Top 研究道具(ソフトウェア) 比較2024’【高性能】PDF作成/編集ソフト29点のおすすめ・選び方 (1)

2024年12月16日

比較2024’【高性能】PDF作成/編集ソフト29点のおすすめ・選び方 (1)

【今回レビューする内容】2024-2025年 PDF作成・編集ソフトの性能とおすすめ・選び方:有料版・無料フリーソフト版と純正Adobe Acrobat Pro Standardとの違いの説明、機能性ランキング

【比較する製品型番】Adobe Acrobat Pro Std ジャストシステム JUST PDF 6 JUST PDF 6 Pro Adobe Acrobat Reader iPad版 iPhone版 Android版 Windows Phone版 ソースネクスト いきなりPDF STANDARD Edition Ver.12 COMPLETE Edition Ver.12 いきなりPDF to Data Ver.5 アンテナハウス 瞬簡 PDF 統合版 2024 Wondershare PDFelement 10 Pro ver. 7 Mac版 MobiSystems PDF Extra 2021 2023 ほか

今回のお題
最新のPDF作成ソフトのおすすめはどれ?

 ども、Atlasです。 

 今日は、2024年12月現在、最新のPDF作成ソフトを比較します。

 基本的にWindows用ソフトの紹介ですが、一部ソフトはMacにも対応します。

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1・PDF作成・編集ソフトの比較 (1)
 1-1:選び方の基本の説明【導入】  
 1-2:ソースネクスト〈いきなりPDF〉
 1-3:ジャストシステム〈JUST PDF〉
 1-4:アンテナハウス〈瞬簡 PDF〉
 1-5:アドビ〈Adobe Acrobat〉
2・PDF作成・編集ソフトの比較 (2)
 2-1:他の企業  
 2-2:最終的なおすすめの提案【結論】

 記事では、はじめに「選び方の基本」を説明します。

 その上で、1万円以下で買えるソフトとしては「3強」といえるいきなりPDFJust PDF瞬簡PDFをみたあと、「本家(定額制)」のAdobe Acrobatの独自性を確認していくという構成です。

 そのほか、比較的マイナーな他社ソフトも、いくつかフォローするつもりです。

PDF作成 ★★★★★
PDF変換 ★★★★★
PDF編集 ★★★★★
文字認識 ★★★★★
総合評価 ★★★★★

 そして、最後の「結論」では、上表のような観点から、Atlasのおすすめ機種!を提案するつもりです。

ーーー

1・PDF作成ソフトの比較
2・Adobe CCの比較
3・日本語OCRソフトの比較
4・英語OCRソフトの比較
5・各社のオフィスソフトの比較

 なお、今回の記事は、このブログのソフトウェア比較記事の「第1回目」記事として書きました。

1-1・PDFソフトの選び方の基本

 はじめに、PDFソフトの「選び方の基本」からです。

 ここでは、各ソフトの紹介に先立って、なぜ「専用のPDFソフトをなぜ買う必要があるか」、あるいは、なぜ「本家のAdobe Acrobat以外のソフトが多く販売されているのか」について確認していきます。

 おもに、初めての方のための解説です。


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 【Windows版】【Mac版】

 1・Adobe Acrobat Reader
  ¥無料 Adobe Store (12/16執筆時)

PDF作成:不可(閲覧のみ)

 Acrobat Reader は、Adobe社純正のPDFリーダーです。

 無料で提供されていて、送られてきたPDFをみるだけならば、これだけでもよいです。 

 しかし、あくまで、PDFをみるためのソフトです。

 PDFファイルへの変換・編集・他形式への変換は、非対応になります。

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 2・Adobe PDF Pack (1年間)
  ¥14,608 Adobe Store (12/16執筆時)

PDF作成:対応

 2・Acrobat Standard 12ヶ月版
  ¥16,560 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

 2・Adobe Acrobat pro 12ヶ月版
  ¥21,312 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替:対応
PDF編集:対応
PDF変換:対応

 こうした作業を行いたい場合、Adobeの純正品だと、以上のものを手に入れる必要があります。

 ただ、現在だと純正は定額サブスク化してしまい、契約料も高いです。

 したがって、1万円以下で買える、他社ソフト(いわゆるPDF互換ソフト)にニーズがあるという状況だと理解してください。

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 なお、PDF(PDF/A)は、Adobe社の独占物ではなく「国際規格」です。

 しかし、最初にそれを定義し、製品化したAdobe社が事実上、規格の更新を主導しています。

 そのため、「純正PDFソフト」といえるのは同社の製品というのが、世間の共通理解です。

 実際、画像編集やテキスト編集などの周辺機能を別とすると、純正のAdobe Acrobatに搭載がみられない主要機能というのは(ほぼ)ないですから。

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 とはいえ、他社ソフト(互換ソフト)も、後ほど改めて書く一部の機能性を除けば、今だと「本家」もつ機能性の大半は「再現」していると言えます。

 一般的な仕事用だと、問題ない状況と言って良いです。

 ただし、全ての互換ソフトが同じわけではないですし、使い勝手を含めた機能差が大きいです。

 今回の記事は、その部分に注目し「どこが違うのか」について、詳しく見ていくつもりです。

 以下では、その「本家」を含めて、冒頭書いた順番で主要ソフトの機能性を比較していきます。

1-2・ソースネクストのPDFソフト

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 はじめに、ソースネクストのPDFソフトからです。

 日本市場のこの手の製品では、おそらくシェア率が最も高い企業です。

 現状で2種類ラインナップがあるため、下位グレードから順番にみていきます。

ーーー

 なお、以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分は青字で記していきます。


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 【2024年発売】

 【ダウンロード版 】

 3・いきなりPDF STANDARD Edition Ver.12
  ¥3,900 ソースネクスト直販 (12/16執筆時) 

