1回目記事からの続きです→こちら
9-1・シャープの高性能エアコン
9回目記事のトップバッターは、シャープの高性能エアコンです。
同社の高級機は、「空気のクリーンさ」に注目した機種と、気流制御に特徴をもたせた機種の2路線があります。
1・格安エアコンの比較 (1)
1-1:選び方の基本の解説【導入】
1-2:パナソニック
1-3:ダイキン
2・格安エアコンの比較 (2)
2-1:日立
2-2:富士通
3・格安エアコンの比較 (3)
3-1:三菱重工
3-2:三菱電機
4・格安エアコンの比較 (4)
4-1:シャープ
4-2:東芝
5・格安エアコンの比較 (5)
5-1:アイリスオーヤマ
5-2:コロナ
予算:5万円〜
6・高性能エアコンの比較 (1)
6-1:パナソニック
6-2;日立
7・高性能エアコンの比較 (2)
7-1:富士通
7-2:ダイキン
8・高性能エアコンの比較 (3)
8-1:三菱重工
8-2;三菱電機
9・高性能エアコンの比較 (4)
9-1:シャープ
9-2;東芝
予算:10万円〜
10・エアコンのおすすめ 【まとめ】
=最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事冒頭の「選び方の基本」(こちら)で書いた基準に沿いながら、各機をみていきます。
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以下では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【6畳向き】
【2023年5月発売】
56・ シャープ AY-R22P-W
¥89,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.5kW (0.8〜4.5)6〜 8畳
冷房能力:2.2kW (0.8〜3.2)6〜 9畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:87%(27年度)
年間電気代:22,227円(717kWh)
【8畳向き】
57・ シャープ AY-R25P-W
¥94,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.8kW (0.8〜4.5)6〜 8畳
冷房能力:2.5kW (0.8〜3.3)7〜 10畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:87%(27年度)
年間電気代:25,265円(815kWh)
【10-12畳向き】
58・ シャープ AY-R28P-W
¥102,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:3.6kW (0.8〜5.2)8〜 10畳
冷房能力:2.8kW (0.8〜3.4)8〜 12畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:87%(27年度)
年間電気代:28,303円(913kWh)
こちらは、シャープのR-Pシリーズです。シャープの上位機の1つです。
光熱費は、現行の省エネ達成率で言えば、入門機と同じレベルです。
省エネ達成率87%の水準なので、その部分の節約にはなりにくいです。
暖房能力・冷房能力も、入門機に「毛の生えた程度」良いだけです。
気流制御は、一方特色があります。
幅広なフラップで、アレンジされた気流を出していきます。
方向性は「長く届くものの、風自体を感じにくい気流」を出すという方向です。
除湿機能は、本機も弱冷房除湿のみです。
除湿機能の作動条件は、同社の入門機と変わりません。18度以上ですから、梅雨・長雨の時期で暖かい地域なら夏以外も使える感じです。
なお、気流部分では、先述のフラップの工夫で、天井に気流を向けることで、風よけをなす「コアンダ除湿」に対応です。
空気清浄機能は、注目点です。
上部からパワフルに空気を集塵し、空気を送り出す構造にしています。
フィルター(AZ-LPSF2)の面積は、同じ部分に配慮されるパナソニック機より広く、厚みがあります。
フィルターは、ホコリだけでなく、ニオイも吸着できる脱臭フィルターとのハイブリッドです。
パナソニック機は「ほこりのみ対応」で、ニオイは、マイナスイオン(ナノイー)任せなので、本機は、この部分ではより「本格的」です。
その上で、シロッコファンの吸引力のほか、Wセンサー(ニオイ+ホコリ)を装備する点で、この部分の性能は、エアコンとしては「業界一」でしょう。
