1回目記事からの続きです→こちら
2-1・SONYのデジタルカメラ
2回目記事のトップバッターは、ソニーの高画質タイプのコンデジです。
1・高画質なコンデジの比較(1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:キヤノン
1-3:パナソニック
2・高画質なコンデジの比較(2)
2-1:ソニー
2-2:ライカ
3・高画質なコンデジの比較(3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
1回目記事の「選び方の基本」で書いた基準に基づきながら、同社の製品を比較していきます。
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なお、今回の記事も、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思うポイントを青字で記していきます。
【2012年発売】【中古価格】
10・SONY Cyber-shot RX100
¥41,800 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
光学ズーム: 3.6倍
撮像素子:1型CMOS
広角側の明るさ:F1.8
望遠側の明るさ:F4.9
画素数:2090万画素
焦点距離 :28mm〜100mm
手ぶれ補正:2軸
モニター:3型液晶 (123万)
ファインダー:なし
AF:コントラスト式(25点)
連写:(約10コマ/秒)
動画:4K非対応
重さ:約213g(電池込み240g)
つづいて、ソニーCyber-shot RX100です。
本機も現状だと中古のみの展開です。
本体の重さは、200g台の小型軽量です。
ズーム倍率は、3.6倍ズームです。
カタログスペックだと7.2倍とありますが、こちらは、超解像度技術を併用した電子ズーム利用時です。
撮像素子は、1.0型です。
値段からすると十分な水準です。ただ、逆光に強い裏面照射型対応の撮像素子を採用していない点は、かなり古くさい仕様です。
レンズの明るさは、広角側のF値がF1.8と相当明るいレンズです。
ドイツのカールツァイスのレンズです。
光学部分は、陳腐化しにくい部分ですし、十分現代水準です。
HDR機能は、本機も搭載です。
合成枚数は、他社と同じ3枚です。
逆光補正については、Dレンジオプティマイザーも搭載です。
合成によらない階調補正なので、動く被写体にも有効で、暗くなってしまった顔などに効果があります。
ISO感度は、100〜6400の幅です。
夜間対応力は、水準からするとやや弱いです。
手ぶれ補正は、搭載ですが、補整段数を公開していません。
ただ、ジャイロセンサーを搭載した光学式手ぶれ補正(2軸)は、実用面で問題はありません。
オートフォーカスは、コントラスト式で、測距点は25点です。
先述のように、他方式に比べると合焦速度は出しにくく、本機も0.13秒です。
顔検出機能は、非搭載です。
ただ、個人登録機能や、スマイルシャッターなど、合焦速度向上に関係ない機能は、搭載となります。
オート撮影モードは、イマイチです。
AIが勝手に撮影シーンを判断する、おまかせ的な「オート撮影モード」は付属しません。
連写速度は、10コマ/秒です。
ただし、この数値は、ピント・露出を固定した被写体に対するものなので、AF/AE追随時の、サーボAF時の速度ではないです。
動く被写体には、高級機としてはさほど向かないと思います。
液晶モニターは、とくに回転などの機能が付かない普通のモデルです。
ソニーの130万ドットのエクストラファイン液晶搭載で、表示品質は良いです。
ただし、最近の機種と異なり、タッチパネル操作ができないため、タッチシャッターなどは切れません。
ファインダーは、こちらも付属しません。
動画性能については、フルハイビジョン画質(60フレーム秒)対応です。
手ぶれ補正は、静止画用と同様の方式のため、能力は期待できません。
ネットワーク機能は、Wi-Fiを含めて未付属です。
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以上、ソニーのサイバーショット RX100の紹介でした。
