【今回レビューする内容】2022年 最新ドキュメントスキャナの性能とおすすめ:富士通 キヤノン エプソン ブラザー
今回のお題
性能の良いA4ドキュメントスキャナーのおすすめはどれ?
ども、Atlasです。
今日は、2022年3月現在、最新のドキュメントスキャナの比較の2回目記事です。
1・A4ドキュメントスキャナの比較 (1)
1-1:富士通
1-2:キヤノン
1-3:エプソン
2・A4ドキュメントスキャナの比較 (2)
2-1:ブラザー
2-2:富士通〈業務用〉
2-3:エプソン〈業務用〉
2-4:キヤノン 〈業務用〉
3・おすすめA4ドキュメントスキャナ 【結論】
=最終的なおすすめ機種の提案
2回目記事では、ブラザーの入門機ほか、業務用といえる少し高級なスキャナーをいくつか紹介します。
なお、ドキュメントスキャナの「選び方の基本」は、1回目記事の冒頭でまとめました。
そのため、お時間のある方は、1回目記事(こちら)からご覧ください。
よろしくお願いします。
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1・ドキュメントスキャナの比較
2・フラットベッドスキャナの比較
3・フィルムスキャナの比較
4・ハンディスキャナの比較
5・ブックスキャナの比較
6・A3対応スキャナの比較
なお、今回の記事は、このブログ「家電批評モノマニア」の一連のスキャナ記事としては、1回目記事の1つとして書きました。
2-1・ブラザーのスキャナ〈入門機〉
はじめに、ブラザーのドキュメントスキャナの紹介からです。
同社の背品は、比較的、取込速度が速い機種が多い印象があります。
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なお、以下の本文では、いつものように、高評価できる点については赤字で、イマイチな点については青字で書いていきます。
Windows XP〜10 Mac 10.10〜12.0
【2018年】
17・BROTHER ADS-2200
¥36,127 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:50枚まで
重送検知:未装備
原稿保護:
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB
収納サイズ:幅298x高さ177x奥行205mm
ADS-2200は、BROTHER の入門用のドキュメントスキャナーです。
スキャン速度は、上表の通りです。
300dpiの場合、グレースケール・カラー・白黒共に35枚/分です。
600dpiの場合は、いずれも9枚です。
いずれも入門機の平均値はクリアします。
原稿分離の性能は、結構特殊です。
本機は、ピックアップローラーを2本の構成にした3本構成にしています。
Atlasも本機ではじめて見た構成です。ただ、構造的に「重送は起こりにくい」と思います。
重送検知機能は、ただし、大きな問題点です。
この機種は超音波による重送検知が省略されています。
原稿の傾きによる簡易的検知しかないため、(例え)新型ローラー搭載でも、精度の点では劣ります。最近この機能がない機種は珍しく、大きなマイナスです。
給紙可能枚数は、50枚(80g/m2紙)まで給紙可能です。
画像処理技術は、充実しません。
キャノンのテキストエンハスドモード、EPSONの文字クッキリ機能に類するものはありません。
簡易的な「裏写り除去機能」などはつきますが、キャノン比較するとあまりメリット性が高いとは言えなそうです。ただし、傾き補正などの基本的な機能は付いています。
ドライバーは、TwainとWinのWIA・MacのICAです。
ネットワーク機能は、この機種は搭載されません。
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以上、ブラザーのADS-2200の紹介でした。
面白い構造のローラーを採用するなど、搬送部分に特長があります。
ただ、超音波による重送検知がない点に大きな問題点があります。
Windows XP〜11 Mac 10.11〜12.0
【上位機種】
18・BROTHER ADS-3600W
¥66,018 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
【下位機種】
19・BROTHER ADS-2800W
¥48,373 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:50枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB・Wi-Fi
収納サイズ:幅306x高さ250x奥行258mm
ADS-3600Wは、ブラザーのドキュメントスキャナの上位機です。
速度が少し遅いだけのADS-2800Wも同時に紹介します。
スキャン速度は、2機で異なります。
上位機種は、300dpiの場合、グレースケール・カラー・白黒共に、相当高速です。
本体価格が少し高めとは言え、50枚/分という数字はかなり高いです。
一方、600dpiの場合、白黒だと24枚/分です。
