【今回レビューする内容】2024年 ジャパニーズウイスキー人気製品の味とおすすめ・選び方:プレゼント向けウイスキー・初心者・入門向けウイスキー:製品の違いや評価・甘さ・ピート臭など国産ウヰスキーランキング
【紹介する製品一覧】サントリー シングルモルトウイスキー 山崎 白州 響 JAPANESE HARMONY 知多 700ml ニッカ 余市 宮城峡 竹鶴ピュアモルト ウイスキー ニッカ フロム・ザ・バレル マルス モルテージ 越百 モルトセレクション ニッカ カフェグレーン キリン ウイスキー ジャパニーズウイスキー富士 富士山麓 イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル 46% ヘリオス酒造 蔵 暦 長濱蒸留所 AMAHAGAN ほか
今回のお題
美味しい国産ウイスキーはおすすめはどの製品?
ども、Atlasです。
今日は、2024年9月現在、最新のウイスキー(ウヰスキー)の比較です。
このブログ「モノマニア」では、Atlas自身の酒好きが高じて、これまで、ビールや焼酎について、試飲に基づくレビュー記事を書いてきました。
今回は、「満を持して」のウイスキーの比較です。
1-1・シングルモルト
=単一醸造所のモルト(麦芽)のみ
1-2・ピュアモルト
=複数の醸造所のモルトをブレンド
1-3・ブレンデッド
=モルトとグレーン(穀物)をブレンド
1-4・グレーン
=グレーン(穀物)のみをブレンド
製法で分類しながら、日本の代表的なウイスキーをみていきます。
大学の概説講義でウイスキー関係の話題を準備した時、その過程で(ついでに)ブログ記事も作りました。
1・国産ウイスキーの比較 (1)
1-1・シングルモルト・ウイスキー
:サントリー 〈山崎・白州〉
:ニッカ 〈余市・宮城峡〉
:キリン 〈富士〉 ほか
1-2:ピュアモルト・ウイスキー
:ニッカ 〈竹鶴〉
:マルス〈越百〉
:ヘリオス〈蔵 〉ほか
1-3:ブレンデッド・ウイスキー
:サントリー〈響〉
:ニッカ 〈フロムザバレル〉
:キリン〈富士〉ほか
:長浜醸造所〈アマハガン〉 ほか
1-4:グレーン・ウイスキー
:サントリー〈知多〉
:ニッカ 〈カフェグレーン〉
:キリン〈富士〉 ほか
2・国産ウイスキーの比較 (2)
=最終的なおすすめ機種の提案
以上のような順番でみていきますが、「ジャパニーズウイスキー」の代表的な銘柄は、網羅しているかと思います。
Atlasは、国内外の製品を問わず多くの銘柄のウイスキーをストックしています。
しかし、今回は(広義の)「ジャパニーズウイスキー」について限定しています。
ご本人が愛飲する目的のほか、ウイスキー好きの方にプレゼントするのに最適な「旬な人気商品」などを紹介します。
また、最後にAtlasのおすすめウイスキーを価格別に提案します。
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1・ミネラルウォーターの比較
2・タンサンのペットボトルの比較
3・大手ビール・輸入ビールの比較
4・日本の地ビールの比較
5・日本のウイスキーの比較
6・プレミア焼酎と焼酎原酒の比較
7・ブランド米の比較
8・トクホ飲料の比較
9・野菜ジュースの比較
10・レトルトカレーの比較
11・コーヒー豆の比較
なお、今回の記事は、このブログの食品の比較シリーズの5回目記事として書きました。
1・国産ウイスキーを巡る現状
ウイスキーの「選び方」に深く関わるため、製品の比較に入る前に、「少しだけ」、日本国内のウイスキーについての現況の説明にお付き合いください。
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みなさんご存じのように、 2014年放映のNHK『マッサン』は、日本にウイスキーブームをもたらしました。
一方、ほぼ時を同じくして、ワールド・ウイスキー・アワード をはじめ、権威のある世界のコンクールで日本のウイスキーは、多くの賞を獲りました。
そのことから、日本のウイスキーは海外にも多くでまわるようになりました。
結果、2018年頃頃から生じてきたのが、ウイスキー原酒(モルト原酒)の不足です。
マッサンで有名になったニッカやサントリーをはじめ、インバウンドもあり、キリン・マルスその他の醸造所でもモルト原酒が不足する事態になっています。
ご存じのように、ウイスキーの熟成には、最低でも3年、できれば、10年以上の期間が必要です。そのため、急に増産できず、メーカーは苦労しています。
その中での窮余の策として、サントリーやニッカは、一部の主要銘柄について、「12年」「17年」などの熟成期間を明示した「エイジボトル」をラインナップから外すか、限定生産としています。
そして、通常の販路に向けては、「ノンエイジ」と呼ばれる熟成期間を明示しないウヰスキーに変更しました。ネットだとかなり「プレミア」な値段になっています。
2020年台になると、海外での日本ウイスキーの評価のさらなる高まりや、いわゆる「爆買い」もあり、ブランド力のあるものは相当高騰しました。
シングルモルトだと、ノンエイジの「山崎」、ピュアモルトでは「竹鶴」、ブレンデッドでは「響」などは、10年前の価格をしるひとは「めまい」がする感じで高いです。
原酒の増産には時間がかかるため、しばらく高値は続くでしょう。
とはいえ、特定の醸造所のブランドを除けば、現在でも「ノンエイジ」ならば、(それなりに)常識的な値段でまだ多くあります。
とくに、醸造年数が浅くても美味しいバーボン的な製法の原酒、グレーンのみの原酒、海外原酒(も)使いつつ、ジャパニーズウイスキーの「テイスト」を出したような製品ならば、さらに安めです。
ウイスキーの味は、産地や経年変化だけでは決まるものではありません。
蒸留方法・保管温度・使用原料、それこそ無数にある要素が影響して決まります。
各社のウイスキーブレンダーや生産者の努力で、日本のウイスキーは、現在も高水準な味をキープしているといえ、未来は明るいように思います。
なお、記事執筆開始(2018年頃)頃、Atlasは「ノンエイジ」表記のウイスキーボトルを全部買い直し、ウイスキーノートも付け直しました。
その後、気に入ったものは、何回か買い直し、ノートも(相当高騰して手が出ないものを除けば)付け直しています。
1-1・シングルモルト・ウイスキー
=単一醸造所のモルト(麦芽)のみ
1-2・ピュアモルト・ウイスキー
=複数の醸造所のモルトをブレンド
1-3・ブレンデッド・ウイスキー
=モルトとグレーン(穀物)をブレンド
1-4・グレーン・ウイスキー
=グレーン(穀物)のみをブレンド
以下の記事では、4つのカテゴリーに分けて、メーカー横断的にAtlasの飲んだウイスキーとその個性を紹介します。
なお、以上のカテゴリーに味の上で優劣はありません。単純に「個性の出し方の違い」と考えれば良いでしょう。
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1・日本の水で仕込む
2・国内の醸造所で上流
3・700L以下の木樽で3年熟成
4・国内で瓶詰め
