Top オーディオ製品 比較2024' 完全ワイヤレスイヤホン99機の性能とおすすめ・選び方 (1)

2024年10月27日

比較2024' 完全ワイヤレスイヤホン99機の性能とおすすめ・選び方 (1)

【今回レビューする内容】2024年 最新の完全ワイヤレスイヤホンの音質・性能とおすすめ・選び方:True Wireless Stereo(TWS):ノイキャンイヤホン対応・防水・高音質機:iPhone Android 対応:機種の違いと性能ランキング

【比較する主な製品型番】アップル AirPods Pro 2 MTJV3J/A AirPods 4 ANC MXP93J/A MXP63J/A ソニー WF-1000XM5 LinkBuds Open WF-L910 WF-C700N WF-C510 WF-C500 LinkBuds S WF-LS900N WF-LS910N ボーズ QuietComfort Earbuds 第2世代 Bose Ultra Open Earbuds Bose QuietComfort Earbuds II AeroFit Pro パナソニック Technics EAH-AZ80 EAH-AZ40M2 EAH-AZ60M2 アンカー Soundcore P40i P30i K20i Soundcore Liberty 4 Soundcore Liberty 4 NC Soundcore Liberty 4 Pro Sport X10 JBL TOUR PRO 3 WAVE BUDS 2 TOUR PRO 2 JVCビクター HA-A30T2 ビーツ Beats Solo Buds Beats Studio Buds + プレシードジャパン AVIOT TE-W1-PNK TE-ZX1 オーディオテクニカ SOLID BASS ATH-CKS50TW2 ATH-CKS30TW サムスン Galaxy Buds3 Pro HUAWEI FreeClip FreeBuds Pro 3 Xiaomi Redmi Buds 6 Lite ゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 4 Google Pixel Buds Pro 2 Jabra Elite 4 Active Noble Audio FALCON MAX DENON PerL Pro AH-C15PL AH-C10PL ヤマハ TW-E7B ほか

今回のお題
完全ワイヤレスイヤホンのおすすめはどの機種?

 ども、Atlasです。

 今回は、2024年10月現在、最新の完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の比較です。

 音質の良さはもちろん、各機のノイキャン精度・装着性・通話品質を重視しながら、各機の性能を分析します。

 最近のトレンドといえる、耳の形の違いなどをふまえた装着感のパーソナライズ機能や、ハイレゾほか、流行のイマーシブオーディオ(3Dオーディオ)の対応状況などにも、今回は注目しました。

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1・完全ワイヤレスイヤホンの比較(1)
 1-1:選び方の基本の解説【導入】
 1-2:アップル〈米国〉
 1-2:ソニー〈日本〉
2・完全ワイヤレスイヤホンの比較(2)
 2-1:BOSE〈米国〉
 2-2:パナソニック〈日本〉
 2-3:JVC〈日本〉  
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較(3)
 3-1:JBL〈米国〉
 3-2:ANKER 〈米国〉
4・完全ワイヤレスイヤホンの比較(4)
 4-1:Beats〈米国〉
 4-2:SHURE〈米国〉
 4-3:Bang&Olufsen〈北欧〉
 4-4:Jabra 〈北欧〉
 4-5:Noble Audio〈米国〉
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
 5-1:ヤマハ〈日本〉
 5-2:AVIOT〈日本〉
 5-3:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)

 6-1:Amazon 〈米国〉
 6-2:Google 〈米国〉
 6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
 6-4:DENON〈日本〉
 6-5:AKG〈オーストリア〉
 6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
 7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
 7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
 =予算別・目的別のおすすめの提案【結論】

 1回目記事(今回)は、「選び方の基本」を説明したあと、AppleSONY・BOSEの順番で、製品をみていきます。

 人気を分ける3大メーカーといえますし、「現状の製品のスタンダード」が分かるといえるので、最初にみることにしました。

音質の良さ    ★★★★★
ノイズキャンセル ★★★★★
ハイレゾ再生   ★★★★★
立体音響     
★★★★★
軽さ       ★★★★★
防水性      ★★★★★
総合評価     ★★★★★

 というわけで、以下では、いつものように、機種を比較していきます。

 その上で、最後の「結論編」(こちら)では上表のような観点から、目的別・予算別に、Atlasのおすすめ商品を紹介していきます。

 よろしくお願いします。

ーー 

1・完全ワイヤレスイヤホンの比較
2・左右直結Bluetoothイヤホンの比較
3・ハイレゾ対応イヤホンの比較
4・ノイキャン対応イヤホンの比較
5・Bluetoothヘッドホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ハイレゾヘッドホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
9・ネックスピーカーの比較
10・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】

 なお、今回はヘッドホン・イヤホン比較シリーズ全体の1回目記事として書きました。

1-1・完全ワイヤレスの選び方の基本

1・ドライバのサイズと数
2・ノイズキャンセリング
3・Bluetooth規格と音質
4・ハイレゾや空間オーディオ
5・防水性と重さ

 具体的な製品の紹介にはいる前に、「完全ワイヤレスイヤホンの選び方の基本を書いておきます。 

 Atlasが重視する、上記5点のポイントについて、順番に解説します。


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 第1に、ドライバー(振動板)のサイズと数です。

 ドライバーは、音質部分に最も影響を与える要素です。

 基本的に、大きなほど音域の余裕が生まれます。

 加えて、その数が多いほど、高音域も含めて音が伸びやかになります。

 最近は、完全ワイヤレスでも、超小型のBA(バランスドアーマチュア)ほか、平面磁気駆動型のトゥイーターを装備して、ドライバーを増やす製品がでています。

 しかし、注意点もあります。

 ドライバーが大きく、数が多い製品は、イヤホンが「重く、大きい」からです。

 完全ワイヤレスは、耳の部分に、バッテリーと通信ユニット(Soc)を積む必要があるため、小型・軽量化が「難しい」ためです。

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 大手の場合、1ドライバーが普通です。

 サイズも6mm前後が平均で、10mmだと大きな方です。

 サイズと重さの部分で尖った機種は売れないので、この基準からそれる機種は大手メーカー以外が出します。

 音質の部分で「面白い」製品もあります。しかし、技術的な裏打ちがなく、大きなドライバーを積むだけの製品は、何かしら問題を抱えます。

 例えば、ひどい重さになったり、(開放型で)音漏れが生じる構造になっていたり、不格好でファッション性に乏しかったり、です。

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 結論的にいえば、TWS型の場合「ドライバのサイズと数」はあまり「深追い」しない方がよいです。

