1回目からの続き記事です→こちら
1-7・ツインバードの扇風機の比較
3回目記事のトップバッターは、日本のツインバード工業の扇風機の紹介です。。
中小企業とのコラボなど独特のものつくりを特長とする、新潟県の企業です。
同社は、とくに扇風機に力を入れてきたメーカーの1つです。
1・DCモーター扇風機の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:パナソニック〈日本〉
1-3:日立〈日本〉
1-4:バルミューダ〈日本〉
1-5:シャープ〈日本〉
1-6:ダイソン〈英国〉
2・DCモーター扇風機の比較 (2)
2-1:ドウシシャ〈日本〉
2-2:東芝〈日本〉
2-3:シロカ〈日本〉
2-4:DuuX〈オランダ〉
2-5:三菱電機〈日本〉
3・DCモーター扇風機の比較 (3)
3-1:ツインバード〈日本〉
3-2:他の企業
3-3:最終的なおすすめの提案 【結論】
今回も、1回目記事の冒頭で書いた「選び方の基本」に基づきながら、各機を紹介していきます。
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また、以下の記事では、Atlasのおすすめポイントを赤字で、イマイチと思う部分は青字で記していきます。
【2024年発売】
【上位機】
36・ツインバード EF-E951W
¥14,670 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【下位機】
37・ツインバード EF-E952W
¥13,453 楽天市場 (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:9枚羽根(エクセルブレード)
羽根径:30cm
左右首振り:45° 75° 120°
上下首振り:100°
立体首振り:対応
風速:3m/s
風量:50㎥/分
直進風:
風量調節:10段階+1
高さ: 74〜90.5cm
静音性:20db〜
サーキュレーション扇風機 EF-E952Wは、ツインバードの扇風機です。
同社はユニークな羽根のCOANDA AIRシリーズが有名でしたが、羽根の工夫の方向性を完全に変え、24年から本機になりました。性質はだいぶ変わったと言えます。
上位機と下位機があります。
下位機は、立体首振りに非対応です。高さ調整部分の仕様もわずかに異なりますが、ここはあまり気にしなくて良いでしょう。
下位機でも、左右の首振り角度の調整はできるため、立体首振り不要ならば、安めの下位機でも良さそうです。
あとは同じなので、同時に見ていきます。
高さは、74〜90.5cmの範囲で調整できます。
伸縮できるリビング扇では標準的な可動範囲で、使いやすそうです。
羽根径は、30cmです。
リビング用の標準です。
羽根の枚数は、9枚です。
流体機械の設計会社である大分の「ターボブレード」社の設計です。
扇風機などのファンの設計のほか、ジェットエンジンの羽根の設計もしており、その空力発想を活かしたものとされます。
次に見るドウシシャが船舶用プロペラの会社(ナカシマプロペラ)との共同開発をしていますが、ALL JAPAN的な発想は、いずれも好ましいと思います。
風質は、強風を売りにします。
風速3m/s・風量50㎥/分というスペックです。
風量は風をうける羽根の面積を増やすことで巻き込む風量を特に強化したタイプです。
均質的な風のなめらかさというより、強風の到達性と力強い風圧感を重視した設計といえます。とはいえ、羽根の枚数を多くしたのは、風ムラを抑えるためでもあるので、風質は問題ないです。
ただし、次に書くような注意点があります。
風量は、10段階から選べます。
加えてサーキュレーションモードがあります。空気循環のため、最大風力で運転するモードです。
つまり、本機の強力な最大風量・風速は(詳しい説明がないのですが)このモード時です。人があたるには強すぎて、うるさい風質でしょう。
通常モードの最大時の風速・風量は加減されて調整されています。
風量を得やすい羽根形状からすると、リビングでは、「自然の風」という工夫はないにせよ、十分な風圧は得られそうです。ただ、通常運転は他社より風圧が強いわけではないです。
もちろんサーキュレーションモードの強風力は意味はあり、人にあてない形でのエアコンの涼風の空気循環、あるいは、一時的な換気には良いです。
首振り機能は、上位機は充実します。
上下が100°の自動首振り、左右は45° 75° 120°です。
立体首振りも対応で、大量の衣類乾燥に向きます。
なお、ツインバードの場合、ギアとモーターが直結設計です。
上下・左右の首位置の固定はリモコン(あるいは操作部)の「首振り」ボタン操作で、希望の場所で止める方式での固定になります。下位機種は、立体首振りではないので、上下に限ってはできますが。
