1回目記事からの続きです→こちら
2-1・キヤノンのフルサイズミラーレス
2回目記事のトップバッターは、キヤノンのフルサイズミラーレスです。
2019年からフルサイズミラーレスに新規参入しました。各社とも、低価格デジカメが「死に体」なので、高級ミラーレスにある種の活路を見いだした形です。
1・フルサイズミラーレスの比較 (1)
1-1:ソニー
2・フルサイズミラーレスの比較 (2)
2-1:キヤノン
3・フルサイズミラーレスの比較 (3)
3-1:パナソニック
4・フルサイズミラーレスの比較 (4)
4-1:ニコン
4-2:シグマ
5・フルサイズミラーレスの比較 (5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、ここまで見てきた各社の製品と同じ基準で、同社の製品をみていきます。
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以下では、高評価できるポイントは赤系の文字色で、イマイチなところは青字で記していきます。
【2023年発売】
【通常製品】
29・CANON EOS R8 ボディ
¥210,170 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【レンズキット】
30・EOS R8 RF24-50 IS STM レンズキット
¥274,016 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:2430万画素
手ぶれ補正:2軸(レンズ)+CMOS情報
ファインダー:有機EL(236万)
AF:デュアルピクセル CMOS
連写速度:6コマ/秒
動画: 4K(60p)
モニター:3型(162万)
重さ:461グラム
EOS R8は、キヤノンのフルサイズミラーレスでは、中級機にあたる機種です。
現行世代の画像エンジンを採用するフルサイズでは、最も安い価格です。
【中古含む】
Canon EF-EOSM
¥4,980 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
アダプターは、キヤノンの一眼用のEF-Sレンズ用があり、他社同様に、自分の「レンズ資産」を活用できます。EF-Mは不可です。
重さは、461グラムです。
フルサイズ機としては、ソニーのVLOG用機よりも軽いです。
シャシーにマグネシウム合金を多用することで、剛性・放熱性を維持しつつ軽量化も行えたようです。
「ミドルクラス」なので、ダイヤル装備ほか軽量化の理由はありますが、持ちはこびに良いです。
防塵防滴は、配慮がありますが、等級としては示されないグレードです。
撮像素子は、35mmフルサイズです。
画素数は、2430万画素です。
ソニーの中級機と比べると、解像感は無理にあげていないスペックです。
常用ISO感度は、最大ISO102400です。
画素数を追いかけない部分で、キヤノンはこの部分の数字が良いです。
オートフォーカスは、見所です。
なお、オートフォーカスは、性能が良いほど、ピント合わせが高精度・高速となり、動く被写体への強さが増します。
キヤノンの場合、像面位相差AFの改良版といえるデュアルピクセルCMOSAFです。
各社とも上位機には「ハイブリッドAF」という、位相差AFとコントラストAFを併用する場合が多いです。
しかし、キャノンは、デュアルピクセルCMOSAFにこだわります。
同社によると(レンズの行き来がある)ため、ハイブリッドAFでも合焦速度は遅れるとします。
それを解決するため(あえて)像面位相差AFを研ぎ澄ました、ということです。フルサイズミラーレスで、0.03秒の合焦速度をしっかり表明できているのは、キヤノンの他社に対する優位点です。
測距点は、仕組みが特殊で比較はできません。
最大1053分で被写体を捉えたあと、1点をさらに細かく分けて追尾していく仕組みです。
エリアとしては、最大4897(横83×縦59)という表記です。
顔検出機能は、一方、力強いです。
瞳検出は第2世代になり、追尾ほか、左右の識別(優先設定)も可能となっています。
また、瞳・顔に加えて「頭部・胴体の検出」に対応するほか、他社のように一部の動物(犬・猫・鳥・馬)の検出にも対応します。
とくに動物は「瞳・顔・全身検出」対応なので、ペット撮りなどには向くでしょう。
動画時も、顔レベルですが追尾します。 そのほか、鉄道・飛行機(ジェット機・ヘリ)の識別もできます。
ソニー機でも説明しましたが、2021年以降に出た各社の機種は、ディープラーニング技術の深化で、この部分の精度が旧機に対して相当に向上しています。。
暗い場所での利用も、AFの低輝度限界が-6.5EVです。
後述するパナソニックなどと同等で、やはり性能が高いです。動画撮影時もEV‒5をキープします。
連写は、最大6コマです。
本機は、後幕のみメカシャッターの「電子先幕シャッター」です。
ミラーレスはこの方式で良いと思いますが、こだわる方は上位機がよいでしょう。
なお、電子シャッター時ならば、最大40コマ/秒です。
