【今回比較する内容】2025年 関東・北陸・甲信越・中部地方のブランド米・産地別・品種別・県別おすすめランキング:地方の珍しい品種のお米の紹介 令和5年産米最新情報
【紹介する主な銘柄】新之助 とちぎの星 ゆうだい21 ミルキークイーン いちほまれ さやか はるみ ふさおとめ つきあかり 富富富 てんたかく ハナエチゼン ハツシモ なすひかり 彩のきずな てんこもり 愛ひとつぶ なつきらり にじのきらめき
今回のお題
レア度が高く、かつ美味しいブランド米はどの銘柄?
どもAtlasです。
今日は、2025年5月現在、最新のブランド米の比較の4回目記事です。
1・特Aブランド米の比較〈全国〉
2・コシヒカリの比較〈全国〉
3・各地のお米の比較 〈北海道・東北〉
4・各地のお米の比較 〈関東・中部・北陸〉
5・各地のお米の比較 〈西日本〉
6・おすすめブランド米まとめ 【結論】
4回目記事では、「関東・中部・北陸地域」で栽培されるブランド米のうち、「レアで入手困難な米」を中心に、Atlasが試食した結果「美味しい」と思った銘柄を中心に比較します。
なお、今回の記事は、日本穀物検定協会 が、2025年2月28日に発表した産地別・銘柄別の最新の試食試験となる「食味ランキング試験」の結果を参考にしています。
特A(39地区)>A(76地区)> Aダッシュ(28地区)
上表のように、特に味の良い銘柄のお米を特A評価とし、以下、A評価・Aダッシュ評価の順で、銘柄・産地ごとにランキングを付けます。
Aダッシュ評価が、全国のコシヒカリのブレンド米とおおむね同等の味との評価です。それより美味しいかどうかで、お米の味を判定しています。
なお、今回のこの試験の概要と結果は、1回目記事(こちら)の冒頭で詳しく説明しました。
4-1・各地のブランド米の比較
1・もっちり・甘い系
2・しっかり・甘い系
3・しっかり・あっさり系
4・バランス重視系
というわけで、以下では、食味検定の結果にふれつつ、各地のお米を、食感の違いから、4つに区分して紹介します。
その上で、最後の「結論編」(こちら)では「今買うべき、最も美味しいお米」を提案していきます。
長い記事ですが、よろしくお願いします。
1・もっちり甘い系のブランド米
はじめに、「もっちり感が強く、お米の甘みを感じられるタイプのお米を紹介します。
ブランド米の最近の「トレンド」といえる食感であり、食味試験では、特A評価を得やすい傾向にあります。
【白米】
1・新潟県産 白米 新之助 5kg
¥5,020〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月末
特長:大粒・甘め・やや粘る
新之助は、2017年に栽培がはじまった、新潟県の品種です。
同県は、「コシヒカリ」の大産地ですが、やはり地球温暖化の問題から、耐暑性の高い品種が目指された結果生まれたものです。
また、魚沼地区以外のブランド米を育成するという側面もありそうです。
2018年から作付面積が相当拡大しましたが、出た当初は、成城石井などにしか並ばない激レア米の1つでしたが、今だと普通にみます。
すぐに検定に出して特Aをとるかなと思っていましたが、全く出しません。
今年も未出品でした。
言いかえれば、出さないままで「全国区」で売れる米になったので、(必要がないので)このまま出さないつもりかと思います。
新米は、晩生種なので、ネットで出まわるのは例年10月末ごろからです。
先祖の経歴は、父は「北陸190号」、母は「新潟75号」です。
いずれも無名ですが、祖父母の代には「どまんなか」「キヌヒカリ」など中堅どころがおり、割と興味深いです。
味の傾向は、「もっちり系」です。
噛むとよく粘ります。
大粒で見映えもよく、米の香り・甘みも強いので、「ゆめぴりか」に似た部分が多いです。こうした傾向から、食味試験向けで、出せば「特A」はとれるかと思いますが、先述の理由から、出しません。
ご飯の甘みは、コシヒカリと同じほどで、ほどよく甘みを感じます。
一方、炊き方にもよりますが、多少かための食感で、ご飯のハリを楽しめるタイプです。
なお、晩生種なので、新米は少し出るのは遅めです。
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以上、新之助の紹介でした。
「もっちり系」の新品種のなかでは、相当の実力を感じるお米です。
登場時、お隣の魚沼のコシヒカリが「特A落ち」した時期でした。その後、出さずに「全国区」になった関係もあり、今後も「食味試験戦線」には出てこないかなと思います。
