1回目記事からの続きです→こちら
2-1・BOSEのイヤホン
2回目記事のトップバッターは、アメリカのBOSEの完全ワイヤレスイヤホンです。
ソニー同様に、ノイズキャンセリング技術に大昔から取り組んできた、アメリカ東海岸を代表する高級オーディオメーカーです。
1・完全ワイヤレスイヤホンの比較(1)
1-1:選び方の基本の解説【導入】
1-2:アップル〈米国〉
1-2:ソニー〈日本〉
2・完全ワイヤレスイヤホンの比較(2)
2-1:BOSE〈米国〉
2-2:パナソニック〈日本〉
2-3:JVC〈日本〉
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較(3)
3-1:JBL〈米国〉
3-2:ANKER 〈米国〉
4・完全ワイヤレスイヤホンの比較(4)
4-1:Beats〈米国〉
4-2:ヤマハ〈日本〉
4-3:SHURE〈米国〉
4-4:Bang&Olufsen〈北欧〉
4-5:Noble Audio〈米国〉
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
5-1:AVIOT〈日本〉
5-2:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)
6-1:Amazon 〈米国〉
6-2:Google 〈米国〉
6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
6-4:DENON〈日本〉
6-5:AKG〈オーストリア〉
6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
=予算別・目的別のおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿いながら各機を説明していきます。
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また、以下では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチだと思う部分を青字系で書きます。
【2023年発売】
11・Bose QuietComfort Ultra Earbuds
¥30,600 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2022年発売】
11・Bose QuietComfort Earbuds II
¥15,379 楽天市場 (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC aptX Adaptive
3D音響:対応(Bose Immersive Audio)
個人最適化:高度(ヘッドトラッキング可)
連続再生時間:6時間
ドライバー:9.3mm
マイク:搭載
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
防水性能:IPX4
重さ:6.24g×2
QuietComfort Ultra Earbuds は、アメリカのBOSEが販売する、ノイキャン対応の完全ワイヤレスイヤホンです。
人気のあったBose QuietComfort Earbuds IIの後継機です。
後述するBose Immersive Audioに対応した点と、コーデックの部分でApt-X adaptiveに対応した点とが、主な違いになります。
あとは操作面の違いですが、それでも変化は大きいので、できれば新機種が良いでしょう。
同社は、老舗の高級オーディオメーカで、低音域が充実する独特の「ボーズサウンド」はファンが多いです。ノイキャンもソニー同様に、(汎用チップではなく)自社技術をもつ会社で、技術レベルが高いです。
本体色は、ブラック(882826-0010)と、ホワイトスモーク(882826-0020)が基本色で、ムーンストーンブルー(882826-0050)は、限定色のようです。
重量は、片側6.24gです。
ソニー・Appleのハイエンドと重さはあまり変わりません。形状は、写真のように、レシーバー型に近い独特の存在感です。
イヤーピースは、3サイズが添付されます。
本機は、スタビリティバンドも3サイズ換装できる仕様で、耳の形状に合わせてフィットさせることを強く意識しています。
音質のパーソナライズは、BOSEも対応です。
ただ、Appleやソニーとは考えが違います。
本機は、起動時に毎回短いトーン再生を行い、それで装着具合を見ながら反響音を調整する機能になります(CustomTuneオーディオテクノロジー)。
音質向上効果もありますが、とくに音漏れ防止という音量部分でのメリットもあると思います。
イヤーピース自体にアナログな遮音性はさほどあるように思えませんし、ベントもありますが、問題を感じない理由の1つかと思います。
ドライバーは、サイズは非公開です。
ただ、海外の情報サイトによると9.3mm(あるいは9.2mm)のようです。
音質は、イヤーピースの特性もありつつですが、しっかり低音域が充実するサウンドです。
この部分は同社の伝統であり、旧機と同じです。
同「アクティブEQテクノロジー」で、小音量での再生時でも、しっかりバランス調整され、とくに低音域(重低音)の迫力が削がれない技術です。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACほか、Apt-Adaptiveに対応です。
イヤホン側の規格として、(HD水準の)48kHz/24bitですが、メーカーとしても(業界認証マークはないですが)「ハイレゾ対応」と書いています。
このコーデックは40msと低遅延なので、むしろ映像視聴用としても優れるでしょう。
立体音響は、対応です。
今回の新機種の「目玉」であり、Bose Immersive Audioに対応します。
Appleの「空間オーディオ」や、SONYの「360 Reality Audio」と異なり、専用音源に依存せず、(ソフト的なサラウンド処理で)通常の音源を、独自の計算で「立体音響」にするという方向です。
BOSEの場合、もともと立体音源のデータがあるDolby Atmosなどの音源も扱えますが、通常のステレオ音源も独自のアルゴで「立体音響」にして、再生をすることができます。技術としては、(ヘッドホンで)ヤマハが先行しましたが、BOSEも採用したという感じです。
Apple・SONY式と、BOSE・ヤマハ式の違いは、表現が難しいのですが、ハイレゾ音源と、ステレオ音源のハイレゾアップコンバートとの違いに近いでしょうか。前者が「リアル空間オーディオ」志向だとすると、後者はバーチャルな「空間オーディオ」といえるかもしれません。
そもそも、BOSEは「音を自社様式で作り込む(みたい)」方向なので、これで良いのだと思います。
このほか、本機は、Apple機で説明したような、ヘッドトラッキングも行えます。
接続安定性の面では、Bluetooth5.3に対応しています。
ノイズキャンセリング機能は、Wマイク式(自動)です。
「BOSE ActiveSense」という機能名です。
マイクは、片側につき、内側に1つと、外側に3つ(両側で総計8つ)。
外側の1マイクは通話専用などと割り振りはせず、全てノイキャンに使われる仕様のようです。
リアルタイム分析は、本機も装着状況(種類)に応じ、AIが周囲の状況を判断して自動で出力を調整てすいます。
一方、騒音種類の違いのリアルタイム分析はなしますが、装着状況や、動状況までふくめたリアルタイムの分析は(ソニーと違って)言及はないです。