ここまで見た機種の中ではかなり良いため、OCR用などで高解像度が「マスト」な方に本機は良いでしょう。グレースケール・カラーの場合も、12枚/分ですので、平均値を超えます。
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結論的にいえば、本機は、入門機のなかでは、スピード面で最も総合力があると言えるでしょう。
下位機種は、上表の通りです。
4万円前後の競合機と比べれば、極めて速いわけではないものの、遅くもないです。
この価格帯で「高評価」したエプソンの入門機と比べても、とくに白黒・600dpi時の数字が良いので、OCRには向きそうです。
原稿分離の性能や、重送検知機能は、超音波重送検知機能を含め、ScanSnapと同程度の能力です。
つまり、下位機種の問題点だった部分は解決されています。一方、ローラー形状は、発売時期の関係か、こちらは旧来のままのローラーです。
給紙可能枚数は、50枚(80g/m2紙)まで給紙可能です。
平均的で、問題ないです。
原稿自動判別機能は、白黒・グレースケール・カラーの判別に対応します。
エプソンのようなクセはないですし、普通の仕様です。
搭載されるセンサーは、本機もCISです。
画像処理技術は、上位機種も充実しません。
キャノンのテキストエンハスドモード、EPSONの文字クッキリ機能に類するものはありません。下位機種同様の構成です。
ネットワーク機能は、Wi-Fiが搭載です。
また、この部分は、スキャンスナップと並んで優れる部分です。
パソコンやスマホを介さずに、本体に付属する液晶パネルだけで、操作とデータの転送ができる機種だからです。
クラウド連携も、FacebookなどのSNSや、Evernote・ドロップボックス・Googleドライブ・One DriveなどのオンラインストレージサービスにPCを介さずに直接アップロードできます。
仕組みはエプソンの対応機と同じで、ブラザーの用意するクラウド(ブラザークラウド)のアカウントを取得し、それを経由して、各サービスと連携、転送していく方法です。
ブラザーの場合も、指定したEメールに画像を直接発信することもできます。イントラネット常用、ファイル共有にも便利です。
スマホ・タブレットでの利用は、Brother iPrint&Scanという、自社製の無料アプリを利用します。AndroidとiOS双方ともに対応します。
付属するソフトは、とくにありません。
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以上、ブラザーのADS-3600Wなどの紹介でした。
以前は、Wi-Fiと液晶パネルの搭載はブラザーが先行していて、本機の「売り」でした。
ただ現在は、スキャンスナップが強力なライバルでとなっており、それと比較検討する必要があります。最終的な「おすすめ」は、記事の最後に改めて考えてみます。
2-2・富士通のスキャナ〈業務用〉
続いて、富士通(PFU)のスキャンスナップの業務用です。
今まで見てきた入門機は、ビジネス向けの個人用、あるいは、家庭用(自炊など)として主に売れている機種です。
速度面ほか、機能面で、多人数利用に向く機種が主です。
ただ、冒頭で少し書いた、重送対策をふくめて、先端機能がいくつか見られるので、「未来の家庭用スキャナ」がどうなるのかという部分で、一般ユーザーも見ておいて損はないかと思います。
【2019年】
Windows 7〜11 Mac 10.12〜12.0
20・富士通 A4両面カラースキャナ fi-800R
¥53,114 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:20枚まで
重送検知:超音波/アクティプレス
原稿保護:自動スキュー補正
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB
収納サイズ:幅296x高さ83x奥行105mm
fi-800Rも、富士通のビジネス用スキャナーです。
本機は、高額な製品ですが、結構面白い機能があります。
本機は、省スペース設計を最重要視した製品です。
ホテルや開業医の受付など、設置スペースがほぼない場所で、ある程度高速に使いたい場合を想定した機種です。
方式としては、キヤノンの下位機のように、Uターン構造にすることで設置スペースの節約を図っています。
また、パスポートなどの読み取りに利用するために、1.3mm以下の原稿のリターンスキャンも対応です。これは、使い方によっては、事業者などは便利でしょう。
スキャン速度は、上表のようになります。
300dpiならば、白黒・グレースケール・カラーともに実用上問題ないです。
小型の業務用ですし、600dpiはあまり関係ないでしょう。
なお、リターンスキャンの場合は、読み取り速度はもちろん異なります。
原稿分離の性能の部分もユニークです。
本機は、資料が傾いていた場合、(物理的に)1枚ずつ勝手に傾きを直す自動スキュー補正とが付属します。
さらに、原稿の厚みを判定して原稿に圧力をかけてしっかり分離させる「アクティブプレス構造」を取ります。
しっかり原稿を揃えて入れればこと足りる自炊には「オーバースペック」気味ですが、 混在する書類を(適当に)スキャンしていくような仕事にはかなり便利でしょう。
重送検知機能は、超音波重送検知機能を含めて付属します。
