭載されるセンサーの種類
=装着状態や周囲環境の把握
3・プロセッサーの処理能力
=AIによるデータの統合と処理
これは、主に、上表の3点において各製品ごとに能力が異なるためです。
文字だとやや分かりにくいかと思いますので、もう少しかみ砕いて、ノイキャン精度の違いを「ざっくり」と図示しつつ、解説しておきます。
第1に、「耳せん式」です。
ヘッドホン・イヤホンの格安機に多くみられます。
いわば「耳せん」であり、、電気を利用した処理を伴わないものです。
「ノイズキャンセル対応」(普通)言いませんが、「パッシブ・ノイズキャンセリング」というような書き方をする企業はあります。
そのほか、ネット製品だと、通話用(電話用)のノイズキャンセル機能(cvc8.0 cvc6.0 など)を、音楽用と勘違いさせるような表記をしている場合も見られます。
第2に、1マイク式です(ANC)。
2000年代からある古い技術です。
カップの外側に1つだけマイク(センサー)があり、その情報だけで音を打ち消すという仕組みです。
「アクティブ・ノイズ・キャンセリング(ANC)」対応とあれば、このことです。
第3に、Wマイク式(ハイブリッド式)です。
外側だけでなく、内側にもマイクを配置することで精度をあげる技術です。
2010年代に出てきた、新しい方式です。
外側の騒音だけでなく、実際にきこえている内側の騒音(音楽)もAIが理解できるため、ノイズが実際「どのように実際伝わっているか」も合わせて分析できます。
そのため、1マイク式よりも高精度にノイズキャンセリングされます。
表記は、メーカーごと異なりますが、ハイブリッドANCと記載する場合が多いと言えます(ANCは、1マイク式を示す「アクティブ・ノイズ・キャンセリング」の略)。
第3に、Wマイク式(自動)です。
適当で短い名前がないので、便宜的にAtlasが付けました。
正確には、Wマイク式の場合、アダプティブ・ハイブリッドANC、1マイク式だとアダプティブANCと表記するべきかと思います。
2020年代に出てきた新しい技術です。
この場合、AIによるセンシングで周囲の環境を判断できるため、自動でノイキャンの強度(かかり)が調整できます。
仕組みは各社でことなり、マイクの数やセンサーの種類で色々なパターンがあります。
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結論的にいえば、この部分を重視する場合、新技術を搭載した上位製品の方が快適度は増します。
ただ、乗り物の発するノイズと、日常生活上のノイズとは音の周波数が異なります。
そのため、例えば「搭載マイク数が多いほど優秀な製品!」とは、単純にならない点が、難しい部分です。
ノイズキャンセリングは、全ての音を完全に無音化できる、という機能ではありません。
例えば、電車の走行音や、オフィスの空調音、自動車騒音などは、音の軽減は得意です。
しかし、電車のアナウンスや話し声、プリンタの駆動音など、高い周波数の音の軽減は不得意です。
音質は、「異音」をいれているわけで、通常より劣化することは間違いありません。
ただ、そもそもノイズキャンセリングを必要とするシーンは、極度に音質を気にする場所ではないため、使わないより使った方が、高い没入感を得られることは間違いありません。
生理学的・心理学的な部分も関係するので、個人差はありますが、騒音下で聞くならば、ドライバーのサイズや機能より、ノイキャンのの部分が大事です。
どの機種も、ノイキャンをオフにすることも可能です。
通勤通学で快適に利用したいならば、とくに、この機能を搭載したモデルを選ぶことは一定の意味があります。
一方、イヤホン・ヘッドホンにかかわらず、格安機だと、社内アナウンスなどを聴きたい場合の「外音取り込み」モードがない機種があるので、注意してください。
高性能機の場合、写真のようにタッチした時だけ、外音を取り込める「クイックアテンション」機能や、マイクを通してつけたたままで会話ができる「トーク機能」などを持ちます。
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1・ノイキャンヘッドホンの比較
2・ノイキャンイヤホンの比較
なお、このブログでは、上で紹介した部分をふくめ、これら上記記事で専門的にフォローしています。
興味のある方はご覧ください。
4・音質面からのヘッドホンの選び方
ここまで、ヘッドホン・イヤホンを選ぶ基準として、ここまで、Bluetooth・ノイズキャンセリングと順番にみてきました。
続いて紹介したいのが「音質」面での選び方です。
1・再生周波数帯域の広さ
11・SONY h.ear on 2 MDR-H600A
¥15,380 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(オーバーヘッド)
Bluetooth:なし(有線型)
ノイキャン:
周波数帯域:5Hz〜60kHz
ドライバー:40mm
コーデック:
重さ:220グラム
さて、ここまで、いくつかの製品を紹介する際、「スペックシート」に「(再生)周波数帯域」というデータを載せてきました。
「再生周波数帯域」は、各製品のスペックシートに、「5Hz〜40kHz」などの形状で書かれます。
低い方の帯域(5Hz)
=値が小さいほど低音域に強い
高い方の帯域(40kHz)
=値が大きいほど高音域に強い
上表のように、これは、低音域と高音域をどれくらい出せるスペックがあるのかを示しています。
こらは、絶対的な指標ではないですが、購入を検討する際の重要な客観的な指標になります。
では、どの程度のスペックがあれば良いのでしょうか?
