【今回レビューする製品】2023年 書籍やマンガの自炊の必需品とおすすめ機材のレビュー:初心者向けの自炊のやり方・予算・目的別の最新機種の選び方とおすすめ:本や漫画の取り込みのノウハウ・裁断機のレンタル
今回のお題
効率的な自炊の手順と必要機材のおすすめはどれ?
どもAtlasです。
今回は、2023年8月現在、最新の自炊(資料の電子化)の流れとノウハウの「まとめ」です。
自炊に必要な最新機材(スキャナ・裁断機・OCRソフト)について書きます。
Atlasはこれまで、分厚い英語の研究書(ハードカバー)から、マンガ・文庫本・雑誌まで、合計3500冊以上を自炊しました。
また、業務用を含めて、裁断機・スキャナを多数「使い潰し」ました。
今回は、Atlasの持っている情報を「大放出する!」という「企画」です。
「全くの自炊初心者」の立場に立って、「いったい何からはじめれば良いのか」を丁寧に解説します。
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1・ドキュメントスキャナーの比較
2・ブックスキャナーの比較
3・裁断機の比較
4・ディスクカッターの比較
5・日本語OCRソフトの比較
なお、今回の記事は、最新モデルの自炊に関係する機材に関する、このブログの5つの専門記事をまとめて書きました。
1・本を裁断するか?の決断!
自炊したい皆さんに最初に考えて欲しいことは、本を裁断してしまうか、本の状態で残すか、という部分です。
なぜなら、それにより購入するべき機材が変わるからです。
1・本を裁断せずにPDFにする
=ブックスキャナを購入する
2・本を裁断してPDFにする
=ドキュメントスキャナ購入する
以下、それぞれの方法において必要な機材を紹介していきます。
1・本・コミックを切断しない場合
第1に、「本を切断しない方法」をとりたい方です。
作業量はかなりのものになりますが、「貴重書(稀少本)」の場合は、この方法が妥当でしょう。
【2018年発売】
・Plustek OpticBook 3800L
¥39,000 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
この場合、「ブックスキャナー」を導入するのがおすすめです。
似た形の製品として、キヤノンやエプソンが出している普通のスキャナ(=フラットベッドスキャナ)があります。
ただ、それらの場合、取り込み時に中央に影ができます。
ブックスキャナの場合、上図のような置き方でページごと取り込めるため、本の取り込みに適します。
なお、普通のスキャナは、縁の部分が太いので、同じ置き方でも本の隅まで綺麗に取り込むことができません。
ブックスキャナは、家庭用・業務用機種として、OPTICBOOKが有名です。
これについては、格安購入方法を含めて、こちらの【ブックスキャナーの比較記事】でまとめてあります。
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【2022年1月発売】
・PFU ScanSnap SV600 FI-SV600B
¥58,550 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・シーザー CZUR ET18 Pro
¥65,540 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
一方、ブックスキャナーと同等な機能を果たすスキャナとして、上部から下に置いた画像を撮影できる「スタンドスキャナ」というジャンルもあります。
スタンドスキャナについては、隣接ジャンルとなる「書画カメラ」方式の製品を含めて、【スタンド型スキャナの比較記事 】を書いています。
こちらでは、「ブックスキャナ」と「スタンドスキャナ」、各自の目的に沿ってどちらを購入すべきかについても書きました。
2・本・コミックを切断する場合
第2に、本を切断する選択をした方です。
「断捨離」の場合は、この方法が妥当でしょう。作業も、非常に楽です。
【Wi-Fi・液晶あり】
・PFU ScanSnap FI-IX1600A
¥45,499 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Wi-Fi・液晶なし】
・PFU ScanSnap FI-iX1400A
¥38,900 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
この場合、PFU(旧富士通・現リコー)のスキャンスナップに代表される、ドキュメントスキャナの導入が必要です。
ドキュメントスキャナは、各社から20機種以上発売されています。
1・ドキュメントスキャナの比較
2・モバイルスキャナの比較
3・A3スキャナの比較
種類が多く、説明がたいへんですが、このブログでは上表4つの記事で、ほぼ全機種比較しています。
いずれにしても、ドキュメントスキャナで取り込むためには、本を裁断しないといけません。
そのため、本を裁断する方法について説明したあとで、 改めて、基本的な「ドキュメントスキャナの選び方」を提案したいと思います。
2・書籍の裁断方法の決断!