一方、2021年4月に、日本洋酒酒造組合(業界団体)が「ジャパニーズウイスキー」の用語定義をしました。猶予期間がありますが、2024年までに表示も厳格化されます。
今回の記事に関連する部分で大事なのは、以上の4点です。
ようするに、日本のウイスキーでも、海外モルト・グレーンとのブレンドは「ジャパニーズウイスキー」ではないとした部分が大きな変化です。
有名どころでは、サントリーの「角瓶」、ニッカの「フロムザバレル」が規定外になります。
「角瓶」は、国内醸造の樽のみ使っているようですが、上表の「3番」が引っかかるのだと思います。
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結論的にいえば、年数や、ブレンド比率も示されない状況は「問題」でしたので、ユーザー側に分かりやすくなったことは良いかと思います。国際評価も得やすいでしょう。
ただ、公平を期して言えば、(ノンエイジばかりの)日本のウイスキーの場合、輸入原酒をブレンドした方が、味わいが増す場合も多いです。
したがって、同じ大手の製品でも「ジャパニーズウイスキー」を名乗れないもののほうが、安くて美味しいという状況は普通にあります。
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そのあたりの事情をふまえて、今回の記事では「業界定義」の「ジャパニーズウイスキー」以外の製品を含めた「日本企業のウイスキー」を紹介することにしました。
ただし、新基準非適応(の可能性)があるものは、判別が付く限りにおいてその旨を記します。その製品が、高い理由・安い理由を示すのも、重要だと思いますので。
1-1・日本のシングルモルトウイスキー
はじめに、シングルモルトウイスキーです。
つまり、原料のモルトを糖化・蒸留し、色々な種類(新樽・シーボン樽)の樽詰め貯蔵した原酒を、ブレンドした商品です。
1つの醸造所で、完結した商品であるため、「ブレンドしたものより飲みやすい」傾向があるため、初めてウイスキーに手を出す方は、シングルモルトウイスキーから選ぶのを「おすすめ」します。
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1・シングルモルトウイスキー 山崎
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1・シングルモルトウイスキー 山崎
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山崎は、京都府大山崎にあるサントリー山崎醸造所の看板商品です。
「ノンビンテージ シングルモルトウイスキー」として売られます。
比較的近所なので、醸造所の見学と試飲に何回も出向き、お世話になった醸造所です。
一方、2021年頃から醸造所名のついた「山崎」は、ノンエイジも相当高額になっており、しばらく下がる感じがしません。サントリーの他の醸造所より値上がり幅は広いです。
アルコール度数は、43度です。
40-45度が日本のウイスキーの平均値であり、こちらもそれを踏襲します。
ウイスキーのタイプは、シングルモルトウイスキーです。
日本のウイスキーは、2回蒸留します。
山崎醸造所の醸造機(ポットスチル)は、最初は個性が出やすいストレート型を使い、2度目は、雑味が少ないバルジ型を併用します。
1つの蒸留所で、異なるシステムを持ち、それらを巧みにブレンドすることで、(シングルモルトウイスキーでも)味を複雑にすることが、この醸造所のポリシーです。
なお、加熱は、扱いやすい蒸気式を採用せず、手がかかるけれども独自の個性が出やすい直火式にこだわっています。このあたりは、醸造所の「特長」として評価できます。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」で、非開示です。
ただ、色の付き具合などから判断すると、7年前後は最低貯蔵してあるでしょう。なお、海外だと3年以上の貯蔵で「ウイスキー」と法律上認められます。
ウイスキーの味は、日本のシングルモルトなかでも、甘みが際立ちます。
甘さの質は糖質系ではなく、葡萄系の酸っぱさを伴う感じです。香りも綺麗ですが、これは、樽の多くに、以前ワインに使っていたワイン樽を利用しているためと思われます。
一方、味の複雑さという点では、日本人の多くが苦手とする「ピート(泥炭)系」のクセ味は強くないです。
ただ、実際飲むとスモーキーな感じはあり、味は複雑で飲み応えありです。これは直火式ゆえか、貯蔵樽ゆえかは、私には分かりません。
木の香も漂います。これは、ジャパニーズウイスキーの評判を高める大きな要因となった、和木である「ミズナラ樽」も採用していることが大きいでしょう。
飲み始めはアルコール度数を感じる印象ですが、全体としてほどよい油分も感じられ、マッタリと飲めるウイスキーです。
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以上、シングルモルトウイスキー 山崎の紹介でした。
ウヰスキーとしては、Atlasが「評価の基準」としているものであり、「スイート」で「クリア」と世界で評価される日本のウイスキーの特長を最も表している「作品」だと思っています。
その点で言えば、最初に呑むべき一本としておすすめです。
また、ギフト用としても「名が通ったブランド」であり、無難で珍しさに欠けるかもしれませんが、お酒好きには、確実に喜ばれるでしょう。
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2・シングルモルトウイスキー 山崎12年
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3・シングルモルトウイスキー 山崎18年
¥60,500 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、壊滅的に「エイジボトル」については、近年、主要銘柄の山崎は「12年」「18年」「25年」の販路を復活させています。
ただ、山崎の「エイジボトル」は、世界レベルで考えても相当プレミアが付いています。現状では、基本的には「安めでも満足感がある」ノンエイジのものをオススメします。
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4・シングルモルトウイスキー 白州
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4・シングルモルトウイスキー 白州
¥12,700 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
白州は、サントリーがモルト(大麦の麦芽)原酒を製造する、南アルプス山麓の醸造所で作られるシングルモルトウイスキーです。
この醸造所では、グレーン(穀物)ウイスキーも生産可能ですが、この製品は、モルトのみを使っています。
白州も、最近は山崎に続いて高騰してきており、おいそれと飲めない感じんになってきました。
アルコール度数は、こちらも43度です。
ウイスキーのタイプは、シングルモルトウイスキーです。