先述のように、装着時の装着状況の解析は行います。しかし、その後のリアルタイムな状況変化については、追っていません。
外音取り込みは、可能です。
マイクを通じて外音を入れるヒアスルーは対応です(Awareモード)。
このモードの際、大きな音がした場合、Bose ActiveSenseテクノロジーにより、しっかりノイズを押さえます。
このほか、通常は最大(Quiet)で使いますが、ノイキャンのかかりは段階的に軽減でき、2種までカスタマイズして登録可能です。
ノイキャンの効きは、最大の場合「かなり」です。単純に、外音の遮断度でいえば、三大メーカーでも屈指だと思います。
連続再生時間は、ステレオ再生/ノイキャンONで6時間と長寿命です。
バッテリーケースは、やはり、充電器を兼ねており、約3回分利用可能です。
また、本体への20分での2時間分再生のクイックチャージに対応です。充電はUSB-C経由です。
マイクは、搭載です。
通話時には、ノイキャンしつつ、自分の声を拾うので、違和感なく会話できます。
防水性は、IPX4等級です。
防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないでしょう。
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以上、ボーズのQuietComfort Ultra Earbudの紹介でした。
音質は、ドライバの口径の制約を思わせない低音域で、小音量でも低音域のバランスがよいと感じます。
その上で、従来機同様に「ノイキャンの強さ」は相当です。
第2世代のApple AirPods Proもこの部分に定評がありますが、あちらは、(空間オーディオを含めて)ある意味「iOS向け」のような製品なので、汎用的に使う場合とくに候補になりそうです。
ノイキャンを最大にした場合の「静粛性」は、BOSEサウンドの特性によるだろう部分を割り引いても、相当強力です。飛行機などの相当うるさい空間で、没入感を重視する場合は、特に候補になりそうです。
逆に、歩行時など、状況に応じたかかりの調整は、引き続き、SONYやAppleに比べるとややざっくりな部分はあるのが注意点になります。
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【2024年発売】
12・Bose QuietComfort Earbuds 第2世代
¥20,873 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC (AAC)
3D音響:対応予定(Bose Immersive Audio)
個人最適化:
連続再生時間:8.5時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイズキャンセル:Wマイク(自動)
防水性能:IPX4
重さ:8.5g×2
なお、2020年登場の従来機の「第2世代」として QuietComfort Earbuds 第2世代が出ています。
在庫部品の関係で限定期間売られるものか、下位機として復活させたのかは、今のところ不明です。
重さは、8.5gです。
旧機を含めて、重さと大きさが問題点で、結構な存在感です。
機能面では、本機の場合、先述のCustomTuneオーディオ技術がないです。
これもあり、ノイキャンは(方式は同じにせよ)かかりは上位機に及ばないです。
そのため、最大にかかるモード(イマージョン)は、上位機と違ってないです。
立体音響は、一方「対応予定」との表記でした。
あとは、初代と違って、Bluetoothのマルチポイント接続に対応した点と、(公式の情報で刃ないですが)AACもフォローする点が、言及したい違いになります。
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結論的にいえば、値段が安い部分と、旧上位機(QuietComfort Earbuds II)と違って、Bose Immersive Audioに対応する部分で需要はあるかなとおもいます。
ただ、重さと大きさが課題で上位機が出たとはいえるため、選ぶ場合、そこを注意してください。それでも、草創期の音質重視のTWS型に比べれば、だいぶ「まし」ではありますが。
一方、立体音響の再現性が、完全に上位機と同じかは、CustomTuneオーディオ技術がない部分で何とも言えませんので、Atlasとしては要調査です。なにかしら分かったら加筆します。
【2023年発売】
13・Bose Ultra Open Earbuds
¥30,600 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC aptX Adaptive
3D音響:対応(Bose Immersive Audio)
個人最適化:ヘッドトラッキング可
連続再生時間:7.5時間
ドライバー:12mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ:6g×2
Bose Ultra Open Earbudsも、BOSEのTWS型のイヤホンです。
ソニーにもありましたが、オープンイヤー型です。
「外音取り込みの自然さ」を重視するタイプで、音楽疲れしない点でも人気です。
本体色は、ブラック(881046-0010)と、ホワイトスモーク(881046-0020)が基本色です。
重量は、片側で約6gです。
形状的に引っかけるタイプですし、重いと言うことはないでしょう。
イヤーピースは、クリップ固定ですのでないです。
写真のように、ドライバー(スピーカーユニット)が耳の外側にあるので、外耳道にフィットさせる必要自体ないからです。
音疲れほか、装着疲れも起きにくい両取り設計であり、画期的に思えます。
ドライバーは、サイズ非公開です。
ただ、実際的には12mmでしょう。オープン構造ですから大きくできます。
音質のパーソナライズは、一方、チューンのような仕組みがないです。
特殊な装着方法なので、自分で適切にフィットさせてください。
音質は、他の開放型と同じで、音が籠もらず自然にきこえるのが良い部分です。
一方、音域はやはりBOSEの「味付け」であり、(品のある)充実する低音を重視しています。BOSE製品愛用者には違和感を感じない作りといえます。
ただし、音量を挙げた際には、若干低音ボリュームが落ちるので、大きな音で使うような意図はない製品ではあります。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACほか、Apt-Adaptiveに対応です。
ハイレゾに対応できる水準ですが、機器側の明記はないです。このコーデックは「ハイレゾ対応」水準ですが、機器側の仕様で対応しない事例は他社にありますし、何とも言えません。
ただ、遅延は少ないので、ゲームや映像視聴において意味のあるコーデックです。
立体音響は、Bose Immersive Audioに対応します。
1つ上の機種で詳しく説明したように、BOSE独自の形式です。
ヘッドトラッキングも、対応です。
先述のように、この仕様だと、音楽だけでなく映像にも対応できます。
一方「Bose SimpleSyncテクノロジー」対応なので、同社のテレビ用スピーカー(サウンドバー)につなげて使う場合、個別に音量調整して、同じコンテンツの視聴ができます。
さらに、24年登場の新技術となる同社の「パーソナルサラウンドサウンド」にも対応なので(音が聞こえる)開放型イヤホンの利点を活かして、シアターシステムにおいて、リアスピーカー代わりに利用できる機能も搭載です。