 【パッケージ版(カード郵送)】

 4・いきなりPDF STANDARD Edition Ver.12
  ¥4,290 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:一部可(文字列・画像不可
PDF変換:Word Excelほか
OCR:対応
PDFポートフォリオ:
対応ファイル:PDF 1.4-1.7
対応OS:Windowsのみ

 いきなりPDF Ver.11 STANDARDは、ソースネクストの「標準タイプ」のPDF作成ソフトです。

 以前は、1グレード下の「 BASIC Edition」がありました。しかし、2022年以後は、こちらが同社の「最安」です。

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 直販で買われる場合は、記リンクページの「STANDARDはこちら」ボタンを押さないと、この製品は出ません(仕様です)。

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1:UI(ページ編集ツール)の刷新
2:自動でファイルを命名(時間・番号)
3:表組みの画像のExcel図表化

 2023年秋発売の、いきなりPDF Ver.11 STANDARDはとの違いは、上表の3点です。

 UI(ユーザインターフェース)の更新は、特にページ入替や、プレビュー表示の部分で、かなり使いやすくなりました。

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 そのほか、規則性を持たしたファイル自動命名や、図表の自動エクセル化など、業務効率の効率において、気の利いた変更がみられると言えます。

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 結論的にいえば、今年は近年に比べて、結構、使い勝手の部分で、良い変更が加えられたと思います。買い換えも良いように思います。

 なお、今年、更新された機能性について、くわしくは【同社による新機能の説明サイト】をご覧ください。

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1:ツールパレット機能
2:ハンコ機能の充実
3:チェックマークの追加

 2022年秋発売の、いきなりPDF Ver.10 STANDARDと比べる場合、さらに3点の違いがあります。

 ツールパレット機能がこの世代だとなかったので、現行より多少編集が不便でした。

 そのほか、従来からある「ハンコ機能」について、デザインが増えて、(スタンプ印として)わりと本格的になったのが目立つ違いです。

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1:高速PDFビューアの改良(検索機能)
2:サムネイル画面での組換対応
3:OCRエンジンの刷新
4:タスクの自動処理機能

 2021年秋発売の、3世代以前(Ver9)からの久しぶりの買換の場合は、かなりの差があります。

 第1に、高速PDFビューア(=閲覧ソフト)の改良です。

 自慢の「軽くサクサク動くPDFビューア」に、「検索機能」が付きました。

 軽くても検索できないと「不便」だったので、改善に思えます。

 第2に、サムネイル画面での変換における操作性の向上です。

 旧バージョンまででも、サムネイル操作での入替、削除、結合は可能でした。

 ただこれ以後、結合ページの間にしおりを入れて分かりやすくすることや、一時的な拡大(プレビュー)に対応するようになっています。

 第3に、OCRエンジンの刷新です。

 あとで詳しく説明しますが、文字認識の精度が向上しました。

 第4に、タスクの自動処理機能です。

 業務用ソフトでたまに見かけますが、ページの回転や削除ほか、自動で同じ処理を実行したい場合、手軽にプログラムできるという機能です。

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 結論的にいえば、先述のように、1年前の世代と比べても「結構便利」になったので、今年更新するのは結構おすすめです。

 3年間ほどしばらく買い替えた記憶のない方は、とくに利便性の違いを大きく感じるかなと思います。

ーー

 以下、新機種をベースに、各機能を具体的に見ていくことにします。

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 PDFの作成は、あたりまえですが「対応」します。

 ソフト上で、Word・Excel・PowerPointなどの各ファイルからPDFを作成することが可能です。

 パスワードロックをかけたセキュリティPDFも作成できます。そのほか、PC内のフォルダを一括して、PDF化する機能も搭載です。ZIP圧縮ファイルもそのままPDFにできます。

 一方、Adobe Acrobatと比べると「PDFポートフォリオ」は非対応です。

 これは、元のファイル形式を保ったまま(=PDFファイルに埋め込んで)データをやり取りする機能性です。ライバルのJust PDFは同等機能を搭載したので、若干差はあります。 

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 PDFファイルの組替も、対応します。

 作成したPDFを回転したり、ページを入れ替えたり、削除したりする編集機能が可能です。

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 PDFファイル間処理も、一通り可能です。

 PDFファイル内の必要なページの抽出はもちろんのこと、ページの分割・削除、複数のPDFの結合と、必要なファイル操作は、ひととおりできます。

 この部分の使い勝手は、結構「高度」です。

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 PDF編集は、文字列(テキスト)の直接編集は不可です。

 ただ、テキストに関わらない部分、例えば、チームで仕事をする際などのためのハイライトや、テキストによる注釈、ノートの挿入ならば、可能です。

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 承認印(ハンコ)作成する機能を利用し、それを挿入することもできます。

 このほか、PDFのサイズを圧縮する機能も利用できます。

 ただ、高度な画像圧縮は対応せず、バージョン互換性の部分までは踏み込まない点で、Adobe Acrobat に比べると圧縮率/画質の両立はなせてはいません。

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 PDF変換も、主要ファイルに対応です。

 PDFからExcel・Word・PowerPoint形式に変換できます。

 OCR機能は、冒頭で少し書きましたが、搭載です。

 OCRとは、スキャナなどで取り込んだ書類の上の「画像としての文字」を解析し、テキスト化して、PCで文字列検索できるようにする機能です。

 本機は、テキスト画像の下に文字列を埋め込む「透明PDF」にも対応です(新バージョンはアップデートで対応)。

 変換エンジンは、日本語のほか、英語/中国語(簡体字・繁体字・韓国語に対応です。

 前バージョンとOCRの認識エンジンが変わりました。AIと機械学習を利用した新エンジンとされます。

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 エンジン出所(制作企業)についての詳しい説明はないです。

