1回目記事からの続きです→こちら
3-1・クリプトンのPCスピーカー
3回目記事のトップバッターは、日本のKRIPTONのPCスピーカーです。
メインは医療用映像機器の会社ですが、超高額のPCオーディオを日本で唯一販売する会社です。
1・PCスピーカーの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:CREATIVE〈シンガポール〉
1-3:Edifier 1〈香港〉
2・PCスピーカーの比較 (2)
2-1:Edifier 2〈香港〉
2-2:フォスター〈日本〉
2-3:オーディオテクニカ〈日本〉
2-4:JBL〈米国〉
3・PCスピーカーの比較 (3)
3-1:クリプトン〈日本〉
3-2:パイオニアDJ〈日本〉
3-3:Mackie〈米国〉
3-4:サンワサプライ〈日本〉
3-5:Razer〈米国〉
3-6:EVE AUDIO〈ドイツ〉
4・PCスピーカーの比較 (4)
4-1:ロジクール〈スイス〉
4-2:FiiO〈中国〉
4-3:SONY〈日本〉
4-4:Audioengine〈米国〉
4-5:その他
5・PCスピーカーの比較 (5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も1回目記事の冒頭(こちら)でみた「選び方の基本」に基づいて、今回も分析していきます。
ーー
また、今回も、Atlasのおすすめできるポイントについては赤字で、イマイチな部分については青字で書いていきます。
【2024年発売】KRIPTON KS-55Hyper後継機
42・クリプトン KRIPTON KS-55HG
¥129,800 同社直販 (6/19執筆時)
ハイレゾ:対応
スピーカー出力:35W×4
スピーカー:30mm+64mm
高音域:★★★★★ 60kHz
低音域:★★★★★ 70Hz
小音量:★★★★★
接続:USB Bluetooth アナログ 光
サイズ:幅10.9× 高さ15.9× 奥行20.3cm
KS-55HGは、クリンプトンが発売するPCオーディオです。
以前のKS-55Hyperの後継機で、Bluetoothコーデックの仕様の変更がありました。
初代から考えれば、ロングセラーな製品です。
直販限定の高級な「レアモデル」になります。
スピーカーの大きさは、幅10.9× 高さ15.9× 奥行20.3cmです。
本機の方が高価ではありますが、先ほどみた、米国のAudioengineの製品が、設置面サイズ面、本機の競合機と言えます。
PCとの接続は、デジタル方式が選べます。
USB-Aほか、光デジタルとアナログ(3.5mm)が選べます。
USB-DACは、最大192 kHz/24bitと、最新ではないですが、ハイレゾ音源に対応です。
定格出力は、総合140Wです。
Audioengine HD3は、RMS表記なので単純に比べられないですが、パワフルなのは間違いないことです。
アンプは、フルデジタルアンプ構成で、バイアンプ駆動のステレオ(35W×4)です。
スピーカーは、3cmのリングダイアフラム型ツィーターと、6cmのウーファーとの記載です。
いずれもTymphany社製です。
ネットワークは、Bluetooth 5.3を装備します。
ここも今回の新機種で更新されました。
コーデックは、SBC・AAC・Apt-Xほか、可変ビットレートのApt-X adaptiveに対応です。
その上で、ソニー系のLDACにも対応します。
最近クアルコムから、ハイレゾ対応の両コーデックに対応するSoc(CSR8675 QCC5124)が出たようなので、それか、類似するものかなにかを採用したようです。
USB DACやプレーヤーなどでも、このSOCを採用する機種がチラチラ出ています。
ボリューム調節は、調整用のリモコンが付属します。
−
以上、クリンプトンのKS-55HGの紹介でした。
堅実な構成で、音の作りも真面目な印象です。小音量での再生も問題ないです。ただ、ドライバーの口径とユニット構成から、低音域の音圧はサイズ相応には思えました。
その点で言えば、音楽(BGM)に向く機種ではあるが、映像コンテンツやゲームには少し課題がある機種かと思います。
ただ、そちらのニーズはもともと狙った機種ではないでしょう。価格は高いと言わざるを得ないですが、良い製品だと思いました。
ーー
【2023年発売】
43・クリプトン KRIPTON KS-33G
¥93,280 同社直販 (6/19執筆時)
44・クリプトン KRIPTON KS-11G
¥65,780 同社直販 (6/19執筆時)
ハイレゾ:対応
スピーカー出力:35W×2
スピーカー:64mm
高音域:★★★★★ 20kHz
低音域:★★★★★ 70Hz
小音量:★★★★★
接続:USB Bluetooth アナログ 光
サイズ:幅89× 高さ17.6× 奥行105cm
一方、同社からは、KS-33Gという安めの機種の販売もあります。
KS-11Gは、KS-33と同一サイズの製品です。
外装がアルミではない部分と(高級仕様の)オーディオケーブルが採用されない廉価版です。ただ、ウーファー素材や、内部構造など、それ以外の公開されるスペックは同じです。
音質面での違いはあるでしょうが、これはマニアックな「オーディオ沼領域」の話で「魔術」なので、一般人は、下位機で良いかと思います。
スピーカーは、フルレンジで、64mmのコンケーブ・メタルコーンです。
金属を利用するコーンは、独特の味があるので個人的に好きです。
一方、本機もハイレゾ機とされますが、スピーカー部分でハイレゾが鳴らしきれるかは、少し微妙です。周波数特性を見ても、20kHzとCD水準のスペックですので。
低音域も、やはり、(上位機以上に)ユニットサイズの限界はあるかと思います。
コーデックは、こちらも、SBC・AAC・Apt-Xほか、可変ビットレートのApt-X adaptiveに対応するBluetooth SOCです。
なお、Adaptiveについての、ビットレート上限の情報はこちらには書いてありません。
ーー
結論的にいえば、ハイレゾを聴くための目的で選ぶ機種ではないと言えます。
