1回目記事からの続きです→こちら
4-1・東芝の有機ELテレビの比較
4回目記事のトップバッターは、TVSレグザ(東芝)の有機ELテレビです。
同社は、どちらかというと液晶テレビのほうでプレゼンスがありますが、高度な画像補正技術を活かして、有機ELも頑張っています。
1・有機ELテレビの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:パナソニック
3・ 有機ELテレビの比較 (2)
2-1:ソニー
2-2:シャープ
3・ 有機ELテレビの比較 (3)
3-1:LGエレクトロニクス
4・ 有機ELテレビの比較(4)
4-1:レグザ(東芝)
4-2:ハイセンス
5・ 有機ELテレビの比較(5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」の説明に沿いながら、各機をみていきます。
---
なお、以下では、いつものように、Atlasのおすすめできるポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で書きます。
【2022年6月発売】
【48インチ】(放熱プレートなし)
79・東芝 REGZA 48X8900L
¥137,400 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
【55インチ】
80・東芝 REGZA 55X8900L
¥142,891 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
【65インチ】
81・東芝 REGZA 65X8900L
¥224,400 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
レグザのX8900Lシリーズは、同社の有機ELテレビの入門機です。
パネルは、LGのOLED(Gen 2)です。
もっともオーソドックスで他社の入門機でも採用しています。
同社の場合も、異なる方針をとるLGを除く他企業と同じで、バックパネルに放熱プレートを独自に挿入して独自改良をなしています。
温度センサーの工夫はないですが、熱による画質への影響は低まりますし、画質に好影響を与えるでしょう。
ただし、48インチは放熱プレートを未装備です。
サイズ的に発熱量が少ないので不要とも言えなくもないです。ただ、やはり、画面が小さいことによるスペース的な問題が大きいと思います。他社と同じです。
そのほか、表面パネルに独自の低反射加工があるのもワンポイントです。
一方、パナソニック・シャープなどは、パネルに独自の「味付け」をするため、温度センサーなり、色域調整のための回路なりを独自装備させていました。
本機は、その部分の機能性はないです。
ただ、次に見る「売り」の画像エンジンに由来する補正で個性を付けるスタイルと言えます。
例えば、パネルの広色域化の部分では、「カラーリマスター(3次元カラーリマスター)処理で、階調を整えています。有機ELの場合、白の光線表現が重要なので、その部分の処理を強調しています。
画像エンジンは、レグザエンジンZRTIを搭載します。
レグザの特長と言えるのがクラウドAI高画質テクノロジーです。
ネット経由で視聴中の番組ジャンル情報を取得し、上図の諸データを適切に調整します。
他社に対する独自性で、レグザの画質の良い理由の1つです。
他社機の場合、TV映像の情報を、記憶されたプログラム(またはAI)で処理するだけです。レグザは、映像情報だけでなく、クラウドで視聴中の番組情報も参考にして処理するので、この部分で精度が期待できます。
伝統的に、同社は画像エンジンについて「最もこだわる」メーカーですが、本機もこの部分で特長があります。
そのほか、映像処理の部分で特徴的な機能を上げておきます。
第1に、美肌フェイストーンZRU(旧名:ナチュラル美肌トーン)」です。
他社にも似た機能がありますが、同社は伝統的に肌色にこだわった開発です。
レグザは、日本だけの展開なので、そのあたりの「ガラバゴス」性を感じます。
第2に、ネット動画ビューティZRTです。
ネット動画のノイズ除去に注目した高画質化のための処理です。
ただ、この部分は、レグザはこの後の世代で、圧縮画像特有のバウンディングノイズの低減に対応しますが、22年発売の本機は非対応です。
第3に、地デジAIビューティZRUです。
4Kにアップスケーリングする際の画質強化技術としてまとめられます。
先ほどのクラウド情報ほか、AIに深層学習させたデータなどを利用して、超解像処理や、ノイズ抑制などを行います。