Wi-Fiなどが未搭載である点のほか、裏面照射型の撮像素子を採用していない点、フォーカス性能など、設計上古い部分もある機種です。
長年の「名機」ではあるのですが、現状ではおすすめできません。
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【2013年発売】(中古価格)
11・SONY Cyber-shot RX100M2
¥44,800 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
なお、本機の改良機として、Cyber-shot RX100M2があります。
RX100と比較する場合、裏面照射型センサーが採用されています。
夜間の高感度撮影や室内撮影の際の感度が上昇し、ノイズが生じにくくなります。
その他の点では、Wi-Fiの搭載と、チルト式液晶、マルチインターフェースシューが装備されるほどの違いしかない機種です。
ただ、本機も、ネットワーク面などで陳腐化が進んでいるため、あまりおすすめできません。
【2014年発売】
12・SONY Cyber-shot DSC-RX100M3
¥102,000 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
光学ズーム: 2.9倍
撮像素子:1型CMOS(裏面照射型)
広角側の明るさ:F1.8
望遠側の明るさ:F2.8
画素数:2090万画素
焦点距離 :24mm〜70mm
手ぶれ補正:2軸
モニター:3型液晶 (123万)
ファインダー:有機EL(約144万)
AF:25点(コントラスト)
連写:(約10コマ/秒)
動画:4K非対応
重さ:約263g(電池込み290g)
RX100IIIは、SONYのサイバーショットRXシリーズの中級機です。
本体の重さは、電池込みで、290gです。
ポップアップ式の電子ファインダが内蔵されての重さなので、軽めでしょう。
ズーム倍率は、2.9倍です。
しかし、広角側が24mmになったので、画角は下位のRXシリーズよりも広いです。
そのため、風景写真からポートレートまでうまく撮れる万能レンズに進化したと言えます。
コーティングも新しくZEISS T*コーティングを採用し、ゴースト・フレアを軽減しています。
撮像素子は、1型の裏面照射型センサーを利用します。
レンズの明るさも、広角側のF値はF1.8、望遠側でもF2.8と下位機種と同じです。
ただ、レンズは新設計のカールツァイスのレンズを採用しました。そのため、F値は望遠側でもF2.8 と高いです。
HDR機能も搭載です。
ISO感度は、125〜12800の幅です。
下位機と異なり、実用水準です。
逆に下限は少し増えましたが、それでも他社並みです。
手ぶれ補正は、補整段数は非公開です。光学式(2軸)補整を搭載します。
低倍率ズーム機ですし、実用面で問題はありません。
オートフォーカスは、下位機種と同じく高速です。
顔検出機能は、搭載です。
本機もズーム時に、「瞳まで検出できる」瞳AFにも対応します。
ちなみに、同社の上位機は「瞳・顔」で動く被写体を追尾できる製品もあります。
本機は、顔より広い物体単位で認識するロックオンAFですが、十分実用的です。
オート撮影モードは、本機は「プレミアムおまかせモード」が搭載です。
シャッターを押すだけで、勝手にモードを選んで撮ってくれるため、初心者でも綺麗に撮りやすいです。
画質補正面でも、パナソニックの「超解像技術」に相当する ディテールリプロダクション技術や、風景画に強い回折低減処理など、最近の機能は、基本的に網羅します。
連写速度は、スペック的には下位機種と同じです。
ただ、追尾AFを利用する場合、ピントは固定されるものの、露出は合わせられる点で、下位機と違います。
ファインダーは、収納式の小型ファインダーが付属します。
ソニーは、0.39型の有機ELで、倍率0.59倍の140万ドットです。
設計年度の部分もあり、やや仕様的には古いです。
液晶モニターは、この機種は、チルト回転式モニターが搭載されます。
こちらは、しっかりと、90度回るために自分撮影もできます。
ただ、タッチパネル式ではないです。
動画性能は、4K非対応です。
ただし、フルハイビジョン画質で、120フレーム/秒で高詳細に撮影可能です。独自のXAVC S圧縮に対応するため可能になりました。