(BOSEのように)低音を膨らますような機種ではないので、低音も本体のサイズ感に相応しています。そう考えると、とくに、KS-33の値付けは少し高めでしょう。
ただ、このサイズの高級機としてプレゼンスがあったBOSEの上位機が「消えた(終売)」ので、その救済となる高級上位機として、なくならず続いて欲しい機種ではあります。
3-2・パイオニアDJのPCスピーカー
続いて、日本のパイオニア DJ(AlphaTheta)が販売するアクティブスピーカーです。
パイオニア(ONKYO)の方ではなく、2015年に分離したDJ部門の系統です。
ただ、音質的にはそちらの系統と同じ方向です。
【2021年発売】
45・パイオニア DJ DM-50D
45・パイオニア DJ DM-50D-W
¥25,312 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:対応
スピーカー出力:25W+25W
スピーカー:12.7cm+1.9cm
高音域:★★★☆☆
低音域:★★★★★
小音量:★★★☆☆
接続:アナログ(RCA 3.5mm)
サイズ:幅17.5 高さ26.2× 奥行25.7cm
DM-50D は、日本のパイオニア DJ(AlphaTheta)が販売するアクティブスピーカーです。
サイズは、幅17.5 高さ26.2× 奥行25.7cmです。
机に置けないことはないですが、かなり大きいです。
幅は17.5cmなのでノートPCとなら置けないことはないです。
しかし、モニター脇に置くスタンダードな配置だと、普通の机だと少し厳しいでしょう。
PCとの接続は、アナログ式です。
ただ、3.5mmステレオケーブルとRCAでの接続のほか、バランス接続に対応します。
定格出力は、総合50Wです。
DTM用の小型モニタースピーカーはこのくらいが平均でしょう。
スピーカーは、低音再生用のウーハーが12.7cmで、グラスファイバー製コーンです。
高音再生用のソフトフォーム型ツイーターが1.7cmです。バスレフ型です。
アンプ(D級)は、96kHzサンプリングDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)搭載です。
DSPはホームオーディオではなじみの薄い用語ですが、カーエレクトロに強いパイオニア系ということでしょう。
トゥイーターの周りは凹みがありますが、これは、高音域の広がりを補助する仕組みです。
音質は、やや大きめのユニットながら、帯域間での音ズレを防ぐことに主眼をおいた配置で、近接視聴時でもステレオ感を得やすいでしょう。
このほか、ノブの切替で、DJモードとプロダクションモードに切り替えられます。
小音量での再生は、ただし、得意ではないでしょう。
ボリューム調節は、フロントツマミで調整が可能です。
---
以上、パイオニア DJ のDM-50Dの紹介でした。
大きめですが、サイズ感が示す低音域は充実し、その部分で好印象なPCスピーカーです。
PCスピーカーとしては音圧部分を重視したい方が選択したら良い機種といえます。
【2021年発売】
【Bluetoothあり】白はDJ DM-40D-BT-W
46・パイオニア DJ DM-40D-BT
¥27,500 楽天市場 (6/19執筆時)
【Bluetoothなし】白はDM-40D-W
47・パイオニア DJ DM-40D
¥20,900 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
スピーカー出力:21W+21W
スピーカー:10.2cm+1.9cm
高音域:★★★☆☆ 30kHz
低音域:★★★★★ 20Hz
小音量:★★★☆☆
接続:Bluetooth アナログ
サイズ:幅14.6 高さ22.7× 奥行22.3cm
DM-40DBT も、日本のパイオニア DJ(AlphaTheta)が販売するアクティブスピーカーです。
こちらは、Bluetoothの有無で2系統あります。
スピーカーの大きさは、幅14.6 高さ22.7× 奥行22.3cmです。
先ほどの製品よりは加減があり、多少大きなモニターの横にもおけそうです。
PCとの接続は、こちらもアナログ式です。
ただ、3.5mmステレオケーブルとRCAでの接続に対応します。
ネットワークは、Bluetoothを搭載します。。
コーデックは、SBC・AAC・AptX・APTX LLと対応幅も新しめです。
とくに、低遅延のAPTX LLに対応する部分では、ゲーム用にワイヤレスで使いたいという場合のニーズに叶うでしょう。
定格出力は、総合42Wです。
スピーカーの直径は、低音再生用のウーハーが10.2cmで、上位機同様にグラスファイバー製コーンです。
高音再生用のソフトフォーム型ツイーターが1.7cmです。
音質は、本機も高音域は音の広がりを、低音域は迫力を重視した構成です。
ただ、強調するべきは、やはり、音圧表現力のある低音域で、この部分はかなりです。
パイオニアのある種伝統ですが、迫力はあります。
高音域も、スペック的には良いですが、(規格上)ハイレゾ水準に満たないです。
小音量での再生は、得意ではない機種です。
ボリューム調節は、フロントツマミで調整が可能です。
---
以上、パイオニア DJ のDM-40DBTの紹介でした。
基本的にはDTM・DJ用の製品ですが、サイズ感を含めて、普通にPCスピーカーとしても使えます。
ただ、音源と音量は選ぶ感じで、ある程度の音で鳴らす感じの使い方でないと真価を発揮しにくいでしょう。
製作ほか、ゲームや動画(映画)用には、割といい気がします。
3-3・マッキーのPC用スピーカー
続いて、アメリカのMACKIEのPC用スピーカーです。
【2020年発売】
【アナログのみ】
48・MACKIE マッキー CR3X
¥15,180 楽天市場 (6/19執筆時)
【Bluetooth対応】
49・MACKIE マッキー CR3XBT
¥(14,329) Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:25W+25W