 同社の場合、元パナソニックで、今はソースネクストが販売している著名OCRソフトである「読取革命」系のエンジン(ライト版)をもともと利用していました。

 ただ、今回はアジア言語を含めた多言語展開になったので、出所は違うと思います。

 認識精度の向上を明言しますし、(読取革命自体の進化も止まっているため)マイナスではないと思います。

 ただ、もこれは他社のPDFソフトを含めてですが、しっかりした単語辞書(専門辞書)を備える専用OCRに比べると、オマケレベルではあります。

 PDFフォーマットは、一般的な PDF 1.4-1.7のみフォローです。

 2017年に企画が定まったPDF2.0や、出版・印刷分野で利用される PDF/A PDF/Xには非対応です。

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 以上、いきなりPDF STANDERD Editionの紹介でした。

 格安ながら、普通必要な一通りの作業ができるので、一般的にはこの製品を導入すれば「たいていのことは可能」でしょう。

 ただ、このシリーズには上位機があります。そちらは、すでにできあがったPDFについて文字やレイアウトなどの直接編集ができます。

 本機は、PDF自体の編集機能がないので、「作成してからの修正が効かない」部分だけ注意してください。

 例えば、同僚からPDFファイルが来て、顧客に回す前に「微妙な修正が必要」だったり、「月日を挿入したい」場合などは、この点が問題になります。

 「石橋を叩いて渡る」ではないですが、心配ならば、後ほど紹介する上位機を選ぶべきでしょう。

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 【Windows専用】【2022年発売】

 5・いきなりPDF to Data Ver.5
  ¥1,230 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

PDF作成:
PDF組替:
PDF編集:
PDF変換:Word Excelほか
OCR:対応
PDFポートフォリオ:
対応ファイル:PDF 1.4-1.7
対応OS:Windowsのみ  

 なお、同社のいきなりPDF to Data Ver.5も、OCR機能を持ちます。

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 ただ、こちらは「PDFからのテキストの抽出」に特化したソフトです。PDF自体の作成に関わる機能は「全省略」です。

 OCRは、PDF内の「文字画像」をテキスト化するために付属します。

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 マウスなどで囲んだ部分の文字を「OCR化」する同社の「瞬間テキスト2」も同梱されます(通常1980円)。

 ただこの機能は「いきなりPDF STANDERD」以上なら備わります。

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 結論的にいえば、値段差を考えたとしても「STANDERD」のほうが良いように思えます。


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 【Windows専用】

 【2024年発売】

 【個人・ダウンロード版】

 6・いきなりPDF COMPLETE Edition Ver.12
  ¥8,900 ソースネクスト直販 (12/16執筆時)

 【個人・カード版】10%クーポンあり

 7・いきなりPDF COMPLETE Edition Ver.12
  ¥9,900 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:対応(文字列・画像可
PDF変換:Word Excelほか
OCR:対応
PDFポートフォリオ:
対応ファイル:PDF 1.4-1.7
対応OS:Windowsのみ  

 いきなりPDF Ver.11 COMPLETEは、ソースネクストの「上位機」です。

 購入形態は、個人向けは2種類です。

 いずれにしても、インストールメディアはないので、値段で決めてOKでしょう。

1:UI(ページ編集ツール)の刷新
2:自動でファイルを命名(時間・番号)
3:表組みの画像のExcel図表化

 一方、1つ前の旧バージョン(Ver.11)との違いは、先ほどみた本製品の下位機種(スタンダード版)と同じです。

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 PDFの変換・PDFファイルの組替・PDFファイル間処理は、下位機種と同水準です。

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 PDF編集は、一方、下位機と大きく変わる部分です。

 下位機種より高度で、PDFの直接編集ができます。

 こちらの場合、作成済みのテキスト・画像の編集ができるほか、フォントの変更ができます。

 ここが下位機種との大きな違いで、この部分が欲しい場合、本機を選ぶ必要があります。

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 加えて、上位機の場合PDFを見開き形式に編集すること、文字をくっきりさせる機能もあります(左図)。

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 PDF変換OCR機能も、下位機種と機能性は変わりません。

 あとは、タイムスタンプ、電子署名ができる点が、下位機と変わる部分です。

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 以上、いきなりPDF COMPLETE Editionの紹介でした。

 PDF内の文字列や画像を直接的に編集・修正を行いたい場合に選ぶグレードです。

 本機の編集機能も細かく、気が利いており、使いやすいです。

 Adobeの正規版が「高くて導入が難しい」場合は、簡単なビジネス用務ならば、この製品で十分代用できるでしょう。

1-3・ジャストシステムのPDFソフトの比較

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 つづいて、ジャストシステムのPDF作成ソフトです。

 「一太郎」をふくめた同社のオフィススイートを構成する一角としての展開です。

 同社の倍、最近は、だいたい2年周期で新製品に更新しています。



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 【Windows専用】

 【20224発売】

 【パッケージ版 】(カードのみ)

 8・JUST PDF 6 (作成・編集・データ変換)
   ¥6,820 楽天市場 (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:一部可(文字列不可
PDF変換:Word Excel 一太郎ほか
OCR:対応
PDFポートフォリオ:
対応ファイル:PDF 1.3-1.7 PDF 2.0 PDF/A PDF/X
対応OS:Windowsのみ