ただ、少なくとも、統一パッケージで出されている製品は、品質のバラツキも少ない感じなので、地域として生産管理は、しっかりしているように思います。
【白米】
2・栃木県産 とちぎの星 5kg
¥5,680〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:A評価(県北)
特A受賞歴:4回
新米時期:10月下旬
特長:大粒・甘め・冷めても美味しい
「とちぎの星」は、2015年に登場した、栃木県期待のブランド米です。
同県は、「なすひかり」という特A7回受賞のブランド米も抱えますが、全国的知名度はイマイチでした。
しかし、令和元年から2年連続で特Aだった上に、令和の「大嘗祭献上米」となったことで結構注目された品種です。
ただし、23年はA評価、24年はAダッシュ、そして、25年は戻してのA評価です。
新米は、中生種で、二毛作も多い地域なので、ネットで十分出まわるのは、10月下旬頃が多いです。
先祖の経歴は、その「なすひかり」を父に持つ産地期待の「2世タレント」です。
味の傾向は、食味が良く、「もっちり系」に分類できます。
ただし、ゆめぴりかなど強烈な「もっちり系」と比べると、粘りは抑えめです。
ご飯の甘みは、強めです。
大粒のお米を噛むとしっかり感じます。
ご飯はしっかりしたハリがあり、柔らかくないです。
この部分で、水加減によってかための炊き上がりも無難にこなせます。冷めても美味しいですし、カレーなどにも合う点で、普段使いにはぴったりのお米です。
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以上、とちぎの星の紹介でした。
今後の展開にもよりますが、発売後の生産拡大で、品質のバラツキがみられてきた感はあるかと思います。
ただ、当たり年に、生産者不特定の新米食べたときは、かなり美味しかったので、個人的には実力のあるお米の1つには思っています。
【白米】
3・栃木県産 ゆうだい21 5kg
¥9,698〜 楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月中旬
特長:超大粒・強い甘み・粘る
ゆうだい21は、栃木の宇都宮大学が開発した品種です。
2010年に品種登録された製品です。
Atlasも(確かローソンのイベントだったか)その数年後に食べました。その時、抜群に美味しかったので、数年おきで何回か「お取り寄せ」もしていました。
食味試験に出たら「特に気合を入れて」書こうと思っていた品種です。しかし、なかなか出ないので、痺れを切らして書きました。
新米は、そもそも珍しい品種ということもあり、あまり早い時期にはでません。
10月中旬ごろからです。
先祖の経歴は、不明です。
宇都宮大学の農学部のハイブリッド品種試験水田で、1990年に先生が偶然見つけた「極めて大きな稲穂」が起源で、父母とも不明とのことです。
両親とも不明という経歴は今回調べて知りました。栽培品種としては極めて珍しい経歴でしょう。理化学的分析でわかったならば、新聞的にも大きく報道されそうですが、品種自体の特定は現在の科学水準でも難しいようです。
宇都宮大学が種子販売をしており、栃木県以外の農家さんでも栽培があります。
味の傾向は、甘みが強く、もっちり系です。
とくに大粒で食べ応えがあり、冷めておにぎりにしても美味しいです。
早生種の多収量米で、業務用向けだということで、先述のローソン(おにぎり)でイベントをやっていたのだと、記事を書いていて今思い出しました。
ただ、何回か取りよせましたが、(普通に)ゆめぴりかなどと同等の粘性がありつつ、かなりの大粒で、美味しいお米です。あまり浸水せず、適当に炊いても美味しいように思います。す。
ご飯の甘みは、かなりあります。
大粒なのでかみ応えがあり、噛みしめるとしっかり甘いです。
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以上、ゆうだい21の紹介でした。
都道府県の試験場経由の出所でないので、普及が進んでいなかった事情があったようです。ただ、改めて最近、支援プロジェクトが進んでおり、近年、今までよりは(苦労せず)手に入るようになってきました。
最近改めて食べましたが、穀物協会の試験に出せば、(参考品種で)特Aは取れるだろうと思いました。お米の味(性質)も、食味試験で受賞しやすいタイプですし、正直、同県の他のブランド米(も美味しいですが)それより、こちらのほうが「全国区」になりやすいだろうと感じました。
栽培の難しさはあるようですし、あくまでAtlasの考えとしてです。
【白米】(無洗米)
