Top オーディオ製品 比較2025'【高音質】新型AVアンプ31機の性能とおすすめ・選び方【初心者〜上級者】(1)

2025年06月14日

比較2025'【高音質】新型AVアンプ31機の性能とおすすめ・選び方【初心者〜上級者】(1)

【今回レビューする内容】2025年 高音質で安い!AVアンプの性能とおすすめ・選び方:AVレシーバー DOLBY ATMOS 4K 120P 8K HDR10+対応 5.1ch 7.2ch 9.2ch 9.4ch 11.2ch 15.4ch:人気機種の違いと性能ランキング

【比較する製品型番】ヤマハ RX-V4A RX-V385 RX-V6A AVENTAGE RX-A2A RX-A6A RX-A4A RX-A8A ソニー STR-DH790 STR-AN1000 デノン AVR-X580BT AVR-X580BTK AVR-X580BT AVR-X580BTK AVR-X1800H-K AVR-X1800HK AVR-X1700H-K AVR-X2800H-K AVR-X3800H-K AVC-X6800H-K AVC-X6700H AVC-A10H-K AVC-A1H-K マランツ CINEMA 70S/FN 70S /FB CINEMA 40 CINEMA40/FB 50/FB CINEMA 30 CINEMA30/FB オンキヨー ONKYO TX-NR6100 TX-RZ50 TX-RZ70 JBL MA710 WHT MA710WHTJN MA9100HP WHT JBLMA9100HPWHTJN パイオニア Pioneer VSX-LX305 VSA-LX805 ほか

今回のお題
ホームシアター向けのAVアンプのおすすめはどの機種?

 どもAtlasです。

 今日は、2025年6月現在、最新のシアター向けのAVアンプの比較です。

 「初めてのAVアンプ」に最適な、4万円前後の入門機から、10万円以上の本格的な製品まで広くみていきます。

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1・AVアンプの比較記事 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】
 1-2:ヤマハ
 1-3:ソニー
2・AVアンプの比較記事 (2)
 2-1:DENON
 2-2:マランツ
 2-3:オンキヨー
3AVアンプの比較記事 (3)
 3-1:JBL
 3-2:パイオニア
 3-3:最終的なおすすめの提案【結論】

 今回は、「選び方の基本」を解説してから、主に、チャンネル数予算とから各機を分けて、順番に比較します。

 メーカーは、最大手のDENONをはじめとして、ヤマハ・マランツ・SONY・ONKYOなど、主要メーカーの製品は、ほぼ網羅します。

アンプのパワー  ★★★★★
チャンネル数   ★★★★★
仮想サラウンド  ★★★★★
ネットワーク再生 ★★★★★
設置性      ★★★★★
ノイズ対策    ★★★★★
総合評価     ★★★★★

 以下の記事では、いつものように、各製品を比較していきます。

 そして、最後の「結論」では、上表のような観点から、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。

ーー

1・プリメインアンプの比較
2・AVアンプの比較
3・サウンドバーの比較
4・ミニコンポの比較
5・ステレオスピーカーの比較
6・シアター用スピーカーの比較

  なお、今回は、このブログモノマニアの音響関係比較記事の第2回目記事として書きました。

1-1・AVアンプの選び方の基本

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 はじめに、「AVアンプの選び方の基本」についてです。

 AVアンプは、ホームシアター構築に「マスト」のオーディオ機器として、ハウツー本などに紹介されます。

 しかし、ホームシアターを初めて構築しようという初心者の方に「必ずしもおすすめできる家電ジャンル」でもないことを、あらかじめ断っておきます。

 そのため、以下では、「AVアンプとほかのアンプとの違い」を解説してから、「AVアンプのスペックの読み方」を解説して行きます。

1・AVアンプの接続方法

1・AVアンプ
2・プリメインアンプ
3・サウンドバー

 というわけで、「AVアンプとほかのアンプとの違い」をみていきます。

 以上の3種類のオーディオ製品の違いを順番にみていきます。


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 第1に、AVアンプです。

 この記事をご覧の皆さんが「狙っている」ものでしょう。

 サイズは、製品によって異なります。

 ただ、平均15cmほどの背丈があるほか、幅も他の種類のアンプより必要です。

 これは、スピーカー端子数に相応するパワーが必要だからです。

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 設置位置は、基本的に、ブルーレイプとテレビの中間の位置になります。

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 上図のように【ブルーレイなど→AVアンプ→テレビ】の順でつなぎます。

 【ブルーレイなど→TV→アンプ】の順だと、著作権保護の関係でマルチチャンネル音声信号が送れないからです。

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 一方、最近のAVアンプは、eARC HDMI対応の製品が増えました。

 その場合、AVアンプを中間に挟まない、上図の様なつなげ方でも、マルチチャンネルの伝送が可能です。

 ただし、TV側もeARC HDMIに対応する必要があります。

 対応する機種は最近増えマシが、それで全てではないです。それ以外だと、基本は、AVアンプを中間に挟む使い方になります。

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 価格は、入門用構成で、アンプ部分だけで4万円です。

 それに、【ホームシアター用スピーカーの比較記事】で書いたような、5.1chの入門用を揃えて4万円、合わせれば、8万円程度です。

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 結論的にいえば、AVアンプは、(バーチャルではない)本格的なサラウンド環境を構築したい覚悟のある方に「のみ」おすすめすできる、「本格派」です。

 とくに、後ろのサラウンドスピーカーの配線を有線ケーブルで構築する場合、ケーブルが部屋の美観を損ねて、家族の不興を買うのは必至なので、注意しましょう。


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 第2に、プリメインアンプ 」です。

 基本的には「音楽用」として売られているものです。

 サイズは、AVアンプよりは「加減」があります。

 特に、高さは平均13cm程で、小型モデルも多いです。

 これは、AVアンプと違い映像信号の経由がないため、映像端子や複数のアンプを搭載しないで済むからです。

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 接続配線は、【ブルーレイなど→TV→アンプ】の順、ないし、映像とは別に出す場合は、映像関連機器→アンプ】の順での配線で、シンプルです。

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 プリメインアンプ は、基本的に5.1chなどの映画館のような多チャンネルは扱えず、ステレオです。