スピーカー:7.6cm+1.9cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★☆ 70Hz
小音量:★★★☆☆
接続:Bluetooth アナログ
サイズ:幅14.0×高さ20.6×奥行18.0cm
CR3X は、MACKIEの販売するマルチメディア対応スピーカーです。
マッキーは、ミキサーなどスタジオの音響機器の会社で、音楽作成、DTM用のスピーカーという位置づけです。
大きさは、幅14.0×高さ20.6×奥行18.0cmです。
こちらも、幅が14cmを超えており、机におくと多少圧迫感があるかもしれません。
DTM用として、スピーカーが「主要な仕事」をすべき環境ならば、良いでしょう。
PCとの接続は、アナログ方式です。
付属のケーブルをPCのステレオミニジャックにつないで使います。
また、こちらの機種の場合は、アナログRCAケーブルにも対応します。
仕組み上面白いのは、アンプや電源が搭載される側のスピーカーを左右どちらでも選べる仕様である点です。このための切替スイッチがあります。
ネットワークは、CR3BTのみBluetooth 4.2に対応です。
ただ、Bluetooth5に対応せず、コーデックもSBCのみとなるため、PC殿接続用ではないでしょう。
アンプ出力は、総合50Wです。
DTM用の音楽専用機ということで、問題ないです。
スピーカーは、低音再生用のウーハーが7.6cm、高音再生用のツイーターが1.9cmです。
ウーハーは、ポリプロピレンコート、ツイーターは、ソフトシルクドームです。
小音量での再生は、音圧を重視した設計であるため、得意ではない仕様です。
ワンルームマンションなど、隣人がいる環境では、夜中に使わない方が良いでしょう。
ボリューム調節は、調整つまみが本体の表面にあるため、便利です。
---
以上、マッキーのCR3Xの紹介でした。
ホームスタジオを作ろうと考えている方向けの実用モデルでしょう。
ただ、「聴き疲れしやすい」仕様とも言えますので、ゲームなど普段使い用・長時間再生用に向いている機種ではないと言えます。
ーーー
【2020】【アナログのみ】
50・MACKIE マッキー CR4X
¥18,500 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
【2020】【Bluetooth対応】
50・MACKIE マッキー CR4XBT
¥19,800 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:25W+25W
スピーカー:10.2cm+1.9cm
接続:Bluetooth アナログ
サイズ:幅15.5×高さ22.5×奥行21.0cm
【2020】【アナログのみ】
51・MACKIE マッキー CR5X
¥19,800 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
【2020】【Bluetooth対応】
51・MACKIE マッキー CR5XBT
¥19,800 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:40W+40W
スピーカー:12.7cm+1.9cm
接続:Bluetooth アナログ
サイズ:幅17.5×高さ26.0×奥行235cm
なお、マッキーは、サイズ的に大きなモデルがいくつかあります。
これ以外にもCR8Xという上位機がありますが、幅は37.6cmです。机上向きとしては、こちらのCR5Xが一般的に限界でしょう。
むろんウーファーが大きい分、低音はでますが、やはり、普段使いというより、専門的です。
【2023年発売】
52・MACKIE CR2-X Bar PRO
¥18,500 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:25W+25W
スピーカー:70mm×2(推定)
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★☆ 58Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB・Bluetooth5.0 アナログ
サイズ:幅49.2×高さ12.4×奥行12.2cm
CR2-X Bar PRO は、MACKIEの販売するマルチメディア対応スピーカーです。
Creativeでもみたようなバータイプです。むろん、TV向けではなく、PC向けです。
大きさは、幅49.2×高さ12.4×奥行12.2cmです。
PC用の場合、背は低め、長さ短め、に設計されています。モニターの隙間の問題があるのと、近接視聴になるからです。
台座で、角度が調整されていて、リスニングポイントを最適化させています。
イルミネーションは調整できます。
PCとの接続は、基本、USBです。
背面端子の形状はUSB-Cですが、付属ケーブルのPC側はUSB-Aです。
ネットワークは、Bluetooth 5に対応です。
コーデックは説明がないのでSBCのみでしょう。
アンプ出力は、総合60Wです。
DTM用の音楽専用機ということで、問題ないです。
スピーカーは、2基のステレオです。
BMR(Balanced Mode Radiators)ドライバーです。
フラット形状であるのが特徴で、高音域〜低音域まで分離させずフルレンジで利用する場合に最適化されたものです。
この種のドライバーなら恐らく米国のTectonic Audio Labsのユニットでしょう。同社のTEBM65C20F-8で、7cmのドライバーになるかなと思います。
普通のドライバー(ウーファー)に比べ、低音域がやや出にくい傾向である一方、高音域が特徴的で、とくに広範囲に拡がる傾向にあるといえます。
とくに高音域で、ドライバーが前後のピストン運動ではなく、しなりながら小刻みに振動するため、「水面に石を投げた際の波」のように音が拡がるとされます。
いずれにしてもステレオ的なスイートスポットを作らず、前方180度全面に音を拡げることを目的としたものです。
「360度全方位」ではないですが、PC用スピーカーの場合、多くは、この仕様で(実際は)全方位といえるでしょう。