一方、このグレードだと、オブジェクト検出で、前景と背景を分けてAIに処理するような解析は非対応です。
--
結論的にいえば、東芝のエンジン処理は定評がありますが、22年発売で、入門機である本機は「そこそこ」といった感じです。
画質の自動調整も、対応です(おまかせAIピクチャーZRII)
コンテンツの内容をみて、ジャンルに合わせて調整します。
他社でもみましたが、本機は環境光センサーを内蔵するので、部屋の明るさと、照明色が把握できます。それと、先述の映像情報を付け合わせて、画質を自動調整できます(おまかせAIピクチャー)
このブログにも【LEDシーリングライトの比較記事】がありますが、最近は、調色できるのが普通なので、良い機能です。
実際この機能はレグザが先行しましたが、後から各社も取り入れはじめています。
HDR規格(HDR10)にはこちらも対応します。
データベースと照合しつつ輝度を調整するアドバンスドHDR復元やコントラスト制御をするHDRリアライザーなど、多彩な技術が網羅されます。
前者の機能性は、標準画質のコンテンツにも有効です。機能は、HDRオプティマイザーと総称されます。
倍速パネルは、搭載で「2倍速」です。
同社の旧機種は、「黒映像挿入」(インパルスモーションモード)での疑似的な手法でしたが、この世代は、他社同様パネルだけで対応します。
スピーカーは、東芝は、総合72Wという強力な構成です。
本機の場合、総計6基のスピーカーユニットです。
左右それぞれに2基のフルレンジウーハーと、高音域用に1基のツイーターを装備します。
それに、重低音を出すため、パッシブラジエータ2基が備わる形です。パッシブラジエーターは、電磁ユニットがないコーン部分だけのスピーカーで、ウーハーのサポートをするユニットです。
配置的に、人の声を聞き取りやすいので、ニュースやドラマなども聞きやすいでしょう。
加えて、LG同様に、コンテンツに合わせて自動で、音声モードを最適化できる「おまかせサウンド」も搭載です。
ただ、東芝は、クラウドからジャンル情報を引っ張れる点で精度は高いです。
一方、立体音響を再現できるドルビーアトモスは東芝も対応ですが、上方向へのハイトスピーカーはないです。
システムとしては、2.1chですし、過度には強調できません。
録画機能は、別売の外付けHDDを増設することで、対応です。
録画の使い勝手の部分では、レグザはかなり充実します。
ジャンルや時間帯などのテーマを設定することで「おまかせ」で録画してくれる「みるコレ」機能は、とくに力を入れて宣伝します。
また、録画した番組だけで、「専用の番組表」が自動生成されるため、使い勝手が良いです。同社が昔から保っていた、タイムシフト技術の進化形でしょう。
簡単に連ドラが予約できる機能や、自動のチャプター分割(マジックチャプター)など、使い勝手は他社と比べても良いです。
そのほか、タイパ重視の方に便利な「早見」機能など、TVの域を超えて使えます。
4Kチューナーは、搭載です。
チューナー数は2つなので、裏番組も録画も可能です。
映像配信サービスは、自社方式の独自のシステムです。
コンテンツは、YouTube・Netflix・Amazon Video・DAZNなどメジャーなサービスは対応です。
他社テレビは、Google TVやFire TV(Amazon)など大手のシステムを内装する場合も多いです。それらは、自由にアプリ(視聴アプリ・ゲームなど)の入替ができる部分で便利です。
比較する場合、アプリ式ではないレグザは強いとも言えない部分はあります。
ただ、映像配信サービスは、このブログの【STB機器の比較記事】で紹介したような、他社製端末を導入しても、十分な使い勝手が得られると言えます。
TVへの「全部入り」は魅力です。
ただ、個人的にはこうした外部機器を導入するのも良いと思っています。
最適化された専用リモコンのほうが実際操作性が良いのと、STB機器の進化は速いので、大手のシステムを内蔵するTVを優先して買っても、そのうち速度に満足いかなくなり、途中で買うことになるだろうからです。
音声アシスタントサービスは、Amazon Alexa・Google Assistantに公式対応します。
【Amazon Echoの比較記事】で書いたような対応スピーカーを購入した場合、Wi-Fi経由で、テレビの入/切、ボリューム、チャンネルなどの操作が音声にて可能です。
一方、付属リモコンボタンを押しての音声操作は独自の「レグザボイス」なので、テレビ操作を超えての情報取得は無理です。
HFR(ハイフレームレート)は、4K/120Hz (4K/120p)をフォローします。
