1回目記事からの続きです→こちら
2-1・三菱の炊飯器の比較
2回目記事のトップバッターは、三菱電機の製品です。
三菱電機は面白い形の炊飯器を出しています。
同社は、「底面加熱」にこだわる企業です。
この場合、釜の質(熱伝導性)が結構重要になりますので、その部分の質には注目です。
1・一升炊き格安炊飯器の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:パナソニック
1-2:象印
1-3:日立
1-4:アイリスオーヤマ
2・一升炊き格安炊飯器の比較 (2)
2-1:三菱電機
2-2:タイガー
2-3:東芝
3・一升炊き格安炊飯器の比較 (3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
今回も、1回目記事の冒頭(こちら)で書いた「選び方の基本」に沿って、各機を比較していきます。
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なお、以下の記事では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記しています。
【2024年発売】
25・三菱電機 備長炭 炭炊釜 NJ-VS18G-W
26・三菱電機 備長炭 炭炊釜 NJ-VS18G-B
¥32,800 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:IH炊飯+水還元
圧力炊飯:
内釜素材:ダブル備長炭コート熾火2層厚釜
内釜厚さ:2.5mm
内釜保証:3年保証
保温機能:
堅さ調整:3段階
NJ-VS18Gは、三菱電機の入門機です。
炊飯方式は、IH式です。
同社は、高級機を含めて全部、圧力やスチームは使わない方針です。
かまど炊きのご飯を再現する上で、圧力を使うのは「不自然」であるという立場です。
一方、パナソニックと似ますが、「おねば」を戻すうまさカートリッジを備えます。
炊飯器は、火力だけ強くしても蒸気口から吹きこぼれますのでそれを防ぐためです。
この仕組みにより、連続沸騰させられる時間が延びるほか、蒸気の中の甘み成分(おねば)を、還元して戻せます。
圧力を使わずに「ふっくら・甘みのある」ご飯の炊飯を実現するための工夫です。
こちらは、「かまど」でもふたについた蒸気が戻りますし、自然という判断でしょう。IH式のなかでも、「しゃっきり系」「かためでハリのある」のご飯は特に得意な機種です。
ヒーターの段数は、IHとシーズヒーターを合計して「7本」との数字です。
IHヒーターは下面に3段で、側面とふたに、シーズーヒータを4段搭載します。合わせて、「7重全面加熱」です。
パナソニック同様の「火力重視」の炊飯器ですが、パナソニックは、「IHヒーターだけで5本」なので、実際の火力は、パナソニックのほうが上位でしょう。
とはいえ、三菱は、タイガーのような底面加熱を重視しつつ、パナソニックのような全面加熱も併用する、折衷的な思想を持つとも、表現可能です。
いずれにしても、火力は十分に期待できます。
使われている釜は、「ダブル備長炭コート熾火2層厚釜」になります。
先述のように、24年から備長炭コートが2重となりました。
コーティングを炭(炭素)で行うことで熱伝導率を高め、沸騰温度を維持し、旨みを引き出す仕組みです。
釜の厚さも2.5mmの厚みで十分です。ただし、次にから見る上位機は、この部分の工夫がより上位になるので、比較は必要です。
炊き分けは、食感としてかため・ふつう・やわらかの3種です。
堅さの調整は、火加減ほか、三菱独自の技術「可変超音波浸水」技術でなされます。
2種の超音波の併用により米への水分浸透率を調整するというものです。
どこの硬さの炊飯でも、旨み(甘み)を引き出すための技術といえそうです。
一方、「おこげご飯」は対応しません。
健康米系は、モードで言えば、玄米のみです。
水位の調整で発芽米・麦飯にも対応できますが、専用モードではないですし、さほど力をいれません。
そのほか、珍しいところでは粘りを控えめに炊く、炒飯モードがあります。
ご飯の保温は、ご飯の温度を「低め」に設定することで乾くのを防ぐ「食べ頃保温」モードが付いています。
これは簡易的な機能であまり高機能ではないです。
お手入れは、洗う必要があるのは、ご飯のお釜と放熱板です。
IH式なので洗う点数が少なく楽です。放熱板についているカードリッジは開けて洗う必要がありますが、さほどの手間はかかりません。
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以上、 三菱電機のNJ-VS18Gの紹介でした。
基本的には、ハリのあるかためのご飯が好きな方に合う製品です。