 とくに正確な重量が書いてない(=隠している)製品は、そこに問題を抱えている場合が多いので、注意してください。

 今回の記事でも、あまりに突飛な製品は「おすすめ」にはあげていません。


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 第1に、ノイズキャンセリングです。

 完全ワイヤレスイヤホンでは、もっとも差が付くといってよい部分です。

 なお、名前の通り、全ての音を完全に無音化できる、というわけではありません。

 例えば、電車の走行音オフィスの空調音自動車騒音などは、音の軽減は大得意です。

 しかし、電車のアナウンスや話し声、プリンターの駆動音など、高い周波数の音の軽減は、高性能な上位機でないと苦手といえますす。

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 諸方式がありますが、上表では下段ほど「能力が高い」と言えます。

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 最近は、1万円前後の製品でも、性能のよいWマイク式(=ハイブリッド型アクティブノイズキャンセリング)を搭載する機種が増えました。

 そこそこの高級機だと、Wマイク式である上で、センサーで周囲の環境を判断し、自動で強度が調整される仕組みも(アダプティブハイブリッドANC)加わります。

 こうした機種は、今回の記事では「Wマイク式(自動)」と表記しました。

 ただ、センシングの仕組みの違いで精度は大きく変わるので、記事でも違いが分かるように書いていきます。

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 この部分は、SONY・BOSE・Appleなど、古くからノイキャンに取込み、ユニットを独自製造できるメーカーの上位機が優秀です。

 他社は、ソニーが外販ユニットを調達したり、クアルコム(半導体メーカー)の、Bluetoothチップ(SOC)搭載のノイキャン機能を利用したりしていますが、及びません。

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 結論的にいえば、TWS型は通勤・通学時に使う方が多いでしょうし、ノイキャン精度は最も重要視するべきポイントと言えます

 軽視すると「実際利用する際の音質の差」として還元されてしまうと言えます。

 今回の記事でも、重要視して、詳しく書いています。


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 第3に、Bluetooth規格と音質です。

 Bluetoothは(Wi-Fiなどより)回線が細いので、スマホなどから音を飛ばす際に音源を圧縮します。

 その際の圧縮規格をBluetoothコーデックと呼びます。

 (音質が悪い)SBCだけなら、どのイヤホンも対応しますが、上位規格への対応は各イヤホンで異なります

 また、PC・スマホほか、音楽を送る側の「再生機器側」も、同じコーデックに対応することが必要です。非対応の場合、通信にSBCが使われます。

iOS
 SBC AAC
Android
 SBC Apt-X
Xperia
 SBC AAC LDAC
Mac&Windows
 SBC AAC Apt-X

 上表は、各OS(機器)のコーデック対応状況を示したものです。

 結論的にいえば、iOSの場合はAAC、AndroidやPCの場合はApt Xに対応していれば、(まずまず)合格点なイヤホンです。

 ただ、圧縮音源を「独自の味付け」で音質を高める技術に強みがある企業(BOSEやJBL)は、SBCでも音質が良い機種はあります。

 そういった機は特別なので、記事では注意して説明します。

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 このほか、動画視聴・ゲームに使う場合は、音の遅延の少ないコーデック(Apt-X LL・Apt-X adaptive・LC3など)に対応したイヤホンでないと口パクのズレが起きます。

 記事では、ここにも注意して説明するつもりです。


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 第4に、音源規格への対応です。

 ハイレゾ音源は、CDより高解像度の音源です。

 最近だとAmazon Musicでも多く配信があります。

 再生したい場合、先ほど表で見たLDAC・Apt-X adaptiveなど、ハイレゾ音源再生用のBluetoothコーデックに対応するイヤホンを選ぶ必要があります。

 また、PC・Mac・スマホも、同じコーデックに対応する必要があります。

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 スマホだと、iPhoneほかハイレゾコーデックに非対応の機種が多いです。ただ、トラスミッタやポタアンなど、さほど高くない小型の周辺機器を増設すれば、対応できます。

 詳しい方法はこのブログの【ハイレゾイヤホンの比較記事】の冒頭で説明しています。

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 立体音響(空間オーディオ・イマーシブオーディオ)は、最近流行のジャンルの音源です。

 一昔前のサラウンド機能は、あくまで平面的(2D)の拡がりでした。その進化版です。

 対応イヤホンだと、ドルビーアトモスほか、立体音響情報を持つ音源を「立体的に」再生できます。スマホ・PC側の対応も、ハイレゾよりよほど進んでおり、初心者でも楽しみやすい音源です。

 音源も、Amazon Musicや、Apple Musicなどですでに配信があります。

 しかし、Apple系・SONY系・Dolby系など諸規格が乱立していて分かりにくい状況です。

 特に、音楽だけでなく、Netflixなど映像(映画)の音声に対応する場合、ヘッドトラッキングができる仕組みがイヤホン側に必要なので、その部分もとても複雑です。

 そのため、記事では、各機の対応を詳しく書いていきます。


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 第5に、防水性と重さです。

 防水性は、一部機種でIPX4等級以上の製品が見られます。

 防水性高い機種の場合、雨天でのワークアウトの際に使えると考えてください。。

 たいていの場合、防水性のある機種は、運動してもずり落ちにくい構造です。

 重さは、最近の平均値は(片側)6g、高性能機でも8gです。

 4g台の小さいものもありますが、やはり音質はやや犠牲になります。

 逆に重すぎると、見映えも装着感が悪くなります。

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 結論的にいえば、運動に使うならば、はじめに防水性を確認してください。

 対応があれば(例外はありますが)運動利用を想定した機種の場合が多いです。

 重さは、片側が6g以下だと、軽さを実感できます。

 音質重視でも8gを上限に考えると良いかと思います。

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 以上、今回重視していくポイント5点を紹介しました。

 これ以外にも「バッテリーの保ち」「通話用マイクの品質」など見るべきポイントは多くあります。

 これらは、本編でおいおい説明していきます。

 また、スペックが分からなくても、結論編こちら)では、これらの要素をふまて、「Atlasのおすすめ」を提案していきます。ある程度、安心してお読みください。

1-2・Appleのイヤホン

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 では、製品の比較をはじめます。

 はじめに、Appleの製品からです。

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 なお、以下では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチだと思う部分を青字で書きます。