MACKIE CR6S-X
¥28,297 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
低音域は、先述のように、(ゲーム的な感じに)特にボリュームを上げる場合、BMRの特性的にサブウーファーで補い方が良いかと思います。
本機はサブウーファ出力はあるので、足りないようならば増設するような感じでも良いでしょう。
小音量での再生は、視聴できていないので、不定ですが、おそらく問題ないです。
ボリューム調節は、上方の静電式のタッチパネルを利用します。
---
以上、マッキーのCR2-X Bar PROの紹介でした。
ユニークなドライバーを採用するのが面白いです。このタイプのドライバーは初めて見ましたが、バータイプにはおそらく向くと思います。
従来的なステレオ感というより、360°サラウンドに近い聞こえ方になります。ただ、ドライバーの特性上、できれば、純正のサブウーファーがあるとより良いでしょう。欠点を補えると言えます。
ただ、あわせて買うと結構高くなってしまうのが難点ではあります。
ーー
【2023年発売】
53・MACKIE CR2-X CUBE
¥15,125 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:30W+30W
スピーカー:以下で説明
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★☆ 50Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB・Bluetooth5.0 アナログ
サイズ:幅11.9×高さ16.3×奥行15.2cm
このほか、同時期に発売されたCR2-X CUBEも、先述のBMRドライバーを利用した製品です。見た感じ光景も同じです。
こちらは、左右に分かれた普通のステレオです。
この形状で構わないならば、他機でも動かすことでリスニングポイントは調整できますし、BMR方式でなくても良い感じはあります。
その点で言えば、圧倒的に面白みがあるのは、バータイプです。
3-4・サンワのPC用スピーカー
続いて、日本のサンワサプライ(サンワダイレクト) のPC用スピーカーです。
日本のPC周辺機器メーカーとしては、一定数のPCスピーカーの展開があります。
【2021年発売】
54・サンワサプライ MM-SPU9BKN
¥7,545 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:12.8W+12.8W
スピーカー:7cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★☆☆☆ 85Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB
サイズ:幅90×奥行118×高さ150mm
MM-SPU9BK は、サンワサプライが販売するPCスピーカーです。
同社は音響メーカーではないので、本機は、基本的にPC周辺機器としての要素が濃いです。
大きさは、2機スピーカー部分がそれぞれ、W90×D118×H150mmです。
標準サイズですが、机において邪魔になりにくいサイズはキープします。
PCとの接続は、USB接続です。
PCからUSB電源供給だけでなく、USBで音源も転送するデジタル接続です。
総計25.6Wという出力を出せるのは、コンデンサに蓄電する仕組みをとるからです。
ただ、仕組み的にいってノイズが載りやすい弱点がありますので、利用時の利便性を優先していると思われます。
スピーカーは、7cmです。
背面にパッシブラジエータがあり、それでも低音を補う方式です。
ボリューム調節は、調整つまみが本体の前面にあります。
---
以上、サンワサプライのMM-SPU9BKの紹介でした。
十分なパワフルさがありつつ、(電源含めて)ケーブル1本でだけで済むという点で、珍しい機種です。
一方、本来的にはUSB接続は、デジタルでノイズ対に強いですが、本機については、先述のように電源を供給する仕組みがあるため、必ずしもそうではないと言えます。
増幅の仕組みがない下位機種(未試聴)についても、レビューではこの点の指摘が多いため、USBで音源と電源をダブルで供給するのは、音質的にはややアクロバティックなのだと思います。
ーーー
なお、サンワサプライからは、これ以外の製品もいくつかあります。
簡単に紹介しておきます。
【2023年発売】
【6W】(バスレフ型)
61・サンワサプライ MM-SPL19UBK
¥4,920 楽天市場 (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:18W+18W
スピーカー:7.8cm
接続:USB
サイズ:幅98×奥行97×高さ208mm
第1に、M-SPL19UBKです。
仕組みは先ほどの機種と同じです。
コンデンサ(PRAC回路)で、36Wにブーストする仕組みですので、ノイズや電源供給の安定性は、課題になりやすい仕組みです。
2WAY式に見えますが、上部はツイーターではなかう、バスレフポートのようです。
7.8cmという大きめのユニットを搭載するために、若干筐体からはみ出るような本体形状になります。音質面他、デザイン的にもやや主張過多に見えます。
ーーー
【2021年発売】
【5W】(密閉型)
55・サンワサプライ MM-SPU7BK
¥3,555 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:3W+3W
スピーカー:5.1cm
接続:USB
サイズ:幅67.5×奥行88×高さ101mm
※ MM-SPU10BKNのスペック
第2に、MM-SPU7BKです。
こちらも、USB給電のみで音が出ますが、増幅の仕組みがない製品です。
値段差はありますので単純には言えませんが、音圧という意味では「値段相応」と考えてください。
ユニットも、バスレフポートがない密閉型で、ウーファーも上位機とことなり砲弾型ではないです。
低音域は、とくに、上位機と差があります。