給紙可能枚数は、ただしさほど重視されず、20枚(80g/m2紙)です。
原稿自動判別機能は、相当高度です。
本機のドライバソフトであるPaperStream IPは、色ではなくレイアウトを判断して、自動で、あらかじめ指定した読み取り値を取らせることが可能です。
また、顔認識機能を使った身分証表裏判別機能など、ニッチな機能も目白押しです。
画像処理技術は、PaperStream IPというサポートソフトが利用できます。
「自炊」ユーザーに興味深い技術としては、高度な白黒二値化に対応する部分です。
地色や地紋の除去や、ゴミ取り、文字の太さなどを、OCRにかける前に、自動で最適化できます。
相当状態の悪い原稿をテキストデータにする際には、高機能です。
これらの技術は「アドバンスドクリーンアップテクノロジー」と総称していますが、結構な技術革新だと思います。
処理ソフトは、有償上位版の「 PaperStream Capture Pro ScanStation(WG)」もありますが、こちらだけでも欠航できることは多いです。
搭載されるセンサーは、一般的なCISです。
ドライバーは、こちらもTwainとISISに対応します。
なお、富士通はMac用とLinux用のドライバーを業務用でも提供しています。
先述のPaperStream IPのフル機能が利用できるわけではないですが、実用性はあります。違いは(富士通のサイト)で確認できます。
ネットワーク機能は、この機種には付属しません。
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以上、富士通のfi-800Rの紹介でした。
個人で手に入るレベルの製品では、久しぶりの「技術革新」を感じられる製品でした。
ソフト面の進化と、搬送部分のハードと両面に進化があるため、業務などで、様々な原稿をスキャンする必要がある場合、選択肢になるでしょう。
個人的には、かなり優れる斜行補正性能が、自炊向けといえるドキュメントスキャナにも応用されて欲しいように思いました。
【2022年2月発売】
Windows 7〜11 Mac 10.14〜12.0
【上位機種】
21・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8190
¥183,688 楽天市場 (3/14執筆時)
【中位機種】
22・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8170
¥122,462 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:100枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:音+画像監視
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB 有線LAN
収納サイズ:幅300x高さ163x奥行170mm
fi-8190などは、2022年に発売された、新しい業務用グレードのスキャナです。
本体サイズは、幅300x高さ163x奥行170mmです。
収納時はデスクトップにも置けそうです。
ScanSnapの入門機に比べて過度に差があるわけではないです。
スキャン速度は、上位機種と下位機種で異なります。
上位機種の場合はこの数字です。
中位機種は、こちらです。
他社と比べても、10万円台前半、10万円台後半のクラスでは、いずれの場合も最高水準です。
とくに、600dpiの速度は、上位機・中位機でも変わらないので、そもそも高解像度中心に使うだろう方は、中位機はとくにお買得かと思います。
重送検知機能は、超音波重送検知機能は搭載です。
その上で、注目するべき独自機能が2つあります。
第1に、 音検知機能です。
ホチキスなどを取り忘れていた場合に、独特の紙詰音を検知して止める機能です(iSOP)。
第2に、 画像監視機能です。
取り込み書類の画像から傾きを検知し、「許容水準」を超えた場合、取り込みを止める機能です。
エプソンの「原稿保護機能」に相当するものですが、ホチキス留めに限らず検知する点では、より優れます。
また、重送検知について、シールなどがなされていても、誤検知しないことも売りにします。
原稿分離の性能も、高度です。
左右のローラーを独立して動かす構造にすることで、画像的な補整で直せる水準であるが、搬送を止めるまでもない「許容水準」の原稿について、2枚目の傾きを物理的に是正しつつ取り込みます。
これは、大量処理したことがある経験者ならば、多くのかたが「かなり実用的」と思えるでしょう。
なお、本機はかなり高速な機種ですが、高速でもしっかり紙を分離できるように、自動トルク制御も備えます。
給紙可能枚数は、100枚(80g/m2紙)です。
原稿自動判別機能は、白黒・カラーのみ判別可能です。
サイズ面では、サイズ混在原稿の判別に対応するほか、プラスチックカードや、7mmまでならばパスポートなどもスキャン可能です。
カード用に、スタッカーサポーターもついていて、気が利きます。
搭載されるセンサーは、CISです。
CCD版が出るかは今のところ不明ですが、出ないような気がします。