PS5など次世代ゲーム機に関係ある規格で、あると「なめらかな動き」が楽しめます。
HDMI 2.1規格、eARC・ALLM・eARCにもしっかり対応します。
FPSゲームなどでは、カクツキを減らす、VRR(バリアブル・リフレッシュ・レート)と、自動的に遅延時間を短縮するALLM設定もファームウェア更新でフォローです。
少し特殊な話なので、フレームレートに興味ある方は、このブログの(PC用)【ゲーミングモニターの比較】のほうで書いた話を参考にしていただければと思います。
---
以上、東芝のX8900Lシリーズシリーズの紹介でした。
パネル面で独自の対策がある上で、東芝ではお馴染みのクラウドを利用した画像エンジンによる高度な解析が、基本性能を底上げしています。
一方、AI技術や、環境光センサーを利用した画像処理はなされますが、各社とも23年機以降で、AI処理を積極的にアップグレードしてきたので、差は確かに縮まりました。
ただ、パネル自体に放熱プレートなどの工夫がある製品としては、割と安めであり、また、性能もまとまっているので、選べる機種の1つに思います。
【2024年7月発売】(後継機あり)
【55インチ】
82・ 東芝 REGZA 55X9900N
¥281,990 楽天市場 (4/12執筆時)
【65インチ】
83・ 東芝 REGZA 65X9900N
¥384,000 楽天市場 (4/12執筆時)
【77インチ】
84・ 東芝 REGZA 77X9900N
¥528,000 楽天市場 (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED EVO gen4
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
レグザのX9900Nシリーズは、同社の有機ELテレビの2024年の最上位機です。
2025の後継機も出ていますが、そちらはあとで別に解説します。
パネルは、「新開発マイクロレンズアレイ有機ELパネル」というリリースです。
この場合「選び方の基本」で書いたように、LGの第3世代か、第4世代ということになりますが、特定できませんでした。
ただ、2025年に後ほど見る後継機のカタログにて発表された、従来機の「輝度1.3倍」という説明をふまえる場合、本機は、24年登場のOLED EVO gen4だったという理解でよいかなと思います。
レグザは、2023年に昨年第3世代を出していなかったので、旧機(gen2)よりだいぶ明るくなりました。「日中対応」といえる水準でしょう。
パネルの工夫は、日本独自展開のレグザだけあって「濃い」です。
まず、表面は低反射ARコートの言及があります。
パナソニックの上位機にはない工夫です。
バックパネルの放熱対策は、3層ハイブリッド高冷却システムです。
性質の異なる3層のアルミをプレスしたアルミプレートになります。
パナソニックもこの世代のパネルだと「放熱シート」加えた2重構造でしたが、理由は同じで、第3世代以降のLGパネルが使う、集光レンズの持つ熱対策です。
レグザの場合、パネル部分5.5cmと、かなり薄めにである部分もワンポイントかなと思います。ただ、温度センサーをパネル背面に入れる工夫は引き続きないです。
映像信号から推定できる部分はあるでしょうが、この部分は、装備があるパナソニック・シャープ・ソニー上位機のほうが精度は出そうです。
画像エンジンは、上位のレグザエンジン ZRα(24年新エンジン)です。
機能面で言えば「フレーム間処理」を伴う超解像処理や、クラウドを利用した高画質化など、下位機種で魅力的だった機能は網羅します。
東芝の場合、このグレードは、複雑で複合的な超解像処理を行います。
第1に、地デジAIビューティPROです。
フルHDクラスの映像を4Kにアップスケーリングするための処理技術全体を意味します。
細かく見る場合、超解像処理が高度で、フレーム間処理です。
地デジの場合、前後合わせて5フレーム見て補正します。一般的に言って、他社の超解像処理は、1フレームのみの参照(フレーム内処理)で、ここは昔からの東芝の売りです。
その上で、画像バンクを深層学習させた、AIで処理していくのが新しい部分と言えます。
第2に、3段階超解像です。
「地デジAIビューティPRO」機能を構成する処理の1つで、アップスケーリング処理の際に使われます。
アップスケーリング時、繰り返し3回の解析を行って処理していることを意味します。
第3に、絵柄解析 再構成型超解像です。
やはり、アップスケーリング処理をする際に使われる技術1つです。