ただ、「うまさカートリッジ」の工夫ほか、可変超音波吸水を備えることで、IH式としては、柔軟な食感調整ができる機種です。
これらの調整力で、IH式としては、旨みも引き出せますし、「もちもち、粘る」系も無難に対応できます。
(堅めだけでなく)どの食感でも、美味しくと言う方向性の場合は、可変圧力IH式のほうが合うでしょうが、そこまでではない場合、本機は候補になります。
また、掃除が楽なので、できるだけ食器洗いに時間をかけたくない人にもおすすめできます。
ただし、健康米の炊飯と保温部分は弱いので、そこは注意点です。
【2024年6月発売】
27・三菱電機 炭炊釜 NJ-VP18G-B
28・三菱電機 炭炊釜 NJ-VP18G-W
¥39,800 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:IH炊飯+水還元
圧力炊飯:
内釜素材:ダブル炭コート5層圧釜
内釜厚さ:3.5mm
内釜保証:3年保証
保温機能:
堅さ調整:3通り+銘柄炊き
NJ-VP18Gは、三菱電機の中位機です。
今回の基準化すると若干高めですが、同社の高級機とは内釜の種類が変わってくるので、同社の中級機として、こちらでみています。
ヒーターは、下位機との違いです。
こちらは、8重となります。
IHヒーターが下面に3段と、シーズヒーターが5段の総計「8重」です。
コートも、内釜や胴回りだけでなく、内ぶたまで炭コートがなされ、遠赤効果が期待できる仕様になります。
熱源の違いと、コートの違いで、炊けるご飯の味は、下位機に比べて「1グレード上」であるのは確かです。
センサーは、上部にも温度センサー(ダイレクトセンサー)が付属します。
基本的には上部の温度を見ることで、お米の季節変化(水分量)に合わせて作動するために付きます。
ここまでの製品も同じ仕組みがありますが、このグレードの場合、この機能活かした「低温調理メニュー」があります。
65℃〜85℃で調理可能なレシピ(サラダチキンなど)の調理ができるというものです。
ボタンで温度・時間設定ができるので、それ以外のアレンジもできるかと思います。
内釜は、同社の高級機とは下がりますが、先ほど下位機より上等です。
厚み3.5mmと極厚で、5層構造のダブル炭コート5層圧釜を採用します。
下位機は、コートを除くとアルミとステンレスの2層でしたので、その部分で品質が上です。
胴回りのコートと外装に備長炭コートも2重にあるので、この部分で上位と言えます。 高い遠赤効果が期待できますから、ご飯をよりふっくら炊けるでしょう。
ちなみにこのグレードより1ランク上だと(本当の炭から作られる)本炭釜です。【5.5合の高級炊飯器の比較記事】の方で取りあげている製品です。
コスト的にそこまでは無理だが、プレス技術でできるだけ再現を目指した製品と言えるでしょう。
その上で、先述の「可変超音波浸水」技術も引き続き使われます。
炊き分けは、3種類の食感です。
しかし、24年の新機種からは、7種ながら銘柄炊き分けに対応しました。
ただ、高級機に比べると簡易的で、食感調整との併用ができません。
健康米は、玄米モードに加えて、麦飯にも対応します。
そのほか、長粒米モードが付くのが違いです。
このモードを利用して、中華粥などもできます。
あとは、1つ上で見た、下位機と変わりませんので、説明は省略します。
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以上、三菱電機のNJ-VP18Gの紹介でした。
価格的に若干高めですが、ヒーターが強力な上で、内釜のコーティングと、とくに厚さが3.5mmと増しています。
三菱は圧力式ではないので、こうした部分の工夫はとくに重要で、下位機とはしっかり性能差があります。
「かため」で「しゃっきり」したご飯から「ふっくら・甘みのある」ご飯の炊飯まで、1万円代の普及価格帯の炊飯器よりもワンランク上の炊飯が可能でしょう。
2-2・タイガーの炊飯器の比較
続いて、タイガーの炊飯器です。
同社は、「底面加熱」にこだわる企業です。
この場合、釜の質(熱伝導性)が結構重要になりますので、その部分の質には注目です。
【2025年発売】
29・タイガー 炊きたて JPW-L180-HD
¥38,800 楽天市場 (7/1執筆時)
【2024年発売】
30・タイガー 炊きたて JPW-X180-HD
¥24,800 Amazon.co.jp (7/1執筆時)
【2023年発売】
31・タイガー 炊きたて JPW-S180-HM
¥36,800 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:IH炊飯
圧力炊飯:
内釜素材:遠赤3層土鍋コート釜
内釜厚さ:2mm
内釜保証:3年保証
保温機能:粒立ち保温
堅さ調整:
JPW-L180は、タイガーの炊飯器「炊きたて」シリーズ炊飯器です。
