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2023年07月23日

比較2023' 最新ノイキャンイヤホン22機の性能とおすすめ・選び方 (2)

【今回レビューする内容】2022年 通勤通学向けのノイズキャンセリングイヤホンの性能とおすすめ・選び方

今回のお題
ノイキャン対応イヤホンのおすすめはどの製品?

 ども、Atlasです。

 今回は、2023年7月現在、最新のノイズキャンセリング対応イヤホンの比較の2回目記事です。

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1・ノイキャンイヤホンの比較 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】
 1-2:Bluetoothイヤホン(非独立)
2・ノイキャンイヤホンの比較 (2)
 2-1:完全独立(TWS)イヤホン
3・ノイキャンイヤホンの比較 (3)
 =最終的なおすすめの提案【結論】

 今回は、ノイキャンイヤホンのうち、1回目記事で紹介できなかった、左右独立のTWSタイプのうち、ノイズキャンセリングに対応するものを紹介します。

ノイキャン効果 ★★★★★
音質の良さ   ★★★★★
重低音     ★★★★★
ハイレゾ再生  ★★★★★
ワイヤレス対応 ★★★★★
総合評価    ★★★★★

 というわけで、比較をはじめます。

 そ最後の「結論」部分では、上表のようなポイントから、「Atlasのおすすめ機種!」を提案する形で記事を進めていきます。

・今回の記事構成について

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 ノイキャン機能がある完全ワイヤレスイヤホンの比較にはいる前に、あらかじめ、断っておくことが1点だけあります。

 ノイズキャンセリング技術(ANC)は、もともとSONY・BOSE・Appleなどが保有する自社技術で、少数のメーカーだけが展開していました。

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 しかし、2019年頃に、米国の半導体メーカーとなるクアルコムが汎用のSOC(=ノイキャン機能を装備したBluetooth通信ユニット)を出しました。

 それ以後、独立型については、各社が展開を始めて(格安機を含めて)爆発的な数に増えました。クアルコムのSOCを搭載したイヤホンもWマイク式で優秀です。

 ただ、根本的には「借り物」であり、メーカーごとの個性はさほどないです。

 今回は、ノイキャン機能の違いに注目した記事なので、クアルコム系のノイキャン機、あるいは、ソニーが(自社の下位技術を)他社に外販した思われる製品は、一部のみしか比較しません

 しかし、そうした製品を含めて書いた記事が別にあります。

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1・完全ワイヤレスイヤホンの比較(1)

 以上の記事が、このブログ「家電批評モノマニア」の完全ワイヤレスイヤホンのメイン記事です。

 ノイキャン非対応機も混ぜての紹介にはなります。ただ、「どれがノイキャンか」分かるようにしています。

 「安め」の独立型イヤホンでお考えの場合、上記の記事も後ほどご確認ください。

2-1・Bluetoothイヤホン(TWS型)

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 というわけで、前置きが長くなりましたが、ノイズキャンセリング技術を搭載するイヤホンのうち、完全にケーブルフリーなTWSタイプを紹介します。

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 なお、以下では、Atlasのおすすめポイントを赤字系で、イマイチだと思う部分を青字系で書きます。


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 【2022年発売】MLWK3J/A後継品

 11・Apple AirPods Pro MQD83J/A
  ¥39,800 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-
コーデック:SBC・AAC
連続再生時間:6時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式 (自動)
防水性能:IPX4
重さ:5.3g×2

 AirPods Proは、Appleが(ほぼ事前情報なしに)2019年秋に発売したAirPodsの上位版です。

 なお、2022年に「第2世代」(マイナーチェンジを入れると実質的に第3世代)に更新されました。ノイキャンの精度向上・バッテリー量の増加など、フルモデルチェンジです。

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 重量は、5.3gです。

 売れている製品だけに、完全ワイヤレスイヤホンにおける1つの「快適な重さの基準」と言えます。

 実際、これより重いと、長時間装着時に、わりと圧迫感が出てしまいます。

 イヤーピースは、4サイズが添付されます。

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 音質面では、同社の伝統ですが、「バランス重視」です。Apple特有の低音域・高音域が強調されないフラットな音質と言えます。

 本機は、音漏れしにくいカナル型形状の製品です。しかし空気を逃がすベント(孔)はあるので、音抜けもよいです。

 このタイプは微少の音漏れはあり得ますが、イヤーチップ装着テストをしっかりし、適合したタイプを利用すれば、気になるレベルではないです。そもそも口径も小さめですし。

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 音質のパーソナライズは、アダプティブイコライゼーションに対応します。

 内側のマイクを利用して実際聞いている音を把握し、中低音域の周波数を調整をする技術です。同社のヘッドホンと同じ技術です。

 ヘッドホンと違って、イヤホンは利用時にあまりズレない(視聴環境の変化は少ない)とは言えますが、密着度、あるいは、音源の性質に由来する不快感は吸収しますし、あって損はないと思います。

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 立体音響は、「空間オーディオ」をフォローします。

 空間オーディオという名前自体は(商標でないので)各社でいろいろ使っています。

 Appleの「空間オーディオ」は、7.1chまでのドルビーほか、映画用の立体音響技術のドルビーアトモスを音源として 利用する形式です。

 ドルビーアトモスは、映画館のような上からの振り下ろし音を3D的にフォローできるサラウンド規格で、ネットを含む映画コンテンツで採用が多い音響規格です。

 これらのデータを利用しつつ、再計算して立体音響を再現しています。

 耳の聴覚特性で立体感は変わるので、iPhoneのカメラ(TrueDepth)を使い頭の形を測定して、カスタマイズする機能を備えます。

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 音楽コンテンツは、iPadを含むiOS系のデバイスを利用して、Apple Musicアプリで配信されるDolby Atomos対応コンテンツの「空間オーディオ」が使えます。

 なお、本機は、Mac OS(itunes)でも利用できます(Intel Macは一部機能制限あり)。

 そちらでも、空間オーディオは利用できます。

 映像コンテンツは、Apple TVアプリ中のドルビーアトモスなどの対応コンテンツのみです。

 このほか、Netflix・Amazon Musicなどの空間オーディオも、(Atmosとして)も再生可能です。

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 なお、純正コンテンツ利用時に限るものの、利用時、内蔵の「ヘッドトラッキング機能」もオンになります。

