【今回レビューする内容】2024年 軽量でパワフルなコードレススチームアイロンの性能とおすすめ・選び方:アイロンの選び方:パナソニック・東芝・T-falの違いと特長など
【比較する製品型番】Panasonic スチームアイロンNI-WL408 NI-WL508 NI-WL607 NI-WL708 NI-QL300 東芝 La・coo TA-FDX670 TA-FV470 TA-FV570 TA-FDX770 TA-FDX970 TA-FDX950 TA-FV460 TA-FV560 TA-FDX660 TA-FDX760 TA-FDX960 T-Fal フリームーブミニ 6111 FV6111J0 6430 FV6430J0 6470 FV6470J0 日立 Vegee CSI-311 A CSI-315 PN CSI-211 A アイリスオーヤマ SIR-04CLCD-A IRN-CL30C-W/H IRN-CL18CC SIR-04CL-A SIR-04CL-P スリーアール Qurra ポケツムリ 3R-HMA02 ドウシシャ Pieria DCA-2203 アビテラックス ACS-LB ほか
今回のお題
スチームが強く軽量なコードレスアイロンのおすすめはどの製品?
どもAtlasです。
今回は、2024年10月現在、最新のコードレスアイロンの比較です。
軽量で操作性重視の製品から、スチームが強力でパワー重視なタイプまで、各社の製品を比べます。双方のバランスが取れた「万能機」も取りあげる予定です。
1・コードレスアイロンの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:パナソニック〈日本〉
1-3:東芝〈日本〉
1-4:T-Fal〈仏国〉
2・コードレスアイロンの比較 (2)
2-1:日立〈日本〉
2-2:アイリスオーヤマ〈日本〉
2-3:3R〈日本〉ほか
3・コードレスアイロンの比較 (3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
記事では、コードレスアイロンの「選び方の基本」をはじめに説明します。
そので、上表のような順番で、メーカーごと製品を紹介してていきます。
軽さ ★★★★☆
スチーム力 ★★★★★
滑りやすさ ★★★★★
作業時間 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
また、最後の「結論編」(こちら)では、上表の5つのポイントから、予算別・目的別に、Atlasのおすすめ機種を提案していきます。。
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1・コードレスアイロンの比較
2・コード付きアイロンの比較
3・衣類スチーマーの比較
4・ズボンプレッサーの比較
今回の記事は、家庭用アイロン関連製品の比較記事の1回目記事として書きました。
なお、(プレスより)衣類へのスチームショット利用に特化した製品は、コードレスでも、【衣類スチーマーの比較記事】として、別立てで4回目の記事(こちら)でフォローします。
よろしくお願いします。
1-1・ アイロンの選び方の基本
はじめに、コードレスアイロンの「選び方の基本」について書いておきます。
上表は、ここで見ていく3社のアイロンの特徴を「ざっくり」と表にしたものです。
家庭用のアイロンで「自分のニーズにあうアイロン」を選びたい場合、メーカーごとの特徴をまず抑えると、(わりと)選びやすいです。
1・アイロンの軽さ
2・スチームの強さ
3・かけ面の滑りやすさ
4・持ちやすさ
そのため、具体的な製品紹介にはいる前に、簡単に解説しておきます。
1・アイロンの軽さ
第1に、アイロンの軽さです。
軽量なアイロンは、基本的にコードレスで、小回りが効きやすく、エリやボタン部分などの、ポイントがけもしやすいです。
その点で言えば、「座りながらアイロンをかける」方は、軽さを重視して選ぶのがよいでしょう。
得意なメーカーは、日本のパナソニックと東芝です。
日本市場では特に人気があるため、パナソニックと東芝は、軽量タイプのみ生産しています。後半で紹介する、日立やアイリスオーヤマの製品もこのタイプです。
軽量アイロンの欠点は、「スチーム力」と「かけ面の広さ」が犠牲になる点です。つまり、アイロンがけに時間がかかる点が欠点と言えるでしょう。
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結論的にいえば、座り掛けを基本として、ボタン周りなどの細かい部分まで気を使いたい方は、「軽量性を重視した、パナソニックや東芝の製品が合うでしょう。
2・スチームの強力さ
第2に、スチームの強力さです。
スチーム力が強力なアイロンは、以前はコードつきアイロンだけでした。
しかし、最近は、コードレスでも(ある程度)強力な機種が出ています。
なお、家庭用のアイロンは、全社とも滴下式という圧力を加えない方式を用いています。ただ、上位機は、かけ面の下の孔の数が多く、厚い衣類まで深くスチームが浸透します。
シワのより安い洗濯乾燥機による乾燥には「強い味方」で、このタイプは、同時に「かけ面が広い」ため、アイロン掛けも短時間で終わります。
