1回目記事からの続きです→こちら
3-1・iBassoのヘッドホンアンプの比較
3回目記事のトップバッターは、中国ののiBasso Audioの製品です。
スマホ向けの小型のヘッドホンアンプでは、日本でもわりと人気がある機種を、近年だしています。
1・ポータブルアンプの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:FiiO〈中国〉
1-3:Radius〈日本〉
2・ポータブルアンプの比較 (2)
2-1:iFI Audio〈台湾〉
2-2:Shanling〈中国〉
3・ポータブルアンプの比較 (3)
3-1:iBasso Audio〈中国〉
3-2:ikko Audio〈中国〉
3-3:Astell&Kern 〈韓国〉
3-4:Hidizs〈中国〉
4・ポータブルアンプの比較 (4)
4-1:CHORD〈イギリス〉
4-2:他の企業〈各社〉
4-3:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿いながら各機を見ていきます。
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引き続き、以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【2025年発売】B0DMDWDYQ7
30・iBasso Audio iBasso Jr. Macaron
¥9,405 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm +4.4mm
音圧〈32Ω):85mW
ノイズフロア:1μV前後
サイズ:幅24.0 x 奥行41.7 x 高さ12.3mm
重さ:16g
対応:iPhone Windows Mac Android
iBasso Jr. Macaronは、iBasso Audioが販売する入門用のポータブルアンプです。
同社は中国の音響メーカーですが、日本ではMUSINという輸入商社が代理店です。
サイズは、幅24.0 x 奥行41.7 x 高さ12.3mmです。
重さ(16g)も注目点ですが、サイズが目をひきます。
バッテリーは、USB給電です。
バッテリーを内蔵しない分小型化できますが、スマホの電池は減ります。
また、バッテリー内蔵型よりも、音源の通信安定性は下がります。
DACは、シーラス・ロジック(Cirrus Logic)のCS43131です。
CS43131も小型のデュアルDACでは割とお馴染みです。
同社の音作りには合っていた部分もありそうで、中級グレードまでだと、こちらの採用例は多いです。
同社が注目するCS43131を採用しつつDual DACで「最小サイズ」を目指したと思われる部分はやはり目をひきます。
音圧は、スマホ用ならば問題ないレベルです。
ノイズフロアは、非公開です。
海外情報だと、「ナノボルトレベル」とあるので、1μV(マイクロボルト)前後でしょう。このDACチップは、ここも売りなので、問題ないでしょう。
そのほか、ジッター対策でKDS社製フェムト秒水晶発振器の記載もみられます。
シャンリンも一部機種で使っていました。
サンプリング周波数は、 384kHz/32bitまで対応しています。
小型ですが、妥協はないです。
スマホ・PCとの接続は、USBを利用します。
Bluetooth接続は、非対応です。
接続は、バランス4.4mmほか、3.5mmのシングルエンドにも対応できます。
必要電力も、80mAとの記載です。
デュアル構成ながら、そこまでスマホのバッテリーを消費しない仕様です。
ケーブルは、OTG対応の約10cmの極短USB-Cケーブルが付属です。
PCは、Windowsの場合、96kHz/24bitを超える高音質を得るためには、USB Audio 2.0に対応するためドライバーが必要です。
同社もしっかり公開されます。
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以上、iBasso Jr. Macaronの紹介でした。
「超小型」ジャンルでは面白い製品がでたなと思えた製品です。
同社のこだわるCS43131のデュアルですし、基本部分もしっかりしています。
携帯用に考える場合、有力な選択肢になります。
【2024年発売】
31・iBasso Audio DC07PRO
¥33,660 楽天市場 (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm +4.4mm +同軸
音圧〈32Ω):118mW(430wW)
ノイズフロア:01μV
サイズ:59mm×23.4mm×12.5mm
重さ:23g