一方、シャープ製品を含めて【加湿空気清浄機の比較記事】で紹介したような、専門機と比較すると、能力は限定的です。
例えば、フィルターが10年保つ専門機に対して、本機は、1.5年で交換(定価5000円)です。集塵力も、専門機が、99.97%水準のHEPA規格であるのに対して、こちらは、それに満たない99%です。
エアコンは上部吸引の仕組みなので、床やその近くに漂う(重みのある)花粉を効果的に吸塵できるか「疑問」です。
ただ意味がないわけではなく、専門機との併用時に、清浄にかかる速度的なメリットはあると思います。その場合、「上から」という部分も活きるでしょう。
自動お掃除機能は、未付属です。
6ヶ月に一度、上部のフィルターを掃除することが必要です。
省エネ性は、一方、他社のハイエンド機と違って、省エネ達成率が100%水準です。
空気清浄に力を入れているためでしょうか、いずれにしても、標準機と同等で、重視はされません。
清潔性は、パナソニック同様マイナスイオンによる部分が大きいです。
本機は、プラズマクラスターNEXTが搭載です。
マイナスイオンは、基本的に風の当たる部分に届くものなので、風が当たる場所に置いた衣類などは、消臭・静電気抑制などの効果は期待できそうです。
ただし、パナソニックのナノイーXと異なり、熱交換器に放出はせず、エアコン自体のカビ対策には使いません。
ネットワーク機能は、無線LAN(Wi-Fi)を装備しており対応です。
機能的にも、他社と同じで、スマホ内蔵GPSに連動しての、つけ忘れ、消し忘れの通知など、一通りの性能はあります。
AI解析・学習も、しっかり対応です。
天気予報と連動しての先回り制御(日中AI)と、日々の運転状況の情報、あるいは、ユーザーのフォードバック情報をクラウド上のAIが学習・解析し、適切に運転します。
なお、シャープの場合、同社の空調家電(空気清浄機・太陽光発電ほか)との協調運転もできます。こうしたシステムを総称で、COCORO AIRと呼んでいます。
スマートスピーカーは、対応です。
【スマートスピーカーの比較記事】で書いたような、Amazon・Googleのデバイスをお持ちならば、音声でのエアコン操作にも対応します。
ただし、Google系(Google Assistant)は、 Conversational Actions型が廃止なので、制御できる項目は、Google側が用意した共通操作(オンオフや、温度関係のみ)です。
このあたりの話は、他社機の話となりますが【スマートリモコンの比較記事】で割と書いたので、興味ある方はそちらをご覧ください。
酷暑対応は、屋外温度(吹き出し口温度)46度以下です。
一般的に50度対応となっている最近の機種に比べるとやや弱いです。
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以上、シャープのR-Pシリーズの紹介でした。
旧機を含めるとかなり歴史のある機種ですが、市場に長く残っています。
光熱費や出力は格安機とあまり変わらない機種です。
とはいえ、そのカテゴリーでいえば、気流の工夫も今に通用するものであり十分です。
もちろん、空清機能が注目点です。
そこを重視するならば、値段によっては選択肢になるでしょう。
ただし、エアコンは、先述のような限界があるため、【加湿空気清浄機の比較記事】の(高度な)補助用としてのみ、おすすめできます。
【2023年11月発売】
【6畳向き】(7畳)
59・シャープ AY-S22X-W
¥109,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.5kW (0.7〜5.6)6〜 7畳
冷房能力:2.2kW (0.4〜3.4)6〜 9畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:108%(27年度)
年間電気代:17,918円(578kWh)
【8畳向き】
60・シャープ AY-S25X-W
¥238,220 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.8kW (0.7〜5.6)6〜 8畳
冷房能力:2.5kW (0.4〜3.5)7〜 10畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:107%(27年度)
年間電気代:20,646円(666kWh)
【10畳向き】
61・シャープ AY-S28X-W
¥128,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:3.6kW (0.8〜7.0)8〜 10畳