 内蔵される加速度・ジャイロセンサーを利用し、利用者の頭の向きに連動して、立体音響(ドルビーアトモス)の方向性を正しく調整する技術です。ようするに、普通のスピーカーのように、自分が首を振ったりしても、音が正しく定位します。

 技術自体は10年以上前に確立していて、立体音響についても、ゲーム用ヘッドホン(写真はJBL Quantum ONE)などで既に先行しました。

 ただ、ワイヤレスイヤホンでは初で、素直に「すごい技術」だと素直に思います。ちなみに、2022年から「Dolby Head Tracking」という汎用規格が登場したので、他社にも普及していきそうです。

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 ドライバーは、サイズ・素材とも非公開です。

 おそらく6mm前後で、完全独立型では「平均値」程度です。

 再生周波数帯域も、非公開です。

 初代は低音側が20Hzと公開がありました、周波数帯域はH2チップの採用でより拡がったとします。

 一般的に問題ない水準ですが、ドライバの口径を考えると、他社機(高級機)に優るとも言えません。先述のように、低音より、全音域の聞きやすさを重視しています。

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 Bluetoothコーデックは、SBCのほか、 iOS系はAAC対応なのでAACに対応します。

 Androidユーザーでも本機は使えますが(機能制限あり)、買う人は少ないでしょうし、Apt Xは対応しません。

 接続安定性の面では、しっかり、Bluetooth5.3に対応です。

 遅延については、本世代で改善がみられますが、やはりApt X系よりは弱いです。

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 ノイズ対策は、搭載です。

 外側と内側に集音マイクを装備する上位のWマイク式(自動)です。

 耳側のノイズをセンシングして打ち消すため、ノイズ除去率が1マイク式より格段にアップします。

 旧機種も同じ仕組みでしたが制御チップ(H2)の更新で精度は2倍といわれます。実際、他社高級機と比べても「効きは良い」です。

 外部音取り込みモードも対応です。

 ノイキャンをしつつ、電車のアナウンスは聞きたい場合などに使います。本機は「適応型環境音除去( Adaptive Transparency reduce)」に対応し、周囲の騒音状況に合わせて自動でかかりが調整されます。

 なお、モード切替は、本体の感圧センサーを、ちょこっと押すだけです。

 連続再生時間は、ステレオ再生で6時間です。

 旧機種より25%ほど持続時間が延びました。

 なお、ケースに内蔵される予備バッテリーの量も含めると、最大30時間です。

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 Apple MagSafe充電器
  ¥5,303 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

 充電ケースは、2021年機からは、QiやUSBほかMagSage充電(15W)にも対応するようになりました。

 上記の純正を含む対応品を使うと、充電速度がQiに対して2倍ほど速くなります。

 マイクは、搭載されます。

 スマホでのハンズフリー通話が可能で、風切り音のキャンセル機能もあります。

 そのほか、装着時に自動的にON/OFFになる機能など、使い勝手の配慮も高いです。

 防水性は、IPX4等級です。雨天などに対応できる水準となりました。

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 以上、AirPods Pro(第2世代)の紹介でした。

 H2チップ搭載で、iOSとの相性は最も良いですし、iPhone用に「アップル製品限定」で探している方には候補となるでしょう。

 一方、ソニー上位機と比べると、バランス重視の音質なので、低音域を中心とする音圧という部分では、負ける部分はあります。ノイキャンも、状況対応力の部分でわずかに及んでいない印象です。

 音源的にも、空間オーディオは他社でもフォローしている機種は多いです。その点で言えば、純正品のみ使える独自機能はヘッドトラッキング機能ほどになります。

 こうした部分で、(最終的に本機を選ぶにしても)他社の競合製品をみる意味はあります。


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 【2021年発売】

 12・ SONY ノイキャン WF-1000XM4
   ¥30,500 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC・AAC・LDAC
連続再生時間:8時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
外音取込:対応
防水性能:IPX4
重さ:7.3g×2

 WF-1000XM4は、SONYが販売するノイキャン対応のイヤホンの最上位モデルです。

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 装着方法は、こちらも、ワイヤーのない左右独立型です。

 密閉式で、音漏れしないタイプです。

 重量は、7.3gです。

 従来より軽量化されましたが、Apple AirPods Proよりは重さがあります。

 とはいえ、重みを感じない「ぎりぎりの線」です。

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 イヤーピースは、今回から新型が3サイズで付属です。

 新開発のノイズアイソレーションイヤーピース(EP-NI1000)が付属です。

 (アナログな意味での)遮音機能と装着性を重視するものです。

 (デジタルな意味での)遮音機能がある機種でも、対策がないと音漏れはあるので、この仕様で良いでしょう。

 ドライバーは、ダイナミック型の6mmを採用します。

 完全ワイヤレスイヤホンでは平均値ほどのサイズです。

 周波数帯域は20Hz-40kHzであり、高音域側が「ハイレゾ対応水準」である40kHzを超えており、(業界基準として)ハイレゾ音源に対応です。

 SONYは重低音を重視する機種がありますが、本機は、エキストラバス機能がないので、低音域を過度に強調した機種ではないです。

 ただ、振動版の設計の工夫で、実際は、AirPod Proよりも音域は広く豊かです。

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 音質のパーソナライズは、Appleとは違う方式ですが対応です。

 アプリでの初期設定時、適切なイヤーチップをカメラを使い提案してくれる機能ほか、ノイキャンのかかりを最適化させるため、内蔵マイクを使いつつ調整する機能があります。

 この際、周囲の気圧状態も見ながら調整する点は独自です。

 一方、実際の視聴状況(音源や装着状態)に基づいてリアルタイムで中音域の周波数を可変させ、音質向上を目指すAppleの工夫(アダプティブイコライゼーション)に相応するような機能は、未搭載です。

 ただ、イヤホンはヘッドホンほど装着状態は変わりませんし、ノイキャンONの際は、その制御のほうで、似たような音質向上化は行われているように思います。


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 立体音源は、ソニーも対応です。

 本機は、「360 Reality Audio」の認定製品である点も、SONYは強調します。

 Appleの「空間オーディオ」に相当するものです。同名の専用アプリ経由で、最先端の3D立体音響を楽しめます。

 360 Reality Audioの場合、Dolby Atmosコーデックではなく、独自の音楽用コーデックを利用します。アプリベースの処理なので、ソニー製品でなくても、Bluetooth搭載のイヤホンならば、他社製品でも使える点で汎用性があります。