画像処理技術は、本機もPaperStream IPが利用可能です。
ドライバーは、TwainとISISに対応します。
ネットワーク機能は、本機については、Wi-Fiは未対応ですが、有線LANに対応します。
操作については、液晶パネルが利用できます。
保証期間は、5年です。
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以上、富士通のFI-8190などの紹介でした。
10万円代の業務用グレード機の新しいスタンダードモデルと言えます。
大量の原稿処理を高速にしたい場合、速度面ほか、高度な原稿保護機能の部分で力強いです。
一方、自炊上級者について言えば、ガラス汚れ検知がある分、中位機種を含めて、エプソン系のほうが実用度は高いでしょう。
狙っているターゲット層が違うのでもちろん、本機の仕様はこれで問題ありません。
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【2022年2月発売】
Windows 7〜11 Mac 10.14〜12.0
【下位機種】
23・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8150
¥104,961 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:100枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:画像監視
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB 有線LAN
収納サイズ:幅300x高さ163x奥行170mm
本機は、 fi-8150という下位機種があります。
こちらについては、原稿保護機能について、音検知がなく「画像監視」のみです。
速度についても、全体的に遅くなります。
そのほか、液晶パネルがない部分などが差です。
いずれにしても、強力な「原稿保護機能」が売りである機種ですから、値段差をふまえても先ほどみた中位機種が良いでしょう。
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【2022年2月発売】
Windows 7〜11
【上位機種】
24・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8290
¥287,650 楽天市場 (3/14執筆時)
【中位機種】
25・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8270
¥183,688 楽天市場 (3/14執筆時)
【下位機種】
26・富士通 A4両面カラースキャナ fi-8250
¥157,442 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:100枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:音+画像監視
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB 有線LAN
収納サイズ:幅300x高さ577x奥行234mm
※ fi-8290のスペック
また、フラッドベッドが付属する機種も同時に展開がはじまりました。
こちらについては、ドキュメントスキャナとしての部分は、ここまでみた上位機・中位機・下位機と性能は同じです。
ただ、フラッドベッド部分のドライバがないためか、Macは非対応です。
フラッドベッド部分は、ただ、【フィルムスキャナの比較記事】でみたような、CCDを採用する単品製品などと比べると、解像度や仕上がりの品質が落ちます。
また、カバーをしなくてもスキャンができる仕様ながら、本など、厚みのある原稿は、【ブックスキャナの比較記事】で書いたような製品に、利便性で負けます。
むろん「業務用」としては問題ないのですが、個人的には、この2つのスキャナは用途性が異なるので、別々に2機種もっていた方が良い感じはします。
【2013年発売】(後継機あり)
Windows 7〜11 Mac 10.14〜12.0
【上位機種】FI-7160B
27・富士通 A4両面カラースキャナ fi-7180
¥161,064 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
【下位機種】FI-7160B
28・富士通 A4両面カラースキャナ fi-7160
¥103,577 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CCD
原稿枚数:80枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:音検知+長さ
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB
収納サイズ:幅300x高さ163x奥行170mm
fi-7180は、1つ上でみたモデルの「旧機種」にあたるものです。
2021年まで「業務用グレードのスタンダード機」だったのが、これらの製品です。
スキャン速度は、上表の通りです.