 ただ、スピーカー2本でステレオ構成にしたい場合(2ch構成)、または、それに低音を強調するサブウーハーのみ付ける構成(2.1ch)の場合は、基本的に、設置性においてAVアンプより有利です。

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 価格は、入門用構成で、アンプ部分だけで2万円、【ブックシェルフスピーカーの比較記事】で書いたような、小型の入門用ステレオスピーカーと合わせて、4万円もあれば、組めます。

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 結論的にいえば、5.1chのサラウンド環境の構築が「マスト」ではないならば、この方式を考えても良いでしょう。


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 第3に、サウンドバー」です。

 デンキヤでは、テレビコーナーにある場合も多い、アンプ内蔵スピーカーです。

 多チャンネルはバーチャルサラウンド(仮想的な5.1ch)の機種が多いですが、高級機だと、壁の跳ね返りを利用したリアルサラウンドな機種、または、両方のハイブリッドな仕組みをもつ機種もあります。

 サイズは、スピーカーとアンプの一体型なので、最もコンパクトです。

 シアター用としても手軽です。

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 接続配線は、AVアンプと同じです。

 上図の様に【ブルーレイなど→AVアンプ→テレビ】の順でつなぎます。

 eARC対応TVの場合はAVアンプと同じつなぎ方もできます。詳しくは【サウンドバーの比較記事】で詳しく説明しています。

 価格は、5.1ch以上の「リアルサラウンド機」の場合は、総額8万円、バーチャルを組み合わせた、サブウーファー付きでよければ、2万円台から可能です。

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 結論的にいえば、配線について「家族の同意」がとれそうになく、かつ、多チャンネル再生をしたい場合、この方法が「無難」です。

 テレビの下の部分に「1つの長いスピーカー」を設置するだけですから。

 音質は、ヤマハ製品を含め、昔は「おもちゃ並み」でした。

 しかし、最近は、4Kなどの大型テレビの普及で需要が伸びた結果、製品の音質は飛躍的に向上しています。

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 というわけで、AVアンプを含む3種類のアンプを紹介しました。

1・AVアンプの比較
2・プリメインアンプの比較
3・サウンドバーの比較

 このブログ「モノマニア」には、どの種類の製品も比較記事があるので、ニーズに合わせて選ばれると良いかと思います。

 ただ、今回紹介するAVアンプで作るホームシアターは、正しく音場を構築できたときの「破壊力(迫力)は凄まじい」です。

 音楽中心ならば、2.0chのステレオ構成をおすすめしますが、「映画好き」ならば、このシステムに挑戦すると良いでしょう。

2・AVアンプのスペックの読み方

1・インピーダンス
2・定格出力

 つづいて、AVアンプを選ぶ場合、重要になるスペックの「読み方」の解説です。

 説明したいのは、インピーダンス定格出力です。

 音楽用アンプの場合、この2つの値が、スピーカー側のインピーダンス許容入力と相性が良いかが、重要になります。

 しかし、AVアンプ選びにおいては、さほど重要視しなくても良いです。

 その理由を、順番に解説します。

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 第1に、インピーダンスです。

 AVアンプでは、オーム(Ω)の値で、8Ω・6Ω・4Ωなどの数値として示されます。

 例えば、のスピーカーを使うとして、のアンプだと、音は鳴りますが、保護回路の関係で「電断」「音の暴走」などのトラブルが生じる可能性が高まります。

 逆に、のスピーカーを、アンプを鳴らすのは問題ないです。

 ただ【ホームシアター用スピーカーの比較記事】で書いたような、もともと「セット構成」として販売されている「シリーズもの」で揃えるならば、気にする必要はないです。

 なぜなら、メーカー側が心得ていて、シアター向けのセットは、8Ω・6Ωのスピーカー・AVアンプしか出していないからです。

 好きに組みたい場合も、昔のものや、特殊なスピーカーで組む場合を除けば、「4Ωのスピーカーは少し注意」と覚えておけば、まずOKです。

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 第2に、定格出力です。

 AVアンプでは、ワット(W)の値で示される数値です。

 これも、AVアンプの場合、あまり気にする必要はないです。

 なぜなら、音楽用のアンプと違い、AVアンプは格安機でも出力が十分に高いからです。メインスピーカーに、大きなトールボーイ型などを使う場合でも、問題ないです。

 AVアンプは、各社とも、定格出力(=メーカーが規定するひずみ率に収まる最大音量)と、実用最大出力(=MAXの音量)を示すのが普通です。

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 結論的にいえば、AVアンプの場合、「スピーカーとの相性」は、選ぶ場合、そう大きく心配する必要はないです。

 ただし、出力は「音質面」の比較要素の1つなので、今回の記事でも注目します。

 パワーに余裕がある高級機は、安定した大電流の供給できるので、駆動に余裕があり、特に低音域の音質が高まる部分があるからです。

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 というわけで、ここまでは、前提情報となる、「AVアンプの選び方の基本」について紹介してきました。

1・AVアンプの比較記事 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】
 1-2:ヤマハ
 1-3:ソニー
2・AVアンプの比較記事 (2)
 2-1:DENON
 2-2:マランツ
 2-3:オンキヨー
3AVアンプの比較記事 (3)
 3-1:JBL
 3-2:パイオニア
 3-3:最終的なおすすめの提案【結論】

 これをふまえながら、冒頭書いたような企業順に、AVアンプを紹介していきます。

 なお、全てのメーカーについて(ほぼ)値段順に並べて紹介しています。

1-1・ヤマハのAVアンプ

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 はじめに、ヤマハのAVアンプからです。

 AVアンプを古くから出す日本企業で、AVアンプでは、自社製の独自のサラウンド技術に特に見どころがある企業です。

 入門用AVアンプから高級AVアンプの順で、同社の製品をみていきます。

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 以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。


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 【2020年発売】

 1・ヤマハ RX-V4A
  ¥38,547 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

チャンネル数:5.1ch
定格出力:80W (6Ω)
実用最大出力:141W(1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
立体音響:
HDMI入力:4系統 (eARC)
HDMI出力:1系統
オーディオ:光1 同軸1
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ171x奥行377mm