冷房能力:2.8kW (0.4〜4.4)8〜 12畳
コンセント形状:100V 20A
省エネ達成率:106%(27年度)
年間電気代:23,467円(757Wh)
【12畳向き】
62・シャープ AY-S36X-W
¥--- 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:4.2kW (0.8〜7.0)9〜 12畳
冷房能力:3.6kW (0.4〜4.6)10〜 15畳
コンセント形状:100V 20A
省エネ達成率:100%(27年度)
年間電気代:31,992円(1032Wh)
こちらは、シャープのS-Xシリーズです。同社の現在の最上位機です。
2023年11月登場になる各機が、最新になります。
また、2024年に後継機が出ていないので、在庫限りになりそうです。
年間電気代は、最上位機だけに優秀で、新基準で100%です。
他社機の最上位機に比べても遜色はなく、各社の格安入門機(上表)と比べても、1年間で4000円程度の差にはなります。
暖房能力と冷房能力も、各社の最上位機と比べても、その能力は引けを取りません。
あえていえば、暖房の最低出力が0.8kWからなので、冬場の温度安定後の動作はすこし「ざっくり」とは言えます。
除湿機能は、弱冷房除湿です。
氷結ドライと機能名があります。熱交換器を氷点に下げられるようにすることで、特に気温の低めの時期の除湿能力を高める工夫です。
運転条件的にも、16度からですので、この時期寒い地域を除けば、梅雨・長雨の時期から(そこそこ)対応できます。もちろん、再熱除湿ができる機種にはだいぶ負けるでしょうが。
除湿は、独特のフラップを利用して、天井に風をぶつける「コアンダ気流」で、風を体にあたりにくくしています。
シャープは「匠の冷房」と呼びますが、後述の特色ある気流制御と、この部分の工夫で、冷房時の不快感を低減させる仕組みです。
シャープも、設定温度到達後に、除湿量が減らない仕組みがしっかりあります。
ダイキンの「プレミアム冷房」に似ますが、熱交換器の部分稼動ではなく、弱冷房しつつファン回転数の制御で対応する仕組みのようです。再熱除湿を取り入れる上位機(富士通・日立)を除けば、優秀でしょう。
気流制御は、シャープらしく、空力を考えた設計の幅広なフラップを利用して風を飛ばす方向性です。
ロング気流で15mです。
到達距離が自慢の富士通ゼネラルのXシリーズを除けば、最高クラスでしょう。
また、フラップが完全に空いた形になるので、横方向にも180度拡がるというのも、シャープの良い部分と言えます。
換気機能は、非搭載です。
ダイキンやパナソニックのような、自動換気機能はありません
ただ、「換気サポート」機能があります。
本機は、本体前面にCO2センサーが内蔵され、空気質の悪化を検知し、音声マイク・リモコン・スマホアプリで換気を促す機能があります。
また、室温変化などで換気状況を検知した場合、換気中自動的にパワーをおさえて電力を節約し、換気後フルパワーで暖める機能が付属します。
換気の重要性は論を待たないですが、「窓を開けてくださいね」と通知するだけな部分で、他社上位機には及ばないでしょう。
日本製 二酸化炭素濃度計測器
¥1,400 Amazon.co.jp (6/10執筆時)
なお、二酸化炭素濃度だけならば、格安なものなら1500円位で、センシングできる端末はあります。
ただ、本機は、スピーカー搭載で「喋る」ので、その部分で、換気のアドバイスを貰えるのは、言及に値します。
煩わしい感じがする場合は、スマホの通知でも受けられる仕様です。
エコ性能は、CO2センサーも利用する形式です。
ようするに、生活活動で部屋の濃度が上がっている場合、本体内蔵の室温センサーより実際の室温が高いと判断して、運転を弱める形式です。
空気清浄機能は、省略です。
先ほどの機種と形が異なるのは、この機能がないためです。
センサーは、先述のCO2センサーほか、足もとセンサー(赤外線センサー)も搭載です。
エアコンから6mの範囲に限られますが、床温度と人の有無を検知できます。
これを利用して、足もとの温度を何度にするかリモコンで設定できるのは、本機の面白さです。
自動お掃除機能は、付属です。
ダストボックス式なので、自動排出はされず、メンテは必要です。
清潔性は、プラズマクラスターNEXT(マイナスイオン)が搭載です。
本機は、室内だけでなく、本体内にもプラズマクラスターを放出します。そのため、パナソニックのナノイー同様に、エアコン内部のカビ対策にもなります。
ネットワーク機能は、本機も無線LAN(Wi-Fi)を装備しており対応です。