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 【2023年9月発売】MQD83J/AA後継品

 1・Apple AirPods Pro 2 MTJV3J/A
  ¥36,273 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(空間オーディオ)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
連続再生時間:6時間
ドライバー:11mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式 (自動)
防水性能:IPX4
重さ:5.3g×2

 AirPods Pro 2は、Appleの販売する完全ワイヤレスイヤホンの上位機です。

 なお、2023年に「第2世代」に更新されました。マイナーチェンジを入れると実質的に4回目のモデルチェンジです。

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 今回から、充電が(iPhoneの変更に合わせ)USB-Cになっています。

 そのほか、話題のApple Vision Pro(Appleメガネ)利用時のみ、CD音質(ロスレス:48kHz/20bi)での音源転送が可能になりました。

 また、ノイキャンの部分で「適応型オーディオ」に対応する部分が違いです。この部分は後ほど書こうと思います。

 一方、音質やノイキャンの効きに関する部分は(2022年発売の)1世代前の従来機と基本同じです。なお昨年モデルでノイキャンの精度の改良があったので、それ以前に買った場合、それらの部分でも差はあるでしょう。

 重量は、5.3gです。

 売れている製品だけに、完全ワイヤレスイヤホンにおける1つの「快適な重さの基準」と言えます。

 実際、これより重いと、長時間装着時に、わりと圧迫感が出てしまいます。

 イヤーピースは、4サイズが添付されます。

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 音質面では、同社の伝統ですが、「バランス重視」です。

 Apple特有の低音域・高音域が強調されないフラットな音質と言えます。

 音漏れしにくいカナル型形状の製品ですが、空気を逃がすベント(孔)はあるので、音抜けもよいです。

 このタイプは微少の音漏れはあり得ますが、イヤーチップ装着テストをしっかりし、適合したタイプを利用すれば、気になるレベルではないです。そもそも口径も小さめですし。

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 音質のパーソナライズは、アダプティブイコライゼーションに対応します。

 内側のマイクを利用して実際聞いている音を把握し、中低音域の周波数を調整をする技術です。同社のヘッドホンと同じ技術です。

 ヘッドホンと違って、イヤホンは利用時にあまりズレない(視聴環境の変化は少ない)とは言えますが、密着度、あるいは、音源の性質に由来する不快感は吸収しますし、あって損はないと思います。

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 立体音響は、「空間オーディオ」をフォローします。

 空間オーディオという名前自体は(商標でないので)各社でいろいろ使っています。

 Appleの「空間オーディオ」は、7.1chまでのドルビーほか、映画用の立体音響技術のドルビーアトモスを音源として 利用する形式です。

 ドルビーアトモスは、映画館のような上からの振り下ろし音を3D的にフォローできるサラウンド規格で、ネットを含む映画コンテンツで採用が多い音響規格です。

 これらのデータを利用しつつ、再計算して立体音響を再現しています。

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 耳の聴覚特性で立体感は変わるので、iPhoneのカメラ(TrueDepth)を使い頭の形を測定して、カスタマイズする機能を備えます(=パーソナライズされた空間オーディオ機能)。

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 ヘッドトラッキング機能も、空間オーディオの補間技術として対応です。 

 内蔵される加速度・ジャイロセンサーを利用し、利用者の頭の向きに連動して、立体音響(ドルビーアトモス)の方向性を正しく調整する技術です。ようするに、普通のスピーカーのように、自分が首を振ったりしても、音が正しく定位します。

 技術自体は10年以上前に確立していて、立体音響についても、ゲーム用ヘッドホン(写真はJBL Quantum ONE)などで既に先行しました。

 ただ、ワイヤレスイヤホンでは初で、素直に「すごい技術」だと素直に思います。ちなみに、2022年から「Dolby Head Tracking」という汎用規格が登場したので、他社にも普及していきそうです。

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 立体音響の対応コンテンツは、Apple系の場合、基本的にAppleの提供する音源・映像になります。

 音楽コンテンツは、Apple Music(Dolby Atmos音源)です。

 映像コンテンツは、Apple TV(Dolby Atmos音源)とFace Timeです。

 このほか、Netflix・Amazon Musicなどの空間オーディオコンテンツも一部再生可能です。

 端末は、iPhone・iPadほかMac OS(itunes)を介して使う形です(Intel Macは一部機能制限あり)。

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 ドライバーは、サイズ・素材とも非公開です。

 ユーザーレベルの情報だと11mmとのことです。その場合、大きめと言えます。

 奥側に広い形状なので、あっているかなと思います。

 再生周波数帯域も、非公開です。

 初代は低音側が20Hzと公開がありました、周波数帯域はH2チップの採用でより拡がったとします。

 一般的に問題ない水準ですが、ドライバの口径を考えると、他社機(高級機)に優るとも言えません。先述のように、低音より、全音域の聞きやすさを重視しています。

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 Bluetoothコーデックは、SBCのほか、 iOS系はAAC対応なのでAACに対応します。

 Androidユーザーでも本機は使えますが(機能制限あり)、買う人は少ないでしょうし、Apt Xは対応しません。

 接続安定性の面では、しっかり、Bluetooth5.3に対応です。

 遅延については、本世代で改善がみられますが、やはりApt X系よりは弱いです。

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 ノイズキャンセリングは、搭載です。

 外側と内側に集音マイクを装備する上位のWマイク式(自動)です。

 耳側のノイズをセンシングして打ち消すためノイズ除去率が1マイク式より格段にアップします。旧機種も同じ仕組みでしたが制御チップ(H2)の更新で精度は2倍といわれます。実際、他社高級機と比べても「効きは良い」です。

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 自動処理の部分は、適応型ノイズコントロール(モード)も利用できます。

 自宅では、自然な外音を取り入れ「普通のステレオスピーカー」のように、外出先では、AIが周囲の外音や会話状況を即時に分析し、(電車のアナウンスなど)必要な外音か、そうではないかを判別し、ノイキャンと外音取り込みを(ある程度)自動化させるという方向です。