対応:iPhone Windows Mac Android
DC07PRO は、iBasso Audioが販売するポータブルアンプの中級機です。。
同社は中国の音響メーカーですが、日本ではMUSINという輸入商社が代理店です。
重さは、23gです。
サイズも含めて下位機種とそう変わらず、小型・軽量性を重視した製品です。
わずかですが従来機よりさらに軽くなりました。
その上で、視認性の良いモノクロ有機ELパネルと、大きめで操作性の良い、マルチファンクションダイヤルを装備して、使いやすさにも配慮がある部分で優れた中位機です。
バッテリーは、同じく、USB給電です。
スマホの電池は減ります。
また、バッテリー内蔵型よりも、音源の通信安定性は下がります。
DACは、シーラス・ロジック(Cirrus Logic)のCS43131です。
入門機と同じで、先述のように、同社は音作りにおいてこのチップにこだわりがあるようです。
ただ、こちらはクアッドDAC(4DAC)にしている部分が新しいです。
自社開発の集積回路(FPGA)を、DACとUSBコントローラー間に採用することで、USBバスパワー由来の歪みを除くという説明です。
同社のプレーヤーや次に見る最上位のポタアンの技術が降りてきた感じです。
後述するように、FPGAの部分で、サンプリング周波数を底上げすることもできています。
音圧は、3.5mmのステレオ端子からつなげた場合、118mW@32Ωです。
4.4mmのバランスだと430mW@32Ωです。
他社の小型機と同じで、PC(デスクトップ用)を想定したもので、出力レベルを調整した最大値になります。
ノイズフロアは、0.85μV です。
引き続き数字が良いです。ここが、CS43131にこだわる理由の1つでしょう。
優秀だと思います。
サンプリング周波数は、 768kHz/32bitまで対応しています。
実際の利用の有無はともかく、最近他社の小型機もこの水準になってきたので合わせた形です。DSDは512まで対応です。
スマホ・PCとの接続は、USBを利用します。
Bluetooth接続は、非対応です。
ケーブルは、OTG対応のUSB-C to USB-Cケーブルと、Lightning to USB-Cケーブル、また、USB-A変換アダプタが付属です。
こちらもフルセットです。
PCは、Windowsの場合、96kHz/24bitを超える高音質を得るためには、USB Audio 2.0に対応するためドライバーが必要です。
接続端子は、3.5mmのステレオほか、4.5mmのバランスに対応です。
また、モード変更で、3.5mmを同軸(SPDIF)としても利用できます。
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以上、iBasso AudioのDC07PROの紹介でした。
専用設計の集積回路を利用することで、同社がこだわるCirrus LogicのCS43131をクアッドDACにした部分が個性です。
他社の 768kHz/32bit対応の中級機に比べても、DACとFPGAによるノイズ対策は、数字の裏打ちがある、しっかりした主張があるように思います。
やはり、USBバスパワーを利用する製品はここが重要ですし、最近みた小型のミドルクラスの製品では、わりと良い製品に思えています。
個人的にも欲しいですが、この価格帯の小型機にはライバルも多いので、最終的なおすすめは最後に改めて考えます。
【2024年発売】
32・iBasso Audio DC-Elite
¥73,260 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 32bit/768kHz
バッテリー:
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm +4.4mm +同軸
音圧〈32Ω):162mW(280mW)
ノイズフロア:0.8μV
サイズ:64×35×14.5mm
重さ:60.5g
対応:iPhone Windows Mac Android
DC-Elite は、iBasso Audioのポタアンの最上位機です。
従来的に同社ではなかったグレードですが、24年に登場しました。
重さは、60.5gです。
同社では最も重い機種です。
ただ、一般的には軽い方でしょう。
いずれにしても、スティック型といえる水準のサイズで最高性能を目指したというニッチな機種です。
上図のような専用レザーケース付です、ボリュームコントロールはダイヤル式(アナログ24段階)です。
なお、サイドに別にPCMボリューム調整ボタンがあり-3dBまで調整ができます。
バッテリーは、こちらもUSB給電です。
DACは、日本のROHM(ローム)のMUS-ICシリーズのBD34301EKVです。