ーーー
【2021年発売】
【6W】(密閉型)
56・サンワサプライ MM-SPL18UBK
¥1,282 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
【3W】(密閉型)
56・サンワサプライ MM-SPU8BKN
¥3,680 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:3W+3W
スピーカー:5.1cm
接続:アナログ(RCA /3.5mm)
サイズ:幅62×奥行62×高さ142mm
※ MM-SPL18UBKのスペック
第3に、MM-SPL18UBKなどです。
サンワの場合、上位機は木製キャビネットですが、こちらはそうではなくなります。
値段やユニットサイズからしても、コスト優先でしょう。
なお、USBで電源を取りますが、音は、RCAでの伝送です。
ーーー
【2021年発売】
【6W】(パッシブラジエータ型)
57・サンワサプライ MM-SPL22UBK
¥4,149 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:3W+3W
スピーカー:5.1cm
接続:アナログ(RCA /3.5mm)
サイズ:幅85×奥行105×高さ140mm
第4に、MM-SPL18UBKです。
本機も、USBオーディオの仕様で、アンプ出力も総合6Wと同じです。
周波数帯域も、200Hz-16kHzです
ただ、左右とも両サイドにパッシブラジエータを合計4基装備しています。
電気的仕組みがないスピーカーユニットですが、共振振動はするため低音域が強化されます。
サイズ感に比して低温は出るでしょうが、スピーカーはあくまで1ユニットですし、音質自体は値段相応でしょう。外観デザイン的にも、やや違和感はあります。
ーーー
【2022年発売】
【6W】(バスレフ型)
58・サンワサプライ MM-SPUTC1BK
¥4,840 楽天市場 (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:3W+3W
スピーカー:5.1cm
接続:USB
サイズ:幅20.5×奥行3.6×高さ6.8mm
第5に、MM-SPUTC1BKです。
こちらは大画面ノートPCなどにクリップ固定するタイプです。
本機についても、USB給電で使えます。
幅が取れる利点を活かして、中心部にパッシブラジエータ(電源部分がないスピーカー)を装備して、低音を強調する仕組みです。
発想としては「面白い」です。
重さが304gですので、ノートPCのヒンジにそれなりの荷重がかかる部分と、スピーカーというものは、音を出す際に「振動」しているので、微振動がPCにどう影響するかが「読めない」のがネックです。
TVなどでは画面裏にスピーカーを置くタイプもあるので、過度に気にしなくても良い気もしますが、クリップで上部に固定した場合、どうなるかが、正直わからないです。
一方、デスクトップ型PCの下部で利用することも提案されますが、このパワーで、この置き方だと、音質部分で、ステレオ感は得にくいでしょう。
【2023年発売】
59・サンワサプライ 400-SP107
¥5,980 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:15W+15W
スピーカー:7.6cm+2.5cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★☆☆ 35Hz
小音量:★★★☆☆
接続:アナログ(RCA /3.5mm)
サイズ:幅110×奥行120×高200mm
400-SP107も、サンワサプライ(サンワダイレクト)が販売するPCスピーカーです。
大きさは、片側あたり、幅110×奥行120×高20mmです。
若干、背は高めですが、幅が狭い形状で、設置性は良いです。
ただし、幅広ではあるので、冒頭の「選び方の基本」で書いたように、事務机程度の机の幅(80cm)だと、若干厳しいでしょう。
PCとの接続は、こちらは普通にRCAのアナログ接続です。
スピーカーは、2ウェイのバスレフ型です。
ウーファーは7.6cmで、トゥイーターは2.5cmです。
価格を考えると、堅実ながら、割と良い構成に思えます。
一方、本機はトゥイーターが下部にあるという珍しい構成です。
縦置き設計でこの配置にした理由(思想)が、若干分からないのですが、なんとなく、(机ではなく)もともと、棚など、上に置くこと前提に設計した製品なような感はあります。
サンワダイレクト 100-VESA008
¥5,980 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
というのも、同社には、モニターのVESAマウントにスピーカー台を付けるという「荒業」なスタンドがあります。これとのセット利用を宣伝していましたし、このようにして使うことを前提にした設計なのかなと思いました。
このマウンターは、他社のスピーカーでも総荷重4kgまでなら付くようです。
サイズが合いそうならば良いかなと思います。むろん、不要な振動はするでしょうし、モニタ側にかかる荷重の影響も自己責任ではあります。
ボリューム調節は、調整つまみが本体の前面にあります。
---
以上、サンワサプライの00-SP107の紹介でした。
先述のようにトゥイーターの配置(の理由)が若干気になる製品です。ただ、先ほどのスタンドを利用するほか、机上棚などに奥ならば、(意外と)良いのかなと覆います。
逆に、普通に机上に置いて聴く場合は、この形状である必然性がイマイチ分からず、あまりメリット性はないのではないかと感じます。
ーーー
【2016年発売】
60・サンワサプライ 400-SP068
¥5,980 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:8W+8W
スピーカー:6.7cm+2.8cm
高音域:★★★☆☆ 22kHz
低音域:★★☆☆☆ 40Hz
小音量:★★★☆☆
接続:アナログ(RCA /3.5mm)
サイズ:幅110×奥行123×高195mm