手ぶれ補正は、レンズによる2軸補正です。
先述のように、ミラーレスの場合は、ボディ5軸のほうが性能が良いです。
また、キャノンの上位機は、一部のセットレンズ(コンビネーションIS対応レンズ)の場合、CMOSセンサーから(大きめの)ブレ情報を貰える機能があります。
デュアルセンシングISという機能名で、「2軸+1」のような補正です。
本機は、その記述がないので、不採用になったのだと思います。
液晶モニターは、3型のタッチパネル(165万画素)です。
バリアングルで、ポジション的な自由度は高いです。
ファインダーは、約236万ドット有機ELです。
0.39型で、倍率は0.70倍です。
先述のように、スタンダード機ですので、この部分で上位機と差があります。
動画撮影は、4K動画の撮影に対応します(4K 60p)。
手ぶれ補正は、動画については、ボディに(動画専用の)5軸補整を内蔵し、さらに、カメラの2軸も利用して協調制御します。
なお、先述のマグネシウム合金などの廃熱設計もあってか、本機は4K 60Pでも、23℃時のデータながら、約30分まで稼動とされます。
ちなみに、軽量機ですし、VLOG用に向く基礎があるので、本機をベースにしたVLOG用が(この後)出るような気がしました。
機能面でも、画素数を活かした6Kオーバーサンプリングで解像感を出す仕組みなど、他社高級機にもみられる技術を搭載です。
ネットワークは、Wi-Fiのほか、Bluetooth LEを搭載します。
基本アプリ(CANON Camera Connect)は、BluetoothからWi-Fiにシームレスに接続以降するので、転送設定は便利です。
RF24-105mm F4-7.1 IS STM
¥63,600 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
セットレンズは、以上のものです。
8段補正対応で、395gの4.4倍ズームです。
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以上、キヤノンのEOS R8の紹介でした。
小型・軽量のフルサイズはトレンドになりそうな気配ですが、そのキャノン版と言えます。
他社機と比べると、手ぶれがやや弱い部分がありますが、AFは他社上位機相当に強力です。ISO感度も高めにでますし、動画も4K/60Pも実用水準です。
パット出して、ぱっと高解像度写真を撮るという気軽さの部分では、わりとよいかなと感じた製品です。
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【2018年発売】
【通常製品】
31・Canon EOS R BODY
¥203,700 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:3030万画素
手ぶれ補正:2軸(レンズ)+CMOS情報
ファインダー:有機EL(369万)
AF:デュアルピクセル CMOS
連写速度:5コマ/秒
動画: 4K(30p)
モニター:3.15型(210万)
重さ:660グラム
なお、現行機だが、本機の登場でそろそろ終息するだろう2製品があります。
第1に、EOS Rです。
当時は高級ライン(ハイアマチュアモデル)として出たので、EOS R8より装備面で優れるところはあります。
例えば、メカシャッターを装備する点、手ぶれの部分でデュアルセンシングISに対応する点、ファインダー倍率が多少高い点などです。
しかし、エンジンが1世代前のDIGIC 8です。
ディープラーニング技術の進展で、新規登場までの期間でAF部分の性能が格段に変わっています。動画(4K/30P)の部分など多方面に影響があります。
半額程度の値段差があるなら別ですが、機能面の陳腐化は進んでいますし、現状で選べる機種ではないでしょう。
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【2019年発売】
【ボディのみ】
32・Canon ミラーレス一眼 EOS RP
¥118,420 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【RF24-105 IS STM レンズキット】
33・Canon ミラーレス一眼 EOS RP
¥176,000 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:2620万画素
手ぶれ補正:2軸(レンズ)+CMOS情報
ファインダー:有機EL(369万)
AF:デュアルピクセル CMOS
連写速度:4コマ/秒
動画: 4K(30p)
モニター:3.15インチ(210万)
重さ:485グラム
第1に、EOS RPです。
こちらは、2019年に「フルサイズの格安機」と出た製品です。
やはりエンジンが古い関係で、4K 30Pになるほか、ドライブが4コマ/秒です。先述のように、AFの物体認識の部分では、相当新機種(EOS R8)と差が出ます。