低い方の帯域
=10Hzを下回ると満足度が高い
高い方の帯域
=40kHZを上回ると満足度が高い
結論的に言えば、上表が1つの基準となります。
もちろん、「人間の耳の可聴域」は20Hzから20kHzです。
あまりスペックが高くても「意味はない」という意見もあります。
ただ、十分に帯域幅に余裕がある製品は、実際的に、音域が広く、臨場感が豊か、で空気感を感じやすいヘッドホンである場合が多いです。
少なくとも「同じメーカー」の製品で較べる場合は、この測定値は、音質の傾向の見極めに有効です。
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なお、再生周波数帯域は、BOSEやBeatsなどは、(メーカー側で操作しやすい)この測定指数に懐疑的です。そのため、再生周波数帯域を開示しない場合もあります。
ただ、SONY・オーディオテクニカ・パナソニック・DENON・JVCをはじめ、ほとんどのメーカーは、軒並み再生周波数帯域を「開示」しています。
さらに、同じメーカーの製品を比較する場合、上位モデルになるほど、数値が高いのは言及に値するでしょう。重要視して良い部分と言えます。
2・ハイレゾ音源への対応
【2023年発売】
12・ パナソニック Technics EAH-AZ80
¥37,000 Amazon.co.jp (7/22執筆時)
タイプ:密閉型(カナル)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:
周波数帯域: 20Hz-40kHz
ドライバー:10mm
コーデック:SBC AAC LDAC
重さ:7g×2
13・SONYノイズキャンセリング WI-1000XM2
¥53,000 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(カナル)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク式(自動)
周波数帯域:3Hz-40kHz
ドライバー:9mm+BA
コーデック:SBC AAC, LDAC
重さ:58g
音質で、ヘッドホン/イヤホンを選ぶ場合、再生周波数帯域と同時に重要視して良いポイントがもう1つあります。
それは、ハイレゾ音源に対応するかどうかです。この記事では、ここまで紹介した機種のスペックシートにも、ハイレゾ対応の有無を書いてきました。
ハイレゾとは、業界ではSONYなどが主導している、CDを超える音質の音源です。
CD音源や無圧縮音源は、音楽メーカーが録音したマスター音源などを加工する際、高域帯の原音については約20kHzで切られてしまいます。データ容量を節約するためです。
しかし、アーティストがスタジオで録音する際のマスターテープは、これ以上のクオリティで取るのが普通です。
電子化される以前のものも然りで、クラシックやジャズの名盤が、最近ハイレゾで再編集されて販売されています。
例えば、E-ONKYO やSONYのMoraなどが有名で、多くのアーティストの作品がハイレゾ音源で入手できます。
ハイレゾの再生には、Bluetoothコーデックの場合と同じで、スマホや音楽再生機器側の対応も必須です。
例えば、iPhoneやAndroidの場合、標準では対応しません。しかし、上記のプレーヤーを入手し、かつ、ハイレゾ対応ヘッドホン・イヤホンを使うことで、再生可能です。
定額聴き放題サービスでは、「Amazon Music HD」で、ハイレゾ音源の配信がはじまっています。
2021年6月からは、通常音質の聴き放題サービスであるAmazon Music Unlimited契約だけで、CD・ハイレゾ音質となるこちらのサービスが聴けるようになっています。
詳しくは、同社の説明サイト(こちら)をご覧ください。無料試用も可能です。
また、音源をお持ちでない場合も、例えば、SONYの「DSEE Extreme」などの技術を搭載するヘッドホン・イヤホンならば、CD音質の音源を、ハイレゾ音質までアップスケーリングさせることができます。
ハイレゾ対応ヘッドホンは、電子情報技術産業協会(JEITA)などによる、明確な業界基準があります。
それは、再生周波数帯域のうち、高音域の部分が40kHz以上があることです。
高級ヘッドホンには、100kHzの周波数帯をフォローする製品もあります。
