1回目記事からの続きです→こちら
4-1・Beatsのイヤホン
4回目記事のトップバッターは、Beatsの完全ワイヤレスイヤホンです。
同社はApple傘下ですが、ストリート系の別ブランドとして展開します。
1・完全ワイヤレスイヤホンの比較(1)
1-1:選び方の基本の解説【導入】
1-2:アップル〈米国〉
1-2:ソニー〈日本〉
2・完全ワイヤレスイヤホンの比較(2)
2-1:BOSE〈米国〉
2-2:パナソニック〈日本〉
2-3:JVC〈日本〉
3・完全ワイヤレスイヤホンの比較(3)
3-1:JBL〈米国〉
3-2:ANKER 〈米国〉
4・完全ワイヤレスイヤホンの比較(4)
4-1:Beats〈米国〉
4-2:ヤマハ〈日本〉
4-3:SHURE〈米国〉
4-4:Bang&Olufsen〈北欧〉
4-5:Noble Audio〈米国〉
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
5-1:AVIOT〈日本〉
5-2:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)
6-1:Amazon 〈米国〉
6-2:Google 〈米国〉
6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
6-4:DENON〈日本〉
6-5:AKG〈オーストリア〉
6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
=予算別・目的別のおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿いながら各機を説明していきます。
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また、以下では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチだと思う部分を青字系で書きます。
【2022年発売】
50・Beats Fit Pro MK2F3PA/A
¥21,109 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(空間オーディオ)
個人最適化:高度(ヘッドトラッキング可)
連続再生時間:6時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:
重さ:5.6g×2
Beats Fit Pro は、Appleが自社のBeatsが販売する、完全ワイヤレスイヤホンです。
Beatsはもともと別のメーカーでしたが、だいぶ前にApple傘下になっています。
本体色は、ブラック(MK2F3PA/A)ほか、セージグレイ(MK2J3PA/A)・ホワイト(MK2G3PA/A)・ストーンパープル(MK2H3PA/A)という構成です。
装着方法は、ウイングを利用するインイヤー型です。
イヤーチップほか、ウイングチップで引っかけて固定する方式です。
チップ部分は柔軟性があるエストラマー系の素材でフィット感重視で、長時間付けていても疲れにくいよう工夫されます。
しっかり固定もされるので、ワークアウトでの利用やも対応します。
重量は、5.6gです。
Apple純正のAirPods Proとだいたい同じ重さです。
イヤーフック型の形状ですから、この程度は普通です。
フックがあるので、運動していてもズレにくいと言えます。
イヤーピースは、3サイズから選択可能です。
他社だとウイング部分も複数のサイズが同梱されるものがありますが、本機については先述のように、ウイング部分が柔軟なのでこれで問題ありません。
ドライバーは、サイズはわかりません。
ただ、方式は、同社が伝統的に採用してきた2ドライバー仕様です。サイズは8mm強だと思われます。
本家のAirPodsと比較すると、やや低音域が充実した音質です。
なお、ドライバーを2基並行配置する仕組みは、オープンエア型の格安機にも見られる音域の拡げ方です。
本機も、それらと同じで、構造的に(微細ながら)ベントがあるので、そこからの(ごくわずかな)音漏れはありえます。
音質のパーソナライズは、イヤーチップの装着テストと、立体音響の部分でのパーソナライズがあります。
Bluetoothコーデックは、対応するコーデックの記載がないです。
ただ、iPhoneに最適化された仕様ですから、SBC AACに対応でしょう。
立体音響は、Appleの「空間オーディオ」に対応します。
また、AppleのAir Pods2同様に、カメラでのパーソナライズ機能ほか、「ヘッドトラッキング機能」もしっかり利用できます、
内蔵される加速度・ジャイロセンサーを利用し、利用者の頭の向きに連動して、立体音響の方向性を正しく調整する技術です。要するに、普通のスピーカーのように、自分が首を振ったりしても、音が正しく定位します。
なお、この2つに対応する仕様だと、音楽(Apple Music)のドルビーアトモス音源以外に、Apple TVの対応映映像や、FaceTimeも空間オーディオ化できます。
接続安定性の面では、Apple H1チップを搭載するため、(iPhoneとの)通信安定性・音の遅延が減少に効果を発揮します。
