【今回レビューする製品】2022年ネットワークHDD(NAS)の性能とおすすめ・選び方:上級者向けのマルチメディア対応ケースNAS:Synology QNAP ReadyNAS
【比較する主な製品】 QNAP Turbo NAS TS-233 TS-233K/AZ TS-251D 2G 4G TS-231P TS-431P TS-231K TS-431K TS-131K TS-230 TS-431P3-4G TS-451D2 TS-231P3-4G TS-364-4G Synology DiskStation DS220j/JP DS220j DS120j/JP DS218play/JP DS418play/JP DS420+ DS220+ DS720+ DS920+ DS419slim DS420j ASUSTOR DRIVESTOR 2 Pro AS3302T 4 Pro AS3304T AS1102T AS1104T
今回のお題
最新のNAS(ネットワークストレージ)のおすすめはどれ?
どもAtlasです。
今日は、2022年4月現在、最新の家庭向けのNAS の比較の3回目記事です。
1・一般向けのNASの比較
・用途:各種のデータ保存
・容量:1TB〜16TB
・価格:1万円〜
= 入門者向けの格安NAS
2・マルチメディアNASの比較
・用途:TV動画の保存・視聴
・容量:1TB〜4TB
・価格:2万円〜
= 動画整理が大得意なTV向けNAS
3・上級者向けNASの比較
・用途:企業や専門家向け
・容量:(HDD別売)
・価格:2万円〜
=高度な機能を持つ上級NAS
4・おすすめNASのまとめ 【結論】
=目的別のおすすめNASの最終提案
1回目記事・2回目記事では、主にHDDを最初から内蔵するタイプの初心者・中級者向けNASを比較してきました。
3-1:Synology〈台湾〉
3-2:QNAP〈台湾〉
3-3:ASUSTOR〈台湾〉
今回の3回目記事では、「ケースのみの多機能NAS」を紹介していきます。
NETGEAR(ReadyNAS )が撤退したので、以上、3社の機種を扱います。
ただし、ケースNASは、企業用があり本格的なものは「天井知らずの価格」なので、基本的に10万円以内のモデルに限定しています。
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なお、続き記事なので、ケースNASを特化して探しているのでない方は、1回目記事(こちら)からお読み頂いた方が分かりやすいかと思います。
よろしくお願いします。
3・ケースのみのNASの比較
というわけで、ハードディスクが付属しないNAS用のケースを紹介していきます。
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なお、以下では、Atlasのおすすめポイントを赤字で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
3-1・SynologyのケースNAS
はじめに、台湾のSynologyのケースNASです。
高性能NASは台湾勢が強いですが、同社も昔から日本で多くの製品を展開しています。
【2020年モデル】
24・Synology Diskstation DS220j
25・Synology Diskstation DS220j/JP
¥22,720 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:最大32TB×2
読出速度:112MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
DS220j/JP は、台湾のSynologyが発売する「Jシリーズ」に属する製品です。
日本でも人気で、かなり売れているモデルです。
2機種ありますが、JPとあるモデルのみ、日本語の説明書が付属です。
ハードディスクは、2機搭載可能です。
容量としては、16TBのHDDを2機まで搭載させる能力があります。
3.5インチのHDDのほか、付属のホルダーを利用すれば2.5インチHDDの取り付けも可能です。
【1TB−14TB】
・WD Red Plus NAS
¥8,906〜 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
なお、HDDは別に買うことになります。
NASについては、性質上「耐久性が重要」になるためサーバー用の高耐久HDD(WD REDなど)が人気です。
他ブランドからも出ますが、たいがいが「赤色」で区別できるようにしています。
HDDへの転送速度は、スペック的には112MB/秒
ただし、本機の有線LANは、超高速マルチギガビット(2.5GbE)には対応しないので、RAID 0時も最大1000Mpbs(125MB/秒)あたりが、ボトルネックとなるでしょう。
SSDも、SATA接続ならば、公式に対応します。
ただ、先述のようにLAN部分にボトルネックがあるのでもったいない気はします。
CPUは、Marvell Armada 385 88F6820を採用します。
こちらは、4コアの1400MHzです。
HDDを利用した場合のメーカーの公表する、HDDの実測値は上表の通りです。
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NASとしてできることは、次の5つです。
第1に、ファイルサーバー機能です。