1フレーム内超解像処理の1つで、画像を画素単位でエリアごと解析して詳細感を高めるものです。
第4に、自己合同性型超解像技術です。
周囲の似た色の部分(画像)を重ねる形で詳細感を高めます。
とくに字幕などを滑らかにする効果があります(新マルチアングル自己合同性超解像)。
この部分は、文字部分やロゴ部分のノイズ処理技術(ロゴ検出モスキートNR)も使って処理します。
第5に、AI ナチュラルフォーカステクノロジーProです。
オブジェクト検出で背景と被写体を区別すことで立体感を高める技術です。
AI技術の発展で、各社とも最近は、前景と背景がしっかり区別できるようになっています。
各社ともこの技術をどのように活かすに個性があります。
レグザの場合、基本となる立体感の強調だけでなく、人間の肌の肌感やなめらかさを出すための処理にも使うのが、「らしい」と思います。
第6に、AI ナチュラルフェイストーンProです。
レグザが入門機からこだわる「美肌」にかかわる最新技術です。
AIの深層学習の成果を使いつつ、顔の検出精度を上げ、適切に肌色を補正するというものです。1つ上の技術を保管するものです。
第7に、アニメビューティPROです。
顔検出機能応用です。画像圧縮時などに生じるバウンディングノイズ(階調ムラのシマシマ)を抑えつつ、先述の顔検出を応用して、顔をクッキリ表示させるというものです。
バウンディングノイズの除去は、ネット動画の再生にも有効です。
--
結論的にいえば、新しいAI技術を取り入れながら、伝統的に進化させてきた超解像処理などの独自技術を、コンテンツに応じて、適切に組み合わせるのが、レグザの最上位機の個性であり「売り」です。
超解像処理は「差がない」という意見もあります。
しかし、実際、東芝のテレビが専門誌などで評価を受けるのは、高性能エンジンを採用する上で、ハード・ソフト的な処理技術の開発に注力しているからだと言えます。
そのほか、広色域化にかかわる部分で、64色軸の制御になる部分や、エリア後との黒つぶれ白飛びを抑える「ローカルコントラスト復元」、モスキートノイズを減らす「絵柄構造適応型MPEG-NR」ほか、広色域化・ノイズ低減の部分でも高度です。
画質の自動調整は、AIコンテンツ判別も、最上位機の固有機能です。
先述のように、同社の製品は番組情報をクラウド(クラウドAI高画質テクノロジー)からコンテンツの種類の情報取得します。
ただ、ネット動画や録画機器からHDMIで入ったコンテンツには対応できないため、この機能があります。ディープラーニング技術を使ったものでしょう。
また、コンテンツの種類を判別した上で、いくつかの特定のシーンの判別もできます(AIシーン高画質PRO)。
現状だと、夜景、花火・星空、リング競技、サッカー/ゴルフは、判別が付くようです。
AIオートモードにして、そうしたシーンを察知した場合、最適な画質調整が施されることになります。
AI学習とビッグデータ活用技術の進化で、最近はこの手の映像分析が年々高度化しています。ちなみに、どのシーンをAIに学習させたかは、やはりメーカー間で個性があります。
このほか下位シリーズと同じで、照明色までわかる、環境光センサーも付属なので、部屋の状況に応じた調整ができます。
さらに、画質補正の部分での最大の見どころは、「ミリ波レーダー」の搭載です。
機能名は「レグザセンシング」としてまとめられます。
画質面では、レーダーで、複数の視聴者の位置が把握できるため、それに応じた画質処理を同時にします。「ミリ波レーダー高画質」という機能名です。
この仕組みは、画面付きスマートスピーカーなどには使用例がありますが、テレビだと初めてかと思います。
倍速液晶は、4K液晶倍速パネルです。
録画機能は、「全録」対応のタイムシフト機とです。
別売の外付けHDDの大きさに応じて、地上波デジタル放送最大6チャンネルを自動で録画し、「過去番組表」から「過去数日分の番組」を振り返って見ることができます。(通常録画も可能)
チューナー数は、4Kチューナー2基ほか、地デジ用を9基、BS/CS用を3基搭載し、同時録画に対応するようにしています。
本機は、合計2台までハードディスクを取り付けられます。
6チャンネルを24時間録画すると、4TBのHDDで3日間です。
時間やチャンネルを限定すれば、1週間分も余裕です。
【2024年発売・タイムシフト対応】
【HDDタイプ:4TB】(3TB・6TBもあり)
・IODATA AVHD-AS4/E
¥20,980〜 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
