Top 食料品 比較2025’【地方別】ブランド米65種の味とおすすめ・選び方(3)

2025年05月24日

比較2025’【地方別】ブランド米65種の味とおすすめ・選び方(3)

【今回比較する内容】2025年 北海道・東北のブランド米・産地別・品種別・県別おすすめランキング:地方の珍しい品種のお米の紹介 令和5年産米最新情報

【紹介する主な銘柄】ふっくりんこ おぼろづき あやひめ ゆきさやか 金色の風 だて正夢 福、笑い ほしのゆめ ササニシキ 里山のつぶ きらら397 きたくりん 青天の霹靂 まっしぐら ゆめおばこ はえぬき 夢ごこち 八代目儀兵衛 翁霞 八代目儀兵衛 神楽

今回のお題
レア度が高く、かつ美味しいブランド米はどの銘柄?

 どもAtlasです。

 今日は、2025年5月現在、最新のブランド米の比較3回目記事です。

    

1・特Aブランド米の比較〈全国〉
2・コシヒカリの比較〈全国〉
3・各地のお米の比較 〈北海道・東北〉
4・各地のお米の比較 〈関東・中部・北陸〉
5・各地のお米の比較 〈西日本〉
6・おすすめブランド米まとめ 【結論】

 3回目記事では、「北海道・東北地域」で栽培されるブランド米のうち、「レアで入手困難な米」を中心に、Atlasが試食した結果「美味しい」と思った銘柄を中心に比較します。

  

 なお、今回の記事は、日本穀物検定協会 が、2025年2月28日に発表した産地別・銘柄別の最新の試食試験となる「食味ランキング試験」の結果を参考にしています。

特A(39地区)>A(76地区)> Aダッシュ(28地区)

 上表のように、特に味の良い銘柄のお米を特A評価とし、以下、A評価Aダッシュ評価の順で、銘柄・産地ごとにランキングを付けます。

 Aダッシュ評価が、全国のコシヒカリのブレンド米とおおむね同等の味との評価です。それより美味しいかどうかで、お米の味を判定しています。

 なお、今回のこの試験の概要と結果は、1回目記事こちら)の冒頭で詳しく説明しました。

3-1・各地のブランド米の比較


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1・もっちり・甘い系
2・しっかり・甘い系
3・しっかり・あっさり系
4・バランス重視系

  というわけで、以下では、食味検定の結果にふれつつ、各地のお米を、食感の違いから、4つに区分して紹介します。

 その上で、最後の「結論編」(こちら)では「今買うべき、最も美味しいお米」を提案していきます。

 長い記事ですが、よろしくお願いします。

1・もっちり甘い系のブランド米

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 はじめに、「もっちり感が強く、お米の甘みを感じられるタイプのお米を紹介します。

 ブランド米の最近の「トレンド」といえる食感であり、食味試験では、特A評価を得やすい傾向にあります。


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 【白米】

 1・北海道産 ふっくりんこ 5kg
  ¥5,380 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:A評価(全道)
特A受賞歴:6回
新米時期:9月下旬
特長:ふっくら・ほどよく甘め・やや粘る

 「ふっくりんこ」も、北海道のブランド米です。

 北海道でも、本州に近い函館(道南)で力を入れて栽培しているお米です。

 令和元年に、3年ぶりに「特A」に復帰し、そのまま連続受賞と安定性が増していました。2024年は、いきなり2段階降下しAダッシュでしたが、今年は1つ戻してA評価です。

 海峡を通してお隣の、青森の「青天の霹靂」も同じような推移なので、気候的な問題もあったかもしれません。

 新米は、北の晩生種ですので、ネットでは9月末~10月あたりから増えます。

 先祖の経歴は、この品種も、北海道のきらら397が、母系・父系ともにおり、道産品種を軸に、じっくり改良してきたお米です。

 地域で、生産基準を決めており、低レベルな米を出荷しない体制がとられます。

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 味の傾向は、名前通り「炊きあがりがふっくら」しており、味も美味しく、見映えもする品種です。

 ただし、ゆめぴりかと較べると、粘りや甘みはマイルドです。

 粘りがほどほどに強いので、お弁当のおにぎりに向きます。

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 以上、ふっくりんこの紹介でした。

 道産米ですが、ゆめぴりかとは違った「個性」があるお米です。

 価格も値ごろ感があるので、全国にあまり流通しないお米で、高評価のお米を安価に食べたい方にもおすすめできます。

 「粘り気」がありつつ、それを主張しなすぎない点で、色々な料理に合うでしょう。


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 【白米】

 2・北海道産 おぼろづき 5kg
   ¥5,800 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月上旬
特長:もっちり・粒ぞろい・甘さ控えめ