特に見所と言えるのは、データ同期機能です。
ネットワーク上の複数のパソコンのデータの同期が可能なほか、Google Drive、OneDrive、Dropboxなどのネットワークストレージとの同機も可能です。
また、特定のファイルにリンクを付けて、知人と共有化する、Dropboxなどにみられる機能もありあす。
第2に、メディアサーバー機能です。
この部分が充実するのがこの機種の人気の理由の1つです。Video StationというWindows/Mac対応のNAS用のビデオ管理ソフトで、録画ファイルを簡単に、整理・管理できます。
ニッチな部分では、有志の作った字幕情報やビデオ情報をネットから同期できます。
スマホについては、iOS/Androidについて、写真用のDS photoと、音楽用のDS audio、動画用のDS videoという専用アプリが用意されます。
そのほか、Apple TV、Google ChromecastなどについてTVでのストリーミング再生の仲介も可能です。
なお、オーディオについてもiTunesサーバー機能も持ちます。
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第3に、テレビの録画ムーブ機能です。
この製品は、デフォルトでは、DTCP-IP規格対応の明示がなく、非対応です。
ただ、製品購入後に追加アドオン(1000円弱)としてDiXiM Media Serverを購入できます。
これは、DTCP-IP規格対応の、サードパーティの組込アプリで、導入後には、レコーダーなどからのムーブ対応となります。
DTCP-IP+規格ではないので、外出先からの視聴はできませんが、自宅内ならば、視聴できます。
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第4に、外出先からのファイルへのアクセスです。
この部分は問題なく対応します。必要なファイル検索も容易で、高機能です。ファイルについては、全文検索も可能です。 DDNSも無料です。
第5に、自動バックアップ機能です。
この部分も問題ありません。フォルダ単位の同機も、全体の同期も可能ですし、暗号化にも対応しま
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以上、SynologyのDS215j//JPの紹介でした。
初心者には難易度が高そうですが、いざ入れてしまえば、設定などはさほど難しくありません。
このタイプでは、「最も初心者に優しい機種」だと言えます。とくに、マルチメディアサーバーとして考えている場合は、DiXiM Media Serverを導入できる部分は大きいでしょう。
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【2019年モデル】
26・Synology DiskStation DS120j/JP
¥13,192 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:最大32TB×1
読出速度:112MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
なお、同社のJシリーズの本機の1ドライブ版として、 DS120j/JPという製品があります。
RAIDが組めないですが、上で書いた基本性能はほぼ網羅されており、また、幅の部分で3cmほど小型です。
ドライブが1機なので、騒音評価も少しだけ良いほか、電源も36Wと40%ほど節電です。
一方、(1ドライブ版なので)処理速度が不要のためCPUのグレードが下位であるほか、Cloud Station Serverなど企業向け機能が、省略されます。
そのかわり、発売時期の関係か、SSDドライブの速度低下を防止するTrim機能をフォローしています。
実際的にはボトルネックがあるので(不要でしょうが)【内蔵SSDドライブの比較】で紹介したようなものを利用する場合には良いでしょう。
【2018年モデル】
【2ベイ】
27・Synology DiskStation DS218play/JP
¥28,000 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】
28・Synology DiskStation DS418play/JP
¥50,310 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:32TB×2
読出速度:112MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
DS218play/JPも、Synologyの製品です。
Value シリーズという同社のラインの製品で、ややビジネスよりのデザインです。
4ベイの大きめのモデルもあります。そちらは、並行運用を想定して少し良いCPUを積みますが、できることは同等です。
CPUは、64bitのRealtek RTD1296です。
先ほどみた、JシリーズのDS220jと同じもので、4コア1.4GHzです。
ただ、システムメモリが下位機の2倍の1GBですから、すこし性能差はあるといえます。
なお、Jシリーズと比較する場合、本機は 4Kライブトランスコーディングをサポートします。
そのため、タブレットなど 4K Ultra HD画質が表示できない媒体でも、リアルタイムで視聴できます。
恐らく家庭用として運用する場合のJシリーズとの大きな違いは、その部分だけです。