これは扇風機では「珍しい」といえる制限で、むしろ、小型サーキュレーターにとわりと見られる仕様です。「サーキュレーションモード」を安定動作させるための設計上の制限でしょう。
このほか、本機はオートリターンなので利用時、ホームポジションに戻ります。バルミューダなどと同じ仕様ですが、これは「好み」があり、一長一短です。
リモコンは、他社機同様に、赤外線リモコンが付属します。
リモコンを利用しない場合は、支柱に磁石で取り付けられるデザインは従来機を踏襲します。
タイマーは、オン・オフタイマーとも付属です。
温度センサーはないですが、風量をさげていくおやすみモードはあります。
そのほか、バルミューダ同様に、使用後正面に戻る「オートリターン」機能もあります。先述のように、これは一長一短です。
静音性は、弱運転でも20dBです。
あまり数字が良くないです。
運転強度10段階のうち、8段階までは図書館なみの静かさという表現です。これは、一般的に40dB台を示します。
つまり、サーキュレーションモードは当然として、9・10段階は、50dBは超えるということで、静音性は自慢ではないです。
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以上、ツインバード工業のサーキュレーション扇風機 の紹介でした。
個人的に【サーキュレーターの比較記事】でも書いたように、そちらと扇風機の「ハイブリッド」はあまりおすすめしていないです。
ただ、本機は30cmの扇風機の羽根径で、サーキュレーションを可能にしているので、「あり」かなとは少し思います。立体首振できる部分を含めて、風の循環の部分は、見どころがある製品です。
しかし、空気循環できるよう超強風を出せるような仕様にするため、弱風時を含めて静音性が犠牲になります。また、「人間が風に当たる」という部分の快適性も、DCモーター採用の他社高級機のような機能性もないです。首振り部分の仕様もやや特殊です。
やはり、この2つの家電のハイブリッド化は、「おすすめ」できないです。
3-2・そのほかの扇風機の比較
最後に、ここまで見ていない各社のDCモーター機を一気に紹介していきます。
【2023年発売】(青のみ)
38・トヨトミ FS-DH30P-A
¥18,470 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【2023年発売】(白と青)
39・トヨトミ FS-D30NHR-A
40・トヨトミ FS-D30NHR-W
¥19,380 楽天市場 (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:7枚羽
羽根径:30cm
左右首振り:30°・70°・110°
上下首振り:90° (手動)
立体首振り:
風速:3.3m/s
風量:41㎥/分
直進風:
風量調節:32段階
高さ:91cm〜110cm
静音性:
FS-DH30P(A)は、名古屋のTOYOTOMIが販売する扇風機です。
ストーブが有名な企業ですが、(工場の稼働という側面か)夏物家電も一定数出しています。
新旧両機種あります。
2023年機は、新機種で省略となったホコリ防止モードがあります。
設定しておくと、停止時、逆回転することでホコリを落とす機能です。新機種ではこの機能性が省略となりました。
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結論的にいえば、ホコリ防止モードは、割と面白い工夫だったと思いますが、まあ、なくても良いかと思います。
値段で決めて良いでしょう。
高さは、91cm〜110cmの幅で調整可能です。
立ち生活のリビング向けのハイポジション機です。
座り生活の方にはあまり合わないでしょう。
羽根径は、リビング用として普通の30cmです。
羽根の枚数は、7枚羽根です。
同社が「ローノイズファン Plus」と呼ぶ特別な羽根です。
2023年機以降は「静電気加工」が加わったのでPlusという表現が付きました。
この羽根は風質の心地よさ(均質性)よりも、風切り音の低減を目指すものです。
そういう発想もありでしょうが、騒音値が公開されない点は、イマイチです。
風質は、本機も、直進風が強いタイプです。
風速は3.3m/sと強く、風量は41㎥/分と平均値になります。
直進風はある程度強い上で、距離が離れるにつれて十分に拡散していくタイプでしょう。リビング用として普通の設計です。
一方、、風ムラの少ない「なめらか」な風質にするための工夫は言及がないです。
風量は、32段階で調整できます。
DCモーターの利点を活かした形で、ダイヤル調整です。
実質的に無段階ですが、そこまで多くの段階は、まあ不要でしょう。かえって不便に感じる場合はありそうです。
首振り性能は、左右のみ3段階で調整可能です。
立体首振りは非対応です。
ただ、上下については90°上向きまでフリーネックで対応できます。
リモコンは、付属します。
実用性は問題ないですが、デザインと使い勝手は、イマイチな感じで「おまけ」です。
