【今回レビューする内容】2025年 ハイレゾ対応ヘッドフォンの性能とおすすめ・選び方 :ハイレゾ対応有線ヘッドホン:機種の違いと音質面の評価
【比較する製品型番】SONY MDR-M1 MDR-M1 ST MDR-MV1 Q MDR-Z7M2 オーディオテクニカ ATH-A900Z ATH-WS1100 ATH-WP900 ATH-AWKT ATH-AWAS ATH-ADX5000 ATH-ADX3000 DENON AH-D5200 AH-D7200 VC WOOD 01 HA-SW01 WOOD 02 HA-SW02 -moda Studio Monitor M-200 ゼンハイザー HD 599 D599 SE HD 660S2 HD 560S AKG K702-Y3 K712 PRO-Y3 beyerdynamic DT 1990 PRO MK II beyerdynamic T1 3rd Generation T5 3rd Generation FiiO Snowsky WIND FIO-SSWIN FiiO FT1 Black FIO-FT1-B FiiO FT3 FIO-FT3 FT1Pro FIO-FT1PRO-B FiiO FT5 FIO-FT5-B FiiO FT7 FIO-FT7-B ほか
今回のお題
高音質なハイレゾヘッドホンのおすすめはどれ?
どもAtlasです。
今日は、2025年11月現在、最新のハイレゾ対応ヘッドフォンを比較します。
圧縮規格と周波数帯域の部分で、しっかり「対応」といえる機種をえり抜いて見ていきます。

1・有線ハイレゾヘッドホンの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:SONY〈日本〉
1-3:JVC〈日本〉
1-4:DENON〈日本〉
1-5:オーディオテクニカ〈日本〉
1-6:ゼンハイザー〈ドイツ〉
1-7:AKG〈オーストリア〉
2・有線ハイレゾヘッドホンの比較 (2)
2-1:beyerdynamic〈ドイツ〉
2-2:v-moda〈米国〉
2-3:FiiO〈中国〉
2-4:最終的なおすすめ機種の提案
記事では、はじめに「選び方の基本」を説明します。
その後、メーカーごと各社の製品を具体的に紹介していく構成です。
---
音質の良さ ★★★★★
重低音 ★★★★★
原音再現性 ★★★★★
疲れにくさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
そして、最後の「結論」では、上表のようなポイントから、「Atlasのおすすめ機種!」を提案する形で記事を進めていきます。
よろしくお願いします。
ーーー

1・有線ハイレゾヘッドホンの比較
接続:有線ケーブル
装着:オーバーイヤー型
2・Bluetoothヘッドホンの比較
接続:Bluetooth
装着:オーバーイヤー型
なお、記事をお読み頂くにあたって、一点だけ「お願い」です。
今回の記事(1回目)は、「有線方式」のハイレゾヘッドホンのだけの紹介です。
高級機も多いタイプで、オーディオファンが自宅でじっくり聴くための本格機が多いです。
2回目記事(こちら)では、Bluetooth対応のハイレゾヘッドホンを扱います。
有線と無線と両方対応できる製品も、2回目記事(こちら)で紹介しています。
このタイプでお探しだった場合、そちらをご覧ください。よろしくお願いします。
ーー
1・完全ワイヤレスイヤホンの比較
2・左右直結Bluetoothイヤホンの比較
3・ハイレゾ対応イヤホンの比較
4・ノイキャン対応イヤホンの比較
5・Bluetoothヘッドホンの比較
6・ノイキャンヘッドホンの比較
7・ハイレゾヘッドホンの比較
8・Beatsのヘッドホンの比較
9・ネックスピーカーの比較
10・おすすめヘッドホンの選び方 【結論】
なお、今回の記事は、ヘッドホン比較シリーズ全体の7回目記事として書きました。
1-1・ハイレゾ対応ヘッドホンの選び方の基本
1・再生周波数帯域
2・ドライバーの口径と種類
3・インピーダンス
具体的な比較にはいる前に、ハイレゾヘッドホンのスペック面での「選び方の基本」について書いておきます。
オーディオ用途で初めてヘッドホンを購入する方は、まず上表の3点を押さえておくと全体像をつかみやすくなります。
以下、順番にみていきます。
1・再生周波数帯域