これらの部分や対応機は、【サウンドバーの比較記事】のボーズの項目で詳しく紹介しています。
接続安定性の面では、Bluetooth5.3に対応しています。
ノイズキャンセリングは、未装備です。
構造的に、アダプティブなノイキャンもないので、静音化は無理です。
先述のように、音を大きくすると、低音バランスが崩れるので、基本的に、通勤通学などに使えないと考えてください。むろん、音漏れもありますので。
外音取り込みは、(いうまでもなく)可能です。
連続再生時間は、通常再生時7.5時間です(イマーシブオーディオ時4.5時間)。
バッテリーケースは、やはり、充電器を兼ねており、19.5時間分です。
マイクは、4つ搭載です。
防水性は、IPX4等級です。
防滴構造はあります。構造的にもずり落ちにくいので、ジョギングなどにも利用できます。
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以上、ボーズのUltra Open Earbudsの紹介でした。
自宅でのテレワーク時、あるいは、ジョギング時など、常時環境音が聞きたい場合で、疲れにくく、長時間使いたい場合には「一番の選択肢」と言えます。
疲れにくい部分で言えば、長時間の映画視聴用にも良いかもしれません。
ただし、ノイキャンを要するような通勤通学シーンには不向きというより、不可です。また、バランス的にあまり大きな音を再生するようにできてもいないので、自宅で音量をあげての音楽視聴ならば、同社のカナル型のが良いかと思います。
2-1・パナソニックのイヤホン
続いて、日本のパナソニックの完全ワイヤレスイヤホンです。
言わずと知れた、日本でも稀少な総合家電メーカーですが、「テクニクス」ブランドとして、高級オーディオ部門も抱える、オーディオ界の名門の1つです。
【2025年発売】
14・ パナソニック Technics EAH-AZ100-S
14・ パナソニック Technics EAH-AZ100-K
¥35,350 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:10時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式 (自動)
防水性能:IPX4
重さ:5.9g×2
Technics EAH-AZ100は、パナソニックの完全ワイヤレスイヤホンです。
同社の高級オーディオブランドである「テクニクス」の名を冠する製品で、同社の最新ハイエンド機です。
重量は、5.9gです。
同社の従来機よりだいぶ軽く、サイズも一見してわかるほど小型化しました。
ソニーの最上位機相当であり、このクラスだと軽めです。
ドライバーは、10mmです。
小型・軽量化しましたが、ドライバは従来のままのサイズです。
音漏れしないタイプの軽量小型機だと最大クラスでしょう。大きいに越したことはない部分ですので、妥協しなかったのは良いところです。
構造的には、ハイレゾ対応のため高音域を綺麗に出せる特殊アルミニウム振動板を採用します。その上で、低音域を出せるよう、振動板を柔らかめで「動く」エッジ素材で囲むフリーエッジ構造で、低域に必要な振動を担保します。
加えて、動きすぎることでの歪みを防ぐため、磁性流体を注入しそれをおさえる工夫が加わりました。この磁性流体の部分が、今回の改良での新機軸です。
このほか、旧機に引き続き、空気の流れを制御するアコースティックコントロールチャンバーのほか、高音域の音質を改善するためのハーモナイザーが前方に付く構成です。
本機の場合、同社の(有線イヤホンの)最上位であるEAH-TZ700と同じ音質を、TWS型で出すことを当面の目標としているようです。
今回、磁性流体の工夫もそれに加えることで、一段と近づいたと言えそうです。
大手各社とも、ドライバー自体の工夫は、そこまでこだわらない中、テクニクスは、逆にここを詰めている部分が好感触です。
イヤーピースは、5サイズが添付されます。
今回改良された部分で、耳のコンチャにフィットしやすい構造を維持しつつ、重量と体積をカットしてます。本機の軽量化にも寄与しています。
再生周波数帯域は、20Hz-40kHzです。
ハイレゾ対応水準です。
音漏れもほぼ感じません。
音質は、高音域の音質は旧機に引き続きクリアです。
低音域は旧機もよかったのでそこまで伸びた印象はないもののかなり余裕があります。
先述のように、軽量小型になった点を含めて言えば、良い進化すで。
音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。
マイクを使って個々人の聴覚特性に合わせて「カスタムメイド」するような方向性の製品ではないです。この部分が、1回目記事でみた3社の上位機と違うと言えます。
Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・LDACに対応します。
ソニーと同じでLDACでのハイレゾ対応です。
通常音源のハイレゾ水準へのアップグレード技術はみられません。
一方、ダイレクトモードとして、イコライザで味付けされにくい音質が選べます。方向性の違いでしょう。
立体音響は、独自の対応情報については未記載です。
接続安定性の面では、一方、本機はBluetooth5.3に対応しています。
左右独立受信方式で、マルチポイント対応です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式(自動)です。
旧モデルにくらべ進化したところです。
単純なWマイク式だった旧機とちがってリアルタイム分析を行えます。
同社によると、これにより低周波がより良く取れるようになっています。
一方、イヤホンの装着状況や、スマホの加速度センサーを利用した移動状況は、ソニーとちがって、未対応です。
ノイキャン用のマイクは、他社上位機と同じく、片側3マイク(内1、外2)の仕様ですが、状況に対する対応力を含めて、少なくとも、ここを第一の目当てにして選ぶ感じではないといえます。
外音取り込みも、対応です。
新機種からは、電車のアナウンスなど必要な音だけスルーする「アテンションモード」も加わりました。ソニーなどでもみられたものです。
連続再生時間は、ノイキャンを使ってAAC接続をする場合、10時間です。
バッテリーケースは、18時間分の給電量です。
マイクは、高性能です。
本機は、Voice Focus AIとして、AI対応の内蔵ICチップで、送信だけでなく、受信音の改善も図れる部分が新しいです。
マイクは、片側3つで、風切り音低減のため、開口部に金属メッシュを採用スタ上で、風切り音を低減する「ラビリンス構造」を採用しています。
なお、発話検知マイクは、発話開始時の音声検知水準が向上させることで、通話品質を上げる仕組みです。
防水性は、IPX4等級です。
防滴構造はありますが、構造的にスポーツ用ではないでしょう。
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以上、パナソニックのEAH-AZ100の紹介でした。
ハイレゾ水準に対応した部分で、ソニーの最上位機(WF-1000X系)の有力なライバルになりました。
較べる場合、やはり余裕があるドライバサイズである上で、TWS型では例外的と言って良い、ドライバ自体に「語れる」音周りの工夫があるのが魅力です。
アルミの振動板で、高音域が綺麗にでますし、サイズ感を感じさせない低音も出ているので、味付け(イコライザ)を使わなず、ナチュラルにハイレゾを楽しむにはとても良い機種です。