手ぶれ補正についても、光学式+電子式のインテリジェントアクティブモードで、キヤノンG7シリーズに採用される5軸手ぶれ補正に準じる性能と言えます。
ネットワーク機能は、Wi-Fi機能のみ搭載されます。
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以上、サイバーショットRXシリーズの100M3の紹介でした。
チルト式モニターと電子ビューファインダーが搭載された機種にもかかわらず、300gを切る重さを実現している点は魅力です。
また、下位機種と比較する場合、瞳AFなど、フォーカス性能に関わる同社の最近の技術が、一通り見られる点では、「現代的な水準」と言って良いカメラです。
もちろん、4K動画対応の部分と、Bluetooth周りの古さはだいぶ感じるのですが、画質面で大事な機能は網羅されており、値段も安いため、本機は選択肢として良いと思います。
【2018年発売】
13・SONY Cyber-shot DSC-RX100M5A
¥131,313 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
光学ズーム: 2.9倍
撮像素子:1型CMOS(裏面照射型)
広角側の明るさ:F1.8
望遠側の明るさ:F2.8
画素数:2010万画素
焦点距離 :24mm〜70mm
手ぶれ補正:2軸(4段補正)
モニター:3型液晶 (123万)
ファインダー:有機EL(約235万)
AF:ハイブリッドAF(315点)
連写:約10コマ/秒
動画:4K(30p)
重さ:約272g(電池込み299g)
DSC-RX100M4 は、サイバーショットRXシリーズの上位機です。
本体の重さは、電池込みで、298gです。
下位機種とほぼ同様の水準をキープしています。
ズーム倍率は、こちらも2.9倍です。
撮像素子は、本機も1型です。
ただ、新型のExmor RSを採用です。
画像エンジンとの間に高速メモリを介在させることで、画像処理技術と速度を高速化させたものです。
レンズの明るさは、本機も、広角側のF値はF1.8、望遠側でもF2.8です。
HDR機能とISO感度は下位機種と同じです。
オートフォーカスは、相当パワーアップしています。
デジカメに多いコントラスト式(25点)と、一眼レフに見られる像面位相差式(315点)を両方搭載し、自動で選んで使用する「ハイブリッドAF」だからです。
ファストハイブリッドAFという製品名です。
同社のミラーレスでも見られる方式ですが、合焦速度は0.05秒で、コンデジとしては、例外的な優秀さです。
動く被写体への対応力は、他社より高いです。
顔検出機能は、本機も搭載です。
とくに、瞳AFについては、左右の瞳の検出は対応しないのですが、(ミラーレスなどに比べて)限定的ながら、動く瞳の追尾にも対応します。
連写速度は、動く被写体にピントを追尾させる場合、メカシャッターでも10コマ/秒です。
また、 AF・AE追随時、あるいは、電子シャッター時は、24コマ/秒さらに高速化可能です(絞りF8以上限定)。
手ぶれ補正は、方式としては下位機種と同じです。
ただ、補整力がしっかり示されるようになり「最大4段」とキヤノン上位機並の水準となります。
とはいえ、キヤノンに比べると、大きな特徴はない光学式2軸式ではあります。
ファインダーは、下位機種と同じです。
液晶モニターも、同じで、タッチパネルではないものの、チルト回転式モニターが搭載されます。
動画撮影機能は、本機から、4K動画撮影に対応です(4K/30P)。
さらに、最大960fpsのスーパースローモーション撮影にも対応します。
これは、プロ用の動画機器並みのスペックで、今回のこの機種の最大の「売り」です。
そのほか、4K動画撮影時にも位相差AFを利用できる点、スローモーション撮影が、960fpsまで対応するようになった点などが特徴的です。
また、本機は、インテリジェントアクティブモードという動画専用の5軸手ぶれ補正機能があります。光学式2軸と電子式3軸とCMOS情報を組み合わせた、SONY独自の方式です。
4K動画時にはフルスペックで使えないという限界はありますが、実用的でしょう。
ネットワーク機能は、本機もWi-Fi機能のみ搭載です。
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以上、DSC-RX100M4 の紹介でした。
