1回目記事からの続きです→こちら
2-1・キヤノンのギガタンクプリンタ
2回目記事のトップバッターは、キャノンの発売する、「特大容量」インクタンク搭載プリンターです。
2018年からの展開で、先発のエプソンのエコタンクプリンタをベンチマークしたものです。「ギガタンク」と呼んでいます。
1・エコタンク搭載プリンタの比較
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:エプソン
2・ギガタンク搭載プリンタの比較
2-1:キヤノン
3・ビジネスプリンタの比較(まとめ)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿いながら、各機をみていきます。
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また、以下では、Atlasのおすすめポイントは赤系の文字色で、イマイチと思う部分は青字で記していきます。
Windows 7〜11 MacOS 10.10〜15
【2019年発売】
【A4 複合機】
15・Canon 特大容量ギガタンク G6030
¥34,473 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
スキャナ:1200dpi
サイズ:幅403×奥行369×高さ195mm
【A4 プリンターのみ】
16・Canon 特大容量ギガタンク G5030
¥29,873 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
スキャナ:1200dpi
FAX:上位機のみ
ADF:
サイズ:幅403×奥行369×高さ166mm
【A4 モノクロプリントのみ】
17・Canon 特大容量ギガタンク GM2030
¥21,873 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
スキャナ:1200dpi
FAX:上位機のみ
ADF:
サイズ:幅403×奥行369×高さ166mm
耐久性能:6万ページ
インク代:カラー1.0円・モノクロ0.5円
印刷速度:カラー6.8枚/分・モノクロ13枚/分
接続方法:無線LAN 有線LAN USB
両面印刷:搭載
給紙容量:250枚
FAX:
ADF:
保証:1年間(持込修理)
G6030は、キヤノンの「特大容量タンク搭載のA4複合機」の上位機です。
バリエーションとして、プリンタ機能のみのG5030とさらに、モノクロ印刷にだけ特化したGM2030もあります。
本体サイズは、約403×369×195mmです。
プリンタのみの機種は背の高さが166mmですので、多少ですが設置性は良いです。
複合機だと、多少大きいですが、許容範囲でしょう。
【黒6000ページ・カラー7700ページ】
GI-30PGBK ブラック
¥2,091 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
印刷コストは、A4カラーで、1枚1.0円、A4モノクロで、1枚0,5円です。
コストはエプソンの入門機に比べても安めです。
印刷可能枚数は、1本でカラー7700枚・ブラック6000枚です。
初期添付されるタンクも同じものですが、黒ボトルが2本付属で、「お買い得感」があります。
交換方式は、エプソン同様にボトル式です。
ただ、エプソンの下位機や同社の上位機に比べると、入れやすさの工夫はイマイチです。
インク構成は、インクが、黒のみ顔料インク、カラーが染料インクです。
構成としては、エプソンの下位機と同じです。
印字品質は、ブラックインクが改良され、また黒ノズルが倍増されている点が目を引きます。
ただ、キヤノンの(大容量ではない)プリンターに較べると、4ヘッドで合計1792ノズルのレベルなので、密度は粗いです。
ようするに、エプソンのPrecisionCoreプリントヘッド未採用機と同じ水準です。
プリント速度は、A4印刷時、カラー6.8枚/分、モノクロ13枚/分です。
カラーは、多少「遅い」ですが、問題ない水準でしょう。
スキャナ・コピー機能は、先述のように、上位機のみ付属です。
ADF(原稿自動送り装置)は、ただ、上位機も付きません。
ファックス機能は、付属する機種がないです。
給紙トレイへは、最大A4までのトレイが2段で、合計500枚です。
使い勝手の部分では問題ないでしょう。
自動両面印刷は、「対応」します。
PCとの接続方法は、USB・有線LANのほか、無線LANが搭載されます。
無料アプリのEpson iPrintに対応し、スマホ・タブレットからのダイレクトプリントが可能です。
ネットワーク連携は、一方、キヤノンは、自社サーバーを用意しません。
そのため、クラウド連携などはスマホアプリベースの操作であり、直接的にクラウドに転送、あるいは、クラウドからプリントは不可です。
個人用には便利ですが、組織では不便という感じです。
耐久性は、6万枚です。
情報開示がある点で親切ですが、さほど高耐久ではないです。
【4色必要】
プリントヘッド BH-30
¥1,900 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
メンテ性は、キヤノンはプリントヘッドをユーザー交換できる仕様です。