1・裁断・スキャンを業者に依頼する
2・裁断だけ業者に依頼する
3・裁断機を短期レンタルする
4・裁断機を自分で購入する
自炊をはじめて行うみなさんが、書籍を裁断してスキャニングすることを決断した場合、取り得る選択肢は4つあります。
1番目の「業裁断を委託する方法」は、いわば「アウトソーシング」で、皆さんの労力が一番かからない方法です。ただし、費用はそれなりにかかります。
それ以外の方法は、人任せにしたくない人に「おすすめ」の方法です。
それぞれ「メリット」と「デメリット」があるため、順番に解説していきます。
1・裁断・スキャンを業者に依頼!
第1に、アウトソーシング(業者に依頼する方法)についてです。
数年前の自炊ブームのおり、「PDF化サービスをやってくれている業者」はたくさんありました。
しかし、現在は、個人業者が淘汰され、少数の業者だけが残存しました。どのような業者があるか、あるいは、どれだけ淘汰されたかについては、こちらの「まとめサイト」が有用です。
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一方、現在、「かなり危ない」会社は淘汰されたにせよ、業者を選定するには注意が必要です。
なぜなら、自宅マンションで行っているような業者から、起業して法人組織として(諸法をふまえて)しっかり対応する業者までバラツキあるからです。
預けたものの「ドロン」されるという悪徳業者も過去にありました。
とくに、「自炊代行」は、著作権法上問題があるとみなされています。数年前には、自炊代行は著作権違反だとの判決も出ました。
その結果、例えば、業界最大手のBookSnanの場合、「著作権法」に基づいて「著作権フリー」・「著作権切れ」・「著作権保持者」・「著作権者の許諾を得ている本」以外はアウトソーシングを受け付けないという規則に変わりました。
もちろん、図書館法や知る権利などの関連法規に基づき、「研究など情報解析のためのスキャン」・「図書館資料の保存」は受けています。
しかし、それ以外は受け付けないという立場です。
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ただ、皆さんの中には、法的問題をクリアしたものを代行業者に出したい場合もあるでしょう。
1・著作権についての業者の意思表明
=問題発生時の対応方法の確認
2・ 本の返却サービスの有無
=原本をしっかり返却するか
3・住所・電話番号の明記
=トラブル時迅速な対応が可能か
その場合、上記の3つのポイントをチェックしてください。
とくに、電話番号は重要です。できれば、しっかりつながるかの事前に確認することが重要です。
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1・スキャニング解像度の確認
= 適切な解像度で取り込むか?
2 ・対応する原稿サイズの確認
= A4以上の原稿サイズに対応か?
3・仕上がるPDFサイズの確認
= 超大容量なファイルサイズではないか?