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 ただ、本機やSONYの下位機種を含めて、SONYのBluetooth搭載イヤホンは、「360 Reality Audio認定ヘッドホン」として、自社だけの特別な機能があります。

 耳の形をカメラで撮影し聴覚特性に応じて、立体感を得やすく音質をカスタマイズする機能です。Appleにも備わっていたもののソニー版です。

 空間オーディオは、360 by deezernugs.netほか、定額聴き放題サービスでも、「Amazon Music Unlimited」で、3Dオーディオの配信がはじまりました。

 イヤホンも2021年後半からアマゾンで使えます。(こちら)で無料体験も可能です。

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 Bluetoothコーデックは、SBCAACほか、LDACにも対応します。

 ハイレゾ音源再生をしたい場合、こちらを使う必要があります。

 スマホならば、SONYのXperiaや、GalaxyのS20シリーズ、音楽再生機機ならば【ウォークマンの比較記事】で書いた同社製品に(ほぼ)限定されます。

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 ハイレゾの部分で言えば、本機は、DSEE Extremeという、SBC/AACなどの圧縮音源を「ハイレゾ相当」に再計算してアップスケーリングする機能を持ちます。

 通常音源が「ハイレゾ級」にはなるので、ワンポイントとは言えるでしょう。

 通信安定性の面では、本機はBluetooth5.0に対応しており、優秀です。

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 ノイズ対策は、AirPods Proと同じで、外側と内側に集音マイクを装備するWマイク仕様です。

 同社は、「デュアルノイズセンサーテクノロジー」と呼びますが、仕組みは同じです。

 耳側のノイズをセンシングして打ち消すため、ノイズ除去率が格段にアップします。

 周囲の状況に応じて、かかりの強度も自動調整もされる仕様となります(Adaptive Hybirid ANC)。

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 チップは専用設計で、Bluetooth SoCとノイズキャンセルにも使う統合プロセッサーV1です。

 最近は、各社ノイキャン機を出し始めましたが、汎用Socを使っている場合が多いです。

 本機は、Apple同様に、SONYの自社開発で、こだわりがあります。

 昔からノイズ対策に相当力を入れてきたメーカーですし、その精度には定評があります。

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 使い勝手も、優秀です。

 例えば、スマホの加速度センサーと連動し、歩行・走行・静止状態・電車内と状況を検知し、外音の取り込みレベル・ノイズキャンセルのレベルを自動調整してくれます。

 スマホのGPSと連動し、事前に登録した場所と連動させることも可能です。

 「アダプティブサウンドコントロール」と言いますが、移動時の実際の実用性は高いです。

 また、アンビエントサウンド(外音取り込み)モードほか、タッチセンサーによるクイックアテンションモードも利用できるため、使用中の一時的なボリューム調整も簡単です。

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  とくに、外音取込は「スピーク・トゥ・チャット」機能として、ユーザーの発声を検知した場合、勝手にモード変更してくれるため、不意に発話をしなければならない際など、便利でしょう。

 連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで8時間と長寿命です。

 バッテリーケースは、充電器を兼ねており、約2回分フル充電可能です。

 Xperiaからのワイヤレス給電もできますが、これはまあ「おまけ」でしょう。

 マイクは、搭載です。

 ヘッドセットとして利用することができます。

 指向性を強めるビームフォーミング技術ほか、骨振動(骨伝導)センサーを利用した集音設定など、この部分も高度です。

 音声AIは、AmazonのAlexaとGoogle アシスタントと連携できます。

 Googleについては、Android系端末のみですが、AlexaはiOSでも呼べます。

 防水性は、日常生活防水、つまり、IPX4等級です。

 旧機種と比べると、イヤーチップの改良があり、ずり落ちにくくなったので、雨天でのトレーニングに使えるでしょう。

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 以上、ソニーのWF-1000XM4の紹介でした。

 通勤通学時は、ドライバに由来する音質より、「ノイズキャンセラの精度」がむしろ、良音を得るために最重要です。

 その点で言えば、移動時に主に利用する場合は、この機種は最適でしょう。ライバルは、同じく「2マイクのノイズキャンセラ」を持つAirPods Proです。

 iOSとの連動性はH1チップの採用で、SONYは分が悪いです。しかし、「アダプティブサウンドコントロール」「V1チップ」を含めて、ノイズキャンセラの実用性や精度は、SONYが上回るでしょう。

 その上で、「ハイレゾに真面目に対応した」初めての完全ワイヤレスである点で、音源自体の音質を重視する人にも向く機種です。

 音質も、良い意味で「音響専門メーカーの味」があるので、純粋にイヤホンの音質で選ぶとしても、この機種はおすすめです。


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 【2022年発売】

 13・ SONY LinkBuds S WF-LS900N
   ¥19,882 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

 (Teamsとのコラボ)

 14・ SONY LinkBuds UC for Teams WF-L900UC
   ¥23,918 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC
連続再生時間:6時間
ドライバー:5mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4
重さ:4.8g×2

  WF-LS900Nも、SONYが2022年に発売した新形状のイヤホンです。

  LinkBudsという新しいシリーズ名を付けています。

 簡単に言えば、ソニーの最上位機(WF-1000XM4)の高度なノイキャン機能を維持しつつ、「小型化・軽量化」を目指した製品です。

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 2機種あります。Teams認定モデル(WF-L900UC HM)は、PC接続用のアダプタが同梱です。

 Bluetoothではなく、2.4Ghz無線を利用して本機とつなげる仕様です。スマホから音楽を掛けていた際、Teamsほかの通信が来た場合、本体操作だけで接続が替えられるという工夫です。

 そのほか、Teams利用時のショートカット機能がイヤホンに内蔵されます。

 その代わり、Bluetoothの部分でLDACに非対応になります。

 重量は、4.8gです。

 ノイキャン機能を搭載する上級機として、かなり軽量・小型と言えます。

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 イヤーピースは、3サイズ付属です。

 普通のカナル型(密閉型)で、最上位機ほどの工夫はないです。

 ただ、形状全体で言えば、薄型に作ることで、長時間の装着でも疲れにくくするという配慮があります。

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 音質面では、ドライバー部分について言えば、5mmと小さいです。