ただ、本機の場合、値段は安いので、「型落ちの下位機」として考えると、在庫があるうちは選択肢にできるフルサイズとはいえます。
ほとんどオートは使わない(重視しない)ならば、最安級のフルサイズ機としてプレゼンスがあります。
RF24-105mm F4-7.1 IS STM
¥63,600 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
セットレンズは、こちらもF4-7.1の4.3倍ズームの、RF24-105 IS STM レンズキットです。
【2022年発売】
【ボディのみ】
34・Canon EOS R6 Mark II ボディ
¥286,004 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【RF24-105 IS STM レンズキット】
35・Canon EOS R6 Mark II
¥327,972 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【RF24-105 F4 L IS USM レンズキット】
36・Canon EOS R6 Mark II
¥429,014 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【2020年発売】(中古価格)
【ボディのみ】EOSR6
37・Canon EOS R6 ボディ
¥262,999 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【RF24-105 IS STM レンズキット】
38・Canon EOS R6
¥253,800 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸
ファインダー:有機EL(369万)
AF:デュアルピクセル CMOS AF II
連写速度:5.5コマ/秒
動画: 4K(60p)
モニター:3型(162万)
重さ:670グラム
EOS R6 Mark II は、キヤノンのフルサイズミラーレスの中・上位機です。
第1世代になるEOS R6が残ります。
比較する場合、新機種は、IOS感度を落とさないまま、解像度を2010万画素から2040万画素まであげています。また、ライブビュー表示なしの電子シャッター時のみですが、40コマ/秒と性能の向上が見られます。
あとは、後述する被写体検出において、「馬・鉄道・飛行機(ジェット機・ヘリ)」の識別が加わったのが目に付く変化です。
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結論的にいえば、だいぶ進化した部分が目立ちます。ただ、中古でも良い場合において、値段面で旧機を選んでも、さほど陳腐化していないですし、良いかと思います。
重さは、670グラムです。
グレードを考えると「軽量な仕様」と言えます。
なぜ、高級機として「ミラーレスを選びたい人がいるのか」、しっかり把握しているように思え、好感触です。
撮像素子は、35mmフルサイズです。
画素数は、約2400万画素です。
今回の改変で最も目立った部分で、 上位機(EOS R3)と並びます。
常用ISO感度は、最大102400とかなりのスペックです。
ここも上位機と並びました。
最新の画像エンジンであるDIGIC Xを採用した、恩恵の1つです。
オートフォーカスは、デュアルピクセルCMOS AF IIです。
下位機種同様に位相差だけで高速合焦させる仕組みです。
ただ、「ディープラーニング」を活用した新しいアルゴリズムが採用されます。測距エリアも100%(最大1053分割 6072ポジション) となりました。
以上の点で下位機種より進化していますが、0.03秒の合焦速度など、元となるスペックは下位機種に準じます。
こちらについては、マイナーチェンジでしょう。
顔検出機能は、一方、力強いです。
下位機種と比較して、瞳・顔に加えて「頭部・胴体の検出」に対応するほか、他社のように一部の動物(犬・猫・鳥)の検出にも対応します。
とくに動物についても「瞳・顔・全身検出」対応なので、ペット撮りなどには向くでしょう。動画時も、顔レベルですが追尾します。 そのほか、馬・鉄道・飛行機(ジェット機・ヘリ)の識別もできます。
瞳検出も、第2世代になり、追尾ほか、左右の識別(優先設定)も可能となっています。
暗い場所での利用も、AFの低輝度限界が-6EVですので、後述するパナソニックなどと同等で、やはり性能が高いです。動画撮影時もEV‒5をキープします。
連写は、最大5.5コマです。
こちらは、メカシャッターも対応です。
なお、ライブビューを切った場合、最大12コマ/秒(電子先幕時)電子シャッターを利用して40コマです。
なお、追尾AF利用で高速連続撮影時、撮影結果と映像の交互の連続表示も可能です。
手ぶれ補正は、5軸手ブレ補正機構(In body Image Stabilizer:IBIS)とレンズ内光学式手ブレ補正(Optical Image Stabilizer:OIS)のハイブリッド仕様です。