その上で、クオリティについては、上表の3点に気をつけてください。
第1に、スキャニング解像度です。
具体的に言えば、 300dpi以上、できれば400dpi以上で、処理してくれる業者を探すべきです。
特に、文字中心の本の場合、それ以下だと解像度の点で「本文を検索可能なPDF」にできません。
また閲覧の場合も、iPadなどの高解像度デバイスでみることを考えると、300dpi以上の解像度がないと「あら」が目立ちます。
第2に、対応する原稿サイズです。
これは、たいていの業者はスキャナの都合でA4までの対応になっているからです。
A4サイズより大きな本をPDFにしたい人は確認が必要です。
第3に、仕上がるPDFのサイズ(容量)です。
一部の業者から納品されるファイルは、サイズが「巨大」になっている場合があります。
例えば、500ページくらいの本でも、400MB以上という場合もあります。
これは作業効率化のため、「白黒」「グレースケール」「カラー」を自動判別して取り込んでいることから生じてしまいます。
なお、「ファイルの巨大化」は、漫画などではなく、文字中心の本に限ってですが、Acobe AcrobatでOCRにかけることでサイズを1/6程度に縮めることができます。
これについては【PDF作成ソフトの比較記事】に詳しい解説をしました。
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以上、全部で6点の注意を書きました。「めんどくさいなあ」と思う人が大半だと思います。
実際、トラブルの心配をするのは嫌なものです。
そのため、自宅で自分で「自炊」する習慣を身につける、個人的に楽しことをAtlasとしては「おすすめ」しています。
これならば、クオリティの点、納品期間の点、そして費用の点で、最終的には大きなメリットがありますので。
2・裁断を業者に依頼する
第2に、裁断だけアウトソーシングする方法についてです。
業務用の裁断機を利用して、家庭用より精度高く切ってくれる専門業者がいくつかあります。
対応する会社は、cutbookproがあります。
ネットを探せば、他社もあります。
ここも含めてだいたい「ワンカット100円」ほどが相場で、どのような書物でもカットしてくれます。
AtlasはA4裁断機を所有していますが、家庭用の裁断機に入らないような大きな歴史資料は、こうしたところにお願いしています。
このほか、都市圏に多いコピーショップの「キンコーズ」に依頼する方法も考えられます。
キンコーズでは、店舗に書籍を持ち込むと、100ページ/110円でカットしてくれます。
ただし、電動裁断機を利用せず、普通の家庭用を利用しています。
裁断作業自体はお店の人任せで、裁断技術もまちまちです。切断面が文字に対して水平ではなく斜め(台形)になってしまうこともあります(Atlasも経験済み)。
台形になるとドキュメントスキャナで取り込む際に文字が斜行するリスクが多くなり、ソフト的に補正する必要がでてしまいます。
3・裁断機を短期レンタルする
第3に、大型裁断機を短期間ネットレンタルする方法です。
【裁断機単品】
レンタル料金の目安(往復送料6800円)
7日: 6,300円
30日:9,700円
近年は(ネットの個人商店的なものを除いて)企業によるレンタルサービスが減ってきています。
Atlasが知る限りでは、Total Office Rentec (Yahooショッピング店)がまだやっています(こちら)
この方法は、本棚の整理のため、本の「断捨離」は行いたいが、「新しく買う本は、空いた本棚に入れていくという方に向きます。
つまり休みの日に切って段ボールに詰めておき、後日ゆっくり「自炊」していくという方法です。
4・裁断機を自費で購入する
第3に、裁断機を自分で購入する方法です。
最終的に自分でやったほうが納得できるし、ご自身が望むクオリティを確保できます。
裁断機は幾つかのメーカーから出ています。そのうち、Atlasの使用経験がある中で初心者向けにおすすめできる機種は以下のモデルです。
・PLUS かんたん替刃交換断裁機 PK-513LN
¥42,436 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
切断可能枚数: 160枚(320頁)
対応用紙: A4長辺
サイズ: W405×D402×H440mm
重さ:12kg
第1に、プラスという日本の事務機メーカーが出しているPK-513LNです。
自炊用の「定番」として人気があります。
裁断枚数は、350ページ程度まで対応です。
コミックならばこれで問題ないですし、それ以上の厚みがある本も、本を図のように配置し、まず半分に切断してしまえば良いだけです。
安全性は、こちらは、裁断機としては最も配慮が行き届く機種で、刃の交換すら刃に触れずできる点で初心者向けです。
性能面でも、切断が斜行しにくく安定的です。
その他、LEDの光のラインに沿って切れる点で性能・利便性も高い機種になります。
サイズは、40.5cm×40.2cm×44cmで、重さは13キロになります。