得意なメーカーは、フランスのT-Falです。
同社のアイロンは、(とくに、ショット時)国内他社より5倍以上のスチーム噴射が可能で、この点で固定ファンが多いです。
ただ、2023年に、サイズ的に大きなアイロンは「終売」になりました。
現在も(小さめの本体で)蒸気量は多めという機種は残りますが、立体的な人体アイロン台を利用して、「アイロンの重さを利用して、面でプレスをしていく」ような機種は、コードレスだとありません。
このタイプが欲しい場合は(コードレスは諦めて)【ワイヤードで強力なアイロンの比較】で書いたよ同社の製品を選ぶ必要があるでしょう。
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結論的にいえば、コードレスで「蒸気量重視」の場合は、現在でもT-Falのアイロンが候補になります。
ただし、「超強力」なタイプは、ワイヤード(ケーブルあり)でないと今は「手に入らない」と言えます。
3・かけ面のグレード
第3に、かけ面のグレードです。
かけ面とそのコーティングは、、アイロンのなかでも部品代がかかる部分です。
そのため、各社とも、上位機と下位機で、グレード差を付けています。
上位のグレードになるほど、アイロンが滑るように動くため、一般的にかけやすさが高まります。とくに最上位機は、各社とも工夫を凝らします。
例えば、T-Falは、パラジウムにより、スチーム孔のメンテが不要になるT-Falの「オートクリーン」かけ面を採用します。
パナソニック・東芝も、ニッケル素材を採用し、滑りやすさと操作性を向上させています。
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結論的にいえば、「今持っているアイロンよりも高品質」で、明らかに違いが分かるアイロンを選びたい場合、少なくとも、上表の「2位以上」のアイロンを優先して選ぶとよいでしょう。
4・アイロンの持ちやすさ
第4に、アイロンの持ちやすさです。
パナソニックは、アーチ型を採用します。
これは、衣服を安定的にプレスできるよう、力が均一に衣服に伝わることを重視した構造です。
東芝も、2020年からは、上位機ではフラットハンドル型を採用しました。
パナソニックようなアーチ型ではないため、体重を効果的に使ってシワを伸ばすという部分ではパナソニックに負けるでしょう。
ただ、後部の特殊形状を利用したポイントプレスのしやすさなど、細かい部分の処理については、東芝は定評があります。
T-Falは、コードレス式では、取り回しやすいレバー式を採用します。
これは、アイロンベースに戻す際などの取り回しやすさを重視した構造です。
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結論的にいえば、「しっかりきれいにアイロン掛け」をしたい場合アーチ型、使い勝手を重視する場合はレバー式が良いでしょう。
ただ、ここまで見てきた他の要素よりも、両者の差は「わずか」なので、過度に気にしなくても良い部分です。
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以上、アイロンを選ぶ際の「基本」について書いてきました。
パナソニック
・かけ面が狭く、時短効果は少ない
・アイロンが軽い
・ポイントプレスは普通
・スチームが若干弱い
・取り回しは普通
=体重を利用してプレス
東芝
・かけ面が狭く、時短効果は少ない
・アイロンが軽い
・ ポイントプレスがしやすい
・スチームが若干弱い
・レバー式で取りまわしやすい
=体重を利用してプレス
ティファール
・かけ面が広く、時短効果は高い
・アイロン本体が重い
・ポイントプレスは不得意
・スチームが強力
・取り回しは、やや難
=アイロン重みを利用してプレス
改めて、各社の特徴を「メーカー別」にまとめなおせば、以上の用になります。
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もちろん、各社の製品とも「例外」はありますので、以下の記事では、そうした点もふまえつつ、1機種ずつ詳しく調査を加えていきます。
1-2・パナソニックのアイロンの比較
はじめに、パナソニックのコードレスアイロンを紹介します。
同社の製品は、数機種あります。個別の機種の紹介に入る前に共通の特長について書いておきます。
なお、以下では、オススメできるポイントについては赤系の文字色で、イマイチな部分については、青字で書いていきます。
第1に、その小型・軽量性です。
後ほど紹介するように、ティファールは、コードレスモデルだと重さが1.35キロほどあります。
パナソニックの場合、本体の重さが約1キロです。その分、一度にかけられる面積は狭いものの、圧倒的な軽量性は、力のない女性に人気です。
なお、本体が軽量なので、アイロンは、体重を上手に乗せながらかけていく方式です。
第2に、どら焼き型のかけ面構造を持つことです。
前方のみにかけるのではなく、前後左右に動かしながらかけられる点でメリット性があります。
下手に動かしても、シワが付きにくいというメリット性があり、初心者向きでもあります。
第3に、スチーム噴射の均一性です。
パナソニックは、スチーム孔から噴出するスチームの噴霧範囲が広く、均一になっています。