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以上、Value シリーズのDS218play/JPの紹介でした。
映像データ自体は、Jシリーズでも扱えますが、家庭用としては、4K非対応な端末で、4K動画の対応が迫られる場合、本機は選択肢となりそうです。
【2020年発売】
【2ベイ】【2コア 】
29・Synology DiskStation DS220+
¥39,000 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】【2コア 】
30・Synology DiskStation DS420+
¥65,115 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【2ベイ】【4コア】
31・Synology DiskStation DS720+
¥51,480 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】【4コア】
32・Synology DiskStation DS920+
¥69,000 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:64TB×4(上位機)
読出速度:112MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
DS220+ など、これらの製品は、SynologyのPlus シリーズに属する上位の製品です。
3機種ありますが、ベイの数のほか、大きくこのなるのは、CPUとメモリーの性能です。
DS220+ DS420+は、2コアのCeleron J4025 (2.0 GHz)、DS720+ DS920+は、4コアのCeleron J4125 (2.0 GHz)です。
上位機搭載のCPUは、スコアが3000超えですから、安物のノートPC並の性能があります。
Synology D4NESO-2666-4G
¥10,081 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
Transcend PC4-21300 (DDR4-2666)
¥4,975 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
内蔵メモリーは、D920+のみ4GB(最大8GB)で、それ以外は2GB(最大6GB)です。
スロットが1つ開いているので、4GB増設して、8GBまで増設して利用してもよいでしょう。
なお、純正以外は保証対象外ですが、価格差をふまえても、一般的には(自己責任で)サードパーティ製を選ぶ方のほうが多そうです。
M.2 2280 NVMe SSD: SNV3400-400G
¥30,869 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
WD M.2-2280 NVMe WDS500G3B0C-EC
¥6,692 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
その上で、 DS420+以上については、内蔵SSDスロット(M.2 SSD規格)が2基あります。
SSDは、記憶容量ではなく、Fast ハイブリッドHDDのようなキャッシュとして利用します。
純正は400Gモデルです。(自己責任ですが)サードパーティ製でも恐らく問題ないでしょう。
一方、Value シリーズと比較した場合の違いは、Btrfs機能です。
要するに、NAS内の高度なバックアップ機能の1つです。本格的なバックアップをとる前に、一時的に保管する場所を用意し、人為的なバックアップ時のデータ抹消を防ぐものです。
そのほかは、4Kエンコードの部分を含めて、Value シリーズと、家庭用して使う分には、機能は同じです。---
以上、SynologyのPlus シリーズの紹介でした。
割と売れているのですが、いずれも、完全に業務仕様です。
しっかり管理できる方がいないと意味が無いものですし、家庭用としても、また、小規模オフィス用としては、だいぶオーバースペック気味に思えます。
【2019年モデル】
【4ベイ】【2コア 1.33GHz 512MB RAM】
33・Synology Diskstation DS419slim
(¥44,800) Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】【4コア 1.4GHz 1GB RAM】
34・Synology Diskstation DS420j
¥37,380 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:最大16TB×4
読出速度:112MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
DS419slim も、台湾のSynologyが発売する「Jシリーズ」に属する製品です。
DS420jは、その兄弟機で、大きめの機種になります。
HDDへの転送速度は、本機の場合、223MB/秒です。
ただ、これは、2つある1000BASE-TのLANポートを並列につなぐ、Link Aggregation利用時の話です。
超高速マルチギガビット対応というわけではないので、しきいはさらに高いでしょう。
