1回目記事からの続きです→こちら
4-1・Chordのポタアンの比較
4回目記事のトップバッターは、イギリスのCHORD製品です。
1・ポータブルアンプの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:FiiO〈中国〉
1-3:Radius〈日本〉
2・ポータブルアンプの比較 (2)
2-1:iFI Audio〈台湾〉
2-2:Shanling〈中国〉
3・ポータブルアンプの比較 (3)
3-1:iBasso Audio〈中国〉
3-2:ikko Audio〈中国〉
3-3:Astell&Kern 〈韓国〉
3-4:Hidizs〈中国〉
4・ポータブルアンプの比較 (4)
4-1:CHORD〈イギリス〉
4-2:他の企業〈各社〉
4-3:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿いながら各機を見ていきます。
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引き続き、以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【2021年発売】
42・Chord Electronics Mojo 2 CHO-MOJO2
¥73,000 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:約8時間
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C 光 同軸 M-USB
出力端子:3.5mm ×2
出力〈30Ω):600mW(4.2Vrms)
ノイズフロア:
サイズ:幅83×高さ62×奥行22.9mm
重さ:185g
対応:iPhone Windows Mac Android
MOJO 2(モジョ)は、英国の音響メーカーのChord Electronicが発売する、小型のポータブルアンプです。
2015年の発売で、業界で初めて768kHz/32bit対応を表明した機種です。サンプリング周波数の広さから、オーディオフリーク中心に人気が出ました。
2021年に久しぶりに出た新機種が本機となります。
重さは、180gです。
高性能なポータブルヘッドホンアンプとしては軽量です。
バッテリーも、8時間と十分な水準です。
DACは、引き続きXilinxのArtix7 FPGAを採用しています。
かなり早い段階で、高いサンプリング周波数に対応したチップです。
この部分は基本的に旧機と同じですが、新機種は、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を新開発のロスレスDSP(UHD DSP)にして解析力を高めた点がポイントです。
それを活かして、周波数帯域ごとに18段階の調整を可能にしたほか、4段階のクロスフィード機能を新設して、(自然に)立体的な音響を再現できるようにしました。
方向性として、最近流行している音質に対応した形ですが、良い進化でしょう。
オペアンプは、型番は非公開です。
サンプリング周波数は、768kHz/32bitです。
以前はこの部分が「売り」でしたが、最近は他社も追いついています。
そのため、先述のようにDSPに手を付けたと言えるかもしれません。
USB-C入力・同軸端子のほか光入力端子があります。光端子の場合は、192kHz / 24bitが最大です。
なお、MQAのデコードは対応しません。DSDは512
音圧は、600mWです。
マックスもシングルエンドで、4.2Vrmsですので、強力です。
ノイズフロアは、数値は非公開です。
ただ、言うまでもなく、ここは問題ありません。
音質は、音の分解性・立体感は定評があります。
また、新世代のデジタル信号処理技術で最近注目される FPGAを最大限活かした設計で、音のスピード感、ノイズ処理、分解性などを高める工夫がなされます。
また、外観は「玩具」っぽいですが、飛行機グレードのアルミニウムを採用しています。
スマホ・PCとの接続は、Bluetoothは非対応です。
ケーブルは、未付属です。
この場合の選び方の基本は、記事冒頭で説明した通りです。
ヘッドホン出力は、3.5mmのステレオミニジャックのみ対応です。
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以上、MOJO 2の紹介でした。
ポータブルアンプとしては「ハイエンド級」ですので、値段も相応です。
どちらかといえば、「よい音を聴く」というより「音をいじって遊ぶ」方向けですが、その部分で高度です。技術的にも独自の路線を行っており、面白いポタアンです。
【2017年発売】
43・Chord Electronics Hugo 2 Black
44・Chord Electronics Hugo 2 Silver
¥275,000 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:7時間
Bluetooth:対応
コーデック:Apt-X
入力端子:USB-C 光 同軸 M-USB