 JUST PDF 6 は、ジャストシステムPDF編集ソフトです。

 同社のスタンダード版です。

 少し歴史を説明しておくと、この製品の前進は、ニュアンス(nuance)が開発していた「PDF EDIT」というソフトです。それを改良していったものです。

 「いきなりPDF 」のソースネクストも、過去において提供を受けていた時期(いきなりPDF EDIT 7)があります。その点でいえば「源流は同じ」です。

 とはいえ、いずれも、その後に独自機能を付けているので、現在は違いが多くあります。

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1:処理性能の強化(64bitアプリ化)
2:PDF2.0対応
4:UIの改良 ほか

 なお、本機の旧バージョンは22年登場のJUST PDF 5でした。

 機能を比較する場合、大きく変わったのは64bitアプリになった部分です。

 ソースネクストは、現行バージョンでも64bitはエミュレーション(WOW64)駆動です。64biのtWindowsを利用の場合、動作処理がかなり向上します。

 そのほか、規格的にPDF2.0に対応した部分と ページ間などのコピー操作に関わるUIの効率化などが目立ちます。マイナーな相違点について、より詳しくは【同社の新旧の違いの説明】をご覧ください。

 また、本家(Adobe)との機能差は【同社のPDFファイル】に詳しいです。

 以下は、新機種をベースに、ソースネクストで行ったのと同様の項目で比較していきます。

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 PDFの作成は、あたりまえですが「対応」します。

 同社の場合、マイクロソフト系アプリほか同社の一太郎系のフォーマットも対応します。

 また、Officeソフトにアドインボタンが付与できるので、「ワンボタン」でPDFができる仕様です。

 上級者向けにはコマンドラインによるパッチ処理にも対応できるため、大量処理にも向きます。

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 PDFファイルの組替も、対応します。

 いきなりPDFと同じく、作成したPDFを回転したり、ページを入れ替えたり、削除したりする編集機能が、ひととおり対応です。

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 PDFファイル間処理も、対応です。

 PDFファイル内の必要なページの抽出や、ページの分割・削除、複数のPDFの結合と、必要なファイル操作は、ひととおりできます。

 インターフェースも、わかりやすい設計です。

 本家のAdobe「本家」同様に、コピー&ペースト、ドラッグ&ドロップなどで、ページ内、ファイル間のページの入替も可能です。

 UIは実際「本家に最も近い操作性」かと思います。

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 このほか、作成後のPDFファイルの軽量化も対応できます。

 いきなりPDFも対応しますが、処理設定の細かさは、こちらのが少し上です。

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 PDF編集は、文字列(テキスト)の直接編集は不可です。

 しかし、アンダーラインや付箋ほか、注釈・ノート・ハイライトなどの挿入も可能です。

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 その上で、独自機能で注目するべきは「電子印鑑」機能です。

 いきなりPDFも、スタンプ機能はありますが、この部分は本機のほうが充実します。

 基本の印影をカスタマイズして一定程度「オリジナル」といえる印鑑が作成できます。

 ただ、この部分は、後ほどみる上位機の場合、電子書名と関連付けてセキュアにできるので、そちらのが「おすすめ」です。

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 そのほか、 ページサイズの変更も本機の「小回りの効いた」機能と言えます。

 例えばA3のページを縮小して、A4に合わせる変更が(PDF印刷を経ずに)可能です。

 逆に拡大することも可能なので、不統一の書類を扱う場合、便利です。

 これは、以前はジャストの上位機種しか見られなかった機能ですが、降りてきました。

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 見開きページの分割・作成も可能です。

 「いきなりPDF」見開きページの作成はできますが、分割は非対応なので、この部分もワンポイントでしょう。

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 あとは、大きすぎるファイルの自動分割機能も、注目点です。

 ファイルサイズを指定して、複数のファイルに小分けでき、メール添付時などに便利です。

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 PDF変換は、Office系や一太郎などのほか、JPEGやテキスト形式の出力に対応します。

 OCR機能は、搭載されます。

 ただ、使用されるエンジンの明記はありません。

 以前同社で売っていたOCRソフト(一発OCR)は、Panasonic系エンジンでしたが、最近はわかりません。

 いずれにしても、Adobeはもちろん、近年この部分に手が入れられたソースネクストにも及ばないかなと思います。

 PDFフォーマットは、フル対応です。

 PDF 1.4-1.7ほか、PDF2.0や、出版・印刷分野で利用される PDF/A PDF/Xを含めて対応します。

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 以上、JUST PDF 5 通常版の紹介でした。

 ソースネクストのいきなりPDF STANDARDのライバルです。

 書類を整頓して「きれいに整える」という部分で、本機はライバルより優秀と言えます。

 例えば、見開きページの処理や書類サイズを統一などは、本機の強みです。

 とはいえ、値段がこちらがやや高く、心理的な抵抗線といえる5000円をオーバーします。

 また、文字くっきり」機能がない部分など、機能でも上位とも言えない部分もあります。そのため、どちらが「おすすめ」かは、記事の最後の結論で改めて考えます。


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 【Windows専用】

 【2024年発売】

 【パッケージ版】

 9・JUST PDF 6 Pro(作成 データ変換 編集Pro)
   ¥16,390 楽天市場 (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:対応(文字列・画像可
PDF変換:Word Excel 一太郎ほか
OCR:対応
PDFポートフォリオ:対応
対応ファイル:PDF 1.3-1.7 PDF 2.0 PDF/A PDF/X
対応OS:Windowsのみ