【SSDタイプ:1TB】(2TBもあり)
・ IODATA AVSSD-RS1
¥19,032〜 Amazon.co.jp (4/11執筆時)
なお、24時間(ほぼ)常時稼動になるタイムシフト録画を運用する場合、タイムシフト機に対応表明のあるストレージを選ぶのが無難です。
容量・コスパ・設置台数を重視する場合は外付けHDD型、設置性を重視する場合、超小型のSSD型があります。PC周辺機器メーカーのアイオーデータが積極的に出します。
1・外付けHDDの比較記事
2・ポータブルSSDの比較記事
3・東芝ブルーレイレコーダーの比較
興味のある方は、後ほど、以上の記事で、対応機をご覧ください。
映像配信サービスは、(GoogleTVなどではなく)本機も独自の仕組みですが、主要なサブスクには対応できます。
スピーカーは、リアルで、5.1.2chです。
アンプは、55型は170W、66型は180Wとかなり強力です(重低音立体音響システム XIS)。77型は90W(総計10基)ですが、これは、外部増設する人が多いからかと思います。
構成は、トップとサイドに総計12基、メインは2ウェイ式のメインスピーカーが総計4基に加えて、2WAYのセンタースピーカー(スクリーンスピピーカー)2基と、低音用の30Wのウーファー1基で総計18基です。
55型はトップスピーカーだけ、フルレンジ構成でスピーカーが14基となりますが、問題ないです。
センターのスクリーンスピーカーは、このグレードのみの搭載です。
従来の東芝の内蔵スピーカーは、センターが少し弱く、例えばセリフの聞きとりがさほど得意とも言えなかったので、その部分を強化するための構成といえます。
ハイトスピーカーがあるので、Dolby Atmosはリアルに対応できます。
また、ステレオ音源なども、本機はプロセッサによる再計算で、バーチャルで3D立体音響にする機能もあります(レグザイマーシブサウンド360 PRO)
リアルサラウンドのチャンネル構成は不明ですが、トップトゥイーターがあるので、ドルビーアトモスは、対応水準と言えそうです。
また、サイドスピーカーもありますし、この構成ならば【サウンドバーの比較】でみた製品でいえば、少なくとも5万円クラスでないと改善効果は、見込めないといえるランクでしょう。割と良いです。
一方、心配になるのは、普通のニュースなどの聞きとりです。
ただ、2ch再生にも配慮されたシステムある上で、クリア音声など、中音域(人の声)を強化したモードもありますし、心配なさそうです。
下位機同様、「おまかせAIサウンド」もあるので、あまり意識せずとも、視聴コンテンツに合わせた適切な再生がなされます。
サイドスピーカーもありますし、この構成ならば【サウンドバーの比較】でみた製品でいえば、少なくとも5万円クラスでないと改善効果は、見込めないといえるランクでしょう。
割と良いです。
また、先述のレーダーは音にも効果を発揮するので、「ミリ波レーダー高音質」にもなり、視聴者の位置により、位相を調整するので、ステレオ感が得やすいでしょう。
接続端子は、eARC・4K/120Pともに対応です。VRR・ALLMも対応です。
下位シリーズと同じで、本機も、AMD FreeSync Premium対応なので、ゲーム用PCモニターとしても評価できる水準です。
---
以上、レグザのX9900Nシリーズの紹介でした。
画像エンジン(画像補正)の部分だけで言えば、有機ELでは最も高度で工夫を凝らした製品と言えます。
特に、超解像処理は巧みなので、4K解像度ではない、地デジ・BS・CSを含む従来放送の画質は高く評価できます。
その上で、新方式の冷却対策を施した新世代のパネルを装備したことで、隙が無いモデルになりました。本体も薄めでスタイリッシュに設置できそうです。
最終的なおすすめは最後に改めて考えますが、地デジやネット動画などの補整機能は、かなり強力なので、(HDR対応コンテンツなどではなく)普通の画質のコンテンツを高水準に見たい場合、レグザは特に良さそうです。
ーー
なお、東芝は、上位機の旧機がいくつか残ります。
順番にみておきます。
【2023年4月発売】
【55インチ】
85・ 東芝 REGZA 55X9900M
¥246,967 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
【65インチ】
86・ 東芝 REGZA 65X9900M
¥316,160 楽天市場 (4/12執筆時)
【77インチ】
87・ 東芝 REGZA 77X9900M
¥523,280 楽天市場 (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED EVO gen2