後ほど紹介するティファール社のアイロンに比べると、最大のスチーム力が1/5ほどと敵いません。しかし、孔の形状や配置を工夫することで、少ない蒸気を効率的に服に噴霧する構造になっています。
また、上位機種は、かけ面が「低温」でもスチームを噴出できる「低温スチーム」に対応します。
T-falは、圧力式でハイパワーであるため、全機種、低温スチームは不可能ですので、パナソニックのメリット性と言えるでしょう。
第4に、その「スリムヘッド構造」です。
アイロンの先端面を丸く加工することで、アイロンが生地に引っかかりにくくなっています。これは小さなことですが、ポケットやエリなどの段差がある服にアイロン掛けする際に格段に快適です。
なお、どの機種もスーツなどへのスチームショットは可能です。ただし、スチームのパワーについて言えば、ティファール社の方が強力です。
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さて、全機種共通の特長を紹介しました。ここからは機種別に格安モデルからハイエンドモデルまで比較していきたいと思います。
【2023年10月発売】
1・Panasonic NI-WL408-W
¥7,370 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :シルバーチタン
コード :コードレス
注水量 :120ミリリットル
最大スチーム量:9.5g/分
かけ面サイズ:10×22.0cm
重さ :1kg
NI-WL408は、パナソニックのスチームアイロンの入門機です。
以前は、「カルル」という愛称がありましたが、最近は「コードレススチームWヘッドアイロン」という長い名前です。
かけ面のサイズは、22×10cmです。
先述のように、パナソニックのアイロンは、小ぶりで、細かい部分で、操作しやすいアイロンです。
写真は上位機のものですが、本機も形状は同じで、その特長を持ちます。
本体の重さも、1キロと軽量です。
そのため、重いアイロンが苦手な人でも快適にかけられると思います。
かけ面のコーティングは、パナソニックでは下位グレードであるシルバーチタンコートです。
同価格帯のティファール製品は特殊セラミックかけ面を使っているのに比べて、やや弱い感じです。
したがって、かけ面のすべりやさの部分では、あまり期待できないでしょう。
スチームのパワーは、9.5g/分というスペックです。
同社の上位機種と比較してこの点ではかなり弱い機種です。
ハンガーショットによりシワ伸ばしなどはあまり期待できません。
操作部は、高温・中温・低温の切り替えが可能と標準的です。
スチーム量は、ノーマルスチームほか、厚手の布・綿・麻などに量を強化したハイパワースチームに対応です。
一方、低音設定の際にいずれのスチームも使用できない仕様です。
また、設定温度を効果的にキープするためのマイコン温度設定機能を持ちません。
このあたりが弱点でしょう。
充電は、台座において行います。一回のフル充電で180秒のアイロン掛けが可能です。
この時間は、上位機種でも、この最安モデルでも変わりません。
目詰まり対策は、本機の場合、水タンク内に目詰まり防止剤を入れる対策があります。
詳しい説明はないですが、銀イオン系かなにかの水溶性抗菌材を練り込んだパーツがあるのだと思います。消耗品ではないですが、ここは、対策があること自体、重要です。
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以上、パナソニックのNI-WL408の紹介でした。
この機種はかけ面の「どら焼き型構造」などの基本的特徴を除けば、上位機種に較べて、能力が高いとは言えない機種です。あまり購買意欲はわきませんね。
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【2024年発売】
2・パナソニック NI-QL300-H
3・パナソニック NI-QL300-Y
¥6,191 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面;シルバーチタン
コード :コードレス
注水量 :80ミリリットル
スチーム量:5g/分
重さ :0.75kg
なお、パナソニックは格安コードレス機としてNI-QL300の展開もあります。
2024年から登場した新形状の製品です。
かけ面のサイズは、18×9.5cmです。
本機のみかけ面が他機より小さめで、本体の重心バランスも少し異なります。
重さは、750gなので軽いです。
しかし、体重をのせながら、前後左右にかけやすい「カルル」の特徴は見られないと言えます。
スチームのパワーは、5g/分です。
他機より弱いです。
ハイパワースチームにも非対応です。ハンガーショットは可能です。
アイロンスタンドは、形状変更で収納性が良くなっています。
ただ、台にかなり角度があるため、(安全に)再充電しやすいとは必ずしも言えないです。
形状変更はメリット性だけではない印象です。
そのほか、このグレードは、目詰まり対策がないです。
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結論的にいえば、逆説的ですが、アイロンはあまり多用せず、最低減の機能性だけあれば良い初心者向けに設計された機種です。