ポタアンだと初めて聞いたものでしたが、同社の音楽向けのDACチップです。
SN比130dBとノイズ削減を主眼に置いた低消費電力DACと言えます。
とくに、クラシック音楽鑑賞を主眼に置いて 空間の響き、静寂性・スケール感を重視したとの説明です。
音圧は、一方、162mW(バランス280mW)です。
最近はスティック型小型機でも、強力なものが増えていますが、本機もそうです。
より軽く、より強い製品も他社から出ていますが、本機のようにデスクトップ利用を前提としない製品としては、これで十分以上でしょう。
ノイズフロアは、一方、標準音量時という表現になりますが、0.8μV (バランス時0.9uVrms)です。
同社の「売り」でもありますし、先述のように、ロームのDACは、の「売り」でもあります。うまく「はまった」感じがあります。
このほか、自社設計基板のクロックには日本電波工業のフェムトクロック水晶振動子の採用を強調するなど、ノイズレスかつ、低歪の音質設計です。
一方、心配になるのは、消費電力です。
つまり、スマホのバッテリーですが、同社によると、(音圧ではなく)消費電力が630mW(バランス時690mW)です。
下位機のDC04PROで、550mW(バランス時650mW)なので、ハイスペック機として考えると、この部分でもかなり優秀です。
サンプリング周波数は、 768kHz/32bitです。
DSDは、DSD512(22MHz)もフォローします。
MQAは、フルデコード非対応です。
Bluetooth接続は、ありません。
接続端子は、3.5mmほか、4.5mmのバランスに対応です。
また、モード変更で、3.5mmを同軸(SPDIF)としても利用できます。
ケーブルは、USB-Cほか、USB-C to Lightningも付属です。USB-A用のアダプタも付きます。
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以上、iBasso Audio DC-Elite の紹介でした。
性能面で言うことはないでしょう。この重さでは最も性能が期待できます。ショーレース向きなスペックに思いましたが、早速にVGP2024の大賞をとっていました。
ただ,、持ちはこびで利用するのにここまでの投資ができる人も限られますし、実際携帯用としてはオーバースペックです。
自宅で使う分には、重さやサイズは関係ない部分をふまえれば、より安い機種はありえます。この点で言えば、専門家は評価するが、費用対効果はまた別問題といえる製品です。とはいえ、それでも、やはり目をひくのは否定できないという、悩ましい製品です。
【2025年発売】
33・iBasso Audio Nunchaku B0DYKBNBSB
33・iBasso Audio Nunchaku B0DYKCF5T1
¥52,470 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 32bit/768kHz
バッテリー:
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm +4.4mm
音圧〈32Ω):150mW(450mW)
ノイズフロア:
サイズ:幅34.6×高さ15×奥行65mm
重さ:50g
対応:iPhone Windows Mac Android
iBasso Audio Nunchakuは、iBasso Audioのポタアンでは、少し特殊なモデルです。
重さは、50gです。
バッテリーは、こちらもUSB給電です。
DACは、Cirrus LogicのCS43198のデュアルです。
採用例は多い、中音域に定評があるアンプ統合型DACです。
オペアンプは、テキサスインスツルメンツ(TI)で、TI製OPAMP×4と増幅用のBUF634A×4との表記です。
一方、本機は、TUBEモード(真空管モード)と Class ABモード(AB級アンプモード)が選べます。
TUBEモードは、OPAMPのあと、真空管アンプ回路を通して、ヘッドホンにだされます。
この場合「魅惑的でピュアな真空管サウンド」との説明です。
実際の「真空管(Raytheon製の直熱小型5極管JAN6418)です。そのサウンド特性を、デジタルで再現したものではないです。
真空管特有の「温かみ」のある音が楽しめる仕様で、音域の広さが特徴です。
一方「ハイレゾ」重視の比較という今回の記事の趣旨だと、音が(良い意味で)ぼやけて柔らかい音ですので、Class ABモードのが適切でしょう。
ただし、そちらの音質を求める場合、先ほどみた同社の(真空管のない)タイプのが良いです。
音圧は、Tubeモード時、150mW(バランス450mW)です。
消費電力は、真空管モードで、5V・120mAとされます。