基本、耐用枚数内は保つと思いますが、使い方(経年)によっては交換が必要になります。一般的には、メーカー保守ですので、費用は安く済みます。
一方、本機の場合、エプソンと異なり、ユーザーが交換できるメンテナンスボックスは非対応です。
その代わり、余裕を持ったインク吸収体(廃インク吸収パッド)が備わるのですが、ユーザー交換不可(このグレードは修理費が高めで2.31万円)です。
モノクロビジネス文書中心の普通の使い方ならば「目安耐久性(6万枚)」までは保つような設計におもいますが、使い方によっては「修理費」がかかるのが問題点です。
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以上、キヤノンのG6030などの紹介でした。
ヘッド性能があまり良くない上で、染料インクを併用する機種なので、ビジネス用として画質はイマイチです。先述のメンテ性も注意点です。
そのほか、利便性の面で、液晶がカラーでない点に注意が必要です。
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Windows 7〜11 MacOS 10.10〜15
【2019年発売】
【A4カラー複合機】(FAX付属)
18・Canon 特大容量ギガタンク G7030
¥(48,442) Amazon.co.jp (5/16執筆時)
【A4モノクロ複合機】(FAXなし)
19・Canon 特大容量ギガタンク GM4030
¥28,736 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
耐久性能:不明
インク代:カラー1.0円・モノクロ0.5円
印刷速度:カラー6.8枚/分、モノクロ13枚/分
接続方法:無線LAN・有線LAN・USB
両面印刷:搭載
給紙容量:250枚
スキャナ:1200dpi
ADF;片面 35枚
FAX:上位機のみ
保証:1年間(持込修理)
サイズ:幅403×奥行369×高さ234mm
なお、本機については、「プチ上位機」として以上の製品があります。
先ほどのG6030と仕様はほぼ同じですが、ADFとFAXを搭載する点で、「上位」と言えます。
GM4030は、モノクロ専用機で、FAXが装備されません。
ADFは、ただ、片面で、ストックも35枚までです。
速度は、正確な値は非開示ですが、換算すると白黒で約12枚/分、カラー約5枚/分です。
いずれにしても、あまり強くないです。
BC-341XL 3色カラー
¥3,027 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
なお、GM4030は、筐体がカラー機のG7030と同じ大きさで、スペースに余裕があるので、コンテントプロテクターを外すことで、カラー機にできます。
ただ、利用するインクが別で、3色同時に変えなければならないタイプです。
コスパが悪い上、装着後「速やかに使い切っていただくこと」を求めてもいるため、利用はかなり例外的と考えてください。
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結論的にいえば、キヤノン機から選ぶ場合でも、FAXが不要ならば、このグレードは選択肢に含めずとも良いかと思います。
Windows 7〜11 MacOSX 10.13〜15
【A4プリンタ】1段トレイ(モノクロ液晶)
【2025年発売】GX5030後継機
20・Canon 特大容量ギガタンク GX5130
¥55,000 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚
ADF: 片面 50枚
FAX:
サイズ:幅399x高さ237x奥行416 mm
【A4プリンタ】2段トレイ
【2023年発売】
21・Canon 特大容量ギガタンク GX5530
¥61,477 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚×2
ADF: 片面 50枚
FAX:
サイズ:幅399x高さ298x奥行410 mm
【A4 複合機】1段トレイ 片面ADF
【2023年発売】GX6030後継機
22・Canon 特大容量ギガタンク GX6530
¥66,264 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚
ADF: 片面 50枚
FAX:
サイズ:幅399x高さ254x奥行410 mm
【A4 複合機】2段トレイ FAX 両面ADF
【2025年発売】GX7030後継機
23・Canon 特大容量ギガタンク GX7130
¥67,800 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚×2
ADF:両面 50枚
FAX :付属
サイズ:幅399x高さ314x奥行410 mm
耐久性能:15万枚
インク代:カラー2.2円・モノクロ0.8円
印刷速度:カラー15.5枚/分・モノクロ24枚/分
接続方法:無線LAN 有線LAN USB
両面印刷:搭載
スキャナ:1200dpi
保証:1年間(持込修理)
GX5130などは、キヤノンの「特大容量ギガタンク搭載プリンタ」の最上位機です。
同じインク・搬送ユニットの製品ですが、かなりのバリエーションがあります。