GPS連動でのつけ忘れ、消し忘れ通知、AI解析・学習を含めて、下位機と同じ機能性を持ちます。
パナソニックと共に、シャープはIOTには注力する企業であり、優秀です。
スマートスピーカーは、下位機種と同じ水準で、対応です。
酷暑対応は、本機も、外気温で46度です。
最近は各社ともこの部分の水準が上がっている(50度)ので、少し弱いと言えばそうです。
お手入れは、フラップが大きい利点で、かなりしやすいです。
ファンのメンテも容易な日立の最上位機を除けば、かなり優秀と言えます。
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以上、シャープのS-Xシリーズの紹介でした。
多機能ですが、メインの工夫はやはり「大きなフラップ」による、大胆な気流制御の部分でしょう。
とくに、左右方向に風を広げやすいので、エアコンの設置場所の都合で、ワイド風を重視した方が快適な環境ならば、割と良いかと思います。
一方、メーカーごとの独自色という意味では、(空気清浄をやめたので)やや目立つ特色にかけるフラッグシップ機には思えます。
9-2・東芝のエアコン
つづいて、東芝ライフスタイルのエアコンです。
大清快というシリーズ名です。従来は空気清浄部分にポイントが置かれる機種ですが、最近は、「風よけ」「風あて」部分に個性が出てきました。
【6畳向き】
【2025年2月発売】RAS-U221DZ(W)
63・ 東芝 大清快 RAS-U221DZ-W
¥138,370 楽天市場 (6/10執筆時)
【2024年発売】RAS-N221DZ(W)
64・ 東芝 大清快 RAS-N221DZ-W
¥115,280 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.2kW (0.5〜5.0)6〜 9畳
冷房能力:2.2kW (0.6〜3.1)6〜 7畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:100%(27年度)
年間電気代:19,530円(630kWh)
【8畳向き】
【2025年2月発売】RAS-U251DZ(W)
65・ 東芝 大清快 RAS-U251DZ-W
¥149,370 楽天市場 (6/10執筆時)
【2024年発売】RAS-N251DZ(W)
66・ 東芝 大清快 RAS-N251DZ-W
¥118,800 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.8kW (0.5〜5.3)6〜 8畳
冷房能力:2.5kW (0.7〜3.2)7〜 10畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:100%(27年度)
年間電気代:22,2627円(717kWh)
【10畳向き】
【2025年2月発売】RAS-U281DZ(W)
67・ 東芝 大清快 RAS-U281DZ-W
¥184,643 楽天市場 (6/10執筆時)
【2024年発売】RAS-N281DZ(W)
68・ 東芝 大清快 RAS-N281DZ-W
¥115,280 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:3.6kW (0.5〜6.3)8〜 10畳
冷房能力:2.8kW (0.7〜3.4)8〜 12畳
コンセント形状:100V 20A
省エネ達成率:95%(27年度)
年間電気代:26,071円(841kWh)
U-DZシリーズは、東芝の上級機の1つです。
新旧両機種ありますが、今年は変更がなく、性能は同じです。値段で決めてOKです。
なお、東芝の場合、機能面では、既にみた10万円以下の同社の中級機と機能はほぼ変わりません。ただ、省エネ達成率の部分で、各社の「上位機相当」といえるのは、このグレードからです。
省エネ達成率は、新基準で100%ですので、優秀です。
10畳向きはすこし落ちますが、さほどは問題ないでしょう.。
暖房能力と冷房能力は、他社のハイエンド機と比べると、最高ではないです。
だだ、全体的に暖房は強めの傾向なので、冬場に使う場合に良いと思います。
気流制御は、東芝の場合「無風感」という風質が注目点です。
本機は既に比較した同社下位機でも搭載ですが、二重構造のルーパーで、上下の風をぶつけることで、風を打ち消すという発想です。
冷房は強くしたいが、風が苦手という場合に良いです。
暖房でも利用できますが、主には冷房用でしょう。
また、同社の下位機にも搭載されますが「AI学習機能」があり、利用状況の学習で、自動運転の自動カスタマイズにも対応します。