 そのため、ソニーも本機については音質面での主張は少なめです。

 ここより、耳の小さな女性でも違和感なく、快適に着けられる部分を優先したと言えます。

 音源部分では、本機も「360 Reality Audio」の認定製品ですので、個人の耳の形に応じたカスタマイズが可能です。

 また、イヤーチップのサイズが適切かのアドバイスも受けれます。

 音質のパーソナライズは、上位機同様に対応です。

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 Bluetoothコーデックは、SBCAAC・LDACに対応します。

 この部分では「ハイレゾ対応水準」です。最上位機同様に、DSEE Extremeによるアップスケーリングにも対応できます。

 ただ、ドライバの口径がやや小さいので、本格的な対応とはいいがたい部分はあるでしょう。

 立体音響は、本機も本機も「360 Reality Audio」の認定製品です。

 先述のように、ソニー製の対応機の場合、個人の耳の形に応じたカスタマイズが可能です。

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 ノイズ対策は、Wマイク式(自動)のノイキャンが搭載です。

 最上位機(WF-1000XM4)と同じプロセッサー(N1)を採用しており、この部分精度は同じです。

 ただ、振動板の違いと、イヤーピース形状の違いから、同社によれば、最上位機とのキャンセル精度の「」はあるとされます。ただ、これは、比べれば、という話で、本機も十分強力でしょう。

 使い勝手の部分でも、外音取り込みやアダプティブサウンドコントロールの部分を含めて、WF-1000XM4差はないと言えます。

 連続再生時間は、6時間です。

 小型化しましたが、特段、短くなってはいません。

 バッテリーケースは、USB充電式で、14時間分のバッテリー容量です。

 マイクは、搭載です。

 MEM式の全指向性マイクですが、上位機と同様のプロセッサー(N1)のパワーと、ビッグデータとAI技術を利用した新しいアルゴリズムでも通話品質を安定させる工夫があります。

 ただ、こちらについては、骨伝導センサーを搭載しませんし、マイクの数の部分を含めて、上位機とはがあります。

 音声AIは、本機もAmazonのAlexaとGoogle アシスタントは連携できます。

 防水性は、本機もIPX4等級です。

 雨天のジョギングなら利用できるでしょう。

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 以上、ソニーの WF-LS900Nの紹介でした。

 同社の最上位機は、外観が少し大きめなので、機能をできるだけ維持したまま小型・軽量化を突き詰めた機種と言えます。

 ノイキャン機の場合、移動中も利用するシーンが多いことを考えれば、あってよい機種だと思いました。

 実際小型モデルだけで言えば、他社機を含めて、ノイキャン部分は「最も強力」と言えます。


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 【2020年発売】

 15・ SONY WF-SP800N
   ¥17,480 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
連続再生時間:9時間
ドライバー:6mm
ノイキャン:1マイク式
外音取込:対応
防水性能: IPX5相当
重さ:9.8g×2

 WF-SP800 も、SONYが販売する完全ワイヤレスのノイキャンイヤホンです。

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 本機は、スポーツ用の防水仕様です。イヤーピースに、アークサポーターが付くため、運動時にもずり落ちにくい仕様です。

 重量は、9.8gです。

 軽くはないですが、スポーツ用のアークサポーター込みなので、問題ない水準です。

 イヤーピースは、本機も、4サイズから選べます。

 一方、アークサポーターは、MとLの2種類です。

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 ドライバーは、6mmのダイナミック型ドライバーです。

 とくに大きなわけではないですが、本機は、ソニーが得意とする重低音強化技術(EXTRA BASS)に対応します。

 室内トレーニングなどで、低音の迫力がマストの方には良いでしょう。

 音質のパーソナライズは、対応です。

 先述のようにノイキャン面の調整ができます。

 Bluetoothコーデックは、SBCとAACに対応です。

 通信安定性の面では、Bluetooth5.0に対応です。

 その上で、本機は、高級機同様の左右同時伝送方式ですので、動画視聴時などの音ズレは少なめでしょう。

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 ノイズ対策は、ノイキャンが下位の1マイク式です。

 Wマイク式ではないですが、SONYの上位機と同じで、アダプティブサウンドコントロールを持ちます。

 スマホの加速度センサーと連動させて、行動検出で、外音取り込みやノイズキャンセラの効きを自動調整することができます。

 加えて、スマホの位置情報と連携させて、例えば、ジムに着いたらこの設定、なども可能です。

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 外音取り込みも可能です。

 その上で、図のようにタッチセンサーを押している間だけ、一時的に外音を取り込める「クイックアテンションモード」も装備します。

 連続再生時間は、9時間となります。

 マイクは、こちらも搭載です。

 防水性は、 IPX5相当です。

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 以上、ソニーのWF-SP800Nの紹介でした。

 「ノイキャンも重低音もあきらめない」というコンセプトですが、実際、ジムなどでのワークアウトにはかなり向く製品でしょう。

 音質もノイキャンも単独では性能の良い製品は他にもありますが、それらを両立させている点が本機の魅力でしょう。ニッチですが需要はありそうです。


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 【2022年発売】

 (通常ケース)

 16・Bose QuietComfort Earbuds II
   ¥30,600 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

 (ファブリックケースカバー仕様)

 17・Bose QuietComfort Earbuds II
   ¥35,998 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC
連続再生時間:6時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:6g×2

  QuietComfort Earbuds II は、アメリカのBOSEが販売する、ノイキャン対応の完全ワイヤレスイヤホンです。

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 同社は、老舗の高級オーディオメーカで、低音域が充実する独特の「ボーズサウンド」はファンが多いです。ノイキャンもソニー同様に、(汎用チップではなく)自社技術をもつ会社で、技術レベルが高いです。

 2022年に第2世代になりました。

 完全に設計を見直し、重さが30%も軽くなっています。その上で、ノイキャンの精度ほか、後述するCustomTuneテクノロジー採用で、装着方法による音質低下も防げるようになっています。

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 結論的にいえば、今買うならば、新機種でしょう。

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 本体色は、トリプルブラック(QC Earbuds II BLK)とソープストーン(QC Earbuds II SPS)の2色構成です。