新機種と比べると、下位機種の600dpiの取り込み速度は遅めです。
原稿分離の性能・重送検知機能は、重送検知こそ搭載です。
異常音を検知して、ホチキスの取り忘れを検知する仕組みも、斜行の自動修正機能もあります。
ただ、画像監視機能は不採用で、長さ(原稿検知センサー)で検知する仕組みなので、新機種のほうが高度でしょう。
給紙可能枚数も、80枚(80g/m2紙)と少なめです。
原稿自動判別機能は、白黒・カラーのみ判別可能です。
搭載されるセンサーは、CCDタイプのセンサーを使っています。
据え置き型の(フラットベッド)スキャナの場合、CCDセンサーは、本などの凹凸のある厚物が得意です。
そのため、CCDはCISよりも「高級機」という位置づけです。
しかし、ドキュメントスキャナーの場合は、薄っぺらい原稿を差すだけなので、CCDのメリット性は少ないと言われています。そのため、富士通のScanSnapを含めて最新型のドキュメントスキャナは、全てCISを採用します。
ただし、カラー原稿の場合はCCDが優位です。
というのも、CISは読み取り時の反射光の影響を受けることがあるからです。
昔のScanSnapはCCDタイプだったこともあり、カラーをきれいに取り込みたい古くからのユーザーは、その点でこの機種を選ぶこともあります。
画像処理技術は、新機種同様の構成です。
ドライバーは、こちらもTwainとISISに対応します。
ネットワーク機能は、本機についてはUSB接続のみです。
液晶パネルも未付属です。
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以上、富士通の fi-7180の紹介でした。
自炊用としては「カラーに強いCCD採用」という一点のみでオススメできる機種です。
その他の部分は値段ほどの機能差がある機種ではないため、例えば、コミックの表紙や挿絵だけカラーの場合などは、あえて、この部分を重要視せずとも良いでしょう。
Windows 7〜11 Mac 10.14〜12.0
【2018年】 【下位機種の改良型】
29・富士通 A4両面カラースキャナ fi-7300NX
¥131,208 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CCD
原稿枚数:80枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB・Wi-Fi・LAN
収納サイズ:幅300x高さ170x奥行202mm
fi-7300NXも、富士通(PFU)の製品です。
2018年に発売されたものですが、読み取り性能は fi-7160と同等なのでそれの改良機と言えます。
性能部分では、かなり大きめの4.7インチのタッチパネルを装備させ、さらに、有線・無線LANを備えることで、ネットワーク機能の部分を強化した点が見どころです。
そのほかICカードによる、セキュアな認証に対応させた部分、用紙分離をしない手差しモードを備えた点が相違点です。
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以上、富士通のfi-7300NXの紹介でした。
結論的にいえば、本機は、法人向けの相当特殊な仕様の製品です。買われる場合は、しっかり(方針としての)PDFを通して導入するべきものです。
Windows 7〜11 Mac 10.14〜12.0
【2020年】
30・富士通 PFU FI-N7100E
¥201,179 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:50枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB・Wi-Fi・LAN
収納サイズ:幅300x高さ172x奥行232mm
FI-N7100Eは、2020年に登場したPFUの新機種です。
性能部分では、本機の場合「本格的スクリーン」と言って良いだろう、8.4インチ XGA解像度のタッチパネルを装備します。
画像確認もできるので、ほぼ「スタンドアロン」で読み取りできます。
本機自体にメモリーはないのですが、他のWi-Fi機と同じで、指定したPCほかのドライブへの保存、Eメール・FAX・印刷などが選択できます。
スキャン速度は、上表の通りです。
値段は高い製品ですが、読み取り速度については、値段からすると重視していない製品です。
搭載されるセンサーも、一般的なCISセンサーとなります。
原稿分離の性能や、重送検知機能は、超音波重送検知機能を含めて、下位シリーズと同じです。
給紙可能枚数も、50枚(80g/m2紙)までです。
原稿自動判別機能は、白黒・カラー・グレースケールの判別が可能です。
判別の際の感度も設定できるため、定型書類を処理することの多い業務用には良いでしょう。
画像処理技術は、一方、割と面白い部分もあります。
白黒2値化について、感度調整のほか、背面が白になるような背景処理の閾値が設定できます。
このほか、二値については読み取り時の線の太さ、カスレ補正、ノイズ除去、なども搭載スクリーンで設定ができるため、この部分は、かなり便利です。
さらに、汚れによるスキャン中の縦筋の軽減機能もあるので、二値読み取りについては、一般的な自炊用としてもニーズがある方がいるでしょう。
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以上、富士通のFI-N7100Eの紹介でした。