安全面は、本機の見どころで、高度です。
扇風機のガードにふれると自動的に運転を停止するタッチストップセンサーを内蔵です。
暖房器具メーカーらしいですが、ここは見どころでしょう。
ちいさなお子さんがいるご家庭では、良い仕様です。
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以上、トヨトミのFS-DH30P(A) の紹介でした。
3種類のセンサーが目立ちます。最も魅力なのはやはりタッチストップセンサーであり、お子さんの安全性に配慮したい場合、選択肢です。
ただ、90cmからの背の高いハイポジション機ですので、椅子生活のご自宅に主に合う点だけ注意してください。
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なお、トヨトミからは、このほか、次のような製品展開があります。
【2024年発売】
41・トヨトミ DCモーター FS-FD3524
¥15,834 楽天市場 (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:7枚羽
羽根径:35cm
左右首振り:60°・90°・120°
上下首振り:
立体首振り:
風速:3.4m/s
風量:54㎥/分
直進風:
風量調節:32段階
高さ:68cm・120cm
静音性:
第1に、FS-FD3524です。
こちらもハイポジション機です。
同じ羽根を利用しますが、羽根径が35cmになる製品です。
高さは、ジョイントポールを外す形で、68cmと120cmです。
ポールをつけた状況だと相当なハイポジションで業務用向き、外すと、背が低めで座り生活向きという感じです。
風質は、やはり、風の到達距離重視です。
羽根径が35cmと広く、風量も出せるので、広いリビング・事業所には良い製品です。
最近、大手はハイポジションの高性能機から撤退傾向なので、プレゼンスがあります。
一方、ポールを外して68cmで利用する場合、35cm径だと邪魔に感じやすいです。
首振りは、左右は60°・90°・120°です。
上下は、自動ではないですが90°上方に向けられるため、(背を低くして)空気循環や衣類乾燥に便利な部分はあります。
あとは、温度センサーを利用したオートモードが付くのが、目立つ部分です。
トヨトミの場合、オート設定時の温度を記憶し、室温の変化で、風量を柔軟に変える仕様です。細かい、運転強度の上方は非公開です。
そのほか、おやすみモード・リズムモードもあります。
おやすみモードで室温センサーは働かないのは、パナソニックとの違いです。
タッチストップセンサーはありません。
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結論的にいえば、基本的に「120cm」で利用して便利な製品です。
この程度のハイポジション機が欲しい場合、風量・風速とも十分なので選択肢になりそうです。
静音性の値は非開示ですが、DCモーター機ですし、羽根径が大きい上で、あまり速く回転させない仕様なので、そこは問題ないかと思います。
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【2023年発売】
42・トヨトミ FS-D30P-W
¥12,400 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:7枚羽
羽根径:30cm
左右首振り:70°
上下首振り:
立体首振り:
風速:3.3m/s
風量:41㎥/分
直進風:
風量調節:8段階
高さ:68〜83cm
静音性:
第2に、FS-D30P-W です。
ハイポジションではない普通程度の高さの製品です。
高さは、68cm〜83cmです。
羽根径は、30cmの7枚羽根ですので、オーソドックスなリビング向けです。
ノイズ抑制、静電気防止の機能性があるローノイズファン Plusをしっかり装備します。
首振りは、ただ、左右の首振りが70°固定です。
風速・風質ともやや弱くなる点で言えば、どちらかと言えば、価格重視の、下位機であり、廉価版です。
温度センサーもタッチストップセンサーもありません。
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結論的にいえば、同社の魅力と言えるタッチストップセンサーもないですし、性能面からはすこし選びにくさは感じます。
【2025年発売】
43・山善 YHX-FGD304-W
¥15,800 楽天市場 (5/25執筆時)
【Amazon限定】白・ベージュ・黒
44・山善 AHX-FGD301(W)
45・山善 AHX-FGD301(GR)
46・山善 AHX-FGD301(BK)
¥13,500 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:9枚羽根