 重量は、片側6.5gです。

 ソニーの上位機とAppleの上位機のちょうど真ん中です。

 実際、このくらいが「快適(コンフォート)に使える重さ」というのは異論ありません。

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 イヤーピースは、3サイズが添付されます。

 本機は、スタビリティバンドも3サイズ換装できる仕様で、耳の形状に合わせてフィットさせることを強く意識しています。

 音質のパーソナライズは、BOSEも対応です。

 ただ、Appleやソニーとは考えが違います。

 本機は、起動時に毎回短いトーン再生を行い、それで装着具合を見ながら反響音を調整する機能になります(CustomTuneテクノロジー)。

 音質向上効果もありますが、とくに音漏れ防止という音量部分でのメリットもあると思います。

 イヤーピース自体にアナログな遮音性はさほどあるように思えませんし、ベントもありますが、問題を感じない理由の1つかと思います。

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 ドライバーは、サイズは非公開です。

 ただ、イヤーピースの特性もありつつですが、しっかり低音域が充実するサウンドです。

 この部分では他機に負けていません。

 同社の場合、「アクティブEQテクノロジー」です。小音量での再生時でも、しっかりバランス調整され、とくに低音域(重低音)の迫力が削がれない技術です。

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 Bluetoothコーデックは、SBC・AACに対応です。

 同社は、 劣化音源を調律して、独自の味付けされた「BOSEサウンド」に加工していく方向性なので、従来はSBCだけでした。

 ハイレゾは非対応です。

 立体音響は、音源の対応・独自のサラウンド対応ともに表記はありません。

 接続安定性の面では、一方、本機はBluetooth5.3に対応しています。

 本機も、左右独立受信方式です。

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 ノイズ対策は、Wマイク仕様です。

 従来機と同じですが、精度があがりました。主には、先述のCustomTuneテクノロジーを採用し、耳に合わせた調整ができるようになった部分が大きいと言えます。

 マイクは、正確に、内側に1つと、外側に3つです。外側の3マイクは通話専用などと割り振りはせず、ノイキャンに使われる仕様のようです。この部分も、同社の強力なノイキャン性能に活かされます。

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 外音取り込みは、可能です(Awareモード)。

 本機は、イヤーピース自体は完全に遮音しない方向です。

 仕様は他社と少し異なり、ノイキャンを「オフ」状態にして、大きな外音がした際だけ、「オン」にする感じです(ActiveSense )。

 一方、通話時を除き、マイクを通じて外音を入れるヒアスルーはしない方向性です。

 なお、通常は最大(Quiet)で使いますが、ノイキャンのかかりは段階的に軽減でき、2種までカスタマイズして登録可能です。

 連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで6時間と長寿命です。

 バッテリーケースは、やはり、充電器を兼ねており、約3回分利用可能です。

 また、本体への20分での2時間分再生のクイックチャージに対応です。充電はUSB-C経由です。

 マイクは、搭載です。

 通話時には、ノイキャンしつつ、自分の声を拾うので、違和感なく会話できます。

 防水性は、IPX4等級です。

 防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないでしょう。

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 以上、ボーズのQuietComfort Earbuds IIの紹介でした。

 発売とともに「ノイキャンの強さ」で話題になった機種です。

 実際、試すと最大煮した場合の「静粛性」については、相当強力ですので、没入感を重視する場合、候補になります。前モデルですこし課題に感じた音漏れもないです。

 一方、状況に応じたかかりの調整は、SONYやAppleにやや負ける部分はありそうですが、ノイキャン部分の本質的な技術はベストといえそうです。

 ドライバの口径を思わせない低音域で、小音量でも低音域のバランスがよい特性は引き続きありますので、良い進化を遂げた機種だと思いました。本体が軽くなったのも良いと思います。


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 【2023年発売】

 18・ パナソニック Technics EAH-AZ80
   ¥37,000 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

 【2020年発売】

 19・ パナソニック Technics EAH-AZ70W
   ¥13,990 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC
連続再生時間:7時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2

  EAH-AZ80は、パナソニックが発売した完全ワイヤレスイヤホンです。

 後発でしたが、同社の高級オーディオブランドである「テクニクス」の名を冠し、AppleやSONYにたいして追い上げを図ってきました。

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 なお、本機の旧機種となるEAH-AZ70Wが残ります。

 だいぶ値段差があります。ドライバサイズ(10mm)は同じですが、今回はドライバ周りの構造が一新されました。特に、(Bluetoothコーデック部分を含め)ハイレゾ対応になったので、実際的には、新機種の「下位機」とみなすべきです。

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 そのほか、耳の凹み(コンチャ)を利用してフィットさせる新構造で、長時間装着でも疲れにくくする装着感の改良(コンチャフィット形状)も見られます。

 ただ、現状の価格で言うと「安い」です。重さやノイキャン部分を含めて、あとのスペックはだいたい同じです。

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 結論的にいえば、音質も1万円前後の他社機と比べると「かなり良い」ので(新機種と差はあるにせよ)、値段重視ならば旧機を選んでも良いかと思います。

 以下は、新機種基準で説明していきます。

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 本体色は、ブラック(EAH-AZ80-K)とシルバー(EAH-AZ80-S)の2色構成です。

 重量は、7gです。

 ユニットは大粒ですが、意外と軽量ですし、装着感も良いです。


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 イヤーピースは、7サイズが添付されます。

 先述のように、今回の改良は「装着感も重視」だったので、従来の4サイズから、とくに耳口の小さな方向で拡充されました。

 シリコン素材で、周辺と中心で硬度を変えている特製品です。

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 ドライバーは、10mmとかなり大きいです。

 本体を(過度に)小型化しなかった理由がここで、大きいドライバーを搭載できています。

 他社と同じダイナミック型ですし、サイズが大きいほど音質的に余裕があり、安定的となります。

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 振動版はアルミ製振動板です。同社の(ワイヤレスではない)20万円弱の高級イヤホンのEAH-TZ700同じ振動板・フリーエッジ構造を採用します。

 全く同じユニットではないですが、その思想は引き継いでいると言えます。

 なお、旧機種はエッジのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)素材の採用と、グラフェンコートの言及がありましたが、新機種はありません。先述のように、この部分の構造は見直されたようです。

 一方、空気の流れを制御するアコースティックコントロールチャンバーのほか、高音域の音質を改善するためのハーモナイザーが前方に付く構成になりました。

 再生周波数帯域は、20Hz-40kHzです。

 ドライバ・ハーモナイザーなどの改良は、ハイレゾ対応水準にするための改良と言えます。

 試聴の限り、割と聴いた旧機に比べて、高音域の音質がよりクリアです。

 ドライバは前から大きかったこともあり引き続き低音域はかなり余裕があります。

 音漏れもほぼ感じません。

 音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。

 マイクを使って個々人の聴覚特性に合わせて「カスタムメイド」するような方向性の製品ではないです。この部分が、1回目記事でみた3社の上位機と違うと言えます。

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 Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・LDACに対応します。