基本的に無料提供されるSDKを使って、企業での特定業務にあわせてカスタマイズして利用する製品です。
ただ、白黒2値の補正・設定面でかなり性能がよさそうです。
そのため、個人的には、裏移りがあるような、相当状態の悪い昔の「論文コピー」などを読み取るのに、何かしら使えないか(一瞬)考えました。
もちろん、読み取り速度の遅さはネックとなるので、こうした技術が下位機種に降りてくることを、願いたいと思います。
2-3・エプソンのスキャナ〈業務用〉
つづいて、エプソンの業務用ドキュメントスキャナーの紹介です。
Windows XP〜11 Mac 10.6〜12.0
【2021年】
30・EPSON DS-790WN
¥76,742 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
【2019年】
31・EPSON DS-780N
¥71,827 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:50枚まで
重送検知:超音波式
原稿保護:ホチキス/ガラス汚れ検知
自動色判別:カラー/黒・カラー/グレー
接続:USB・Wi-Fi
収納サイズ:幅296x高さ176x奥行169mm
EPSON DS-790WN は、エプソンのドキュメントスキャナです。
業務用グレードの「エントリークラス」といえる製品ですが、個人向けでも本の自炊ユーザーの上位モデルとも言えそうです。
本機の、旧機種としてDS-780Nが残ります。
新機種(写真)と比べると、液晶パネル小さめであるほか、後述する、PCレスでのスキャンデータのアップロードに非対応です。
また、カラー・モノクロ・グレーの識別に非対応です。加えて、発売時期の関係で、下位機種にある、「原稿保護機能」「ガラス汚れ検知」が未搭載で、単純な重送検知のみの仕様です。
結論的にいえば、仕事用にせよ、自炊用にせよ、新機種が良いかと思います。
スキャン速度は、値段相応に速いです。
300dpiはとくに、高速です。
600dpiも、スキャンスナップの水準を上回る性能です。
白黒については、本機も400dpiでは20枚/40面前後は(理論上)いくので、OCR処理をする場合も大きな問題にはならないでしょう。
原稿分離の性能や重送検知機能は、もちろん搭載です。
前半でみた、同社の入門機と同じで、「原稿保護機能」「ガラス汚れ検知」が搭載です。
既にみたように、富士通の業務用には、より強力な原稿保護機能がありますが、「ガラス汚れ検知」の部分は引き続き本機の売りでしょう。
本の自炊にはこの部分がかなり重要です。
給紙可能枚数は、100枚(80g/m2紙)まで給紙可能です。
下位機種と同様ですが、十分です。
原稿自動判別機能は、一方、カラー・グレー・モノクロの自動判別にも対応します。
下位機種同様に、2種の自動判別にもできますので、利便性は高いです。
搭載されるセンサーは、本機も、CISセンサーです。
画像処理技術は、先述のように、エプソンの能力は引き続き高いです。
ドライバーは、TwainとiSISに対応になります。
Windows用ほか、Mac用のドライバーもあります。
Mac用でも、一部、(マルチドロップアウトカラーとマルチ色強調)を除けば、機能制限もほぼないので、問題ありません。
なお、ドロップアウトカラーと色強調はMacでも対応できます。
ネットワーク機能は、本機は、Wi-Fi・有線LAN接続に対応します。
その上で、4.3型のタッチパネルを装備します。
ScanSnapと同じサイズで、この部分で「並び立つ」製品と言えるでしょう。
クラウド連携は、本機も充実します。
大きな液晶画面を活かして、PCを介在させずに、クラウドやサーバーなどへのアップロードが可能です。
エプソンは、従来、この部分が弱かったのですが、改善しています。
クラウドへの直接アップロードは、DropBox Google Drive OneDrive Evernoteなど主要サービスに対応します。
基本的な仕組みは、富士通と同じです。
Epson Coneectというエプソンのクラウドサービスに一括アップロードし、そちらの連携設定で 飛ばす仕組みです。PCレスでアップロードまで処理できます。
おなじく、Epson Coneect経由で、スキャンデータのメール転送も可能です。
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以上、エプソンの DS-790WN の紹介でした。
家庭用(自炊)に使うには、下位機種と比べて速度部分のメリット性に止まるため、すこしコスパは低いでしょう。
ただ、高いクラウド対応力を持つ点で、業務用(仕事用)としては高度です。
ScanSnap iX1600し比較する場合、速度ほか、重送検知・用紙保護・ガラス汚れ検知などのハード面、汎用ドライバーの採用、画像処理機能などソフト面ともに、本機の方が優秀です。
ただ、ScanSnapと比べると、業務用サービス部分の個性はあまりないと言えます。
この部分を含めて、最終的な「おすすめ」は記事の最後で改めて考えたいと思います。
【2019年】
Windows XP〜11 Mac 10.6〜12
【上位機種】
32・EPSON スキャナー DS-970
¥129,800 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
【下位機種】