 ヤマハRX-V4A(B)は、ホームシアター入門用RXシリーズのAVアンプです。

 同社はAVアンプを「AVレシーバー」と呼び、旧来の用途に問わない多機能性をアピールしています。

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 本体サイズは、幅435x高さ171x奥行377mmです。

 2020年に10年ぶりに入門機のデザインを刷新しました。

 先述のように、AVアンプは基本的には、高さ方向に「デカい」の特徴ですが、新機種になって、奥行も少し増えましたので、設置スペースは注意してください

 チャンネル数は、最大5.1chです。

 つまり、センター1本・フロント2本・リア2本のスピーカーと、低音用のサブウーハー1機を、スピーカーセットの基本構成とします。

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 テレビ出力は、4K/60pに対応します。

 4Kに対応するには、HDCP2.2などの新規格のHDMIなどに対応する必要があります。

 今回紹介する全製品は全て「4Kテレビ対応」ですが、この部分で、中古や型落ち製品も選択肢に入れている方は注意しましょう。4Kアップスケーリングにも対応です。

 8Kテレビ用に、8K/60p信号にも対応できるほか、ゲーム用に4K/120Hzにも対応です(要ファームウェア更新)。

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 一方、本機は、HDR(HDR10)や、新4K放送に採用されるHLGにも対応します。

 HDRは、従来よりも輝度を上げ、映像のコントラストを上げられる技術です。次世代規格のUltra-HDブルーレイにも採用されました。

 【ブルーレイプレーヤーの比較記事】でも紹介したように、近年の映画のブルーレイ版でも採用されてきています。

 一方、最新のTVは、【4KTVの比較記事】でも紹介しましたが、HDRに対応しない画質をHDR並にアップコンバートする機能を搭載しているため、現状ではAVアンプのHDR対応は「マスト」と言えるでしょう。

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 さらに、「HDRの上位互換」となるHDR10+やDOLBY VISIONにも対応します。

 したがって、対応メディアの点では、入門機ながら「無双」です。


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 アンプのパワーは、定格出力で、各スピーカーに対して80W (6Ω)です。

 インピーダンスは表記なので、冒頭書いたように、4Ωのスピーカー以外は問題なく使えます。

 実用最大出力は、JEITA基準(1k 1ch 6Ω))141Wです。

 冒頭書いたように大きいほど、駆動が安定的ですが、この価格クラスの平均値は超えています。

 再生周波数帯域は、低音域方向(小さいほどスペックが良い)10 Hzで、高音域方向(大きいほどスペックが良い)で100 kHz となっています。

 ただ、国産のAVアンプは、最近はどのメーカーもこの表記ですし、比較の意味は薄くなりました。

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 ハイレゾ音源は、周波数帯域的に対応できます。

 D/Aコンバーターを、ハーブラウンの384kHz/32bitにするなど、この機種は「豪華」です。

 Ultra HD Blu-rayは、(CDより音質の良い)ハイレゾ音源をフォローするので、この部分のスペックは、今後重要です。

 サラウンド技術は、DOLBY TrueHDDTS-HD Master Audioに対応します。

 一般的な、5.1chの再生に問題ない仕様です。

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 仮想的なサラウンド再生も、対応します。

 後方に2スピーカーの設置が無理な場合など、前方にSPを設置しても、音の跳ね返りなどを利用して、擬似的に5.1chを再現できます。シネマDSPという名称です。

 また、本機は、TVより後方のプレゼンススピーカーを擬似的に再現できる「シネマDSP 3D 」に対応します。

 リアのサラウンドスピーカーをしっかり据え付けられる環境の場合でも、この機能は有効でしょう。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が4系統、HDMI出力(TVへ)が1系統です。

 これに、音声入力用の光端子が1つ、同軸端子が2つ付属する構成となります。

 なお、本機は、HDMI端子がeARC仕様です。4K著作権保護コンテンツ(Ultra HD Blu-rayブルーレイなど)の接続における柔軟性は高いです。

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 ネットワーク機能は、BluetoothWi-Fi・有線LANを装備します。

 第1に、Bluetoothは、SBCとAACの対応ですので、圧縮音源レベルの音質ですが、スマホとのリンクには便利です。

 第2に、Wi-Fiは、ハイレゾ音質までフルに対応できます。

 また、DLNA規格に準拠した製品ならば、ネットワーク再生が可能です。

 対応PC(ソフト)からの再生のほか、【おすすめNASの比較記事】で紹介したような、ネットワーク上のサーバーからの再生も可能です。Apple系のAirplay 2にも対応です。

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 音楽ストリーミングは、Wi-Fiが装備されるので、当然「対応」します。

 Amazon MusicSpotifyの二強を網羅し、スマホに依存せず再生できます。

 とくに、最近Amazonでは、ハイレゾ音源を聴き放題サービスの音源の多くに採用しています。

 自由にフル利用するには、Amazon Music Unlimitedの料金が必要ですが、充実します(調査時:月額1,180円・会員980円で、年割もあり)。

 無料試用もできる(こちら)ため、事前に試して見るのもよいでしょう。

 そのほか、【Amazon Alexa端末の比較記事】で紹介したような、同社の端末から、音声で、アンプの操作をさせることも可能です。

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 動画ストリーミングは、TV・レコーダーほかを媒介させれば、Netflixでもなんでも使えます。

 スマホを媒介にWi-Fi経由でのキャストは非対応です。AVアンプに対して映像もキャストできるようなものは、(不要でしょうし)今のところないです。

 ラジオは、AM・FM・ワイドFMに対応できます。

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 セッティングは、外部マイクが付属し、室内の音響特性を最適化する技術(YPO)が使えます。

 設置の容易性は、入門機でも配慮があります。

 そのほか、本機は、新4K衛星放送の音声規格(MPEG-4 AAC)に対応します。

 PCMに変換されたデータを受けられるので問題はないのですが、外部機器によっては、マルチチャンネルが消えていたのですが、その対策となります。なお、2020年以降に発売された各社の製品は、今回言及がなくても、基本この仕様です。