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
第1に、X9900Mシリーズです。
レグザの、ハイエンドの1世代前となるものです。
パネルは、ただ、1世代前のOLED EVO gen2です。
これでもピーク輝度は1300ニトですが、2100ニトの上位機には及ばないと言えます。
日中対応の場合、遮光対策は必要でしょう。
放熱プレートは、旧世代の工夫ですが、本機も工夫があります。
一方、インナープレートでの放熱の工夫はありますが、温度センサーなどによる逐次的な温度管理の言及はないです。
画像エンジンは、レグザエンジン ZRαです(23年版)。
機能面は、ほぼ新機種と同じです。
唯一、画質の自動調整の部分で、AIシーン高画質PROに非対応です。
つまり、コンテンツの種類までは判定するが、シーン(花火・サッカー・ゴルフなど)までは 判定できないと言えます。
先述のように、AI学習によるコンテンツ学習は進化が速いので、今後5年間で言えば、この部分は、毎年革新されていくように思います。
このほか、「ミリ波レーダー」などをふくめて、新旧で大きく変わる部分はないです。
スピーカーは、パネルサイズにかかわらず総合90Wです(重低音立体音響システムZHD)。
同じく、5.1.2chですが、スピーカーは総合11基ですし、上位機に及びません。
また、先述の、レグザイマーシブサウンド360 PROは非対応で、ステレオ音源の3D立体音響化はできません。
---
結論的にいえば、値段にもよりますが、パネル・映像補正・スピーカーと、大事な3点で、新機種とは差があるように思えます。
現状で新機種とは価格差はあまりないので選べないですが、買われる際、セールなどで十分な値段差があれば、こちらも選択肢にできるでしょう。
実際、映像エンジン周りも、超解像処理やミリ波レーダーなど革新的な部分は、この世代にもある上で、スピーカーも、現在価格からすれば豪華です。映像美を得るための必要なパネルの工夫もしっかりあります。
パネルの世代的にピーク輝度が低めなので、部屋の遮光対策は必要な部分が問題ないならば、選んでも良いでしょう。
ーーー
【2022年6月発売】
【55インチ】
88・ 東芝 REGZA 55X9900L
¥204,000 楽天市場 (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED EVO gen2
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
第2に、X9900Lシリーズです。
2世代前の旧機種にあたるものです。
55インチのみ僅かに在庫が残ります。
パネルは、本機もOLED EVO gen2です。
ただ、先述のアルゴ処理部分の違いで、実際の輝度はやや落ちるということにはなります。
画質調整は、背景と人物を分けて識別するAI ナチュラルフォーカステクノロジーがありません。先述の「アニメ顔」の部分も、2023年機からです。
あとは、画質の自動調整の部分で、AIコンテンツ判別が対応できません。
ネット動画などの画質にかかわる部分で、未調整の際の画質差はあるでしょう。
音質面・画質面では、先述の「ミリ波レーダー」も未搭載です。
ここが一番大きいかもしれません。
あとは、若干スピーカー構成が違うのが目に付く程度です。
エンジンも、レグザエンジン ZRαでおなじです。
--
結論的にいえば、値段差の割に、機能差は大きいです。
ただ、在庫はもう尽きていそうで、すでに爆発的に安くなることもない気がするので、選択肢にはならないかと思います。
ーーー
【2021年6月発売】(生産完了)
【65インチ】
89・ 東芝 REGZA 65X9400S
¥446,000 楽天市場 (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
第3に、9400Sシリーズです。
3世代前の最上位機で、一部サイズのみ残ります。
パネルは、ただOLED (gen2)ですし、補正部分も、ミリ波レーダーなどの新技術が未搭載です。
超解像処理の部分は新機種並ですが、オブジェクト検出による処理をしない世代なので、だいぶ差があります。
やはり、今だと選択肢にしにくいでしょう。
【2025年4月発売予定】(加筆予定)
【55インチ】
90・ 東芝 REGZA 55X9900R
¥484,000 楽天市場 (4/12執筆時)
【65インチ】
91・ 東芝 REGZA 65X9900R