一方、ノイズキャンセリングは「新開発」とされますが、そこまで利きは強調できないです。自社開発かも今回は不明です。
そのほか、音質のパーソナライズと3D音源に対応しない点など、他社上位機にみられる「トレンド」はふまえないのが注意点です。
ただ、ハイレゾを含む「ステレオサウンド」を上質に楽しむという、本来的な目的では相当水準が高い製品であり、評価に値します。
音質に妥協がない「テクニクス」的な製品だと感じました。
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なお、テクニクスブランドのイヤホンは、旧機を含めて次のような製品もあります。
順番にみておきます。
【2023年発売】
15・ パナソニック Technics EAH-AZ80
¥26,000 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2020年発売】
15・ パナソニック Technics EAH-AZ70W
¥19,800 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-40kHz
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2
第1に、EAH-AZ80です。
1世代分前の最上位機です。
ドライバーは、10mmと同サイズです。
フリーエッジ構造ですが、磁性流体は不採用になる世代です。
イヤーピースも旧世代で、重さ・サイズとも新機種に及びません。
そのほか、マイク(受信音の改善)、ノイキャン(周囲の状況をみれない、アナログなWマイク式)である点などが、目に付く違いです。
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結論的にいえば、新機種と比べて、そこまで値ごろ感値段的にも、選択肢にしにくいでしょう。
第2に、EAH-AZ70Wです。
2世代前の最上位機です。
ドライバサイズ(10mm)は同じですが、構造は大きく変わります。
これ以後の世代は、エッジを「柔らかく」して、振動板の振り幅を上げる工夫がありますが、こちらは、グラフェンコートであり、その発想はなかったといえます。
コーデックも、ハイレゾ非対応でした。
イヤーピースも旧世代です。
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結論的にいえば、だいぶ安くはありますが、仕様面で陳腐化が進んでもいます。
この時代だと、Bluetooth部分も、マルチポイント接続や、接続安定性の部分でも、それ以後と差があるとも言えます。
【2023年発売】EAH-AZ60後継機
16・ パナソニック Technics EAH-AZ60M2
¥22,248 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC・LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:8mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:7g×2
EAH-AZ60M2は、パナソニックのテクニクスブランドの中級機です。
本体色は、ブラック(EAH-AZ60M2-K)とシルバー(EAH-AZ60M2-S)の2色構成です。
重量は、7gです。
イヤーピースの改良があった上位機に比べると少し重めです。
ただ、手前方面に多少小粒で、見た目はスッキリです。
ドライバーは、8mmです。
小さくはないですが、10mmの上位機とは差を付けます。
素材や仕組みは、最新上位機とは異なます。
振動板がバイオセルロース素材で、フリーエッジ構造の言及もないです。
ただ、前方のハーモナイザー、後方のアコースティックコントロールチャンバーと、似たような空間構成なので、音響思想の方向性は同じとは言えます。
音質は、上位機よりも低音の膨らみは控えめです。
ただ、高音域も違和感なく出ているのでこちらもハイレゾ向きに思えます。
ノイキャンは、本機も旧仕様です。
発売時期の関係もありますが、アナログなノイキャン併用のWマイク式に止まります。
先述のように、パナソニック自身が、新方式の方が効きは良いと書いています。
あとは、マイク通話の部分で、受信音の改善を含む、先述のAI技術が使われないのが、主に目に付く違いです。
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以上、パナソニックのEAH-AZ60M2の紹介でした。
新しい上位機と比べると一定の値段差はあります。
その部分では「候補」ではありますが、上位機の弱点だった、重さとサイズが新機種では大きく改善されたため、性能面、仕様面では、本機をあえて選ぶ意味は、薄まったかなと思います。
完全ワイヤレスイヤホンは、低音を充実させたほうが傾向としては音質が良いため、ドライバが大きく、振り幅の部分で違いがある上位機は、同じ「テクニクス」でも、差は大きいと言えます。
予算もあるため難しい部分ですが、上位機がおすすめです。また、本体が小粒である必要でないならば、上位機の旧機も合わせて検討すると良いでしょう。
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このほかの、パナソニックが展開するTWS型イヤホンで目に付いたものを、以下で(ざっくり)説明しておきます。
【2021年発売】
17・ パナソニック Technics EAH-AZ40M2
¥14,740 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2021年発売】
17・ パナソニック Technics EAH-AZ40
¥12,500 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC・LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:5.5時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク式
防水性能:IPX4
重さ:5g×2
第1に、EAH-AZ40M2です。
先ほどの機種の下位機種です。
旧機種が残りますが、コーデックの部分でLDACに対応しないほか、ノイキャンが非搭載です。
本体色は、ブラック(EAH-AZ40M2-K)・シルバー(EAH-AZ40M2-S)ほか、ローズゴールド(EAH-AZ40M2-N)です。
テクニクス系にしては、本体を小型化していて、主に女性向けに売られます。
イヤーピースは、4サイズとなります。
ドライバーは、6mmです。
小型でも、標準サイズはクリアしている部分に、テクニクスのこだわりを感じます。
ただ、新しいバイオセルロース素材はこのサイズだと強度的に無理なようでPEEK振動板にしています。
とはいえ、前後の空間的な余裕は多く、音質重視の設計です。
ハイレゾも、LDACにより対応です。
ドライバーは6mmですが、ハイレゾ認証マークもあるので、再生水準はあるようです。
ノイズキャンセリングは、搭載です。
ただ、上位機とことなり、旧式の1マイク式です。
外音取り込みは本機も対応です。周囲の音を確認できるトランスペアレントモードと、音楽を止めてアナウンスなどを確認するアテンションモードになります。
マイクは、一方、先述の発話検知マイクはあるものの(外側のマイクがない)3マイクなので、外的環境要因のノイズについては、上位機より弱いでしょう。