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 以上、ヤマハRX-V4A の紹介でした。

 本機は、本体が刷新されたと同時に、ネットワーク面や映像規格面でも「最新化」されました。

 結果、格安「入門機」の「新基準機」と言って良いほど、欠点がない機種となっています。

 現状では、格安機を選ぶ場合、本機を基準に比較すると、選びやすいといえます。

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 【2018年発売】

 2・ヤマハ RX-V385
  ¥36,408 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

チャンネル数:5.1ch
定格出力:70W (6Ω)
実用最大出力:135W(1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応
立体音響:
HDMI入力:4系統
HDMI出力:1系統
オーディオ:光1/同軸2
ネットワーク:BT
サイズ:幅435x高さ151x奥行315mm

 なお、このグレードの旧機種としてRX-V385がまだ売られています。

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 スペック的に似た機種ではありますが、ネットワークがBluetoothのみです。

 ストリーミング全盛の現代において、Wi-Fiがないのは致命的に使い勝手が悪いため、あまりおすすめできません。

 そのほか、HDMIがeARC仕様ではない点、シネマDSPが3Dではない点、出力が少し落ちる点などが相違点です。


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 【2020年発売】

 3・ヤマハ RX-V6A
  ¥47,430 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

チャンネル数:7.1ch
定格出力:各100W (6Ω)
実用最大出力:150W (1k1ch/6Ω)  
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
立体音響: DOLBY Atmos
HDMI入力:4系統 (eARC)
HDMI出力:1系統
オーディオ:光1 同軸2
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ171x奥行377mm

 ヤマハRX-V4A(B)は、同社のRXシリーズでは上位製品です。

 簡単に言えば、冒頭に紹介したRX-V4A7.1ch対応としたものです。しかし、多くの部分でスペックが変わっているので、改めて見ていきます。

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 なお、本機は、【ホームシアタースピーカーの比較記事】で紹介した、「ヤマハ推奨の構成」となる、THEATER SOUND 585 5.1ch に採用されるAVアンプだった RX-V585の後継機です。

 本体サイズは、幅435x高さ171x奥行377mmです。

 5.1chのRX-V4Aと本体サイズは同じにして、筐体を同じ作りにして、コストダウンを狙っています。

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 チャンネル数は、最大7.1chです。

 本機も、2つのハイトスピーカー(フロントハイ・スピーカ)」を加えることで、5.1.2chの最新構成に対応できます。

 そのほか、ヤマハの場合、別室に、ステレオスピーカーを2個引き出すような使い方も提案しており、寝室兼用などにもできます。

 テレビ出力は、4K/60pに対応し、HDR10+・HLG・DOLBY visionにも、対応します。

 加えて、利用者は限られるでしょうが、8Kテレビ用の8K/60p、ゲーム用の4K/120Hzにも対応できます。

 アンプのパワーは、各スピーカーに対して100W(6Ω)です。

 冒頭書いたように、4Ωのスピーカーにつなげない限りは問題ないです。

 再生周波数帯域は、10Hz-100kHZです。

 この部分も、同社の下位機種同様に問題ないでしょう。

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 ハイレゾ音源は、同社の下位機種と同じで、対応です。

 DACも同等で、ハーブラウンの384kHz/32bitであり、豪華です。

 サラウンド技術は、本機も最新のDolby AtmosとDTS:Xに対応できます。

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 仮想的なサラウンド再生は、本機からは、Dolby Atmos Height Virtualizerに対応です。

 そのため、映画コンテンツに採録された3D立体音響規格の「ドルビーアトモス」を、(天井方向の)ハイトスピーカーなしで、再現できます

 その上で、下位機種同様に、フロントのみならず、リアスピーカーの音も疑似的に再現できるシネマDSP 3Dにも対応です。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が4系統、HDMI出力(TVへ)が1系統です。

 これに、音声入力用の光端子が1つ、同軸端子が2つ付属する構成です。

 また、HDMI端子は本機も、eARC対応です。

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 ネットワーク機能は、BluetoothWi-Fiが搭載です。

 Bluetoothのコーデックは、SBC・AACまでなので、高音質で利用したい場合は、Wi-Fiを利用します。

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 音楽ストリーミングは、下位機種と同じ対応幅です(上図)。

 映像ストリーミングも、同じで、接続機器(TVなど)の仕様によります。

 Wi-Fi経由での、スマホからのキャストはできません。

 ラジオは、AM・FM・ワイドFMに対応できます。

 セッティングは、外部マイクが付属し、室内の音響特性を最適化する技術(YPAO)が使えます。

 また操作については、本機もファームウェア更新でAmazonのAlexaに対応です。【Amazon Echoの比較記事】で書いたように、音声入力で、AVアンプの操作ができます。

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 以上、ヤマハRX-V6Aの紹介でした。

 そつのない7.1ch機といえます。十分なパワーがある上で、リアル・バーチャルとも、話題の立体音響が楽しめる構成で、さらにストリーミングも楽しめる点で、マルチに使えます。

 ただ、次に紹介する、同社の上位シリーズとの価格差はあまりないので、比較は重要でしょう。


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 【2021年発売】

 4・ヤマハ AVENTAGE RX-A2A
  ¥65,736 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

チャンネル数:7.1ch
定格出力:各100W (8Ω)
実用最大出力:160W (1k1ch/6Ω)   
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
立体音響:Dolby Atmos
HDMI入力:4系統 (eARC)
HDMI出力:1系統
オーディオ:光2 同軸1
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ171x奥行372mm

 ヤマハRX-A2A(B)は、同社のAVENTAGE<アベンタージュ>シリーズに属するAVアンプです。

 以前のRX-A770の後継機です。

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 ヤマハの場合、このグレードから「ハイエンド系」の技術が搭載されはじめます。

 高度な制振設計(アンチレゾナンステクノロジー)が取られるほか、大型電源トランスなど、5.1chの下位機種と、値段差分の差をつけます。

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 本体サイズは、幅435x高さ171x奥行372mmです。