 おぼろづきは、2003に年登場した、北海道のブランド米です。

 「ゆめぴりか」に似た特性で、粘り気の強い低アミロース米ですが、こちらのほうが先発でした。

 北海道以外はあまり出回らない「レア米」ですが、個性が強く、ファンも多いです。

 新米の時期は、例年、10月上旬以降です。

 先祖の経歴は、「華やか」な、ゆめぴりかとちがって、ほとんど無名です。

 名が知れた銘柄では、遠い先祖に「きらら397」が見られる程度です。


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 味の傾向は、ゆめぴりか同様に「もっちり系」です。

 ご飯の甘みは、「ゆめぴりか」と比べるとさほどではなく、ほどよいレベルです。

 粒は大きめで、粒ぞろいです。

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 以上、おぼろづきの紹介でした。

 普通に炊けば「ゆめぴりか」の強い個性をマイルドにした感じです。ゆめぴりかの強烈な甘みが少し苦手な方には合うかもしれません。

 今回は「もっちり系」として紹介しましたが、硬めに炊くと、噛みしめるとほどよい甘さがでました。

 この点で、かためが好きで、噛むと「もっちり甘い」ご飯が好きな方にも、親和性があるかと思います。


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 【白米】10kg

 3・北海道産 あやひめ 10kg
   ¥10,680 楽天市場 (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月上旬
特長:やわらか・強い粘り・もち米風

 あやひめは、2001年に登場した、北海道のブランド米です。

 こちらも「知る人ぞ知る」銘柄なのですが、かなり個性的なので、コアなファンはかなり多いです。

 新米の時期は、こちらも、例年、10月上旬以降です。

 先祖の経歴は、特段先祖に「有名米」はいない、「たたき上げ系」です。


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 味の傾向は、よく粘る「もっちり系」です。

 一方、米のハリは、意識して水を調整しない限り、かなり「やわらかめ」です。

 おなじ傾向の「にこまる」と同じか、それよりもやわらかい印象です。

 風味は炊き方によりますが、個人的に、「おもち系」の味を感じる場合が多いです。柔らかめで、アミロース値の高いお米なので、もち米のように白濁している時もありますが、味は良いです。

 ご飯の甘みは、わりと強めに出ます。

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 以上、北海道産あやひめの紹介でした。

 「やわらかめ」の傾向のご飯は、Atlasとしてはあまり好きではないのですが、その傾向が好きな方は合うと思います。

 こちらは、「玄米食にあう」という話で買ったのですが、実際、この傾向なら合うかと思います(やってませんが)。


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 【白米】

 4・北海道産 ゆきさやか 5kg
  ¥5,900〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月中旬
特長:つややか・粒ぞろい・粘る

 ゆきさやかは、1998年に登場した北海道のブランド米です。

 北海道でも栽培地域が限られるため、レア度はかなり高いです。

 面で普及している品種でもないため、流通するお米は、特定農場の減農薬ものがおおいです。

 新米の時期は、ネットに見られはじめるのは、10月中旬以降です。

 北海道のお米のなかでは、若干遅めに思います。

 先祖の経歴は、父が北海PL9、母が空育160号です。

 数世代前に「ほしのゆめ」と「ゆきまる」が見られますが、零細系統と言えるでしょう。

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 味の傾向は、「もっちり系」です。

 粘りは強い傾向です。粒はさほど大きくないですが、「ゆめぴりか」並に粘ります。

 ご飯の甘みは、ほどほどです。

 とはいえ、邪魔にならない感じにはありますし、噛むと良質の甘みがしてきます。

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 以上、ゆきさやかの紹介でした。

 適当に炊いても、炊き上がりが綺麗で、美味しそうに見えるお米です。

 食感は「もっちりと粘る」感じで、そちらのレベルが高いです。とにかくレアで、広域にはあまり作られない品種なので、ブランドで生産者が限定でき、また「特別栽培米」が得やすい品種とも言えるでしょう。


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 【白米】

 5・岩手県産 金色の風 10kg
   ¥6,880 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:9月末
特長:もっちり・ほどよい甘み・ひとめぼれ風