4・長野県産ほか ミルキークイーン 5kg
¥5,938〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
【特別栽培米】
4・新潟県産 ミルキークイーン 5kg
¥6,700〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
【無農薬(JAS有機栽培)】(精米可)
4・山形県・滋賀県産ほか ミルキークイン 5kg
¥----- 楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:9月上旬〜
特長:とにかく粘る・冷えても粘る・もっちり
ミルキークイーンは、1985年つくばの国立農業研究センターで生まれたお米です。
その後、全国各地で栽培されているお米です。
食味試験は、このお米は出された例がないです。
あまりに個性が強すぎるため、各産地の主要品種にはならないからだと思います。
新米は、早生で、かつ全国で出ているので、9月から普通に手に入ります。
コシヒカリの早場米と同時に見かけることも多いです。
先祖の経歴は、この製品は、「コシヒカリ」の変異種となります。
味の傾向は、「粘り」「粘り」「また粘り」です。
もち米を除けば、これ以上に粘るお米は知りません。多少水を少なめに炊いても、まだ粘るので、最終的には他の米と混ぜて炊いたほど粘ります。
上の表を左に大きくはみ出して「もっちり」と言えます。
ご飯の甘みは、ただ、必ずしも、強烈というわけではないです。
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以上、ミルキークイーンの紹介でした。
その特性から、味の面で個性付けしやすいため、全国どこでも作られるようになり、どこでも見かけるため、珍しさには欠けるかもしれません。
ただ、食べたことがない方がいたら、とにかく、個性が強いのでいつもと違うお米を食べてみたい人には最適です。
なお、ミルキークイーンが粘るのは、米粘りを出すアミロース含有量が12%と高いからです。
2・しっかり甘い系のブランド米
続いて、ご飯のハリがあり、噛むと甘いタイプの紹介です。
例外はあるのですが、いわゆる「かためご飯」が好きな人にあうカテゴリです。
【白米】
5・長野県産 風さやか 5kg
¥5,730〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:10月下旬
特長:かため・粒ぞろい・ハリがある
風さやかは、2013年から栽培がはじまった、信州の品種です。
信州は、8割はコシヒカリが作付けされるコシヒカリの大産地で、特A受賞歴も多いです。
こちらは、そのオルタナティブとなる「ブランド米」として期待されて出された品種になります。ただ、流通はほぼ県内に限られる上で、食味試験にチャレンジするような動きもないです。
新米は、10月下旬からネットで多くなる印象です。
信州の中晩生種になります。
先祖の経歴は、父は「北陸178号」、母は「信交485号」です。
祖父にはコシヒカリがいるものの、割と地味めな家系です。
味の傾向は、粘りはほどほどで、バランスが良い系統です。
粘りが勝ちすぎる最近のお米の傾向からすると、飽きずに食べやすいため、希少価値があると思います。
ご飯の甘みは、強烈ではないですが、ほどよく甘いです。
ただ、米の香りは強く、美味しいお米です。
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以上、風さやかの紹介でした。
発売当初に食べた時は、相当程度イマイチな味でした。しかし、2017年頃から県がてこ入れしてから、一般的な流通経路の製品でも味が劇的に改善した品種です。
だいぶ以前試したという方も、もう一度試して良いかと思います。
【白米】
6・神奈川産 はるみ 2kg
¥---- Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:A評価(全県)
特A受賞歴:2回
新米時期:10月下旬
特長:あっさり・つややか・かため
はるみは、2014年に開発されたばかりの神奈川県の地方米です。
作付まもない2017年に「特A」を得て、2年連続で特A評価を受けたという関東期待の品種です。
ただ、生産量の関係で、ブランド米の中でもレア度(稀少性)が相当高く、手に入らない時期が多いです。
残念ながら、ここのところ3年間はA評価に落ちています。
新米は、あまり早くには出まわらず、10月下旬以降にネットではみられるようになります。