なお、このシリーズの下位機となるのが、400-SP068です。
ただ、価格差に比して、アンプ出力も、スピーカーの口径も小さめです。
筐体グレードも、本機は差をつけていますし、選ぶならば上位機が良さそうです。
400-SP107も、サンワサプライ(サンワダイレクト)が販売するPCスピーカーです。
【2024年発売】
61・サンワサプライ 400-SP114
¥10,480 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:30W+30W
スピーカー:7.6cm+2.5cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★☆☆ 40Hz
小音量:★★★☆☆
接続:アナログ(RCA /3.5mm)
サイズ:幅100×奥行126×高207mm
400-SP114 も、サンワサプライ(サンワダイレクト)が販売するPCスピーカーです。
大きさは、幅100×奥行126×高207mmです。
先ほどの機種より若干幅が狭めです。
写真は24インチのモニターですが、事務机の幅(80cm)でもこれなら設置できそうです。
なお筐体は、同社が製造する「シンプルデスク」の天板と同じ木目とされます。
同社のPC用は、【PCデスクの比較記事】でも見ていますが、結構シェアがあり人気です。
ようするに、天然木(突き板)ではなく、メラミン天板(化粧板)ということですが、コーディネートの意味はあるでしょう。
PCとの接続は、こちらは普通にRCAのアナログ接続です。
スピーカーは、2ウェイのバスレフ型です。
ウーファーは7.6cmで、トゥイーターは2.5cmです。
仕様は同じで、後ろにバスレフポートがあるタイプです。
ネジ止めでメラニン板にカバーを付けた感じの「ハンドクラフト感」があるデザインです。
アンプは、60Wと強力です。
強力ですが、箱なりを抑える配慮があるとの記載です。
ハイレゾは、こちらも周波数帯域の部分で非対応です。
ボリューム調節は、調整つまみが本体の前面にあります。
そのほか、低音を強調するバスプラスボタンほか、サラウンド(3Dサラウンドコントロール)ボタンがあるのは、珍しい部分です。
---
以上、サンワサプライの 400-SP114 の紹介でした。
外観重視の製品で、音質より見た目を優先した作りでしょう。それはそれで「あり」だと思います。
音質面では、ユニットサイズに比して、アンプがパワフルな製品です。そのため、低音域を含めて、音のクセはかなり強そうに思います。
一方、調整機能が充実するのは、逆説的に言えばですが、副作用の軽減のためです。つまり、音楽を聴く場合、映画(セリフ)を聴く場合ほか、音源や用途によってまめに合わせ直す手間は割とありそうです。そういった作業を苦にしない方に向くでしょう。
Atlasはこの手のスピーカーだと結局面倒で使わなくなることが多いです。PC用は、シンプルで、スタンダードで、シンプルで良い音が、調整なしで出る製品のほうが個人的には好みです。
3-5・RazerのPC用スピーカー
続いて、米国のPC用ゲーム周辺機器大手のRazerの発売する製品です。
どちらかと言えば、ゲーム用マウスなどの入力デバイスで知られる会社ですが、PCスピーカーをはじめ多展開です。
【2022年発売】
62・Razer Leviathan V2 RZ05-03920100-R3A1
¥36,850 楽天市場 (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:
スピーカー:4.8×95cm+2cm+14cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★★ 45Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB-C Bluetooth
サイズ:幅50.0×高さ8.4×奥行91.3cm
LEVIATHAN V2 は、Razerが販売するバータイプのPCスピーカーです。
このブログの【サウンドバーの比較記事】では、このタイプのテレビ用(上図)を多く紹介しました、
そちらでもPCで使えそうな製品をみましたが、HDMI非対応な点で、接続面で「PC専用」なのでこちらの記事で紹介することにしました。
大きさは、幅50.0×高さ8.4×奥行91.3cmです。
高さのみ注意が必要ですが、たいていのモニターならば、下部におけると思います。
PCとの接続は、デジタル式です。
USB入力(USB-C)を利用してケーブルでつなぐことになります。
ネットワークは、最新のBluetooth 5.2搭載です。
コーデックは、ただ、SBCです。
なお、SBCは音の遅延が多い(平均220ms)のですが、本機は、60ms(通常のSBCの約1/3)の遅延で済ます独自技術を採用します。
Bluetooth送信機(SOC)の演算処理の効率化と、転送時のバッファ調整によるものなので、機器側(PC側)の対応なしでも可能です。
ただ、SBCだと(いずれにしても)音質の期待値は低いほか、安定性も期待できないため、基本的には、PCとはUSB接続を利用するべき製品です。
アンプ出力は、非公表です。
ユニット口径から言えば、60W〜80Wあたりだと思います。
スピーカー構成は、2基のフルレンジ(48×95mm)と2基のツイーター(20mm)に
そのほか、低音域を補うためのパッシブラジエータが2基です。
サブウーファーは、別に付属します。
サイズは、22cm×22cm×241cmの四角形で、口径は140mmです。
あまり出力は大きくないので、机上に置くものです。
また、ケーブル接続なので、バータイプを「机スッキリ化」のために買うのならば注意点になります。
なお、本機は、構成的に2.1chのステレオです。
しかし、仮想的に(計算で)7.1chサラウンドにすることが可能です。
小音量での再生は、あまり想定していないでしょう。
ボリューム調節は、本機もフロントオペレーションですので、楽です。
そのほか、基本的にゲーミング用ですので、(オフにもできますが)LEDライティング対応です。
---