キャノンは、レンズ式に長いこと傾注したので、ボディ内5軸では遅れをとってきましたが、今回初搭載です。
その上で、(IS非搭載のレンズを含め)EF/RFレンズほぼ全て対して協調制御します。最大8段の手ぶれ補正効果という触れ込みです。
液晶モニターは、本機も可動式液晶モニターです。
ファインダーは、約369万ドット有機ELディスプレイとなります。
0.5型で、倍率は0.76倍です。下位機種と同じです。
動画撮影は、4K撮影に対応します。
下位機種と比較すると、本機については、4K60フレーム撮影に対応します。
手ぶれ補正については、レンズとボディ内5軸との協調制御に加えて、動画電子ISを併用できる仕様ですが、その場合は、撮影範囲は狭くなります。
ネットワークは、Wi-Fiのほか、Bluetooth LEを搭載します。
レンズキットは、新機種は2種類容易があります。
RF24-105mm F4-7.1 IS STM
¥63,600 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
RF24-105mm F4 L IS USM
¥166,320 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
8段補正対応で、395gの「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」と、同じく8段補整で、700gの「RF24-105mm F4 L IS USM」です。
後者は少し重いですが、F4 ALLです。
ちなみに、「シャッター速度8段分」なのは、現状でこの2機だけになります。
ただ、多くのRFレンズは6段以上ですし、看板に偽りはないでしょう。
防塵・防滴性能は、本機は、対応表明がしっかりある機種です。
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以上、キヤノンのEOS R6 Mark IIの紹介でした。
懸案だった、ボディ内5軸補正に対応した上で、新エンジンの効果で、連写・AFなど、エンジンパワーが活かせる部分の底上げを図っています。
値段は相当高いにもかかわらず、予約殺到というニュースを見ましたが、スペック的な部分で言えば、十分な納得感があります。
【2024年発売】
【ボディのみ】
39・Canon EOS R5 Mark II ボディ
¥590,049 楽天市場 (6/23執筆時)
【RF24-105 IS STM レンズキット】
40・Canon EOS R5 Mark II
¥745,258 楽天市場 (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:4500万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸
ファインダー:有機EL(576万)
AF:デュアルピクセルIntelligent AF
連写速度:6コマ/秒
動画: 8K(※60p)
モニター:3.2型(210万)
重さ:746グラム
EOS R5 Mark IIも、キヤノンのフルサイズミラーレスの上位機です。
普通の形(重さ)のミラーレスだと最上位とも言えます。
重さは、746グラムです。
このクラスの製品敏江は比較的軽量といえます。
操作系も充実します。新機種からは、EOS R6M2のマルチコントローラーも採用されています。
撮像素子は、(いわゆる)35mmフルサイズクラスです。
新開発の裏面照射積層CMOSセンサー(約36.0×24.0mm)になります。
画素数は、約4500万画素です。
ソニーの上位機(α7R V)ほど高くないですが、柔軟な対応力が重要なこのクラスの製品としては、割と高めにしていると言えます。
常用ISO感度は、ISO100〜51200です。
EOS R6 Mark IIより低めですが、このあたりの画素数の他社機と比べても、この解像度として優秀かと思います。
キヤノンの場合、(コントラストAFを使わない関係で)感度が低すぎると、夜間の合焦に問題が生じやすいという理由もあってから、しっかりした水準にしている感じです。
画像エンジンは、このグレードもDIGIC Xです。
ただ、DIGIC Acceleratorが追加で搭載になります。主に分析処理を担当するという書き方で、いわゆる「AIエンジン」的に考えれば良いように思います。
ディープラーニングを利用し、多くのコンテンツを分析した学習データベースを高速処理するためのものといえます。次に見るAF周りの性能はこの恩恵で特に性能が伸びます。
オートフォーカスは、デュアルピクセルIntelligent AFです。
機能名としては下位機種同様の位相差の「デュアルピクセルCMOS AF」です。
たあだ、先述の「AIエンジン」の効果で、多くの画像要素を解析できるようになったことで精度が格段にあがりました。同社のフラッグシップ(R1)と同じエンジンです。
測距エリアは100%(最大1053分割 6144ポジション)ですが、目安となる合焦速度の値は非公開です。