同社の人工知能、Siriも利用可能です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式です。
片側3マイク搭載(内1,外2)で、音楽の音をふまえてハイブリッドに分析します。
リアルタイム分析(Adaptive ANC)はしかし、非対応です。
この部分は、Appleブランドで売られるTWS型イヤホンとの差と言えます。
外音取り込みは、可能です。
ただ、リアルタイム分析ができないので、ソニーやアンカーにみられる、自動でのレベル調整は不可です。
連続再生時間は、6時間となります。
充電ケースは17時間分の電源を保ち、5分の充電で1.5時間分の再生が可能です。
マイクは、こちらも搭載です。
指向性がある、デュアルビームフォーミングマイクで、風切り音対策もあるので、この部分は配慮があります。
防水性は、IPX4等級です。
耐汗/防沫仕様といえますが、完全に防雨ではないグレードです。
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以上、Beats Fit Pro の紹介でした。
装着については、従来のタイプであるPowerbeats Proよりフィット感が高く、その部分も含めて、音質に安定感がありました。
ノイキャンについては、本家のAppleのほうが精度やかかりは良いのです、普通に通勤通学用ならば、そちらかと思います。また、ベント(孔)がある部分も、逆の意味で注意してください。
ただ、装着したときのデザイン性(格好良さ)は純正よりこちらが良いです。
ワークアウト向きだと、後ほどみるPowerbeats Pro 2のほうが良さそうですが、何にでも使いやすいという意味で、総合的なバランスが良い製品だと感じます。
おすすめできる製品の1つです。
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【2024年発売】
51・Beats Solo Buds MUVW3PA/A
¥8,900 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:18時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:
重さ:5.7g×2
なお、2024年にBeats Solo Budsという製品が追加投入されました。
イヤホンが同社では最小サイズという触れ込みで実際小さめです。
実際、重さはともかく小粒です。
ドライバーも、しっかり、 Beatsの特長である2ドライバー構造です。
他社の小型機と比べて、小型化しても音質面の好感を持てる部分は好感が持てます。
一方、本機は、ユニットサイズの関係で、結構大きなベント(孔)があります。それなりに音漏れはするでしょう。シーンは選びます。
ノイズキャンセリングは、ただ、非対応です。
おそらく載せるには、ドライバーを犠牲にしないといけないので、諦めた感じに思います。
加えて、マイクはありますが、外音取り込みに非対応です。
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結論的にいえば、ノイキャンを利用しなくても良いシーンでないと、音質はあまり期待できないでしょう。逆に、ノイキャンを利用しなくても静かな場所(図書館など)で利用する場合、音漏れを気にする必要がありそうです。
これらの部分で、あまり日本向きな仕様ではないです。
【2025年発売】
52・Beats Powerbeats Pro 2 MX723PA/A
¥35,710 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2019年発売】
52・Beats Powerbeats Pro MY582PA/A
¥23,800 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC
3D音響:対応(空間オーディオ)
個人最適化:高度(ヘッドトラッキング可)
連続再生時間:10時間
ドライバー:
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IPX4
重さ:8.7g×2
Beats Powerbeats Pro2 も、Beatsが販売する、完全ワイヤレスイヤホンです。
約5年降りに、新機種に更新されました。
装着形状が変わったほか、ノイキャン機能も、このシリーズでは初めて搭載です。そのほか、Ankerにもありましたが、LED光学センサーによる心拍数の計測に対応しました。
個人的には、時計タイプほどいろいろできるわけではないので、心拍数計は不要だとは思います。
ただ、ワークアウトに特化した本機の場合、状況によっては、一定の意味はあるかなと思います。
あとは、後述する、音質のパーソナライズに対応した点、制御チップがH1チップから、H2チップに進化した点、連続再生時間が1時間短い、9時間となるのが目に付く違いです。
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結論的にいえば、ノイキャン部分や、空間オーディオなど、ここ5年間で注目されたトレンドが採用されるのは新機種だけです。