白州醸造所の醸造機(ポットスチル)は、ストレート型と雑味が少ないランタン型を別に使います。
また、加熱も直火式と蒸気式を使い分けて、個性の異なる複数の原酒を造り分けています。
先ほど見た、サントリーの山崎醸造所の場合は、「1回目はストレート型」「直火」というこだわりがありました。しかし、白州は割と柔軟にやっているようです。
一方、蒸溜する前の発酵段階(麦酒を造る段階)で、乳酸菌が付きやすい木桶を利用する点がこの醸造所の「個性」です。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
瓶の色が緑で判別しにくいですが、いずれにしても、山崎よりは薄めです。
ウイスキーの味は、ジャパニーズウイスキーらしく甘みが強調できます。
一方、山崎に較べると、木の香り・森の香りを際だって感じます。
これは、蔵付き酵母の個性や、環境条件、シェリー樽・バーボン樽など樽のチョイスなども複数の要因があるでしょう。
ただ、南アルプス山麓の森深い醸造所という立地条件のイメージに合わせて、ブレンダーが工夫しているのだと思います。
なお、今回改めてノンエイジを飲んだところ、以前は感じていたクセ(ピート香・焦がした樽の香)は控えめで、飲みやすくなっていました。
とくに、クセは圧倒的に少ないため、初心者向けの飲みやすさという点では、山崎よりもこちらでしょう。
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以上、サントリーの白州の紹介でした。
ジャパニーズウイスキーとして「甘さ」の要素を保ちつつ、森林の香りを爽やかに感じられる優れたシングルモルトです。
瓶もオシャレですし、山崎ほどは売れていないので、お酒好きへのちょっとしたプレゼントに良いでしょう。雰囲気として、麦系の熟成焼酎が好きな方には会いそうです。
なお、白州についても「白州12年」「白州18年」「白州25年」があります(サントリーサイト)。
しかし、山崎醸造所の場合と同じく、ネットでは相当なプレミアが付いています。当面は、選択肢としなくて良いと思います。
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5・シングルモルトウイスキー 白州12年
¥26,587 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
6・シングルモルトウイスキー 白州18年
¥138,000 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
白州についても、「エイジボトル」が復活しています。ただ、ブーム前と比べると約10倍の値段です。
ちなみに、白州の25年は、2020年のWWAで「ワールドベスト・シングルモルトウイスキー」を受賞しました。
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7・シングルモルトウイスキー 余市
¥8,300 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
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7・シングルモルトウイスキー 余市
¥8,800 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
余市は、ニッカの北海道の余市醸造所で作られるシングルモルトウイスキーです。
『マッサン』で有名になった竹鶴政孝さんが、サントリー山崎醸造所を立ち上げた後、自分で開いた醸造所ですね。Atlasも、過去に何回か訪れたことがあります。
なお、ニッカは、余市も宮城峡も、ノンエイジなら、それなりに「常識的な値段」で買えます。
アルコール度数は、45度です。
ニッカは、サントリーに較べると、ややアルコール度数が高いです。
ウイスキーのタイプは、シングルモルトウイスキーです。
白州醸造所の醸造機(ポットスチル)は、個性の出やすいストレート型で、さらに、石炭を使った直火式という、日本のウイスキーとしては強烈な個性があります。これは、竹鶴政孝さんの時代からの伝統です。
竹鶴さんが修行をしたスコットランドのロングモーン蒸溜所で行われた形式を採用します。
なお、貯蔵は、ホワイトオークの樽を中心とします。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、サントリーの2つと較べると、味の違いが分かりやすいです。
特徴的なのは、クセの強さです。「ピート香」「石炭直火炊き」「樽のスモーク」に由来するだろうクセが強めです。
なお、「ピート」とは、泥炭のことで、麦芽の発芽を止める際、主に臭いを付けるために行う「燻蒸」に使われます。スコットランドのウイスキーでは、味のキーとなる重要な要素ですが、ツンとするクセがあるため、苦手とする人もいます。
ただ、スコッチのラフロイグなどと較べると、相当弱めです。
また、ジャパニーズウイスキーとして甘さはほどよくあるため、余市の場合、むしろ甘さを引き立て、味を複雑にするエッセンスとして機能しています。
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以上、ニッカの余市の紹介でした。日本のウイスキーとしては、「独特の個性」を持つため、スコッチやバーボンなどの「洋酒」をのみ付けている方には特に合うでしょう。
贈答用としては、余市を単独で送るのではなく、その他の1本をつけて「セットで飲み比べてみてください!」とするのが、気が利いていそうです。
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8・シングルモルトウイスキー 宮城峡
¥8,244 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
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8・シングルモルトウイスキー 宮城峡
¥6,460 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
宮城峡は、ニッカの宮城県にある醸造所のシングルモルトウイスキーです。
竹鶴政孝さんが、2番目に作った醸造所で、偶然にも「新川(にっかわ)」という名前の川の近くに良い水源があったそうです。
アルコール度数は、こちらも、45度です。
ウイスキーのタイプは、シングルモルトウイスキーです。
宮城峡の醸造機(ポットスチル)は、ストレート型ではなく、バルジ型です。
これは、雑味・クセを取り除きやすい方式で、余市醸造所とは逆の個性をあえて出しています。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、こちらも個性的です。
内陸部にある醸造所で不思議ですが、ソルティと言っても良い、しっかりした潮の香りが感じられます。
ただ、苦いわけでなく、甘みが強調できる味です。例えれば、スイカに塩を振れば、より甘さが際立つ、という感じでしょう。