 そのほか、視聴傾向でAIがメディア音量を自動化する機能(適応型オーディオ)もあります。後述する会話検知などが注目点です。

 外部音取り込みモードも対応です。

 ノイキャンをしつつ、電車のアナウンスは聞きたい場合などに使います。

 「適応型環境音除去( Adaptive Transparency reduce)」に対応し、外音取り込みや、適応型オーディオを利用している際、サイレンなどの大きな音の軽減をなします。

 連続再生時間は、ステレオ再生で6時間です。

 ケースに内蔵される予備バッテリーの量も含めると、最大30時間です。

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 Apple MagSafe充電器
  ¥6,218 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

 充電ケースは、2021年機からは、QiやUSBほかMagSage充電(15W)にも対応するようになりました。

 上記の純正を含む対応品を使うと、充電速度がQiに対して2倍ほど速くなります。

 マイクは、搭載されます。

 スマホでのハンズフリー通話が可能で、風切り音のキャンセル機能もあります。

 そのほか、装着時に自動的にON/OFFになる機能など、使い勝手の配慮も高いです。

 先述の適応型オーディオの機能性の1つである、会話検知も可能で、検知すると音量を自動で下げます。

 防水性は、IPX4等級です。

 雨天までなら対応できる水準です。

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 以上、AirPods Pro(第2世代)の紹介でした。

 H2チップ搭載で、iOSとの相性は最も良いですし、iPhone用に「アップル製品限定」で探している方には候補となるでしょう。

 一方、ソニー上位機と比べると、バランス重視の音質なので、低音域を中心とする音圧という部分では、負ける部分はあります。ノイキャンも、状況対応力の部分でわずかに及んでいない印象です。

 音源的にも空間オーディオは他社でもフォローしている機種は多いです。その点で言えば、純正品のみ使える独自機能はヘッドトラッキング機能ほどになります。

 こうした部分で、(最終的に本機を選ぶにしても)他社の競合製品をみる意味はあります。

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 【2024年発売】

 【ノイキャンあり】

 2・Apple AirPods 4 ANC MXP93J/A
   ¥27,809 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

 【ノイキャンなし】

 3・Apple AirPods 4 MXP63J/A
   ¥18,700 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(空間オーディオ)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
連続再生時間:5時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式 (自動)(上位機のみ)
防水性能:
重さ:4.3g×2

 なお、本機の下位機種となるのがAirPods(第4世代)です。

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 重さは、いずれも、4.3gというスペックです。

 しっかり軽いと言えます。

 ノイズキャンセリングは、上位版のみ搭載です。

 精度は、上位機に比べて仕組みの違いの公式の説明はないです。

 同じH2チップを使ったWマイク式で、自動調整(適応型ノイズコントロール)もできますし、機構とパーツは共通でしょう。

 なお、ノイキャン機構がない機種は、適応型オーディオはもちろん、外音取り込みモードもない点は注意です。外出先でも使うでしょうし、できれば、上位機が良いでしょう。

 本体構造は、同じインイヤー型ですがオープン型構造です。

 静粛な環境で若干の音漏れがあるほか、(パッシブな部分を含めて)ノイキャンの精度も落ちます。上位機と違って「2倍」のノイキャン(ANC)という表現がないのは、マイクの位置や精度の違いによるものというよいr、オープン構造に由来する部分が大きそうです。

 加えて、適応型環境音除去に非対応です。

 大きな音の軽減、会話強調などができません。

 バッテリーは、いずれも5時間です。

 ただし、ANCを有効にする場合、4時間です。

 バッテリーケースは、むろん付属です(最大30時間分)。

 ただ、下位機は充電ケースを(iPhoneで)「探す」機能が使えない程度です。チャイム用のスピーカーがないからです。

 あとは、上位機と目立つ差はなく、空間オーディオも使えます。

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 結論的にいえば、ノイキャン部分の静粛性と、(わずかな)音漏れの部分で、上位機と差はあります。

 オープン構造は音抜けはよいものの、音漏れがあるのがやはりネックですので、通勤通学時はともかく、静粛性が必要な場所で使いにくい部分があります。

1-3・ソニーのイヤホン

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 続いて、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンです。

 Androidユーザーはもちろん、Appleに比べても、上位機は、ノイズキャンセリング周りの実力が高いため、iOSユーザーも比較検討するべきメーカーです。


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 【2023年7月発売】WF-1000XM4後継機

 4・ SONY ノイキャン WF-1000XM5
   ¥30,580 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC LC3
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:高度ヘッドトラッキング可
連続再生時間:8時間
ドライバー:8.4mm
マイク:搭載
ノイキャン:3マイク式(自動)
防水性能:IPX4
重さ:5.9g×2

 WF-1000XM5 は、SONYの完全ワイヤレス型イヤホンの最上位機です。

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 旧機(WF-1000XM4)と比べて、ノイキャン用のプロセッサとマイクの数が増えたほか、音質に欠かせないドライバについて、8.4mmという大きな新ユニットを搭載指摘しました。

 その上で、5.9gと軽量化された上で、サイズも25%小型になりました。

 結論的にいえば、かなり大きな変化といえます。新しく買う方ほか、旧モデルからの買換もおすすめできる変化と言えます。

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 本体色は、ブラック:WF-1000XM5 (S) とシルバー:WF-1000XM5 (B) の2色構成です。