形状面の進化(軽量化)を含めて、今選ぶならば、新機種でしょう。
装着方法は、イヤーフック型です。
かなりユニークで「尖った」デザインですが、前回以上に今回はアスリート向けですし、問題ないでしょう。
柔らかい外装と形状記憶合金の採用で、フィット感重視です。
重量は、片側で8.7gです。
旧機より、1.5gほど軽量化されました。
イヤーピースは、5サイズから選択可能です。
音質面では、技術面は、情報非開示です。
基本的に、充実した低音域が強調できる仕様です。
従来通りの2層ドライバー仕様で、音質の方向性は同じです。
立体音響は、Appleの空間オーディオをフォローします。
旧機だと、Apple Music(ドルビーアトモス音源)のみの対応でしたが、今回から制限がないので、既にみたAirPods Pro 2や、Beats Fit Proと同じです。
Apple Vision Proとのペアリングもできます。
音質のパーソナライズも、25年機から対応になりました。
AirPods Pro 2と同じアダプティブイコライゼーションに対応です。
内側のマイクを利用して実際聞いている音を把握し、中低音域の周波数を調整をする技術です。
加えて、iPhoneのカメラ(TrueDepth)を使って、空間オーディオ利用時にパーソナライズする機能も、やはり、AirPods Pro 2と並んで採用です。
ヘッドトラッキングも、25年機からは対応です。
Bluetoothコーデックは、対応するコーデックの記載がないです。
ただ、本機も、SBC・ AACに対応でしょう。
接続安定性の面では、Apple H2チップを搭載するため、上位機同様です。
ただ、空間オーディオには非対応です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式です。
マイクは、片側3マイク搭載(内1、外2)であり、AirPods Pro 2と性能は同じです。
リアルタイムは、騒音状況(種類)に応じたかかりの調整はAirPods Pro 2と異なり「なさない」仕様です。
イヤホンの装着状況は、リアルタイムで「見ている」(Adaptive EQ)のですが、この仕様だと、普通、Adaptive ANCとは言わないので、Wマイク式としました。
まあ、Wマイク式の範疇では「ちょい上」と考えてください。スポーツ用のイヤホンとしては、あって欲しい性能とも言えます。
外音取り込みモードも、搭載です。
連続再生時間は、最大10時間との表記です。
ケース側は35時間分です。
ただし、Appleの場合、ノイキャンオン時かは未記載なので、利用する場合、1時間程度短くなるかもしれません。
マイクは、搭載です。
片側3つのマイクで、ここもAirPods Pro 2と同じという表記です。
風切り音を含む雑音低減、ボイスターゲッティング機能などが装備です。
防水性は、IPX4等級です。
雨天での利用は問題ないでしょう。
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以上、Powerbeats Pro 2の紹介でした。
デザイン性からしてワークアウト専用といった色合いの製品です。
ただ、先ほどみたBeats Fit Proに比べても、激しく動いても落ちにくく装着感も快適ですので、その用途には合いそうです。
改良によって形状とドライバー周り以外の機能性は、AppleのAirPods Pro 2と同じになったとも言えますし、ワークアウト向けの上級機として、各社と推しても存在感がある製品です。
【2023年発売】
53・ Beats Studio Buds +
¥18,882 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
【2021年発売】
53・ Beats Studio Buds
¥13,800 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:
コーデック:SBC・AAC
3D音響:(限定対応)
個人最適化:
連続再生時間:6時間
ドライバー:8.2mm×2
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク式
防水性能:IPX4
重さ:5g×2
Beats Studio Buds+ も、Beatsの完全ワイヤレスイヤホンです。
価格設定としては、Apple系だと少し安めに設定されていて、若者むけの入門機扱いといった感じです。
なお、旧機種が残ります。
あまり値段は変わらない一方で、ノイキャン精度の強化(1.6倍)を含むマイクの改良がありました。あと、一長一短ながら、ベント(孔)の改良で音抜けも良くなっています。
こうした点で、新機種を選ぶべきでしょう。
本体色は、ブラック(MQLH3PA/A)ほか、トランスペアレント(MQLK3PA/A)と、アイボリー( MQLJ3PA/A)です。
重量は、片側5gです。
かなり軽量です。
超小型ではないですが、ファッションとして装着しても違和感がないような設計です。
イヤーピースは、4サイズから選択可能です。
ドライバー、8.2mmのドライバを2基搭載する2ドライバー仕様です。