 JUST PDF 6 Proは、ジャストシステムのPDF編集ソフトの上位機です。

 価格は、ソースネクストの上位版より高めです。

 ただ、とくに、PDF内の直接編集の利便性と、PDFポートフォリオに対応する部分で、Adobe「本家」により近いとは言えます。

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 PDF作成・PDFの組替・ファイル間処理は、1つ上で見た下位機種と同じ水準です。

 ただ、PDF変換について、PDF以外のファイルをPDFファイルの中に埋め込む機能(PDFポートフォリオJP)に対応します。

 PDFポートフォリオはAdobe本家も持つ機能性ですが、ソースネクストだと不採用です。

 本機の特長と言えます。

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 PDF編集は、下位機との大きな違いで最大の見所です。

 ジャストシステムは、ワープロ(一太郎)を作成しているメーカーだけあり、PDFの文字列編集がかなり充実しています。

 感覚的に操作できる点は、「本家」を含めてもPDFソフトで最も優れると言えます。

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 文字だけでなく、写真についても、ドラッグ&ドロップ操作で移動できますし、アンケート・申し込みフォーム・電子封筒などの作成も、感覚的に作成できます。

 テキストボックスの結合や分割も簡単です。

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 この部分は、(Adobeの場合、画像編集ソフトが別に展開する部分もあるので)Adobeの純正PDFソフトよりも高機能に思えます。

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 一方、ジャストの場合、下位機種でも、電子印鑑システムが、ライバルに対して強みと言える部分でした。本機も同じ機能を持ちますが、電子印鑑から直接電子書名と関連付けて、自動にセキュアな処理できる部分など、使い勝手を強化しています。

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 そのほか、墨消し・電子署名を含めたセキュリティ部分の充実は、本製品が官公庁で多く使われる部分をふまえています。

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 加えて、本機は、OCRソフトを使って透明PDFを作った場合、同じインターフェースで文字の背後にあるテキスト(透明テキスト)の編集がもできます。

 これは、Adobeの純正PDFソフトにはできない機能性です。

 こうした作業をしたい場合は、専用のOCRソフトを利用するしかなかったので良い機能性に思えます。

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 PDFの抽出・OCR機能は、下位機種と機能面では変わりません。

 先述のように、OCR精度は、あまり期待値は高くないです。

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 そのほか、2枚のPDFの差分比較ができる機能が付属です

 専用ソフトを使わずできるのは、場合によっては便利でしょう。

 あとは、PDFの読み上げ機能も付属するのも特長でしょう。

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 以上、JUST PDF 6 Pro の紹介でした。

 PDF編集の部分の出来は「本家のAdobeの正規版」よりも良い部分があるソフトです。

 とくに、PDFを用いた編集作業(校訂作業)を多くする場合、Adobeよりも使いやすい部分があります。透明PDF周りの作業効率は、今回のバージョンでかなり良くなりました。専門的なOCRソフトを、開く手間がなくなりますので。

 この点で、本家のAdobe Acrobatのほか、こちらのソフトを所有する意義が出てきたように思えます。

1-4・アンテナハウスのPDFソフトの比較

 つづいて、アンテナハウスのPDF作成ソフトです。

 Atlasも使っていた2000年代の「クセロ瞬簡PDF」の子孫で、官公庁や士業に人気の高いソフトです。

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 【2023年5月発売】

 【Windows専用(ダウンロード版)】

 10・アンテナハウス 瞬簡 PDF 統合版 2024
  ¥15,273 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:対応(文字列・画像可
PDF変換:Word Excelほか
OCR:対応(多言語)
PDFポートフォリオ:対応
対応ファイル:PDF 1.3-1.7 PDF 2.0
対応OS:Windowsのみ

 瞬簡 PDF 統合版 2024は、アンテナハウスのPDF作成ソフトです。

 最新版は、2024年発売です。

 昨年先行していた 書込機能(書けまっせ 9)だけでなく、今回、後述する構成4ソフト全て64ビット化がなされました。

 Adobe本家とJust PDFを除くと、64bitはエミュレーション(WOW64)駆動です。処理速度が大きく変わる部分で割と大きな変更なので、既存ユーザーは更新を考えて良いかと思います。

 そのほか、UIも改良され、構成全ソフトとも全製品が統一化されたた点、OCRエンジンが更新された部分が目立つ改良点です。

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 11・アンテナハウス 瞬簡 PDF作成 2024
 12・アンテナハウス 瞬簡 PDF編集 2024
 13・アンテナハウス 瞬簡 PDF変換 2024
 14・アンテナハウス 瞬簡 書けまっせ 2024
  ¥3,118〜 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

 瞬簡 PDF 統合版 2024は、正確には、諸ソフトを統合した「PDFスイート」です。

 それぞれで、編集・変換・書込・編集に対応できるため、他社の「最上位グレード」と同級と言えます。

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 PDF作成は、対応します。

 プリンタと同様の「印刷」ボタンを経由し、PDFを作成するのが基本です。

 そのほか、ドラッグ&ドロップでPDFを作成することはできますが、画像(サムネイル)を見ながら、感覚的にドラッグで処理することはできません

 「単独ソフトが4つ」というスイート構成のデメリットがでた形です。

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 複数のファイルから、1つのPDFを作成する機能はありますが、その後の編集などは、やはり「別ソフト」でとなります。