再生周波数帯域(周波数特性)は、とくに、「ハイレゾ音源対応」を考えている方に重要な数字です。50Hz〜40kHzなどの数字として出されます。
![]()
低音域は、Hz(ヘルツ)は、値が低いほどより深い低音まで再生可能という目安になります。ただし実際の量感は設置条件(壁からの距離など)や部屋で大きく変わるため、数値だけを過信はできません。
高音域は、kHz(キロヘルツ)値が高いほど再生帯域の上限が広いことを示します。
ハイレゾについては、日本オーディオ協会(JAS)の基準で40 kHz以上を出せる場合に認定となります(海外製でもこのロゴが使われることがあります)
一方で、海外製の高級機でもこの数値をあえて追わない例は少なくありません。無理な延長は歪みや設計上の副作用を招く場合があるためです。
また、人間の可聴域上限(〜20 kHz)を踏まえると40 kHzは安全マージンが大きいという見方もあります。
実際には、20〜25 kHz上限でも優れた音を聴かせるヘッドホンは多く、ハイレゾ・リマスター音源ならば「なめらかさ」「残響の自然さ」「レンジ起因の窮屈さの少なさ」などの改善を感じられる場合があります。
言い換えれば、「CDでは埋もれがちな微細な成分を探せる」といえます。
---
以上、再生周波数帯域の解説でした。
この指標は音質を断定する万能指標ではないものの、各社がどの帯域を重視しているかを読む手がかりになります。本稿ではその観点から一定程度重視します。
「ハイレゾ認定」は先ほど書いた留意点はあるものの、ペア5万円以下の入門機では品質面での一つの安心材料になり得るため、今回もある程度重視して扱います。
2・ドライバーの種類とサイズ
ドライバーのサイズは、ドライバーの音質を決めると言って良いです。
原則的に、そのサイズが大きなほど、音域に余裕がでます。
ただ、大きいとヘッドが重く大きくなるため、各社とも、振動板やボイスコイルの素材や構造に工夫を施し、小型ドライバーでも、大きく良質な振動を得られるように工夫を施しています。
とくに、ハイレゾ対応機の場合は単純に大きいだけでは駄目であり、高音の質感を高めるため、良質な微細振動を得るための工夫(コーティングやエッジ面の工夫)が重要になってきます。
やや分かりにくい部分なので、今回の記事では、「どのような目的」で「どのような工夫」がなされているのか、できるだけ詳しく書くつもりです。

特に、近年、一般的な円形のダイナミックドライバーとは近駆動が異なる平面磁界ドライバーが登場しています。正確には、昔あった方式ですが、新しいプリントコイル方式を採用するなどして、能率や消費電力の部分で大幅に改良がなされています。
この方式は、性質的に「ハイレゾ音源向き」な部分があります。今回の記事でもその特性や弱点を含めて、詳しく書くつもりです。
3・インピーダンス

インピーダンスは、アンプなど再生機機との相性に関わる指標で、Ω(オーム)で表します。ハイレゾ用の場合、この値が大きく能率の悪い製品がわりと多いです。
100Ωを超えてくるような製品だと、鳴らすのにパワーが必要なので、スマホなどで使えない場合があります。
本格的なヘッドホンを選びたい場合、この部分も注意点と言えますので、今回の記事でも注目して説明します。
ーーー
以上、選び方の基本の紹介でした。
このほか、専門家の音チェック用に向く「モニターヘッドホンと一般ヘッドホン」の区別、あるいは、音漏れの部分で「オープン型と密閉型」の区別なども重要です。
ただ、こうした部分は、本編でおいおい説明していきたいと思います。

1・有線ハイレゾヘッドホンの比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:SONY〈日本〉
1-3:JVC〈日本〉
1-4:DENON〈日本〉
1-5:オーディオテクニカ〈日本〉
1-6:ゼンハイザー〈ドイツ〉
1-7:AKG〈オーストリア〉
2・有線ハイレゾヘッドホンの比較 (2)
2-1:beyerdynamic〈ドイツ〉
2-2:v-moda〈米国〉
2-3:FiiO〈中国〉
2-4:最終的なおすすめ機種の提案
冒頭書いたように、以上のような企業順に各機をみていくつもりです。
1-2・ソニーのヘッドホン