4K動画にも対応できる新エンジンを搭載するため、下位機種との価格差は広いです。
新エンジンの効果もあり、ハイブリッドAFを採用し、連写速度も速いため、動く被写体への対応度がとくに下位機種より良いです。4K動画にも本機から対応です。
こうした点で、おすすめと言えます。
弱点は、ネットワーク周りの機能面の古くささです。GPS情報(ジオタグ)の取得など、スマホと連携させて使おうという場合は、不便でしょう。
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【2015年発売】(中古含む)
14・SONY Cyber-shot DSC-RX100M4
¥69,300 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
なお、本機の旧機種としてDSC-RX100M4が残ります。
本機は、ハイブリッドAFが不採用で、コントラスト式を改良した、ファストインテリジェントAFの搭載に止まります。
エンジンが古いため、連写について、追尾時5.5コマ/秒とスペックが劣ります。
4K動画も対応ですが、動画撮影時に位相差AFが利用できないなど違いがあります。
その他の部分はほぼ同じですが、値段差を考えると、現状ではあまり魅力的ではないです。
【2019年発売】
15・SONY Cyber-shot DSC-RX100M7
¥186,999 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
光学ズーム: 8.3倍
撮像素子:1型CMOS(裏面照射型)
広角側の明るさ:F2.8
望遠側の明るさ:F4.5
画素数:2010万画素
焦点距離 :24mm〜200mm
手ぶれ補正:2軸(4段補正)
モニター:3型タッチパネル (92万)
ファインダー:有機EL(約235万)
AF:ハイブリッドAF(425点)
連写:10コマ/秒
動画:4K HDR(30p)
重さ:約275g(電池込み302g)
DSC-RX100M7シリーズ は、2019年に発売されたサイバーショットRXシリーズのズーム機です。
本体の重さは、電池込みで302グラムです。
本機の倍率では、比較的、軽量といえます。
ズーム倍率は、8.9倍ズームです。
高倍率といえるかは微妙です。
ただ、軽量コンパクト性を犠牲にしないというコンセプトを貫くのは、哲学として良い部分です。
レンズの明るさは、広角側はF2.8です。
望遠側はF4.5ですが、10倍前後のズーム力の機種で、小型化を目指したものと考えれば「大健闘」の部類です。
HDR機能は、搭載です。
HDR(ハイダイナミックレンジ)とは、複数の写真を合成し、逆光時や夜間撮影における、黒つぶれ、白飛びを緩和する機能です。
一方、HDRは、動く被写体に対応できない部分がありますが、本機は、この部分については、動く被写体にも有効なDレンジオプティマイザーが搭載です。
ISO感度は、125〜12800の幅です。
上限値が大きいと、暗い場所でもノイズがのりにくくなります。
本機は、2000万画素クラスの製品として標準的なスペックです。
夜間撮影時などのノイズ処理も、そつなくこなせそうです。
手ぶれ補正は、ズーム撮影するほどに手ぶれが起こりやすい点から、倍率が多い機種ほど「重要」です。
本機は、基本的には2軸のジャイロセンサーを利用する2軸の光学手ぶれ補正なので、この部分では普通です。
ただ、その枠内での機能性は十分で、200mmの望遠域で4段の補整という高いスペックです。
本機は、さほど高い倍率ではないので、実用面ではこれで十分です。
オートフォーカスは、高性能なハイブリッドAFです。
デジカメに多いコントラスト式(25点)と、一眼レフに見られる像面位相差式(425点)を両方搭載し、自動で選んで使用する上位の方式です。
他社も採用しますが、ソニーのブランド名としては「ファストハイブリッドAF」という名前です。
この方式は、とくに合焦速度の速さと、動体への対応力は強調できます。
動く被写体への強さは、伝統的に「ソニーの強み」ですが、合焦速度は0.02秒と従来機より相当速くなっています。
これは、積載型センサーと新しい画像エンジンの恩恵と言えます。