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結論的にいえば、かなりの程度、ネットワークのスペシャリストがいる企業の業務用です。
3-2・QNAPの製品
続いて、台湾のQNAPです。
同社は、Synologyのライバル機種の1つで、日本でも「ケースNAS3強」の一角です。
【2020年モデル】
【1ベイ】
35・QNAP TS-131K Turbo NAS
¥24,345 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【2ベイ】
36・QNAP TS-231K Turbo NAS
¥44,369 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】
37・QNAP TS-431K Turbo NAS
¥43,000 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:300MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
TS-x31K シリーズは、台湾のNASメーカーの QNAPが販売する、ケースNASです。
【1TB−14TB】
・WD Red Plus NAS
¥12,980〜 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
ハードディスクは、別売です。
3.5インチのHDDのほか、2.5インチHDDの取り付けも可能です。
先述のように、サーバー用の場合、耐久性が高い「WD RED」などが良いでしょう。
HDDへの転送速度は、スペック上の読み出し速度の最大値は300MB/秒です。
先述のように、ギガビット有線LANの最大速度は、最大1000Mpbs(125MB/秒)です。
そのため、LANの利用が前提ならば、本機も112MB/秒前後にボトルネックがあるでしょう。
SSDも、S-ATAについては接続できます。
ただ、LANの部分がボトルネックになるので速度的なメリットはないです。
CPUは、Annapurna Labs Alpine AL-212で、4コアの 1700 MHzです。
32bitのAmazon AnnapurnaLabs製で、サーバー用となります。
QNAP USB 3.2 Gen 1 5GbE アダプタ QNA-UC5G1T
¥13,555 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
ただ、QNAPについては、速度が出せるUSB-C端子があるので、自社のアダプタを介して運用すれば、300MB/秒となる、という理屈です。
NASとしてできることは、この機種の場合、次のとおりです。
第1に、ファイルサーバー機能です。
データ同期については、こちらも視認性の高い仕組みを利用しています。
その上で、この製品は、セキュリティに関する仕組みが充実しており、例えば、NASの不具合を知るため、定期的に、スナップショット(復元用データ)を自動保存していく機能があります。
そのほか、電子メールのクライアント機能なども付属し、どちらかと言えば、法人用に便利な機能が充実します。
Qfile
¥0 Apple App Store
Qfile
¥0 Google Play
第2に、メディアサーバー機能です。
他社同様に、スマホ用アプリが用意されます。Qfileは、写真の同期やファイルアクセス、音楽のストリーミング再生が容易に可能です。
なお、動画は、AVIと MP4の対応です。
ストリーミングは、DLNA対応端末のほか、【STB機器の比較記事】で書いたようなApple・Amazon・Googleの端末にも、公式対応を表明しています。
第3に、テレビの録画ムーブ機能です。
こちらは、デフォルトではDTCP-IPに対応しません。
ただし、sMedio DTCP MOVEというアプリを、同社のApp CenterからNASにダウンロードすれば、ムーブ対応になります。この部分は、DS218playと同じです。
・QNAPウェブアプリ
・Synology ウェブアプリ
・ASUSTOR ウェブアプリ
なお、2社ともかなりの拡張アプリがあります。
機能的に重複するものも多いですが、サイト的なわかりやすさについて言えば、QNAPのが分かりやすいです。
第4に、外出先からのファイルへのアクセスです。
この部分も問題なく対応します。アドオンを追加することで、「ウェブ上のOS」のように使えます。簡単な文書を作成することもできますが、この部分は、他のクラウドサービスのが充実する部分ではあります。
第5に、自動バックアップ機能です。
こちらについては、かなりの高機能です。
クラウドストレージを含めた、多数のサービスと連携し、(故障時も)「確実にデータが飛ばないよう」多重防衛策を取る仕組みです。
フィジカルなバックアップについても、全面のUSB端子にメモリーを差し込むと、自動的にバックアップがはじまる「ワンタッチコピー機能」など、多機能です。
その上で、Dropboxのように、個別ファイルに友人(クライアント)を招待できるような仕組み(共有リンク形式)にしています。
また、Synologyの上位機のように「スナップショット」にも対応します。
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以上、QNAPのTS-x31K シリーズの紹介でした。