はじめに、SONYの製品です。
ソニーの場合、現在の主力はBluetooth(と有線の兼用)になっていいます。
有線専用は、モニター用と、ハイエンドクラスのみの展開です。
ヘッドホンは、1機を除き、音漏れしにくい密閉型構造での展開です。
ーーー
なお、以下の本文では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。

【2025年発売】
1・SONY MDR-M1
¥40,590 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
【2019年発売】
1・SONY MDR-M1 ST
¥32,343 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:24Ω
再生周波数帯域: 3Hz〜80kHz
ドライバー:40mm
重さ: 215グラム
MDR-M1も、ソニーのハイレゾ対応のヘッドフォンです。
もともと(ST)は「本職向け」で 販売はソニーミュージックソリューションズでした。ただ、2025年に一般向けにも登場しました。
従来は、6.3mmの標準プラグ仕様でしたが、新機種は3.5mmプラグで、6.3mmの変換プラグを同梱する仕様になっています。その上で、新機種のみ2.5Mのケーブルほか、1.2Mのケーブルも付属します。
なお、旧機は、1年保証がない点も、注意が必要です。

重さは、215グラムです。
十分軽量といって良い水準です。
タイプは、密閉型です。

スタジオでのプロユースに最適化するため、イヤーパッドに工夫があるほか、ジョイントにシリコンリングを採用するなどし、体動によるノイズの低減など、専用設計された製品です。
実際、この製品は、プロ向けのため「ハンドメイド製造」であり、特別な出荷前調整も行っています。
先述のように「保証がない」ですが、作りに自信がある裏返し、とも言えます。
イヤーパットの工夫で、長時間利用でも疲れにくいので、家庭用としても通用する製品です。
再生周波数帯域は、3Hz〜80kHzです。

ドライバーは、40mmのダイナミック型です。
技術仕様は公開されませんが、「独自開発」このことです。
ただ、利用される振動板の材質などは、同じです。
音質は、「モニターヘッドホン」らしく、中音域の明晰さを重視した設計です。
モニター機の場合、チェック用に向くように作られるので、ボーカルや楽器が明確に分かるような音質の場合が多いですが、本機もそうです。とくに、ボーカルが「やや近め」に感じやすいのが特徴です。ここは、好き嫌いです。
高音域もきらびやかさ、低音域の質感(スピード感)もありますが、低音域の厚みはさほどない点で、「バランス重視」のフラットな音質です。
味付けの少なさは物足りなく感じる人もいますが、しかし、「スタジオの再現」という、ある意味のハイレゾ音源の目的を考えると、かえって、良いかもしれません。
インピーダンスは、24Ωです。
ハイレゾ対応のスマホや、小型音楽プレーヤーでも使えます。
---
以上、ソニーのMDR-M1の紹介でした。
「モニターヘッドホン」として、スタジオ用に最適化されている製品です。このタイプで、ハイレゾに対応する製品は珍しく、希少価値があります。
音質的に家庭用と目指す方向は違うので、一般向けではないにせよ、ハイレゾの導入目的が「スタジオ録音の再現」ならば、この機種は、雰囲気込みで「あり」に思えます。
ーーー

【2023年発売】
2・SONY MDR-MV1 Q
¥46,728 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:24Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜80kHz
ドライバー:40mm
重さ: 223グラム
なお、MDR-M1 STをベースにしながら、オープン型にした製品が2023年に登場しました。

形状的には、MDR-M1 STと似ますが、振動板は、開放型のダクト構造に合わせた新設計で、単純に、背面だけをオープンバックににしたわけではないです。
ソニーの開放型というのは、記憶のかぎり本機が初めてですこし違和感を感じました。