音の傾向は上位機と同じで、(密閉度の違いによる部分ほかは)差はあまり感じません。
ただ、低音域はかなりしっかりでる傾向です。
一方、本機は、新機種になってベント(孔)が3箇所になりました。
音抜けや装着時の快適性がアップしますが、音量によっては音漏れはしやすそうです。
静粛性が求められる場所での利用には、音量面で注意が必要です。
音質のパーソナライズは、特段機能性を持ちません。
Bluetoothコーデックは、明言はされません。
ただ、従来通りのSBC・AACの構成です。
立体音響は、本機も、「空間オーディオ」をフォローします。
ただし、ヘッドトラッキングは非対応です。この部分は、現状ではApple純正だけです。
また、この仕様の場合、音楽(Apple Music)以外は立体音響になりません(Apple TVや、FaceTimeは不可)。
接続安定性の面では、Apple製チップが、本機は非搭載です。
従来通りiPhoneとのペアリングはできますし、Siriにも対応しますが、Apple IDに連動する一部機能(デバイス自動切替など)には対応しません。
どうも、本機は、Android向きにも売る製品で、そちらのアプリとの兼ね合いからのようです。
ノイズキャンセリングは、対応です。
先述のように、新機種で、精度が強化されました。
ただ、方式の変更ではなく、従来通りの1マイク方式です。
マイクサイズを3倍にすることで、情報量を増やした上で解析することでの性能向上のようです。
なお、タッチ操作による外音取込には対応します。
連続再生時間は、6時間となります。
充電ケースからは約3回充電が可能です。
また、5分の充電で最大1時間分の再生が可能です。
マイクは、デュアルビームフォーミング対応のマイクが搭載です。
防水性は、IPX4水準です。
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以上、Beats Studio Buds+の紹介でした。
購入しやすい価格に抑えつつ、1マイク式の範疇では強力なノイキャンを搭載した機種です。
ただ、本機はベントが多いので、そこからの(ごくわずかな)音漏れの可能性があるのは、利用したいシーンによっては注意点です。
4-2・YAMAHAのイヤホン
続いて、日本のヤマハが販売する製品です。
比較的展開数を抑えていましたが、2022年に「ハイグレード」と呼べる機種が登場し、ラインナップは充実してきました。
【2022年発売】
54・ ヤマハ TW-E7B
¥19,592 楽天市場 (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X Adapt
3D音響:
個人最適化:対応
連続再生時間:6時間
ドライバー:10mm
マイク:搭載
ノイキャン:1マイク(独自仕様)
防水性能:IPX5
重さ:7.3g×2
TTW-E7Bは、日本のヤマハが販売する完全ワイヤレスイヤホンの最上位機です。
本体色は、ブラック:TW-E7B(B) ・ベージュ:TW-E7B(C)・ダークブルー:TW-E7B(AD) ・ホワイト:TW-E7B(W) の、4色展開です。
重量は、片側につき、7.3gです。
耳をほぼ被うサイズですが、音質を重視するハイエンド機の場合、この部分は妥協する必要があります。
とはいえ、価格的にライバルと言えるソニーのハイエンド(F-1000XM4)と同じ重さで収めていますし、ずっしり重いわけではでないですし、形状的な配慮もあります。
イヤーピースは、5サイズが同梱です。
特段工夫が見られるものではないですし、多めの付属で親切です。
ドライバーは、10mmです。
他社にはより大きいものを採用する機種がありますが、このサイズならば、基本的に十分、低音域が楽しめます。
振動板の素材は不明です。同社は硬質のPEEK素材を採用する例が多いですが、本機は違うかもしれません。
音抜けをよくするためにベント(孔)がドライバーの前後にあります。
他社でも説明しましたが、この構造だと完璧な音漏れ防止は無理なので、通常音量で聞くと、静かな車内(エンジン停止したバス、停車中の空いた電車)では、音が後ろの席の人に届く場合はありえます。
音質面は、 同社のスピーカーにも使われる「TRUE SOUND」が1つのキーワードです。
味付け少なめの「ピュアでクリアな音質」を追求する方向性です。完全ワイヤレスイヤホンながら、試聴すると、確かに「ヤマハの味」を感じられます。
音質のパーソナライズは、リスニングケア(アドバンスド)機能が搭載です。
若干他社とニュアンスが違いますが、イコライザの部分で、人間の聴覚特性に合わせて音のバランスを調整し、各帯域の音の爆音を防ぎ、聴覚保護をするというものです。
ヤマハ機ではお馴染みのものですが「アドバンスド」なので、周囲の騒音も総合的に判断して、音質の犠牲を最小限に調整してくれます。
加えて、リスニングオプティマイザーとして、マイクを使いつつ、リアルタイムで、装着状況や、耳穴の内部の聞こえをマイクを通して解析し、実際の音源との差に基づき、音質を調整する機能が付きます。
Appleの「アダプティブイコライゼーション」機能に相当する機能で、(耳のケアではなく)音質アップのための機能です。
リアルタイムで、音質アップのための特定の周波数特性の調整に言及があるのは、Appleを除けばヤマハだけかと思います。