 ただし、IEとOfficeには、ジャストシステムのようにアドインボタンが付くため、簡単な使い方ならば不便はないでしょう。

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 PDFファイルの組替も、対応します。

 このソフトも、作成したPDFを回転したり、ページを入れ替えたり、削除したりする編集機能が付属します。

 PDFファイル間処理も、一通り可能です。

 これらの部分は主要社だとあまり変わりません。

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 複数のPDFの文書情報を一括編集できる機能は独自です。

 これは、本家でもできないので、例えば、会社・担当者の変更などの際には便利かもしれません。

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 PDF編集は、テキスト・画像を含めて編集可能です。

 各社の上位機相当の機能性です。

 とくに、アンテナハウスの場合、書類入力欄の処理制度にこだわりが強く、日本独特の「ふりがな」欄フォーマットなどの入力精度を高めています。

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 一方、日本独特のフォーマットの対応するなど、フォームの作成・編集は、本機の見どころです。

 今回のバージョンから、各種ボタンなどの編集・追加もなされました。

 ただ、電子署名は、同社の場合、官公庁向けのボリュームライセンスにのみ付属です。市販品には付属しない点が注意点です。

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 PDF変換は、対応です。

 マイクロソフト系とともに、一太郎系への変換にも対応する製品です。

 ジャストシステム純正以外では唯一かもしれません。

 OCR機能は、付属です。

 レイアウト認識など、他社の基本装備はこちらも持ちます。

 その上で、日本語・英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・イタリア語・ロシア語・韓国語・簡体中国語・繁体中国語ほか、36言語の認識エンジンを持つ点が特長です。

 ただ、現実的に利用する、日本語・英語は、他社と比較して、スペルチェックをふまえないため、精度は落ちるでしょう。

 また、出所を明示しない状況で、多言語対応のOCRを(この価格で)装備している点から、海外製のOCRエンジンを利用している蓋然性もあります。

 いずれにしても、もう少し情報開示が欲しいところです。

 PDFフォーマットは、一般的な PDF 1.4-1.7ほか、PDF2.0には対応です。

 出版・印刷分野で利用される PDF/A PDF/Xには非対応です。

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 以上、瞬簡 PDF 統合版 2024の紹介でした。

 PDF入力の部分で、統一的な書式の処理に力を入れている部分で士業の方に訴求力がありそうです。この点では、JUST PDFの上位版のライバル製品でしょう。

 一方、「単独ソフトが4つ」という構成は、使い勝手の部分で難点とも言えるので、このあたりの部分が課題と言えそうです。

 士業・官公庁向けに強いソフトですし、今回の「書込部分」の64bit化も、処理量が多いならば、買換も良いでしょう。

1-5・Adobe Acrobat の比較

 ここからは、Adobe Acrobat について、詳しくみていきます。

 同社は、PDF規格の開発元であり、「PDF編集ソフトの親玉」はこのソフトです。

 そのため、ここまで見たソフトは「フル機能版」の上位機でも、こちらに比べるとできない機能があります。

 この部分に注目しつつ、詳しく解説します。

1・Acrobat の種類

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 【スタンダード版】【Winのみ】

 〈オンラインコード版〉

 15・Acrobat Standard 12ヶ月版
  ¥16,560 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

 (パッケージコード版) 

 16・Acrobat Standard 12ヶ月版
  ¥16,800 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

OCR:対応
対応ファイル:PDF 1.3-1.7 PDF 2.0
対応OS:Windowsのみ

 【プロ版】【Win&Mac】

 〈オンラインコード版〉

 17・Adobe Acrobat pro 12ヶ月版
  ¥21,312 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

 (パッケージコード版)  

 18・Adobe Acrobat pro 12ヶ月版
  ¥21,878 Amazon.co.jp (12/16執筆時)

OCR:対応(カスタムフォント可)
対応ファイル:PDF 1.3-1.7 PDF 2.0 PDF/A PDF/X
対応OS:Windows & Mac

PDF作成:対応
PDF組替: 対応
PDF編集:対応(文字列・画像可
PDF変換:Word Excelほか
PDFポートフォリオ:対応

 Adobe Acrobatは、PDF編集ソフトでは最も高機能と言えるソフトです。

 ライセンス番号の発行形態の違いで「オンラインコード版(ネット取得)」と「パッケージコード版(郵送送付)」がありますが、性能は同じです。

 一方、スタンダード版プロ版があります。

 スタンダード版は、Windowsのみの展開で、プロ版は、WindowsとMacのクロスライセンス製品です。

 ライセンスの選択肢は、現状で、自動更新のサブスク型のほかは、1-3年の期間限定版のみです。

 「永久ライセンス版」は、2020年頃に完全廃止されて選べません。

 なお、ライセンス部分の詳しい状況は、学生版・教職員版などの情報を含めて、【Acrobat Proのお得な購入法の記事】で書いています。

1・2つのPDFファイルの差分比較
2・カスタムフォント機能
3・PDF/A PDF/Xへの対応
4・動画・音楽ファイルの挿入

 スタンダード版プロ版違いは、いくつかあります。

 このうち、一般ユーザーに関係しそうなものは、上表の4点です。

 スタンダード版で残念に思えるのは、「カスタムフォント機能」の省略です。

 とくに、紙の書類をOCR機能を使って「検索可能なファイル」にしようとお考えの方は、この部分は重要です。後ほど詳しく書くつもりです。

 さしあたって、以下では、他社の互換ソフトと比較した場合の「性能」について、はじめに説明していきます。

2・他社製ソフトに対する優位性

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 先述のように、PDF規格を定義しているAdobeですから、他社の「互換ソフト」が持つ、PDFとして必要な閲覧・作成・編集機能は、全て網羅されます。