音質は、MDR-M1とにています。
ただ、オープン構造の採用で高音域は、音が刺さりにくくより自然です。逆に、低音は、量感(ボリューム感)はやや抑えめで、中音域に影響を与えない音質です。
ちなみに、こちらは、同社の空間オーディオ(360 Reality Audio)を含めて、立体音響の作成に、ヘッドホン内の反響音が「致命的」らしく、そちら方面のクリエーター向きに出された製品のようです。
今回は「ハイレゾ」の話なので少し外れますが、スペック的にはこちらも「ハイレゾ対応」です。
なお、低音域側の周波数帯域は5Hzと(悪くないですが)下がります。ただ、同じ形状のものを開放型にすると、一般的に、そうなるかと思います。
---
結論的にいえば、総じてモニター的なフラットな音質ですが、用途を想定したプロ向けなので、一般的には選択肢にしなくて良いかと思います。
ただ、これで空間オーディオの音源を聞いたらどうなのかは(それでも)気にはなります。見かけも「格好良い」です。機会があれば、加筆します。

【2018年発売】
3・ソニー ステレオヘッドホン MDR-Z7M2
¥75,000 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:70Ω
再生周波数帯域: 4Hz〜100kHz
ドライバー:70mm
重さ: 340グラム
MDR-Z7は、ソニーのハイレゾ対応ヘッドフォンの最高峰のモデルです。
近頃、中級機のMDR-1AM2が生産完了になりました。
それもあり、家庭向け、一般向けの有線のハイレゾ対応ヘッドホンでは、同社で最後に残った1機です。

重さは、335グラムです。
その点では、「しっかり音楽を聴く」ための高級機です。
タイプは、密閉型です。
再生周波数帯域は、4Hz〜100kHzと、広いです。

ドライバーは、耳全体をすっぽり被うサイズと言える大口径70mmHDドライバーユニットを搭載します。
アルミニウムコートLCP振動板の採用など、基本システムは同じです。
しかし、口径が大きな分、とくに低音域にパワーに功を奏しています。
音質は、低音域の量感を重視した設計です。
20Hz以下の重低音もかなりでており、その部分が印象的な印象です。定位も正確でこのあたりは、ドライバーサイズや価格が出ています。
一方、中音域、高音域は、音が刺さりにくい「自然さ」重視です。好みもありますが、ハイレゾム向きの「きらびやかさ」は少し抑えめです。
そのため、大音量にしなくても、迫力のある音が聞こえる傾向です。

ケーブルは、通常のヘッドホンケーブルと、多くの情報量を送れるバランスケーブルが付属しています。
このブログの【ウォークマンの比較記事】で紹介した同社の端末に、このケーブルで接続することで高音質を得られます。
もちろん、市販の高品質ケーブルに換装することでさらなる音質向上も狙えます。
従来的なヘッドホン端子用のステレオミニプラグも付属するため、バランス接続に対応できない機器でもOKです。
インピーダンスは、70Ωです。
本格的なオーディオにつなげて使うよう設計されたモデルです。
---
以上、ソニーのMDR-Z7の紹介でした。
大きめのドライバーを採用したモデルです。バランスケーブル接続に対応しますし、呼応級音楽プレーヤーと接続して利用するとその能力を発揮できると思います。
1-3・オーディオテクニカのヘッドホン

続いて、日本のオーディオ機器メーカーのオーディオテクニカの製品です。
同社は、開放型もありますが、密閉型構造のヘッドホンも出しています。
ハイレゾ系の製品は、どちらかと言えば、「バランス重視」な音質傾向です。

【2015年発売】
4・オーディオテクニカ ATH-A900Z
¥26,381 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:42Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜40kHz
ドライバー:53mm
重さ: 330グラム
ATH-A900は、オーディオテクニカのヘッドフォンです。
ハイレゾに対応するモデルとしては、同社では最も安いシリーズです。
タイプは、密閉型です。

重さは、330gです。
若干重めの水準です。
ヘッドバンド部分を見た感じ軽量に見えますが、そうでもありません。
再生周波数帯域は、 5Hz〜40kHzです。
ハイレゾに必要なスペックをギリギリ満たす水準です。