・ダイシン商事 大型裁断機 DS-858A4
¥13,300 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・PC工房 大型裁断機 書籍断裁可
¥15,800 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
切断可能枚数:400枚(800頁)
対応用紙: A4長辺
サイズ: W380×D630×H320mm
重さ:24kg
第2に、各社が発売する「BA58A4」というブレードを利用する裁断機です。
こちらは、中国製のノンブランドの輸入製品で、BA58A4というブレードを利用する点で共通する汎用品です。
型番や、本体形状は都度、変わってきましたが、自炊マニアの間では、かなりの切れ味で長年有名な裁断機です。
以前は「改良型裁断機」という上位機がありましたが、「終売」しました。
裁断枚数は、800ページの本が一度に切れます。
安全性は、意外と高いです。
と言うのも、たくさん切れる代わりに、固定レバーを解除しないと、切れないからです。
性能面では、特に不満はない機種です。
サイズは、ただ、PLUSに較べてもかなり大きなサイズ(幅約38 x奥行53x高さ32cm)です。
重さは23キロあるので、自宅に置く場合はスペースをはじめに考えてください。
裁断機ではこれらの2機種がおすすめです。
他の裁断機や裁断に必要な文房具などについては、別に記事を書いてあります。
興味のある方は、このブログの【おすすめ裁断機断機の比較記事】をご覧ください。
・カール事務器 ディスクカッター DC-210
¥11,755 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
切断可能枚数:40枚(80頁)
対応用紙: A4長辺
サイズ:W360×L490×H80mm
重さ:2.6kg
第3に、ディスクカッターを使う方法です。
裁断機は、巨大で重量があるので自宅に置くスペースがない方も多いです。その場合は、裁断機ではなく、ディスクカッターを購入する方法が良いでしょう。
サイズは、その分、幅36×奥49×高8cmで、重さ2Kgと収納性は高いです。

裁断枚数は、しかしながら、80ページと一度にさほど切れません。
薄い本ならば問題ないですが、コミックはいくつかに分断させるため、カッターの併用が必要です。
安全性も、刃が見えない構造で、裁断機以上に「安全」です。
なお、ディスクカッターについてより詳しくは、このブログに【おすすめディスクカッターの比較記事】があります。興味のある方はご覧ください。
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さて、裁断機を購入したら、スキャナを購入しないといけません。次の記事では、切断した資料を取り込むために使うドキュメントスキャナについて詳しく書いてみたいと思います。
3・ドキュメントスキャナの選び方
ここからは、切断した書籍のPDF化、または、紙の状態のコピー論文をPDF化する方法について説明します。この作業に欠かせない機材はドキュメントスキャナーです。
1・A4用ドキュメントスキャナ
2・A3用ドキュメントスキャナ
ドキュメントスキャナーには大きく分けて、上記「2つの種類」があります。
このうち、一般的に自炊に使うのは、ハードカバーまで余裕で対応する「A4型のドキュメントスキャナ」です。マンガ雑誌を含めてA4のサイズに収まりますし、A3となるのは「写真集」くらいでしょう。
1・据え置き用ドキュメントスキャナ
2・モバイル用ドキュメントスキャナ
なお、A4ドキュメントスキャナは、モバイル用と据置用に分かれます。
モバイル用は速度が遅いので、自炊用にはかならず「据え置き用ドキュメントスキャナ」を選んでください。
以上をふまえて、据え置き型のドキュメントスキャナのなかで初心者にオススメの製品をいくつか提案します。
第1に、初心者にも使いやすいA4のドキュメントスキャナーとしてオススメできる機種は、
【2020年11月発売】
【Wi-Fiなし】
・EPSON スキャナー DS-531
¥37,760 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Wi-Fiあり】
・EPSON スキャナー DS-571W
¥44,000 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
EPSONのDS-530が良いでしょう。
このタイプのスキャナとしては、PFUのScanSnapシリーズが有名です。
ただ、新機種になって値段が結構上がりました。
そのため、同等の取り込み速度を持つ、エプソン機の方がコスパが良いと思います。
取込速度は、小説に使う「白黒」、マンガや挿絵のあるラノベなどに使う「グレースケール」、写真集などにつかう「カラー」を含めて、スピードの平均値が高いです。
安定性も、紙送りローラーが高性能で、紙詰まりが起こりにいい機種です。