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 重量は、5.9gです。

 完全ワイヤレスイヤホンの場合、音質を保持しての小型軽量化は難しいです。

 しかし、ソニーの場合、半導体製造技術で部品のSiP化(System in Package)をなしつつ、後述する、薄型ドライバの開発で、これを実現しています。

 実際、みかけも「小粒」になりました。

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 イヤーピースは、4サイズ付属です。

 旧機とは形状が変わりましたが、別売もされる、自社の「ノイズアイソレーションイヤーピース」を採用します。

 こちらは(アナログな意味での)遮音機能と装着性を重視するものです。

 (デジタルな意味での)遮音機能がある機種でも、対策がないと音漏れはあるので、この仕様で良いでしょう。

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 ドライバーは、先述のように新型です。

 ダイナミック型の8.4mmの薄型ドライバーです(ダイナミックドライバーX)。

 振動板のエッジ部とドーム部に異なる素材を利用し、それぞれ、低音域・高音域をならせる方式で、小型でも、ハイレゾ対応水準の周波数帯域にする工夫です。

 それぞれの素材は非開示ですが、エッジは軟性素材、振動版は硬質素材です。ソニーは、従来、あまり大きなドライバーを搭載しなかったのですが、今回は大きめです。

 周波数帯域は、20Hz-40kHzとの表記です。

 高音域側が「ハイレゾ対応水準」である40kHzを超えており、(業界基準として)ハイレゾ音源に対応です。

 正確には、後述するBluetooth(LDAC)の伝送帯域としての表記ですが、業界団体のハイレゾ対応表記はありますので、ドライバーも対応といえます。

 SONYは重低音を重視する機種がありますが、本機は、エキストラバス機能がないので、低音域を過度に強調した機種ではないです。

 とはいえ、ドライバーは大きいですし、従来機より低音域の厚みは出ています。Appleに比べても「厚い」ように思えました。

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 立体音源は、ソニーの360 Reality Audio規格に対応です。

 Appleの「空間オーディオ」に相当するものです。同名の専用アプリ経由で、最先端の3D立体音響を楽しめます。

 360 Reality Audioの場合、Dolby Atmosコーデックではなく、独自の音楽用コーデックを利用します。音源とアプリベースの処理なので、ソニー製品でなくても、Bluetooth搭載のイヤホンならば、他社製品でも使える点で汎用性があります。

 立体音響の音楽コンテンツは、360 by deezernugs.netほかで対応します。

 そのほか、定額聴き放題サービスでも、「Amazon Music Unlimited」で、3Dオーディオの配信がはじまりました(ただし後述のパーソナライズはAmazonは非対応)。

 イヤホンも2021年後半からアマゾンで使えます。(こちら)で無料体験が可能です。

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 ヘッドトラッキングも、対応です(360 Reality Audio ヘッドトラッキング)。

 Appleでみたように、位置・ジャイロセンサーで、顔の向きを変えても、方向的な立体感が維持されます。 

 この機能があると、音楽だけでなく映像立体音響に対応できます。

 空間オーディオ(360 Reality Audioの)で利用するには、「360 Reality Audio認定スマートフォン(22年以降のソニーのXperia)」であることが必要です。

 あとは、「Android ヘッドトラッキング」に対応するスマホの特定アプリで利用できます。その意味ではiOS系との相性はあまり良くないです。

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 音質のパーソナライズは、対応です。

 先述のように、ソニーの立体音響(360 Reality Audio)は他社機でも再生可能です。

 ただ、ソニーによる「360 Reality Audio認定ヘッドホン」の場合、再現性が高いです。

 耳の形をカメラで撮影し聴覚特性に応じて、カスタマイズされるからです。

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 そのほか、アプリでの初期設定時、適切なイヤーチップをカメラを使い提案してくれる機能ほか、ノイキャンのかかりを最適化させるため、内蔵マイクを使いつつ調整する機能があります。

 この際、周囲の気圧状態も見ながら調整する点は独自です。

 一方、実際の視聴状況(音源や装着状態)に基づいてリアルタイムで中音域の周波数を可変させ、音質向上を目指すAppleの工夫(アダプティブイコライゼーション)に相応するような機能は、未搭載です。

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 Bluetoothコーデックは、SBCAACほか、LDACにも対応します。

 ハイレゾ音源再生をしたい場合、こちらを使う必要があります。

 スマホならば、SONYのXperiaや、GalaxyのS20シリーズ、音楽再生機機ならば【ウォークマンの比較記事】で書いた同社製品に(ほぼ)限定されます。

 音がだいぶ遅延するので、ゲームなどには使えない、ハイレゾ専用のコーデックです。

 そのほか、最近話題になってきたLC3コーデックも対応です。

 SBCよりは音質が良いコーデックです。 

 その上で、低ビットレートで音質が確保できるので(口パクズレが問題になる)映像視聴・ゲーム用の音楽機器においてちらほら採用が見られはじめたものです。むろん、プレーヤーやスマホ側の対応も必要です。

 遅延は60msと書きましたが、実際的にもう少し良い(30 ms前後)まで伸ばせると言われます。

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 ハイレゾの部分で言えば、本機は、DSEE Extremeという、SBC/AACなどの圧縮音源を「ハイレゾ相当」に再計算してアップスケーリングする機能を持ちます。

 通常音源が「ハイレゾ級」にはなるので、ワンポイントとは言えるでしょう。

 通信安定性の面では、本機はBluetooth5.3に対応しており、優秀です。

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 ノイズキャンセリングは、先述の様に、この世代でさらに強化されました。

 旧世代(左図)と同じ、イヤホンの内外にマイクがある構成なのですが、新モデル(左図)は、フィードバックマイクが2つに増量され、片側3マイクになりました。

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 仕組み的には、Wマイク式(自動)に当てはまります。

 耳側のノイズをセンシングして打ち消すため、ノイズ除去率が格段にアップします。

 また、周囲の状況に応じて、かかりの強度も自動調整もされる仕様となります(Adaptive Hybirid ANC)。

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 一方、マイクの数が増えたことで、同社によると、低域ノイズ(飛行機のエンジン音など)のノイズ判定が良くなったようです。

 このほか、フォワードマイクの部分に微細孔加工をなすことで、風ノイズを軽減させるなど(映像機器も出す)ソニーらしい工夫も新しく追加されました。

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 チップは、ソニーの専用設計です。

 Bluetooth SoCとノイズキャンセルにも使う統合プロセッサーV2です。その上で、ノイキャン専用の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e」も搭載します。