旧機種が残ります。
2024年機は、25年に新設された「おにぎりモード」がない程度の違いです。
2023年機も、同じです。
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結論的にいえば、通常炊飯部分にはあまり差が無いため、旧機種を含めて、全機種から値段で決めてOKです。
炊飯方式は、IH炊飯です。
他社同様、この価格帯だと圧力は使いません。
ヒーターの段数は、タイガーは全機とも非公開です。
ただ、電熱ヒーター(シーズヒーター)は使われないため、「段数」で表現すれば、下段2カ所のIH2段と推定できます。
なお、タイガーの場合、鍋底130度の高温度を、熱伝導性の高い釜で全体に回すのが効率的と判断しています。
機能名は24年から極うま強火IHですが、旧名(剛火IH)と機能性は同じです。
タイガーは「(ガス火などの)土鍋ご飯の再現」が社是です。
そのため、下火のみで「全面加熱」をしないという考えは、ポリシーとして「納得」です。
使われている釜は、2mmの3層遠赤釜です。
遠赤効果がより高い「土鍋コーティング」が表面に採用されます。
実際の土鍋ではありませんので蓄熱性は特にないですが、「遠赤効果」が期待できます。これにより、ご飯をより「ふっくら」させる効果があります。
ご飯の堅さは、調整のできないタイプです。
他社でも見た時間をかけて、旨みを引き出すプレミアム炊飯(極うま)はあります。
あとは、冷凍ご飯用、炊きこみ、おこわ、おかゆといいったモードです。
一方、炊き込みご飯については「おこげ」をつくるモードがあります。
白米用はないにせよ、安めの機種でおこげを作れるのは珍しいです。
健康米は、玄米・麦飯・雑穀米が選べます。
麦飯は、押し麦と、もち麦にモードが分かれます(特定店向け型番除く)。
同社は麦飯に以前から力を入れています。健康によいですが、専用のモードでないと相当不味いので、チャレンジしたいかたには良いでしょう。
一方、本機は、調理機能が付属しています。
同社の【レシピ集】にあるメニューが、仕掛けるだけでできるというのが売りです。
相当量のメニューがあって面白いです。
ご飯の保温は、炊飯にも利用する蒸気センサーを利用した粒立ち保温プログラムを採用します。
この価格帯の製品で、保温部分で主張がある製品は(保温技術にこだわる東芝を除けば)少ないですし、ワンポイントです。
お手入れ は、IH炊飯器のため、特段面倒な手入れは不要です。
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以上、タイガーのJPW-L180の紹介でした。
炊飯器をつかったレシピ提案の多さは面白いと言えます。
特段の個性はないですが、少量炊飯が得意な点と、麦飯系が得意な部分があえて言えばポイントです。
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【2024年発売】
32・タイガー 炊きたて JPW-Y180-KV
¥23,800 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:IH炊飯
圧力炊飯:
内釜素材:2層遠赤黒厚釜
内釜厚さ:1.5mm
内釜保証:1年保証
保温機能:
堅さ調整:
なお、本機の下位機としてJPW-Y180も販売があります。
炊飯部分で言えば、1.5mmの2層遠赤黒厚釜ですので、上でみた機種と差があります。
本機も、調理機能が付属しています。同社の【レシピ集】にあるメニューに対応しますが、多少ですが、先ほどの機種より少ないです。
いずれにしても、ご飯の味は少し犠牲にされる部分はあるため、個人的には、あまりおすすめしません。保温面の工夫(粒立ち保温)もないです。
【2025年8月発売】
33・タイガー 炊きたて JPV-X180-KO
¥58,800 楽天市場 (7/1執筆時)
【2024年発売】
34・タイガー 炊きたて JPV-S180-KO
¥36,180 楽天市場 (7/2執筆時)
【2023年発売】
35・タイガー 炊きたて JPV-G180-KM
¥40,000 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.25気圧
内釜素材:遠赤5層蓄熱コート釜
内釜厚さ:2mm
内釜保証:3年保証
保温機能:粒立ち保温
堅さ調整:
JPV-X180も、タイガーの圧力式炊飯器です。
旧モデルが残ります。
2024年機は、25年機から増えた「おにぎりモード」がないです。
その代わり「お弁当モード」があったのですが、「もっちり」に炊く点では、両者とも共通していました。ただ、おにぎりに向く「ほどけやすい」米質にするため、吸水後、一気に加熱するような、新プログラムです。