ドライバーは、しかしながら、口径が大きい53mmです。
超硬質カーボンコート振動板で、ハイレゾに重要な高域の特性強化して居ます。その上で、口径の大きさが奏功して、ストレスのない広がりのある音が聴けます。
音質は、オーディオテクニカらしい、バランス重視で、フラットな音質です。
高音域は「きらびやかさ」より、自然さを重視します。中音域は、ソニー機(モニター機のMDR-M)ほどボーカルが前に出ず、聴き疲れしにくい音質といえます。明晰感は平凡です。
低音域は、アルミ筐体の採用などで、質感は良く、ハキハキとした印象です。一方、重低音(20Hz以下)は控えめですが、低域も量感はほどほどに感じます。
総じて、聴き疲れない(盛らない)音質で、定位も安定しています。ただ、ボリュームを抑えると、若干、中低音域が強く聞こえる感じはありました。

デザインは、若干本体デザインが古風ですが、フィット感はソニーと同様に良いです。
インピーダンスは、42Ωです。スマホや携帯音楽プレーヤーというよりも、本格的なオーディオ製品用でしょう。
---
以上、オーディオテクニカのATH-A900の紹介でした。
ソニーの入門機に較べると大口径のドライバを採用するのが魅力な機種です。
とくに、低音域に余裕がありそうです。なお、密閉型ですが、オーディオテクニカの製品は遮音性がさほどなく、「セミオープン」ともいえます。自宅用でしょう。

【2015年発売】
5・オーディオテクニカ ATH-WS1100
¥24,242 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:38Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜40kHz
ドライバー:53mm
重さ: 281グラム
ATH-WS1100は、オーディオテクニカの別系統のモデルです。
タイプは、密閉型です。

重低音が強調されたSolid Bassシリーズの上位機となります。
再生周波数帯域は、 5Hz〜40kHzです。
ハイレゾに必要なスペックをギリギリ満たす水準に止まっています。
インピーダンスは、38Ωですので、どちらかというと本格的なオーディオ機器向けです。
ポータブル用としては開発されていさそうです。

ドライバーは、口径は、一般的な53mmです。
音質は、やはり、低音域が特徴です。
低音域は、量感重視で、厚みのある低音です。
ただし、重低音(20Hz)以下より中低音域を重視する点で、同社らしい音質にしています。
質感(スピード感)はあまり感じず、余韻をのこす感じです。
中音域は、明晰感(クリアさ)は、同社の他機ほど重視しません。
ボーカルはあまり前にでない感じです。
高音域は、ドライバーの工夫が示されます。
本機は、「ディープモーション・ハイレゾオーディオドライバー」という名前です。ドライバーほか、高磁束磁気回路で磁力を強化して振動板を「深く、速く」動かせるようにしています。
本質的に重低音重視のラインですが、ハイレゾに重要な高音域も、微細に速く動く仕様にして、解像感を担保している感じです。ただ、ハイレゾっぽい「きらびやかさ」より、音が刺さりにくい自然な高音域という感じです。
いずれにしても、ハイレゾ対応機ながら、傾向としては中・低音域音重視の人が選ぶモデルでしょう。
重さは、その一方で、281グラムと軽量化に成功でしています。
ただ、他社の同価格帯の商品に比べるとやや重めです。
---
以上、オーディオテクニカのATH-WS1100の紹介でした。
低音をしっかり聞かせる同社のSolid Bassシリーズの特長が良くでている機種です。
一方、ハイレゾ用と考えた場合、高音域にあまり余裕がない、と言えるでしょう。ただ「ドンシャリ」系ヘッドホンとしては、良くできています。
【2019年発売】
6・オーディオテクニカ ATH-WP900
¥65,882 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:38Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜50kHz
ドライバー:53mm
重さ: 243グラム
ATH-WP900は、オーディオテクニカの天然木材を利用した、ハイグレード製品です。
タイプは、こちらも密閉型です。

重さは、243グラムと軽量です。
同社は、伝統的に、ハウジングに木材を使った製品を販売してきており、同シリーズの最新機がこちらとなります。
今回は、ギターのフジケンに塗装を依頼して作成した、メイプル材を利用します。
再生周波数帯域は、 5Hz〜50kHzです。
高音域に、多少余裕がある製品です。
インピーダンスは、こちらも、38Ωですので、どちらかというと本格的なオーディオ機器向けです。