顔検出機能は、本機も瞳・顔に加えて「頭部・上半身・胴体の検出」に対応です。
上半身区別はこのグレードからで、次に見る追尾技術の向上に寄与します。
その上で、登録した人物の区別が可能です(登録100人・同時10人まで)。顔が斜めでも検出できるため、追尾AF利用時の精度が上がります。
その上で、トラッキングに関わる2つの技術が新装備です。
第1に、交錯に対応したトラッキングです。
追尾対象の被写体を、特徴量の解析・学習で区別し、被写体が被るシーンで、対象に合焦し続けるというものです。
サッカー
:シュート・ヘディング・ショート・ロングパス・ドリブル・クリア・プレースキック・キーパーセーブ・スローイン・タックル
バスケ
: シュート・リバウンド・パス・ドリブル・フリースロー・ジャンプボール
バレー
スパイク・トス・レシーブ・サーブ
第2に、アクション優先です。
サッカー・バスケ・バレーボールは、AI解析により、特定のアクションを検出し、AFする機能も加わっています。
一方、これらの機能性は「同時使用」ができるため、状況に合わせて使い分けが可能です。
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結論的にいえば、他社機や、下位機に比べて、スポーツ撮影について、AI技術を主に使った部分に個性があります。
選ばれた3つのスポーツは、日中競技で動き量も多いものですし、感度より画素数をやや優先した設計なからして「日中用スポーツカメラ」的な開発意図が強そうです。その意味で、野球がないのが特徴的かなと思います。
動物は、このグレードも犬・猫・鳥・馬の区別がつきます。
下位機同様、「瞳・顔・全身検出」対応です。
乗り物は、鉄道(高速鉄道、特急、在来線、蒸気機関車)、飛行機(ジェット機・ヘリ)のほか、モータースポーツ(フォーミュラカー、GTカー、ラリーカー、オンロードバイク、オフロードバイク)の区別ができます。
部位検出は、バイクは、ヘルメットとヘルメットが検出できます。飛行機・高速鉄道では、コクピットのなどの部位検出が可能です。
この部分は、ソニーも強いように思いますが、キヤノンも細かいです。
暗い場所での利用は、AFの低輝度限界が-6.5EVです。
対応幅はわりとあります。
一方、画像処理に関わる部分ですが、、RAW現像する際、AIエンジンを利用し、ノイズを抑えて画像生成する「ニューラルネットワークノイズ低減」も目立つ機能です。その上で、アップスケーリング処理も行うので、
連写は、最大6コマ/秒です。
ライブビューを切った場合、最大12コマ/秒(メカ/電子先幕時)、電子シャッターを利用して30コマ/秒です。
機能的には、電子シャッターの幕速の向上で、ローリングシャッター減少を抑える(40%)仕組みの言及もあります。ここも、新AIエンジンの効果です。
手ぶれ補正は、本機も5軸手ブレ補正機構とレンズ内光学式手ブレ補正のハイブリッド仕様です。
引き続き周辺協調制御に対応しますし、この部分は下位機種と同じです。
最大で中央8.5段(周辺7.5段)の手ぶれ補正効果という触れ込みです。
液晶モニターは、本機もバリアングル液晶モニターです。
3.2型の210万ドットなので、旧機と同じです。
ファインダーは、約576万ドット有機ELディスプレイとなります。
同社の上位仕様で、0.5型で、倍率は0.76倍です。
動画撮影は、最大で8K/60Pです(軽量RAW利用時)。
4K DCI・4K UHDで120P、フルHD・2Kだと、240Pまで対応です。
技術的には、8Kオーバーサンプリングで、4K映像の詳細化などの技術がみられます。
動画でも、本機の売りの人・動物・乗り物の「被写体検出」によるトラッキングが可能です。
人物登録による把握もできます。手ぶれ補正も協調制御を含めて、動画でも対応します。
下位機同様、動画電子ISを併用できる仕様ですが、その場合は、撮影範囲は狭くなります。
キヤノン CF-R 20EP
¥53,636 楽天市場 (6/23執筆時)
4K・8K撮影は、発熱による撮影時間の制限があります。
気温23度の値ですが、温度「高」の設定で、8K/60Pで最大18分、4K/60Pで最大120分ほどです。4K/30Pだと無制限です。
ファンレスですが、別売のファンを利用すると、4K/60Pでも無制限になります。
この部分で言えば、動画撮影についても、(特に熱対策が充実する部分で)本機は能力が高めです。
ネットワークは、Wi-Fi 6のほか、Bluetooth 5.3 LEを搭載します。
なにげに、新しいWi-Fi6(2本アンテナ)に対応するユニットです。
RF24-105mm F4-7.1 IS STM
¥63,600 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
レンズキットは、現行で1種類です。
下位機でも見た8段補正対応で、395gのRF24-105mm F4-7.1 IS STMです。
防塵・防滴性能は、配慮はあります。
ただ、完全に防ぐことはできないとの註記です。本格的なフィールドカメラではないです。