顔検出機能もかなり精度が高いです。
ソニーは、このグレードで、「瞳AF」について、右目・左目まで識別できる精度になります。
また、動物にも対応させており、楽しみの幅を拡げています。
さらに、動く被写体に追随する際は、「物体認識アルゴリズム」を利用します。
下位機種は、物体として追えるだけでしたが、本機は、瞳を含む、細かい要素を使い、より正確に追従します。
追随は、タッチパネルで指定した対象を追尾していく「タッチトラッキング機能」も使えるため、ソニーの得意な「動く被写体への対応」は、相当程度進化しました。
連写速度は、一方、10コマ/秒と下位機種と同じです。
「電子シャッター」を利用する場合、20コマ/秒となります。
数字的には下位機種より落ちるのですが、最大60回/秒、オートフォーカスと自動露出の再計算をするため、動く被写体には、下位機種より強いです。
その上で、シャッター速度を速くした際に生じるコマ飛び(ブラックアウト現象)も起こらなくしているため、やはり性能は上です。
ファインダーは、収納式の小型ファインダーが付属します。
0.39型の有機ELで236万画素です。高級機にも採用される水準のものです。
EVFなので、視野角は100%です。倍率は、0.59倍なの多少小さめとは言えます。
液晶モニターは、3.0型のチルト回転式モニターが搭載されます。
一方、RXシリーズは本機から、液晶がタッチパネル式になります。
そのため、タッチシャッターなどにも対応するようになっています。
動画撮影機能は、4K動画に対応します(30p)。
さらに、HLG(Hybrid Log-Gamma)撮影に対応するため、4KHDR(HDR10)に対応するモニターやTVの場合、コントラストが鮮明に表示できます。
4KHDR搭載TVはかなり増えているので、この部分は嬉しい改良でしょう。
一方、この機種は、インテリジェントアクティブモードという、動画専用の5軸手ぶれ補正機能があります。
光学式2軸と電子式3軸と、センサーからの情報を組み合わせた、SONY独自の方式です。
4K動画撮影時にも、フルスペックではないですが、スタンダードモードより強力なアクティブモードが利用できるようになっています。
補正力は、従来比最大約8倍です。使ってみた感じ、他社のボディ5軸補正と較べても強力です。
ネットワーク機能は、本機は、Wi-Fiのほか、Bluetoothも搭載です。
そのため、写真撮影時に、スマホの位置情報(A-GPS)を写真に連動して付与可能です。
一方、Wi-Fiでは、アプリで選択した写真転送のほか、撮影時にスマホに自動転送させることも可能です。ただ、自動転送では最大2MP(200万画素)までと制限がかかります。
そのため、画質の良いものを送りたい場合、アプリで転送したい画像を選択し、SNSなどへの投稿、というのが普通でしょう。
ソニーは、仕様表ではBluetoothの記述が抜けていますが、実際は搭載です。
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以上、ソニーのDSC-RX100M7の紹介でした。
「大きな撮像素子・明るいレンズ・適度なズーム力」というデジカメで必要な要素がバランス良く配置された製品です。
やや値段差はありますが、ライバルは、同じ1型の撮像素子採用のパナソニックの15倍ズーム機でしょう。
比較する場合、ズーム力は負けますが、重さの限定がある中で、明るく優秀なレンズを積む部分や、新機軸のフォーカス性能、連写速度など、値段の分だけ、やはり本機は高性能です。とくに「芸術的な写真」を志向する場合、予算を出す価値はありそうです。
値段から言えば、ライバルは、むしろミラーレス機とも言えますが、レンズ込みだと、約2倍軽い水準ですし、高級コンデジもまだまだ、存在意義はあると言えます。
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【2016年発売】(中古含む)
16・SONY Cyber-shot DSC-RX100M6
¥114,980 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
光学ズーム: 8.3倍
撮像素子:1型CMOS(裏面照射型)
広角側の明るさ:F2.8
望遠側の明るさ:F4.5