2023年機は、玄米GABAメニューがない以外は性能差は見られません。
普通の玄米モードはありますが、時間をかけて炊くことでGABAを増やすというメニューです。
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結論的にいえば、23年機を含めて買われる際に最も安いものでOKでしょう。
あとは同じなので同時にみていきます。
炊飯方式は、最大1.25気圧の圧力IH式です。
方式自体は悪くなく、同社のIH式炊飯器の「上位」と言って良いです。
ただ、次にみますが、タイガーは高級機を含めて、「可変圧力IH式」にこだわりを持って開発してきた背景があります。
そのため、可変性がない本機は、同社の製品としては「やや異端」と言えます。
ヒーターの段数は、非公開です。
ただ、実際的には先ほどの機種同様の底面IHヒーター(剛火IH)です。
使われている釜は5層の土鍋蓄熱コート釜です。
内釜のコートは遠赤土鍋コーティングです。
下位機にもありました。遠赤効果でごはんを「ふっくら」させるためのものです。
一方、本機の場合、外側部分が土鍋蓄熱コートです。その上で「ヒートカットパウダー」を蒸着させています。内部の中空ガラスビーズの練り込みもあります。
これらは、いずれも、内釜の蓄熱性を高めるための工夫です。炊飯時に重要な「沸騰温度の持続性」を高めることができます。
同社の高級機のように「本当の土鍋(萬古焼)」ではないですが、その仕組みを模しています。
ただし、内釜全体の厚みとしては、さほど厚くはない2mmなので、あくまでこの価格帯の製品として「工夫がある」という話です。
なお、内釜は3年保証です。
ご飯の堅さは、調整できない製品です。
モードは、時間をかけて炊くプレミアム炊飯(極うま)ほか、お弁当用、冷凍ご飯用、すしカレー用・炊込みご飯、が選べます。
すしカレー用は「かため」には炊けるので、食感調整ができるといえばそうです。
おこげご飯は、炊き込みご飯のモードとして対応です。
泊枚用はないです。
一方、本機については、同社のIH式にもみられた調理機能が付属しています。メニュー構成は圧力式のため、少し異なります。
同社の【レシピ集】をみると、(低)圧力を活かしたメニューや無水調理にも対応します。
ちなみに、タイガーは逆に「料理が得意だが、炊飯もできる」という逆の感じの製品もだします。【多機能調理機の比較記事】で紹介しました。
健康米は、(汎用の)雑穀米、玄米、GABA多め玄米、麦飯などがあります。
白米系だと、他社の多くの機種同様、寿司カレー用、おこわ、炊き込みご飯などが作れます。
ご飯の保温 は、下位機同様、蒸気センサーと連動する「粒立ち保温」です。
お手入れは、圧力式ですが、内ふたはシンプルなので、面倒ではなさそうです。
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以上、タイガーのPV-S180の紹介でした。
ご飯の味については、やはり、同社ならば(ずっとこだわってきた)可変圧力式が良いかと思います。
ただ、炊飯以外の調理の部分で本機が魅力的なのはたしかです。
なお、その部分に惹かれた方は、【多機能調理機の比較記事】で紹介した、象印機ほかと、ちょっと比べてから購入しても良いかと思います。
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【2025年発売】JPV-Y180KV
36・タイガー 炊きたて JPV-Y180-KV
¥50,800 楽天市場 (7/1執筆時)
【2024年発売】JPV-T180(KV)
37・タイガー 炊きたて JPV-T180-KV
¥35,979 楽天市場 (7/2執筆時)
(エディオン系)JPV18E4K
38・タイガー 炊きたて JPV-18E4K
¥37,800 楽天市場 (7/2執筆時)
【2023年発売】
39・タイガー 炊きたて JPV-H180-KV
¥29,700 楽天市場 (7/2執筆時)
(Amazon系)
40・タイガー 炊きたて JPV-N180 JPV-N180K
¥40,800 Amazon.co.jp (7/2執筆時)
炊飯方法:圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.25気圧
内釜素材:3層遠赤特厚釜
内釜厚さ:2mm
内釜保証:3年保証
保温機能:粒立ち保温
堅さ調整:
そのほか、 JPV-Y180などは、ほぼ同じ形状ですが、下位機です。
大きな違いは内釜です。
内鍋は、「3層遠赤特厚釜」です。
プレスが3層に減じられます。
そのほか、液晶パネルも少し小さめの格安仕様です。
メニューも、寿司・カレー用・お弁当向けの炊飯モードがないなど、メニュー構成も少し異なります。
下位機も旧モデルが残ります。