自分の声をクリアに届ける「JustMyVoice」テクノロジーも本機だけは非対応です。
バッテリーは、ノイキャン利用時、最大5.5時間です。
なお、Qi充電はこちらは非対応です。
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結論的にいえば、小型が良いが、できるだけ、音質にもこだわりたいという方向けです。
ただ、ノイキャンが若干弱めの仕様とはいえます。他社だと、この値段クラスでもう少し精度が出せるモデルはあるので、比較は必要でしょう。
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【2025年発売】
18・ パナソニック RB-F10D-K RB-F10D-C
¥14,740 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:17×12mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ:8.7g×2
第2に、RB-F10Dです。
こちらは、スピーカーが耳穴の外に位置する開放型(オープンエア)のイヤホンです。
音漏れしても問題ない場所専用ですが、音抜けは良いですし、なにより耳が疲れないタイプです。
IPX4の防水もありますし、外れにくいので、キッチンほかジムワークには向くでしょう。
マイクは、付属です。
構造的に、常時「外音取り込み」なので、外音取り込みモードは(むろん)ないです。
ノイキャンも、ありません。
オープン型でも「音漏れ(ノイキャン)」対策がする機種もありますが、そうした工夫は本機はないです。
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結論的にいえば、このタイプは、次に見るJVCも含めて、わりと各社から出そろってきています。
こちらはパナソニック製ですが「テクニクス」ブランドでだされた製品ではない部分を含めてですが、音質面でそこまで個性は感じません。
後発機なので、もう少し個性があると良いと感じました。
2-2・JVCのイヤホン
続いて、日本のJVC(日本ビクター・JVCケンウッド)です。
老舗ですが、高級機はあまり出さず、中級製品を安めで出すのが得意なグローバルブランドです。
【2021年発売】
19・ JVC Victor WOOD HA-FW1000T
¥35,500 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:9時間
ドライバー:11mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX4
重さ:7.8g×2
HA-FW1000T は、JVCが伝統の「ビクター」ブランドで発売する、完全ワイヤレスイヤホンの最上位機です。
重量は、7.8gです。
平均よりは少し重めですが、ギリギリ許容範囲でしょう。
イヤーピースは、シリコン製のイヤーチップが5サイズで同梱です。
ドライバーは、11mmです。
大きめですが、その上で、本機はウッドドームカーボン振動版です。
JVCは、昔から木製素材のドライバにこだわりがある企業です。したがって、最上位機にも採用してきました。
PET素材と複合させていますが、木製振動版はスピード感に優れるほか、温かい解像感というか、独特の味があるため、ファンも多いです。
基本的にはフラットな音質で、低音域・高音域を過度に強調しないタイプです。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACほか、Apt-Xにも対応です。
接続安定性の面では、Bluetooth5.2採用です。
その上で、他社同様に左右独立転送に対応します。
ノイズキャンセリングは、対応で、Wマイク式(自動)です。
リアルタイム分析は、騒音状況(種類)ほか、耳の装着状況も分析しているとの記述が見られます。今は普通ですが、2021年発売時点では「最先端」だったといえます。。
そのほか、ジョギング用などに「外音取り込み機能」は搭載です。
音質のパーソナライズは、同社も機能としてないです。
連続再生時間は、ステレオ再生で9時間となります。
防水性は、IPX4等級です。
マイクは、搭載です。
パナソニックに比べてさほど特徴はないですが、音が籠もりにくいマスクモードの採用は面白いです。
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以上、JVCのHA-FW1000T の紹介でした。
ウッドコーンの採用がやはり注目点です。
個性的で特徴的な音ですので、そのファンはもちろん、お持ちのイヤホンと音の側面で「差」を付けたい方にも良いかと思います。
ただ、ノイキャン部分は、あまり評価できません。
【2024年発売】
20・ JVC Victor HA-FW550T HA-FW550T-B
20・ JVC Victor HA-FW550T HA-FW550T-N
¥18,500 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:4時間
ドライバー:11mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:5.4g×2
HA-FW550Tは、JVCビクターの上級機です。
1つ上でみた最上位機に次ぐグレードの製品として、24年に出ました。
重量は、5.4gです。
上位機と違う部分で、軽めです。
他機ほど小粒ではないとはいえ、ドライバーサイズに比して軽いという意味です。
モデルが男性なのもその部分がありそうです。
イヤーピースは、シリコン製のイヤーチップが5サイズで同梱です。
特別な名前(スパイラルドットPro イヤーピース)が付いていますが、ティアドロップ型の溝を付けることで、反射音の抑制を目指すものです。
このタイプは、この部分自体が音響に影響を与えやすいので、劣化した場合、同じものを交換した方が良いでしょう。
ドライバーは、上位機と同じ11mmです。
素材は異なり、シルクレイヤーカーボンです。
スピーカーユニット(シルクドームトゥイーター)を思い浮かべましたが、その成分をベースに付加したという表現です。「なめらかな」音質との表現で、布系素材の特徴の1つを示します。ただ、(成分としての)シルク自体がどれほどの作用を持つのかは、説明不足で分かりません。
基本的には、ウッドカーボンの搭載が難しいための採用ではあります。
Bluetoothコーデックは、一方、SBC・AACとLDACです。
LDAC対応で、ハイレゾに対応させています。
シルク素材は、先述のように効果は不明ながら、ハイレゾという部分からの着想かなと思いました。
接続安定性の面では、Bluetooth5.3採用です。
ノイズキャンセリングは、2024年時点で、Victor史上最高とされます。
ただ、本機の場合、リアルタイム分析ができるAdaptive ANCではないです。
2マイクあるハイブリッド式(Wマイク式)ですが、その部分を信じるとすれば、1つ上でみた、上位機のノイキャンは「弱い」ことになります。
おそらく、パッシブな遮音性を含めて、最大にかけた場合も、騒音の減衰率は本機のが「上」ということかと思います。
一方、風切り音の低減(ウインドカット)の工夫も実装で、外音取込みもできますが、ノイキャンの「かかり」の調整はできません。
音質のパーソナライズは、非対応です。
連続再生時間は、ステレオ再生・ノイキャンありで4時間です。