 ソニーと同じでLDACでのハイレゾ対応です。

 比べると通常音源のハイレゾ水準へのアップグレード技術(DSEE Extreme)はないです。

 その代わりダイレクトモードとして、イコライザで味付けされにくい音質が選べます。方向性の違いでしょう。

 立体音響は、一方、独自の対応情報については未記載です。

 接続安定性の面では、一方、本機はBluetooth5.3に対応しています。

 左右独立受信方式です。

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 ノイズ対策は、Wマイク仕様です。

 旧機種から続く同社の独自性と言えるのは、本機については内側のマイクを(あえて)アナログ制御にしている点です。

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 同社によれば、アナログ方式のが即応性があるため、内部のキャンセルには適するとのことです。

 技術水準は高く、効きも良かったです。

 一方、本機は、外音取り込み(アンビエント)こそありますが、スマホと連携しての外音の自動調整など、細かい調整力は、ソニーに及ばない部分があります。

 連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで7時間と長寿命です。

 バッテリーケースは、やはり、充電器を兼ねており、約3回分利用可能です。

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 マイクは、搭載です。

 また、この部分の品質に割とこだわりがあります。

 独自の音声解析用プロセッサを採用しつつ、送話の音声とノイズを区別する「ビームフォーミング技術」ほか、風切り音を低減する「ラビリンス構造」などを採用します。

 発話検知マイクは、独自ですが、発話開始時の音声検知水準が向上させることで、通話品質を上げる仕組みです。

 方式は、小型化の部分で優れるMEMSです。

 防水性は、IPX4等級です。

 防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないでしょう。

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 以上、パナソニックのEAH-AZ80の紹介でした。

 ハイレゾ水準に対応した部分で、ソニーの最上位機(WF-1000X系)の有力なライバルになりました。

 較べる場合、ドライバサイズが大きいので、音域により余裕がある感じです。味付け(イコライザ)を使わなず、ナチュラルにハイレゾを楽しめるTWSに感じました。

 一方、ノイズキャンセラーもパナソニックは「独自の方向性」ですが、移動中の周囲の環境に合わせる部分ではソニーに及ばないので、通勤・通学時の利用はソニー高級機に少し及ばない部分はあるでしょう。

 とはいえ、旧機に引き続き無理のないサイズで10mmのドライバーを搭載しているのは立派で、音質の期待値は高級機の中でも指折りでしょう。

 音質に妥協がない「テクニクス」的な製品だと感じました。


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 【2023年発売】

 20・ パナソニック Technics EAH-AZ60M2
   ¥28,001 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

 【2021年発売】

 21・ パナソニック Technics EAH-AZ60
   ¥19,750 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC・LDAC
連続再生時間:7時間
ドライバー:8mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2

  EAH-AZ60M2は、パナソニックのテクニクスブランドの中級機です。

 こちらも旧機がありますが、先述のダイレクトモードの搭載以外は、目立つ違いはないです。ハイレゾも(発売時期の関係で)旧機でも対応水準でしたので。

 本体色は、ブラック(EAH-AZ60M2-K)とシルバー(EAH-AZ60M2-S)の2色構成です。

 202307221224.jpg

 重量は、7gです。

 上位機種と同じですが、手前方面に多少小粒で、見た目はスッキリします。

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 仕様面は1つ上で見た上位機とほぼ同じです。

 ドライバーは、ただ、8mmです。

 10mmの上位機とは差を付けますが、十分大きめでしょう。

 やはり「音質最優先」のブランド哲学からだと思います。

 素材は、上位機とは異なり、本機は、振動板がバイオセルロース素材です。フリーエッジ構造の言及もないです。

 ただ、前方のハーモナイザー、後方のアコースティックコントロールチャンバーと、似たような空間構成なので、思想の方向性は同じです。

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 音質は、同じ構造の旧機の場合ですが、上位機よりも低音の膨らみは控えめです。

 ただ、高音域も違和感なく出ているので、こちらもハイレゾ向きに思えます。

 あとの部分は、アナログ併用のWマイク仕様である点や、マイク構成を含めて、上位機とほぼ同じです。

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 以上、パナソニックのEAH-AZ60M2の紹介でした。

 ドライバが多少小さく、素材も変わりますが、値段が安いほか、多少小粒なので装着時の見た目の部分でも、上位機ほど目立たないというメリットはありそうです。

 ただ、完全ワイヤレスイヤホンは、低音を充実させたほうが、傾向としては音質が良いため、上位機が音質面でも上位ではあります。

 難しい部分ですが、新機種同士で言えば(改良の力の入れ具合を含め)予算の違いをふまえても、上位機のがおすすめです。


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 【2020年発売】

 22・ パナソニック RZ-S50W
   ¥6,800 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC・AAC
連続再生時間:6.5時間
ドライバー:8mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2

  RZ-S50W は、パナソニックが発売した完全ワイヤレスイヤホンです。

 こちらは、テクニクスではなく、パナソニックとしての販売です。

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 本体色は、ブラック(RZ-S50W-K)とホワイト(RZ-S50W-W)の2色構成です。

 重量は、7gです。

 同社の上位機と同じ重さで、重さを感じない作りです。

 イヤーピースは、4サイズが添付されます。

 ドライバーは、8mmです。

 大きめながら、音質に関わるほかの部分では、同社上位機に見られたような個性はあまりないです。

 Bluetoothコーデックは、SBCとAACには対応します。

 接続安定性の面では、一方、本機はBluetooth5.0に対応しています。

 また、本機も、左右独立受信方式です。

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 ノイズ対策は、一方、本機はしっかりしておりWマイク仕様です。

 上位機同様に、内側のマイクを(あえて)アナログ制御する仕様です。

 アナログ方式のが即応性があるため、内部のキャンセルには適するとのことで、技術水準はこの値段クラスとしては、一段階高く、本機を選ぶポイントとなるでしょう。

 連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで6.5時間と長寿命です。

 バッテリーケースは、やはり、充電器を兼ねており、約3回分利用可能です。

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 マイクは、上位機同様の仕様で、優れます。

 コンデンサー型より質の良いMEMSグレードのマイクを採用するほか、送話の音声とノイズを区別する「ビームフォーミング技術」、風切り音を低減する「ラビリンス構造」を採用します。