羽根径:30cm
左右首振り:30° 60° 90° 110°
上下首振り:
立体首振り:
風速:2.8m/s
風量:
直進風:
風量調節: 8段階
高さ:64cm・92cm
静音性:
YHX-FGD304は、山善の販売するDC扇風機です。
有名な「ジェネリック家電メーカー」で、日本の上場企業です。ホームセンターなどで見かける生活家電をたくさん作っています。
同社は、1万円以下でも多くの製品を展開します。しかし、上位機として、しっかりした性能をもつDC扇風機といえるのは、こちらです。
なお、Amazonでは、白以外の限定色も売られますが、性能は同じです。
高さは、64cm・92cmで調整可能です。
中間のジョイントポールの装着の有無で調整する方式です。
外せば、小部屋や床座りのリビングなどでも使いやすいでしょう。
羽根径は、一般的な30cmです。
羽根枚数は、9枚です。
わかめのような形状です。
風質は、羽根の多いタイプですが、風ムラの少ない「なめらか」な風質ではないです。
風速・風量のスペックは、JISの計測基準に基づく風速・風量は非開示です。
実測しましたが、風速計は日立とだいたい同じ数値を示していたので、2.8m/sあたりです。
リビング向けとしてそれなりに強風でありつつ、短距離での拡散性(風の広がり)にもが配慮があります。
風量は、8段階で調整できます。
ただ、上図の背中のメーター式の風量計がかなり見にくく、どの段階なのかがとても分かりにくいです。
強風ではないですが、弱くもないです。
首振り性能は、左右の角度については4段階と充実します。
ただ、上下は手動(90°)で、立体首振りも非対応です。
静音性は、一方、DCモーター採用以上の情報はないです。
騒音値も非開示です。
リモコンは、付属します。
一方、本機は4工程で、相当小さくして収納(箱に入れて約38×38×28cm)できます。
バルミューダはじめ、組立が楽な機種は多いですが、箱に入れたときの収納性は、本機の美点でしょう。
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以上、山善のYHX-FGD304の紹介でした。
風質や首振りの工夫は、値段なりの「そこそこレベル」です。
ただ、片付けについての高い配慮は、本機の売りでしょう。この部分をやっかいに感じていた人は、結構いると思いますし良い工夫です。
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なお、先述のように、同社の場合、1万円以下を含めて、もう少し安めでも静音DCモーター扇風機を選べます。
機能性は落ちますが、お買得なモデルが多いです。
【1万円前後の激安扇風機の比較記事】のほうで、紹介しています。
今回の結論
最新のDCモーター扇風機のおすすめモデルはこの機種!
というわけで、今回は扇風機を紹介してきました。
最後に、いつものように、予算別・目的別にAtlasのおすすめ機種を数機あげておきます。
第1に、リビングルームにおいて、風質の心地よい高級扇風機を探している方におすすめなのは、
【2023年発売】EGF-1700後継機
5・バルミューダ The GreenFan EGF-1800-WG
5・バルミューダ The GreenFan EGF-1800-WK
5・バルミューダ The GreenFan EGF-1800-DK
¥31,480 楽天市場 (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:14枚羽根
羽根径:30cm
左右首振り:150°(幅調整可)
上下首振り:
立体首振り:
風速:3.1m/s
風量:
直進風:最大11m
風量調節: 4段階
高さ: 87cm/50cm
静音性:14db-
直進風の強さ ★★★★★★
風の拡散性 ★★★★★
風当たりの良さ ★★★★★★
首振り機能 ★★★★☆
静音性の良さ ★★★★★
微風運転 ★★★★☆
総合評価 ★★★★★★
3万円台の予算が出せるならば、やはり、バルミューダの GreenFan でしょう。
風質の部分では、その説明も、実際の風質も最も「説得力」がある製品です。
名風といってよい快適な風であり、外観を含めて製品としての出来もよいです。
風質の良さは、独特のファンに由来する部分が大きいです。
ここまでみてきたように「強風力(風圧)」と「なめらかさ(風の均質性)」を出せている製品は、他社に多くあります。
ただ、その要素を持った上で、本機は、プロペラ式の難点である(自然ではない)「渦巻き状の気流)を打ち消すことで、風ムラを抑制する工夫があります。
コアンダ効果を利用するダイソン方式もこの点は優秀ですが、価格的に少し高めですし、扇風機タイプでここまでこだわるのは本機くらいです。
これにより、時間的な意味での「風ムラ」だけでなく、空間的な意味での「風ムラ」もなくせるのが、この方式の良い部分に思います。