 金色の風(こんじきのかぜ)は、2017年に本格的な栽培がはじまった、岩手県の新品種です。

 同県は、宮城県と同様に「ひとめぼれ」の大生産地で、20回を超える特A評価を得ています。それを超えるお米を目指したというのが出所です。

 参考品種として、初登場の2018年にA評価、2019年にA’と評価を落としました。

 その後は出品していません。どうも、作付面積が基準(1000ha)を超えないからのようです。

 新米は、中晩生の品種で、9月末以降の年が多いです。

 ネットだと10月半ば以降に新米が見られるようになります。

 先祖の経歴は、父は「ひとめぼれ」、母は「ひとめぼれの突然変異種」です。

 ようするに、食味を上げた「ひとめぼれ改」です。新しいブランド米の台頭で、ひとめぼれのブランド力がイマイチだったのに対するてこ入れでしょう。

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 味の傾向は、「もっちり系」です。

 ひとめぼれは、あっさり寄りの「バランス系」といった感じですが。

 恐らく、アミロース含有率が低い変異種を取り入れた結果、食味試験で評価される傾向の味に近づけた、というのが適切でしょう。

 ご飯の甘みは、ブランド米だけでみても「相当旨みを含む」といえます。

 ご飯は、「かたい」「やわらかい」の中間ほどな感じです。

---

 以上、金色の風の紹介でした。

 最近のブランド米のトレンドをふまえると、「賞を取りやすい」品種に思えました。

 生産管理も、県主導でかなり徹底してやっている様子なので、そのうち「特Aになっても不思議はない」新品種の1つでしょう。

 ひとめぼれに似て、炊きやすいお米です。


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 【白米】

  6・宮城県産 だて正夢 5kg
   ¥5,892 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:1回
新米時期:10月中旬
特長:やわらか・ほどよい甘さ・強めの粘り

 だて正夢は、2017年に栽培がはじまったばかりの宮城県の新品種です。

 宮城は、人気特A米の「ひとめぼれ」の大産地ですが、昨今のブランド米ブームからか、こうした新品種が登場してきました。

 生産量の関係で「食味ランキング」の正規の対象にはなりません。しかし、2018年2月の食味試験では、初登場で特Aをとり、注目された期待の品種です。

 それ以後は、生産量の関係か、検定への出品は見られません。

 新米は、ネットだと、10月中旬ごろからの流通の場合が多いです、

 先祖の経歴は、父は「げんきまる」、母は「まなむすめ」と「おぼろつき」の子です。

 「げんきまる」や「まなむすめ」は、マイナーながら、宮城県で栽培されている品種ですから、「The宮城」的なお米です。

 「ひとめぼれ」は、コシヒカリなどに連なる品種で「全国的なエリート」な家系ですし、それに対する「アンチ」として、ご当地の英雄(伊達政宗)を冠した部分もありそうです。

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 味の傾向は、「もっちり系」に分類できます。

 ひとめぼれは、「ややあっさり」した食感ですので、確実に傾向は異なります。

 ご飯の甘みは、平均よりは強めに感じます。

 一方で、炊き上がりはやや柔らかくしあがるので、硬めのご飯の好きな方には合わないでしょう。

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 以上、だて正夢の紹介でした。

 ブランド米に共通する最近の傾向(粘って甘い)が好きな方で、多少柔らかいご飯が好きな方に向くでしょう。


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 【白米】

  7・山形県産 夢ごこち 5kg
  ¥7,130〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月中旬
特長:自己主張強め・強い粘り・強い甘み

 夢ごこちは、山形県ほか、全国で栽培される人気品種です。

 ミルキークイーンなどと似ている粘る系統ですが、出自に特色があるといえます。

 各地の奨励品種ではないので、過去に食味試験などには出ていません。

 新米は、ネットだと、10月半ば頃からでまわる傾向です。

 先祖の経歴は、かなり特殊です。

 バイオテクノロジーで、コシヒカリを培養変異させ、形質転換させた品種だからです。

 したがって、表現しにくいですが、コシヒカリの「クローン(プロトクローン)」と考えれば良いかと思います。むろん、遺伝子組み換えなどではないです。

 1986年から育成され1995年に品種登録された、わりと古株な品種です。

 なお、福島以北だと「こしひかり」の生産・販売はほぼみられませんが、こちらは、青森県を除く、東北四県でもわりと生産がみられます。

 ミルキークイーンなどと同じで、四国あたりまで各地で作られます。

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 は、アミロース値が低い(粘る)固体を交配していったものなので、確実にコシヒカリより「粘る」と言えます。甘みもかなり強いです。