とくに、このタイプのスキャナの欠点である、重送(紙が何枚も同時に入ってしまう減少)が起こりにくいのは、作業効率の面でとくに重要です。
さらに、エプソン機は、ScanSnapが持たない、ホチキス留めの用紙を誤ってスキャンした場合に動作を止める「原稿保護機能」と、ガラス面に糊などが付着して汚れている場合に警告する「ガラス汚れ検知」を持ちます。
とくに、後者は、「本の綴じ部の糊残り問題」がある、自炊ユーザーには「相当便利」と言えます。
原稿搭載枚数も、紙押さえが広いため、50枚まで一度に差せます。
OSは、Windows/Mac両対応です。
第2に、古書など状態のよくない本を取り込む場合、オススメできるのは、

・Canon imageFORMULA DR-C240
¥54,755 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
CANONのDR-C240がオススメです。
取込速度は、この機種の場合、カラー以外は、エプソンより優秀と言えます。
一方、古い原稿の場合、ドライバによる画像補正機能が重要になってきます。
その点、キヤノンは、伝統的に画像補正機能(テキストエンハンスメント)が優れます。
古い本の他にも「図書館の本などをコピー機でコピーした原稿、印刷状態の相当悪い原稿、または、文字と写真が混在した一般雑誌などの原稿の場合、裏移りのしそうな新聞などの場合、きちんと設定さえすれば、こちらの機種はかなりのメリット性を発揮します。
安定性も、エプソン同様に、紙送りローラーが高性能で、紙詰まり・重送が起こりにくい機種です。
原稿搭載枚数も、60枚までと多いです。
OSはWindows/Mac両対応です。
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なお、A4スキャナは、この2製品以外にも多くのメーカーから発売されています。
自炊用のスキャナのオススメ機種については、自炊用スキャナに関する記事でかなりしっかり比較記事を書いています。
興味のある方は、【おすすめA4ドキュメントスキャナの比較記事】をご覧ください。
第3に、A3対応のドキュメントスキャナとしてオススメできる機種は、
【2020年発売】
・ EPSON DS-32000
¥352,039 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
EPSON DS-32000 がオススメです。
他機もありますが、やはり、「本の綴じ部の糊残り問題」がある自炊の場合は、「ガラス汚れ検知」があるエプソン機の利便性・快適性は高いです。
なお、上表の速度はA4(ヨコ)の場合で、A3ならば、その7割ほどです。
選択肢は、これ以外もあります。
しかし、どれも最低20万円以上です。以前は、コクヨからカミナックスという製品が売られていましたが、だいぶ前に「生産終了」です。
それでも興味のある方は、このブログの【A3ドキュメントスキャナの比較記事】をご覧ください。
いずれにしても、A3サイズの取り込みは費用対効果から考えてハードルが高いです。
ですから、先ほど書いたように、A4スキャナを買われるのが良いと思います。
画質の点でも、実際、「大は小を兼ねる」「安物買いの銭失い」とは一概に言えません。
例えば、Atlasは、実売40万円ほどのA3スキャナを使っています。しかし、速度はともかく、画像処理に関する技術はA4機と同等です。
第4に、ブックカバー(カラー表紙)の取り込み用にあると便利なのは、
・Canon CanoScan LiDE400
¥9,238 楽天市場 (8/24執筆時)
・Canon CanoScan LiDE400
¥9,245 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
コミックやハードカバーの表紙は、ドキュメントスキャナで取り込むことは可能です。
しかし、クオリティを重視したい場合で(予算に余裕があるのならば)、表紙については、フラットベッドスキャナーを使って、1枚ずつ取り込むことをおすすめしています。
最も安く手軽なのは、USB給電で利用可能な上、小型で取り回しのよい、CanoScan LiDE400です。
なお、写真集の場合など、カラーでクオリティを相当程度重要視したい場合は、ドキュメントスキャナは、「紙を送る構造」なので、十分なクオリティをえるのは難しいです。
その場合は、手間ですが、【おすすめフィルムスキャナの比較記事 】で紹介している、よりグレードの高いフラットベッドスキャナを利用するのが最善でしょう。
4・OCRソフトの選び方
OCRソフトとは、スキャナに読み込んだ「画像としての文字」を「検索可能なテキスト」に変換するためのソフトウェアです。
これは、マンガや小説などを、タブレットなどで「読む」だけならば基本不要なソフトです。
しかし、「本のページから特定のテキストを検索」したい方、図のように、文章をマウスで選択し、「文章をコピー&ペーストできるようにしたい方」には必要なソフトです。