ノイズキャンセリングは、本機はやや分類しがたいです。
ノイキャン用のマイクは1つですが、内側に1マイクという構成だからです。
独自のアルゴで、内側のマイクで拾った音を、「音楽の成分」と「雑音の成分」とにリアルタイムでわけて、騒音の処理を行うとされます。
左右の聞こえ方の違もリアルタイムで補正するとのことです。
先述の「リスニングケア」に関係してきますが 騒音状況でも、あまりボリュームをあげずとも、しっかり良音できこえることを主眼においたノイキャンと言えそうです。
実際、かかりの程度は強く感じないので「乗り物向き」ではなく、自宅での仕事中など、騒音がそこまでない状況で、音楽を聴きつつ没入感を得たい場合に良いような仕様です。
なお、こうした理由で「分類しがたい」部分もあったか、ヤマハは「Adaptive ANC」ではなく、「Advanced ANC」という言い方をしています。
Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・Apt-Xのほか、ハイレゾ転送が可能になな可変ビットレートのaptX Adaptiveにも対応です。
ただ、「ハイレゾ対応」のマークは出していません。ヤマハ機はDAC部分でハイレゾに対応ができないからです。
一方、本機は低遅延の「ゲーミングモード」を搭載します。おそらく、このコーデックほか、(未対応の場合)SBCで遅延を遅くする処理が取られるのだと思います。
立体音響は、未フォローです。
接続安定性の面では、Bluetooth5.2に対応します。
連続再生時間は、最大6時間です。
書き方が不明瞭ですが、おそらくノイズキャンセルオフ時の時間です。あまり長いとも言えないでしょう。
ケースは、フル充電約3回弱(16時間))の充電量です。
防水性は、IPX5等級です。
マイクは、ノイキャン用途はことなる専用として搭載です。
クアルコムのSocなので、(通話時のマイクの)ノイズリダクションは可能です。
MEMSマイクですし、この部分は、高機能ではないにしても問題ない仕様です。
そのほか、外音取り込み(アンビエントサウンドモード)も搭載です。
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以上、ヤマハ TW-E7B の紹介でした。
大きめでも音質を重視したい場合で、10mm以上のドライバーが欲しい場合、パナソニックの最上位機と共に選択肢になると思います。
傾向として味付けの少ないヤマハ的な音質傾向が好きな方は良いかと思います。その他の部分もだいたい平均点以上で、短時間ながら聴いた時の印象も良好です。
ただ、先述のように、移動中の乗り物にはノイキャンの仕様的にあまり向かない点ほか、ベント孔から音が漏れやすくは感じたので(極めて静粛性が求められる)場所では使いにくい部分は感じます。
自宅などで集中したい際などに使うには全く問題なく、よいものです。
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【2022年発売】
55・ ヤマハ TW-E3C
¥5,564 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X Adptive
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:6時間
ドライバー:6mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX6
重さ:5g×2
このほか、TW-E3Cという下位機種もあります。
ただ、こちらについては、ヤマハの魅力であるドライバ周りの工夫がないので、同社の製品から選ぶとしても、上位機が良いでしょう。
なお、TW-E3Bはその旧機種ですが、コーデックがAptXまでとなるほか、外音取込とゲーミングモードに非対応です。
4-3・SHUREのイヤホンの比較
つづいて、アメリカのShure(シュア)のイヤホンです。
パッシブノイズリダクション(耳栓)による静粛性と低音域の充実度で人気の老舗です。やや保守的なイメージで、完全ワイヤレスの展開は遅めでした。
【2018年発売】
【通常版】SE21DYBK+TW2-A
56・ SHURE AONIC 215 Gen 2
¥28,345 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:22Hz-17.4kHz
コーデック:SBC, AAC, aptX
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:8時間
ドライバー:6.2mm
マイク:搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX4
重さ:10.4g×2
AONIC 215 Gen 2 は、米国のシュアが売り出したTWS型のBluetoothイヤホンです。
重量は、片側10.4gです。
先述のように、別々方式なので、Bluetooth通信部分をイヤーフックに内蔵します。
耳かけなので、この重さでも問題ないです。
音質面は、表現力の高さと低音域の充実度が同社の売りです。