収納スペースが少なくて済む点と、重さが軽い部分、あるいは、注水口がが大きめな部分など、アイロンを使い慣れない初心者向けに便利な要素があるのは評価できる点です。
ただ、スタンドやかけ面サイズ、あるいは重心設計などの使い勝手の部分で、家族の衣類を毎週のようにアイロンかけするような方に向けた機種ではないです。
一般向けには、次に見るような上位機のほうが良いでしょう。
【2023年発売】
4・Panasonic NI-WL508-A
5・Panasonic NI-WL508-P
¥8,676 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :ハードチタン
コード :コードレス
注水量 :160ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×22.0cm
重さ :1.1kg
NI-WL508は、パナソニックの中級グレードのコードレスアイロンです。
かけ面のサイズは、22×10cmで下位機種と同じです。
本体の重さは、その一方で、機能強化で100gだけ重量を増しています。
かけ面のコーティングは、ハードチタンコートです。
セラミックコートではないものの、下位機種に較べて上位のコーティングであり、滑りやすさが向上しています。
スチームのパワーも、13g/分です。
下位機種よりも50%近く強力です。また、この機種から、アイロンの温度が低温でもスチームが利用可能です。
また、これ以降の上位機はスチーム量も2段階で調整が可能です。
機能面でも、この機種からは温度センサーが搭載されます。
そのため、設定温度に近くなるように細かくセンサーでマイコン制御する機能を持ちます。
安全性能も、このグレードから、消し忘れを防止するための「うっかりストッパー」が付きます。
操作部も、下位機種より工夫があります。
アナログのスイッチ式ではなく、NI-WL507からは、ボタンスイッチになっています。実用は変わりませんが、デザイン性はこちらのほうが良いと思います。
その上で、このグレードから、握りの部分に、指かけグリップがある点も、下位機種と異なると言えます。また、ハンドルもこのグレードより上位の機種は、抗菌仕様になります。
目詰まり対策は、本機も、抗菌材方式です。
問題ないです。
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以上、パナソニックのNI-WL508の紹介でした。
下位機種に較べて、かけ面のグレードがあがり、すべりが向上している点が魅力です。スチームのパワーも、実用的といえるレベルに向上していますし、
安全面も優れます。1万円以下の予算で、小型・軽量機種を選ぶならば、とてもよい選択肢の1つだと思います。
【2022年発売】(在庫限り)
6・Panasonic NI-WL607-PN
7・Panasonic NI-WL607-S
¥11,300 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :セラミックコート
コード :コードレス
注水量 :160ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×22.0cm
重さ :1.1kg
NI-WL607は、パナソニックの「コードレススチームWヘッドアイロン」の上位機です。
一方、かけ面のサイズや重さは、1つ上でみた下位機種と同様です。
かけ面のコーティングは、しかし、上位のセラミックコートを採用します。
メーカーが異なりますが、ティファールと同じ素材です。
一般的に、チタン含有系のコーティングより高度ですから、滑りはより良いでしょう。
スチームのパワーも、13g/分と下位機種と同じです。
ただ、タンクの容量が多少大きく、また、霧吹き代わりに使える、スプレー機能が付属します。
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以上、カルルNI-WL607の紹介でした。
注目するべきは、セラミックかけ面の採用と、カルキ対策でしょう。
とくにかけ面は、セラミックが採用されるモデルは、非セラミックモデルに比べて滑りやすさが実感できるます。
小型で滑りやすいモデルを探している場合は、このグレード以上のものが良いでしょう。
【2023年10月発売】
8・Panasonic NI-WL708-PN
9・Panasonic NI-WL708-K
10・Panasonic NI-WL708-P
¥15,244 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :ミラーマジ軽
コード :コードレス
注水量 :160ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×22.0cm
重さ :1.1kg
NI-WL708は、パナソニックの最上位機種です。
下位機種と色目以外のデザインは同じですが、外観の在室や塗装などの部分で上位です。
一方、かけ面のサイズや重さ、スチームのパワーといった部分が、下位機種と同様です。