 むろん、生産地や状況にもよりますが、Atlasが食べた経験のあるものだと、これ以上ないというほど、甘く粘るお米です。

 ただ、逆に言えばかなり自己主張が強いお米なので、「おかずを引き立てる」と言うより、ご飯が主役になる感じです。

 この部分が、コシヒカリに取って代わるのではなく、各地で小規模に、しかし、継続的に生産されている理由だと思います。

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 (執筆時在庫なし)

 八代目儀兵衛 翁霞 5kg(ブレンド米)
  ¥----- Amazon.co.jp (5/24執筆時)

 八代目儀兵衛 神楽 5kg(ブレンド米)
  ¥----- Amazon.co.jp (5/24執筆時)

 なお、コーヒーやウイスキーのような「ポジティブ」な意味で、お米をブレンドして売っている料亭八代目儀兵衛の翁霞も、夢ごこちをベースにしています。

 時期によって産地は代わるようです。

 翁霞 は、2024年11月段階の情報だと、長野県産(ゆめごこち)と京都府産のブレンドとのことです。

 「夢ごこち」がキーに使われているのは公開されています。甘みと粘り重視のブレンドです。先述のように、単体だと個性が強すぎるからだと思います。恐らく京都府産は、「コシヒカリ」です。 

 神楽は、栃木県産と長野県産のブレンドとのことです。

 前者より「ハリ」重視の米質で、コシヒカリがキーのブレンドです。

 栃木県産が表記上先に来ているので、同県のコシヒカリ(あるいはコシヒカリ系統の「ナスヒカリ」か、レア品種の「ゆうだい21」)と、控えめに「夢ごこち」かと推測します。

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 以上、夢ごこちの紹介でした。

 甘くて粘る系のお米が好きな方は、試すとよい品種の1つです。個人的に食べた経験のあるお米で「ミルキークイーンより粘って甘い」と言いうるのは、この品種くらいだと思います。

 ただし、粘りがありすぎると困る料理(炒飯・寿司など)には、徹底的に向かない上で、普段の料理でも「ごはんが主役」になってしまうので、他のお米と並行して炊いて楽しむのが良いかなと思います。

2・しっかり甘い系のブランド米

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 続いて、ご飯のハリがあり、噛むと甘いタイプの紹介です。

 だいたいがいわゆる「かためご飯」が好きな人にあうカテゴリですが、例外もあります。


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 【白米】

 8・福島県産 福、笑い 10kg
   ¥11,360 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

 8・福島県産 福、笑い 6kg
   ¥7,780 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月後半
特長:甘め・ふっくら・色白

 福、笑いは、2021年に登場した福島県のブランド米です。

 同県はコシヒカリ・ひとめぼれの大産地です。そのほか地域銘柄として、天のつぶ、里山のつぶ、あさか舞など、小粒ながらブランド米も多い地域です。

 一方、ただ、新興品種だと、全国銘柄として特Aを獲得するような銘柄は(今のところ)ない状況で、こちらは期待の新銘柄になります。

 ただ、24年続いて、2年連続で、食味試験には未出品です。

 新米は、10月後半からネットで多くなる製品です。

 晩生種(中生の晩)で、かつレア品種なので、そうなります。

 先祖の経歴は、お爺さんの代にコシヒカリ、その先にひとめぼれがあるのが「福島らしい」ですが、あまり有名なお米はない印象です。

 開発に14年の歳月をかけて、じっくり育てたお米とも言えます。

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 味の傾向は、粘りは少なめで「しっかり」よりです。

 ただ、ふっくら炊ける感じがあるので、「やわらかめ」が好きな方でもあいます。また、(ゆめぴりか、ミルキークイーンのような)粘りが苦手な方に向くと思います。

 個人的には東北でいえば、山形の「はえぬき」に近い感じです。白色度はこちらが高く、大粒ではないですが、お米が粒ぞろいです。

 また、「甘みとふっくらさ」の部分ではこちらが優るように感じました。

 ご飯の甘みは、かみ始めから感じます。よく噛むとさらに甘い感じがあります。 

 こちらは、銘柄として生産基準をしっかり定め、栽培者を限定するパターンなので、どこで買っても品質のバラツキが少ないタイプで、ネットで買うには向きます。

 また、食味試験は、産地の各地のお米を混ぜて行う試験なので、生産管理があると受賞しやすいでしょう。意外と受賞は早いかなと想像します。

 以上、福、笑いの紹介でした。

 2024年に見つけて食べたお米の1つです。

 2010年代は「第2のゆめぴりか」を目指したような「粘り、もちもち」系の新品種ばかり、各地から登場していたような感じがありました。

 こちらは、そういった状況が一段落してからでた品種です。独特の個性を感じられる点で、良いように思いました。いろいろな指標で評価できるお米ですが、食べた感じ、「ふっくら」という表現が最もこのお米の特質を示しているように思います。