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以上、キヤノンのEOS R5 Mark IIの紹介でした。
以前のキヤノンの上位機ミラーレスの場合、手ぶれやAF部分で他社に遅れをとっていた部分がありましたが、この世代だとそれはなく、ある種それらが、ポイントとも言える進化を遂げています。
しっかりした手ぶれ機構がある上で、夜間対応力をしっかり確保しつつ画素数が高めており、そこも目立ちます。
また、旧機と比べた場合、AIエンジンを活かしたAF部分の進化が目立ちます。キヤノンの場合、先述のように、日中のスポーツ撮影に特に強そうです。
フットボール(サッカー)は、とくにこだわった開発に思え、魅力に思えます。ここに注目する場合、他社機から乗り換えても良いほどで、相当の「こだわり」を感じます。
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【2020年発売】【通常製品】
41・Canon EOS R5 EOSR5
¥436,406 Amazon.co.jp (6/23執筆時)
【2022年発売】【長時間動画対応】
42・Canon EOS R5 C ボディ EOSR5C
¥499,960 楽天市場 (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:4500万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸
ファインダー:有機EL(576万)
AF:デュアルピクセル CMOS AF II
連写速度:6コマ/秒
動画: 8K(30p)
モニター:3.2型(210万)
重さ:738グラム
なお、本機の旧機が残ります。
旧機と比べると、センサーとエンジンは同じですが、先述のAIエンジンが未搭載(DIGIC Accelerator)です。
そのため、先述のスポーツ追尾を含めて「AIエンジン」の効果よるとAtlasが断りを入れている項目は全て非対応の旧世代です。
動画も、(悪くないにせよ)8K/30Pまでになります。
一方、2022年に追加された「Canon EOS R5 C 」は、動画撮影に特化した業務用な機種です。
撮影部分の性能は基本的に同じですが、放熱ファンを内蔵していて、長時間映像を撮影しても熱による電断がないという仕様になります。
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結論的にいえば、この世代でも、(それ1世代前と違って)ボディ手ぶれ補正があるので、下位機として選べるとはいえます。
新しい下位機のR6 Mark II と比べても、重さは増しますが、ファインダーなどの装備や動画対応水準を比べても上位です。
ただ、AIエンジンによる補正技術の進化は、カメラでは最近最も重要なポイントなので、予算が許すようならば、やはりEOS R5 Mark IIを選ぶ意義はあります。
とくに、スポーツのトラッキングは、(けっこう)決定的な性能差があります。
【2024年発売】
【ボディのみ】EOSR1
43・ CANON EOS R1 ボディ
¥768.000 楽天市場 (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:2420万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸
ファインダー:有機EL(944万)
AF:デュアルピクセルIntelligent AF
連写速度:6.2コマ/秒
動画: 6K/60p
モニター:3.2型(210万)
重さ:1115グラム
CANON EOS R1 は、キヤノンのフルサイズミラーレスにおけるフラッグシップです。
重さは、1115グラムです。
ニコンとソニーの中間ほどの重さですが、実際的には最上位機として「重い」ほうの仲間です。
撮像素子は、35mmフルサイズです。
画素数は、約2420万画素です。
下位機種より低めで、また、ソニーの高画素機と比べても約半分です。
一方、「カメラ内アップスケーリング」で9600万画素相当に、アップスケールする技術があります。
ただ、元画像は劣化しますし、専用ソフトで行った方が仕上がりは良いでしょう。ようするに、プロカメラマンが、現場から素早く、写真をおくるための機能と考えてください。
常用ISO感度は、ISO100〜102400です。
下位機より高めにしています。画素数(解像感)を無理に高めず、どんな状況でも対応できるような信頼性を重視したといえそうです。
画素数とISO感度についてのバランスの考え方がソニーとは違うと言えます。
いずれにしても、夜や室内の撮影における潜在的能力は、本機の方が高いです。
画像エンジンは、このグレードもDIGIC XとDIGIC Acceleratorがデュアルです。
したがって、AI世代です。
オートフォーカスは、こちらもデュアルピクセルIntelligent AF(デュアルピクセルCMOS AF)です。