実際「長時間あたっても疲れにくい(冷やしすぎない)」という涼風を得やすいでしょう。
高さは、2段階の固定式です。
スティックをつけて約87cmです。
その部分で言えば、向くのは、ソファ、椅子、テーブルを利用するような空間です。
畳などの座り生活でも、スティックを外せば利用できますが、低位置の設置は、羽根にゴミを貰いやすいので、やはり、向くのは洋風空間です。
なお、外した状態ならば、机上にも置けます。
ただ、羽根径は30cmなので、その部分で、邪魔には感じます。
首振りは、左右のみ対応です。
ただ、最大150度まで、段階を決めずに、首振り範囲を決められます。
位置センサーを搭載する形で、初回にターンする2カ所を指示しておくだけで、範囲が指定されます。
結構便利で、流行するかと思っていましたが、これが出来るのは意外に今でも本機だけです。
静音性は、微弱運転時は十分です。
強運転時も、DCモーターを採用する他社機並みに止まるので、問題ないです。
モーター音はしませんし、羽根形状ゆえか、風切り音も不快に感じにくいです。
のなさは、強風時でも秀逸で、、抜群の静音性を誇ります。
デザイン性や、使い勝手も、工夫があります。
大手家電企業ならば、工夫すれば、対抗できるものは作れるでしょう。
ただ、扇風機のような「完成された家電」は、毎年型番を替えるだけで、そもそも新製品をだしません。出したとしても、既存モデルを手直ししたモデルしか出さないので、この部分でも、設計の新しいと言える同社の製品は際立ちます。
リモコンや本体のインジケータはシンプルで、必要機能を突き詰めた構成には、産業デザインとして完成された機能美を感じます。
継ぎ目の無いデザインは、アップルのデザインコンセプトにも通じる気がします。
プラスチックのガードは、小さな子供が羽根にアクセスするのを防ぐ点でもメリット性があるでしょう。
静音性も高く、また、消灯モード搭載で、本体パネルのライトをリモコンで消せるので、就寝時の利用にもメリット性があります。
収納も、棒を分解して保管できるため、オフシーズンも余裕です。
課題は、4段階だけという調整力です。
強風と弱風運転は問題ないですが、中間風量の選択肢が少ないので、強風だと強すぎ、少し弱めたいという場合に、不自由を感じます。
あとは、その価格の高さほどです。ここは飛び抜けて価格が高いですが、一度買えば10年は使う家電ですし、ある程度のモノを揃えるのは手だと思います。
第2に、総合的な性能バランスが良く、リビングルームでも寝室でも使いやすいといえる高品質機は、
【2025年発売】
1・パナソニック F-C339C-W
¥22,445 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【2024年発売】
1・パナソニック F-C339B-W
¥27,400 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:9枚羽根
羽根径:30cm
左右首振り:85°
上下首振り:
立体首振り:
風速:2.2m/s
風量:44㎥/分
直進風:
風量調節: 8段階
高さ: 77〜98cm
静音性:10dB-43dB
直進風の強さ ★★★★☆
風の拡散性 ★★★★★
風当たりの良さ ★★★★★★
首振り機能 ★★★★☆
静音性の良さ ★★★★★★
微風運転 ★★★★☆
総合評価 ★★★★★★
パナソニックのF-C339B-Wでしょう。
性能の同じ旧機があります。すでに値段差が逆転していますが、アウトレットセールなどがあれば、そちらでもOKです。
羽根は、9枚羽根です。
風の到達距離は、風速の関係で、バルミューダほどは遠くまで強く風は届かないです。
しかし、パナソニックも、風ムラが少なくきめの細かい「なめらかな」風質です。
風質は、この部分で、パナソニックもかなり良いです。
一方、「疲れにくい風」という部分では、パナソニックは羽根ではなくリズム風の工夫で、それをなします。
同社のリズム風(1/fゆらぎ風)を利用する場合、風に強弱がつくので、自然に近い風を感じられます。
実際、疲れにくい風が欲しいのは、仕事時など、長時間あたっている時でしょうし、リズム風での対応でも問題ないと思います。
ポジションも、伸縮構造で、77〜98cmで自由に調整できます。
バルミューダの場合も中間棒を外せば調整できますが、実際(面倒なので)シーズンインの時しかしないのが普通でしょう。
今ご利用されている扇風機で、割と頻繁に調整している方は、この方式が良いです。
運転モードも、多彩です。
温度センサーを持つので、室温に応じて、強弱を自動調整させることができます。
おやすみモードでも、室温を見ながら、快適温度を保ちつつ風量を下げてくれる点で、パナソニックは便利です。
静音性も、最小風量12dB・最大風量43dBです。
先述のように、DCモーター機が全てこのスペックが良いわけではないです。