先祖の経歴は、父は「コシヒカリ」、母は「キヌヒカリ」です。
両者とも作付面積が多い有名米ですし、こちらは「エリート」的です。
味の傾向は、試食の限り、あまり粘らず、かための「しっかり」系です。
冷めてもさらに硬くなりにくいため、お弁当などにも向きます。
歯ごたえがあるので、しっかり固いご飯で、甘みも欲しい方には向きます。
ご飯の甘みは、特A常連のゆめぴりかやコシヒカリと比較して、同じ程度であり、優秀です。
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以上、はるみの紹介でした。
個人的に、硬めに炊けて、かつほどよい甘さがあるお米も大好きです。
流通量は少なめですが、ネットでは手に入るようになってきているので、一度試すのも良いでしょう。
【白米】
7・千葉県産 ふさおとめ 5kg
¥7,880〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時
今年度評価:A評価(県北・県南)
特A受賞歴:
新米時期:8月下旬
特長:つややか・かため・噛むと甘い
ふさおとめは、1992年から栽培がはじまった、千葉県の品種です。
千葉県は早場米の産地ですが、この品種はとくにそうで、8月半ばには、いつも売り出しがはじまります。Atlasも、晩夏に買うことが割と多いです。
近年は、AとAダッシュを繰り返している状況ですが、今年は、24年の試験と同じくA評価です。
最近は、福井県のハナエチゼンなどの早場米も特Aを貰っていますし、天候次第で、そのうち特Aもあるかと思います。
新米は、早生の千葉産なので、かなり早くに出ます。
8月下旬にはすでにみられます。
先祖の経歴は、父は「ひとめぼれ」、母は「ハナエチゼン」です。
味の傾向は、しっかりしたハリがあり、硬めです。
ご飯の甘みは、標準よりは強めに感じます。
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以上、ふさおとめの紹介でした。
早場米のブランド米という位置づけです。
甘みについては、夏に食べられる(コシヒカリ以外の)新米としては、この部分の期待値は高いです。
早場米としては、かなり高レベルです。
3・あっさり系のブランド米
続いて、あっさりしているお米、歯ごたえを出しやすいお米について書きます。
食味試験では、多少評価が落ちる傾向にありますが、Atlasをふくめ、この食感が好きな人は一定数います。
【白米】(石川県ほかあり)
9・新潟県産 つきあかり 5kg
¥5,980〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:8月下旬
特長:早場米・あっさり・美白
つきあかりは、2016年に品種登録された比較的新しい地方米です。
北陸など全国で作られている、外食産業向けの多収量のお米です。そうした性質もあり、食味試験で見かけたことはないです。
新米は、イネとしては早生種で、実際、早場米として流通します。
先祖の経歴は、父は無名(かばしこ・みずほの輝きの子)、母は「北陸208号」です。
食味と言うより収量を重視した開発だったと言えます。
味の傾向は、こちらも「あっさり」です。
お米はわりと堅めに炊き上がります。さほど大粒でないですが、炊き上がりは真っ白で綺麗です。
ご飯の甘みは、よくかめばそれなりに甘みがありますが、強くはないです。
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以上、つきあかりの紹介でした。
一般流通だと、早場米の時期中心で、あまり見かけることはないお米です。味の面で、若干個性に欠ける感じはあり、イマイチ印象に残らなかったお米です。ただ、系統として、カレー・スープ系には、合いそうです。
【精米】
10・富山県産 富富富 5kg
¥6,350〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:A評価(全県)
特A受賞歴:3回
新米時期:9月中旬
特長:香り高い・ほどよい粘り・甘さ強め
富富富の読み方は「ふふふ」ですが、「謎」な名称の、富山県の品種です。西日本といえるかは「微妙」なのですが、今回は北陸3県は「西日本」にいれています。
2018年に出たばかりのレア製品です。
8割はコシヒカリが占め、特Aも多く受賞する名産地の富山の「新星」です。
食味試験をずっとパスし続けていて「無冠の帝王化」するところでしたが、2021年に初出品され、A評価でした。
今年も同じ評価で5年目です。