ドライバーは、口径は、この製品も53mmです。
ただし、設計は異なり、中・低音域の音質向上のための新形状バッフルを採用します。
高音域には、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング振動板を採用しました。
振動板はある程度剛性があった方が、ハイレゾに合うため、各社とも工夫が多い場所です。
音質は、価格相応に、全レンジとも、下位機より性能は1回り良いです。
高音域は、DLCコート振動板の効果で、「きらびやかさ」を感じつつも、明るく自然な音色で、好印象です。
中音域は、ボーカルの輪郭が見えやすく明瞭です。
低音域は、重低音を含めて量感はあまり重視せず、質感優先です。
タイトに、すぐ鳴りすぐ止まる印象です。他の帯域の邪魔をにしにくい音質であり、ハイレゾ向きでしょう。
同社の格安機とちがって、中低音域も無用に膨らまないので、ある程度ボリュームを絞っても問題ないです。音場も広く、定位感もあります。
なお、ケーブルは、ステレオケーブルのほか、バランスケーブルも付属します。
---
以上、オーディオテクニカのATH-WP900の紹介でした。
ハイレゾ向けの高級機で、全体として水準の高い音を奏でます。低音の厚みが課題ですが、落ちついてゆっくり聴けるヘッドホンです。先述のように、ハイレゾにも合う設計です。
一方、価格はやはりネックです。値段の高さは、外観の天然木材の部材費によるところが多いため、質が良い音はするものの、趣味性が高い製品でしょう。
---

【2019年発売】
7・オーディオテクニカ ATH-AWKT
¥220,000 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:48Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜45kHz
ドライバー:53mm
重さ: 405グラム
8・オーディオテクニカ ATH-AWAS
¥160,000 楽天市場 (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:40Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜42kHz
ドライバー:53mm
重さ: 395グラム
なお、同社のハイレゾイヤホンのハイエンドは、以上の2機です。

こちらの製品は、黒檀・アサダ桜という高級木を利用しています。
重量級のあるモニターグレードの製品です。53mmというドライバーサイズや、DLC振動板の採用は下位機種と同じです。

内部パーツは、それぞれ専用設計となります。
下位機種と比較すると両機種とも、D.A.D.S.(Double Air Damping System)と呼ぶ、二重構造を採用し、低音域に余裕を持たせています。
さらに、 ATH-AWKTは、パーメンジュール合金の磁気回路を採用し、音のクリアさを高めます。
そのため、下位機とは音質は変わるでしょう。ただ、基本的な音響思想は、下位機種と同系統ですし、値段差ほどの差は、一般的にありません。
--
結論的にいえば、(スピーカーシステムならともかく)、ヘッドホンにおいて、ここまでの製品は、個人的には不要かなとは思います。
ーー

このほか、越前漆器と和鹿革のパッドを採用した「工芸品グレード」なATH-W2022の販売もあります。2022年に登場した記念モデルです。
100万円を超えてきます。ケースは木曽檜と白桐、京都産ちりめん生地、箱は越前和紙と、とことんこだわっています。もちろん、他山の石ですが、感心もしました。

【2017年発売】
9・オーディオテクニカ ATH-ADX5000
¥238,238 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:420Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜50kHz
ドライバー:58mm
重さ:270g
ATH-ADX5000も、オーディオテクニカの上級機です。
本機の上位に、ATH-ADX7000がありますが、50万円オーバーなので、さすがに対象外にしました。
タイプは、オープン型になります。
超高級なレファレンスモデルです。日本のメーカーとしては挑戦的な価格設定です。

重さは、同じく高級機のDT 1990 PROと比べて270gと軽量です。
実物を見ると、オープン型の利点を活かした軽量化が各所に見られますが、その部分をつきつめた「産業デザイン」としても美しい本体です。
再生周波数帯域は、5Hz〜50kHzです。ハイレゾに重要な高音域について、従来モデルよりも柔軟に対応させてきました。