3・あっさり系のブランド米

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 続いて、あっさりしているお米歯ごたえを出しやすいお米について書きます。

 食味試験では、多少評価が落ちる傾向にありますが、Atlasをふくめ、この食感が好きな人は一定数います。


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 【白米】

 9・ 北海道産 ほしのゆめ 5kg
  ¥---- Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月後半
特長:超あっさり・やわらか・淡い

 こちらは、北海道の「ほしのゆめ」です。

 2000年登場の品種ですが、道産米では珍しく「あっさり系」といって良い製品です。

 新米は、10月に入ってから、流通がはじまります。

 先祖の経歴は、祖先に、「あきたこまち」や「きらら397」などが見られます。

 どれも「あっさり」めな系統ですので、納得感があります。

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 味の傾向は、典型的な「あっさり系」です。

 粘りはほとんどない、ストイックな感じです。

 かたさは、柔らかくも、堅くもない中間程度です。

 ご飯の甘みは、ほとんどなく、かなり淡い感じです。

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 以上、ほしのゆめの紹介でした。

 令和2年は、北海道のお米を集中的に試しましたが、その中でも屈指の「あっさり系」です。

 このお米自体は、普通の水分量でも「やわらかめ」な仕上がりなので、「あっさり系」で、かつ、粘りも甘みも苦手、という方には合うでしょう。

 個人的には、ミルキークインなど個性が強すぎるお米にブレンドしたら良いかと思いました。


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 【白米】(低温製法米ほか)

 10・ 宮城県産 白米 ササニシキ 5kg
  ¥6,148 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:Aダッシュ(全県)
特A受賞歴:2回
新米時期:10月中旬
特長:小粒・さっぱり・あっさり

 こちらは、宮城県のササニシキです。

 1963年に登場した歴史ある品種で、80年代まではコシヒカリに並ぶ全国ブランドでした。

 実際、食味検定で特Aができる平成元年以前は、7回の最高評価受賞歴(宮城県本石地区)もあったほどです。

 ただ、病気と台風に弱い性質があり、現在は生産量は少ないです。

 あっさり系なので食味検定との相性も悪く、その後は1回しか特Aは受賞できていませんでした。

 一方、平成30年は「当たり年」で、23年ぶりに特A評価の栄冠を得ました。その後はA評価の年が多いですが、去年に続き、今年もAダッシュです。

 新米は、ネットで出まわるのは、10月中旬以降の場合が多いです。

 中生種ですが、収穫が早いものはあまりなさそうです。

 先祖の経歴は、ほとんど著名米はないです。子孫も、ササニシキの後継といわれるものは、「ささ結」ほどで少ないです。

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 味の傾向は、「あっさり系」で、その代表格と言えます。

 アミロースが多く、粘度が低いので、お寿司に向くお米です。古い寿司屋では、今もササニシキを使うところも多いようです。

 一方、粒はさほど大きくなく、粒ぞろいとも言えないので、炊くのにコツが要ります。甘さはさほどありません。

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 以上、ササニシキの紹介でした。

 A評価に陥落したとはいえ、この系統で特Aは難しいため、美味しいお米であることは変わりません。

 若い世代の方は、食べたことのないかたも多いでしょうから「古き良きお米」を楽しんで貰いたいと個人的には思います。

 なお、上掲の「低温製法米」は、(自社精米所を持つ)アイリスオーヤマ独自の製法です。

 原料米を低音で管理するほか、熱の入りにくい(お米の味が劣化しにくい)「かくはん対流式」精米をする点に特色があります。


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 【白米】

 11・会津産 里山のつぶ5kg
   ¥5,290 楽天市場 (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:1回(参考品種)
新米時期:10月下旬
特長:あっさり・つややか・かため