 防水性は、IPX4等級です。

 防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないです。

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 以上、パナソニックのRZ-S50W の紹介でした。

 本機の、注目点は、ノイズキャンセラとマイクの質の良さです。

 ドライバーサイズなど、静かな場所での音質は同社の高級機には及びませんし、このクラスの他社機に優れた製品も多いですが、この部分は、本機が圧勝でしょう。

 その点で、(騒音で音質は過度に重要でない点で)電車などの通勤通学に主に使う方ハンズフリー通話を多用する方にオススメできます。


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 【2022年発売】

 23・ オーディオテクニカ ATH-TWX9
   ¥32,000 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域: 20Hz〜40kHz
コーデック:SBC AAC APT-X adaptive
連続再生時間:6時間
ドライバー:5.8mm
マイク:搭載  
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:
重さ:5.4g×2

 ATH-CKS30TW は、日本のオーディオテクニカが販売する完全ワイヤレスイヤホンです。

 同社の現行製品では最上位機となります。

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 重量は、片側が5.4gです。

 平均より軽い製品で、その部分も重視します。

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 イヤーピースは、割とこだわりがあります。

 サイズが4種類あるほか、深さ部分で、写真のように3種類用意されています。合計12種類となります。

 ただ、1回目の記事でみた3社のような(スマホやセンサーを利用した)フィッティング機能は未装備です。この部分は、新製品にしたらアナログではあります。

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 ドライバーは、5.8mmです。

 平均値いえるサイズです。

 音質面では、同社は、割と細かい内部構造を全部公開します。

 とくに、強調するのは、3層マルチレイヤー振動板です、

 硬軟3種類の素材を複合させたもので、剛性と振動抑制能力を強調します。

 周波数帯域は、10Hz-40kHzです。

 低音域を10Hzと表示します。(実際可聴できるかはともかく)低音域に、ある程度力を入れていることを、数字で示しています。

 高音域もスペック的に「ハイレゾ対応水準」で音域は広いです。

 ハイレゾ認証マークはないですが、後述するコーデックの部分を含めて、数字として対応といって問題ありません。

 音質のパーソナライズは、同社も機能としてないです。

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 立体音響は、本機は、「360 Reality Audio」の認定製品です。

 ソニー製品の紹介の部分で詳しく紹介したように、最近現れた3Dサラウンドの規格で、 Appleの「空間オーディオ」に相当するものです。

 ただ、ソニーと違って、耳の形などに合わせた、細かいカスタマイズには非対応です。

 音漏れについては、本機もベント(孔)はありますが、気にする感じではないです。

 接続安定性の面では、本機も、Bluetooth5.2に対応します。

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 ノイズ対策は、本機は、Wマイク式のノイズキャンセラを搭載します。

 最近はこの価格帯でもWマイク式が標準化してきました。自社のノイキャン技術ではなく、やはり、クアルコム系のものです。精度は並以上ですが、独自機能はないです。

 外音取り込みは、対応です。

 マイクを通じて外音をいれる「ヒアスルー」を装備するほか、強度も5段階調整ができます。

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 連続再生時間は、6時間です。

 充電ケース込みで、最大18.5時間です。ケースはQi規格対応で、ワイヤレス充電も可能です。

 他社の水準より短い点は注意点です。充電も1時間です。

 また、充電ケースは18時間分の電源です。

 マイクは、こちらも搭載です。

 コンデンサー型ではなくMEMSを採用し、ビームフォーミングにも対応するので、それなりに性能はよいです。

 防水性は、IPX4相当です。

 屋外の荒天でも利用できるでしょう。

 音声アシスタントは、Amazon Alexaに公式対応です。

---

 以上、オーディオテクニカのATH-TWX9の紹介でした。

 ノイキャンの部分は、汎用のSOCだとどうしても個性が出しにくいため、この値段の製品にするとイマイチです。

 ただ、ドライバー部分の工夫は、老舗の音響機器メーカーらしくしっかりで、独自性も感じます。

 全体としてそつのない構成の最上位機ですが、機能的に「推せる」強いワンポイントがない部分はあります。


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 【2020年発売】【型番:M3IETW3】

 24・ゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 3
  ¥39,930 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:5Hz-21kHz
コーデック:SBC, AAC, aptX
連続再生時間:7時間
ドライバー:7mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
外音取込:対応
防水性能:
重さ:5.8g×2

 MOMENTUM True Wireless 3 は、ドイツのゼンハイザーの製品です。高音質な方向性で日本にファンが多い人気音響メーカーです。 

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 重量は、5.8gです。

 さほど重くないですし、サイズも割と小さめです。

 イヤーピースは、3サイズ同梱されます。

 シリコン製となります。

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 音質面では、本機は、ユニット自体の再生周波数帯域の公開があり、低音域が5Hz高音域が21kHzです。

 スペックを公開している製品の中では、低音方向の数値に余裕があります。

 人間の耳で実際に5Hzまで聞こえるわけではないですが、「メーカーが低域の良さを強調したくて作った製品」であることは分かります。

 その分、「音が籠もりがち」という評価もありますが、イコライザで調整できる範囲です。

 ドライバーは、7mmのダイナミック型です。

 割と大きめといえます。

 音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。

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 Bluetoothコーデックは、注目点です。

 SBC・AAC・Apt-Xのほか、aptX Adaptiveに対応します。

 したがって「ハイレゾ対応」できますが、イヤホンの部分のスペック(21kHz)が、業界の定める基準(40kHz)に満たないので、真に対応していると言えるかは、微妙です。

 ただ、低遅延のコーデックなので、ゲームや動画視聴には良いでしょう。

 立体音響は、フォローしません。

 通信安定性の面では、Bluetooth5.2に対応です。

 Bluetooth5に較べると、機器の方向検知(ビームフォーミング)に対応する規格です。

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 ノイズ対策については、本機は「強力」です。

 汎用チップですが、Wマイク式に対応するハイブリッド型だからです。

 また、クアルコムの新型SOCなので、アダプティブANCにも対応します(Hybrid Adaptive ANC)