33・EPSON スキャナー DS-870
¥99,810 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:100枚まで
重送検知:超音波
原稿保護:ホチキス/ガラス汚れ検知
自動色判別:カラー・モノクロのみ
接続:USB
収納サイズ:幅296x高さ217x奥行212mm
DS-870とDS-970は、エプソンが2019年に出した上位機です。
「業務用の入門機」扱いですが、家庭用の「ちょっと速い機種」として、人気が出そうです。
スキャン速度は、下位機種と上位機種で異なります。
上位機種は、300dpiで取り込む場合は、速度的に富士通の上位機に匹敵しており「最高水準」です。。
クオリティを重視して600dpiで取り込む場合、エプソンは業務用も実測値を出しません。
ただ、ラインごとの読み取り速度の数値から換算すると、上記のような速度です。ただ、転送・処理時間を含めると、数値は前後するでしょうが、実用性はあります。
OCRの利用に足る400dpiも設定できるため、その部分でも問題ないです。
下位機種は、数字は少し落ちますが、それでも、他社機と比べても十分に優秀です。
ただ、キヤノンの最上位機とだいたい同水準ですので、この部分だけで言えば、価格は少し高めではあります。
原稿分離の性能や重送検知機能は、搭載です。
もちろん、同社の下位機種でみられた、ホチキスの取り忘れを検知する「原稿保護機能」と「ガラス汚れ検知機能」も搭載です。
給紙可能枚数は、100枚(80g/m2紙)まで給紙可能です。
かなり多めですから、利用は便利でしょう。
原稿自動判別機能は、注意が必要です。
下位機種の場合と異なり、本機は、カラー・モノクロのみの自動判別機能だからです。
搭載されるセンサーは、CISセンサーです。
画像処理技術は、エプソンの家庭用下位機種と同じ水準です。
とはいえ、先述のように、「文字くっきり機能」など、使い勝手は、キャノンと共に業界トップ水準であり、問題を感じません。
ドライバーは、TwainとiSISに対応になります。
ネットワーク機能は、この機種の弱い部分で、Wi-Fi機能が省略されています。
液晶画面が付きますが、これは、設定用に利用するだけのものです。
EPSON DSBXNW1
(¥28,804) Amazon.co.jp (3/14執筆時)
正確には、エプソンの場合、別売のネットワークユニットで、社内LANにつなげることは可能です。
なお、この機種も長尺原稿が取り扱えます。
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以上、エプソンのDS-870とDS-970の紹介でした。
ある程度「速度のある上位機に買い替えたい!」と思っている、自炊上級者には、上位機種は良い選択肢でしょう。
問題は価格ですが、予算程度の効果は期待できるので、買って損はないと思います。
2-4・キヤノンのスキャナ〈業務用〉
最後に、キヤノンの業務用ドキュメントスキャナーの紹介です。
Windows 7〜11対応
【2020年】
【上位機種】
34・Canon imageFORMULA DR-S150
¥78,120 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
【下位機種】
35・Canon imageFORMULA DR-S130
¥39,8000 楽天市場 (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:60枚まで
重送検知:超音波式
原稿保護:
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB・Wi-Fi
収納サイズ:幅291x高さ232x奥行247mm
DR-S150は、キヤノンの業務用のスタンダード機です。
家庭用としても使えますが、どちらかと言えば業務用です。
そういった機種によくありますが、Mac用のドライバーがない点に注意してください。
DR-S130は筐体は同じで、スキャン速度が異なる下位機種となります。
上位機は、結構値段が高いです。
スキャン速度は、上表の通りです。
値段差の割には、先ほど見た機種とあまり変わりません。ただ、カラー300dpiについては、すこし実用性が増しています。
下位機は、上位機より搬送速度が劣ります。
スキャン速度は、やはり300dpiの白黒・グレーの速度が上位機より遅いです。
本機も600dpiだと上位機と同じですが、おそらく、(機械的な)搬送性能というより、CPU処理の限界によるのでしょう。
なお、いずれの機種も、「ビジネス向け」として販売されているので、Macに非対応という残念な仕様です。
原稿分離の性能や重送検知機能は、搭載です。
ただ、他社に比べると、センサーを駆使した原稿保護機能など、業務用グレードとしての独自性はあまりないです。
給紙可能枚数は、60枚(80g/m2紙)まで給紙可能です。
原稿自動判別機能は、カラー・モノクロ・グレースケールの自動判別機能を持ちます。
ネットワーク機能は、有線LANとWi-Fiを装備しており、職場などで共有が可能です。
液晶パネルも付きます。
ビジネス用に考えられているため、通常の「CaptureOnTouch Pro」というソフトのほか、サーバー用の「CaptureOnTouch Admin」が準備されます。
ただ、本機については、完全に業務用です。