出力端子:3.5mm ×2
出力〈33Ω):740mW
ノイズフロア:
サイズ:130x100x22mm
重さ:450g
対応:iPhone Windows Mac Android
Hugo 2 は、英国の音響メーカーのCHORDが発売する超高性能なポータブルアンプです。
前モデルのHugoの後継機種として2017年に発売されたものです。
DACは、MOJOと同じく、XilinxのArtix7 FPGAを採用します。
オペアンプは、型番は非公開です。
サンプリング周波数は、Mojoと同じです。
USBと同軸に対応する点、光デジタル入力の場合のボトルネックも同様です。
音圧は、740mWです。
ノイズフロアは、数値は非公開です。
音質は、パーツを含めて性能はこちらが圧倒します。
面白いのは4種のデジタルフィルターです。
MOJOは、アンプ独自の「味付け(スムースさ)」をしますが、同機は、リファレンス用に4種類のフィルター調整が選択可能です。
また、同社のFPGA技術を活かしながら、プロ用機材と言えるハイエンドのDAVEでも使われるWTA ( Watts Transient Aligned ) フィルターを採用します。D/N比の向上やノイズ処理について、価格相応に高度化しています。
一方、発売時期の関係で、先述のDSP部分の工夫は導入されていません。
スマホへの接続は、対応します。
ただ、iPhoneの場合、基本的には下位機種と同じ接続方法を盗ってください。
Bluetoothにも対応します。
ただし、CD音質のaptXのみなので、ハイレゾには対応できません。
ヘッドホン出力は、3.5mmのステレオミニジャックが1系統のほか、6.3mmのヘッドホンジャック、RCA出力に対応します。
バランスは対応しません。
そのほか、リモートコントローラーが付属です。
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以上、Hugo 2 の紹介でした。
微少な音まで再現する解像度の高さは、音自体を楽しみたい方には試す価値があると言えます。
ただ、MOJOのバージョンアップがあったので、本機もそろそろ新機種に更新されるような気はします。
4-2・その他のヘッドホンアンプの比較
最後に、ここまでみた以外のポタアンをメーカー横断的に「ざっくり」見ていきます。
【2023年発売】
45・カイン Cayin RU7
¥44,990 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧:160mW(400mW)
サイズ:24×66×.12mm
重さ:26g
対応:iPhone Windows Mac Android
Cayin RU7 は、中国のカイン(Zhuhai Spark Electronic Equipment)が販売するポタアンです。
Atlasが最近面白そうと思ったものです。日本のコペックが輸入しています。
重さは、25gです。
DACは、1-Bit DSD DACです。
正確には「フルバランス抵抗ネットワークDSDフォーマット用ディスクリート1-Bit DAC」という名前です。個別部品を独自に集積させているので、型番はないです。
マルチビットDACではないのは珍しいですが、128個の精密被膜チップで独自に組んでいます。アナログ部とデジタル部を完全にわけたノイズ対策をした上で、FlacなどのPCMベースの音源も、デジタル信号をDSD音源に自動変換する仕組みで、再生します。
オペアンプ(6863D)は型番があります。アンプはデュアル構成です。
音質は、1bitは一般的に「味付けの少ない」素直な特性になる傾向と言えます。
また、解像感が高い方式と言えますが、海外レビューなどをみると、やはりその特質はあるようです。先行していた同社のハイレゾプレーヤーと同じ傾向です。
バッテリーは、USB給電です。
サンプリング周波数は、384kHz/32bitです。
現行水準とはいえますが、MQAのレンダリングには対応しません。
音圧は、小型機ながら、160mWです。
ノイズフロアは、情報が非公開です。
Cayin CS-L2Cケーブル
¥2,970 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
スマホ・PCへの接続は、USBのみ対応です。
ケーブルは、USB-C to USB-Cは付属です。
iOS系の旧Lightningについては、純正のOTGケーブルが市販されます。
ヘッドホン出力は、3.5mmのステレオミニジャックと、4.4mmmのバランスとなります。
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以上、 Cayin RU7 の紹介でした。
サイズ制限があるなかで1bitアンプを組み上げて製品化している製品です。組み上げ部分も(おそらく)自社なので、競合他社も類似品を出しにくいと言え独特でしょう。
この系統の音は、個人的に合う場合が多いので、今、強烈に欲しい製品です。試したら加筆しようかと思います。
今回の結論
ポータブルヘッドフォンアンプのおすすめは、結論的にこれ!