アンプ自体あまり効率がよいものではないのですが、全体として加減があります。
ノイズフロアは、非公開です。
サンプリング周波数は、 768kHz/32bitです。
DSDは、DSD512(22MHz)もフォローします。
MQAは、フルデコード非対応です。
Bluetooth接続は、ありません。
接続端子は、3.5mmほか、4.5mmのバランスに対応です。
ケーブルは、USB-Cほか、USB-C to Lightningも付属です。USB-A用のアダプタも付きます。
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以上、iBasso Audio Nunchaku の紹介でした。
本質的には、Tubeモードを使いたい方向けなので「ハイレゾ」向けポタアンという、今回の趣旨では「選外」です。
ま、真空管の特性上、ノイズは乗りやすいですし、趣味的な要素が強いわけですが、面白い試みだと思います。
3-2・ikko Audioポタアンの比較
続いて、中国のikko Audioの製品です。
アイコーオーディオと読みます。日本ではIC-CONNECTという福岡の会社が代理店です。
【2023年発売】
34・ikko Audio Heimdallr ITB03
¥22,000 楽天市場 (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:8時間
Bluetooth:5.0
コーデック:SBC AAC aptX HD adapt
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (2.5mm)
音圧〈32Ω):32mW×2(125mW)
ノイズフロア:
サイズ:70×40×10mm
重さ:72g
対応:iPhone Windows Mac Android
ikko Audio ITB03は、ikko Audioのポータブルアンプです。
こちらは、他社にも多くみられたBluetoothを搭載するポタアンです。
重さは、72gです。
Bluetooth搭載のライバル機と比べて同等程度の重さです。
中央にモノクロOLEDパネルが付属です。
バッテリーは、8時間との記載です。
ただ、ハイレゾ水準のBluetoothを再生する場合、より短くなるでしょう。
これは他社と同じですし、そのような仕組みです。
DACは、一方、旭化成のAK4377をデュアルで搭載です(左右独立配置)。
2018年開発で、比較的昔からある上位製品で省電力型です。
クリアな解像感と音域の広さを特徴とします。
ただ、ポタアンでデュアル搭載というのは珍しく、ワンポイントかと思います。
サンプリング周波数は、 384kHz/32bitです。
問題ありません。DSDは256MHzまで対応します。
MQAのデコードには非対応です。
音圧は、一方、3.5mmと光デジタル共用端子の場合53mW、4.4mmバランスだと180mWです。
この部分だけで言えば、やや弱めな数字ではあります。
なお、光入力に対応できるのは、このサイズだと珍しいです。ただ、32Bit/96khzまでになります。これは、端子側の仕様ですから仕方ないです。
ノイズフロアも、数値は非公開です。
スマホ・PCとの接続は、USBほか、Bluetoothでも対応です。
SOCはクアルコムのQCC5125ですので、LDACを除けば対応です。
一部このSOCでLDAC対応としている記事がありましたが、クアルコムのスペックではそうなります。
ケーブルは、USB-C to USB-C・USB-A to USB-C ・Lightning to USB-Cと全種が付属です。
そのほか、車モード、サウンドモード(GAME、MUSIC、MOVIE、HIFI)などの調整ができるのが、面白い部分です。
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以上、ikko Audio ITB03 の紹介でした。
ライバル機が多い形状・価格帯の新型になります。
そういった機種と較べる場合、比較的珍しいDACを使うというのがポイントでしょう。シングルエンドで普通に出すとやや出力スペックが低い気はしますので、基本的にはバランス用かなと思いマストイア。
機会があれば、Atlasも試してみたいと思います。
3-3・Astell&Kernのポタアンの比較
続いて、韓国のAstell&Kern製品です。
ポータブルオーディオ全盛期からある企業で、「アイリバー」ブランドで日本での販売歴も長い企業です。
【2022年発売】
35・Astell&Kern AK HC2 IRV-AK-HC2
35・Astell&Kern AK HC2 IRV-AK-HC2-MB