違いをはじめに示しておきます。
第1に、GX5130です。
こちらは複合機ではない単機能のプリンタです。
そのため、他機より多少背が低いです。
スキャナとコピー機能がないほか、本機だけは液晶が2行のモノクロになります。
第2に、GX5530 です。
こちらも、単機能プリンタです。
しかし、2段トレイで、トレイ給紙量が250×2の500枚となる部分が違いです。
このグレード以上は、液晶が、2.7型のタッチパネル式です。
第3に、GX6530です。
こちらは、スキャナ・コピー機能がある複合機です。
ADF(原稿自動送り)も、片面読取ながら付属です。
構造的にADF(原稿自動送り)が前方向に向くので、省スペースで利用できるのが売りです。
第4に、GX7130 です。
こちらは、スキャナ・コピー機能に加えて、FAX機能が付来ます。
その上で、250枚のトレイが2段構成となります。
なお、2025年発売機の2機のみですが、画像処理技術の更新の記述があります。利用するインクや、ノズル部分の仕様は、23年機と共通ですが、普通紙に対する印字品質が向上しているという記述があります。
ただ、(既に終売の)2021年発売のそれぞれの旧機との比較においての話です。2023年機では、これらの機能は対応していた可能性はあります。
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結論的にいえば、画像処理の部分は仮に差があっても、そこまでの差はないと思いますう。メーカー側もそこまで強調しませんので。そのため、装備のニーズに合わせて、普通に選んで良いかと思います。
あとの部分の仕様は共通しますので、全機同時にみていきます。
本体サイズは、上表に書いた通り各機で異なります。
ただ、トレイ2段の複合機モデルでも、高さ314cmです。
家庭でも十分設置できるサイズですし、外観のデザイン性も良いです。
印刷コストは、A4カラーで、1枚2.2円、A4モノクロで、1枚0,8円です。
下位機種より、カラーのコストは少し高いです。
ただ、エプソンのエコタンク最上位機より本体は安めで、コストは同水準ですので、「戦える」でしょう。
【黒6000ページ・カラー14000ページ】
GI-36BK ブラック
¥4,300 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
GI-36C シアン
GI-36M マゼンダ
GI-36Y イエロー
¥5,000 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
交換方式は、ボトル式です。
本機については、エプソンと同じく、注ぎすぎを防ぐ自動ストップ機能と、誤挿入を防ぐため、差込口の形状を変えるなど、ユーザーフレンドリーです。
印刷可能枚数は、1ボトルあたり、カラー14000枚、ブラック6000枚です。
結構多いので、冒頭書いたように、「2年の消費期限内」に処理できるか、要検討です。
インク構成は、全量顔料インクです。
印字品質は、したがって、にじみにくい特性があり、ビジネス向けです。
下位機種と比較すると、GXシリーズは、ノズルの合計が4352ノズルで、下位機種の約2.4倍の密度です。
簡単に言えば、キャノンの通常の(カードリッジ式の)ビジネスインクジェットと「同じヘッド」を採用しています。
エプソンのPrecisionCore採用の上位機に相当するキャノンモデルと言えます。
プリント速度は、A4印刷時、カラー15.5枚/分、モノクロ24枚/分です。
ビジネスプリンタとして、十分でしょう。
PCとの接続方法は、USB・有線LANのほか無線LANが搭載されます。
無線LANは、2023年機以降はWI-FI5です。
ネットワーク連携は、本機も、サーバーを利用したスタンドアロンな運用はできません。
クラウド連携などはスマホアプリベースの操作です。
スキャナ・コピー機能は、本機も付属します。
スマホアプリでのプリントにも対応します。
一方、スキャンデータのクラウド転送は、キヤノンもできません。ただ、ライバルのエプソンも、特大インクモデル(エコタンク)では同じ仕様ですので、差ではないです。
ADF(原稿自動送り装置)は、搭載機が2機あります。
ただ、それぞれ仕様が異なります。
第1に、下位機は、ADFは片面のみです。
第2に、上位機は、CISセンサーを上下2基搭載し、両面同時スキャンに対応します。
本機の読み取り速度は、ADF連続コピー時にモノクロ22.2面/分、カラー12.2面/分です。
今回の比較基準としている、A4・200dpi時の数字になります。
上位機は、両面時コピー時にモノクロ20面/分、カラー14面/分です。
ストックはいずれも50枚までです。
ファックス機能は、上位機のみ搭載です。
スーパーG3規格対応で、また、PCファックスも対応します。
給紙トレイへの給紙は、250枚です。
上位機は、最大A4までのトレイが2段で、合計500枚です。
企業でも使い勝手の部分では問題ないでしょう。
自動両面印刷は、「対応」します。
耐久性は、15万枚との開示があります。
この部分は「ワンポイント」です。
プリントヘッド QY6-0091-020
¥9,980
メンテ性は、本機は(保守部品扱いですが)ヘッド交換のユーザー仕組みはあります。