受賞日当日の、北日本放送の報道では令和に入って(2019年以降)特Aをとれていないのは、生産者が品質確保対策に取り組んでいる中、非常に残念な結果」(JA会長))とのことでした。
良かれ悪しかれですが、食味検定は、出品地域「全地域のブレンド米での評価」なので、他県の事例をみても生産者丸投げだと、厳しいかな?とは思いました。
また、後述するような理由で、他のお米と比べると個性が「コシヒカリ」と同様なので、出来不出来に影響されやすい側面もありそうです。
その部分で、同県のコシヒカリと、おとなりの県の「いちほまれ」とは比べられるでしょうが、いずれも、25年「特A」だったのは皮肉かもしれません。
ただ、「技術的な改良に取り組む」ようなので、次年度以降に期待です。
新米の時期は、ネットだと、10月上旬あたりからです。
北陸の中生種なので、9月下旬頃が収穫の中心となるお米です。
先祖の経歴は、父は「コシヒカリ富築」と「コシヒカリ富山」の子供、母は「12・9367B」です。
祖先は全てコシヒカリの変異種で、耐暑性やいもち病耐性の遺伝子がある「スーパーコシヒカリ」を配合し、コシヒカリの食味をキープしたまま、地球温暖化などに対処しようという試みのようです。
味の傾向は、粘り気の面では、ほぼ中間です。
粒ぞろいですが、大粒ではないです。食感は、コシヒカリよりは、もっちり感はなく、多少硬めです。
香りはそれなりに強いです。
ハナエチゼンの傾向に近く、しっかりしたハリがあり、硬めです。
ご飯の甘みは、かなり強く、「優秀な遺伝子」を育てた感が強いです。
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以上、富富富の紹介でした。
基本的には、コシヒカリの味を保ちつつ、耐暑性などを付けた品種といえそうです。味も、甘みはより強いですが、似ていると言えばそうです。
コシヒカリをベンチマークにした製品ですから、同じく「コシヒカリをベンチマーク」にする、食味試験(食味ランキング)への参加に慎重なのも当然でしょう。
なお、2回目の【コシヒカリの比較記事】では、自然環境の中で変異したコシヒカリが変異した種を育てた「龍の瞳(いのちの壱)」という品種を紹介しました。
こちらは、試験場での科学的なアプローチですが、面白さを感じました。
【白米】
11・富山県産 てんたかく 10kg
¥5,580〜 楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:9月初旬
特長:甘め・粒ぞろい・しっかり堅め
てんたかくは、富山の地方品種です。
最近は「富富富」や「てんこもり」が全国区ですが、Atlasはこのお米が結構好きです。
2006年に登録されたやや新しめの品種です。どちらかと言えば生産時のタフさ(高温耐性や日照不足耐性)の面で採用された品種であり、食味試験では賞をとりにくい傾向の味なので、出品はありません。
新米は、早生種ですので、割と早い時期にでます。
9月初旬には、ネットや店頭で多くみられます。
先祖の経歴は、父は、北陸を代表する早生あっさり系の「ハナエチゼン」で、母は「ひとめぼれ」です。
これをみて、かなり「納得感」がありました。両者の良いところ取りな、優秀なお子さんに思えます。
味の傾向は、かために炊くと美味しい「しっかり系」です。
ご飯の甘みは、強い傾向で、あまり粘らない点で、山形の雪若丸と似た傾向です。
お米はつややかで綺麗で、粒ぞろいです。
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以上、てんたかくの紹介でした。
しっかり噛んで食べると甘みが出るAtlasが好きな傾向のお米です。
ブランド米を志向するお米でないので、価格も安いですし、この傾向が好きな方には、是非ためしてもらいたい地方品種です。
【白米】
12・福井県産 ハナエチゼン 10kg
¥5,420〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:Aダッシュ
特A受賞歴:2回
新米時期:9月初旬
特長:あっさり・すっきり甘め・ササニシキ似
ハナエチゼン(華越前)は、1993年から福井県で生産している、歴史あるお米です。
関西圏の早場米として流通するお米ですので、この地域の人にはなじみのある品種でしょう。
新米の時期は、とても早いです。9月に入るとすでに普通にあります。
稲としては、極早生であり、まだ暑い時期から美味しい新米が食べられます。
先祖の経歴は、遠い先祖に「コシヒカリ」を持つお米ですが、どちらかといえば、知られていない銘柄を配合した品種です。
味の傾向は、典型的な「あっさり系」です。