というわけで、今回は、ポータブルヘッドフォンアンプを紹介しました。
最後に、いつものように、Atlasのオススメ機種を提案しておきます。
第1に、スマホとPC両方の「音質向上」が狙えるBluetooth対応のポタアンとして、総合力が高い製品は
【2023年発売】FiiO BTR5後継機
1・FiiO BTR15 FIO-BTR15-B
1・FiiO BTR15 FIO-BTR15-L
¥19,233 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:9時間
Bluetooth:Bluetooth 5.1
コーデック:aptX-HD LDAC ほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧(32Ω):125mW×2(340mW×2)
ノイズフロア:2μV(2.7μV)
サイズ:72.2x32x12.5mm
重さ:37.3g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★☆
対応音源の幅 ★★★★☆
スマホ接続 ★★★★★
バッテリー ★★★★★
総合評価 ★★★★★
FiiO BTR15はでしょう。
このニーズに適うのは、やはり、ある程度小型軽量機である上で、単独のバッテリーを積みつつ、Bluetooth接続・バランス出力に対応する機種が良いです。
加えて、音質面で工夫のある機種であったら最高です。
その点で、本機を「オススメ」にしました。
Bluetooth接続は、、LDAC・Apt-X HDというハイレゾ対応音源に対応できる、Bluetooth接続機である点を評価しました。
通信安定性の高いBluetooth5.0に対応という部分も評価できます。
また、PC用として小型USB-DACとして利用する場合、384kHz/32bitに対応できます。
MQAのデコードにも対応しますし、仕様も現代的です。
やや価格は高めですが、スマホとPCで「2つの楽しみ」がある点で、お得感を感じます。
FIIO OTGケーブル FIO-LT-LT2 Lightning to USB-C
¥2,430 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
なお、ケーブルは、USB-Cは付属です。
ただ、Lightningについては別売になります。
自社製がありますので、問題ないです。
音質の面では、ESSのDAC+アンプ統合型チップ「ES9219MQ」を搭載します。
2022年頃から採用機出はじめたもので、ノイズ対策がありつつパワフルなのが売りです。
左右独立構成で2機のDACで、シングルエンド時も両方のDACを使う仕様ですし、構成的にも新しいと言えます。
1・ハイレゾ対応ヘッドホンの比較
2・ハイレゾ対応イヤホンの比較
音質重視のモデルは他にありますが、特に、iOS系は特にケーブルが煩雑になりがちです。その点で、「気軽さ」を重視するならば、Bluetooth搭載の本機でしょう。
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【2025年発売】
18・SHANLING UP6
¥30,690 Amazon.co.jp (5/28執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:15時間
Bluetooth:対応
コーデック:aptX-HD LDAC ほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
出力〈32Ω):195mW(626mW)
ノイズフロア:
サイズ:68x39x14.5mm
重さ:51.2g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★☆
音質の良さ ★★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ接続 ★★★★★
バッテリー ★★★★★
総合評価 ★★★★★
一方、予算面で余裕がある場合で、より音質を重視したい場合、SHANLING UP6はより良い候補です。
重さは、51.2gです。
同じ、DACを使うFiiO BTR17より軽めです。
外出先でバックインしてBTで使うような感じならば、十分軽いです。
DACは、ESSのES9069Qのデュアル構成です。
2023年登場で、低消費電力・低ノイズが特徴の新型で、その部分でも面白みがあります。
本機は、電力供給も十分で、低ジッターです。
デスクトップモードだけでなく、フルバッテリー駆動で最大最大626mWですし、パワフルです。
持続時間は、LDACをBluetoothで利用した場合、シングルエンドで6.5時間、バランスで4.5時間との記載です。
長いとも言えませんが、ハイレゾ時ですし、必要十分かと思います。
コーデックも、ハイレゾ用の「aptX HD・LDAC」に対応です。
バランス接続は、4.4mmで対応です。
3.5mmのステレオ接続でもデュアルDAC活かせますし、無駄にはならないです。
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【2024年発売】