画素数:2010万画素
焦点距離 :24mm〜200mm
手ぶれ補正:2軸(4段補正)
モニター:3型タッチパネル (92万)
ファインダー:有機EL(約236万)
AF:ハイブリッドAF(315点)
連写:10コマ/秒
動画:4K HDR(30p)
重さ:約274g(電池込み301g)
なお、すでに中古しかないですが、本機の旧機はDSC-RX100M6シリーズでした。
仕様は割と似ていて、軽量で明るいレンズを採用していました。
ただ、積層型CMOSを搭載しない部分もあり、フォーカス部分が旧式です。
測距点が少ないほか、左右の瞳の区別や、動物認識まで、識別能力が至っていません。あとは、4K動画部分の補正が、新機種で向上した程度の違いです。
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結論的にいえば、状態の良い中古があって、ニーズに合うようならば、(場合によっては)選べるかもしれません。F値がこの水準の1型でこの倍率というのは、他社も含めて、この価格で新品の入手は難しいので。
2-2・ライカのデジタルカメラ
続いて、ライカの低倍率ズームの高級コンデジの比較です。
同社の場合、パナソニックと協業関係になるので、伝統的に仕様は似ます。
ただ、先述のように、パナソニックは生産終了ですので、新品が欲しい場合「ライカ」という状況が、現況と言えます。
【2024年発売】Leica D-LUX 7後継機
17・Leica ライカ D-LUX 8
¥336,800 Amazon.co.jp (6/22執筆時)
【2018年発売】(中古価格)
18・Leica ライカ D-LUX 7
¥186,000 Amazon.co.jp (3/16執筆時)
光学ズーム: 3.1倍
撮像素子:フォーサーズ(高感度)
広角側の明るさ:F1.7
望遠側の明るさ:F2.8
画素数:2166万画素
焦点距離 :24mm〜75mm
手ぶれ補正:2軸(レンズ)
モニター:3型タッチパネル(約184万)
ファインダー:液晶(約276万)
AF:49点
連写:2コマ/秒
動画:4K(30p)
重さ:357g(電池込397g)
ライカ D-LUX 8は、ライカの高級コンデジです。
フラッグシップのLEICA Q3は100万円近い価格なので、「常識的」な値段で買える同社唯一のコンデジと言えます。
また本機は、先ほどみたパナソニックのDC-LX100M2(マーク2)と基本仕様は同じです。
ただ、そちらは生産終了なので、あえて言えば、そちらのマーナーチェンジ版として「DC-LX100M3」(マーク3)のように捉えたら、理解が早いです。
本体の重さは、397gです。
パナソニック機(あるいは本機の旧機のLeica D-LUX 7)と重さはほぼ同じです。
ただ、外観がわりと代わり、同社のフラッグシップ(LEICA Q3)と似てきました。
こちらは、外部フラッシュがもとから付属です。
操作系やUIについてもライカの独自性が増しています。
UIは特にですが、先述のパナソニックの撤退で、独似の発展を遂げたと理解できます。
ズーム倍率は、3.1倍です。
レンズの明るさは、広角側(1倍ズーム側)でF値1.7で、3倍側はF値2.8です。
端的に言って、レンズは、パナソニックのDC-LX100M2と同じです(ライカDCバリオ・ズミルックス f1.7-2.8/10.9-34mm ASPH.)。
焦点距離(24〜75mm)を含めてスペックは同じです。
撮像素子は、フォーサーズ(3/4)を採用します。
仕様上のセンサー名は、今回高感度MOSから、CMOS表記になりました。
ただ、画素数などは同じで、値段から言っても、引き続き(夜間に強い)高感度タイプのCMOSとみてよさそうです。
また、引き続き「ローパスレス」対応と考えて良いでしょう。
オート撮影モードは、ただ、大きく変わります。
旧機(上図)のような、簡単なフィルター効果が選べません。
オートモードとして、人物・風景・ジオラマ・ワンポイントカラー・HDRが選べるのみです。
ここは、今回は、初心者・中級者を主な 購買ターゲット層にしていないためです。
画質面での特徴は、スペック面では、DC-LX100M2(Leica D-LUX 7)と同じです。
しかし、詳しい説明がないですが、画像エンジンに関わる部分(3次元色コントロール・広帯域輪郭強調処理)など、パナソニックの固有技術は、省略です。