 安定性なども高レベルで、高機能でも、動作はさほど重くないソフトです。

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 機能面では、しかし、「互換ソフト」との機能差は、先述のように近年詰まっています。

 昔は、オフィスソフトとの連携ファイルの結合機能なども優秀でした。ただ、最近は互換ソフトの向上で、明確な差は言える部分は少なくなっています。 

 とはいえ、他社製ソフトに比べて優れている点は、まだ多いです。

 以下、Atlasが注目するポイントを「5点」あげておきます。

ーーー

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 第1に、PDFの圧縮率の高さです。

 JUST PDFなど、他社機も画像ファイルなどの圧縮機能があります。

 しかし、Adobe Acrobat は、不可逆的圧縮を含め高度な圧縮が可能です。

 細かい設定もできますが、しなくても他ソフトに比べて、ファイルサイズはかなり小さくできると言えます。

ーーー

 第2に、ファイル互換性の高さです。

 PDFは、同じ拡張子でも10以上のバージョンがあります。

 上位ほど圧縮率が高いですが、下位互換性がないため、他ソフトだと不都合が生じる場合もあります。

 全てに「完全互換」の他社ソフトはない点で言えば、(将来的な部分も含めて)「確実に何でも開ける」のは、このソフトだけです。

ーーー

 第3に、OCR変換エンジンの性能です。

 独自の変換エンジン(日本語についてはエプソン系)とレイアウト認識で、かなり高度な、文字検索できるPDF(透明PDF)が作成できます。

 また、国際商品なので、英語・日本語だけでなく、多言語OCRに対応しているという特長もあります。

ーーー

 第4に、高度なPDF編集機能です。

 本機は、ファイル内から「フォントファイル」を自動で作成する「カスタムフォント機能」があります。

 ファイル全体の文字部分の画像を解析し、画像からフォントのセットを自動で作成します。

 そのため、PDF編集で、新たな文字をかきいれる場合、ファイル内のフォントと同じ字形のものが選ばれるため、違和感のない自然な見映えの文字挿入が可能にです。

 さらに、文字はフォント化(ベクター化)されているため、PDFの倍率を拡大表示してもボケません。

 この部分は、「文字だけで表現しても分かりにくい」と思うので、画像を使いながら、次項で詳しく解説しようと思います。

ーーー

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 19・Acrobat Reader iPad版
 20・Acrobat Reader iPhone版
  ¥無料 Apple App Store 

 21・Acrobat Reader Android版
  ¥無料 google play 

 第5に、クラウド対応です。

 iPadをはじめとするタブレットやスマホからの変換に対応するようになりました。

 また、PCライセンスがあれば、追加購入なしでフル機能も利用できます。

 上記のスマホ・タブレット向けアプリが用意され、PC版ライセンス購入者に、フル機能が「開放」されています。 

 閲覧だけでなく、OfficeファイルからのPDF変換に対応できますし、iPadならば、ページの削除PDFの並び替えコメント・文字列の編集もできます。

ーー

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 あとは、仮想環境(WOW64)ではなく、64bitネイティブで動く点で、64bitマシンで処理が有利な点を除けば、主に企業環境向けの機能です。

 一般ユーザーが便利な機能は少ないかもしれません。

 例えば、他社にもあった「ハンコ作成機能」の上位互換と言える、e-signなど、ネットを介した先進のセキュリティ文書機能の対応などです。

ーー

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 【Mac版】

 22・Mac Finder
  ¥無料

 Finderは、Macに標準搭載されるPDF作成・編集機能です。

 このソフトで、PDFの作成・編集・回転・結合・フォームの作成などが可能です。

 ただ、PDFのOCR化とページ内の高度な文字編集には未対応です。

 サードパーティのソフトがないので、対応させるためには、以下で紹介する、Adobe Acrobatの製品版が必要です。

3・AcrobatのPDF編集機能

 ここからは、Adbobe Acrobatの優れた機能のうち「高度なPDF編集機能」について、もう少し詳しく紹介します。


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 Acrobat Proは、PDFのレイアウト認識が、他社機より高度です。

 複雑なレイアウトでも、文字枠・画像枠を自動でしっかり区別して認識されます。

 そのため、PDFの文字編集作業自体の「時短効果」は、互換ソフトに比べると期待値は高いです。

  202104131438.jpg 

 編集後のファイルの美麗さも、強調できます。

 特に文字については、そのように言えます。

 なぜなら、「カスタムフォント機能」があるからです。

 これは、同じファイル内で使われているフォントの字体(画像)を自動解析し、アクロバットが「カスタムフォント(オリジナルフォント)」を自動生成するという機能です。

 この場合、パソコンに同じフォントがインストールされていなくても、自動生成した、同じような見映えのフォントが挿入されます。

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 例えば、上の画像では、「New York」のうしろに、Atlasが「York New」と新しく文字列を加えています。

 比べると分かりますが、同じ見ばえのフォントであることがわかります。

 「アメリカ」のあとに「アメリカ」と同じ文字を新しく入力していますが、こちらもしっかり似た文字が入ります。

 「カスタムフォント」は、1ファイル内の画像を元に生成する仕組みなので、フォントの類例があるほど精度は上がります。

 つまり、OCR化を目的に「本一冊」など大量に処理する場合はとくに、「類似度」は上がっていきます。

201504281028.jpg 

 PDF内の画像も、ボックス単位で、画像の置換や編集が可能です。

 昔はAdobe InDesignなどで行わざるを得なかったものですが、今は簡単にできます。

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 結論的にいえば、長期保存用のアーカイブを目的に「検索可能なPDF」を作成している方にについては、Acrobatの正規品を買う(サブスク)するのは、意味が大きいです。