新旧の違いは、先ほど上位機で説明したものと同じです。
なお、こちらは各年とも「オリジナル要素」を加えた特定量販店向けの製品があります。
エディオン系は、24年機は「さつまいもメニュー」23年機は、上位機にみられらた「お弁当向け」の炊飯メニューが「おまけ」で加わります。
なお、サツマイモは、微量の水を内鍋にはって、皮のまま1時間前後茹でるというものです。「ねっとり・ほっくり」で蜀漢を選べます。わりとユニークです。
Amazon系は、仕様は通常機(23年機)と同じですが、タイガーのロゴがあります。
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結論的にいえば、下面のみ熱源を持ち、内釜の熱伝導力で全体を加熱するタイガー方式では、他社以上に内釜の質は重要です。
値段差をみても、選ぶならば、先ほどの機種のが良いかなと思います。
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【2022年発売】
41・タイガー 炊きたて JKH-P181-KS
¥38,273 Amazon.co.jp (7/2執筆時)
炊飯方法:圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.25気圧
内釜素材:5層遠赤特厚釜
内釜厚さ:2.5mm
内釜保証:1年保証
保温機能:
堅さ調整:
また、タイガーは、家庭用と同じような形の「業務用IHジャー炊飯器」を出しています。
タイガー JKH1945
¥15,180 楽天市場 (7/2執筆時)
今回の記事では「対象外」の機種です。しかし、冷却ファン付きなので、同じ内鍋(JKH1945)を買って、あらかじめ浸水させておけば、連続炊飯が可能という工夫が見どころです。
炊飯時間自体も、2時間浸水したお米について、4合なら20分で炊けるため、営業形態によっては、便利に使えると思います。
ただ、サイズを含めて、家庭用として選択肢にしなくて良いです。
【2023年発売】JPI-T180WY
42・タイガー 炊きたて JPI-Y180-WY
¥45,800 楽天市場 (7/2執筆時)
(エディオン系限定)JPI18E4W
43・タイガー 炊きたて JPI-18E4W
¥45,800 楽天市場 (7/2執筆時)
【2022年発売】JPI-T180TC
44・タイガー 炊きたて JPI-T180-TC
¥53,740 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:可変圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.25気圧
内釜素材:遠赤5層蓄熱コート釜
内釜厚さ:3mm
内釜保証:3年保証
保温機能:粒立ち保温
堅さ調整:
JPI-Y180は、タイガーの炊飯器「炊きたて」の中位機です。
本体色は、従来は茶・黒系でしたが、2023年からは白系になっています。
こちらは、旧機種と特定店向け型番があります。
エディオン限定版は、2種類の食感の「サツマイモメニュー」がおまけつきます。
通常製品より安いようならば選んでも良いでしょう。
2022年機は、新機種と比べて、内釜に吹き付けるヒートカットパウダー(土鍋粉末)の量が若干少なく、遠赤効果が1%だけ少ない点が主な違いです。
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結論的にいえば、マイナーチェンジですが、あまり値段差がない状況ならば新機種が良いでしょう。
あとは同じですので、同時にみていきます。
炊飯方式は、可変圧力IH炊飯になります。
かけられる圧力は、最大1.25気圧(105℃)です。
通常の圧力IHは、圧力を逃がす弁が1つです。しかし、こちらは2カ所あります。そのため、炊飯中にも圧力を可変的に切り替えられます。
一方、同じ方式はパナソニックも採用しますが、目的が異なります。
パナソニックは、「米を踊らせる」という目的でした。しかし、タイガーは、気圧・温度を炊飯中に制御することで、お米の甘みと粘りをバランスよく引き出すという、直接的な「味」の意味で利用しています。
そのため、圧力ボールを2つ用意し、1.25気圧・1.05気圧という固定値で可変できる、W圧力仕様にしています。
この部分で、タイガーの可変圧力炊飯器は、圧力炊飯器の進化形と言え、先述の「下面過熱」方式とともに、同社の上位機の味を決定づける「核心的技術」です。
ヒーターの段数は、非公開です。
ただ、釜包みIHという新型ヒーターで、写真から推定すれば、下面に「2段」でしょう。
いずれにしても、タイガーは、「鍋底130度」の高温度と「内釜の厚み」で勝負するメーカーなので、この部分は重視しなくて良いでしょう。