適度な甘みはありますが、粘りはあまりない品種です。
その点では、特Aを受賞しにくい品種だと思います。
今年は、昨年同様のAダッシュ評価です。
忘れた頃に特Aを取る品種ですが、今年はその年ではありませんでした。
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以上、ハナエチゼンの紹介でした。
適度に堅くて粒ぞろいなので、お寿司や、お弁当に適しているお米です。収穫時期の早いお米なので、「初ものの時期」にとくにオススメしたい銘柄です。
【白米】
13・岐阜県産 はつしも 10kg
¥12,000 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:A評価(美濃)
特A受賞歴:4回
新米時期:11月上旬
特長:極あっさり・大粒・さめても美味しい
ハツシモは、岐阜県の地域ブランド米です。
1950年の登場で、実はコシヒカリより古いお米です。
しかし、全国にはあまり流通しない珍しいお米です。
こちらは収穫時期が遅いため、新米は11月頃から出はじめる品種です。
食味検査は、コシヒカリを基準にするので「あっさり系」のお米は、受賞しにくいのですが、それでも、特Aは4回受賞しています。
今年は、昨年と同じで、上から2番目のA評価でした。
新米の時期は、遅めです。
晩生種で、ネットだと、市場に出るのは11月上旬あたりからです。
先祖の経歴は、経歴がふるいだけに、有名なお米はありません。
味の傾向は、典型的なあっさり系です。
また、米粒はわりと大粒で、炊いたときの仕上がりはとても見映えがします。
なお、大粒は炊き方(浸水時間など)次第で食感は変えやすいので、「もっちり系」という人もいます。
ご飯の甘みは、さほどないです。
ただ、噛むと甘みと、適度な粘りは感じます。
お寿司やお弁当などには向くでしょう。また、かなり収穫時期の遅いお米なので、季節外れにも、多少、新米に近い味を楽しめます。
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以上、ハツシモの紹介でした。
あまり全国に流通しないお米なので、インターネットで珍しいお米を買いたい場合に良い選択肢でしょう。特長があるため、普段のお米との違いも分かりやすいです。
4・バランス系のブランド米
最後に、米の粘りの点で中間的な性質といえる「バランスの良お米」を種紹介します。
このタイプは、普段の食卓で邪魔にならない「控えめ」な味の炊き上がりで、飽きがこないです。
Atlasは「オールラウンダー系」と呼んでいます。
なお、上の表が変な形になっているのは、「もっちりであっさり」というお米は、世の中に(なかなか)ないためです。
【白米】
14・栃木県産 なすひかり 5kg
¥----- 楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:A評価(県北)
特A受賞歴:7回
新米時期:10月中旬
特長:大粒・ハリがある・かため
なすひかりは、2007年に開発された栃木県の地方米です。
2019年以降、2年連続の特A受賞でしたが、2021年以降は惜しくもA評価が続きます。
先祖の経歴は、父は「コシヒカリ」、母は「愛知87号」という品種です。
耐冷性に富むため、那須地方など寒い地域に気候条件が合っています。
新米の時期は、稲としては早生ですが、若干遅めで10月中旬ごろから多く出まわる感じです。
味の傾向は、「あっさり」と「しっかり」の、中間的な味(バランス系)です。
やや大粒で、ハリがあるため、硬めに炊飯するのが好きな人に向くでしょう。
粘りはさほど感じませんでした。
ご飯の甘みは、良作の時に食べたときは、強く感じました。
ただ、その際も、米の香りはほどほどでした。
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以上、なすひかりの紹介でした。
かためのご飯が好きで、食べ飽きず、割と価格が安い特A米を探している方に良いでしょう。Atlasの好みの系統です。
【白米】
15・埼玉産 彩のきずな 5kg
¥6,000 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:特A(県西)
特A受賞歴:4年連続4回目
新米時期:10月上旬
特長:もっちり・あっさり
彩のきずなは、2014年に開発された埼玉県の地方米です。
全国でも「夏が非常に暑い」地域なので、九州地域のような高温障害に強いお米を目指して開発されました。また、都市近郊で農薬が多く使えないという点で、減農薬にも力を入れている銘柄です。