しかし、人間の認識可能な音の範囲をふまえて、業界のカンファレンスは、40kHzを一つの基準として「Hi-Res Audio」の規格を設定し、認定マークを作っています。
なお、業界筋の観測情報では、iPhone系(iTunes)でもハイレゾを公式対応するのではないかと言われています。
正確には、MacのiTunesでは、現在でも一部のハイレゾ音源規格を「非公式にフォロー」しているのですが、スマホを含めて公式になるのではないかと言われます。Android系も然りでしょう。
音楽再生機器では、「SONYのウォークマンの比較記事」で書いたように、SONYがかなり積極的に携帯音楽プレーヤーに取り入れています。
5・3Dオーディオ面でのヘッドホンの選び方
最後に、音質と言うより「音源」の話になりますが、現状でイヤホンを選ぶ際に知っておいても「損はない」立体音響の話を最後にしておきます。
14・Apple AirPods Pro MQD83J/A
¥37,400 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型
Bluetooth:5.3
ノイキャン:Wマイク式(自動)
周波数帯域:
ドライバー:
コーデック:SBC AAC
重さ:6g×2
【2021年発売】
15・ SONY WF-1000XM4
¥29,100 Amazon.co.jp (7/24執筆時)
タイプ:密閉型(左右独立/カナル)
Bluetooth:5.0
ノイキャン:Wマイク式(自動)
周波数帯域:20Hz-40kHz
ドライバー:6mm
コーデック:SBC AAC LDAC
重さ:7.3g×2
2021年頃から、定額聴き放題サービスにおいて「空間オーディオ」とも呼ばれる、マルチチャンネルの立体音響規格(3Dオーディオ)の音源の配信も始まりました。
立体的なサラウンド再生ができる製品は、映画分野で発達してきました。
例えば、ドルビー社のドルビーアトモスは、映画館のような上からの振り下ろし音を3D的にフォローできる規格です。最近は家庭向きのテレビやスピーカーでも、リアル・バーチャルでこの規格に対応できる機種が増えています。
「新味のある音場感」だったので、音楽市場にも立体音響が拡がってきたということになります。
1・空間オーディオ
開発企業:Apple
対応規格:Dolby, Dolby Atoms
音源提供:Apple Music (iTunes)
2・360 Reality Audio
開発企業:SONY
対応規格:360 Reality Audio
音源提供:Deezer, nugs.net Amazon
なお、現状では、主に、Apple系とSONY系の2種類の系統があります。
仕様がだいぶ違うので、少し詳しく見ておきます。
第1に、Appleの空間オーディオです。
こちらは、映像用の規格である5.1ch 7.1chまでのドルビーと先述のドルビーアトモスのデータを利用します。
同社の対応するイヤホン(Apple AirPods Pro)・ヘッドホン(Apple AirPods Max)などで、音源をIOS端末経由で、立体音響で聴けます。
Apple系列のBeatsにも対応製品を出しはじめています。
音源コンテンツは、iOS系のApple Music(iTunes)アプリから入手します。
このほかAmazon Musicに収録の空間オーディオ音源も、この仕組みで立体音響でのリスニングが可能です。
映像コンテンツは、Apple TVアプリ中の対応コンテンツ、あるいは、Netflixなどの対応コンテンツになります。
映画にはドルビーアトモス対応機は多いので、映像・ゲーム方面に強いと言えます。
第2に、SONYの空間オーディオです。
汎用規格なので、他社のヘッドホンでもBluetooth搭載ならば(原則的に)使えます。
ただ、SONYの「360 Reality Audio認定ヘッドホン」の場合、アプリで、耳の形やヘッドホン特性に応じた、カスタマイズが可能です。
立体音響は「パーソナライズ」がとても重要なので、実際的には公式対応の製品が1ランク上です。
認定製品の【対応リスト】にあるように、独立型イヤホン以外でも、ソニー製の1万円以上のBluetoothヘッドホン・イヤホンならばたいてい対応です。
既存機でも「Headphones Connect」アプリでフィッティングができる機種なら、どれでもいけそうです。