使われている釜は、本機も、5層の土鍋蓄熱コート釜(遠赤5層厚釜)です。
こちらは、厚みが3mmとかなり厚くなっています。
圧力IH炊飯器は、厚みを持たせるのが難しいのですが、健闘しています。釜の形状も、熱をよりムラ無く伝えることができる構造になっています。
先ほども書いたように、同じ形式の炊飯器ならば、釜の厚みが熱い方が、熱の維持に有利で、味の面で有利になります。
ご飯の堅さは、調整のできないタイプです。
こちらも、「極うまモード」という、時間をかけて甘さを引き出す「プレミア炊飯器能」は付属しますが、食感の細かい調整はできません。
少量炊飯用・冷凍用ご飯のメニューは搭載です。
なお、冷凍ご飯メニューは、「レンジでチン」して美味しく炊けるように、ベタ付きを抑えた炊飯をする方向性です。
おこげご飯は、「炊き込みおこげ」として炊き込みご飯モードの選択肢として搭載です。
健康米は、白米以外だと、雑穀、玄米、麦飯に対応です。
下位機種に較べると、「麦めし」メニューが充実します。
押し麦・もち麦に合わせた炊飯モードのほか、「麦がゆメニュー」も追加されます。
先述のように、タイガーは麦に昔から力を入れています。
ご飯の保温は、本機も、炊飯にも利用する蒸気センサーを利用した粒立ち保温プログラムを採用します。
お手入れは、圧力式なので、通常のIH炊飯器に較べると洗浄するパーツの点数は多いです。
しかし最近の製品は非常にお手入れ性能が向上しています。
この機種も内ぶたに蒸気孔が付属するタイプであり、柔らかいスポンジがあれば簡単にお手入れ可能です。通常のIH炊飯器と洗う点数はほぼ同じで済みます。
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以上、タイガーのJPI-Y180の紹介でした。
この価格帯の製品としては、かけられる圧力や、丸釜の厚みの点で価値が高い機種です。
課題となる長時間保温も、旧機種は「つや艶内ふた」、新機種は蒸気センサーを利用した「粒立ち保温プログラム」と工夫があります。
また、下面過熱なので、美味しいおこげご飯が炊けるのも魅力でしょう。あとは、食感の「炊き分け」ができれば、より良い機種になりそうです。
【2023年発売】(在庫限り)
45・タイガー ご泡火炊き JPI-X180-KX
¥41,200 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:可変圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.25気圧
内釜素材:9層遠赤特厚釜
内釜厚さ:3mm
内釜保証:3年保証
保温機能:粒立ち保温
堅さ調整:
JPI-Xシリーズも、タイガーの炊飯器です。
なお、このシリーズの24年機は発売時価格が上がったので【高級10合炊飯機の比較】の方でみています。
炊飯方式は、下位機種同様、最大1.25気圧の可変圧力IH炊飯です。
ヒーターの段数も同じで、本機も釜包みIHとなります。
使われている釜は、遠赤9層特厚釜です。
土鍋に近い形状を採用することで、お米の対流をより促す構造です。
2020年機からは「ご泡火炊き」ということで、釜底に凹凸をつけることで、炊き上がりに影響する泡立ちを強化したほか、中空素材を含む、蓄熱素材の採用で、沸騰時の火力を10%向上させています。
厚さは3mmと下位機種と同じですが、実際の性能は上位でしょう。
コーティングは、面白いです。
内側は、下位機種と同じで、遠赤土鍋コーティングです。
外側は、しかし、土鍋蓄熱コーティング & かまどコーティングです。
タイガーは、「(ガスでの)土鍋炊飯の再現」を目指す方向性なので、ご飯の下面からの対流を重視します。
本機は、上部(銅)と下部(土鍋)とでコーティングを変えることで、温度差を利用して対流を促進させています。
タイガーの高級機は先述のように「本当の土鍋」なのですが、そちらも、上下の温度差を作り出すことに力点が置かれます。その発想が、下位機にも降りてきているという意味で、好感触です。
ご飯の堅さは、本機も調整のできないタイプです。
時間で甘さを引き出すモードは、下位機種同様ありますし、おこげも炊け、雑穀米の炊飯も得意ですが、食感(だけ)は調整できません。
ご飯の保温は、先述のように、蒸気センサーを利用した粒立ち保温プログラムが搭載です。
象印・東芝ほか、この部分に特に注力する企業と比べるとそう高度ではなく、明確な保温対応時間も示されません。しかし、半日程度は美味しさがキープされますので、必要十分なレベルはあります。
お手入れは、下位機種同様です。
パーツは多めですが、(圧力式のなかでは)そう難しくもないです。
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以上、タイガーのJPI-A1シリーズの紹介でした。