ドライバーは、SE215系列なので、ダイナミック型の6.2mmです。
高級機だとBA型になりますが、完全ワイヤレスイヤホンはこれで売っています。
イヤーピースは、柔らかさが違う2種類を、それぞれ3サイズ添付です。
音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。
Bluetoothコーデックは、SBC・AAC・Apt-Xに対応です。
SOCは、クアルコム(QCC3020)です。
接続安定性の面では、Bluetooth規格は5.0となります。
ノイズキャンセリングは、未装備です。
同社は、パッシブノイズリダクション(耳栓)が強いので、不要との判断でしょう。
連続再生時間は、8時間です。
マイクは、4個搭載です。
ビームフォーミング対応で、外音取込も可能です。
形状的にわりと、音質は良さそうです。
防滴性は、IPX5なので、雨天利用もOKです。
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以上、 SHURE AONIC 215 Gen 2 の紹介でした。
基本的には、SHUREの既存ファンに向けた製品でしょう。
新規ユーザーについては、アクティブなノイキャンが苦手な方に向くと思います。
4-4・B&Oの完全ワイヤレスイヤホン
続いて、北欧デンマークのB&Oの完全ワイヤレスイヤホンです。
日本の完実電気が輸入しています。
B&Oも世界的なオーディオブランドで、固定ファンが多いです。革新的なBOSEに比べると(良い意味で)保守的な音響思想を持つメーカーだと思います。
【2025年発売】Beoplay EX後継機
57・ B&O Beoplay Eleven
¥70,818 Amazon.co.jp (6/13執筆時))
再生周波数帯域:20Hz-20kHz
コーデック:SBC AAC apt-x adaptive
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:6時間
ドライバー:9.2mm
マイク:搭載
ノイキャン:Wマイク式
防水性能:IP57
重さ:6g×2
Beoplay Elevenは、Bang & Olufsenの完全ワイヤレスイヤホンの最上位機です。
2022年登場のBeoplay EXの後継機として登場したものです。
今回は、ノイキャンの精度の改良(公称2倍の利き)と、マイク通話部分の品質改良が主眼です。
重量は、6gです。
形状は、一方、スティック型になります。
カップ部分は小さめで、軽量ですが、外観はかなりユニークです。
汎用のSOCを使う関係で、形状に制限があるわけですが、その範疇で「格好良さ」を追求した機種と言えるでしょう。
ただ、結構「個性的」とも言えるので、買う方のセンスが問われる「尖った製品」とは思えました。個人的には嫌いではないです。
イヤーピースは、シリコンイヤーチップが4サイズです。
外国製は、日本人の耳に合わないこともあるので、多ければそれに越したことはないでしょう。
加えて、低反発のComplyの Sportイヤーピースが「おまけ」で付きます。コアなファンがいるイヤーピースで、試したいと思っていた人も多そうです。
ドライバーは、9.2mmです。
旧機種よりやや大型化しました。
音質面は、試聴の限り、欧州の音響機器らしく「落ち着いてキレイに聴かせる」大人向きなイヤホンと感じました。
ただ、低音もこのサイズなので出ます。
音質のパーソナライズは、一方、機能としてないです。
立体音響も、独自の対応情報については未記載です。
Bluetoothコーデックは、SBC・AACに対応します。
また、可変ビットレートのApt-X adaptiveにも対応しました。
ハイレゾ水準のコーデックですが、本機は周波数帯域の表示を含めて、ハイレゾ対応は謳いません。そこを目的とした機種ではないでしょう。
むしろ、機器側の対応が必要ですが、このコーデックは遅延が少ないのでゲームや映像の遅延対策のためかと思います。
通信安定性の面では、Bluetooth 5.2世代です。
問題ないです。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式です。
片側3マイク搭載(内1、外3)で、音源自体の測定もするHybirid ANCではありますが、装着状況のリアルタイムの自動解析はしません。
この部分は、本機の旧機と仕様は変わらず、他社高級機との差と言えます。
一方、同社は、あまり詳しい情報を出さないのですが、ノイキャン自体は、従来の2倍の利きで、特に低周波ノイズの利きがよくなったとは書いています。
調整なしでの最大の「かかり」は良くなっているのでしょう。
連続再生時間は、ノイキャンオンで6時間となります。
充電は、Airpodの新型のようにワイヤレスQI充電対応ケースです。
ケースには、14時間分のバッテリーを搭載し、充電時間は、ケース、イヤホン双方とも1.5時間です。
防水性は、IP57です。
これは、IPX7の防水性に、一定の防塵性もあることを意味します。
マイクは、搭載され、ハンズフリー通話が可能です。
新機種は、片側に3マイクの方式です。
旧機より1マイク増えました。
外音取り込みも、可能です。
解放孔を加えたことで、環境音の取り込み性能をよくしたとのことです。