 その場合、「カスタムフォント機能」は、プロ版のみ対応です。スタンダード版は未搭載ですから、注意が必要です。

4・Acrobat のOCR機能

 つづいて、Acrobat のOCR機能(文字認識)について、少し「深掘り」してみます。

 

 OCRとは、改めて繰り返せば、スキャナなどで画像(=絵)として取り込んだ文字を、テキスト(文字フォント)に変換する機能のことです。

 OCR処理をすれば、元は「紙の書類」でも、文字列が検索できたり、文字を編集したり、ワードなどにコピー&ペーストできるようになります。

 例えば、上図は、Atlasがスキャナから取り込んで作ったPDFファイルの写メです。

 OCR処理をしたので、この書類画像のバックグラウンドに(透明で見えない形で)文字認識結果が埋め込まれています。

 だから、上図の文字の部分(青く反転している部分)を選択すると、文字列がコピーできたり、PCで検索できたりします。

 こうしたPDFファイルは「透明PDF」とも呼ばれます。

 アドビはClear Scanとも呼ぶ機能です(最近は「編集可能なテキストと画像」という機能名)。

透明PDF」の場合、(バックグラウンドの)テキスト認識結果が間違っていても、スクリーン上は元の画像ファイルが表示されます。そのため、書類の可読性に問題ありません。

 それでいて「検索はできる」ので、PDFをこの型式で整理している方は多いです。

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 一方、OCR機能は、「透明PDF」を含め、互換ソフトの上位機でも搭載事例があります。

 しかし、こうした「専用ソフト」にはない、次のような「独自性」があります。

ーーー

 第1に、PDFサイズの軽量化です。

 Acrobat は、OCR認識の過程で、(背後の文字だけでなく)認識した文字の画像部分を「カスタムフォント」とし、同じ文字ならば一括りの「同じフォント」として、「透明PDF」を作っています。

 そのため、OCRをかけると、画質の劣化なし最大10倍以上ファイルサイズが縮みます

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 第2に、拡大した際の文字の美麗化です。

 文字が画像のままの場合、PDFの倍率を上げると、文字がどんどんぼやけていきます。

 しかし、本機の場合、「カスタムフォント」化の過程で、画像としての文字をベクターデータ化しているので、文字の拡大での画像劣化がなくなります。

 そのため、スクリーンで文字を見たとき(拡大したとき)に変換前よりもなめらかに見えるという利点があります。

 結果、Adobe AcrobatでOCR(ClearScan)をかけたファイルは、見かけも美しく、視認性が高いです。

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 第3に、OCRの認識精度です。

 これについては、簡単に実例を示しつつ解説します。

 例えば、上図のような、レイアウトが複雑ではない、横書きの日本語画像を認識させる場合です。

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 こちらは、認識結果(PDFのバックグラウンドに埋め込まれており、ディスプレイではみえない)の透明テキスト部分です。

 無用なスペースが何カ所か入っています。

 しかし、横書きの日本語についてはほとんど問題なく実用レベルでの認識が可能です。

 ビジネスで言えば、横書きの会議資料は、だいたい完全な形で読み込みます。

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 ただし、弱点もあります。

 文庫本などの、縦書き文書は、Acrobatは確実に「苦手」と言えます。

 上表は、とある文章の認識結果ですが、無用なスペースが入っているので検索の用をなさないほか、精度も実用外です。この部分は、専用のOCRソフトを使うしかない状況です。

---

 結論的にいえば、日本語でも縦書きを扱いたかったら、現状では専用ソフトが必要です。

そういったソフトは、【日本語OCR専用ソフトの比較記事】で、詳しく紹介しました。

・英語・ドイツ語・フランス語
・ロシア語・イタリア語・スペイン語
・韓国語・中国語

 なお、日本語版のAdobe acrobatでも、外国語のOCR化も可能です。

 とくに、英語変換の精度については、多少特殊なフォントでも読み取れるほど、格段に高いです。

 この部分についても、このブログでは、英語OCRソフトの比較記事】を用意しています。

 興味のある方はご覧ください。

ーーーー

 結論的にいえば、Adobe AcrobatのOCR認識精度は、横書きやビジネス文書ならば、かなり高機能と言って良いでしょう。

 高度なPDF変換機能は、他社製PDFソフトにはない、Adobe Acrobat独自の魅力です。

 なお、OCR機能自体は、Adobe Acrobatのスタンダード版でも利用可能ですが、カスタムフォント機能がないのでOCRを使いたい場合は「プロ版」がよいです。

今回の結論
PDF作成ソフトのおすすめは、結論的にこれ

 というわけで、今回は、各社のPDF作成・編集ソフトの比較の1回目記事でした。

 しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。

   202412161536.jpg

2・PDF作成・編集ソフトの比較 (2)
 2-1:他の企業  
 2-2:最終的なおすすめの提案【結論】

PDF作成 ★★★★★
PDF変換 ★★★★★
PDF編集 ★★★★★
文字認識 ★★★★★
総合評価 ★★★★★

 続く2回目記事こちら】は、ここまで見ていないソフトを追加でいくつか見たあと、結論編に入ります。

 ここまで紹介した全製品から、結論として、上表のような観点から、価格別・目的別にどのソフトを購入するべきか?をAtlasの「おすすめ」を提案していきます。

 引き続き、よろしくお願いします!

 2回目記事は→こちら

posted by Atlas at 18:38 | 研究道具(ソフトウェア)

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