既に見てきたように、ブラザー・エプソン・富士通の液晶付きモデルは、各社が用意するクラウドサーバーを通して、DropBoxやGoogle Cloudなどクラウドへの転送や、メール転送などをPCレスで行う仕組みがありました。
本機については、あくまで、PCがあることが前提です。
システム管理者がいる企業用で「自社サーバーを用意して、システムを構築してください」、というモデルとなります。
同じ液晶付きですが、「半個人用」といえるも設計にしている他社機との違いといえます。
モバイル用としては、同社の家庭用とは異なる「CaptureOnTouch Job Tool」という別のアプリが用意されます。
ただ、モバイルでは、フル機能の設定はできず、とくに画像補正は、斜行補正以外の設定値をいじれない仕様です。
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以上、キヤノンのDR-S130の紹介でした。
個人用と考える場合、基本的にネットワーク機能が欲しい方に向く機種です。
ただ、似たようなモデルは他社にもありますし、それに比べて明確に優れた部分があるかと言われると、少し困る機種です。
Windows 7〜11対応
【2017年】
36・Canon imageFORMULA DR-M260
¥94,800 Amazon.co.jp (3/14執筆時)
センサー:CIS
原稿枚数:80枚まで
重送検知:超音波式/リトライ機能
原稿保護:
自動色判別:カラー・黒・グレー
接続:USB
収納サイズ:幅285x高さ231x奥行254mm
DR-M260は、キヤノンの業務用のスタンダード機です。
本機も、Mac用のドライバーがない点に注意してください。
スキャン速度は、上表の通りです。
10万円以下と考えれば、あらゆるパターンにおいて「優秀な数字」です。
10万円を超える業務用を除けば、速度はかなり評価できます。
重送検知機能は、もちろん搭載です。
加えて、こちらは、重送が発生した場合、原稿を自動で逆走させ、再度搬送を試みる「リトライ機能」が搭載されています。
他社にはみられない新機軸で、利便性の面で向上しています。
また、付箋を貼ったような原稿で重送検知がなされた場合、スクリーンないし、物理ボタンを押すことでスキャンを継続できるDFR(Double Feed Release)も搭載です。
スキャナとして重要な部分を改良できている点で、本機も魅力があります。
ただ、富士通上位機より、ホチキスその他からの原稿保護機能は弱く、エプソンのようにガラス汚れ検知はできないので、各社とも一長一短があるとは言えます。
給紙可能枚数は、80枚(80g/m2紙)です。
本機はDR-C240より多く差せます。実際、自炊用としては「贅沢」でしょう。
原稿自動判別機能は、カラー・モノクロ・グレースケールの自動判別機能を持ちます。
搭載されるセンサーは、CISです。
ただ、実験したところ、新搭載のDRプロセッサーの効用か、カラー読み取りの画質の向上が見られました。
裏写り・地色除去の性能向上も謳われますが、こちらは下位機種でも問題ないレベルかと思います。
画像処理技術は、こちらも、傾き補正のほか、古い原稿や黄ばんだ原稿の補整に有利な「テキストエンハンスドモード」などが採用されます。
ドライバーは、この機種もTwainとiSISに対応になります。
ネットワーク機能は、この機種の弱い部分で、Wi-Fi機能が省略されています。
オプション対応もないため、接続はUSBケーブルとなります。
ただし、本体に液晶モニタが付属し、最大99件までジョブ登録できます。また、USB3.1規格での高速転送も対応しますので、個人で利用する場合は、問題はないでしょう。
なお、この機種は、長尺原稿が取り扱えます。
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以上、キヤノンのDR-M260の紹介でした。
高価格帯の製品として読み取り速度が期待できる点が、大きな魅力です。
それに加えて、利便性の面で、「リトライ機能」の搭載や、給紙可能枚数の多さは、自炊中級者以上にも魅力的といえるでしょう。
AtlasもMac用のドライバさえ用意してくれれば、「メイン機」にしてもよいと思える機種です。
次回につづく!
おすすめなドキュメントスキャナは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、ドキュメントスキャナの比較の2回目記事でした。
しかし、記事は、もう少しだけ続きます。
1・A4ドキュメントスキャナの比較 (1)
1-1:富士通
1-2:キヤノン
1-3:エプソン
2・A4ドキュメントスキャナの比較 (2)
2-1:ブラザー
2-2:富士通〈業務用〉
2-3:エプソン〈業務用〉
2-4:キヤノン 〈業務用〉
3・おすすめA4ドキュメントスキャナ 【結論】
=最終的なおすすめ機種の提案
速度(仕事時) ★★★★★
速度(自炊時) ★★★★★
画質調整 ★★★★★
重送のしにくさ ★★★★★
色の自動判別 ★★★★★
クラウド対応 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
続く、3回目記事(こちら)は、結論編です。
いつものように、目的別・予算別に、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。
ひきつづき、よろしくお願いします。
3回目記事は→こちら