除湿機能は、普通の弱冷房除湿(ソフトクール除湿)のみです。
温度設定のみで、風量は調整できません。
ただ、外気・室内ともに17度以上では作動するので、梅雨や、長雨の時期までの運用は、最低限できるでしょうが、除湿量は落ちます。
除湿運転については、他社に比べても、東芝はそこまでこだわりがなさそうです。
自動お掃除機能は、付属です。
下位機種と同じで、ボックス式ながら、掃除機でメンテできるのが売りです。
空気清浄機能は、対応です。
すでにみた同社の10万円以下の製品でも使われるプラズマ空清方式です。
一般的には電気集塵式とわれる方法です。
電気の力で熱交換器にホコリを吸着させ、ドレンホースで外に排出させる仕組みです。
本機は、下位機種同様の、汚れを浮かし、水で流れやすい加工をしたマジック洗浄熱交換器です。そのため、付着した汚れは、水と一緒にドレンホースから流れていくので、衛生面の心配もないです。
高圧電流ユニットはメンテフリーで、フィルタもないので消耗品費もかからない、というダブルの利点があります。
その上で、99%の捕捉率です。「割と優秀」であり、花粉などの吸着効果は、この価格帯の製品では、それなりに期待できそうです。
ただし、これは、同様の機能を搭載する他社機もそうですが、【空気清浄機の比較記事】で書いたような専用品と違い、「エアコン部分に」舞い上がったほこりしか吸わないので、花粉対策としては弱いです。
また、脱臭する仕組みはないので、例えば、タバコの煙(粒状物質)は吸着されますが、ニオイは(ほぼ)とれません。
ただし、本機の場合、空気清浄部分の適用畳数は、エアコンの適用畳数によらず全機とも8畳です。
8畳の空気清浄に30分要します。
同様の機能を搭載する他社機もそうですが、【空気清浄機の比較記事】で書いたような専用品と違い、短時間で花粉は取り切れません。
また、仕組み上「エアコン部分に」舞い上がったほこりしか吸わないので、花粉対策としては弱いです。
脱臭も、仕組みとして、専用機に及びません。
例えば、タバコの煙(粒状物質)は吸着されますが、ニオイは(ほぼ)とれません。
なお、24年機からは、同じ機能性のまま、ニオイ除去(脱臭)の機能性もカタログスペックに加わりました。
検証で、生活臭について臭気強度1以上の低減がみられたとしますが、空間脱臭用としては、自然減衰よりは良い程度に止まるでしょう。
一方、熱交換器に付着させたほこりですが、それに対して紫外線の殺菌灯(UV除菌ユニット)を照射する仕組みが、本機にはあります(UVプレミアムクリーン除菌)。
運転中、熱交換器への照射をすることで、熱交換器に集められた細菌やカビの抑制を狙います。
エアコンもある程度「密閉性」があるので、カビの抑制におい意義はあると言えそうです。
一方、下位機でも書きましたが、熱交換器を酷使する方式なので、そこの汚れが心配です。
搭載のマジック洗浄熱交換器は、汚れを浮かす特殊樹脂コーティングをなします。
「理に適った」方法です。ただ、コーティングが肝ななので、エアコンクリーニングの際は、あまり強い薬剤を使わないようにお願いした方が良いかもしれません。
清潔性も、仕組みとしては既にみた下位機と同じです。
先述の熱交換器のコーティングの工夫ほか、本機は、送風ファンと、上下ルーパーも抗菌仕様です。
抗菌剤を練り込む形でしょうし、日立などほどはこの部分に力はいいないにせよ、上位機として工夫はあると言ったとことです。
メンテは、プラズマ空清やUV照射を利用する方式です。
シーズン後との定期クリーニングの際は、図のようなフローで、経路を含めて完全なメンテをします。
冷房利用時の定時クリーニングの際も、15分のUV照射のあと15分の暖房乾燥(15分)と送風乾燥(15分)で仕上げていきます。
付着した汚れを流しきることに力点が置かれる日立の凍結洗浄のほうが徹底度は高いですが、東芝も、しっかり時間をかければ、対策ができます。
ネットワーク機能は、無線LAN(Wi-Fi)を装備します。
操作は、同社のIoLIFEアプリを利用する形です。
機能面では、外出先からの操作には対応しますが、スマホのGPS連動で、外出時のつけ忘れ、消し忘れをお知らせする機能はないです。
ここは残念です。
AI解析・学習は、一方、天気予報や、家族の外出状況などネット情報は利用しません。
本機もAI快適学習運転という機能性はありますが、運転状況や、室温、外気温などの情報のみで完結しますので。
これでも十分便利とは言えますが、IOT化(aIOT化)しているとまでは言えないでしょう。
酷暑対応は、50度まで対応です。
寒冷地対応の部分でもマイナス15度を出します。