かけ面のグレードは、唯一の機能上の相違点です。
最高性能第1位のかけ面であるミラーマジ軽ベースが採用されます。
こちらはステンレス地にニッケルメッキしたかけ面で、通常のセラミックかけ面よりも滑りやすくなっています。
汚れ耐性も強く、スプレー糊などの汚れも付きにくく、お手入れ面でもメリット性があります。
その他、全温度スチーム、マイコン温度制御、水漏れ防止、うっかりストッパー、目詰まり対策ほか、ど、下位機種が持つ性能は全て持ちます。
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以上、パナソニックのカルルNI-WL708の紹介でした。
端的に言って、違いはかけ面素材だけです。ただ、この部分は、アイロンの稼働性に最も影響を与えるといって良い部分です。
値段差はありますが、素材の価格差からすると、むしろ割安にも思えますし、予算があれば本機が良いかと思います。
1-3・東芝のラクーの比較
ここからは、東芝のアイロンを機種ごとに紹介します。
シリーズ名は「ラクー」です。東芝の白物家電のシリーズ名は「ザブーン(洗濯機)」など長音を入れますね。
東芝は、ハンドルがフラットで、パナソニックに比べると、体重はすこしのせにくいです。
ただ、重さは1kgを切っているため、水タンク満水状態でも150gほどパナソニックより軽いです。
後部に傾斜があるため、一方向では無く前後左右にアイロンを動かしても、アイロンじわができにくい構造になっています。
従来のアイロンは、後ろに動かした際シワができやすいという構造的欠点がありました。
パナソニックは、上下対称のどら焼き型のかけ面構造にすることで、後ろに動かしてもシワが寄りにくい工夫をしていました。
東芝の場合、後部に傾斜を付けることでこれを緩和しています。
また、アイロンの両側の先端構造も特徴です。
パナソニックは、ボタンの間などに対応するため「スリムヘッド構造」を採用していました。
東芝も、前側の先端部で同じような所作ができるようにしています。
一方、反対側に、プリーツやフリルなどの仕上げに対応できる「ポイントプレス用の傾斜」があるので、仕上げの「ふんわりがけ」がしやすいです。
この部分は、東芝独自であり、強調できる構造です。
【2052年発売】TA-FDX670-N
11・東芝 La・coo TA-FDX670(N)
¥9,980 楽天市場 (10/22執筆時)
【2022年発売】
12・東芝 La・coo TA-FDX660-H
¥6,828 楽天市場 (10/22執筆時)
かけ面 :シルバーセラミック
コード :コードレス
注水量 :80ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×20cm
重さ :0.95kg
TA-FDX670 は、東芝の上位シリーズとなる「美(ミ)ラクルLa・Coo」シリーズの製品です。
これより下位機種もあります。ただ、そちらはハンドル形状異なるので、上位機特有のハンドル形状を採用する機種としては、本機が「最安」です。
新旧両機種あります。
今年度は(アイロンとしては珍しく)大きな改良がありました。
かけ面サイズや孔の数などは同じですが、従来フラットだった前後左右に緩やかなカーブが付けられて「ラウンド美ラクルベース」と名前を換えました。
従来機も、後ろに向かっては傾斜があったので、引く際にしわになりにくいという機能性はあったのですが、今回は全体をラウンド形状にしたことで「全方向に動かしやすく」なったとします。
目詰まり対策は、24年新機種から、アクアクリーンユニットが搭載です。
タンク下部に、AG+(銀イオン)を含む水溶性ガラスボールを配置し、タンクが目詰まりしにくくなるとされます。水の抗菌効果も狙うようです。
あとは、ケースの若干の改良がアナウンスされています。
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結論的にいえば、かけ面は、わりが悪くなるほどの傾斜でもなく、意味のある改良と言えます。
ただ、旧機でも「動かしやすい」ことには変わらないので、値段差があるようならば、旧機が「お買い得」です。
あとは同じなので、同時にみていきます。
重さは、0.95kgです。
かけ面のサイズは、10×20cmです。
かなりの小型で、操作性重視と言えます。
かけ面のコーティングは、中位のシルバーセラミックコートです。
セラミック塗装なので、チタン系より、すべりが良く、耐久力も高めです。
スチームのパワーは、13g/分です。
パナソニックと同様の「全周スチーム」が採用されます。59個の孔から強力なスチームを満遍なく噴射できます。
高温・中温・低温全てでスチームが使えますし、スチーム量も2段階(5g/分)で調整できます。
パナソニックの上位機と同じほどスチーム量が多いため、シワを取るだけではなく、衣類の臭い消しなどのケアにもある程度使えるレベルです。
ただし、ティファールのスチーム力に比べると4分の1ほどに止まります。
機能面では、同社の下位機種には搭載されない、多くの便利機能が搭載です。
例えば、切り忘れを防止するオートパワーオフ機能、アイロンベースに置くたびに、素早く適温状態に戻せるスピード給電、かけ面に手に触れにくい構造のセーフステーション構造などです。