こちらも、おそらく耐用枚数以内は普通に使えば、交換不要とはいえます。
メンテナンスカートリッジ MC-G01
¥2,264 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
加えて、エプソンのメンテナンスボックスと同じ用途のメンテナンスカートリッジも交換対応です。
そこまで高くないですし、互換品ならばさらに安いです。15万枚という耐久枚数を含めて、この方式である部分は、大きなメリットでしょう。
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以上、キヤノンのGXシリーズの紹介でした。
エプソンのカラー最上位機がライバルです。
インク価格も同等で、全量顔料インク搭載、ヘッドも通常機と同じ精度で、速度もほぼ等しいので、どちらを選べば良いか、かなり難しいです。
記事の結論で改めて考えますが、あえて言えば、画質面では、専用のインク設計もなして、滴下精度も細かいエプソンの方がやや有利でしょう。
ただ、本機のほうが価格が安いほか、1段トレイで設置性の良いモデルが用意されるので、両面ADFが不要ならば、GX6030は、良い選択肢に思えます。
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このほか、同じインクを利用する姉妹機が他にもあります。
Windows 7〜11 MacOS 10.14〜15
【2022年発売】
【A4 複合機】1段トレイ 片面ADF【横向】
24・Canon 特大容量ギガタンク GX4030
¥50,964 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚
ADF: 片面 35枚
FAX:あり
サイズ:幅399x高さ251x奥行399 mm
耐久性能:10万枚
インク代:カラー2.2円・モノクロ0.8円
印刷速度:カラー13枚/分・モノクロ18枚/分
接続方法:無線LAN 有線LAN USB
両面印刷:搭載
スキャナ:1200dpi
保証:1年間(持込修理)
第1に、GX4030は、プリンタ複合機です。
ただ、上で見たGX6030の「下位機」で、ADFのストック枚数が少し少なくなるほか、印刷速度の部分で少し差を付けています。
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Windows 7〜11 MacOS 10.15〜14
【2023年発売】
【A4 複合機】(1段トレイ 片面ADF)
25・Canon 特大容量ギガタンク GX2030
¥32,536 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚
ADF: 片面 35枚
FAX:あり
サイズ:幅380x高さ225x奥行380 mm
【A4 複合機】(1段トレイ)
26・Canon 特大容量ギガタンク GX1030
¥31,282 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
給紙容量:250枚
ADF:
FAX:
サイズ:幅374x高さ186x奥行380 mm
耐久性能:10万枚
インク代:カラー3.0円・モノクロ0.9円
印刷速度:カラー10枚/分・モノクロ15枚/分
接続方法:無線LAN 有線LAN USB
両面印刷:搭載
スキャナ:1200×2400dpi
保証:1年間(持込修理)
第2に、GX4030も、プリンタ複合機です。
テレワークなどに向けた小型のギガタンクです。
同様に、印刷コストは安いですが、ヘッドの種類が他機と違い、ノズル数が総計3136ノズル(上位機は4352ノズル)と差を付けています。
【黒3000ページ・カラー3000ページ】
GI-35BK ブラック
¥2,182 Amazon.co.jp (5/16執筆時)
インクも異なります。
第3に、GX2030は、同じ仕様ですが、ADFとファックスが省略されたモデルになります。
その分、サイズはさらに小型です。
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結論的にいえば、画質部分は、はっきりと差があるのですが、そこが問題ない使い方の場合で、とくに、設置場所の関係で、背が低いほうがよい方は選択肢にできそうです。
自動両面印刷もありますし、大きな液晶、Wi-Fi装備と、小型でも問題のない性能かと思います。
今回の結論
大容量インクプリンタのおすすめは結論的にこれ!
というわけで、今回は、特大タンク搭載ビジネスプリンターの比較の2回目記事でした。
しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。
3・ビジネスプリンタの比較(まとめ)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
最終回となる、次回記事【こちら】では、今回紹介した機種を含めて、ビジネスプリンター全機種から最終的なおすすめ機種を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
最終回記事は→こちら
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