山崎を除けば、ウイスキー独特の甘さは、最も感じられる製品です。ただ、油分はさほどない印象です。
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以上、ニッカの宮城峡の紹介でした。
個人的には(最近飲んでいないのでやや忘れていますが)スコッチのボウモア系の飲み味だと思います。
余市と個性が違うので、飲み比べると非常に面白いでしょう。ソルティで味に膨らみがあるので、Atlasとしても、今後も常飲したいウイスキーといえます。
【700ml】
9・キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士
¥5,173 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士 は、キリンが、の富士御殿場醸造所で生産するシングルモルトです。
どちらかといえば、グレーンに個性にある醸造所ですが、2023年に本製品が新登場しました。
アルコール度数は、43度です。
ウイスキーのタイプは、シングルモルトウイスキーです。
同社の醸造所内のモルト原酒のみから造られます。2種類のモルト(クリーン/エステリー系とフルーティ/クリーミー系)をブレンドしています。
バーボン樽を使うこともありますが、味の方向性は、やはり小麦系のバーボンに似ているといえます。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、果実系の味わいがありつつ、割とコクも感じる味です。
若干、若さは感じなくもない味ですが、バーボン系としてしっかり飲めます。
「富士」シリーズに共通しますが、ノンエイジのなかでは度数の割にパワフル系な味です。
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以上、キリンの 富士 の紹介でした。大手のシングルモルトでは最後発といえます。
しかし、しっかりメーカーとしての個性があります。とくに、ほどほどの重みがありつつも、香り立ちとライト感を重視しているようでした。
このタイプは、初めての方には飲みやすいでしょう。
1-2・ピュアモルトウイスキーの比較
続いて、ピュアモルトウイスキーの比較です。
この表現は、日本独特ですが、要するに複数の醸造所のモルトウイスキーを混合(ヴァッティング)し、味の深みを増すことを試みたタイプです。
【贈答用カートン付】
10・竹鶴ピュアモルト ウイスキー
¥17,521 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【贈答用カートンなし】
10・竹鶴ピュアモルト ウイスキー
¥10,355 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
竹鶴は、ニッカの代表的なピュアモルトウイスキーです。
ラインアップとしては、このほか、竹鶴17年・竹鶴21年・竹鶴25年がありますが、プレミア価格であり、お買得感はありません。
こちらも(おそらく、ネーミングと海外需要ゆえでしょうが)同社のシングルモルト以上に高騰しています。
アルコール度数は、43度です。ニッカのシングルモルトに較べると多少ですが、アルコール度数を落としています。
ウイスキーのタイプは、ピュアモルトウイスキーです。
こちらについては、ニッカの余市醸造所と宮城峡醸造所のモルトを混合(ヴァッティング)したことが示唆されます。
実際、先述の新基準で「ジャパニーズウイスキー」を名乗っていますので、少なくとも輸入原酒は不使用です。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、飲み比べると、ニッカの余市醸造所の個性とも、宮城峡醸造所の個性を合わせた感じですが、バランス感に優れます。
クセのあるピート臭は、それとなく感じられ、ソルティな潮の香りも穏やかに感じます。
その上で、醸造所に強調する甘さはキープされるので、非常にバランスが良いです。
逆に言えば「主張に乏しい」部分はありますが、食事と合わせるウイスキーとしては、かなり高度です。
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以上、ニッカの竹鶴の紹介でした。
「ピュアモルト」という手法と表現は、地域性を重視するウイスキー専門家には好評ではない部分はあります。
ただ、現実としてバランスがとれた美味しいウイスキーを良コスパで得られるこの製品はとても重要だと思います。
ウイスキーをメインとしない居酒屋(和食店)に置きたい、「脇役」として「助演賞」がとれるウイスキーでしょう。
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11・ マルス モルテージ 越百 モルトセレクション
¥4,164 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
マルス モルテージ 越百(コスモ)は、鹿児島の本坊酒造が運営する、信州のマルス信州醸造所のウイスキーです。
本坊酒造は、ニッカの創業者竹鶴政孝さんが残した「竹鶴ノート」を元に、元上司だった岩井喜一郎さんがはじめた老舗の酒造会社です。
一時期、醸造を中断していましたが、最近になり再稼働しました。
Atlasも訪れたことがありますが、ちょうど休止期間だったので、試飲と購入だけして帰った記憶があります。
アルコール度数は、43%で、サントリーと同じ水準です。
ウイスキーのタイプは、ピュアモルト・ウイスキーです。
この製品は、信州醸造所のモルトを中心として、同社の国内のモルトウイスキーをブレンドしたものです。
本坊酒造には、鹿児島にマルス津貫醸造所が2016年から稼働しましたが、信州のものです。
一方、こちらは、英国製造のモルトを使う(含有量もそちらが多い)ので、冒頭書いた2021年改訂の業界定義では「ジャパニーズウイスキー」の範囲外です。
ただし、作りは真面目です。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、甘さが際立ちます。
蜂蜜系の甘さで、今回紹介した中では、最も「甘口」といえます。
一方、甘さが際立つため、他の要素はやや中に引っ込んでいますが、逆に言えば飲みやすさではNO1です。
なお、この製品は、コルク栓タイプなので、揮発していきます。半年ほどで飲みきった方が良いですね。
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以上、マルス モルテージ 越百(コスモ)の紹介でした。
ワインで言うところの「甘口」に相当する製品です。ウイスキーの「キツい」部分が苦手な方には、この製品が合うと思います。
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12・ヘリオス酒造 蔵 ラムカスクフィニッシュ 40度
¥5,290 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