 大きめの機種です。

 チャンネル数は、最大7.1chです。

 したがって「天井から降り注ぐ方向の音」の情報を再現できる、5.1.2chにリアル対応します。

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 テレビ出力は、4K/60pに対応します。

 同社の下位機種と同じで、HDR10+・HLG・DOLBY visionにも対応します。

 8Kテレビ用の8K/60p、ゲーム用の4K/120Hzにも対応できます。

 さらに、最近のゲーム機が対応してきた自動遅延モード(ALLM)・可変リフレッシュレート(VRR)・クイックメディアスイッチング(QMS)、クイックフレームトランスポート(QFT)などもパススルーしますので、仕様としては新しいです。

 アンプのパワーは、各スピーカーに対して、定格出力が100W(8Ω)です。

 実用最大出力は、本機は160Wです。

 先述のように、AVアンプの場合、格安機でも、弱くて駆動しないスピーカーというのは(まず)ないですが、余裕がある電源を採用することは、音質部分で有利です。

 むろん、それに応じた、ノイズ他の対策も必要ですが、基本、昔からのオーディオメーカーは、その部分は、同社をふくめ(値段に応じた)対策をしっかりします。

 再生周波数帯域は、10Hz-100 kHz となっています。

 こちらも、問題ありません。

 ハイレゾ音源は、本機も対応です。

 USB接続時に最大384kHz/32bitですので、音楽にも強いでしょう。

 HDMIでも、192kHz/24bitを扱えるので、4Kブルーレイ(Ultra HD)コンテンツの音情報は、フルに活かせるでしょう。

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 一方、Music Enhancerという、再計算による圧縮音源のアップコンバード技術が搭載です。

 音響機器では、SONYのDSEE技術のように搭載される製品は多いですが、AVアンプでは珍しいです。

 サンプリング周波数48kHzまでの音声に有効なので、MP3を含む圧縮音源は、CD音質まで、疑似的に高められます。オフにもできます。

 サラウンド技術は、本機も、Dolby AtmosDTS:Xの対応です。

 先述のように、天井の降り注ぎ音に対応できます。

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 仮想的なサラウンド再生は、同社の下位機種と同じです。

 3D立体音響を仮想的に再現するDolby Atmos with Height Virtualizerにも対応です。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が4系統、HDMI出力(TVへ)が1系統です。

 これに、音声入力用の光端子が1つ、同軸端子が2つ付属する構成です。

 本機も、HDMIはeARC仕様です。

 ネットワーク機能は、BluetoothとWi-Fiが搭載です。

 下位機種同様に、DLNA対応であり、AppleのAirPlay 2にも対応です。

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 Bluetoothは、ハイレゾ音源は対応しませんが、SBCほか、AACには対応します。

 スマホの音源などを、簡易的に流すくらいは使えそうです。 

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 ストリーミングは、映像・音楽とも下位機種と同じ水準で対応です。

 ラジオは、FM・ワイドFMの対応です。

 セッティングについては、こちらも定評のあるYPAOが利用可能です。

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 以上、ヤマハRX-A2A(B)の紹介でした。

 10万円を下回る機種の中では、リアル・バーチャル音声共に、最新の規格に対応しつつ、ネットワークなど必要と思われる部分もまとまっていて、現実で良い製品に思えます。

 パーツ的にも、これより上位のAVENTAGE<アベンタージュ>シリーズと共通する、「オーディオグレード」ですし、この予算でAtlasが今すぐ買うとすると、本機はかなり有力です。


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 【2021年発売】(執筆時在庫なし)

 5・ヤマハ AVENTAGE RX-A6A
  ¥(275,000) 楽天市場 (6/14執筆時)

チャンネル数:9.2ch
定格出力:各150W (6Ω)
実用最大出力:220W (1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
立体音響:Dolby Atmos
HDMI入力:7系統 (eARC)
HDMI出力:3系統
オーディオ:光3 同軸3
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ192x奥行442mm

  RX-A6A(B)は、ヤマハの上位ラインAVENTAGE<アベンタージュ>シリーズに属するAVアンプです。

 さきほど、7.2chの下位機(RX-A2A)を紹介しました。

 しかし、チャンネル数以外の部分を含めて、ここから紹介する機種とは、「別シリーズ」ともいえるほどの仕様の違いがあります。

 その部分を含めて解説します。

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 本体サイズは、幅435x高さ192x奥行442mmとなります。

 高さは、20cmに収まりますが、奥行は必要な機種です。

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 チャンネル数は、この機種は、最大9.2chです。

 例えば、リアスピーカー2基と、ハイトスピーカー2基も使う、5.1.2chも本機は対応します。

 そのほか、図のように、ゾーン分けして使う用途も可能です。

 テレビ出力は、4Kに対応し、HDR10 HLGにも対応します。

 加えて、8Kテレビ用の8K/60p、ゲーム用の4K/120Hzにも対応できます。

 さらに、ALLMVRRQMSQFTなどゲームに使う規格についても、パススルーします。下位機種同様にこの部分は充実します。

 一方、本機は、ディテール強調、エッジ強調、映像信号調整など、画質向上技術が機能として採用されています。

 こうしたものは、基本的にテレビ側が対応すれば不要なのですが、補整機能が充実しないプロジェクターなどに出す場合には、一定の意義があります。

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 アンプのパワーは、一方、各スピーカーに対して150W(6Ω)です。

 実用最大出力も、250Wで、価格から考えて当然ですが、余裕があります。

 値段からして当然ですが、プリアンプ部・パワーアンプ部の構成は、RX-A2Aとは完全に異なります。

 仕様の違いは、安定性・ノイズ対策・スピード感にの違いとなるでしょう。ただ、これは、どの高級機でもそうですが、完全に「高級趣味の世界」のものなので、購買層を反映して原価率は低く、費用対効果が悪くなります。

 なお、DACチップは、ESSES9026PROES9007Sです。

 この部分は、前機種と同じ構成(RX-A3080)で、あまり進歩はないです。最近は面白い高級DAチップCも増えてきましたが、堅実路線で、ヤマハの理想とするサウンドを体現できるのでしょう。

 再生周波数帯域は、10Hz-100 kHzです。

 ハイレゾ音源は、対応です。

 先述のように、DACはUSB接続時、384kHz/32bitまで、HDIMIで、 192kHz/24bitまで対応できます。DSDは11.2MHz/1bit対応です。