ダイキンに次いで、示されるスペックは良い水準です。
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以上、東芝の大清快のU-DZシリーズの紹介でした。
冒頭少し書いたように、プラズマ空清やUV照射を利用するメンテの部分、「無風感」の部分、「お掃除機能」の部分を含めて、同社の下位機と基本性能は(ほぼ)同じです。
そちらでも書いたのですが、同社の特長であるプラズマ空清も、「無風感」もユニークで、良い工夫であり、備わっている意味があると思います。
別に空気清浄機をお持ちで、2台目の「アシスト機」として使う場合、本機の利用は大きな意味があるでしょう。また、花粉症でなく、ほこりだけで、部屋のニオイにはそこまで対策しなくて良いならば、空気清浄機の「メイン機」代わりにもできるでしょう。
一方、下位機に比べて本機の独自性はエアコンの省エネ達成率が各社の上位機相当の水準に達する点と、とくに、暖房出力の水準がよい点です。
エアコンとしての基本部分が良いとも言えますので、他社との比較は必要ですが、東芝機だけで言えばこのグレードを選ぶ意味はあると言えます。
【6畳向き】
【2024年11月発売】RAS-U221ADR
69・ 東芝 大清快 RAS-U221DR-W
¥174,992 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.2kW (0.6〜5.4)6〜 9畳
冷房能力:2.2kW (0.7〜3.9)6〜 7畳
コンセント形状:100V 15A
省エネ達成率:106%(27年度)
年間電気代:18,414円(594kWh)
【8畳向き】
【2024年11月発売】RAS-U251ADR
70・ 東芝 大清快 RAS-U251DR-W
¥220,096 楽天市場 (6/10執筆時)
【2023年発売】RAS-N251ADR
71・ 東芝 大清快 RAS-N251DR-W
¥175,780 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:2.8kW (0.6〜6.9)6〜 8畳
冷房能力:2.5kW (0.7〜4.0)7〜 10畳
コンセント形状:100V 20A
省エネ達成率:106%(27年度)
年間電気代:20,956円(676kWh)
【10畳向き】
【2024年11月発売】RAS-U281ADR
72・ 東芝 大清快 RAS-U281DR-W
¥223,750 楽天市場 (6/10執筆時)
【2023年発売】RAS-N281ADR
73・ 東芝 大清快 RAS-N281DR-W
¥252,780 楽天市場 (6/10執筆時)
暖房能力:3.6kW (0.5〜6.3)8〜 10畳
冷房能力:2.8kW (0.7〜4.2)8〜 12畳
コンセント形状:100V 20A
省エネ達成率:106%(27年度)
年間電気代:23,467円(757kWh)
U-DRシリーズは、東芝のハイエンド機です。
一部サイズで旧モデルが残りますが、大きな違いは、省エネ機能です。
省エネ達成率(消費電力量)は変わりませんが、後述する節電暖房と弱冷房が新しく選べるようになっています。
あとはほぼ同じです。
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結論的にいえば、現状の値段差ならば、旧機でOKでしょう。
本機は節電性が良い機種ですが、ついかされた上の2つの機能は、そこまで本質的な機能ではないので。
あとは同じなので、同時にみていきます。
暖房能力と冷房能力は、能力的に下位機より優れます。
他社のハイエンド機と比較しても負けないレベルです。
100Vクラスのエアコンでは、100%超えしている機種は限られます。
全社通しても良好で、実際、2024年の省エネ大賞も受賞です。
気流制御は、一方、東芝はこのグレードは、下位機種よりかなり機能性が高まります。
以下、この部分の革新性を、箇条書きで説明しておきます。
第1に、レーダーセンサーの採用です。
本機の場合、人の検知に、人感センサーや、カメラセンサーではなく、マイクロ波を利用したレーダーを搭載します。
センシング精度のが高さが売りで、明るさなどに左右されず、しっかり人影を把握できる仕組みです。
そのため「風あて」「風よけ」の精度は、全社を通しても良いことが「売り」になります。
複数の人間の動きを精度良く検知できるため、一番近い人を狙って「風あて」風あてを行う「レーダー風あて」、誰もいない方向をねらう「レーダー風よけ」に対応します。
節電面にも、レーダーは利用されます。
一番近い人のみに、冷風を送ることで節電する節電冷房機能です。