パナソニックの公開しているデータは、この部分が優秀と言えますので、とくに、就寝時には有利でしょう。
最大風量で、音楽やテレビの視聴をするシーンを考えれば、リビングでも「できるだけ静か」であることに越したことはないでしょうし。
課題は 2点です。
第1に、首振り制御です。
左右が85度の首振りだけというのは物足りないです。
ただ、今回のプロペラの改変で、比較的短い距離でも風は拡がりやすくなりました。あまり首振りは使ってこなかった方ならば、問題なく便利に使えると思います。
第2に、最大風力(風速)です。
強風の到達距離でいえば、パナソニックは、その性能をあまり強調できません。
首振りの部分を含めてですが、広めのリビングで全体に行き渡せるような使い方は不向きです。また、風呂上がりや帰宅直後に「強烈な風」が欲しい場合も、他社機が良いです。
しかし、8-10畳程度で利用するならば、高性能です。
パナソニックは、実用的な風量でも、風ムラが少なくきめの細かい「なめらかな」風質が出しやすいです。この点で、(特殊な部屋形状ではない)日本の一般家庭には向くでしょう。
第3に、1万円台の予算で、リビング向けのスタンダード機を選びたい場合におすすめなのは、
【2025年発売】
3・日立 DC扇風機 HEF-DL300G
¥17,799 楽天市場 (7/12執筆時)
【2023年発売】
4・日立 DC扇風機 HEF-DL300E
¥22,980 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【Amazon限定】(2022年)
4・日立 DC扇風機 HEF-DL300AZ
¥12,700 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:8枚はね
羽根径:30cm
左右首振り:75°
上下首振り:
立体首振り:
風速:2.8m/s
風量:41㎥/分
直進風:
風量調節:6段階
高さ: 73〜95cm
静音性:
直進風の強さ ★★★★★★
風の拡散性 ★★★★★
風当たりの良さ ★★★☆☆
首振り機能 ★★★★☆
静音性の良さ ★★★★☆
微風運転 ★★★★★★
総合評価 ★★★★★★
日立のHEF-DL300Fでしょう。
同社は、最上位機が旧機が長く残る傾向です。そういった機種をあわせてみると、バルミューダや、パナソニックより「安く」買える場合が多いです。
数世代残りますが、以下で説明する性能は同じです。
また、Amazonモデルも、スティックではなく、台座でのLED表記になるほどで、風質に変わりがないので、値段部分で選択肢にして良いかと思います。
微弱運転は、これ以上に納得感がある機種はないです。
弱運転時の「うちわ風」にこだわって開発されており、しっかり風量を感じられる仕様です。
他社機の場合、最弱運転時、しっかり「風」を感じられる機種は少ないです。とくに、羽根形状が特殊な機種はそのように言えます。
日立は、一般的なプロペラ形状を保ったまま「8枚はね」にしています。
それは、この特長を消さないために思えます。
通常利用時は、こうした理由から「なめらかさ」など、最近の扇風機にみられる工夫には欠きます。
ただ、風速・風量とも、スペックが大手企業の製品ではかなり高く、普通の扇風機としては、だいぶ強力です。
風の拡散性はイマイチですが、やや離して利用すれば問題ないです。
首振りは、ただ、左右75度だけなのでパナソニック同様に弱いです。
静音性も、強風時はそれなりに音がしますので課題です。
そのあたりが、あえて言えば弱点になります。
ーー
【2025年発売】
6・SHARP 3Dファン PJ-T3DS-W
¥15,235 楽天市場 (7/12執筆時)
【2024年発売】
6・SHARP 3Dファン PJ-S3DS-W
¥15,500 楽天市場 (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:14枚羽根相当
羽根径:30cm
左右首振り:60°・90°・120°
上下首振り:(上向き90度)
立体首振り:
風速:2.4m/s
風量:50㎥/分
風量調節: 8段階
高さ: 87.5cm
静音性:16dB-43dB
直進風の強さ ★★★★★
風の拡散性 ★★★★★★
風当たりの良さ ★★★★☆
首振り機能 ★★★★★
静音性の良さ ★★★★★
微風運転 ★★★★☆
総合評価 ★★★★★
一方、もう一台上げるならば、シャープの PJ-T3DSです。
とくに、左右の首振り性能と、(首振りなし時を含む)風の拡がりを重視する場合、日立良い部分があります。
左右首振りは、日立と違って、しっかり、50°・70°・90°で調整できます。
上向きのポジション調整もできますし、角度はそれなりに柔軟です。
高さは、一方、87.5cmで固定です。
この部分の柔軟性では日立ですが、リビング用で「床座り生活」をしていないご家庭ならば、問題ないでしょう。
この機構がない部分で、オフシーズンの収納性もわりと良いです。