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 サラウンド技術は、Dolby AtmosDTS:Xの対応です。

 その上で、SURROUND:AIに対応します。

 これは、コンテンツのシーンに応じて、音場効果を変更するヤマハの独自技術です。

 下位シリーズは対応せず、このグレードからの対応です。

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 仮想的なサラウンド再生は、上位機においても、ヤマハのこだわる部分です。

 下位機種でも、シネマDSP 3Dを搭載していましたが、このグレードでは、シネマDSP HD3を搭載します(=HD・キュービック)。

 同社の下位機種は、他社のDolby Atmos with Height Virtualizerを利用していました。

 本機は同社独自の技術です。メリット性として、リアルサラウンドのDolby AtmosDTS:Xと掛け合わせができるため、利用の幅が広いです。

 【ヤマハのDSPプログラムの説明サイト】にあるように、24種類のシネマDSP音場プログラムを選択可能です。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が7系統、HDMI出力(TVへ)が3系統です。

 これに、音声入力用の光端子が3つ、同軸端子が3つ付属する構成です。

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 ネットワーク機能は、Bluetooth(SBC・AAC)に加えて、Wi-Fiが搭載です。

 AirPlay2も対応するため、ネット周りは充実していると言えます。

 なお、Bluetoothについては、圧縮音源を再計算でハイレゾ相当にアップコンバートできる、ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサーの搭載も魅力です。

 下位機種の場合、CD音質までのアップコンバードでしたが、本機は「より上位」です。この方面で著名なSONYの技術では「DSEE HD」に相当しますね。

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 音楽ストリーミングは、AmazonとSpotifyに両対応しており、問題ないでしょう。

 Radikoにもネイティブ対応です。

 また、細かい所ですが、ディスプレイが日本語表示対応ですので、こうしたストリーミングも使いやすいでしょう。

 ラジオは、AM・FM・ワイドFMの対応です。

 セッティングについては、引き続き、便利なYPAOが利用可能です。

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 以上、ヤマハの RX-A6A(B)の紹介でした。

 価格は高いですが、オーディオグレードの高品質パーツと、相当難易度が高かっただろう、シネマ DSP HD3の搭載は、他機にない魅力です。

 ただ、AVアンプは、(音以外に映像を扱うため)陳腐化しやすいので、予算的に余裕のある幅を超えて、「長く使えるから!」という観点で、この機種を選ぶのはやめた方が良いでしょう。

 ただ、予算に余裕がある場合は、無論、この機種がイチオシです。

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 【2021年発売】

 6・ヤマハ AVENTAGE RX-A4A
  ¥126,527 楽天市場 (6/14執筆時)

チャンネル数:7.2ch
定格出力:各110W (6Ω)
実用最大出力:170W (1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
立体音響:Dolby Atmos
HDMI入力:7系統 (eARC)
HDMI出力:3系統
オーディオ:光2 同軸1
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ191x奥行442mm

 なお、AVENTAGE<アベンタージュ>シリーズには、最下位のRX-A2Aと、今見たRX-A6Aの「中間のグレード」として、RX-A4Aがあります。

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・チャンネル数
 :
9.2ch→7.2ch
・出力
 :150W→110W
・端子数
 :同軸2→1
 :アナログ 7→4

 基本仕様は、どちらかというと、上位のRX-A6Aの方に近いです。

 RX-A6Aと比べると、大事な部分では、チャンネル数7.2chになっただけの「廉価版」とも言え、上表に書いた点以外は、マイナーな音声規格となる、AURO-3Dに対しない程度です。

1・バーチャルサラウンド
  :キュービックへの対応
2・本体構成
 :上位機同様の内部構造とDAC

 逆に下位機種(RX-A2A)と比べると、内部のパーツ構成が大幅に変わるほか、ドルビーアトモスなどと「重ねがけ」ができるシネマDSP HD3SURROUND:AIに対応するなど大きながあります。

 他にも、ハイレゾへのアップコンバードなども、このグレードからです。

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 結論的にいえば、AVENTAGEシリーズでは、 RX-A4A性能と価格の調和がとれていると感じます。


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 【2021年発売】(特約店展開)

 7・ヤマハ AVENTAGE RX-A8A
  ¥484,000

チャンネル数:11.2ch
定格出力:各150W (6Ω)
実用最大出力:220W (1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
ドルビー:Dolby Atmos
HDMI入力:7系統 (eARC)
HDMI出力:3系統
オーディオ:光3 同軸3
ネットワーク:BT 4.2 Wi-Fi 有線LAN
サイズ:幅435x高さ192x奥行442mm

 AVENTAGE RX-A8Aは、ヤマハのフラッグシップです。

 値段が開きますが、上位ラインAVENTAGEシリーズに属する製品です。

 チャンネルは、最大11.2chになります。

 表記上のスペックは、さきほどの RX-A6Aとだいたい同じです。

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 中身は、同社のカタログでは「アンプ部電源用とグランド配線にヤマハ セパレート パワーアンプMX-A5200と同じ太さの配線を採用することでさらなるローインピーダンス化を実現」という一文が加わるだけです。

 あとはほぼ同じで、ジッター除去レベル調整機能で3段階でかかりが調整できる点、脚が真鍮製になって点ほどが目に付く違いです。

 消費電力は100W上がって、600Wです。

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 サラウンド技術は、一方、AURO-3D(Auro 3D)のデコーダーを内蔵します。

 Dolby AtmosやDTSはスピーカーの数や配置に左右さず、計算(レンダリング)で立体音響を目指すオブジェクトオーディオです。

 AURO-3Dは、スピーカー構成要件があらかじめ定められているため、より映画館のような高い没入感が得られると言われます。

 推奨スピーカー構成は、11.1chでハイトスピーカーの要件が厳しい(フロント2ch・バック2ch・天井1ch)です。いずれにしても、対応コンテンツは一部に限られるので、ここまでだと意味は薄いです。