¥24,700 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:4.4mmバランス
音圧(32Ω):
ノイズフロア:
サイズ:23×60×.12mm
重さ:29g
対応:iPhone Windows Mac Android
IRV-AK-HC2 は、韓国のAstell&Kern(アイリバー)が発売する製品です。
少し高いので、小型機のプレミアム版といった感じの製品です。
ヘッドホン出力は、4.4mmのバランスのみです。
重さは、29gです。
より軽い機種もありますが、本機は、言うまでもなく「問題ないレベル」です。
バッテリーは、本機の場合、USB給電です。
したがって、スマホの電池は減りやすいと言えます。
DACは、米国のシーラス・ロジック(Cirrus Logic)のCS43198です。
他社も採用例がありますが、中音域に定評があるアンプ統合型DACです。
やはり、デュアルDACにしています。
やや消費電力が多いDACではあるので、スマホのバッテリーは減りやすいかもしれません。
音圧は、情報非開示です。
無負荷での実効値として「4Vrms(無負荷)=320mWの出力レベルです。
32Ω時は分かりませんが、少なく見積もっても160mWあたりはあるでしょう。
「ハイインピーダンスヘッドホンでもドライブすることが可能」との記載はありますし、実際はおそらく問題ありません。
ノイズフロアは、情報がありません。
ただ、ノイズ対策という意味では、直結のUSBケーブル(6cm)の部分のケーブルを4芯それぞれノイズ対策が施されており、工夫があります。
サンプリング周波数は、 384kHz/32bitまで対応しています。
DSDは最大256MHzまで対応ですが、MQAのフルデコードはできません。
PC・スマホとの接続は、USBのみです。
ケーブルは、写真のように直付けです。Lightning用の変換端子もあります。
基本的にはAndroid向けで、専用のボリュームコントロールアプリ(AK HC)も、iOSについてはありません。
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以上、Astell&Kernの IRV-AK-HC2の紹介でした。
ポタアンは、老舗のオーディオメーカーが「ほぼ撤退」ですが、わりと古くから知られるAstell&Kernが売るという「安心感」はあります。
ただ、最近はデュアルDACも珍しくなくなってきましたし、スペック表記もわかりにくい部分があるので、その部分では選びにくいと言えます。
なお、USBケーブル(6cm)は、取り外しできない仕様です。太めのケーブルで断線対策はしているから安心感はありますが、無理に曲げて使わない方がよさそうです。
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【2023年発売】
37・Astell&Kern AK HC3 IRV-AK-HC3
¥17,718 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm
音圧(32Ω):
ノイズフロア:
サイズ:22.8mm × 60mm × 12.1mm
重さ:29g
対応:iPhone Windows Mac Android
なお、本機のアンバランス(3.5mm)用が追加で出ています。
形状は似ますが、DACは、ESSのクラスGアンプとなるES9219MQをデュアルで搭載します。
必然的に音質は変わるでしょう。
一方、本機は、MQA 8Xレンダラーに対応するのでハイレゾ用にはHC2より上位と言えます。
また、3.5mm4極マイク・コントローラー入力に対応するため、ヘッドセット的な利用法をする場合も、音質向上が可能です。
【2023年12月発売】
38・Astell&Kern AK HC4 IRV-AK-HC4
¥34,682 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧(32Ω):
ノイズフロア:
サイズ:幅29.5×高さ64.5×奥行14.5mm
重さ:31g
対応:iPhone Windows Mac Android
Astell&Kern AK HC4 Moon Silver も、韓国のAstell&Kern(アイリバー)のポタアンです。
2023年に登場した同社の超小型タイプの後継新機種になります。
ヘッドホン出力は、3.5mmのアンバランスと4.4mmのバランスです。
この形状の両社の製品だと、初めての搭載になります。
多少大きくなりますが、許容範囲でしょう。
重さも、31gです。
バッテリーは、こちらもUSB給電です。