短めでここは、軽くした弊害です。
ケースは10時間分のバッテリーがあり、5分のクイック充電で70分の再生はできます。
防水性は、IPX4等級です。
マイクは、搭載です。
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以上、JVCの HA-FW550T の紹介でした。
執筆時、これが出てから記事更新をしようかなと思っていた機種です。
ドライバーサイズ由来の低音はしっかりしています。先述のように、シルクの効果はよく分かりませんが、ステンレス性の音響チャンバーの効果か、高音域を含めてクリアさは担保されます。
中音域を含めて、割と堅実な音ですが、ハイレゾ音源というより、通常音源を綺麗にならせる中級機に思いました。
一方、バッテリー部分と、必ずしも小粒ではないサイズ感は注意点です。
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このほか、ビクターブランドで出される下位機があるので、順番にみておきます。
【2024年発売】
HA-A30T2-B A30T2-G A30TP
21・JVC Victor HA-A30T2
¥8,200 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2022年発売】(ノイキャンなし)
21・JVC Victor HA-A20T
¥5,400 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:8.5時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク
防水性能:IPX4
重さ:4.5g×2
第2に、HA‐A30T2です。
旧機が残ります。
ノイキャンがないほか、若干軽い(4.2g)代わりに、持続時間が少し短め(7.5時間)です。
そのほか、新機種のみ、マルチポイント対応でスマホとPCなどの自動切替ができる点、ノイキャン関係において、イヤーピースの改良と、先述の通話時のウインドカットに対応した部分が、目立つ進化点です。
結論的にいえば、価格差はありますが、新機種のほうが良いかと思います。
コンセプトは、カジュアル寄りで、しっかり、小型・軽量です。
改めて、ビクター犬(ニッパー)のロゴは「かわいい」ので、わりと若い子にも受け入れられるかなと思います。ケースも含めて軽いです。
ノイズキャンセリングは、上位機は付属します。
ただ、2マイク式ではないです。
イヤーピース部の素材的な工夫で、装着感をキープしつつ遮音性を高める工夫はありますが、基本的には、ノイキャン機能はオマケ的で、「軽さ」を前面に打ち出した製品です。
音質面は、あまり情報がない製品です。
6mmのドライバーで、バスブーストモードが付きますが、コーデックがSBCのみですし、さほど期待値は高くないでしょう。
外音取り込みも可能です。
イヤホンタップだけで、切替できます。
防水性は、IPX4等級です。
バッテリーは、ノイキャン利用時に8.5時間です。
ケースは、12.5時間分のバッテリー量です。
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結論的にいえば、どちらかといえば、若い世代むけの製品でしょう。
軽量で見栄えが良く、ファッション性重視の製品です。とくに、ビクター犬ロゴに「かわいさ」を感じる方向けといえ、特に、通勤通学時には向く、入門機といえます。
コーデックを含めて、仕様的に音質に惹かれて買うような本格的な製品ではないです。サイズ感をふまえて、低音の厚みもさほどではないです。
ただ、信頼性の担保される老舗の音響企業がだす1万円前後の値段の製品として、それなりにうまく「まとめたな」という印象を持ちました。
【2022年発売】
22・Victor nearphones HA-NP50T
¥14,400 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:9.5時間
ドライバー:16mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ:8g×2
HA-NP50T は、JVCの「ビクター」ブランド系の製品です。
nearphonesという、同社の開放型(オープンエア)つくシリーズ名の製品です。
本体色は、セージ(HA-NP50T-G)ほか・ブラック(HA-NP50T-B)・ベージュ(HA-NP50T-C)です。
コンセプトは、会議や仕事よりといえる製品です。
イヤホンとしての要素もですが、会議用・通話用のヘッドセット的な要素のほうが強いです。
マイクも両側に指向性マイクが付くため、片耳だけでも利用できる仕様です。
ドライバーは、16mmと大きいです。
ただ、オープンエア(開放型)ですから、外音は遮断されません。
音漏れは開放型としては設計上少なくしていますが、静粛な環境ほか、乗り物で使うべきものではないでしょう。
重量は、8gです。
イヤーフック型としてみると軽量です。
ノイズキャンセリングは、当然ですが、未付属です。
音質面は、開放型なので、没入感は期待できません。
ただ、大きなドライバーを採用する点で、ある程度低音は強調できるでしょう。音抜けも良さそうです。
防水性は、IPX4等級です。
イヤーフック型ですし、スポーツに利用しても問題ないです。
連続再生時間は、ステレオ再生で9.5時間となります。
充電ケースのバッテリーで約3回フル充電もできます。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACに対応です。
接続としては、マルチポイント対応なので、2台同時接続もできます。
外音取り込みは、構造上、装着時に完全に外音が聞こえるタイプです。
マイクは、搭載です。
通話向きのMEMSマイクが2つで、ノイズリダクションに対応します。
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以上、Victor nearphones HA-NP50Tの紹介でした。
イヤーフックタイプで手軽な「完全ワイヤレスヘッドセット」を探している方に向くと言えます。マイク部分の工夫は、それ専用ではない完全ワイヤレスイヤホンの高級機並の性能はありそうです。
のちほどJBLやアンカーの似たタイプを見ますが、このようなたコンセプトの製品は限られますので、貴重でしょう。
ただ、音質部分では、音楽用と格差があるので、あくまで「仕事用としては音質が良い」と考えてください。
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なお、同社のnearphonesシリーズほかの開放型イヤホンは次のような展開もあります。
順番にみていきます。
【2022年発売】
23・JVC Victor nearphones HA-NP35T
¥8,200 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:16mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ12g×2
第1に、HA-NP35Tです。
先ほどの製品の旧機種です。
本体色は、ホワイト(HA-NP35T-W)・ブラック(HA-NP35T-B)・ブルー(HA-NP35T-A)です。
こちらも、オープンエア(開放型)のイヤーフック形状なので、新機種とコンセプトは同じです。
ただ、重さが12gと少し重めです。