SynologyのJシリーズが恐らくライバルでしょう。
双方できることはあまり変わりませんが、アプリのレベルでDiXiM Media Serverを使えるynologyのほうが、メディアサーバー機能の使い勝手は良いでしょうか。
ただ、QNAPは、管理画面(OS)を含めて作り込まれています。
とくに、業務・保守関係で有効そうなアドオンの数も多いため、色々なことにチャレンジしたい場合(特にビジネス面)では、総合的にはこちらが良さそうです。
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【2020年モデル】
【2ベイ】【4コアCPU】
38・QNAP TS-231P3-4G
¥51,180 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】【4コアCPU】
39・QNAP TS-431P3-4G
¥60,280 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:224MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
なお、QNAPからは、より上位の4コア搭載製品があります。
CPUは、Annapurna Labs Alpine AL-314で、4コアの 1700 MHzです。
HDDへの転送速度は、特に記述はないです。
ただ、2ポートある本機の有線LANの片方は、超高速マルチギガビット(2.5GbE)です。
ギガビットの限界はRAID 0時も最大1000Mpbs(125MB/秒)でしたが、この場合、ケーブル部分のボトルネックは、最大2500Mpbs(312.5MB/秒)です。
むろん【Wi-Fi6ルーターの比較記事】で紹介したような高性能ルーターほか、対応機器が必要ですが、RAID 0時は、このスペックがほぼフルに活かせそうです。
このシリーズの旧機種は、LANケーブルを並行に2本使うリンクアグリゲーション式でしたので、今回の改編で、家庭でも利用しやすくなりました。
そのほか、強力な処理能力を活かして、NAS内に保存したテキストファイルの全文検索機能(Qsirch)と、設定後、自動的にファイル構成する機能(Qfiling)が利用できるなど、進化を見せています。
Synologyも全文検索は機能として持ちますが、プロセッサのほか、利用するメモリ量を考慮に入れると、実用度の高いのは、4GBのシステムメモリの本機です。 ビジネス用に検索などを考えているならば、こちらでも良いでしょう。
【8GB】
Qnap RAM-8GDR3L-SO-1600
¥35,092 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
なお、最大8GBまで増設できますが、同社製を利用してとの指示があります。スロットは1つですので、入替です。
【2022年モデル】
【2ベイ】(2機は同じ性能)
40・QNAP TS-233
¥32,950 楽天市場 (4/27執筆時)
40・QNAP TS-233K/AZ
¥32,739 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【2020年モデル】
【2ベイ】
40・QNAP TS-230
¥22,255 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:114MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
TS-233は、QNAPの家庭向けの入門用NASです。
新モデルは流通経路で2つの型番がありますが、性能は同じです。
一方、旧機種は、CPUが旧式(Realtek RTD1296 quad-core 1.4GHz)です。
新機種は、ARM 4-core Cortex-A55 2.0GHzになりました。
HDDを利用する場合の速度は同等です(上図は旧機種の値)。
ただ、NPU(AI専用のプロセッサ)を搭載したことで、新型は画像認識(顔・物体認識)に対応しました。
一般家庭向けとしても、処理負担の多いビデオエンコーディングなどにおいて、従来機と性能差が出てきます。
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結論的にいえば、今選ぶならば、新機種でしょう。
設計は、本体構造を含め、あくまで「家庭向け」ですが、その分安く、サイズもコンパクトです。
2ベイモデルのみラインナップされています。
【1TB−14TB】
・WD Red Plus NAS
¥8,096〜 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
ハードディスクは、本機も別売です。
3.5インチのHDDのほか、2.5インチHDDの取り付けも可能です。
HDDへの転送速度は、スペック上の読み出し速度の最大値は、114MB/秒です。
SSDについても、SATAモデルについては、公式に対応します(最大750MB/秒クラス)。
ただ、ここまでも繰り返し書いてきたように、イーサネットポートが、ギガビットLANなので、SSDを利用することで速度的なメリットは生じないでしょう。
あえて言えば、本機のUSB3.0(USB3.2 gen1)につなげる場合については、ある程度それは活かせます。
CPUは、ARM 4-core Cortex-A55 2.0GHzで、4コアの 2000 MHzです。