  里山のつぶは、2018年に開発されたばかりの福島県の地方米です。

 Atlasは会津若松に行ったときに、食べる機会がありました。

 会津地方の山間地向けに、あきたこまちの代替として開発されたお米です。

 収量が多い系統ですが、食味ランキングは、2019年2月に初めての出願で特Aを取りました(参考品種)。

 ただ、その後は出品していませんでしたが、2023年に「本試験」にでて「A判定」です。今年は出ていません。

 新米は、10月の終わりほどから、ネットだとみられるようになります。

 中早生種ですが、あまり早くみたことはないです。

 先祖の経歴は、父は「新潟71号」、母は「福島14号」です。

 栽培基準をしっかり定めており、その結果が今回の受賞なのでしょう。

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 味の傾向は、簡単な試食でもわかるほどの「あっさり」系です。

 粒はさほど大きくないですが、しっかりしていて、かための炊飯が合いそうです。

 ご飯の甘みは、さほど強調できず、香りもほどほどです。

---

 以上、里山のつぶの紹介でした。

 全国への流通は少なく「珍しい」品種です。生産量を増やした現在、その品質が今後も維持できるかが課題でしょうが、あっさり系のホープとして、期待しています。

4・バランス系のブランド米

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 最後に、米の粘りの点で中間的な性質といえるバランスの良お米」を種紹介します。

 このタイプは、普段の食卓で邪魔にならない「控えめ」な味の炊き上がりで、飽きがこないです。

 Atlasは「オールラウンダー系」と呼んでいます。

 なお、上の表が変な形になっているのは、「もっちりであっさり」というお米は、世の中に(なかなか)ないためです。


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 【白米】

 12・北海道産 きらら397 10kg
  ¥10,480〜 楽天市場 (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:(最高A)
新米時期:10月中旬
特長:小粒・程よく粘る・炊き分けやすい

 きらら397は、1990年に生まれた北海道のお米です。

 平成とともに生きてきた伝統あるお米です。

 主に業務用に活躍する多収量米ですが、近年は、食味値としても評価があがってA評価を安定的に得ていました。

 しかし、2019年以降の食味試験は、不参加となっています。

 新米は、10月中旬ごろからネットで出まわります。北の中生種です。

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 味の傾向は、炊き方で傾向が変わりやすいバランス系です。

 アミロース値が低いので、データ的には「それなりに粘る方向性のバランス系」という判断になります。

 ただ、大量流通している実際の製品は、粘りはほどほどのものも多く、平均よりはあっさり寄りの場合が多いです。

 いずれにしても、炊き方次第で好みに合わせて炊きあげられるお米です。

 ご飯の甘みは、ほどほどのレベルです。香りもほどほどです。

---

 以上、きらら397の紹介でした。

 典型的なバランス系の味ですが、個人的には、堅めにご飯を炊く場合に、美味しく炊けるお米と思っています。

 とくに、粒が小さく、表面の粘性がほどほどなので、チャーハンなど炒める料理で使うと「ぱらぱら」するのでおすすめです。冷凍ご飯にも向くでしょう。


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 【白米】

 13・北海道産 きたくりん 5kg
  ¥5,980〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

 【特別栽培米】

 13・北海道産 きたくりん 5kg
  ¥-----Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:(最高A)
新米時期:10月中旬
特長:やわらかめ・ほどよい粘り・名脇役系

 きたくりんは、2013年に登場した北海道のブランド米です。

 主に道央・道南で栽培される収量の多い、いもち病耐性の強い普及種です。

 新米は、こちらも出まわるのは10月中旬ごろからです。

 先祖の経歴は、母が特A常連の「ふっくりんこ」で、その改良種という位置づけです。

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 味の傾向は、バランス型です。

 ただ、おこめは、食感的には少しやわらかめに感じましたが、どのような炊き方でも合うでしょう。

 ご飯の甘みは、ほどよいです。

 甘みは、きらら397よりもありましたし、強調できるポイントの1つです。

---

 以上、きたくりんの紹介でした。

 とくべつな個性は少ないですが、食事の邪魔にならないお米です。

 病気耐性がある点で、(農薬が少なくしやすいため)特別栽培米もわりと安めで出ているという特徴もあると言えます。


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 【白米】

  14・青森県産 青天の霹靂 5s
   ¥5,326〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:A評価(津軽)
特A受賞歴:8回
新米時期:9月下旬
特長:つややか・噛むと甘い・粒ぞろい