先述の顔登録や、スポーツ(サッカー・バスケ・バレーボール)の補正を含めて、EOS R5 Mark IIの持つ機能性は全て網羅します。
暗い場所での利用は、AFの低輝度限界が-7.5EVです(動画−4.4EV)。
下位機種もでしたが、暗い場所で使いやすいのはキヤノンの個性でしょう。
連写は、追尾AF利用時で、最大6コマです。
ドライブ部分は下位機種と同じです。
手ぶれ補正も、ハイブリッド式で、中央8.5段補整で、下位機と同じ水準です。
液晶モニターは、本機も可動式液晶モニターです。
上下左右に170度の稼働で、バリアングルです。
ファインダーは、新開発の約944万ドットの高詳細有機ELです。
0.64型と大きめで、倍率も0.9倍です。
リフレッシュレートも約120fpsですので、ソニーの同級機と同水準です。
加えて、表示にHDR技術を利用することで、光学ファインダ的な見え方(画質)を実現する、OVFビューアシストも搭載です。
一方、連写時の「ブラックアウトフリー」の記述はあるものの、その際の表示遅延の無さについての言及はないです。この部分は、ニコンが上でしょう。
動画撮影は、最大で6K/60p(RAW)に対応します。
センサー画素数の違いでこの部分は、必ずしもR5 Mark2より上というわけではないです。
とはいえ、EOSの力強いAFも、手ぶれ補正も利用できますので、弱いとも言えません。
動画撮影時間は、高設定で気温23度で、6K/60P、4K/60Pで120分以上です。
R5もですが、キャノンの高級機は、持続時間が長めです。
甘めの23度という環境温度での評価ですが、この部分の使い勝手は、ソニーの最上位機より良さそうです。
ネットワークは、Wi-Fiと、Bluetooth 5.3LEを搭載します。
最新です。
レンズキットは、ありません。
防塵・防滴性能は、それに「配慮」した設計ですが、完全防塵・完全防水は宣言していません。
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以上、キヤノンのEOS R1の紹介でした。
各社のハイエンド機と比べると、AF(追尾)の部分が充実するのがやはり目立ちます。
サッカー・バスケ・バレーボールなど、動き量が多いスポーツの撮影には、やはり向くように思います。動きのある被写体は、従来ソニーが強い印象でしたが、(少なくとも言及があるスポーツについては)キャノンが良いように思います
一方、画素数の部分などは「安全運転」で「尖った部分が少ない」とはいえますが、もともと強かった、暗い場所での高感度撮影力はキープするためですし、欠点ではないです。
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【2021年発売】
【ボディのみ】EOSR3
44・ CANON EOS R3 ボディ
¥768.000 楽天市場 (6/23執筆時)
撮像素子:フルサイズ
画素数:2410万画素
手ぶれ補正:2軸+5軸
ファインダー:有機EL(576万)
AF:デュアルピクセル CMOS AF II
連写速度:6コマ/秒
動画: 6K(60p)
モニター:3.2型(415万)
重さ:1015グラム
なお、同社の従来の最上位機はEOS R3でした。
比較する場合、やはり、こちらは「AIエンジン」が不採用で、AFや追尾周りの機能性が旧水準です。
そのほか、ファインダーが旧式(R5と同等)になります。
センサーは、解像度はほぼ同じですが、やはり旧式との表記です。
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結論的にいえば、EOS R3 Mark2の場合と同じで、「AIエンジン」がないことによる機能性の違いがかなり大きいです。
光学部分は同等ですが、やはり、今選ぶならば、R1でしょう。
次回に続く
フルサイズ以上のミラーレス一眼のおすすめはこれ!
というわけで、今回は、フルサイズミラーレスの比較の2回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ「続き」 ます。
3・フルサイズミラーレスの比較 (3)
3-1:パナソニック
4・フルサイズミラーレスの比較 (4)
4-1:ニコン
4-2:シグマ
5・フルサイズミラーレスの比較 (5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
続く3回目記事(こちら)では、パナソニックのフルサイズミラーレスを追加で紹介します。
画質の良さ ★★★★★
フォーカス性能 ★★★★★
連写速度 ★★★★★
動画撮影 ★★★★★
手ぶれ補正 ★★★★★
軽量性 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、結論編となる5回目記事(こちら)で、目的別・価格別にAtlasのおすすめ機種を提案していきます。
引き続き、よろしくお願いします。
3回目記事は→こちら!
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