コア数が多いですが、NAS用の廉価版CPUという位置づけです。
また、本機については、Armらしいですが、NPU(AI専用のプロセッサ)を搭載です。
このNASは、写真アプリ(QuMagie)を内蔵しますが、その利用の際など(スマホアプリのように)人物別に写真の整理を高速に行えます。
ギガビット有線LAN利用が前提なら問題ないスペックです。ただし、USB経由だと上位機よりも速度は出ない製品です。
メモリーは、2GBです。
本機については、増設は非対応です。
NASとしてできることは、基本的に、QNAPのTS-x31K シリーズで紹介したことは一通りできます。
ウェブアプリにも対応しますし、家庭で利用するならば、問題ないでしょう。
ストリーミングも、DLNA対応端末のほか、【STB機器の比較記事】で書いたようなApple・Amazon・Googleの端末にも、公式対応を表明しています。
そのほか、細かい部分ですが、本機は、少し大きめの8cmのファンを採用し、それを割とゆっくり回しているようで、騒音値が15dBとかなり静かです。
また、大型モデルに比して、消費電力も20%ほど低いので、この部分も家庭向きと言って良いでしょう。
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以上、QNAPのTS-233の紹介でした。
CPU性能の部分を含めて、業務向けの信頼性や実効速度を重視する場合は、本体の作りをふくめてTS-x31K シリーズのほうが無難でしょう。
ただ、家庭向けの「ケースNAS」と考えた場合、静音性・低消費電力という部分に配慮があるのは重要です。
同社の便利アプリも上位機同様に利用可能なので、(あまり負荷をかけず)趣味用などに気軽に使いたいならば、本機では良いと思います。
【2020年モデル】
【2ベイ】【メモリ2GB】
41・QNAP TS-251D-2G
¥55,085 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:982MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
TS-251Dは、台湾のNASメーカーの QNAPが販売するNASの上位モデルです。
ハードディスクは、本機も別売です。
なお、本機は、SSDにも公式的に対応します。
CPUは、本機は、2コアのIntel celeron J4005を採用します。
ただ、1つ上で見た後発のTS-233にスペックで遅れをとります。
AI用のNPUも非搭載です。
【Qnap製】
DDR4-SO2400-8GB-KIT(4GB×2)
¥6,980 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
DDR4-SO2400-16GB-KIT(8GB×2)
¥----- Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【シリコンパワー製】
DDR4-SO2400-8GB(4GB×2)
¥4,880 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
DDR4-SO2400-16GB(8GB×1)
¥4,280 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
メモリーは、2GBです。
本機は、インテル系のCPUとの組み合わせということもあり、普通にノート用の DDR4-2400(PC4-19200) が使えるので、あまり需要がないのでしょう。
公式には、同社製のメモリーで、最大8GB(4GB×2)までが保証の限りです。
ただ、自己責任ですが、仕組み上、それ以上でも動く蓋然性は高いですし、ネットでは稼働報告もありました。もちろん、上記の純正品は高めなので、(自己責任で)他社のメモリーでもOKでしょう。
2枚1組で同じものを付けてください。
HDDへの転送速度は、スペック上の読み出し速度の最大値は982MB/秒です。
先述のように、ギガビット有線LANの最大速度は、最大1000Mpbs(125MB/秒)ですので、何らかの「トリック」があるわけです。
もちろん、HDD自体の回転速度のボトルネックもあるので、この数値はSSDを利用したものです。
【10Gbps有線LAN ×1】
QNAP QXG-10G1T
¥16,599 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【10Gbps有線LAN ×2】
QNAP QXG-10G2SF-CX4
¥32,158 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
本機の場合、ファンの上に取り付けられた、ロープロのPCIe拡張スロットがあります。
ここに、10GbEのネットワーク拡張カードなり、USB-C(USB 3.2 gen2)カードなりを挿入すれば、高速化も可能という話になります。
ちなみに、同社の計測時はQXG-10G1Tを利用したようです。
その上で、本機は、4K/60Pの出力が可能なHDMI2.0端子を持ちます。
TVなどの近くに置き、直接出力することも可能です。
NASとしてできることは、基本的に下位機種と同じです。
便利な、Qsirch(全文検索アプリ)やNotes Station 3(ノート共有アプリ)に対応します。