 仮想的なサラウンド再生は、しかし、Auro-Matic(オーロマティック)技術が注目点です。

 ステレオほかのソースをAURO-3Dアップコンバート再生できます。

 先述のように、スピーカー要件が厳しい分だけ、他方式より良い部分はあるかもしれません。ただ、逆に言えば、スピーカー配置の難易度はかなり増しそうで、(シネマDSP 3Dより)ピーキーな感じはあります。

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 なお、AURO-3DAuro-Maticも下位機のRX-A6Aも対応です。

 これらの規格は、1組のリアルなハイトスピーカーがあれば、5.1.2から使える(Auro 5.1+2H)からですが、ただ推奨環境ではないですし、やはり11.1chか(アンプ増設での)13.1chで利用するのが本筋かと思います。

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 以上、ヤマハのAVENTAGE RX-A8Aの紹介でした。

 結論的にいえば、これは後ほどみる、DENON機・マランツ機にも言えますが、RX-A68は家庭用の上級機としても、やはりオーバースペックかなと思います。

 AVアンプは映像の部分で陳腐化していくので、あまり高い機種を買っても基本仕方ないです。

 どうしても、このチャンネル数が欲しい場合を除けば、費用対効果の部分でも、9.2ch以下で良いかと思います。

1-2・ソニーのAVアンプ

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 続いて、ソニーの販売するAVアンプです。

 低価格品から中級機までのラインナップで、やはり人気のある企業です。


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 【2018年発売】

 8・SONY STR-DH790
  ¥65,800 楽天市場 (6/14執筆時)

チャンネル数:7.1ch
定格出力:85W (6Ω)
実用最大出力:145W (1k1ch/6Ω)
4K HDR10:対応
立体音響:DOLBY Atmos
HDMI入力:4系統  (eARC)
HDMI出力:1系統
オーディオ:光1 同軸1
ネットワーク:Bluetooth
サイズ:幅430x高さ156x奥行329.4mm

 ソニーSTR-DH770は、同社では最も安いAVアンプです。

 本体サイズは、幅430x高さ156x奥行329.4mmとなります。

 一般的なAVアンプと同じで、背が高い機種です。

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 チャンネル数は、最大7.1chです。

 基本的に5.1chの構成に、増えた2つのチャンネルは、自由に利用できます。

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 ・SONY SS-CSE【ペア】
  ¥25,440 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

 例えば、「天井から降り注ぐ方向の音」の情報を再現する、超小型のハイトスピーカー(フロントハイ・スピーカ)」を2つ増設して、5.1.2chとしても利用可能です。

 SONYの発売もありますが、フロントスピーカーの上に2機設置するのが普通です。

 もちろん、5.1ch以下でも利用できます。

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 テレビ出力は、4K/60pに対応します。

 また、HDR10にも対応し、新4K衛星放送用に使われるHLG規格も公式的に対応となります。

 一方、DOLBY Visionに対応しますが、HDR10+には対応しません。

 同じく、8Kや4K/120Pにも対応しない点も、設置環境によっては注意点です。

 アンプのパワーは、各スピーカーに対して85W(6Ω)です。

 ソニーは、「高調波ひずみ率」として出しますが、定格とほぼ同義です。

 再生周波数帯域は、本機も10Hz-100 kHz です。

 十分な余裕があり、全く問題ありません。

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 ハイレゾ音源は、一方、本機は非対応です。

 音楽を聴かない限り一般的には問題ないです。

 しかし、4K画質の4K Ultra HD ブルーレイは、収録音源がハイレゾ音質ではあります。

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 サラウンド技術は、DOLBY TrueHDDTS-HD Master Audioの対応です。

 規格的には、Dolby AtmosとDTS:Xにも対応です。

 Netflixなどオンラインコンテンツを含めて、最近普及している、「天井降り注ぎ系」の3D音源(イマーシブオーディオ)の再現も可能です。

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 仮想的なサラウンド再生は、S-Force PROフロントサラウンドを搭載です。

 2Dサラウンドではありますが、前方の3.1chのみでも、バーチャル的な5.1chを再現できます。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が4系統、HDMI出力(TVへ)が1系統です。

 これに、音声入力用の光端子が1つ、同軸端子が1つ付属する構成です。

 ネットワーク機能は、Bluetooth(SBC)のみです。

 ストリーミングサービスは、Wi-Fi未対応なので、フォローされません。

 ラジオは、FM・ワイドFMのみの対応です。

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 セッティングは、「アドバンストD.C.A.C.」というシステムがあります。

 付属マイクを利用し、置いたスピーカーの位置を最適化する技術です。

 ヤマハも反響音を制御するYPAO‐R.S.Cという技術を持ちますが、定位の容易さは、利用した限りですが、個人的にはソニーを推します。

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 以上、ソニーSTR-DH770の紹介でした。

 Wi-Fiやハイレゾ対応の部分では、やや物足りない機種ではあります。

 ただ、この価格で7.1chが構成できるのは素晴らしいです。「フロントハイ・スピーカー」などを取り付けられそうならば、結構面白いでしょう。


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 【2022年発売】

 9・SONY STR-AN1000
  ¥103,370 Amazon.co.jp (6/14執筆時)

チャンネル数:7.2ch
定格出力:各100W (6Ω)
実用最大出力:165W (1k1ch/6Ω)    
4K HDR10:対応 (8K 4K/120P)
ドルビー:Dolby Atmos
HDMI入力:6系統 (eARC)
HDMI出力:2系統
オーディオ:光1 同軸1
ネットワーク:BT Wi-Fi5 有線LAN
サイズ:幅430x高さ156x奥行331mm

 STR-AN1000 は、SONYが販売するAVアンプ上級機です。

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 本体サイズは、幅430x高さ156x奥行331mmです。

 小さくはないですが、あとでみるDENONの同級機と同じほどです。

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 チャンネル数は、最大7.2chです。

 本機の場合、「アコースティックセンターシンク」に対応します。

 このブログの【有機ELテレビの比較記事】で書いたようなBRAVIAの対応機とのコンビの場合、テレビの内蔵スピーカーをセンタースピーカーとして利用できます。

 TVの内蔵スピーカーだと「貧弱」なイメージがありますが、SONYは画面下配置で、実際「真ん中の真ん中」から音が出るので、意義があると思います。

 なお【シアタースピーカーの比較記事】でもこのシステムをつかったアンプ内蔵品をみています。

 テレビ出力は、4Kに対応し、HDR10+ HLGにも対応します。

 その上で、ドルビービジョン8K/60pほか、4K/120Hzも通すので、同社のPS5ほか、ゲーム用のニーズにも適います。

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 アンプのパワーは、各スピーカーに対して100W(6Ω)です。