蔵 (くら) ザ・ウイスキー ラムカスク・フィニッシュ は、沖縄県の名護で泡盛を製造するヘリオス酒造の発売する「地ウイスキー」です。
2018年にAtlasは初めて呑みました。
最近は、北海道の厚岸や、静岡の山の方(オクシズ)、近江の長浜など、各地で「地ウイスキー工場」ができてきています。熟成がされないニューボーンが主ですから、レビューはしていません。
アルコール度数は、40%と多少弱めに調整されます。
ウイスキーのタイプは、ピュアモルト・ウイスキーです。
ヘリオス酒造は、古くから原酒を造っていましたが、一時休止以後、2016年から再び生産を開始しました。
ただ、こちらは、同社の原酒とスコットランド原酒のブレンドですので、冒頭書いた新定義だと「ジャパニーズウイスキー」の範囲外です。
繰り返しますが、作りは真面目なので問題ないです。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、個性として樽の木の香りが際立つ印象です。
ラム酒に使ったオーク樽で貯蔵です。飲み口は甘いですが、淡麗でさらりとしています。
タリスカー(スコッチ)のようなクセ味はありますが、比較すると、樽のカスクと、淡麗さが際立ち、目立たない印象です。
日本版の「カスクストレングス」といって良いかもしれません。
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以上、 蔵 (くら) ザ・ウイスキーの紹介でした。
「日本最南端のウイスキー」という触れ込みですが、熱暑の沖縄の風土に合った「軽く飲める」ライトテイストな味です。
考えれば、名護はオリオンビールの工場もありますし、ライトな味が合っているのかもしれません。ハイボールにも合いそうです。
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13・ヘリオス酒造 蔵 シェリーカスクフィニッシュ
¥5,490 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、シェリー樽でフィニッシュした40度のピュアモルトも2020年に出ました。
同時期に飲み比べたわけではないので、正確さは欠きますが、やはり「淡麗系」です。
際だってシェリー香が立っているわけでなく、品の良い甘さと、遠くでクセもあって、甘めですが、良い出来に思えます。
あり得ないでしょうが、遠くで、どことなく、泡盛の風を感じました。
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14・ヘリオス酒造 暦 750ml
¥6,980 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、ヘリオス酒造からは、ミニボトルでREKIというシリーズも展開しています。
こちらは、180mlのミニボトルのみの展開ですが、蔵と異なり、自社生産の原酒を利用しているシリーズとなります。したがって「ジャパニーズウイスキー」の定義範囲です。
改めて、蔵と飲み比べましたが、全く傾向が異なり、甘さとコクが際立ち、かなり飲み応えがあります。島国らしく?、遠くでソルトも感じます。
「ノンエイジ」ですが、色から判断して、恐らく、最近醸造したニューボーンと、2000年代ものを混合していると思われます。
複雑な味とは言えない部分もありますが、今後には大いに期待できるでしょう。
なお、750mlの製品は同じ名前ですが「ブレンデッド」になります。
1-3・ブレンデッドウイスキーの比較
続いて、ブレンデッド・ウイスキーです。
ブレンデッド・ウイスキーは、大麦麦芽由来のモルト原酒に、トウモロコシ・ライ麦などの雑穀由来のグレーン原酒を加えたものです。
グレーン原酒は、基本的に「主張が控えめな原酒」なので、モルト原酒の味を引き立てます。個性の強すぎるモルト原酒を「穏やかに」するために使われる場合が多く、より飲みやすい傾向があります。
ただ、安い酒だと、相当「エグい」味になる場合もあり、当たり外れが激しいジャンルです。
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15・サントリー 響 JAPANESE HARMONY
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サントリー ウイスキー 響 は、日本を代表するブレンデッド・ウイスキーです。国際的なコンクールで無数の賞を取れる、非常に実力のある製品です。
アルコール度数は、43度です。
サントリーは、この度数で基本固定です。
ウイスキーのタイプはブレンデッド・ウイスキーです。
キーモルトは、山崎醸造所のミズナラ貯蔵のモルトウイスキーで、それに複数のモルトがブレンドされます。
グレーン原酒は、工場見学の際に、サントリーのサングレイン知多醸造所由来と聞きました。この醸造所については、後ほど、改めて紹介します。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、非開示です。
色の程度では、10年前後が中心でしょう。
ウイスキーの味は、傾向としては、山崎醸造所のシングルモルトの方向性です。
ただ、よりクセがなく、香りを楽しむことを主眼に置いていそうです。
一方、上記のような表では表現しがたいのですが、複数の原酒をブレンドすることによる味の複雑性(表現のしがたさ)は、「ノンエイジ」といっても、サントリーを代表する国際ブランドだけのことはあります。
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以上、サントリー ウイスキー 響 の紹介でした。
オシャレな瓶と、数々の受賞歴をもつウイスキーで、贈答用としては確実に喜ばれるでしょう。
以前は「1万円以下のラインがない」状況でしたが、ノンエイジものが出て、非常に買いやすい値段になっているので、今まで躊躇していた方が試すならば、格好の時期だと思います。
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【贈答用カートン付】
16・サントリー 響 17年
¥91,963 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、響についても、エイジボトルがあります。
ただ、一般的に流通しておらず高いです。また、現行では(値段が付けられない!)「響21年」「響30年」のみがラインナップされており、「響18年」「響30年」は休売中です。
したがって、ネットで見られるのは、プレミア価格が付いたストック品となります。
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【贈答用カートン付】
17・サントリー 響 BLENDER'S CHOICE
¥18,300 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【贈答用カートンなし】
17・サントリー 響 BLENDER'S CHOICE
¥16,500 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