2025年機からは、同じ仕組みでの節電暖房も対応です。
第2に、左右の吹き分け対応です。
レーダー方式は、その利点を活かすためにルーパーも左右で吹き分けられる構造にしています。
売りの「無風感」も、これにより、片側だけに出せるため、しっかり設定すると、便利に使えるシーンは増えたと言えます。
なお、レーダーとの「合わせ技」で、2箇所に風を送るようなことは「今後の課題」のようです。
第3に、サーキュレーターモードです。
ようするに、上下左右のルーパーが互い違いでスイングすることで、空気の「かくはん」を促すものです。
あたって快適な気流ではないでしょうし「おまけ」的ですが、オフシーズンなど、下位機にも搭載だった空気清浄機能だけ利用したい場合、効率的に捕集できるかもしれません。
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結論的にいえば、どれもユニークで効果の部分で説得力のある仕組みです。
気流制御については、他社上位機と比べても、最上級の工夫があると言えます。
除湿機能は、3種の設定です。
おすすめ除湿・除湿弱・除湿強の設定ができます。
いずれも、湿度単位での設定は不可で、気温も下がる弱冷房除湿です。
温度設定は、現在の部屋よりも2-3度低めに設定しないと、単なる送風運転になる部分でいえば、東芝はこの部分に、他社よりこだわりはないです。
自動お掃除機能は、付属です。
掃除機でゴミを吸い出す仕組みを含めて、下位機と同じです
空気清浄機能も、やはり、同じ紙フィルタ不要のプラズマ空清方式です。
マジック洗浄熱交換器にほこりを吸着させて、紫外線のUV殺菌灯で抗菌対策する仕組みを含めて、同じです。先述のように、ニオイは(ほぼ)除去できない方式です。
一方、このグレードは、ホコリセンサー(とモニター)を備えました。停止中もホコリを検知したら、送風(吸引)を行って空気をきれいにすることができます。
なお、空気清浄機の適用畳数は、本機(100V)はどの機種も9畳です。
下位機より多少広くなりますが、やはり、花粉対策のメイン機にするには、先述の理由で無理でしょう。
清潔性・メンテ性も、下位機種と同じです。
プラズマ空清やUV照射を利用した方式で、日立の凍結洗浄を除けば、上級と言って良いでしょう。
ネットワーク機能は、本機も無線LAN(Wi-Fi)を装備します。
できることは、1つ上でみた下位機と同じです。
あえて言えば、電気代の表示ができるのは、こちらからです。
なお、パナソニックほか他社は、この部分は最上位機だけの機能性というわけでもないです。
酷暑対応は、50度まで対応です。
寒冷地は、本機も、マイナス15度に対応水準とされます。
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以上、U-DRシリーズの紹介でした。
各社の上位機と比べるとやはり、レーダーを利用する制御が魅力です。
「風よけ」にせよ、「風あて」にせよ、エアコンの風に「割と神経質」なかたは、本機を優先候補にして良いでしょう。
また、最も有用に感じるのは「風が苦手」という方が、家族にいる場合でしょう。
東芝の最高級機の場合「無風感」にせよ、「レーダー風よけ」にせよ、直接風が苦手な方が選ぶべき空調に思えます。「風あて」も、冬場で、エアコンがリビングのメイン暖房である場合、有利に思います。
レーダー方式は、暖房効率(体感温度)を上げやすく思うので、快適度を維持したまま、光熱費もある程度節約できそうです。
一方、近年の他社上位機に比べると、加湿・換気などに特別な機能がないのと、除湿部分の機能性が、上位機としては、かなり物足りない部分が弱点です。
次回に続く
高性能エアコンのおすすめは結論的にこれ!
というわけで、今回は、エアコンの比較の9回目記事でした。
記事は、もう少しだけ「続き」ます。
10・エアコンのおすすめ 【まとめ】
=最終的なおすすめの提案【結論】
冷房能力 ★★★★★
暖房能力 ★★★★★
気流制御 ★★★★★
スマホ連携 ★★★★★
異常気象対応 ★★★★★
カビ臭対策 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
続く、10回目記事(こちら)は、結論編です。
ここまで紹介してきた全機種から、Atlasのおすすめといえる機種を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
10回目記事は→こちら!
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