県西は、4年連続で見事に特Aです。
ただ、埼玉は、県東・県北・県西という区分で、他地域はA・ Aダッシュなので、埼玉県産表記だと、特A地域にあたらない可能性はあります。
地域によっては、そこまでコアな、生産・品質管理はなされていないようなので、ネットで買う場合は、産地に注目すると良いでしょう。
新米は、ネットだと10月に入ってから登場の場合が多いです。
先祖の経歴は、父は「愛知108号」、母は「埼455号」という試験品種で、祖父母の代にも有名品種がないという、「雑草魂」な突然変異種です。収量が多いことでもしられます。
味の傾向は、ほどよいお米の粘りで「もっちり」感がありました。
ご飯の甘みは、甘みは強くは出ずに、淡泊です。
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以上、彩のきずなの紹介でした。
埼玉県は、「彩のかがやき」というブランド米が2005年からあり、そちらは「あっさり系」で、特Aの受賞歴はありませんでした。
したがって、彩のきずなは、短期間で特Aをとれたため、産地で「期待の星」となっているようです。作付面積も全県の10%程に増えてきています。
ただ、先述のように、生産が増えてきた関係もあってか、当たり外れは出てきたかもしれません。低温貯蔵米(玄米)を去年買ったのですが、個人的にもそうでした。
【白米】(茨木ほか)
16・新潟産 にじのきらめき 5kg
¥6,240〜 Amazon.co.jp (5/24執筆時)
今年度評価:(茨城でA)
特A受賞歴:
新米時期:9月下旬〜
特長:大粒・ほんのり甘い・ややあっさり
にじのきらめきは、2018年に開発されたお米です。
特定の産地向けではなく、農研機構が、高温耐性がありつつ収量が多いお米を作る目的で開発したものです。
生産地は、ネットだと新潟が多いですが、そうした事情から各地で作られています。本来的に業務用が主戦場のお米ですが、最近は、スーパー店頭でも見かけます。
食味試験は、2025年の試験で、茨城産が参考出品(収穫量が基準に達しない場合の試験)で、出して、A評価でした。
ただ、こういった多収量米の場合、産地の「当たり年」があるので、数年様子をみないといけません。
新米時期は、収穫地域によります。
早い地域は早いですが、新潟産は9月下旬あたりから、ネットでは見ます。
先祖の経歴は、父は「北陸182号」、母は「なつほのか」です。
なつほのかは、このブログでも紹介している鹿児島の品種で、特Aをとったこともある品種です。その父は「にこまる」ですし、たしかに暖かいところに向くお米で、高温耐性はありそうです。
味の傾向は、バランス系です。
あまり粘らず、ほどよく甘い感じで、食べ飽きない味と言えます。
ただ、ご飯がさめると、甘さの落ちがわりとある印象で、その場合もう少し「あっさり」よりとはいえます。
粒ぞろいではないですが、目に見えて大粒で食べ応えがあるタイプです。収量が多いというのは、粒の大きさの部分もありそうです。
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以上、にじのきらめきの紹介でした。
おそらく、今後も食味試験にはでないでしょうし、主には業務用で、スーパーなどでは「ブレンド米(無印米)」として売られることも多かろう品種でしょう。
また、生産地全体では品質管理はされないタイプなので、買われる産地(農場)によって、味の差はありそうです。
Atlasが食べたのは、ただ、個人的にはわりと好きな味でしたので、今回紹介した次第です。
実際、年1回くらいならば、お米の味に「変化球」を付けたいとき、選んでもよいかなと思っています。
【白米】
17・富山県産 てんこもり 5kg
¥---- 楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:A評価
特A受賞歴:2回
新米時期:10月中旬
特長:甘みが強い・やや粘る・炊き分けしやすい
てんこもりは、「ふふふ」と同じ、富山県の品種です。
「西日本のお米」かと言われると微妙ですが、北陸はこちらに組み入れています。
2009年からの品種で、過去に2回の特A歴がありますが、最近はずっとA評価です。
最近は、「ふふふ」のプロモーションのが盛んですが、しばらく前は、こちらも割とありました。
新米の時期は、10月中旬ごろからといえます。
稲としては中生種で、9月末あたりに収穫です。
先祖の経歴は、父は「富山36号」、母は「と系1000」です。