形状・コーティング・層の厚みと三拍子揃う「内釜の品質」でしょう。
タイガーの炊飯器は、先述のように(ガス火などでの)「土鍋」を理想像とするため、底面加熱方式です。その仕組み上、内釜の性能(熱伝導性)は、他社より重要です。
やや価格が高いですが、釜の形状に工夫を加えた機種は、味の上であきらかに「上位」です。
底面加熱のタイガーは内釜の性能で大きく味が変わるため、予算があれば選んでよいでしょう。
2-3・東芝の炊飯器の比較
続いて、東芝の炊飯器です。
同社の場合「長時間保温」に注目点があります。
【2025年5月発売】
46・東芝 真空IH RC-18RWB-K 【黒】
47・東芝 真空IH RC-18RWB-W 【白】
¥32,431 楽天市場 (7/1執筆時)
【2024年7月発売】
48・東芝 真空IH RC-18RWA-K 【黒】
49・東芝 真空IH RC-18RWA-W 【白】
¥29,778 楽天市場 (7/2執筆時)
50・東芝 真空IH RC-18VRV-K【黒】
51・東芝 真空IH RC-18VRV-W【白】
¥33,485 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:IH炊飯
圧力炊飯:
内釜素材:かまど銅釜
内釜厚さ:(2mm)
内釜保証:3年保証
保温機能:真空保温
堅さ調整:3段階
RC-18RWAは、東芝のIH式の炊飯器です。
旧機種が残ります。
2025年機は、2024年機と仕様差はないです。
2024年機は、23年機に対して若干形が変わったほか、炊飯プログラムの変更がありました。
食感など「メーカーおまかせ」のプレミアムモードが「極匠コース」になりました。
旧機までは「甘み炊き」でしたが、最近のブランド米は基本低アミロースで(元から)甘いものが増えた関係か、多少炊飯時間を早めて(1時間程度)、粒立ちも重視した感じです。
食感調整できる通常モードも「本かまど」から「匠炊き」に名前を変えましたが、こちらはそう大きく変えていないと思われます。
一方、「ねらい炊き」という、仕上がり時間を設定できる(35-50分)モードがありましたが、それは省略になりました。味や、利便性の部分であまり便利でもないので、なくても構わないと思います。
あとは、変わりません。ヒーターなどの機構や内鍋・パワーなどメカ的な部分は新旧ともに同じです。プログラムだけ変更したと考えてください。
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結論的にいえば、この値段差ならば、2024年以降で最も安いもので良いでしょう。
炊飯方式は、IH式炊飯です。
ヒーターの段数は、未公開です。
ただ、東芝も、発送としてタイガーに近く、底面加熱と釜の熱伝導性を重視する設計です。
東芝は、下面に集中的にヒーターを配置することで、かまどのように、下からの熱対流を促す仕組みです。それで、お米のかくはんを促す仕組みが取られます。
そのため、下面に7本のウェーブヒーターを搭載します。
その上で、東芝は、ごはんの浸水面の工夫があります(真空ひたし)。
東芝はポンプで気圧をコントロールする機構(0.6気圧)があります。
これを利用してお米への吸水を促すという仕組みです。浸水時の工夫は他社も別の仕組みがありますが、東芝の真空式も効果があるでしょう。
なお、タイマー予約中には水を浸透しすぎないようにしています。
使われている釜は、全面打ち出しの鍛造かまど銅釜です。
釜の厚みは、底部に熱源のある関係で、鍋底だけですが釜の厚みが5mmとなります。
その他の部分の数値は非開示です。銅は蓄熱性・熱伝導性ともに優れた素材ですので、東芝は内釜に「こだわりがある」と言えます。
タイガーと同じで、下面のみに熱源をもつ製品ですので内釜素材はとくに重要になります。
コーティングは、外は銅コートですが、内側はダイヤモンドチタンコートです。
炭系のコーティングですので、蓄熱温度重視でしょう。
ご飯の保温は、同社の真空技術が功を奏します。
これを強調し、この炊飯器は、真空IH炊飯器とも呼ばれます。
真空を作り出せることには、いくつか効果がありますが、例えば、「真空パック」と同等の原理で、保温の際の変色を防ぐ効果があります。0.7気圧です。
ご飯の堅さは、3通り選択できます。
圧力を欠けない方式なので、しゃっきり系のお米が得意です。火力が強いため、甘みも期待できるでしょう。
その上で、先述の真空機能(真空αテクノロジー)を活かしてごはんの甘みを増やす甘み炊きコースが加わります。
良い機能ですが、むしろこれ系の味がお好きならば、後で見る圧力をかける東芝の上位機が良いでしょう。
ご飯のおこげをつける機能はないです。
健康米は、玄米、麦ごはんコースと雑穀米の汎用メニュー(発芽玄米・胚芽米ほか)があります。