2・FiiO BTR13 FIO-BTR13-B
2・FiiO BTR13 FIO-BTR13-L
¥11,998 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 96kHz/16bit
バッテリー:8時間
Bluetooth:Bluetooth 5.1
コーデック:aptX-HD LDAC ほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧(32Ω):100mW×2(220mW×2)
ノイズフロア:1μV
サイズ:幅63.2x奥行30x高さ18.8mm
重さ:28.6g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★☆
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ接続 ★★★★★
バッテリー ★★★★★
総合評価 ★★★★★
一方、完全に「スマホ利用」でのBluetooth DACをお探しで、1万円前後の予算で考えるならば、 FIO-BTR13は割と良さそうです。
DACは、最近はよく見る、シーラスロジックのCS43131のデュアルですし、堅実です。
サンプリング周波数は、96kHz/16bit です。
スマホで、Bluetoothで使うにせよ、有線で使うにせよ、定額音楽サービスでよく見る、Flacの通常ハイレゾ音源が普通に使えます。
冒険した構成でな部分で、ノイズフロアも良いですし、個人的に、この価格では最もバランスが良い製品に感じています。
予算があれば、先ほどの同社の上位機でも良いですが、スマホで使うならば、これでも十分以上でしょう。
小型機ですが、操作ディスプレイもあり、使い勝手も良いでしょう。
第2に、スマホ・タブレット・小型ゲーム機などの気軽な「音質向上」目的に向いた、超軽量小型機としておすすめなのは、
【2025年発売】B0DMDWDYQ7
30・iBasso Audio iBasso Jr. Macaron
¥9,405 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm +4.4mm
音圧〈32Ω):85mW
ノイズフロア:1μV前後
サイズ:幅24.0 x 奥行41.7 x 高さ12.3mm
重さ:16g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★☆
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ接続 ★★★★★
バッテリー ☆☆☆☆☆
総合評価 ★★★★★
一方、特にサイズに注目する場合、同社のiBasso Jr.は、候補です。
サイズは、幅24.0 x 奥行41.7 x 高さ12.3mmです。
重さも、16gです。
この用途の場合、軽量であるに越したことはないですし、用途に向きます。
音質部分も、384kHz/32bit対応な上で、デュアルDACという分かりやすい上位技術も搭載です。
軽量機は、ほかにもありますが、定評のあるシーラス・ロジックのCS43131をデュアルで採用して、このサイズというのは、評価できます。
ジッター対策でKDS社製フェムト秒水晶発振器の記載ですし、軽量機としては、しっかりした仕様と言えます。
接続は、バランス4.4mmほか、3.5mmのシングルエンドにも対応できます。
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【2023年発売】
45・カイン Cayin RU7
¥44,990 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧:160mW(400mW)
サイズ:24×66×.12mm
重さ:26g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ接続 ★★★★★★
バッテリー ☆☆☆☆☆
総合評価 ★★★★★★
一方、値段部分を度外視するならば、小型機の中で技術面で圧倒的に「面白い」とったうのは、Cayin RU7 です。
言うまでもなく、自社で組んだ、1-Bit DSD DACを採用するからです。
価格は高いですが、素直で、解像感が高い特性は、ハイレゾ時代にこそ向くように思います。
個人的には、(自分用に)今買うならばこれかなと思います。
Cayin CS-L2Cケーブル
¥2,970 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
なお、iOS系の旧式のLightningケーブルも別売で展開があります。
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【2023年12月発売】
38・Astell&Kern AK HC4 IRV-AK-HC4
¥34,682 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧(32Ω):
ノイズフロア:
サイズ:幅29.5×高さ64.5×奥行14.5mm
重さ:31g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ接続 ★★★★★