収量が多めの晩成種で、かならずしも、味を重視したエリート配合ではない出自です。
ただ、実際に食べると、結構実力が高いことが分かります。
味の傾向は、「もっちり」寄りのバランス系です。
ご飯の甘みは、かなり強く、印象に残ります。
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以上、てんこもりの紹介でした。
富山のご当地米としては「ふふふ」より注目されていませんが、コシヒカリ系のアップデートとしては、割と良いと思います。
メインにしていくには、晩成種という点がネックなのでしょうか。
【白米】
18・愛知県産 愛ひとつぶ なつきらり 5kg
¥----楽天市場 (5/24執筆時)
今年度評価:
特A受賞歴:
新米時期:8月下旬
特長:粒ぞろい・程よい粘り・噛めば甘い
愛ひとつぶは、愛知県のブランド米です。
品種名としては、2014年登場の「なつきらり(愛知123号)で、認証生産者限定で、基準を満たしたお米だけ「愛ひとつぶ」というブランド名を名乗れます。
その意味では今回の紹介の趣旨からすれば「なつきらり」という品種の紹介と言えます。
食味試験は、24年に続き未出品です。
なお、2023年は、参考出品でAダッシュでした。
新米の時期は、早生種で、8月下旬からです。
「愛ひとつぶ」はネットでは少し遅めでしたが、地域の中心産地(西尾市)あたりで、2年サイクルでの麦・大豆との連作をしている関係のようです。
先祖の経歴は、特徴的です。
コシヒカリと同じ試験品種(TS-3)を4世代交配しています。
TS-3の親は(個人的に懐かしい)トドロキワセです。Atlasの小さい頃、親戚が作っていました。いずれにしても、コシヒカリの食味を手本にしながら、地球温暖化による高温耐性をつけるために育成された品種と言えます。
早くから出まわる品種なのは、こうした経歴からも納得感があります。
味の傾向は、「バランス系」に思えます。
噛めば甘みもありますし、ほぼよい粘りもあります。
炊き方によっては粘るので、もう1つ「もっちり・甘い」よりな評価でも良かったかなと思います。そのため「暫定評価」です。
先述のように、「愛ひとつぶ」で売られる限りにおいて、生産者を限定し、厳しめの出荷管理をしているタイプなので、ネットで買っても「ハズレが少ない」と言えます。
実際「粒ぞろい」です。
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以上、愛ひとつぶの紹介でした。
コシヒカリに似た食味ですので、「もっちり・甘い系」かなと思いましたが、抜群の個性はなく、どちらかといえばバランス系で、何にでも合いそうなお米です。
食味試験だと「なつきらり」として、生産者限定で出品できない部分があり、A’(Aダッシュ)評価に止まった感じです。しかし(ブランド名としての)「愛ひとつぶ」」としては実力は感じました。
この点で、単純に高温耐性がある新品種というだけではなく、味の面でもポテンシャルがある品種なのだと思います。
次回に続く!
美味しい!ブランド米のおすすめは結論的にこれ!
というわけで、今日は、お米の比較の4回目記事として、関東・中部・北陸地域のお米を品種別に比較しました。
しかし記事は、まだまだ「続き」ます。
1・特Aブランド米の比較〈全国〉
2・コシヒカリの比較〈全国〉
3・各地のお米の比較 〈北海道・東北〉
4・各地のお米の比較 〈関東・中部・北陸〉
5・各地のお米の比較 〈西日本〉
6・おすすめブランド米まとめ 【結論】
レア度 ★★★☆☆
減農薬 ★★★★★
食味値 ★★★★★
生産管理 ★★★★☆
総合評価 ★★★★★
その上で、最終回となる結論編(こちら)で、このブログで紹介した全てのお米から、Atlasの今年度のおすすめ米を最終的に提案していきます。
引き続き、よろしくお願いします。
5回目記事は→こちら
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1・3合炊き小型炊飯器【〜3万円】
2・5合炊きの高級炊飯器【3万円〜】
3・5合炊きの格安炊飯器【〜3万円】
4・一升炊きの高性能炊飯器【3万円〜】
5・一升炊きの格安炊飯器【〜3万円】
6・糖質カット/麦向き炊飯器
7・炊飯器の選び方 【まとめ記事】
そのほか、上記の記事では、最新の「炊飯器」の性能を巡る現状や選び方について、Atlasの視点からまとめています。
今回の記事との関連で言えば、穀物検定協会が「特A」を選ぶ際の食味検査に使っている炊飯器(の後継機)も最後の記事で紹介しています。
興味のある方は、こちらの記事もよろしくお願いします。