また、水漏れしにくいオートバルブを採用している点は、よい部分です。
そのほか、設定温度になった際、ランプ以外にブザーで知らせる機能が付属です。
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以上、東芝の TA-FDX670の紹介でした。
下位機種と比較する場合、スチーム面での弱さが解消されたほか、使い勝手・安全性の部分でも能力が強化されています。
一方、かけ面のグレードは、チタン系ですので滑りやすさはイマイチです。この点で言えば、もう少しだけ上位機を選んでも良さそうです。
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なお、東芝は、シリーズ名を「コンパクト 美(ミ)ラクルLa・Coo」とする以下の製品は、このグレードの下位機です。
順番にみておきます。
【2024年発売】TA-FV470-N TA-FV470-R
13・東芝 La・coo TA-FV470(L)
14・東芝 La・coo TA-FV470(R)
¥6,980 楽天市場 (10/22執筆時)
【2022年発売】
15・東芝 La・coo TA-FV460(W)
16・東芝 La・coo TA-FV460(P)
¥4,805 楽天市場 (10/22執筆時)
かけ面 :シルバーチタン
コード :コードレス
注水量 :80ミリリットル
最大スチーム量:5g/分
かけ面サイズ:10×20cm
重さ :0.9kg
第1に、TA-FV470です。
同社では最も安いアイロンです。
ハンドル形状は、東芝が昔採用していたレバーハンドルになります。
重さは、900gです。
上位機より少し軽いです。ただ、本体サイズも、収納ボックスに入れたサイズも、上位機と同じですので「コンパクト」というシリーズ名は、50gの重さと、レバーハンドル由来の見た目という意味でしょう。
かけ面も、こちらは、22年機から「ラウンド形状」でした。
ただし、孔の数と形状は、上位機と違います。
スチームのパワーは、穴が17個と減る関係で、最大5g/分です。
低温スチームの利用もできません(中・高温のみ)。
安全面も、セーフステーションや、給水お知らせブザーがないです。
東芝機はこのグレードはマイコン制御ではないので、適温にもなりにくいでしょう。
目詰まり対策は、こちらは、先述のアクアクリーンユニットが未装備です。
やや残念です。
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【2024年発売】TA-FV570-N
17・東芝 La・coo TA-FV570(N)
¥8,580 楽天市場 (10/22執筆時)
【2022年発売】TA-FV560-H
18・東芝 La・coo TA-FV560(H)
¥5,586 楽天市場 (10/22執筆時)
かけ面 :シルバーチタン
コード :コードレス
注水量 :80ミリリットル
最大スチーム量:11g/分
かけ面サイズ:10×20cm
重さ :0.9kg
第2に、TA-FV570です。
「コンパクト」の上位機です。
旧機種は、こちらの場合、かけ面がラウンド形状ではない旧型でした。
一方、上位機と比べる場合、こちらは、孔の数が少し多めでスチーム量が11gと少し増えます。
ただ、引き続き、マイコン制御ではなく、低温スチームも不可です。
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結論的にいえば、 昔の東芝は最上位機もシングルレバーでした。
アイロン台(充電台)からのとりまわしの良さは今でも評価できますし愛用者はいるでしょう。こちらはそういった方に残されているグレードかと思います。
ただ、マイコン制御ではない下位機ですし、どうせならば、もう少し上位仕様で「復活」してほしかったように思います。
【2024年発売】TA-FDX770-N
19・東芝 La・coo TA-FDX770(N)
¥13,800 楽天市場 (10/22執筆時)
【2023年発売】TA-FDX760-N
20・東芝 La・coo TA-FDX760(N)
¥11,500 楽天市場 (10/22執筆時)
かけ面 :シルバーセラミック
コード :コードレス
注水量 :160ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×21cm
重さ :0.95kg
TA-FDX760-Nは、ラクーシリーズの上位機です。
新旧あります。
このグレードは、旧機でもかけ面は新型「ラウンド形状」でしたので、そこは同じです。
主な違いは、ケース形状のマイナーな改良だけです(すぐinケース)。
アイロンが熱いままでしまえるとされ、下位機も含めて2024年機からはこのケースです。
ただ、この機能性は旧機でも同じなので、形状のマイナーな改良という意味だと思います。説明書を見ても、閉め方を含めて明示的な機能差は示されていませんので。
あとは、下位機で見た、水溶性ガラスによる水抗菌(アクアクリーンユニット)が、新機種から「プラチナアクアクリーンユニット」があります。水溶性ガラスに加えて、シリコンボールが水タンクにさらに組み込まれます。