 青天の霹靂は、2017年に登場した青森県期待のブランド米です。

 隣接する東北各県や北海道では、それぞれ地域ブランド米が確立しています。

 しかし、青森県のブランド米の「つがるロマン」や「まっしぐら」は、最高Aランクで、全国区にはなれない品種でした。

 そのようななか、青天の霹靂は、同県で初めて特Aが取れたブランド米です。生産量の関係で【参考品種】だった1年を含めて、2023年まで特A評価を8年連続で受賞でした。

 一方、2024年の試験と、2025年の試験は、1つ下A評価です。

 青森県(南部地方)のはれわたりが特A受賞したのと入れ替わりです。

 はれわたりと比べて、全体として生育期が早い品種なので、23年は夏の高温少雨が、24年も暑さの影響を受けやすかったからでしょう。

 ただ、いたずらに生産量を増やして特Aから陥落していった訳ではないです。

 引き続き、品質とブランド維持のために県主導で生産者を限定し、基準や目標を定めているようです。24年の作付け自体もはれわたり(17%)に対して、限られたもの(6%)だったようですから。

 お米の性質(味)的に、「はれわたり」より食味試験向きではなく、特Aが得にくい部分があるとは言えますが、真面目な生産者さんたちの取組により、ブランドが復活する日も近いように思います。

 新米は、9月下旬の収穫で、10月中旬の発売が普通です。

 先祖の経歴は、ほとんど無名の先祖しかおらず、青森の「まっしぐら」が祖父なのが目立つほどです。

 そういった中から超優秀な子孫が出てくるのは、面白く感じます。

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 味の傾向は、最近のお米の平均値から言えば、バランスの良い味と言えます。

 水加減で調整できる範囲は広いですが、どちらかと言えば、堅めに炊くご飯が好きな方に相性が良さそうです。

 ご飯の甘みは、平均よりも強い方です。

 また、状態の良いものにあたると、炊き上がりの米の香りは強烈です。

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 以上、青天の霹靂の紹介でした。

 23年に久しぶりに青森県に行って岩木山に登った時、久しぶりに現地でも食べました。

 どんなご飯・炊飯方式にも合うバランス系のお米で、普段使いにおすすめしたい品種です。

 厳格に生産管理をしており、一般に流通するお米でもかなりレベルが高いため、ネットで買うのにも適した品種の1つです。


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 【白米】

 15・青森県産 まっしぐら 5kg
   ¥5,898 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:A評価(全県)
特A受賞歴:1回
新米時期:9月下旬
特長:粒ぞろい・ハリ・家計の味方

 まっしぐらは、青森県で2009年から栽培されているお米です。

 収穫が多く、栽培が容易なので、業務用に多く使われるお米です。

 こうしたタイプのお米は、めったに特Aをとれないのですが、気候条件がうまく合った年年は、「特A」を取ることがあります。

 2019年秋のお米が「当たり年」で初めて受賞しましたが、2024年はAダッシュでした。今年はA評価ですので、このお米としては、できが良い年だったようです。

 新米は、東北のお米ですが、中早生の比較的早い時期、9月にはみられます。

 多収量のお米なので、値段も割と安いです。

 先祖の経歴は、祖母にあきたこまちが見られますが、あとは無名であり、収穫量重視でつくられたと思います。

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 味の傾向は、さほど大粒ではなく、粘りもほどほどなタイプです。

 ただ、粒ぞろいで、炊きむらが生じにくいタイプです。

 ややハリがあるので、水加減をきもち少なめに炊くと、かみしめた際甘さをかんじられます。

 その点では「あっさり固め系」の特質なのですが、試したら、水加減でわりと調整が効くので、「バランス系」と分類しました。


 以上、まっしぐらの紹介でした。

 なかなか全国流通しないお米で、かつ結構安いお米です。家計にも優しいので、一度試しても良いかと思います。


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 【白米】(執筆時在庫なし)

 16・秋田県産 ゆめおばこ 5kg
   ¥− 楽天市場 (5/24執筆時)

今年度評価:
特A受賞歴:1回
新米時期:10月中旬
特長:ふっくら・やわらか・あっさり

  ゆめおばこは、2010年に開発された秋田県の地方米です。

 「女の子」を名前に冠しているので、各社のパッケージも華やかです。

 味の方は、2019年は初めての特Aでしたが、その後は連続でA評価で、2023年はAダッシュ、その後は期待の「サキホコレ」と入れ替わる形で、未出品です。

 新米は、10月中旬以降にネットでは出まわります。

 中晩生で多収量の品種になります。 

 先祖の経歴は、父は「岩南8号」、母は「秋田58号」という試験品種です。

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 味の傾向は、「しっかり」と「もっちり」の中間的な味(バランス系)です。