お手入れは、圧力をかけない方式なので楽だと思います。
消費電力は、1420Wです。
政府の「省エネ達成率」に沿わないといけないので、炊飯時の電気代が高くなる訳ではないです。
強力な分標準炊飯時に(3分ほど)時短効果があるほか、粒立の良いご飯に仕上がると東芝は表明します。最近は、高級機だと、この仕様が増えてきました。
ただ、注意点もあります。
レンジ台に炊飯器を置かれている場合、許容電力に注意してください。多くは2コ口合計で1500Wですから。そのほか、ブレーカーについても注意が必要です。
東芝機は、他社機よりも電力が多めなので、この部分は注意してください。
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以上、東芝のRC-18RWBの紹介でした。
圧力をかけないため、「もちもち」系「甘い系」の炊飯はあまり期待できません。
しかし、「かため」「しゃっきり」系ならば、高レベルに炊飯できそうです。そうなるとライバルは三菱です。味の面では互角だとおもいますが、ご飯の保温を前提にするならば、東芝の機種は魅力です。
【2024年6月発売】(1升炊きのみ展開)
52・東芝 真空IH RC-18KGW-K
¥32,679 楽天市場 (7/2執筆時)
炊飯方法:可変圧力IH炊飯
圧力炊飯:1.05気圧
内釜素材:備長炭入り遠赤外線コート
内釜厚さ:5mm(最大)
内釜保証:3年保証
保温機能:真空保温
堅さ調整:5段階
RC-18KGW(K)は、東芝の炊飯器の中位機種です。
こちらは、珍しく、5合炊きとの共通仕様ではない製品です。
炊飯方式は、こちらは、可変圧力IH方式です。
かけられる圧力は、ただ1.05気圧までと、他社より弱いです。
メーカーもこの部分をあまり強調していないように思います。
一方、下位機種(7個)より多い、9本の下面ウェーブヒーターを搭載しており、むしろこの部分の火力を活かして、美味しいご飯を炊き上げる機種です。
消費電力は、本機も、1420Wです。
電気代は他機と変わりませんが、少し多めなので、コンセントの許容量に注意してください。
本機も、「真空技術」と「加圧技術」を応用した「真空αテクノロジー」が搭載です。
したがって、これを利用する「真空ひたし」にも同じく対応できます(0.6気圧)
使われている釜は、一方、こちらは、備長炭入り遠赤外線コート釜です。
外装に銅素材を利用せず、備長炭コートです。
同じく鍛造で、最大5mm熱ですが、東芝は銅素材にこだわってきたので、素材変更の理由は不明です。
少し前ならば銅の調達価格からのコストカットの可能性はありましたが、以前よりは安定的ですし、謎です。5合炊きの最上位機は引き続き銅ですので。
おそらく、何かしら銅だと炊飯上に、都合が悪い要素があったのかと思います。
ご飯の堅さは、下位機種と同じく3通りの炊き分けです。
ただ、少し時間のかかるプレミア炊飯モードとなる「極匠炊き」があります。
従来の「甘み炊き」の改良版です。
今回は甘みより「ふっくら粒立ちの良いごはん」という部分を強調します。味としてはもちもち系です。最近のお米は低アミロースでもとも甘いので、PRの方向性は良いかと思います。
このほか、5銘柄に限りますが、いわゆる「銘柄炊き」にも対応します。
全国区の「ゆめぴりか」がないのが割と意外でした。
なお、本機も、おこげご飯は炊けません。
お手入れも、可変圧力式ですが、構造はさほど複雑ではありません。
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以上、東芝のRC-18KGW(K)の紹介でした。
下位機種と比べると「可変圧力式」である部分が目に見える差異です。
ただ、先述のように、あまり高圧ではないので、IH式に較べて、味の面でどこまで有効かは東芝機の場合「微妙」に思えます。
おそらく、銘柄を含めた「炊き分け」のちょっとした個性付けのために付けているのでしょうが、釜素材の部分の「謎」も残るので、銘柄炊き不要ならば、IH式でも良いかと思います。
次回の予告
一升炊き炊飯器のおすすめは結論的にこの機種!
というわけで、今回は、中級クラスまでの1升炊きの炊飯器の比較の2回目記事でした。
しかし、記事もうすこしだけ「続き」ます。
3・一升炊き格安炊飯器の比較 (3)
3-1:最終的なおすすめの提案【結論】
もちもち炊飯 ★★★★★
しゃっきり炊飯 ★★★★★
ご飯の甘み ★★★★★
保温性能 ★★★★★
手入れの手軽さ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
続く3回目記事【こちら】は、結論編です。
3万円台までで購入可能な1升炊きの炊飯器全機種から、目的別・予算別に最もオススメでできる機種を選定していきます!
引き続きよろしくお願いします。
3回目記事は→こちら