DACは、旭化成のAKM AK4493S(AK4493SEQ)です。
先述のように、2022年に同社が発表したもので、シャンリンなどでも見られました。
低消費電力である上で、歪みのない解像感の高さで評判で、最近採用例が増えています。
やはり、デュアルDACにしています。
音圧は、情報非開示です。
無負荷での実効値として 、アンバランスで「2Vrms(無負荷)=80mW」バランスで「3Vrms(無負荷)=180mW」の出力レベルです。
ここをあまり重視した構成ではないですが、カジュアルにスマホやゲーム機につなぐことを想定する機種ですし、そうした製品の音質アップを目指すのが、本機のコンセプトでしょうから、問題ないでしょう。
ノイズフロアは、情報がありません。
ただ、ケーブル部分の工夫ほか、DACをリア側に配置し、デジタル化を後処理する新方式でノイズ対策をなす工夫が見られます。小型では珍しいと思います。
サンプリング周波数は、 384kHz/32bitまで対応しています。
DSDは最大256MHzまで対応ですが、MQAのフルデコードはできません。
一方、本機は、DAR(デジタルオーディオリマスター)機能があります。
ようするに、CD以下の音質音源を、ハイレゾ相当に再計算するアップサンプリング機能です。同社やソニーなどの小型音楽再生機器ではよくみますが、ポタアンだと珍しいです。
PCMは、最大384KHz/352.8KHzまでアップサンプリングされます。
かかりは、簡単にボタンでON/OFFできますし、ワンポイントでしょう。
PC・スマホとの接続は、USB-CとLightningに対応です。
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以上、Astell&Kernの IRV-AK-HC4の紹介でした。
カジュアルに音楽を楽しみたい層向けに、良い構成の上位品に思えます。少し高めですが、ゲーム機を含むポータブル機器の音質アップにおいて堅実な性能を発揮してくれそうです。
とくに、DAR機能搭載という部分は、ゲームほか、高解像な音源ばかりではない定額音楽サービスを、スマホで「高音質」で聴きたいというニーズに適うかなと思います。
消費電力を抑えることを優先しつつ、音質向上のため多重のノイズ対策をなしていますし、良い構成の新製品にみえます。
【2023年発売】
39・Astell&Kern AK HB1 IRV-AK-HB1
¥21,950 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:6時間
Bluetooth:対応
コーデック:aptX-HD LDAC ほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧:
ノイズフロア:
サイズ:39.8x68.4x16.5mm
重さ:40g
対応:iPhone Windows Mac Android
AK HB1も、Astell&Kernのポータブルアンプです。
こちらは、バッテリー搭載型で、Bluetoothに対応するタイプです。
重さは、40gです。
同タイプのFiiOの製品と同じほどで、このタイプだと平均的です。
バッテリーは、シングルエンドで普通につなげた場合、AAC利用で最大で6時間です。
600mAhのバッテリーが内蔵されます。
DACは、米国のESSの「ES9281AC PRO DAC」を搭載します。
FiiOの製品でもみましたが、2021年登場のヘッドホンアンプ統合型で、最近ちらほら採用例が出はじめました。
詳しい仕様はPDFですが(こちら)で確認できます。
なお、DAC自体はデュアル搭載ではないです。
サンプリング周波数は、USB接続に限りますが、32bit/ 384KHzまで対応できます。
DSDは、256MHzまで、MQAのデコードも対応します。
音圧・ノイズフロアは、本機もデータがないです。
ただ、仕様書を見る限り、回路や付属ケーブルの部分でノイズ対策の記述はみられます。
スマホ・PCとは、USB、あるいは、Bluetoothでつなげます。
ケーブルは、OTG対応のUSB-C to USB-Cと、Lightning用が付属です。
なお、本機の場合も、WindowsでUSBで32bit/ 384KHzを利用したい場合、USB AUDIO 2.0(UAC 2.0)対応ドライバーをインストールしてください。
一方、USB AUDIO 1.0(UAC 1.0)との切替機能があります。
割と珍しいですが、この接続しか対応できない製品(一部のゲーム機)などのために用意されています。ただ、96kHzまでです。
Bluetoothは、Bluetooth 5.0対応です。
スマホ側がBluetooth5以上ならば、通信安定性の部分も向上します。