その上で、Synologyの上位機のように、4K ビデオトランスコーディングに本機も対応します。
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以上、QNAPのTS-251Dの紹介でした。
不必要なネットワークアダプタをむやみに増設して高額にせず、拡張スロット式にした点が評価できます。
用途としては、サイズ面からしても、やはり業務用ということになるでしょうが、SSDで贅沢にNASを組む場合、選択肢とはなるでしょう。
とくに、TS-233にないHDMI2.0対応がマストの場合はこちらと言えます。
【2022年モデル】
【3ベイ】
42・QNAP TS-364-4G
¥72,800 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:271MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
TS-364-4G は、QNAPの3ベイタイプの高級機です。
ハードディスクは、本製品も別売です。
というより、本機は、むしろ、SSDを利用することで真価を発揮する機種と言えます。
イーサネットポートが、もとから2.5GbE対応だからです。
USB接続でなくても、SSDの速度が活かせますので。
転送速度は、メーカーの実行値で271MB/秒です。
HDDでも、速度を活かせるものはあると言えますが、回転速度(静音性)や耐久性の部分をふまえれば、SSDを前提とするべき機種なのかと感じます。
ちなみに、SSDについても、グレードがあります。
【内蔵SSDの比較記事】のほうで詳しく説明しました。
CPUは、本機は、インテル系を採用し、Intel Celeron N5105/N5095 との表記です。
いずれも4コア 2.0 GHz のCPUでです。世代は同じですが、N5095のがクロックのバーストが可能でやや上級になります。
書き方が分かりにくいのですが、両方搭載ではない(どちらかが)載っているということでしょう。
スコア的には、どちらも、下手なPCより良い水準です。
【シリコンパワー製】
DDR4-SO2400-16GB(8GB×1)
¥4,280 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
メモリーは、4GB(4×1)です。
最大16GB(8×2)まで増設できます。
NASとしてできることは、基本的に下位機種のできることはできます。
AIによる画像認識についても、ニュートラルエンジンではなく、Google Edge TPUを利用する形式ですが、対応します。【こちら】の端末を利用します。
PCIeスロット(M.2 2280 )が2つあるので、その1つに差します。
一方、本機については、HDMI端子も装備されますが、HDMI2.0には非対応です。
4K/60Pは出せません。
その他の部分は、基本的に、家庭で使う分には、下位機種とほぼ同じと考えてください。ただし、3ベイ機なので大きめです。
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以上、QNAPのTS-364-4Gの紹介でした。
個人向けの上級機と言うより、企業向けのマルチメディア対応機といったところです。
ただ、SSDを中心にまわして、スピードが欲しい場合は、個人でも選択肢になるでしょう。
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【2020年モデル】
【4ベイ】
43・QNAP TS-451D2
¥59,800 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:300MB/秒(最大)
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
なお、4ベイ型の大型ですが、S-451D2 という製品もあります。
CPUは、本機は、Celeron J4025 です。
先ほどの機種より1ランク落ちる2コア 2.0 GHz のCPUです。
HDD部分は、ギガビットLANクラスなので、速度的に112MB/秒前後にボトルネックがあります。
ただ、4ベイでHDMI2.0端子を搭載する部分で、映像用に使われる方には、なにかしらの使途があるかとは思います。
とはいえ、一般機には選択肢にしずらい機種でしょう。
3-3・ASUSTORのケースNAS
最後に、台湾のASUSTORのケースNASです。
台湾のASUSグループで、ストレージをメインに展開する企業です。
比較的安い価格帯のNASに強みがあります。

【2021年】
【2ベイ】
44・ASUSTOR DRIVESTOR 2 AS1102T
¥21,500 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】
45・ASUSTOR DRIVESTOR 4 AS1104T
¥36,600 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
Drivestor は、台湾のASUSTORの入門用のケースNASです。
外観のチェック柄は独特ですが、ASUSも昔、周辺機器でこんな感じの柄を使っていたので、何かしらこだわりがあるのかと思います。
ハードディスクは、それぞれ、HDDを2機・4機まで搭載させる能力があります。
HDDへの転送速度は、2基でRAID1を組んだ場合、上表の数値を出します。