音質も、この世代だと、どちらかと言うと(ある種ビクターらしいようには思いますが)、中音域はそこそこ充実するタイプでした。
新機種と同じ口径ですが、若干この部分の性質は異なります。
コーデックは、SBCのみです。
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結論的にいえば、値段差はあるものの、「第2世代」の新機種の方が、この用途で利用する場合、便利に思えます。逆に言えば、新機種は「良い進化」をしたと思いました。
そちらが、良いでしょう。
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【2024年発売】
24・JVC Victor nearphones HA-NP1T
¥15,500 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:8時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ4..9g×2
第2に、HA-NP35Tです。
先ほどの製品の旧機種です。
本体色は、同社の推し色といえるディープブルー(HA-NP1T-A)ほか、ブラック(HA-NP1T-B)・オフホワイト(HA-NP1T-W)・アイスグレー(HA-NP1T-H)・マルーンレッド(HA-NP35T-T)です。
重量は、4.9gです。
形状は、イヤーカフ型です。
クリップ的に耳に挟んで利用するタイプで、やはりオープン型(オープンエア)です。
メガネに干渉しないように装着する方式で、ホールド性はあるので、ジョギングなどでも使えるとしています。防水性もあります(iPX4)
装着感は、軽さと柔軟に稼動するフレキシブルアジャスト機能が奏功し、このシリーズ全体の特長と言える長時間付けても疲れにくい点が強調できます。
開放型イヤホンの中でも特にそう言えます。
一方、どちらかと言えば、小耳のかたに合うように作られているように思います。耳の形状がやや特殊と思う方は、フィッティングしたほうが良いです。
音質面は、ドライバーが10mmです。
オープン型は光景が大きくしやすい点をふまえれば「普通」です。
音抜けはよいですが、ノイキャンがない使い方なので、迷惑にならない音量で使う場合、とくに低音域は弱めです。
いちおう3段階で、自動イコライジングはできます。
コーデックは、SBC・AACです。
ゲーム用に低遅延モードはありますが、音質は落ちます。
バッテリーは、8時間です。
ケースには16時間分のバッテリー量です。
マイクは、搭載です。
マイクミュートボタンもあり、マイクセット的な使い方には 便利そうです。
ただ、ノイズリダクションなどマイク面の工夫はあまり強調されない印象です。
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結論的にいえば、向き不向きがはっきりしている製品です。
遮音性は皆無に近いので、通勤・通学には向きません。また、電話利用などにもそこまで向かなそうで、オフィス用としてもイマイチです。
ただ、「音アクセ」という宣伝文句が適当な「見た目の良い」デザインである上で、軽い装着感で長時間使いやすい製品です。
その部分で、自宅内での利用、歩いての利用、スポーツでの利用で、集中して聴くというより「流し聞き」するような使い方に向くでしょう。
そういった用途に向く機種はほかにもありますが、「見た目の良さと疲れにくさ」の部分では特長があるため、その部分を重視するならば選べそうです。
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【2022年発売】
25・JVC Victor HA-NP25T
¥6,980 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7.5時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX5
重さ6.9g×2
第3に、HA-NP25Tです。
本体色は、ホワイト( HA-NP25TT-W)・ブラック(HA-NP25T-B)・ブルー(HA-NP25T-A)です。
コンセプトは、防水対応のスポーツ用格安軽量イヤホンです。
イヤーフック型はもう一機で6.9gというのは軽いです。
フック部分に柔らかい素材を使用し、装着感ほか軽量性を出しています。
ドライバサイズを含めて、音質面で個性はない製品ですが、IPX5相当の防水はあるので、ランニング用・ワークアウト用などに使いやすいといえます。
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結論的にいえば、「日本ブランド」の音響メーカーが出すスポーツ用としては「最安級」です。
一方、機能面・音質面で個性がないのと、同じく、イヤーフック型の「柔らかいタイプ」をAnkerが同じほどの値段で同時期に出してきたので、比較はしても良いかと思います。後ほど紹介するつもりです。
【2022年発売】HA-XC72T-BA
26・ JVC XX HA-XC72T-RA
¥9,630 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7.5時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク
防水性能:IP55
重さ:4.6g×2
HA-XC72Tも、JVCの完全ワイヤレスイヤホンです。
こちらは、ビクター系ではなく、クリアさより重低音を強調する同社のXXシリーズの上位機です。
Amazonだと、型番末尾に「A」が付きますが、性能は変わりません。
重量は、片側4.6gです。
できるだけ「小型」化し、重低音を楽しめるように設計されたモデルといえます。
イヤーピースは、シリコン製のイヤーチップが3サイズで同梱です。
ドライバーは、一方、6mmです。
12mmだったこのシリーズの同社の旧機(HA-XC91T)の半分で「普通」サイズです。
その代わり、重さも半分です。
TWS型イヤホンは重いと疲れるので、ユーザーに支持されなかたからでしょう。
最近の各社の傾向に合わせた形です。
その代わり、チューン自体は重低音を延ばす方向性での設計で、低音を自動で延ばせるバスブーストボタンも装備します。SONYのバスブーストのようなものです。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACほか、Apt-Xにも対応です。
接続安定性の面では、Bluetooth 5.2採用です。
左右独立転送に対応します。また、音質は落ちますが、ゲーム向きの低遅延モードもあります。
ノイズキャンセリングは、サイズを小型化しているので、1マイク式です。
通勤通学時は、すこし物足りない部分があります。
連続再生時間は、ステレオ再生・ノイキャンONで7.5時間となります。
防水性は、IP55等級です。
防塵等級もある製品で、屋外で支障のない仕様です。
マイクは、特段の技術は強調されませんが、こちらも搭載です。
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以上、JVCのXXシリーズのHA-XC72Tの紹介でした。
BOSEやオーディオテクニカなど、「低音域の充実」を売りにする製品がライバルです。
それらに対して旧モデルだとドライバーサイズで「個性」をつけていましたが、今回は「軽さ」をだすため、そこまで個性はない感じです。