 結果、先述の、3マイクを利用した高度なノイキャン処理を可能にしています。

 なお、最近は、各社ノイキャン機を出し始めましたが、汎用Socを使っている場合が多いです。

 本機は、Apple同様に、SONYの自社開発で、こだわりがあります。昔からノイズ対策に相当力を入れてきたメーカーですし、精度には定評があります。

 この部分を自社開発できるAppleBOSEに比べると、ノイズの「無音化」よりも、ナチュラルにノイズ「抑える」方向性です。

 しっかり音楽が聞こえつつ、「ノイキャン疲れ」が起こりにくい部分が、聞き比べた場合の特徴といえます。この部分は、旧機より極まったように思います。

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 使い勝手も、優秀です。

 例えば、スマホの加速度センサーと連動し、歩行・走行・静止状態・電車内と状況を検知し、外音の取り込みレベル・ノイズキャンセルのレベルを自動調整してくれます。

 スマホのGPSと連動し、事前に登録した場所と連動させることも可能です。

 「アダプティブサウンドコントロール」と言いますが、移動時の実際の実用性は高いです。

 また、アンビエントサウンド(外音取り込み)モードほか、タッチセンサーによるクイックアテンションモードも利用できるため、使用中の一時的なボリューム調整も簡単です。

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 とくに、外音取込は「スピーク・トゥ・チャット」機能として、ユーザーの発声を検知した場合、勝手にモード変更してくれるため、不意に発話をしなければならない際など、便利でしょう。

 連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで8時間と長寿命です。

 バッテリーケースは、充電器を兼ねており、約2回分フル充電可能です。

 Xperiaからのワイヤレス給電もできますが、これはまあ「おまけ」でしょう。

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 マイクは、搭載です。

 ヘッドセットとして利用することができます。

 指向性を強めるビームフォーミング技術ほか、骨振動(骨伝導)センサーを利用した集音設定と、AI技術を利用したノイズ軽減など、この部分も高度です。

 音声AIは、AmazonのAlexaとGoogle アシスタントと連携できます。

 GoogleについてはAndroid系端末のみですが、AlexaはiOSでも呼べます。

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 防水性は、日常生活防水、つまり、IPX4等級です。

 1つ前の世代からイヤーチップの改良があり、ずり落ちにくくなったので、雨天でのトレーニングに使えるといえます。

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 以上、ソニーのWF-1000XM5の紹介でした。

 小型軽量化をなしつつ、ライバル社並の大きめドライバーを採用した機種です。両立しにくいこれらの要素を、ユニット自体の全体の見直しで実現した部分が本機の魅力です。

 ノイキャン部分を含めて自製できるソニーの良い部分が全面的に活かされた製品と言えます。

 もともと良かった「ノイズキャンセラの精度と効き」は、今回の改変でさらに手が入りました。外で利用する場合、良音を得るために最重要な部分ですので、この部分も高く評価できます。

 ライバルは、同じく「2マイクのノイズキャンセラ」を持つAirPods Proです。

 iOSとの連動性はH2チップの採用で、SONYは分が悪いです。しかし、ノイズキャンセラの実用性や精度、また、特に低音域のボリューム感はSONYが上回るでしょう。

 その上で、「ハイレゾに真面目に対応した」完全ワイヤレスである点で、音源自体の音質を重視する人にも向く機種です。

 音質も、良い意味で「音響専門メーカーの味」があるので、純粋にイヤホンの音質で選ぶとしても、この機種はおすすめです。個人的にも、かなり好みの音質です。


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 【2024年発売】加筆予定あり)

 5・ SONY LinkBuds Fit WF-LS910N
   ¥29,700 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC LC3
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:5.5時間
ドライバー:8.4mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4相当
重さ:4.9g×2

 LinkBuds Fit WF-LS910Nも、SONYのイヤホンです。

 2022年登場の LinkBudsというシリーズに属する現行モデルです。

 簡単に言えば、ソニーが得意な精度の高いノイキャン機能と、「小型化・軽量化」の両立を目指した製品といえます。

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 重量は、4.9gです。

 ノイキャン機能を搭載する上級機として、かなり軽量・小型と言えます。

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 イヤーピースは、4サイズ付属です。

 一方、上位機(1000XM5)よりかなり浅いタイプで、外耳道に拡げ、ウイングで固定するタイプです。その軽さとともに「フィット」の名前の由来です。

 形状全体で言えば、薄型に作ることで長時間の装着でも疲れにくくするという配慮もあります。

 新型形状なので装着感は現物を見てから加筆予定です。

 音質のパーソナライズは、ただ、ソニーの場合、上位機同様に対応です。

 フィッティングをスマホで行えますし、適切なサイズを利用すれば、フィット感を含めて問題なさそうです。

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 ドライバーは、8.4mmです。

 同社の最上位機と同じものです(ダイナミックドライバーX)です。

 先述のような形状は、(薄型軽量でも)大きなドライバーを乗せるための工夫だったと言えます。

 むろん、ハイレゾ対応水準です。

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 Bluetoothコーデックは、SBCAAC・LDACに対応します。

 「ハイレゾ対応水準」です。DSEE Extremeによるアップスケーリングにも対応できます。

 立体音響は、こちらも「360 Reality Audio」の認定製品です。

 先述のように、ソニー製の対応機の場合、個人の耳の形に応じたカスタマイズが可能です。

 ヘッドトラッキングも対応できます。

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 ノイズキャンセリングは、Wマイク式のノイキャンが搭載です。

 プロセッサは上位機同様の統合プロセッサーV2です。

 ただ、上位機搭載のノイキャン専用のQN2eは搭載しないので、この部分ではあります。

 (耳せん的な)パッシブな遮音の部分を含めて、静粛度は上位機には負けます。ただ、比べれば、という話で、本機でも、一般的には強力というべき水準です。

 使い勝手の部分でも、外音取り込みや、アダプティブサウンドコントロールの部分など、必要なものはしっかり搭載です。

 連続再生時間は、5.5時間です。

 バッテリーケースは、USB充電式で、15.5時間分のバッテリー容量です。

 マイクは、搭載です。

 MEM式の全指向性マイクですが、上位機と同様のプロセッサー(V2)のパワーと、ビッグデータとAI技術を利用した新しいアルゴリズムでも通話品質を安定させる工夫があります。

 ただ、こちらは、骨伝導センサーを搭載しませんし、マイクの数の部分を含めて、上位機とはがあります。

 音声AIは、AmazonのAlexaとGoogle アシスタントは連携できます。

 防水性は、IPX4相当です。

 雨天のジョギングなら利用できるでしょう。

---

 以上、ソニーの LinkBuds Ftiの紹介でした。

 音質面でドライバーサイズで妥協せず軽さと装着感を高めた部分で評価できます。ノイキャンは上位機との主なではありますが、スタイルも良いです。

 一方、密閉型ですが、浅型なので、没入感は上位機ほか、次に見る兄弟機に比べて負ける部分はあるのと、ウイングチップ(フィッティングサポーター)が1サイズなので、その部分で、フィット感の個人差がありそうな部分が懸念材料です。