 DENONのように出力自慢のメーカーではないので「必要十分」な値ですが、問題ないです。

 むしろ、ノイズ対策・ジッター対策など、高音質化を主眼に置いており、回路もアンプ新設計されています。

 AVアンプとしては、音のクリアを重視する方向で、(デノンより)マランツに方向性は似ています。

 再生周波数帯域は、本機も10Hz-100 kHz の幅です。

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 ハイレゾ音源は、対応です。

 WAV Flac Alac DSDなど主要コーデックに対応します。

 DSDは、11.2MHzまで対応です。

 加えて、ソニーではお馴染みのDEEE技術に対応するため、ハイレゾではない、通常の音源も再計算で、ハイレゾ相当に、アップスケーリングされます。

 サラウンド技術は、Dolby AtmosDTS:Xの対応です。

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 仮想的な再生は、本機の特長です。

 同社の360 Spatial Sound Mappingに対応します。

 各社とも採用するマイクを使った位置補整とも関係しますが、ソニーは、その情報から、仮想的なスピーカー(ファントムスピーカー)をデータ的に生成し、リアルなスピーカーの数から、7.1.4ch相当のバーチャルサラウンドを実現します。

 他社の「借り物」でなく、自社技術で構築できるのが、やはりソニーの見どころです。自社の立体音響レンダリング技術(モノポールシンセシス)を利用したものです。

 壁の跳ね返り音を使いつつ、効果的に計算することで実現しています。

 Atlasは(残念ながら)未視聴ですが、試した方の情報だとかなり良かったようです。ソニーストアで、今度の出張の際にみてくる予定です。

 接続端子は、HDMI入力(映像機器から)が6系統、HDMI出力(TVへ)が2系統です。

 これに、音声出力用の光端子が2つ、同軸端子が1つ付属する構成です。

 ソニーですのでeARCにはしっかり対応です。

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 ネットワーク機能は、Bluetoothに加えて、Wi-Fi 5が搭載です。

 Bluetoothは、ハイレゾ対応のLDACに対応するほか、SBC・AACもフォローです。

 DLNA規格には未対応です。

 しかし、Apple系のAirPlay2とGoogle系のChromecast built-in双方に対応するので、ストリーミングサービスの利用において運用上問題ないです。

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 音楽ストリーミングは、単独では、Spotifyに対応するだけです。

 ただ、Chromecast built-inなので本機は(iOSを含めて)、スマホとの連携でSpotify・Apple music・YouTube musicなどの再生に対応です。

 対応できるサービスの全リストは【GoogleのFAQ】にあります。

 なお、Amazon Musicも、Apple製品ならばAirplay2を使えばキャスト可能で、Androidでの手段はないかと思います。

 なお、Chromecast built-inの話は、どちらかと言えば「音楽」に関わる部分なので【ミニコンポの比較記事】のほうで、もう少し詳しめに書いています。

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 映像ストリーミングは、Chromecast built-inですが、直接キャストしてテレビにだすのは非対応です。

 先述のように、AVアンプWi-Fiでキャストできる仕組みは現状ではないです。

 TVやレコーダー、あるいは、【STB機器の比較】で書いたような各社の端末をHDMIでつなげてみるのが基本です。

 ラジオは、FM・ワイドFMの対応です。

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 セッティングは、先述の360 Spatial Sound Mappingでも書いたように高度です。

 システム自体は、D.C.A.C.(デジタル・シネマ・オート・キャリブレーション)IXという名前です。

 同社の以前のシステムは距離・音圧・周波数特性での調整でしたが、角度もみるようになっています。

 加えて、全スピーカーの位相特性をフロントに揃えるA.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)にも対応です。

 先述のように、マイクを利用したセッティングについては、ソニーは従来から他社より優秀でしたが、さらに良くなったと言えます。

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 このほか、センタースピーカーの(仮想的な)高さ補整が、10段階で調整できるのは、先述の「アコースティックセンターシンク」を利用できない場合、有用に思います。

 多くのかたが問題に感じているだろう部分でしょうから。

---

 以上、SONYSTR-AN1000 の紹介でした。

 パワー部分では先述のように「そこそこ」ですが、仮想的にチャンネル数を増やすバーチャルサラウンドの部分が「極まった」製品です。

 実際、3.2.1chあたりまではリアルなスピーカーで組めても、それ以上は「難しい」というご家庭は多いでしょうし、多チャンネルのAVアンプでも、あってよい技術だと思います。

 とくに、映画コンテンツは、最近多チャンネル録音が普通ですから、時代のニーズに適った製品に思えました。値段設定も「頑張れば手に入る」絶妙なラインかと思います。

次回につづく
ホームシアター向けのAVアンプのおすすめは結論的にこちら

 というわけで、今回は、AVアンプの比較の1回目記事でした。

 記事は、まだまだ「続き」ます。

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2・AVアンプの比較記事 (2)
 2-1:DENON
 2-2:マランツ
 2-3:オンキヨー
3AVアンプの比較記事 (3)
 3-1:JBL
 3-2:パイオニア
 3-3:最終的なおすすめの提案【結論】

 続く2回目記事では(こちら)では、DENON・マランツほか、ここまで見ていない企業の製品をみていきます。

アンプのパワー  ★★★★★
チャンネル数   ★★★★★
仮想サラウンド  ★★★★★
ネットワーク再生 ★★★★★
設置性      ★★★★★
ノイズ対策    ★★★★★
総合評価     ★★★★★

 その上で、3回目記事こちら)に入ります。

 最終的な「結論」として、今回紹介した全機種から、目的別・予算別に、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。

 引き続きよろしくお願いします。

 2回目記事は→こちら!

posted by Atlas at 11:38 | オーディオ製品

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