一方、2018年から、響 BLENDER'S CHOICEという「ノンエイジ」の特別版(飲食店向け販路用)を販売しています。
Atlasはボトルでは買っておらず、味のレビューは控えます。ただ、(少し)試飲した感じでは、甘さが強調された感じです。
あとで確認したところ、ワイン樽熟成原酒がキーのようなので、納得でした。おそらく、同醸造所のミズナラ貯蔵の樽不足に由来する「特別版」です。
かなり飲みやすいので、珍しいもの好きな方には良いかもしれません。
【贈答用カートンなし】
18・ニッカ フロム・ザ・バレル
¥6,328 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
フロム・ザ・バレルは、ニッカの発売する人気のブレンデッド・ウイスキーです。
なお、こちらは、500mlサイズですので、通常の700mlと比較すれば、3000円台半ばのグレードの製品と見なせます。
アルコール度数は、51度です。
原酒ではないですが、割水をほとんどしていない製品です。スコッチで言えば、マッカランの「カスクストレングス」に似た非常に力強い味がします。
ウイスキーのタイプは、ブレンデッド・ウイスキーです。
こちらについては、使用しているモルト・グレーンの出所が非開示です。
キーモルトはニッカの所有する原酒で、グレーンも、キーは宮城峡醸造所のカフェ型連続蒸留器を利用したものだと思われます。
ただ、近年は「一部輸入原酒を使用」という表記がはいりますので、業界団体による定義の「ジャパニーズウイスキー」範囲からは外れます。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、価格に比してグレードが高いです。
51度という度数もありますが、油分を感じられる旨口で、ストレートでも非常に飲み応えがあります。
一方、果実系の甘さ・香りも強く感じられるため、日本のウイスキーの傾向と旨みをかなりの程度感じられます。
なお、この製品は、 INTERNATIONAL SPIRITS CHALLENGE という、国際的にも権威のあるコンテストで、2015年に最優秀賞をとっています。格安のお酒としては快挙で、受賞した年度は、酒屋からこのお酒が全く消えていました。
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以上、ニッカのフロム・ザ・バレルの紹介でした。
値段は割と安いですが、実力は相当あるお酒です。味の傾向も、日本のウイスキーの個性の延長線上にあるため、外国でもよく売れている製品です。
プレゼント用としては、カートン入りがないのですが、例えば、お酒の好きな「お父さん・お母さんへのプレゼント用」として、手作りのラッピングなどを施すと良いかもしれませんね。
ただ、少し強いお酒なので「飲みすぎ注意!」とカードを添えましょう。
【700ml】
19・キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士
¥5,415 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士 は、キリンが 同社の富士御殿場醸造所で生産するウイスキーの1つです。
先述のように、富士はもともと「グレーン」を主体にした工場でした。そのこともあり、少し前までは、この醸造所だと、ブレンデッドが従来は「主役」でした。
実際、本製品は、従来の代表格だった「富士山麓」の後継商品といえそうです。
アルコール度数は、43%です。
ウイスキーのタイプは、ブレンデッド・ウイスキーです。
富士御殿場醸造所には、グレーン用に、バーボンと同じ方式の連続蒸留器が複数あります。
米国のキリン系列のバーボンの樽を利用しているので、味の傾向はすこし似ます。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、昔よく飲んでいた「富士山嶺」と比べると、度数と製法の違いか、パンチがやや弱めに思えました。
甘さと華やかさは感じますし、深みもあります。
ただ、同醸造所が新しく出したシングルモルトと比べると、個性付けがイマイチに思えます。
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以上、キリンの シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士 の紹介でした。
同社の場合、ここまで見たシングルモルト・ブレンデッドと、後ほど見るシングルグレーンが「3本柱」になります。
飲み比べると面白いです。ただ、個人的には(気合の入った開発だろう)新参のシングルモルトと、長いこと作っていたことで熟成樽も多いだろうグレーンの方が、飲み比べると美味しく感じます。
その意味、このブレンデッドは、それらに比べるとですが今ひとつピンとは来ませんでした。
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20・キリン 富士山麓 Signature Blend 50%
¥4,580 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
ただ、キリンの場合、従来の「富士山麓」のノンエイジ版といえるSignature Blendが、2018年から出ています。
こちらは、度数50%の無濾過で、とてもパンチのある、力強く個性的な味です。
ただ、輸入原酒を一部ブレンドする作りなので、新しい「ジャパニーズウイスキー」の定義からは外れます。
しかし、端的に言って、1つ上の富士のブレンデッドよりこちらのが美味しく、個性的で、飲み応えもあります。
いま、富士御殿場蒸溜所のウイスキーを買うならば、実際、これが一番良いように思います。
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【500ml】
21・キリン キリンウイスキー陸 50度
¥1,399 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
このほか、2022年登場の少し安めのブレンデッドウイスキーが「陸」です。
同社の原酒は「主体」で「厳選した海外原酒をブレンド」にはなるのですが、国産の値段の高騰をふまえると「値頃感」がある製品です。
とくに加水なしのノンチルタード(無濾過)の50度ですので、このクラスの製品としては「濃くて香る」といえます。
サントリーの角瓶(40%)がライバルでしょう。容量単価はだいたい同じほどですから。
ただし、角瓶は、冒頭書いた2021年の規約改正(日本洋酒酒造組合)でジャパニーズウイスキーは名乗れませんが、全量自社の国内樽ではあるため、比較はできません。
【贈答用カートンなし】
22・イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル 46%