 ここは現物を確認してから加筆予定ですが、似た形状の先行製品をみれば、おそらくたいていは問題ないようには思っています。

ーーー

 なお LinkBudsは、姉妹機がほかにあります。

 順番にみておきます。

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 【2022年発売】

 6・ SONY LinkBuds S WF-LS900N
   ¥19,700 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC LC3
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:6時間
ドライバー:5mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4
重さ:4.8g×2

 第1に、LinkBuds Sです。

 このシリーズの初代ですが、おそらく、先ほどのFitsが後継機と思え、しばらくすると終売になるかなと思います。

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 重量は、4.8gです。

 こちらも軽量です。

 耳の小さな女性でも違和感なく、快適に着けられると言えます。

 イヤーピースは、3サイズ付属です。

 こちらは、一般的な深めのカナル型(密閉型)です。

 密閉率は同社の最上位機相当なので、没入感という意味では、上位でしょう。

 軽いので、長時間の装着でも問題ないです

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 ドライバーは、ただ、5mmと小さいです。

 そのため、同社も音質面での主張が少なめです。

 一応、Bluetoothコーデックを含めてハイレゾ対応水準ですが、それに剥くスペックとも言えません。

 ノイズキャンセリングは、本機もWマイク式のノイキャンが搭載です。

 ただ、プロセッサが旧世代(V1)です。

 ノイキャン自体の精度はさほど変わらないでしょう。

 しかし、外音取り込みの精度(取込量の自動調整)や、無線の接続安定性などの部分でが付きます。これは、発売時期に由来するものなので仕方ないです。

---

 結論的にいえば、値段面ほか、形状的には「あり」な製品です。

 たしかに、プロセッサに由来する部分で、このシリーズでは下位で、ドライバも小さいです。その点で言えば、予算があれば、Fitとは言えますが、現状の価格からすれば、お買得感は高いです。

ーーーー

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 【2024年発売】

 7・ SONY LinkBuds Open WF-L910
   ¥21,355 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

 【2022年発売】

 7・ SONY LinkBuds WF-L900
   ¥19,404 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
連続再生時間:5.5時間
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:(対応)
ドライバー:11mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ:4.9g×2

 第2に、LinkBuds Openです。

 LinkBudsシリーズでは、唯一のオープン型です。

 コンセプトがかなり異なり、「外音取り込みの自然さ」を極度に追求した機種と言えます。

 なお、旧機種が残ります。

 現行機より大きな12mmのドライバーでしたが、本体も大きかったです。

 また、低音の密度は新機種のがありますし、プロセッサも1世代前なので、値段差を含めて今選ぶならば、新機種でしょう。

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 重量は、4.9gです。

 軽いですが、形状は特殊で、耳口の部分に「」を開けたオープンエアで、(アンビエント機能なしに)常時外音を聴けるというコンセプトのある製品です。

 外音を聴くという部分では、AppleのAirPods(下位機)よりも上でしょう。

 (見かけの)違和感もないデザインで、装着性も良いです。

 イヤーピースは、5サイズ付属です。

 本機も、Fitと同様、ウイングで耳にフィットさせる構造のフィッティングサポーター型です。

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 ドライバーは、ダイナミック型の11mmを採用します。

 本体の小型化のため、旧機より1mm小さくなったのですが、オープン構造らしい大きさです。

 密閉型とは方式(というか思想)が違うので比較はできませんが、旧機で言及がなかった低音域の豊かさも、このモデルでは(クリアな中高音域)に加えて言及がありました。

 実際、旧機はそこが課題でしたので、改良を加えたと言えます。

 ノイズキャンセリングは、当然ですが、非対応です。

 搭載するプロセッサ(V2)は同じですので、通話時のボイスピックアップや、接続安定性などは、同水準です。

 音質のパーソナライズは、他機とがあります。

 ソニーの場合、ノイキャンのかかりを調整する方向なので、未搭載の本機はそのように言えます。

 Bluetoothコーデックは、SBCAAC・LC3に対応します。

 「じっくり音楽を聴く」ような製品でないので、ハイレゾ(LDAC)は非対応です。

 圧縮音源のアップスケール技術(DSEE)は持ちますが、「CD音質まで」高めるものとなります。

 立体音響は、先述の「360 Reality Audio」の認定製品です。

 連続再生時間は、5.5時間です。

 バッテリーケースは、USB充電式で、14時間分のバッテリー容量です。

 そのほかは、言及したい違いはないです。

---

 結論的にいえば、本機は、音楽への没入感はある程度犠牲にしても、自然な外音を取り込みたいシーンで活躍するだろう機種です。屋外でのワークアウトには割と良いかと思います。

 ただし、オープンエア構造の製品は、音漏れがひどくあると言えます。他社の場合、音漏れを(逆側のノイキャンで)消すような仕組みを使う場合もありますが、その部分の配慮はないです。

 そのため、図書館などはもちろんのこと、乗り物での移動中では、音量をあまりあげずとも、停車時などには周りの迷惑になるので、利用できません。


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 【2023年発売】

 8・ SONY WF-C700N
   ¥14,209 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:7.5時間
ドライバー:5mm
マイク:搭載  
ノイキャン:1マイク式
防水性能:IPX4
重さ:4.6g×2