バッテリー ☆☆☆☆☆
総合評価 ★★★★★
そのほか、この用途の高級機としては、Astell&Kern AK HC4 Moon Silver も良いでしょう。
とくに、あまり詳しくない方が「気軽な高音質化」を目指したい場合、本機は良さそうです。
DAR(デジタルオーディオリマスター)機能を搭載するためです。
この場合、スマホ経由で、ハイレゾ音質に満たない定額音楽サービスの音源を、特に設定せずとも、 機器側で384kHz/32bitまで自動で「アップグレード」できます。
たしかに、アップサンプリングした音質は「好き好き」があります。ただ、この機能は、ボタンで簡単にON/OFFできますし、カジュアルに「高解像度」を試せると思います。
そのほか、しっかりと、ノイズ対策もありますし、DACもAKM AK4493Sのデュアルで、スマホの消費電力にも配慮があります。
全方位的に「今どき」な仕様なポタアンだと思います。
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【2024年発売】
32・iBasso Audio DC-Elite
¥73,260 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 32bit/768kHz
バッテリー:
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C /Lightning
出力端子:3.5mm +4.4mm +同軸
音圧〈32Ω):162mW(280mW)
ノイズフロア:0.8μV (0.9uVrms)
サイズ:64×35×14.5mm
重さ:60.5g
対応:iPhone Windows Mac Android
一方、iBasso Audioの DC-Elite は、「金に糸目をつけない」感じで言えば、高音質音源の再生においては現状で最も期待できる製品です。
クラシック音楽向けに開発した、ロームのDACは空間の響き、静寂性・スケール感を重視したものとされますが、これはiBasso Audioの開発とかなりマッチしている気がします。
【2024年発売】
31・iBasso Audio DC07PRO
¥33,660 楽天市場 (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:USB給電
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm +4.4mm +同軸
音圧〈32Ω):118mW(430wW)
ノイズフロア:01μV
サイズ:59mm×23.4mm×12.5mm
重さ:23g
対応:iPhone Windows Mac Android
ただ、小型の持ちはこび用ポタアンで、この価格というのは「さすがに高すぎる」と思います。
その場合、同じくノイズの少なさ特徴としつつ、同社の得意なCS43131をクアッドDAC(4DAC)にした下位機が選択肢です。
この構成も面白いですが、先ほどみたカインやAstell&Kernも個性があるので、そちらとの比較にはなるでしょう。
その点で言えば、できれば、上位機と同じアンプを使った下位機を出して欲しいかなと(個人的には)思います。
第3に、自宅のPCで利用する方に向く、1ランク上の音質を期待できるポータブルアンプは、
【2021年発売】
19・iFi xDSD Gryphon
¥82,500 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 768kHz/32bit
バッテリー:6時間?
Bluetooth:対応
コーデック:aptX-HD LDAC ほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧〈32Ω):320mW(1000mW)
ノイズフロア:
サイズ:幅75×高さ19×奥行123mm
重さ:215g
対応:iPhone Windows Mac Android
軽量性 ★★★☆☆
音質の良さ ★★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★★
スマホ利便性 ★★★★☆
バッテリー ★★★★☆
総合評価 ★★★★★
iFi xDSD Gryphonでしょう。
先述のように、日本勢が壊滅状態ですが、iFi Audioならば、日本に入ってきて長いですし、しっかり新機種に定期的に更新しており、信頼性が担保されますので。
DACは、(今は吸収されてしまった)バーブラウンにこだわる同社らしくDSD1793です。
ある種同社の「哲学」とも言えますし、見どころとも言えるでしょう。その他のパーツも、しっかり情報開示があり、考えて使っています。
(Bluetoothだけでなく)しっかり、有線接続時の音質もフォローしている機種は、この価格帯では本機くらいしかないかと思います。
サンプリング周波数は、 768kHz/32bitまで対応します。
この部分で、「良い音を聴く」というより「音で遊びたい」上級者も満足するでしょう。
また、音源部分でもMQAのデコードに対応できるため、Bluetooth接続が不要ならば、10万円以下のレベルだと、本機が良いかと思います。