以上、Razer Leviathan V2の紹介でした。
バー型をPCで利用する場合、正面からの音圧が来やすいので、迫力の部分で、ゲーム用には実際「向く部分」があります。映画などにも良いでしょう。
一方、バータイプは、近接視聴において、小音量再生が得意でないので、ある程度の音量で使うことになります。仕事をしながら音楽を聴くような使い方には、(集中力を削ぎやすい部分を含めて)不向きに思います。
使い方を選ぶ製品と言えますが、そもそも、Razerの製品を選びたい方は、ゲーミング用でしょうし、その使い方では、全く問題ないと言えますし、優れているとも思います。
ーーー
【2022年発売】
63・Razer Leviathan V2 X RZ05-04280100-R3M1
¥15,980 楽天市場 (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:
スピーカー:4.8×9.5cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★☆☆ 85Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB-C Bluetooth
サイズ:幅40.0×高さ7.奥行7.1cm
なお、同社からは、同じシリーズの小型機も出ています。
本体サイズは、幅40.0×高さ7.奥行7.1cmです。
ここまで見た、CreativeやLGの製品に比べても小型なので、23型あたりの小さな、ゲーム用モニターなどともフィットします。
スピーカー構成は、48×95cmの楕円形ドライバーを採用する点では、上位機と同じです。
ただ、シンプルなフルレンジの1WAYステレオです。
サブウーファーもなく、低音はパッシブラジエータが補うだけなので、低音域の音圧は期待値が低いです。
---
結論的にいえば、本機についても、細かい音響スペックは出ないのでなんとも言えませんが、小型だけで言えば、同社の上位機とは値段差以上の差は感じます。
格安機だけでいえば、1回目で見た、CreativeのKATANAが割と良いので、それには負けるでしょう。
【2024年発売】
64・Razer Leviathan V2 Pro RZ05-04160100-R3A1
¥71,940 楽天市場 (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:
スピーカー:5.1cm×5+14cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★★ 40Hz
小音量:★★★☆☆
接続:USB-C Bluetooth
サイズ:幅60.0×高さ9.1×奥行90.1cm
Razer Leviathan V2 Proは、Razerが販売するバータイプのPC向けスピーカーの上位機です。
大きさは、幅60.0×高さ9.1×奥行90.1cmです。
先ほどの下位機より縦長になります。
PCとの接続は、デジタル式で、やはりUSB入力(USB-C)です。
ネットワークは、Bluetooth 5搭載です。
コーデックは、SBCですので、ここはオマケでしょう。
アンプ出力は、非公表です。
スピーカー構成は、注目です。
左右に1基ずつ、中央に3基、51mmのユニットが総計5基です。
それに、下位機と同じ、140mmの外付けサブウーファです。
センターチャンネルの分離はないようで、あくまで、2.1chです。
ただ、本機の面白い部分は、ヘッドトラッキング対応です。
仕組みとしては、内蔵されるIRカメラ(赤外線カメラ)で頭の動きを測定し、AIがそれを解析します。その上で、音を頭(耳)に向けて、ビームフォーミングして送るというものです。
これにより、立体方向も含めて、3Dサラウンドを高度に実現するという方向性です。
空間オーディオや、ヘッドトラッキングは【完全ワイヤレスイヤホンの比較記事】で書いたような、インイヤー型は以前にありました。仕組みは、そちらで詳しく書きました。
ただ、バータイプでは、珍しく初めてでしょう。
この技術やアルゴを総称して、同社は「THX SPATIAL AUDIO」と呼んでいます。ヘッドセットなしで「没入感」を高めるという方向性です。
仮想化は、ヘッドセットを再現するようなモードと、マルチチャンネルを再現するモードがあります。
TV用だと難しいでしょうが、近接視聴である、PC用だとこのタイプは活きるなと思います。
小音量での再生は、想定していないでしょう。
ボリューム調節は、上部なので楽です。
---
以上、Razer Leviathan V2 Proの紹介でした。
完全にゲーム用ですので、その用途に特化した場合、おすすめできます。
3Dサラウンド的な没入感を得るための新機軸が「たいへん面白い」です。おそらく、効果的とも言えるでしょう。
オーディオ(映像)ソースの多チャンネルデータは(説明を読む限り)活かさず、ステレオで入力された音源データを再計算して出す方式のようです。
この点は課題でしょうが、並び立つライバル機もないですし、ゲーミング用に向いた製品であることに変わりません。そこに特化して選ぶならば「あり」です。
ーーー
【2023年発売】
(ワイヤレスサブウーファー)
65・Razer Nommo V2 Pro RZ05-04740100-R3A1
¥56,800 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
(有線サブウーファー)
65・Razer Nommo V2 RZ05-04750100-R3A1
¥37,180 楽天市場 (6/19執筆時)
(サブウーファー・イルミなし)
65・RazerNommo V2 X RZ05-04760100-R3A1
¥24,970 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:
スピーカー:7.63cm+13.97cm
高音域:★★★☆☆ 20kHz
低音域:★★★★★ 40Hz
小音量:★★★★☆
接続:USB-C Bluetooth
サイズ:幅40.0×高さ7.奥行7.1cm