風質の工夫は、14枚相当として機能する、同社自慢の「ネイチャーウイング」です。
強弱のある複数の風を作り出し、風のなめらかさを出す方向性です。
風質は、風ムラの少ない「なめらか」な風質です。
大手他社よりも、拡散性がある風質なので、(首振りなしでも)リビングに風は拡がりやすいタイプです。
静音性も、公開があり、16dB-43dBです。
問題ない数字です。
、32cmという大きな羽根で回すので、問題ないです。
パナソニックより若干風圧はありますし、リビング全体に風も拡がります。
パナソニックのような温度センサーは未装備ながら、特に弱点はみられません。
リビング用、あるいは、オフィス用の高性能機として、比較的「安め」の値段で探している場合、本機はおすすめできます。
第4に、1万円台の予算で、機能面で「一芸」があるリビング用扇風機を選びたい場合は、
【2025年発売】
23・ シロカ SF-V251 SF-V251(W)
23・ シロカ SF-V251 SF-V251(HD)
¥18,700 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【2024年発売】
24・ シロカ SF-V191(W)
24・ シロカ SF-V191(K)
¥17,967 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
【2023年発売】SF-V171後継機
25・ シロカ SF-V181(W)
25・ シロカ SF-V181(K)
¥12,800 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:5枚はね
羽根径:約30cm
左右首振り:30° 75° 120°
上下首振り:
立体首振り:
風速:3.2m/s
風量:
直進風:
風量調節: 8段階
高さ:68cm〜88cm
静音性:13dB〜
直進風の強さ ★★★★☆
風の拡散性 ★★★★☆
風当たりの良さ ★★★★☆
首振り機能 ★★★★★
静音性の良さ ★★★★☆
微風運転 ★★★★☆
総合評価 ★★★★☆
シロカの SF-V251でしょう。
他社に比べると、単体で音声操作ができる点にはっきりした個性が見られる部分を評価しました。
一方、旧機種が残ります。
2024年機は、温度センサーが未付属で、それを利用した「みまもり機能」がないです。
ただ、本編で書いたように、音声操作と併用できないなど、そこまで便利な機能ではないです。
2023年機は、さらに「ここピタ」機能が未付属です。
リモコンで「首振り」ボタンを利用せずとも、専用ボタンで、首の向きを変えられる工夫です。
音声操作が魅力の機種ですし、2024年機以降が良いと思いますが、声で「オン・オフくらいできれば良い」という場合は、そちらでも良いでしょう。
高さは、68cm〜88cmの幅で調整可能です。
わりと低めにも調整できるので、寝室や小部屋でも使いやすそうです。
首振り機能は、左右のみですが、3段階で調整できます。
上下は手動ですが、105°(上90°)まで調整できます。
風質は、5枚はねです。
ガードを含めた形状の工夫などで直進風の強さは、リビングで使える水準です。
ただ、風ムラが少なめで「なめらか」とまで言えるかは微妙です。「スムースでやわらかい風」を出すための工夫も見られますが、この部分では、先ほど「おすすめ」にした他社の1万円台の、羽根が多い製品に負けます。
一方、風の拡散にはある程度距離が必要な風質ですが、これはリビングで使うならば問題ないです。位置調整で何とかなるかと思います。
首振りは、かなり細かい調整ができます。
とくに、左右30°というのは、あまり他社にないです。ちょっとした洗濯物を乾かしたいが足りない場合など、利用したいシーンはあるでしょう。
8の字の3D立体首振り機能を搭載ですし、高度です。
音声入力は、まあ「おまけ」に思います。
ただ癒やし的な要素として、ワンポイントです。
第5に、小部屋などのサブ用として向く、小径・小型な扇風機としておすすめできるのは、
【2024年発売】
27・ シロカ SF-C223
¥14,980 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根径:約25cm
羽根:5枚はね
左右首振り:30°・75°・120°
上下首振り:50°・100°
立体首振り:対応(360°)
風速:3.5m/s
風量:
直進風:
風量調節: 8段階
高さ: 54〜68cm(低め)
静音性:10dB〜
直進風の強さ ★★★★★
風の拡散性 ★★★☆☆
風当たりの良さ ★★★☆☆
首振り機能 ★★★★★★
静音性の良さ ★★★★☆
微風運転 ★★★★☆
総合評価 ★★★★☆
シロカの SF-C223でしょう。
小型タイプは、三菱電機が撤退し、シャープも「在庫限り」で終売で、DCモーター搭載の高品質機だと手頃な製品が減っています。