¥638,000 楽天市場 (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED EVO gen5
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式
フレームレート: 4K/120P
新4K放送チューナー:搭載(2)
レグザのX9900Rシリーズは、同社の2025年の最上位機です。
パネルは、「新開発 高輝度広色域 RGB4スタック有機ELパネル」という名前です。
冒頭の「選び方の基本」で書いたLGの最新第5世代で「確定」です。
そちらで書いたように、ピーク輝度は、約4000ニト、色域も、DCI-P3 99.5%と、歴代最高です。
その上で、低消費電力のパネルのため、13%ほど省エネで、年間2,500円ほど光熱費が安くなります。言い換えれば、低発熱ということですし、画質も向上するでしょう
バックパネルの放熱対策は、ハイブリッドアルミ高冷却システムです。
旧機とことなり、層数の説明はないです。
ただ、先述のように、この世代のLGパネルは、発熱しにくいので、これで良いという判断かと思います。
画像エンジンは、旧機と同じレグザエンジン ZRαです。
画質向上機能は、したがって旧機とそこまで変わりません。
AI超解像PROが、唯一、初言及された機能性です。
主に地デジなどの低解像コンテンツに有効な超解像処理の1つです。
AIによる絵柄解析技術を利用しますが、元映像の絵柄の各部分の画質の善し悪し(精細さ)を解析し、補正するのか、復元するのか、適切に判断する技術です。
ノイズ処理に関係する部分です。
画質の自動調整も、ほぼ同じです。
ただ、AIシーン判別において、従来からの夜景、花火・星空、リング競技、サッカー/ゴルフに加えて、ライブシーンの認識ができるようになりました。
あとは、先ほどみた旧機とだいたい同じです。
革新的な「ミリ波レーダー」もありますし、環境光センサーもありますので。
倍速パネルは、しっかり、4K2倍速パネルです。
録画機能は、本機も「全録」対応のタイムシフト機です。
旧機と変わらないので、1つ上の機種でした説明を見ていただければと思います。
映像配信サービスは、本機も(GoogleTVなどではなく)本機も独自の仕組みですが、主要なサブスクには対応できます。
音声アシスタントサービスは、Amazon系・Google系双方とも対応で、下位シリーズと同じ対応幅です。
ただ、リモコンの「ボイス」ボタンを押した際、Googleの生成AI(Gemini)を呼び出し、対話型で、放送中の番組・録画した番組・未来番組・YouTubeなどのおすすめコンテンツを探して貰える機能が追加です(レグザAIボイスナビゲーター)
AI方式のポイントは、ネット上の情報とTV内に保存された録画情報と双方から、AIが分析する点です。
一方、ボイス機能を旧機同様Amazon Alexaに割り当てられるかは、調査中です。
発売後補足します。
スピーカーは、リアルで、5.1.2chです。
アンプは、55型は170W、66型は180Wと旧機と変わりません。
配置も同じですので、1つ上で書いた説明をご覧ください。
機能面でも、レグザイマーシブサウンド360 PROは対応しますし、旧機から落とされた機能性は見られません。
接続端子は、eARC・4K/120Pともに対応です。VRR・ALLMも対応です。
本機も、AMD FreeSync Premium対応なので、ゲーム用PCモニターとしても評価できる水準です。
あとは、新機種から、2画面表示対応になったのが目に付く違いです。
---
以上、レグザのX9900Rシリーズの紹介でした。
旧機と比べると、パネル世代部分以外は大きく違わない仕様です。
ただ、上で書いたように、輝度・色域・熱対策と相当大きな改善が見られたのも確かです。その部分で、旧機とは、「上位機」と「下位機」の関係と捉えた方が良いかと思います。
とはいえ(製品寿命の点でも)この値段をテレビにかけられる方は限られるでしょう。個人的には、新機種登場もあり値段が下がってきている、先ほどみた旧機にお買得感を感じます。
4-2・ハイセンスの有機ELテレビの比較
はじめに、中国のハイセンスの4Kテレビです。
TVS(東芝)と同系列ですが、企画自体は別に行っているようです。
なお、ハイセンスは、22年からは、日本のフラッグシップは液晶(mini-LED)だけなので、液晶は「在庫限り」です。
【2021年1月発売】(在庫限り)
【65インチ】
92・ハイセンス 65X8F