本機については、2.5GbEポートを装備するので、それによりこの速度を実現します。
SSDならより速くできそうです。
ただ、CPUの関係もあってか、3.5インチHDDのみであるので、その高速モデルを選ぶということになろうかと思います。
CPUは、Realtek RTD1296 quad-core 1.4GHzで、4コアの 1400 MHzです。
QNAPにもみられた、NAS用の廉価版CPUです。
NASとしてできることは、この機種の場合、次のとおりです。
第1に、ファイルサーバー機能です。
データ同期は、基本的にどの種類でも可能です。
パソコンの丸ごとバックアップやファイルバックアップに対応します。
AiMaster:制御
AiDownload:ダウンロード管理
AiVideos :動画視聴
AiMusic:音楽再生
AiFoto 3:写真整理
AiData:データアクセス
AiSecure:ホームセキュリティ
AiRemote:リモートキーボード
第2に、メディアサーバー機能です。
以上のアプリを利用可能です。基本、他社にできて、本機できないものはないといえ、充実します。
ただ、統合アプリでない部分は、利便性の部分で甲乙はありそうです。
第3に、テレビの録画ムーブ機能です。
こちらも、デフォルトではDTCP-IPに対応しません。
ただ、QNAPと同じでsMedio DTCP MOVEというアプリを、同社のApp CentralからNASにダウンロードすれば、ムーブ対応になります。
・QNAPウェブアプリ
・Synology ウェブアプリ
・ASUSTOR ウェブアプリ
やはり、同社の場合、拡張アプリは充実します。
加えて、Synologyの上位機のように 4Kライブトランスコーディングをサポートします(10ビット4K H.265トランスコーディング)。
再生の際に内蔵メモリの半量(512MB )を動画用に開放するメディアモードも利用可能です。
2社ともかなりの拡張アプリがあります。
機能的に重複するものも多いですが、サイト的なわかりやすさについて言えば、QNAPのが分かりやすいです。
そのほか、外出先からのファイルへのアクセス・自動バックアップ機能を含めて、他社機と差はないです。
一方、本機はファンがありますが、19デシベルという静音性を公開している点は、ワンポイントかと思います。
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以上、ASUSTOR DRIVESTORの紹介でした。
CPUの関係でSSDは扱えないようですが、2.5GbE LAN搭載で、HDDを利用する限りにおいて速度はMAXという製品です。
欲を言えば、もう少しCPUがあったほうが良い気もしますが、4Kエンコードもできる仕様ですし、そもそもHDDで完結する予定の方については、本機は結構良いかと思いました。
ウェブアプリ・スマホアプリも充実しており、他社に引けをとっていません。選んでも良いでしょう。
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【2021年】
【2ベイ】
46・ASUSTOR DRIVESTOR 2 Pro AS3302T
¥32,800 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
【4ベイ】
47・ASUSTOR DRIVESTOR 4 Pro AS3304T
¥44,600 Amazon.co.jp (4/27執筆時)
HDD容量:
読出速度:
動画のムーブ:有料(DTCP-IP)
スマホでの動画視聴:対応
自宅外からのアクセス:対応
なお、本機の上位機種となる「プロ版」もあります。
ハード面での仕様の違いは、メモリー量が倍量(2GB)である点です。
そのほか、形状的にドライブを外して保管したり、持ち運んで他のNASに付け替えたりできる、MyArchiveにも対応となります。
それ以外は同じですが、動画エンコード目当てに買われるならば、メモリーは合った方が良いでしょうし、こちらを選んだほうが良いかもしれません。
次回に続く
最新のNASのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、上級者向けのケースNASを紹介しました。
しかし、記事は、もう少しだけ「続き」ます。
1・一般向けのNASの比較
・用途:各種のデータ保存
・容量:1TB〜16TB
・価格:1万円〜
= 入門者向けの格安NAS
2・マルチメディアNASの比較
・用途:TV動画の保存・視聴
・容量:1TB〜4TB
・価格:2万円〜
= 動画整理が大得意なTV向けNAS
3・上級者向けNASの比較
・用途:企業や専門家向け
・容量:(HDD別売)
・価格:2万円〜
=高度な機能を持つ上級NAS
4・おすすめNASのまとめ 【結論】
=目的別のおすすめNASの最終提案
アクセス速度 ★★★★★
ビジネスでの利用 ★★★★★
テレビ録画の保存 ★★★★★
動画・写真の保存 ★★★★★
オフィスでの共用 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
次回の4回目記事(こちら)では、今回紹介した全ての機種から、目的別・予算別に、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。
引き続き、どうかよろしくお願いします。
4回目記事は→こちら!