音源コンテンツは、一方、ソニーの場合、音楽データはDolbyそのものではなく、「360 Reality Audio」規格に準拠している必要があります。
配信元は、360 by deezer・nugs.netなど、マイナーサービスのみでした。
しかし、現在は「Amazon Music Unlimited」で対応音源の配信がはじまりました。
以前と違い2021年後半からはイヤホンで使えます。(こちら)で無料体験も可能です。
この形式はデータ対応が簡単なので、他の配信サービスにも普及していくでしょう。
映像コンテンツは、ただ、(Dolbyデータそのものではないので)一部のミュージックビデオを除けば、対応は少ないです。
ライブなどを立体音響でリアルタイムに配信するという方向性を狙った技術開発なので、Appleとはすこし向いている方向性が「違う」といえます。
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一方、他企業も、別の技術体系をつかって空間オーディオ対応のイヤホンを出してきています。
DENONは、スウェーデン企業が開発したDirac Virtuoの「立体音響技術」を利用したTWS型イヤホンを出しました。
JBL・ANKERも、自社の3Dサラウンド(空間オーディオ)を搭載するTWS型イヤホンをだします。
各社とも方式はAppleに近く、Dolby Atmosなどのマルチチャンネルデータを、リアルタイムに再計算して「3D出力」しています。
ヤマハは、大きなヘッドホンだけですが、独自技術が光ります。
既存のオーディオのサラウンド化技術(CINEMA DSP)の応用ですが、ステレオ(2.0ch)で、 解析でマルチチャンネル(5ch, 8ch)にアップコンバートし「3D化」させています。
スマホアプリに依存しないので、コンテンツに左右されないメリットがあります。
他社の場合も、イヤホンででステレオ変換からの変換を謳う場合もあります。
ただ具体的な技術と効果が示されない場合も多く、一口に立体音響といっても「玉石混交」の状態です。
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結論的にいえば、今のところは、全社をあげて力を入れつつ、独自音源も用意する「2強企業」とヤマハが少し抜けている印象です。
このほか、空間オーディオに付随する部分としては、「映像視聴やゲーム」に主に関係しますが、「ヘッドトラッキング機能」も、注目してよい技術といえます。
これに対応する製品は、加速度・ジャイロセンサーが内蔵されることがマストです。
センサーを利用して、利用者の頭の向きに連動して、立体音響(ドルビーアトモス)の方向性を正しく調整することになります。ようするに、普通のスピーカーのように、自分が首を振ったりしても、音が正しく定位します。
Apple製品が先行的に搭載していましたが、TWS型イヤホンでは他社でも搭載例が見られるようになってきました。
2022年から「Dolby Head Tracking」という汎用規格が登場した結果でもありますが、普及していきそうです。
なお、この技術自体は10年以上前に確立していて、立体音響も、ゲーム用ヘッドホン(写真はJBL Quantum ONE)などで先行しました。
なお、Apple製品の場合、スマホ(iPhone)ほか、Mac(M1 M2)やApple TV 4Kでも、ヘッドトラッキングを有効にできます。
後編に続く!
ヘッドホン/イヤホンのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、全記事の「まとめ」として、ヘッドホン・イヤフォンの選び方について書いてきました。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
音質の良さ ★★★★★
ノイキャン効果 ★★★★★
重低音 ★★★★★
ハイレゾ再生 ★★★★★
ワイヤレス対応 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
つづく後編記事【こちら】は、今回の結論編です。
ここまでの話をふまえつつ、いつものように、目的別・用途別にAtlasのおすすめ機種を提案しておきたいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
後編記事は→こちら