¥196,274 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
モニターパネル:OLED
倍速パネル:2倍速
ネット動画:自社方式(VIDAA)
フレームレート:4k/60p
新4K放送チューナー:搭載(1)
X8Fシリーズは、ハイセンスの有機ELテレビです。
パネルは、LGのOLED (gen2)です。
他社の格安機と同じです。
レグザなどと同じで、画質キープのための冷却プレートを挿入する工夫が見られます。
本機については、48インチも未搭載の記述はカタログにはないです。割と珍しいですので、ワンポイントでしょう。
画像エンジンは、NEOエンジンplus 2020を搭載します。
「レグザ」という名前はないですが、東芝(レグザ)との共同開発となります。
性能面でも、本機は「フレーム間処理」を伴う超解像処理をなします。
処理機能似ていて、先述の3段階超解像や、AIを利用するAIシーン別超解像処理も搭載です。
ただ、発売年の関係もありつつですが、ミリ波レーダーや、オブジェクト解析を伴う処理はもちろん非対応です。その上で、レグザと比べると、クラウドも利用しないものなので、必ずしもそれに並ぶとは言えません。
AI部分の処理が全盛になる前の世代のエンジンです。
画質の自動調整は、対応です。
一方、明るさセンサーは搭載ですが、環境光センサーではないので、照明色を考慮にいれた調整は不可です。
HDR規格(HDR10)は、対応します。
HDRコンテンツは、新4K衛星放送もHLG形式で対応します。
一方、通常画像のHDR画質へのアップコンバートには言及がないです。4Kアップコンバートのみ対応です。 そういった機能はこのテレビの場合、未対応です。
倍速パネルは、2倍速で搭載します。
その上で、ハイセンス独自の技術のSMR(スムースモーションレート)技術が使われます。
同社の液晶にも使われるフレーム間の補正技術です。
スピーカーは、72Wのスピーカーです。
他社の上位機並みの出力です。
ただ、配置的には、左右にそれぞれウーファー2つとトゥイーター1つという構成で、面白い工夫があるというわけではないです。
【2TB-8TB】
・エレコム ELD-QEN2020UBK
¥15,500〜 Amazon.co.jp (4/12執筆時)
録画機能は、他社同様に、外付ハードディスクの増設に対応できます。
トリプルチューナー搭載で、2番組録画にも対応する機種です。
シーキューボルトにも対応するため、対応するHDDならば、TVを買い替えた後も引き継げる仕様です。
新4K放送は、本機もチューナーを搭載です。
ただし、他社に比べると1基と少ないです。裏番組の録画はできません。
番組表は、この機種のもうひとつの見所です。
東芝吸収の効果が発揮され、電子番組表が非常に見やすくなっています。
ただし、4K番組表ではなく、普通のフルHDです。
ネット動画サービスは、ハイセンス系のOSであるVIDAAにて対応です。
Netflix・dTV・YouTube・DMM・ツタヤなどに対応します。
音声アシスタントサービスは、リモコン自体には搭載されません。
ただ、別に【スマートスピーカーの比較記事】で書いたGoogleアシスタントやAmazon Alexaを購入すれば、他社機同様に、家電操作に対応させることは可能です。
---
以上、ハイセンスのX8Fシリーズの紹介でした。
21年モデルなので、安いですが性能面で若干見劣りしてきた感じがあります。同社は、どちらかと言えば、4K液晶の方に力を入れていて、そちらのほうが見どころがあるように思います。
今回の結論
最新の有機ELテレビのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、有機ELテレビの比較の4回目記事でした。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
5・ 有機ELテレビの比較(5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
パネル品質 ★★★★★
画像エンジン ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
ネット動画 ★★★★★
番組表 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
次回、5回目記事(こちら)は、結論編です。
今回紹介した全製品からいつものように、目的別・用途別にAtlasのおすすめ機種をあげていきたいと思います。
5回目記事は→こちら!