そのなかで、最も良くみえたのが本機です。
高さは、54cm〜68cmの幅で調整可能です。
比較的低身長にできるので、この部分で小部屋や寝室で運用しやすいでしょう。
羽根は、一方、5枚羽根で、小径の25cmです。
小径機の場合、どうしても風の拡散性が弱いので、首振り性能が重要になります。
その点、本機は左右3段階・上下2段階の自動首振りで、立体首振も対応で問題ないです。
小部屋での洗濯物の乾燥補助にも対応できます。
風質は、一方、「なめらかさ」などは強調できない、普通の風質です。
直進風はそれなりに強めですが、風当たりまで工夫はないです。
リズム風も、4種類(おやすみ・衣類乾燥・うたたね・めざまし)です。
風量弱めで調整される「うたたね」、最初だけ強風の「めざまし」などユニークです。
一発で最大風速での上下首振りになる衣類乾燥でも便利そうです。
静音性は、最小運転時10dBです。
寝室利用の場合、ここは重要ですし、数字は良いです。
一方、最大運転時は、小径機はうるさいです。
ファンの音は「ホワイトノイズ」の類なので、気にならない方は問題ないです。
ただ、普段いるリビングでは別の機種が良いでしょう。
風の拡散は首振りを活かすにしても、多人数利用で快適とも言えないので。
音声操作は、一方、非対応です。
寝室用ならばあっても良いように思いますが、この部分は(どの機種も)他社の別売品で対応はできます。最後に紹介します。
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【2023年発売】
17・ドウシシャ K-F23AY-GY
18・ドウシシャ K-F23AY-WH
19・ドウシシャ K-F23AY-BE
¥22,720 Amazon.co.jp (7/12執筆時)
モーター:DCモーター
羽根:7枚羽根(特殊形状)
羽根径:23cm
左右首振り:70°
上下首振り:100°
立体首振り:対応(360°)
風速:
風量:
直進風:22m
風量:無段階
高さ: 59cm(低め)
静音性:6.9dB〜
直進風の強さ ★★★★★★
風の拡散性 ★★★☆☆
風当たりの良さ ★★★☆☆
首振り機能 ★★★★★
静音性の良さ ★★★☆☆
微風運転 ★★★☆☆
総合評価 ★★★★☆
一方、屋外にも持ち運ぶならば、ドウシシャのKamomefan +c moveでしょう。
(完売)
Genki Pack K-BP1
¥(7,700) 楽天市場 (7/12執筆時)
他社にもバッテリー対応型はあります。
しかし、比較的小型・軽量である部分と、長期間バッテリー搭載機の販売をなしてきた実績から、本機を推します。
追加でバッテリーが欲しくなった場合、入手できないと困りますし。
バッテリーは、別売ですが、価格は安めです。
保ちも、実用水準の風量で、6-10時間程度は利用できそうです。
重さも、バッテリー重量込みで3kg以下です。
形状も小型で持ち運びやすいと言えます。
羽根径は、23cmと小型ですが、最大22mまで飛ぶ出力です。
その場合の稼働時間は最大2時間とはいえ、バッテリー交換はできるため、複数揃えれば良いかと思います。
首振りもできますし、持ち運んでも、広範囲で涼を得れそうです。
立体首振り対応ですし、その部分の使い勝手も良いです。
日常的には、むろんコンセントで使えます。
小型なので、個人用として小部屋で利用したり、立体首振りを活かした、エアコンの涼風の循環用途、あるいは、室内干しなど、いろいろに使えそうです。
補足・このブログの関連記事の紹介
というわけで、今回は扇風機の話でした。
なお、今回は、価格的に多少高い扇風機の紹介でした。
一方、【1万円前後で買える扇風機】でも、(山善など)いわゆる「ジェネリック家電メーカー」の製品を選べば、立体首振りや、DCモーター採用などの工夫のある羽根の製品を選ぶことも可能です。
1・高性能なDC扇風機の比較
予算:1万円〜
2・1万円以下の扇風機の比較
予算:4,000円〜
3・タワー型スリム扇風機の比較
予算:5,000円〜
4・ダイソンの空調家電の比較
予算:3万円〜
5・サーキュレーターの比較
予算:3,000円〜
そういった機種をお探しの方、詳しくは、上の2番の記事をご覧ください。
1・各社のスマートスピーカーの比較
2・Amazonのエコーの比較
3・家電コントローラーの比較
一方、扇風機を「音声操作」したい場合ですが、今回紹介した機種は、赤外線リモコンを搭載するので、環境が整えば、声での「オンオフ操作」が可能です。
詳しくは、3番の記事(こちら)で解説しましたが、別売の専用コントローラー(リモコン信号の発信装置)と、Amazon・Google・AppleなどのAIスピーカーを使えば、音声での扇風機の操作が「可能」です。
興味のある方は、詳しく説明していますので、ご覧ください。
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ではでは。