利便性の部分でも、Bluetoothのコーデックは、ハイレゾ対応のaptX HD LDACを含めて対応します。
場合によっては、ワイヤレスでも利用できる点も本機の良い部分でしょう。
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【2023年発売】
15・ iFi audio iFi hip-dac3
¥35,200 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 384kHz/32bit
バッテリー:8時間
Bluetooth:
コーデック:
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm + バランス (4.4mm)
音圧〈32Ω):280mW(400mW)
ノイズフロア:
サイズ:102x70x14 mm
重さ: 125g
対応:iPhone Windows Mac
軽量性 ★★★★★
音質の良さ ★★★★★
対応音源の幅 ★★★★★
スマホ利便性 ★★★★☆
バッテリー ★★★★★
総合評価 ★★★★★
一方、音質重視でかつ、やや予算を節約して、「5万円以下」で考えるならば、iFi hip-dac 3でしょう。
Bluetoothに未対応ですが、その分安いと言えます。
DACも、同社がこだわるバーブラウンのDSD1793のようですし、定評のある同社のサウンドの特性は本機でも味わえます。
今回の改良で、水晶発振器の世代更新されましたし、同社の独自技術となるインイヤーモニター(IEM:高性能イヤホン)用の出力切替も加わりました。
一方、この価格帯にはライバルも多いですが、疑似的な「バランス出力」として4極の効果を得られるS-バランス接続に対応しますので、(一般的な)3.5mmのステレオ端子での接続では特に音質が期待できます。
バランスケーブルに替える予定がないならば、むしろ本機でしょう。
音質部部も、XBass対応で低音を補強できますし、音源的にもMQAに対応できます。
個人的には、このタイプで、最近発売したこのタイプの製品の中では、これ最も良いかなと思います。
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【2024年発売】
11・FiiO Q15 FIO-Q15-B
11・FiiO Q15 FIO-Q15-T
¥65,657 Amazon.co.jp (6/17執筆時)
サンプリング周波数: 32bit/768kHz
バッテリー:最大12時間
Bluetooth:5.0
コーデック:LDAC Apt-x Adptほか
入力端子:USB-C
出力端子:3.5mm +4.4mm
音圧(32Ω):625mW(1610mW)
ノイズフロア:
サイズ:143.5×71.8×21.8mm
重さ:305g
対応:iPhone Windows Mac Android
ただ、値段を考えずに言えば、個人的にはFiiO Q15もかなり気になります。
先述のように、旭化成が(火災以後)おくれて出してきたハイエンドのDACとなるAK4499EX + AK4191EQの構成だからです。
シャンリンのSHANLING H7が同じ構成で選考していましたが、価格的にはこちらかなと思います。
出されたスペック値を見てもこの価格クラスだとかなり良くみえるため、相当程度、試したいと思える製品です。
とくに「デスクトップモード」を利用した場合、音圧がかなり強力なので、自宅でも色々楽しめそうな部分が評価できます。
ただ、重さ面で、305gなので、使途は選ぶと言うことは付記しておきます。
補足:ハイレゾ再生に必要な機器について
というわけで、今回は、USBポータブルヘッドフォンアンプの話でした。
なお、このブログには、ハイレゾ再生に対応する音楽関連機器について、以下のような比較記事があります。
1・ハイレゾ対応ヘッドホンの比較
2・ハイレゾ対応イヤホンの比較
先述のように、ハイレゾ音源に対応するためには、再生機器側の対応も必須です。
ポタアンと一緒にそうしたヘッドホンを探している方、「ハイレゾ対応」製品を紹介したこれらの記事もよろしくお願いします。
3・Bluetoothヘッドホンの比較
4・左右直結型Bluetoothイヤホンの比較
5・完全ワイヤレス(TWS)イヤホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ノイキャンイヤホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
8・ウェアラブルネックスピーカーの比較
10・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】
その他、再生機器については、総計で8つの記事があります。こちらもよろしくお願いします。
なお、11番は、「多すぎて選び方が分からない」傾向のあるこれらの商品をAtlas流に「まとめ」ています。
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最後になりましたが、もし今回の記事がお役に立ったようならば、Twitter Facebook はてなブックマークなどで話題を共有していただければ、嬉しいです。