この変更で、音漏れがどうなったかは、確認を要するので後日補記します(加筆予定)
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以上、Bang&Olufsenの Beoplay Elevenの紹介でした。
あまり「安売り」しないブランドなので価格は、平均より高めです。
コスパは良くないのですが、とくに中音域が良く、ボーカル曲が聴き疲れせずに聴けそうです。ノイキャン部分は汎用ユニットではありますが、問題ないでしょう。
さすがの「北欧デザイン」で、所有欲が湧きますが、形状的に(オシャレ的な意味で)合う合わないはありそうです。
4-5・Noble Audioのイヤホン
続いては、Noble Audioです。
21世紀初頭に操業した、米国の音響メーカーです。
どちらかと言えば、10万円以上のCIEM(特注のイヤホン)で知られる、ニッチな高級ブランドですが、本機はコンシューマ向けです。
日本では、音響機器を取り扱う商社のエミライが代理店であり、出所の信頼性もあります。
【2023年発売】
58・Noble Audio FALCON MAX NOB-FALCONMAX-B
¥15,800 Amazon.co.jp (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz – 20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X Adaptive LDAC
3D音響:
個人最適化:
連続再生時間:4.5時間
ドライバー:MEMS+10mm
マイク: 搭載
ノイキャン:Wマイク式(自動)
防水性能:IPX5
重さ:5.5g
FALCON MAX は2023年に登場した製品です。
重さは、片側、5.5gです。
以外と軽いです。
イヤーピースは、3種類です。
ウレタン製で、脱落防止と遮音性を重視するタイプです。一方、密着製が高いタイプですが、高音の籠もりを防ぐため、特殊コーティング加工がなされます。
ドライバーは、MEMS+10mmという構成です。
MEMS(極小の集積基板)技術はイヤホンだとマイクで使われてきました。スピーカーへの利用は珍しいですが、24年ごろから各社ともでてきました。
サイズ的には、BAよりさらに小型化でき、今後の量産効果で安くもできるようなので、TWS型界隈では、もっと普及しそうな気配がある技術です。
シリコン振動板に電圧をかける形で音を鳴らすことになります。
xMEMS Labs製のCowellを採用するとのことです。
(部品としての)BAが不足していることからの代替採用のようにも思いましたが、同社の上位シリーズでも採用がはじまったので、どうも、音質からの採用だったようです。
実際、音も良かったです。
なお、ドライバーは、PEEK素材+ポリウレタンの複合材に液晶ポリマーをコートしたものです(Dual-Layered LCP Drive)。
音質のパーソナライズは、非対応です。
なお、次に見る上位機や、同社のCIEM(特注のイヤホン)などだと、専用アプリで、可聴周波数をふまえて、かなり細かくチューニングできる機種はあります。
立体音響も、独自の対応情報については未記載です。
Bluetoothコーデックは、SBC AACのほか、Adaptiveを含めたApt-XとLDACに対応です。加えて、最近登場してきたLC3にも対応します。
先述のようにMEMS搭載ですし、せっかくならハイレゾを試したいですし、良い仕様です。
接続安定性の面は、Bluetooth5.3です。
問題ないです。マルチポイント接続も対応です。
SOCは、クアルコムのQCC5171とのことです。 その上で、接続安定性を高める、第4世代のHigh Precision Connect Technologyの採用表記もある、接続安定性は重視している製品です。
ノイズキャンセリングは、Wマイク式(自動)です。
「第3世代Adaptive ANC」いう表記なので、クアルコムの第3世代汎用チップを使う方式でしょう。
一方、装着状況(種類の)リアルタイム分析は行いますが、イヤホンの装着状況などのデータは見ていません。
外音取り込みも対応です。
Full-band ambient modeとして、取り込み時の周波数帯にも配慮し、自然な音で取り込めるような配慮があります。
ヒアスルーも対応しますし、外出時には便利でしょう。
連続再生時間は、最大で4.5時間となります。
若干短いです。MEMSは結構電気を使うのかと思いました。
バッテリーケースは、充電対応で、約4回分の充電が可能です。
防水性は、IP54です。
防塵等級もつきます。
マイクは、こちらも搭載です。
ただ、通話用のマイクスペックについては未記載ですが、 32kHzの音声通話が可能なaptX Voice対応で、通は品質は良いとされます。
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以上、FALCON MAX の紹介でした。
良かれ悪しかれ、MEMS+10mmという部分に目が行かざるを得ない製品です。
実験色は強いように思いますが、十分な低音域がありつつ、MEMSに由来するだろう、気持ちよく伸びるような「高音域」は上質だと思います。