¥5,090 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベルは、2006年に稼働したベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所の販売するブレンデッド・ウイスキーです。
以前は、原酒の販売のみでしたが、製造にも転じました。
また、同社で醸造した製品は、日本のクラフトウイスキーブランドとしては初めて、WWAで部門賞を得ています。
アルコール度数は、46%で比較的強めのお酒です。
ウイスキーのタイプは、ブレンデッド・ウイスキーです。
同社の場合、創業してからやや日が浅いため、キーとなるモルトは秩父醸造所のものですが、日本を合わせた世界五大ウイスキーのウイスキーをブレンドして出しています。
純粋にジャパニーズウイスキーではないですが、ブレンドの良さから、非常に売れており、最も安いホワイトラベルでも、最近プレミアが付き始めました。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、こちらも熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、多少説明が難しいです。というのも、基本的にロットごとに味が異なるからです。
Atlasが今飲んでいる125番のロットの場合の評価は、上記の通りです。
アルコール度が高いので、最初にパンチがあり、さりげなく、邪魔にならない香りと丁寧な味が流れていく感じで、「ちょびっと」ずつ味わいながら飲むお酒でしょう。
なお、この製品は、コルク栓タイプなので、揮発していきます。少なくとも半年ほどで飲みきった方が良いでしょう。
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以上、秩父醸造所の イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベルの紹介でした。
醸造所の個性を楽しむと言うよりも、ロットごとの味の違いを楽しむタイプのお酒です。ジャパニーズウイスキーしては、亜流ですが、「クラフトウイスキー」として非常に楽しいお酒です。
23・長濱蒸留所 AMAHAGAN アマハガン No.3
¥7,598 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
ミズナラ ウッド フィニッシュ ワールドモルト エディションは、滋賀県の長濱蒸留所が発売するブレンデッドウイスキーです。
2016年に蒸溜を開始したばかりの蒸留所ですので手持ちの樽はまだ限られていますが、WWA2020の日本ウイスキーで、部門最高賞をとりました。
「日本ウイスキー」の「モルトブレンデッド」の「ノンエイジ」と相当ニッチな分野ではあったのですが、その後も安定して美味しいウイスキーを出しています。
アルコール度数は、47%で、少し強めです。
ウイスキーのタイプは、ブレンデッド・ウイスキーです。
ただし、外国産のものを含めて、モルトのみのブレンドです。量的には、自社のモルトの割合はまだ少ないようです。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、熟成期間は非開示です。
ウイスキーの味は、甘さと木(ミズナラ)の香りがとても強い傾向です。
アルコール度数に由来するパンチが最初に来たあと、日本らしい上品なミズナラウッドの香りが気持ちいお酒です。カスクが強めで、「個性的で美味しいな」と素直に感じました。
ただ、公平を期して言えば、複雑な味ではないですが、初心者にはむしろ向くでしょう。
比較なので、原酒のまま呑みましたが、割ってもよさげです。
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以上、の長濱蒸留所のミズナラ ウッド フィニッシュの紹介でした。
やや甘いですが、思った以上に個性的で、美味しかった印象です。クセがないので、「初心者向けにオススメの珍しいもの」を訊かれたら、Atlasは、今ならこれを推すでしょう。
24・シングルモルト長濱 THE FIRST BATCH
¥29,800 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、2022年に待望のシングルモルトが登場しました。初年度からなので5年なので、まだまだ、若いです。
買おうと思ったら完売でした。(ビールのみがてら)長浜の醸造所にもいきましたが、やはりなかったです。
ネットではありますが、ここだけは(結構いきつけなので)「直で買いたい」ので諦めました。まだ買えません・・・。
思い返せば、同社からは、醸造から3年経った2020年5月に、バーボン・シェリー・ミズナラ樽でフィニッシュさせたシングルモルト長濱が出ています。
欲しかったのですが、思い出せば、こちらも即完売のプレミアでした。
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【No.1 】
25・AMAHAGAN World Malt Edition
¥5,736 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【No. 2】【ワインウッドフィニッシュ】
26・AMAHAGAN World Malt Edition
¥6,283 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【No. 4】【山桜ウッドフィニッシュ】
27・AMAHAGAN World MaltEdition
¥5,686 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
また、同社は、2018年から、ベースとなるEdition NO.1に対して、ワイン樽、山桜樽でフィニッシュさせたバージョンの販売もあります。先ほどの、No.3の受賞作も、No.1をベースに、ミズナラでフィニッシュさせたものです。
個人的に長浜に行くたびに1本買っていて、「全制覇×2」くらいしました。Atlasは、ワインも好きという部分もあるでしょうが、ワインウッドフィニッシュがお気に入りです。
1-4・グレーンウイスキーの比較
最後に、ジャパニーズウイスキーの「新ジャンル」として最近登場してきた、グレーンウイスキーを紹介します。
ポッドスチルを使うモルト原酒と異なり、工場規模の連続蒸留器を使って、穀物から高濃度のアルコールを抽出する方式で作られています。
従来、日本では、モルト原酒を引き立てる「脇役」でしたが、蒸溜の程度を変えることで、穀物の香りを残した原酒を使ったグレーンウイスキーが最近出ています。
主に「ハイボール用」としてですが、ストレートでも、意外に飲みごたえがあります。
【贈答用カートン付】
28・サントリー ウイスキー 知多 700ml
¥6,598 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【贈答用カートンなし】
28・サントリー ウイスキー 知多 700ml
¥5,790 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