なお、マンガや小説の場合、ソフトが「テキスト化した文字を間違って認識させて」いたら、本が読み辛くてたまらなくなります。
自炊の場合、この事態を避けるため、「PDFの裏にテキストファイルを埋め込み、PCの画面上は、画像としての文字を表示しておく」という「透明PDF」という形式を用います。
なお、スキャナに付属している無料のOCR機能ソフトもあります。しかし、いずれの製品も低機能で、実用的な「透明PDF」を作ることができません。そのため、クオリティを期待する場合「有料の製品版」を購入する必要があります。
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OCRは、やはり用途によっておすすめできる商品が異なります。用途別のおすすめを提案すると、以下のようになります。
第1に、文字画質を含め、高度な透明PDF化を作りたい方におすすめできるソフトは、
【Windows用 1年版】
Acrobat Standard DC
¥16,560 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Windows用 3年版】
Acrobat Standard DC
¥37,260 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Windows/Mac用 1年版】
Acrobat Pro DC
¥18,960 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Windows/Mac用 3年版】
Acrobat Pro DC
¥45,560 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
アドビのAcrobat DC です。あまり知られていませんが、このソフトにはOCR機能が搭載され、透明PDFが作成できます。
なお、無料版のAcrobat readerにはOCR機能は搭載されません。
さらに、こちらの場合「画像としての文字」も「ベクターデータ化」され、画面上で文字の視認性が格段に上昇し、また文字を拡大してもボケません。結果、パソコン画面(スクリーン上)もフォントが見やすくなるというメリットがあります。
なお、これらの機能については、このブログの【PDF作成ソフトの比較記事】で、具体例を交えつつ詳しく解説しています。
Acrobatはバージョンが多いです。
しかし、新規ユーザで最も安く利用できるのはWindowsならばスタンダード、Macならば、プロ版です。
なお、学生・教職員版も含めてAcrobatのお得な買い方については、単品は、【Adobe Acrobat DCの購入方法の比較記事】で、セット品は、【Adobe CCの購入法の比較記事】で別に紹介しています。
ただし、Acrobatの場合、OCRをかけた後のデータの編集ができない弱点もあります。
そのため、高精度で、本格的にOCR作業を行いたい方は、次に紹介するOCR専用ソフトを購入するほうが良いでしょう。
第2に、小説などの日本語書籍について、比較的低価格で透明PDF化を考えている方には、
【パナソニックから販社変更】
【ダウンロードコード版】
ソースネクスト 読取革命 Ver.16
¥7,560 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【ダウンロード版】
ソースネクスト 読取革命 Ver.16
¥12,980 ソースネクスト直販 (8/24執筆時)
読取革命がおすすめです。
アドビは、日本語については、縦書き文章が不得手です。そのため、この場合、このようなOCRソフトのほうが良いです。
潰れ文字に効果的な「文字パターン辞書」がOCRソフトとしてライバルにあたるe.Typist 15にくらべて12万字多く、潰れ文字の認識性能が高い読取革命がおすすめです。
また、横書きも、縦書きも、比較的高精度に読み取れ、複雑なレイアウトの文章も割と得意です。英語が混在する場合も、精度が高いです。
OCRソフトの総合性能としては、e.typistよりも読取革命が高いと思います。横書きの英語混在文書の場合も、読取革命の方が認識が良いです。
なお、2020年10月から、販売元がパナソニックからソースネクスト社に変更になりました。
第3に、洋書中心に、OCR化を考えているかたですが、
(Standard版)1年
ABBYY Fine Reader 15
¥13,530 Abbyy直販 (8/24執筆時)
(Corporate版)1年(作業自動化対応)
ABBYY Fine Reader 15
¥19,030 Abbyy直販 (8/24執筆時)
Abbyy社のFine Readerがよいでしょう。
2022年から年間/月間ライセンス制(サブスク)になりました。
英語については日本語OCRソフトとは比べものにならない精度です。英語圏以外でも、このソフトで、ヨーロッパ言語、アジア言語120種類の変換が可能です。
なお、OCRについてのより詳しい説明は、以下のリンク記事を参考にしてください。