この仕様の場合、水の抗菌・目詰まりほか、水の除菌と布地への抗菌効果の検証と試験結果の講評もなされます。
ただ、アイロンの場合、そもそも高温スチームなので、一般的なアイロンでも、衣類などの除菌・脱臭は「できる」とは言えますが、霧吹き(ミスト)を使う際はここに意味があるかもしれません。
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結論的にいえば、このグレードについては、旧機種と性能差があまりないので、そちらを含めて、値段で決めてOKです。
かけ面のサイズは、10×21cmと下位機種よりわずかに大きいです。
本体の重さは、950gです。
軽いと言って良いレベルです。
かけ面のコーティングは、中位のシルバーセラミックコートです。
セラミック塗装なので、チタン系より、すべりが良く、耐久力も高めです。
構造は、本機もラウンド形状です。
スチームのパワーは、13g/分です。
本機も「全周スチーム」が採用で、この部分は下位機種と同じです。
機能面では、下位機種に搭載される全ての機能を持ちます。
加えて、水タンクの内側ガラスを水溶性ガラスにして抗菌作用のある銀を含有する仕組みです。
目詰まり対策は、先述の(プラチナ)アクアクリーンユニットが装備されます。
目詰まり防止に良い仕様です。
清潔面では、先述のプラチナボールの工夫があります。
繰り返しますが、スチーム利用時は水を加熱するのでこの機能性は無用でしょう。ただ、常温で噴出させる、ミストの部分で意味がありそうです。
このほか、霧吹きとして使えるミスト機能も、本機から搭載です。
こちらもプラチナと銀イオンの効果で「プラチナ抗菌ミスト」とされます。
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以上、東芝のTA-FDX760-Nの紹介でした。
下位機種同様の十分なスチーム力に加えて、セラミック系のかけ面が採用されることで、本機は「上位機にふさわしいスペック」になっていると言えます。
性能面でも最近の高級機のトレンドを押さえていますし、持ち手の形状が好みならば、選んで問題のない機種だと思います。
【2023年発売】A-FDX970-K
21・東芝 La・coo TA-FDX970(K)
¥15,800 楽天市場 (10/22執筆時)
【2023年発売】TA-FDX960-K
22・東芝 La・coo TA-FDX960(K)
¥13,383 楽天市場 (10/22執筆時)
【2020年発売】TA-FDX950-N
23・東芝 La・coo TA-FDX950(N)
¥11,180 楽天市場 (10/22執筆時)
かけ面 :ニッケル
コード :コードレス
注水量 :160ミリリットル
最大スチーム量:13g/分
かけ面サイズ:10×21cm
重さ :0.95kg
TA-FDX970は、ラクーシリーズの最上位機です。
旧機種が2世代残ります。
2023年機は、2024年機と性能差はないです。
2022年機は、ラウンド形状ではない旧世代の「美ラクルベース」です。
あとは、ケースのマイナーな改良のみです。
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結論的にいえば、2023年機は無条件で選んでもよいでしょう。
22年機も値段が安いですが、ラウンド形状の、「すべり」の部分で採用はそれなりに意味のある改良なので、今の値段差ならば、23年機でしょう。
あとは同じなので、同時にみていきます。
かけ面のサイズは、形状を含めて下位機種と同じです。
本体の重さは、950gですから、本体部分の性能差はありません。
かけ面のコーティングは、同社1位のニッケルコートです。
以前は、摩擦係数がさらに低い「ボロンコート(ニッケルボロン)」の最上位機がありました。
現在はニッケルコートが最上位です。
ニッケルメッキでのコートは、耐久性があるほか、かけ面の滑りやすさの点でも下位機種よりも有利です。
スチームのパワーは、13g/分です。
この部分の仕様は、下位機種と同等です。
機能面では、低温・中温の温度設定が2段階ずつあり、100-200度の間で5段階で温度が選べる仕様です。
基本的に3段階あれば足りるでしょうが、特に低温度で処理したい場合には有効かもしれません。
そのほかは、(プラチナ)アクアクリーンユニットや、プラチナ抗菌ミストの部分を含めて、下位機と同じです。
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以上、 TA-FDX970の紹介でした。
下位機種との大きな違いは、ニッケル採用のかけ面でしょう。現行の東芝機だけで言えば、品質は最高です。
滑りやすさでは、パナソニックの最上位機とほぼ同じですし、ポイントプレスのしやすさや、「とにかく軽量」という観点で選ぶならば、本機がは良い選択肢でしょう。
1-4・T-Falのコードレスアイロンの比較
続いて、フランスのティファールのコードレスアイロンをみていきます。
【2023年発売】
【フッ素かけ面】
24・T-Fal フリームーブミニ6111 FV6111J0
¥7,045 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :フッ素