回折補正・超解像など、パナソニックが保持する固有技術もありません。
全ての違いをここで挙げるのは困難ですが、こうした部分で、(パナソニックと協業していないゆえの)機能差はあります。
HDR(逆光補正)は、モードとして利用可能です。
ISO感度は、100〜25000の幅です。
値段も高いので当然ですが、ミラーレス並に優秀といえます。
なお、ライカの旧機は、ISO200からでしたので、すこし柔軟になっています。
手ぶれ補正は、一般的な、光学式2軸補整です。
特段強調されませんが、倍率的に問題ないです。
オートフォーカスは、測距点は49点です。
パナソニックの独自技術である空間認識AF技術は(事実上)不採用のようです。
これは、コントラストAFの弱点の緩和のための技術ですが、後述する、AF利用時の素早い連写などに弱くなった理由です。
ほかにも、星空AFや、室内に強いローライトAFもパナソニック系の技術ですので、省略です。
顔検出機能は、「瞳認識」までの水準は対応します。
連写速度は、動かない物体の撮影(AFS)の場合は、11コマ/秒まで伸びます。
ただ、フォーカス追尾させる場合は、ただし、2コマ/秒です。
なお、「4Kフォト」モード・フォーカスセレクトなどは、パナソニック系の機能なので見られません。
ファインダーは、本機は、0.74倍の236万ドットのOLED(有機EL)です。
この世代でLCD(液晶)から変わりました。
液晶モニターは、185万画素のタッチパネル式液晶です。
多少解像度が上がりました。ただ、アングルを変えられるチルトには未対応です。
ネットワーク機能は、Wi-Fi 4 とBluetooth5.0LEに両方対応します。
専用アプリ(Leica FOTOS)が用意されます。
A-GPU取得を含めて、一通りのことはできます。
動画性能は、4K動画は30フレームで撮れます。
ただし、手ぶれは、普通の光学式で専用の5軸式を取らないため、「2軸分の補整」です。
さほど重視はしていません。
ただ、廃熱の関係で、(熱問題がない状況で)理論上の最大撮影時間が約30分と延びました。
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以上、ライカ D-LUX 8の紹介でした。
いろいろ、省略された(らしい)機能を書きました。しかし、繰り返しますが、購買ターゲットの変更(縮小)による、機能面のスリム化という部分が大きいです。
多くのものが、初心者・中級者に便利と言える、AFや、AF利用時の連写、自動撮影周りの機能の省略がメインですので。
実際、外観(機能性)や使い勝手を「ライカ流」に改良した上で、先述のファインダーの品質や、ISO感度、RAWファイル(DNG対応)の改良など、上級者向けの「通な仕様」にしたという印象です。
実際、日本・海外を含めて、こうした改良をポジティヴに捉えられているのは、こうした理由からです。
ただ、この水準の機能性でこの価格と言うには相当「強気」だと思います。正直、近年進歩が著しい新しい技術がほぼ入っていないと言えますので。
いずれにしても、ファン層の多いブランド力ゆえにできることでしょう。機能に注目する場合、他機と比較しても良いように思います。
次回につづく!
高画質デジカメのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、高級コンデジの比較の2回目記事でした。
しかし、記事は、もう少しだけ続きます。
3・高画質なコンデジの比較(3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
画質の良さ ★★★★★
ズーム倍率 ★★★★★
フォーカスと連写 ★★★★★
手ぶれ補正 ★★★★★
動画撮影 ★★★★★
軽量性 ★★★★★
スマホ連携 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
続く、3回目記事(こちら)は、全体の結論編です。
上表のようなポイントから、目的別・予算別にオススメの「最強デジカメ」を提案していきたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。
→3回目記事は、こちら!