なお、いずれの製品も、マンガの吹き出しのようなものの、OCR化は相当に難しいです。
5・PDF端末の選び方
さて、こうして作ったPDFファイルは、パソコン・タブレット・スマホで閲覧が可能です。言うまでもなく、Windows・Macともに現在はOSの標準機能でPDFの閲覧をサポートしてます。
その他、タブレット・スマホでも、小説やマンガなどのPDFファイルを快適に見るためのビューアソフトが複数あります。
i文庫 HD(iPad向け)
¥1,000 Apple App Store
i文庫 S(iPhone向け)
¥400 Apple App Store
i文庫 for Android
¥0 androidapp.jp.net(紹介サイト)
例えば、iPad用やiPhone用のアプリであるi文庫は、本のようなページめくりや、右開き・左開きの設定などができる高性能ビューアです。タブレットなら、文庫本サイズだと丁度見開き表示ができるので、重宝します。
なお、Androidタブレット向けは、i文庫のストア販売が終わっていて、IOSを介在させて利用するAPKファイルの形式となります。やや上級者向けです。
SideBooks
¥0 Google Play
一般のAndroidユーザーの代替手段としては、SideBooksがなかなか良さそうです。
・Amazon Fire 7 【16GB】
¥8,980〜 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・Amazon Kindle【16GB】
¥10,980〜 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
また、Amazonから出ている格安タブレットや、電子ペーパーでも、PDF用のビューアが用意されるので、自炊したファイルの閲覧は可能です。
自炊した書籍のビューアとして1つ手に入れておくのも良いでしょう。
1・Amazon Fireの比較記事
2・Amazon Kindleの比較記事
3・Androidタブレットの比較記事
4・iPadの比較記事
なお、タブレット端末については、上記の記事をご覧ください。
Amazon系製品については、Kindle端末での自炊PDFファイルの表示法についても補足的に書いています。その他、高性能タブレットについても比較記事があります。
今回の結論
おすすめの自炊機材セットは結論的にこれ!
というわけで、今回は、おすすめの自炊機材について、執筆時現在の「おすすめ」を書きました。
最後に、いつものように、予算別、目的別にAtlasのおすすめセットを提案しておきます。
第1に、自炊初心者で、透明PDFを作りたいと考えている人におすすめの組み合わせは、
・PLUS かんたん替刃交換断裁機 PK-513LN
¥42,436 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・EPSON スキャナー DS-531
¥37,760 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・ソースネクスト 読取革命 Ver.16
¥10,771 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
性能面で妥協することなくオススメできる組み合わせは、プラスのPK-513LNとエプソンのDS-531の組み合わせです。
これは、現状考える限り「初心者向けの鉄板製品」といえます。
PK-513LNは、安全性能が高く初心者向きの裁断機ですし、DS-531は他モデルよりも基本性能が高いです。
さらに、自炊したファイルをパソコンで検索できるようにしたければ、読取革命を買われれば良いでしょう。
第2に、新本だけでなく、黄ばみのある古書などの取り込みも有り得る方におすすめなのは、
・PLUS かんたん替刃交換断裁機 PK-513LN
¥42,436 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・Canon imageFORMULA DR-C240
¥54,755 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・ソースネクスト 読取革命 Ver.16
¥10,771 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
安全性の高い裁断機であるPK-513LNと、コピー原稿や古い本などの状態の悪い原稿に強いDR-C240の組み合わせが良いでしょう。
また、必要に応じて、性能が期待できる読取革命を加えると良いでしょう。
第3に、10万円前後の予算で「上級」の「自炊システム」を組むとすると、
・EPSON スキャナー DS-571W
¥44,000 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・ダーレ 自炊裁断機 Durodex 200DX