このほか、同社からは、高級機として、砲弾型のスピーカーモデルもあります。
メインユニットは、7.63cmのフルレンジで、出力情報は非開示です。
上位機は、イルミがあるほか、上位機はワイヤレスサブウーファー(13.97cm)が付属です。
価格の大部分は、このサブウーファーに由来するでしょう。
音響は(バータイプ以上に)「迫力重視」でゲーム特化型の指向性となります。
サラウンド技術は「ヘッドトラッキング」を使ったものではないですが、やはりゲーム特化型です。
動画視聴や普通の音楽視聴(BGM用途)を含めて考えられる汎用設計ではないので。
筐体デザインとイルミの「格好良さ」を優先した形状とも言えますので、その部分を優先した場合に、選択肢になるという機種です。
したがって、今回の記事の比較の主旨からは、若干ズレる感じの高級機です。
3-6・EVE AUDIOのPCスピーカー
続いて、ドイツのEVE AUDIOのPCスピーカーです。
2011年創業で、主にプロ向けのモニタースピーカーを作っている企業です。
【2024年発売】
66・EVE Audio SC203 EASC203
¥79,200 Amazon.co.jp (6/19執筆時)
ハイレゾ:
出力:60W+60W
スピーカー:7.5cm+μAMT
高音域:★★★☆☆ 21kHz
低音域:★★★★☆ 62Hz
小音量:★★★★★
接続:アナログ 光 USB-B
サイズ:幅11.6× 高さ19.0×奥行13.4cm
SC203 は、ドイツのEVE Audioが販売する高級PCスピーカーです。
スピーカーの大きさは、幅11.6× 高さ19.0×奥行13.4cmです。
幅が狭い部分は、言及に値します。
奥行は専用台座の付け方で変わります。高さは少し出ますが、コンパクトなPCスピーカーの新星といえます。
PCとの接続は、アナログもありますが、USB-B・光が基本です。
DACの情報はないですが、96kHzまでです。
ユニット的にハイレゾ用ではなく、そこは狙っていません。
アンプ出力は、各チャンネル30WのPWMアンプです。
60Wとの記載がありますが、ペアだと120Wかと思います(調査中)。
スピーカーは、7.5cmのウーファーとμA.M.T.ツイーターです。
ウーファーは、小型機として大きめの振動板とボイスコイル(16mm)で駆動を良くしています。駆動を制御するため、紙コーンに特殊加工がなされているとの記述です。
ツイーターは、A.M.T.の改良型です。
素となるAMT技術(Air Motion Transformer)はハイレゾ時代の前に一部で流行っていたものです。
歪みが少なく、高音域が明瞭に表現される一方、一般的に、音を拡散させる傾向ですので、とくに、近接視聴でステレオ感を得る配置が難しい仕様でした。
それもあり、一般向けスピーカーだとポピュラーにはなれなかった形式という印象です。
リボン型(ケンウッドのLS‑NA9 )もそうでしたが、こうした、平面型トランスデューサーの場合、そういった欠点がある印象です。
ただ、本機の場合、ウェーブガイドの工夫で指向性を制御し、スイートスポットが広くなるような改善をしています。
その上で、近接視聴(机)向きに特別な調整があるため、ニアフィールドでもしっかり定位します。
このほか、パッシブラジエータで低音を強化する仕組みもあります。格安機だと割とみますが、プロ向けのデスクトップスピーカーではたしかに珍しいです。
独自開発で、バスレフの風切り音とパイプのレゾナンス、あるいは、低音域の制御のための採用で、格安機の場合と一線を画すると言えます。
なお、トゥイーター部分は密閉型(密閉構造)にして、背面放射による音のぼやけが内容にしているようです。これも、AMTの弱点に対する対策といえます。
小音量再生は、A.M.T.の特性的に優れると言って良いです。
ボリューム調節は、本体前面です。
DSP回路内蔵で、調整力は高いです。ADコンバーターは、シーラスロジック製(24bit/192kHz)との記載です。
---
以上、EVE Audio SC203 の紹介でした。
発売時、個人的にかなり興味を持った製品でした。
本来的に、少し距離を離して使ってこそ生きる性質を持ち、近接視聴には向かないμA.M.T.ツイーターの弱点を、周辺技術による緩和を目指した意欲作といえますので。
ただ、近接視聴となるPC用スピーカーの場合、(普通の)ソフトドーム型トゥイーターでも、同じほど表現を(より安く)実現できるのは事実です。
それでも、高音域で耳に刺さりにくい優しい音質にできる点と、音量を下げて利用する場合でも、音の破綻が少ない点とは、このシステムの良さだと感じました。
Atlasとして、これらは「好ましい」ことで、投資価値を感じます。ただ、一般向けには、やや実験色の強すぎる製品であり、費用対効果の部分では微妙でしょう。
次回に続く
パソコンスピーカーのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、PC用スピーカーの比較の3回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ「続き」ます。
4・PCスピーカーの比較 (4)
4-1:ロジクール〈スイス〉
4-2:FiiO〈中国〉
4-3:SONY〈日本〉
4-4:Audioengine〈米国〉
4-5:その他
5・PCスピーカーの比較 (5)
5-1:最終的なおすすめの提案【結論】
続く4回目記事(こちら)では、ロジクールやソニーほか、多少大きめのスピーカーを中心に各社の製品をみたあと、ここまで見ていない他社機をまとめて紹介します。
音質の良さ ★★★★★
重低音の迫力 ★★★★★
小音量の音質 ★★★★★
ハイレゾ再生 ★★★★★
設置スペース ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、5回目記事(こちら )では、今回紹介する全機種から、目的別・予算別に「Atlasのおすすめ機種!」を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
4回目記事は→こちら