サントリー ウイスキー 知多 は、サントリーの知多醸造所で作られるグレーンウイスキーです。
アルコール度数は、43度です。
ウイスキーのタイプは、グレーンウイスキーです。
3種類の蒸溜の方法で、「ライト」「ミディアム」「ヘビー」という原酒を造り、それをブレンドすることで作られています。
知多醸造所で完結しているので「シングル・グレーンウイスキー」と言っても良いでしょうが、穀物は1種類とは限らないので、そう名乗らないのだと思います。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、非開示です。
ウイスキーの味は、相当「ライトな味」と言えます。
飲み口は非常に軽く、ストレートで飲むと「タンサンのない濃いめの角ハイボール」といった印象で、相当程度飲みやすいです。
ブレンデッド・ウイスキーやモルトウイスキーに較べて、クセが弱いのですが、その分、香り・甘さ・旨みが引き立つため、まさにハイボールや水割り向きなウイスキーです。
実際、通常のハイボールに較べて薫りがかなり立つので、「超高品質なハイボール」ができます。
ストレートで飲む場合は、「淡麗」ですが、旨みもあるため、ヘビーに飲みたくない場合などに向きそうです。
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以上、サントリー ウイスキー 知多の紹介でした。
「大酒飲み」には、特有の「薄さ」はネックでしょう。
ただ、このウイスキーは、ハイボールなどで割ってこそ実力を発揮します。基本的に炭酸で割って飲むという方は、こちらを試す価値は十分にあります。
【贈答用カートン付】
29・ニッカ カフェグレーン
¥9,380 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
【贈答用カートンなし】
29・ニッカ カフェグレーン
¥7,570 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
ニッカ カフェグレーンは、ニッカの宮城峡醸造所で作られるグレーンウイスキーです。
アルコール度数は、43度です。
ウイスキーのタイプは、グレーンウイスキーです。
ニッカの場合も、連続蒸留器を用いますが、カフェ式連続蒸留器という 19世紀から存在する古いタイプの蒸留器を使っています。
この場合、蒸溜できるアルコール度数は限られます。
しかし、通常の連続蒸留器ではこそぎとられてしまう旨みの成分が残ります。
そのため、同じく連続蒸留器を使う新大陸のウイスキーように、かなり質の高い穀物由来のウイスキーができます。
ウイスキーの味は、同じグレーンとはいえ、知多に較べて特性がかなり異なります。
穀物由来の甘さを圧倒的に感じる上で、複雑な苦みやクセがあります。ピート臭はもちろんありませんが、味に深みがあります。
個性が強いのでハイボールというよりは、ストレートかロックで飲みたいものです。また、それに耐えうる力強さがあります。
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以上、ニッカ カフェグレーンの紹介でした。
スコットランドを見本としてきた、竹鶴政孝さんの傾向とは一線を画するものです。
どちらかといえば、新大陸のウイスキー・バーボンに近いですが、その方向性のお酒としては、かなり高度です。その上で、甘さ・香りの面では、日本人が好むようなブレンドです。
一方、相当珍しいお酒で、あまり街中では見かけません。そういった意味で、「珍しいお酒をプレゼントしたい」という方は、おすすめです。味もよいので、きっと喜ばれるでしょう。
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【贈答用カートンなし】
30・ニッカ カフェモルト
¥8,580 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
なお、姉妹品として、上述のカフェ式連続蒸留器に、モルト原酒を入れたバージョンもあります。
連続蒸留器をかけていますが、意外と雑味が残っており、ポッドスチル式と較べても遜色ありません。樽由来の木の香りも高く、こちらも実力のあるお酒です。
こちらについては、バーで飲んだきりなので、もう少し研究を深めます。また、改めてレビュー記事を更新します。
【贈答用カートンなし】
31・キリン シングルグレーンウイスキー 富士
¥4,755 Amazon.co.jp (9/4執筆時)
シングルグレーンウイスキー 富士は、キリンの富士御殿場醸造所で作られるグレーンウイスキーです。
先ほど、同醸造所のピュアモルトとブレンデッド(富士山嶺)は既に紹介しました。
そちらでも書きましたが、同社は、バーボン風の連続蒸留器(ダブラー蒸留器)や、サントリー・ニッカのような多塔連続蒸留器(マルチカラム)、基本モルト用に使われるケトル蒸留器と3通りの方法で、グレーンを作っています。
それぞれ、ヘビー・ミディアム・ライトな味わいで、個性が異なるとされますが、それらをブレンドしたものが本製品です。サントリーの知多と似た手法です。
ただ、キリンの富士御殿場醸造所は、グレーンの評価が高く、25年ものエイジボトルで、WWAの部門賞(ワールドベスト・グレーンウイスキー」)をとっています。。
アルコール度数は、46度です。
ウイスキーのタイプは、グレーンウイスキーです。
ウイスキーの貯蔵年数は、「ノンエイジ」であり、非開示です。
ウイスキーの味は、知多よりもヘビーで、バーボン(麦系)に近い味わいです。
度数をふまえたパンチがありつつも、コクもあるため、飲み応えがあります。同社のブレンデッドの「富士山嶺」よりも、素直です。甘みもあります。
こちらは、そのままで美味しいので、ハイボールというより、ロックなどで飲んだ方が良いでしょう。
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以上、シングルグレーンウイスキー 富士の紹介でした。
Atlasは、結構バーボンも常飲するので、違和感ないです。メーカーズマークほか小麦系のバーボンに味が似ており、結構なじみの味です。
そのため、この味がグレーンだけで作った特有の味で「個性的」かと言われると微妙な部分はあります。ただ、改めて飲みましたが、素直に「美味しい」というしかないです。
先述のように、古くからの樽が多くあるので、バリエーションが出しやすいのかもしれません。先ほど書いた「富士山麓」と共に、最も美味しく感じるキリン製品です。
次回に続く!
美味しい国産ウイスキーのおすすめは結論的にこれ!
というわけで、今回は、日本のウイスキーの比較の1回目記事でした。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
続く後編記事(こちら)では、今回紹介したウイスキー全てから、いつものように、価格別・目的別にAtlasのおすすめウイスキーを提案していきます。
引き続き、よろしくお願いします。
後編記事は→こちら
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