バスブーストで低音は強化できますが、ノイキャンは、はっきりと「弱い」です。若者世代に向けた、カジュアルな「ストリート用」といえるかもしれません。
ーーー
なお、XXシリーズは、いくつかほかの完全ワイヤレスイヤホンがあります。
以下、順番にみていきます。
【2022年発売】白は、KH-BIZ70T-WA
27・ JVC ケンウッド XX KH-BIZ70T-BA
¥13,800 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク
防水性能:IPX4
重さ:4.6g×2
第1に、KH-BIZ70Tです。
JVCが「ケンウッド」レーベルで販売するモデルです。
本体色は、黒(XX KH-BIZ70T-B)と白(XX KH-BIZ70T-W)です。
こちらも、Amazon直販モデルのみ、末尾に「A」が付きますが、性能は同じです。
ドライバーは、6mm口径の製品で、重さも含めて1つ上でみた製品と同じです。
発売時期を考えても「兄弟機」と言えますが、そちらと違い「ビジネス用」です。
こちらは、マイク通話利用時の利便性を高めたモデルです。
片耳だけで利用できるほか、待ち受けが2箇所できる「マルチポイント」対応です。
音質面では、本機は「ノーマル」・「ベース」・「クリア」と2種のサウンドモードを持ちます。
その部分では、ビクターとXXシリーズの中間的な属性とも言えますが、際だった個性がないというのが正解かと思います。
ゲーム用の低遅延モードは本機も搭載で、際立った個性はないが、「なんでもできる」系にした、マルチロール機に思えます。
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【2022年発売】赤は、HA-XC62T-R
28・ JVC ケンウッド XX HA-XC62T-B
¥8,629 楽天市場 (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:7時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX55
重さ:4.4g×2
第2に、HA-XC62T-Bです。
やはりケンウッドレーベルで、1つ上の機種と似た形状です。
ただ、こちらは、上位機とおなじIP55等級の防水防塵等級が付きます。
防水等級(IPX5)だけつく機種ならばありますが、防塵等級(IPX5)も合わせて付くのは割と珍しく「タフ」です。
そのかわり、先述のマイクの工夫ほか、ノイキャンが省略になる点が注意点です。
【2025年発売】HA-A11T後継機
29・ JVC Victor HA-A22T
¥9,000 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC Apt-X
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:9時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク
防水性能:IPX5
重さ:4.5g×2
HA-A22Tは、日本のJVCが発売する、完全ワイヤレスイヤホンの入門機です。
本体色は、ブラック(HA-A22T-B)・アイスブルー( HA-A22T-A)・ホワイト(HA-A21T-W)・モカ(HA-A22T-T)とパープル(HA-A22T-V)の5色です。
透明感(シアーデザイン)のトレンドをふまえた外観です。
Victorブランドなので「Victor犬」の目立つロゴもあります。
重量は、片側につき、4.5gです。
ショートスティック形状であり、軽量です。
イヤーピースは、XS・S・M・Lの各サイズ2個ずつ添付されます。
ドライバーは、6mmです。
スタンダードな製品と考えるとちょっと大きめで、ポイントです。
サイズでここで妥協しないために、この形状にしたのでしょう。
音質傾向は、他機と同じで、中音域の聞きやすさを重視する方向性です。
Bluetooth無線は、SBCとAACです。
ハイレゾは対応しません。ゲーム向きの低遅延モードはあります。
接続安定性の面では、Bluetooth 5.4に対応します。
問題ないです。
ノイズキャンセリングは、1マイク式です。
あるだけ良いですが、そこまで高度ではないです。
連続再生時間は、ステレオで9時間です。
長めですが、ノイキャン非対応なので、普通この程度でしょう。
ケースからも17時間分の充電が可能です。
防水性も、IPX4相当です。
雨でも問題ないですが、日常防水程度で、高度ではないです。
アークサポーターなどはないので、ジョギングなどでは安定しないでしょう。
マイクは、搭載です。
外音取り込みモードは付属です。本体を1秒タップすれば、外音が聴けます。
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以上、 JVC HA-A20Tの搭載でした。
信頼のできる音響専門メーカーの製品としては、格安なのが「売り」です。
ノイキャンや、音質についての期待値は、正直「価格なり」ではありますが、大手の音響ブランドの入門機だけで言えば、ターゲット層がはっきりしている入門機としては、バランスが良いです。
外観で選ぶ機種ではありますが、ドライバーサイズも問題ないので(XXシリーズのような重低音を求めるのでないならば)1万円前後の製品として、選択肢の1つになりそうです。
次回につづく!
完全ワイヤレスイヤホンのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は音楽用の完全ワイヤレスイヤホンの比較の2回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ「続き」ます。
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較(3)
3-1:JBL〈米国〉
3-2:ANKER 〈米国〉
4・完全ワイヤレスイヤホンの比較(4)
4-1:Beats〈米国〉
4-2:ヤマハ〈日本〉
4-3:SHURE〈米国〉
4-4:Bang&Olufsen〈北欧〉
4-5:Noble Audio〈米国〉
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
5-1:AVIOT〈日本〉
5-2:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)
6-1:Amazon 〈米国〉
6-2:Google 〈米国〉
6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
6-4:DENON〈日本〉
6-5:AKG〈オーストリア〉
6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
=予算別・目的別のおすすめの提案【結論】
次回の3回目記事(こちら)では、共に米国系となる、JBLとアンカーの製品をみていきます。
音質の良さ ★★★★★
ノイズキャンセル ★★★★★
ハイレゾ再生 ★★★★★
立体音響 ★★★★★
軽さ ★★★★★
防水性 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、最終回の結論編(こちら)では、今回紹介した「全製品」から、予算別・目的別に、最終的なAtlasのおすすめ機種!を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
3回目記事は→こちら