注水量 :100ミリリットル
最大スチーム量:80g/分(通常-10g)
【チタンかけ面】
25・T-Fal フリームーブミニ6430 FV6430J0
¥8,118 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :チタン
注水量 :110ミリリットル
最大スチーム量:90g/分(通常-12g)
【セラミックかけ面】
26・T-Fal フリームーブミニ6470 FV6470J0
¥10,300 Amazon.co.jp (10/22執筆時)
かけ面 :セラミック
注水量 :110ミリリットル
最大スチーム量:95g/分(通常-15g)
コード :コードレス
かけ面サイズ:10×21.0cm
重さ :約0.9kg
フリームーブミニは、2017年に登場した、T-Falのフリームーブシリーズの第3世代機です。
同社の場合、もともと「フリームーブパワー9986(FV9986J0)」という大きく、重い(1.35kg)コードレスが主力でした。
一度の往復で広い面積がかけられるので、これはこれで良かったのですが、2023年に展開終了となり、ここでみる「軽い」こちらが生き残りました。
日本市場ではとくに「軽さ」が評価される部分があるので、納得感はあります。
また、上位機に限りますが、3回の改良で課題のスチーム量もだいぶ良くなっています。
かけ面のサイズは、3機とも同じです。
10×21.0cmと、他社を含めても相当小さくなっています。
本体の重さは、どの機種も900g前後です。
ライバル会社のコードレスアイロンより徹底して軽量化している点は、かなり戦略を練ってきた製品だと思います。
かけ面のグレードは、一方で、注意するべき点です。
FV6420J0 がフッ素かけ面、FV6440J0 がチタンかけ面だからです。
最上位機でも、セラミックかけ面に止まります。
T-Falの場合、(大きい)旧機では、パラジウムを利用し、かけ面に付着した繊維を、蒸気と二酸化炭素に分解して自動で取り除く「オートクリーン」かけ面という上位版がありました。エナメルコートで滑りやすくする工夫もありました。
しかし、現行製品では使われず、かけ面素材の工夫、他社の上位機と比べても「中級」に止まります。
とはいえ「他社よりもともと軽いので、そこまでの工夫は不要」だったとは言えます。
スチームのパワーは、3機で、80g・90g・95gと各グレードに差を付けています。
通常スチーム利用時の滴下は、最大10g分・12g/分・15g/分です。
とくに、最上位機は、通常15g・ジェット90gのパワーですので、他社の最上位機をやや上回るスペックです。
ただ、タンクへの注水量は110mLである点は他社より少ないとは言えます。パワーを強く使えば、水はなくなりやすいでしょう。
ちなみに、先述の(大きな)旧機の場合、最大通常25g・ジェット110g/分でした。
目詰まり対策は、本機は、言及がないです。
このほか、かけ面が低温時の水漏れ防止機能はありますが、アイロンのオートオフ機能の言及もありません。
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以上、T-Falのフリームーブミニの紹介でした。
いろいろ書きましたが、最上位機ならば、小型軽量性・スチームの強さ・かけ面のグレードが総合的にまとまっている部分で評価できます。
ただ、タンクの小ささの部分は、利便性の面で注意するべき機種です。
その点言えば、あまり大量にアイロンはしないが、軽量な高性能機は欲しいと言う、「アイロン初心者」の1人暮らしの方には、向くでしょう。
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なお、従来の「大きめ」の愛用者については、これに変わる「大きなコードレス」というのはないです。
欲しい場合は、冒頭でも書きましたが、【ワイヤードで強力なアイロンの比較】でみた、ケーブル付きの同社の製品が候補でしょう。
次回に続く!
軽量で強力なアイロンのおすすめは結論的にこれ!
というわけで、今回は、コードレスアイロンの比較の1回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ、続きます。
2・コードレスアイロンの比較 (2)
2-1:日立〈日本〉
2-2:アイリスオーヤマ〈日本〉
2-3:3R〈日本〉ほか
3・コードレスアイロンの比較 (3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
続く2回目記事(こちら)では、比較的安い機種が多めにラインナップされる、日立とアイリスオーヤマのコードレスアイロンを紹介します。
軽さ ★★★★★
スチーム力 ★★★★★
滑りやすさ ★★★★★
作業時間 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、3回目記事の結論編(こちら)では、ここまで分析してきたデータに基づいて、価格や性能や使い勝手から、「最もおすすめと言える機種」を選定したいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。
2回目記事は→こちら。