 ソニーなどのように、加速度まで見るわけではないものの、周囲の騒音レベル(騒音状態)によって、かかり方を自動で調節されます。

 シンプルなANC(アクティブノイズキャンセル)だけの機種よりは高度です。

 連続再生時間は、7時間という表記です。

 ケースは、蓄電容量からすると、3-4回ほどのフル充電はできそうです。 

 防水性は、IPX4です。

 マイクは、内側に1基、外側に2基搭載です。

 他社もそうですが、内側と外側の音で分析して品質を高める仕組みを採用する場合、通話品質が上がります。もちろん、ビームフォーミングマイクです。

 外音取り込みモードも搭載です。

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 以上、MOMENTUM True Wireless 3の紹介でした。

 ゼンハイザー製の高級機ということで、音のひずみも少なく出来は良いです。買って損はないと思います。

 ノイキャン機能については、ゼンハイザーは明確に否定的な見解を以前示していましたが、(汎用チップながら)ハイブリッド アダプティブANCに対応した点で、利便性も高まったといえるでしょう。


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 【2022年発売】

 25・ ヤマハ TW-E7B
  ¥20,500 Amazon.co.jp (7/23執筆時)

再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X Adapt
連続再生時間:6時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク
防水性能:IPX5
重さ:7.3g×2

 TTW-E7Bは、日本のヤマハが販売する完全ワイヤレスイヤホンの最上位機です。

 しっかりしたノイキャンを搭載するタイプは同社だと本機だけです。

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 重量は、片側につき、7.3gです。

 耳をほぼ被うサイズですが、音質を重視するハイエンド機の場合、この部分は妥協する必要があります。

 とはいえ、価格的にライバルと言えるソニーのハイエンド(F-1000XM4)と同じ重さで収めていますし、ずっしり重いわけではでないですし、形状的な配慮もあります。

 イヤーピースは、5サイズが同梱です。

 特段工夫が見られるものではないですし、多めの付属で親切です。

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 ドライバーは、10mmです。

 他社にはより大きいものを採用する機種がありますが、このサイズならば、基本的に十分、低音域が楽しめます。

 振動板の素材は不明です。同社は硬質のPEEK素材を採用する例が多いですが、本機は違うかもしれません。

 音抜けをよくするためにベント(孔)がドライバーの前後にあります。

 他社でも説明しましたが、この構造だと完璧な音漏れ防止は無理なので、通常音量で聞くと、静かな車内(エンジン停止したバス、停車中の空いた電車)では、音が後ろの席の人に届く場合はありえます。

 音質面は、 同社のスピーカーにも使われる「TRUE SOUND」が1つのキーワードです。

 味付け少なめの「ピュアでクリアな音質」を追求する方向性です。完全ワイヤレスイヤホンながら、試聴すると、確かに「ヤマハの味」を感じられます。

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 音質のパーソナライズは、リスニングケア(アドバンスド)機能が搭載です。

 若干他社とニュアンスが違いますが、イコライザの部分で、人間の聴覚特性に合わせて音のバランスを調整し、各帯域の音の爆音を防ぎ、聴覚保護をするというものです。

 ヤマハ機ではお馴染みのものですが「アドバンスド」なので、周囲の騒音も総合的に判断して、音質の犠牲を最小限に調整してくれます。

 加えて、リスニングオプティマイザーとして、マイクを使いつつ、リアルタイムで、装着状況や、耳穴の内部の聞こえをマイクを通して解析し、実際の音源との差に基づき、音質を調整する機能が付きます。

 Appleの「アダプティブイコライゼーション」機能に相当する機能で、(耳のケアではなく)音質アップのための機能です。

 リアルタイムで、音質アップのための特定の周波数特性の調整に言及があるのは、Appleを除けばヤマハだけかと思います。

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 ノイズ対策は、Wマイク式のノイキャン機能を搭載です。

 ヤマハでははじめてですが、他社も使うクアルコムのSocのようです。

 耳側にもマイクがあり、音楽成分とノイズ成分を切り分けてキャンセルをします。この値段ならば、Wマイク式であることは当然ですが、評価できます。

 なお、先述の「リスニングケア」機能は、これらのマイク解析の情報も使うので、「リスニングケア(アドバンスド)」と上位の名称がついています。

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 Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・Apt-Xのほか、ハイレゾ転送が可能になな可変ビットレートのaptX Adaptiveにも対応です。

 ただ、ドライバ部分の周波数特性が基準に満たないため「ハイレゾ対応」のマークは出していません。

 一方、本機は低遅延の「ゲーミングモード」を搭載します。おそらく、このコーデックほか、(未対応の場合)SBCで遅延を遅くする処理が取られるのだと思います。

 立体音響は、未フォローです。

 接続安定性の面では、Bluetooth5.2に対応します。

 連続再生時間は、最大6時間です。

 書き方が不明瞭ですが、おそらくノイズキャンセルオフ時の時間です。あまり長いとも言えないでしょう。

 ケースは、フル充電約3回弱(16時間))の充電量です。

 防水性は、IPX5等級です。

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 マイクは、こちらも搭載です。

 クアルコムのSocなので、(通話時のマイクの)ノイズリダクションは可能です。

 MEMSマイクですし、この部分は、高機能ではないにしても問題ない仕様です。

 そのほか、外音取り込み(アンビエントサウンドモード)も搭載です。

---

 以上、ヤマハ TW-E7B の紹介でした。

 大きめでも音質を重視したい場合で、10mm以上のドライバーが欲しい場合、パナソニックの最上位機と共に選択肢になると思います。

 傾向として味付けの少ないヤマハ的な音質傾向が好きな方は良いかと思います。その他の部分もだいたい平均点以上で、短時間ながら聴いた時の印象も良好です。

 ただ、先述のように、ベント孔から音が漏れやすくは感じたので(極めて静粛性が求められる)場所では使いにくい部分は感じます。

 自宅などで集中したい際などに使うには全く問題なく、よいものです。

次回に続く
ノイキャン対応イヤフォンのオススメは結論的にこれ!

 というわけで、今回は、ノイズキャンセリングイヤフォンの比較の2回目記事でした。

 しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。

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3・ノイキャンイヤホンの比較 (3)
 =最終的なおすすめの提案【結論】

ノイキャン効果 ★★★★★
音質の良さ   ★★★★★
重低音     ★★★★★
ハイレゾ再生  ★★★★★
ワイヤレス対応 ★★★★★
総合評価    ★★★★★

 続く3回目記事こちら)は、結論編です。

 今回比較した全機種から、予算別・目的別に、Atlasのおすすめ機種を提案します。引き続き、よろしくお願いします。

 3回目記事は→こちら

posted by Atlas at 12:49 | オーディオ製品

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