 ただ、大粒で「お米がやわらかく、ふっくらしている」という印象が強いお米です。

 収量が多い品種なので、もともと、業務用として開発された経緯があります。

 しかし、食べてみたら、意外と「新食感が面白い個性」なので、JALの機内食にも採用されました。

 ご飯の甘みは、ほんのりと甘みを感じるか、という程度です。

--- 

 以上、ゆめおばこの紹介でした。

 アニメ系の絵柄から、日本画タッチの絵柄まで、とにかく、パッケージに特色があるので、特Aで話題になったら、味とは別の方向性で、品薄になりそうな気もします。

 ただ、「やわらかめ」のご飯が好きな方には、かなりおすすめできます。


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 【白米】

 17・山形県産 はえぬき 5kg
   ¥4,671〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)

今年度評価:A評価(村山・最上)
特A受賞歴:全県合計21回
新米時期:10月中旬
特長:ほどよい粘り・小粒・冷めても美味しい

 はえぬきは、山形県の「古豪」といえる品種です。

 歴史は、同県を代表する「つや姫」より古く、20年以上前から山形県内陸部では特Aを連続受賞、全県でも、昨年まで7年連続受賞してきた優秀なお米です。

 全県でみると、特A自体は21回とベテランですが、今年は、出品した2地域(村山・最上)ともにA評価でした。

 ただ、山形の場合、別の地域で「はえぬき」の生産もあるため、買われた場合「A確定」という訳でもないです。

 新米は、さほど早い時期にはみられず、10月中旬以降に本格的に出まわります。

 稲としても晩生種です。

 先祖の経歴は、やはり「あきたこまち」の子というのが目立ちます。

 あきたこまちは、栽培が難しいため、病気に強くて、美味しいお米を目指したという成り立ちです。

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 味の傾向は、あきたこまちに似ています。

 近い祖先にあきたこまちがいる品種だから当然でしょう。ただ、「粘り」はほどほどで、何にでも使えるバランス系のお米です。

 最近のブランド米に較べると小粒ですが、冷めても美味しいですし、十分に優秀なお米です。

 おにぎりに向いているお米で、業務用ではその用途でも多く使われるようです。

 以上、はえぬきの紹介でした。

 最近流行するタイプの米質ではないですが、美味しいと言えるお米です。

 ただ、ネットでは比較的安く手に入ることも多いので、一度試しても良いかと思います。

次回に続く!
美味しい!ブランド米のおすすめは結論的にこれ!

 というわけで、今日は、お米の比較の3回目記事として、北海道・東北地域のお米を品種別に比較しました。

 しかし記事は、まだまだ「続き」ます。

1・特Aブランド米の比較〈全国〉
2・コシヒカリの比較〈全国〉
3・各地のお米の比較 〈北海道・東北〉
4・各地のお米の比較  〈関東・中部・北陸〉
5・各地のお米の比較 〈西日本〉
6・おすすめブランド米まとめ 【結論】

 つづく、4回目記事こちら 】では、関東・中部・北陸地域のレア品種を紹介します。

 

レア度  ★★★☆☆
減農薬  ★★★★★
食味値  ★★★★★
生産管理 
★★★★☆
総合評価 ★★★★★

 その上で、最終回となる結論編こちら)で、このブログで紹介した全てのお米から、Atlasの今年度のおすすめ米を最終的に提案していきます。

 引き続き、よろしくお願いします。

 4回目記事は→こちら

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1・3合炊き小型炊飯器【〜3万円】
2・5合炊きの高級炊飯器【3万円〜】
3・5合炊きの格安炊飯器【〜3万円】
4・一升炊きの高性能炊飯器【3万円〜】
5・一升炊きの格安炊飯器【〜3万円】
6・糖質カット/麦向き炊飯器

7・炊飯器の選び方 【まとめ記事】

 そのほか、上記の記事では、最新の「炊飯器」の性能を巡る現状や選び方について、Atlasの視点からまとめています。

 今回の記事との関連で言えば、穀物検定協会が「特A」を選ぶ際の食味検査に使っている炊飯器(の後継機)も最後の記事で紹介しています。

 興味のある方は、こちらの記事もよろしくお願いします。

posted by Atlas at 17:40 | 食料品

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