同社の上級シリーズ(FoKus)もMEMS採用機(FoKus TRIUMPH)がでたので、この方式を同社は伸ばしていくのかもしれません。
【2025年発売】(加筆予定)
59・Noble Audio FoKus TRIUMPH NOB-FOKUSTRH-B
¥32,800 楽天市場 (6/13執筆時)
再生周波数帯域:20Hz – 20kHz
コーデック:SBC AAC Apt-X Adaptive LDAC
3D音響:
個人最適化:対応
連続再生時間:7.5時間
ドライバー:MEMS+10mm
マイク: 搭載
ノイキャン:
防水性能:IPX5
重さ:
Noble Audio FoKus は2025年に登場した製品です。
先述のように、同社の製品は、高級機だとキリがないのですが、市販のTWS型のイヤホンだと、このシリーズは、同社の上位機と言えます。
このシリーズは、執筆時、視聴できていないので、また試してから加筆します。
重さは、非公開です。
音質重視の「大粒」系で、ここを重視したい方が選ぶ機種ではないです。
ただ、先述のように、カスタムIEMを主業にする企業なので、そういったモデルの中では、装着性は良いでしょう。
イヤーピースは、通常用が3サイズです。
それに加えて、2層構造のダブルフランジタイプが2種付きます。
ドライバーはMEMS+6.5mmという構成です。
下位機よりドライバーは小さめですが、MEMS用の昇圧回路を従来と異なる独自のものとしたこととバーターだったようです。
音質のパーソナライズは、対応です。
同社のCIEM(特注のイヤホン)で採用されるものと同じです。
人間の、可聴周波数をふまえて、、周波数を細かく調整できます。
また、それをふまえて、EQをかなり細かく調整できます
立体音響は、非対応です。
Bluetoothコーデックは、SBC AACのほか、Adaptiveを含めたApt-XとLDACに対応です。
接続安定性の面は、Bluetooth5.3です。
問題ないです。マルチポイント接続も対応です。
ノイズキャンセリングは、非対応です。
外出先で使うことを狙った製品ではないですし、問題ないです。
外音取り込みは、ヒアスルー対応です。
連続再生時間は、音量50%で最大で7.5時間となります。
ノイキャンなしの機種としては短いです。
上位コーデックを利用すると短くなるでしょうし、そこまで長持ちはしません。
バッテリーケースは、1回分の充電量です。
ここも少なめですが、先述のように、持ちはこび用でもないですし、問題ないです。
防水性は、示されません。
マイクは、搭載です。
ただ、通話用のマイクスペックについては未記載ですが、 32kHzの音声通話が可能なaptX Voice対応で、通は品質は良いとされます。
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以上、FALCON MAX の紹介でした。
このシリーズの旧機は、ハイレゾ非対応でだいぶ仕様が異なるので、後日試して加筆します。
ただ、xMEMS製 COWELLドライバー +ドライバーという同社の新機軸の進化を(既製品で)試せる点で、注目すべき製品でしょう。
ワイヤードの多ドライバー製品は、まさにハイレゾ向きな音質ですし、クラス相応の解像感が期待できそうです。
一方、メインドライバーのサイズは若干気になる部分ですが、バランス調整が上手な企業である点と、先述のアプリによる調整をふまえると、妥協ではなく、このサイズが「最適解」だったのかなとは思います。いずれにしても、かなり気になる製品なので、加筆予定です。
次回に続く
完全ワイヤレスイヤホンのおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、完全ワイヤレスイヤホンの比較の4回目記事でした。
記事はまだまだ、続きます。
5・完全ワイヤレスイヤホンの比較(5)
5-1:ヤマハ〈日本〉
5-2:AVIOT〈日本〉
5-3:Final ag 〈日本〉
6・完全ワイヤレスイヤホンの比較(6)
6-1:Amazon 〈米国〉
6-2:Google 〈米国〉
6-3:ゼンハイザー〈ドイツ〉
6-4:DENON〈日本〉
6-5:AKG〈オーストリア〉
6-6:サムスン〈韓国〉
7・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (7)
7-1:オーディオテクニカ〈日本〉
7-2:ファーウェイ・シャオミ ほか
8・完全ワイヤレスイヤホンの比較 (8)
=予算別・目的別のおすすめの提案【結論】
次回の5回目記事(こちら)は、日本のヤマハほか、AVIOT・agなど日本の新興メーカーの製品を追加でみていきます。
音質の良さ ★★★★★
ノイズキャンセル ★★★★★
ハイレゾ再生 ★★★★★
立体音響 ★★★★★
軽さ ★★★★★
防水性 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、最終回となる8回目記事(こちら)では、今回紹介した「全製品」から、予算別・目的別に、最終的なAtlasのおすすめ機種!を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
5回目記事は→こちら!