¥42,918 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
・Acrobat Pro DC
¥18,960 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
これらの組み合わせでしょう。一般向けにはここまでのものは必要ないです。
しかし、例えば、大量の和書・洋書を抱える大学などの研究者は、このシステムを考えても良いと思います。
スキャナーは、Wi-Fi搭載の利便性を重視し、エプソンの上級機となるDS-571Wとしました。
速度的には、もう少し速い機種もあります。
ただ、作業時にホチキスを検知できる「原稿保護機能」と、ガラス面に糊などが付着して汚れている場合に警告する「ガラス汚れ検知」は、実用的に便利です。
Wi-Fiを搭載し、クラウド連携も得意なので、予算が豊富ならばこちらでしょう。
詳しくは、このブログの【ドキュメントスキャナの比較記事】に書きました。
裁断機は、Durodex 200DXを選びました。
プラスに比べて刃の交換における利便性は失われます。
しかし、最大200枚(400頁)対応とプラスより、一度に多く切れる点では、こちらが優秀です。収納性も良いので、研究室に置くにも便利でしょう。
この機種について、詳しくは、【こちら】で紹介しています。
OCRソフトは、読取革命でもよいです。
しかし、研究者などで、洋書を大量に処理する場合は、先述のように、視認性と圧縮率でメリット性があるAcrobat Pro DC 2018でもよいでしょう。
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【Wi-Fi・液晶あり】
1・PFU ScanSnap FI-IX1600A
¥46,346 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
【Wi-Fi・液晶なし】
2・PFU ScanSnap FI-iX1400A
¥39,639 Amazon.co.jp (8/24執筆時)
なお、スペック的にいえば、PFUのScanSnap iX1600は、白黒600dpi時のスキャン速度が40枚/分と、エプソンを凌ぎます。
この点から、(マンガなどではなく)OCR処理のため、本当に文字ばかりのものを600dpiの高解像度で取り込みたいならば、本機は選択肢になりそうです。
ただし、本機は(他社と違い)白黒は「600dpi相当」という表記です。ようするに300dpiで取り込んだ書類を(関数計算で)アップスケーリングしての数字です。
本機はビジネス用に「良い機種」です。しかし、速度部分を含めて、自炊という今回のテーマで言えば、個人的にはEPSON機を推します。
なお、このあたりの解像度の話は、このブログの【ドキュメントスキャナの比較記事】に書きました。
第4に、今後は(ほぼ)電子書籍で生活可能な方におすすめなのは
【裁断機単品】
レンタル料金の目安(往復送料6800円)
7日: 6,300円
30日:9,700円
この場合、裁断機の定額レンタルサービスを利用するのが良いでしょう。
「Kindle本」中心でこの先は生きていく!のような感じならば、とくにそのように言えます。
一旦借りて、本を全部切ってしまってから、スキャニングは(購入して)少しずつ進めていく感じです。
この先本が増えた場合は、裁断は、隔年1回ほどレンタルしたり、あるいは、先述の「カットサービス」を定期的に利用したり、あるいは近くにキンコーズがあれば、やって貰うなどの方針でも良いと思います。
裁断機は大きくて重いので、とくにワンルーム暮らしの方などには「相当邪魔」でしょうし、
ただ、その場合でも、スキャナだけは買うことをおすすめします。
裁断作業は(アナログ作業なので)作業時間が読めます。しかし、スキャン作業は(とくに初めての方は)新品ではないレンタル品だと、紙の重送などのトラブルで時間を食うことはありえますし、作業時間がよみにくいからです。
また、スキャナだけならば、部屋の置き場所も取らないでしょう。
15年以上各製品をみてきましたが、基本性能も(そうそう)上がるものではないですので、陳腐化の危険も少ないです。
補足:自炊関連記事の紹介
というわけで、今回は、自炊に関するノウハウについてでした。
1・ドキュメントスキャナーの比較
2・ブックスキャナーの比較
3・裁断機の比較
4・ディスクカッターの比較
5・日本語OCRソフトの比較
6・英語OCRソフトの比較
7・閲覧用タブレットの比較
なお、具体的な製品は、手に入る現行製品のほぼ全てを以上の記事で比較しています。
とくに、スキャナと裁断機は機種も多いので、今回、「Atlasがおすすめ」とした上記の機種より、皆さんにマッチした機種がある可能性が高いです。
上記1番・3番の記事を参考にしていただければと思います。
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ではでは。