 WF-C700Nは、SONYのTWS型では、少し安めといえる入門機です。

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 重量は、4.6gです。

 軽さ・小ささは、ライトユーザーが求める部分でもあるため、そこを重視した設計です。

 イヤーピースは、3サイズから選べます。

 本体は、耳のカーブで安定させる形状です。

 小粒系ではフィット感は良さそうですが、激しい動きをするスポーツ用ではないでしょう。

 ドライバーは、5mmのダイナミック型ドライバーです。

 Budsと違い、できるだけ大きくするような工夫もなく、ここはイマイチです。

 同社の場合、小型でも低音域はでるほうですが、やはり強調はできません。

 音質のパーソナライズは、対応です。

 先述のようにノイキャン面の調整ができます。

 Bluetoothコーデックは、SBCとAACのみ対応です。

 ハイレゾには対応できません。

 通信安定性の面では、Bluetooth5.2に対応です。

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 ノイズキャンセリングは、搭載ですが、1マイク式です。

 聴いている音楽に合わせた調整はしません。

 ただ、アダプティブサウンドコントロールを持ちますので、同型式の他社機よりは優れます。

 外音取り込みは、対応できます。

 図のようにタッチセンサーを押している間だけ、一時的に外音を取り込める「クイックアテンションモード」も装備します。

 連続再生時間は、7.5時間です。

 マイクは、こちらも搭載です。

 ただ、ハンズフリー通話に使う場合、マイクの工夫はあまりないです。

 指向性の説明もなく、簡単なノイズ対策の言及があるだけです。ここも上位機とのと言えます。

 防水性は、 IPX4相当です。

 ただ、先述のように、形状的にジョギングなどには不向きでしょう。

---

 以上、ソニーのWF-C700Nの紹介でした。

 ソニー製ですが、他社の1枚マイク式のノイキャン機と比べる高めの値段です。ドライバーも小さめで、構造含めて音質面の言及もソニーとしては少ないとも言えます。

 しかし、空間オーディオやフィッティングに関わる部分で、ソニー機にしかない独自の機能も多く、値段の理由はあるといえます。

 ソニーが大事にする機能はわりと網羅されていますし、「尖って良いところはないが、目立つ欠点も少ない」製品です。

 入門機としてバランスの良い佳作モデルといえます。


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 【2020年発売】

 9・ SONY WF-XB700
   ¥12,980 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:9時間
ドライバー:12mm
マイク:搭載  
ノイキャン:
防水性能:
重さ:8.0g×2

 WF-XB700は、SONYの完全ワイヤレスイヤホンのもうひとつの入門機です。

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 本体色は、ブラック(WF-XB700 B)ブルー(WF-XB700 L)の2色です。

 重量は、8gです。

 さほど軽量性を追い求めたモデルではなく、サイズも少し大きめです。

 イヤーピースは、4サイズから選択可能です。2組付属します。

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 ドライバーはソニー製としては、最大級のサイズで12mmです。

 その上で、同社の売りとなる重低音強化技術(EXTRA BASS)に対応しますので、この部分の臨場感は期待値が高いです。

 Bluetoothコーデックは、SBCとAACに対応です。

 一方、こちらは、立体音響(360 Reality Audio)とイヤホンのパーソナライズには非対応です。

 通信安定性の面では、一方、Bluetooth5.0に対応です。

 また、左右同時伝送方式に対応するため、音ズレは少なめでしょう。

 ノイキャンは、非搭載です。

 また、外音取り込みモードもありません。

 連続再生時間は、9時間となります。

 マイクは、とくに高機能ではないですが、こちらも搭載です。

 ハンズフリー通話もできます。

 防滴設定は、IPX4相当です。

 ただし、その構造と大きさからしてスポーツ用ではないでしょう。

---

 以上、ソニーのWF-XB700の紹介でした。

 主に、低音域の迫力が欲しい方に向く製品です。

 先述のように、完全ワイヤレスイヤホンは、音質的な個性が出にくいですが、本機については、ドライバのサイズを含め、例外的に「重低音」というハッキリとした個性があります。

 音質的にも、デザイン的も、ターゲット層は若者向きで、いわゆる「ストリート系」がターゲットでしょう。

---

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 【2024年発売】

 10・ SONY WF-C510
   ¥8,746 Amazon.co.jp (
10/26執筆時

 【2021年発売】

 10・ SONY WF-C500
   ¥7,891 Amazon.co.jp (10/26執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(360 Reality Audio)
個人最適化:対応
連続再生時間:8時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載  
ノイキャン:
防水性能:
重さ:4.6g×2

 なお、同社の最安となるTWS型イヤホンは、WF-C510です。

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 位置づけとしては、軽量小型な「ファッション性重視」の格安機です。

 ドライバーは、6mmです(旧機は5.7mm)。

 同社の最近の平均値からすると多少ですが大きめです。

 これにより、旧機と比べると、各音域のバランスが向上したとされます。

 ノイズキャンセリングは、ただし、未搭載です。

 外音取り込みは、新機種では対応ですが、

 ただ、とくに音質部分に特徴がある機種でないと言えます。

---

 結論的にいえば、新旧両機種とも、性能面からは、選べない機種と言えます。

 ソニーで個性と魅力があるのは、これ以上のグレードからとも言えます。

次回につづく!
完全ワイヤレスイヤホンのおすすめは結論的にこの機種!

 というわけで、今回は、完全ワイヤレスイヤホンの比較の1回目記事でした。

 しかし、記事はまだまだ「続き」ます。

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2・完全ワイヤレスイヤホンの比較(2)
 2-1:BOSE〈米国〉
 2-2:パナソニック〈日本〉
 2-3:JVC〈日本〉  
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較(3)
 3-1:JBL〈米国〉
 3-2:ANKER 〈米国〉
4・完全ワイヤレスイヤホンの比較(4)
 4-1:Beats〈米国〉
 4-2:SHURE〈米国〉
 4-3:Bang&Olufsen〈北欧〉
 4-4:Jabra 〈北欧〉
 4-5:Noble Audio〈米国〉
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
 5-1:ヤマハ〈日本〉
 5-2:AVIOT〈日本〉
 5-3:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)

 6-1:Amazon 〈米国〉
 6-2:Google 〈米国〉
 6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
 6-4:DENON〈日本〉
 6-5:AKG〈オーストリア〉
 6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
 7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
 7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
 =予算別・目的別のおすすめの提案【結論】

 つづく2回目記事こちら)では、高級オーディオの草分けといえる米国のBOSEを見たあと、パナソニック・JVCと、日本の大手メーカーを紹介します。

音質の良さ    ★★★★★
ノイズキャンセル ★★★★★
ハイレゾ再生   ★★★★★
立体音響     
★★★★★
軽さ       ★★★★★
防水性      ★★★★★
総合評価     ★★★★★

 その上で、最終回の結論編こちら)では、今回紹介した「全製品」から、予算別・目的別に、最終的なAtlasのおすすめ機種!を提案していきます。

 引き続きよろしくお願いします。

 2回目記事は→こちら

posted by Atlas at 12:07 | オーディオ製品

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