コーデックは、AAC・SBC・aptX HD・LDACに対応します。
ヘッドホン出力は、一般的な3.5mmのステレオミニジャックと、4.4mmのバランス出力もできます。
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以上、Astell&KernのAK HB1の紹介でした。
今回は主にハイレゾに注目して書いている記事なので、用途としては外れますが、ポタアンで、UAC2.0/UAC1.0切替機能があるのは珍しいかと思います。
一方、小型音楽機器の老舗の安心感がある一方、細かいスペックが分からないのが、少し残念かなと思います。最近の新型の傾向とことなる、デュアルDACでない新型ですし、もう少し情報が欲しいところでした。
3-4・Hidizsのポタアンの比較
つづいて、中国のHidizs製品です。
日本では、静岡のIIDAPIANOが輸入しているようです。
【2021年発売】
40・Hidizs DH80S
¥20,000 楽天市場 (6/17執筆時)
41・Hidizs DH80
¥20,000 楽天市場 (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:8時間
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧:125mW(210mW)
ノイズフロア:
重さ: 76g
サイズ:幅50×高さ70×奥行12mm
対応:iPhone Windows Mac Android
※ DH80Sのスペック
Hidizs DH80S は、中国の东莞市凯泰科技(Hidizs)の製造する製品です。
本体色は、黒以外に、複数の選択肢があります。
2種類ありますが、DH80は、USB-C端子が突き出る形の製品です。
基本的に、同社のAP80 / AP80 Proをシームレスにつなげるためですが、スマホなどでもさされば使って良いという指示です。
一般的には、DH80Sで良いかと思います。こちらは、写真は2台分離型に見えますが、1台です。
本体の重さは、76gです。
わりと軽量で、持ち運びもOKでしょう。
バッテリーは、シングルエンドで普通につなげた場合、最大で8時間です。
DACは、ESS9281C PROです。
明示がないのですが、型番的に米国のESSのものでしょう。
ESS ES9281C PROとの表記もありました。いずれにしても、同社の製品以外(ほぼ)見つからないDACです。
オペアンプは、香港のRicoreが販売するRT6863Cをデュアルで搭載です。
サンプリング周波数は、 384kHz/32bitまで対応しています。
冒頭書いたような区分では「第2世代」です。
本機も、ハイレゾを超圧縮してストリーミング再生に適応できるMQA方式に対応します。
音圧は、一般的な3.5mmステレオ端子でシングルエンド出力する場合は125mWで、バランス出力で210mWです。
パワーは十分でしょう。
ノイズフロアは、情報がないです。
スマホ・PCとの接続は、USBのみです。
ケーブルは、USB-C to USB-Cのみ付属です。
ヘッドホン出力は、3.5mmのステレオミニジャックほか、4.4mmのバランスに対応します。
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以上、 Hidizs DH80Sの紹介でした。
あまり評価がない「謎のDAC」ですが、デュアルオペアンプなど、興味深い特徴はもつ印象です。この手のは「使ってみたら良い」場合がわりとあるので、その自信が「輸入元のレンタルサービス」なのかもしれません。
サンプリング周波数などの部分は、「第2世代」ですが、これは実用上問題もないかと思いますし、(時期的に難しいですが)機会があれば聴いてみようと思います。
今回の結論
ポータブルヘッドフォンアンプのおすすめは、結論的にこれ!
というわけで、今回は、ポータブルヘッドフォンアンプの比較の3回目記事でした。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
4・ポータブルアンプの比較 (4)
4-1:CHORD〈イギリス〉
4-2:他の企業〈各社〉
4-3:最終的なおすすめの提案【結論】
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ利便性 ★★★★★
バッテリー ★★★★★
総合評価 ★★★★★
最終回となる、4回目記事(こちら)では、残りの企業の製品をみたあと、いつものように、ここまで紹介した全機種から、目的別・価格別にAtlasのオススメ機種を提案していきます。
引き続き、よろしくお願いします。
4回目記事は→こちら