ドライバーは、タングステンコート振動板で、58mmです。
ドライバーを一体成形して入る点が贅沢です。
余分なパーツを含めないことで、純粋な音の振動をそのまま伝える工夫です。音のスピード感は最初の試聴時から感じられました。この部分は、ピュアオーディオには重要な部分です。
音質は、高音域の良さは、先ほどの下位機も良かったので、値段差以上の差は感じません。
ただ、オープン型である部分で、音抜けは自然であり、刺さりやすい音(サ行)も問題なく出せる部分で高品質です。
中音域は、一方、明晰感がワンランク上です。
磁力(Permendur磁気回路)とCore Mount Technology(CMT)の作用ですが、高音域とのクロスも自然で、ボーカルが特に伸びやかです。
低音域は、オープン構造ですし量感より、質感(スピード感)に振った構成です。
中域を邪魔しない音質で高評価です。
全レンジとも、音場の広さと定位感はクラス相応に感じました。
インピーダンスは、ただし420Ωです。
能率は良くないので、相当「趣味性」の強い製品と言えます。接続は、6.3mmのステレオプラグです。
---
以上、オーディオテクニカの ATH-ADX5000の紹介でした。
ここのところ再評価した機種のなかでは目立った音質の良さを感じた製品です。
ニッチ市場の製品ですので、割高ではありますが、ダイナミックドライバ採用のオープン型のヘッドホンでは、「完成型」の1つと言えるでしょう。音抜けも、解像感、スピード感はかなり良く、長年のロングセラーである理由が分かりました。
ーーー

【2025年発売】
10・オーディオテクニカ ATH-ADX3000
¥165,000 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:50Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜45kHz
ドライバー:58mm
重さ:257g
なお、2025年に同じオープン型の「弟分」が出ました。

ドライバーは、58mmです。
同じタングステンコートで、バッフル一体型ですが、ボイスコイルが、高飽和・低損失 の「ドイツ製パーメンジュール磁気回路(Permendur)」から、純鉄ヨーク磁気回路に変更がみられます。
あとは、外装部分(ハニカムパンチングの目の粗さ、フレームのマグネシウム合金不採用、イヤパッドの質感)などが変わります。
音質は、高音域の「きらびやかさ」はむしろこちらの方が感じやすく、明るめです。
ただ、磁気回路の違いで、中音域の質とボーカルの品質(高音域とのクロス)は、わずかに差がある印象です。
低音域は、質感重視で、上位機と同じ傾向です。音場と定位感も十分です。
いずれも、比べて聴けば上位機と差はありますが、傾向は同じと言って良いです
重さは、一方、257gとやや軽量です。
コスト面の外装変更の結果とも言えますが、時代的に軽量なモデルのニーズが増したため、そこを意識したようには思います。
そのほか、インピーダンスが下がった点、示される周波数帯域の幅が、若干縮まった点が目に付いた違いです。
---
結論的にいえば、上位機の仕様のうち、音質に関わる部分の省略を最小限にして、このシリーズの持つ、スピード感や、音歪みの少なさなどを保持した部分で、好印象の製品です。
実運用でいえば、駆動が従来機よりかなりしやすい仕様に改善されたため、色々に使いたい方はこちらが向くでしょう。
1-4・デノンのヘッドホン

つづいて、日本のデノンの密閉型構造のハイレゾヘッドホンです。
低音域の充実度に定評のあるメーカーですが、オーバヘッド型でハイレゾ対応機を一定数出しています。
【2018年発売】
11・DENON AH-D5200
¥54,297 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:24Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜40kHz
ドライバー:50mm
重さ:385g
AH-D5200 は、DENONの密閉型ヘッドフォンの上位機です。

重さは、385グラムです。
ドライバーが大きいという理由もありますが、ハウジングにゼブラウッドを利用するなど、軽量感よりも高級感を重視した仕様ゆえでしょう。
もちろん、木製ハウジングは、音質面にも特徴を与えるため、重さは無駄ではありません。
再生周波数帯域は、5Hz〜40kHzです。
やはり、高音域がハイレゾに対応するギリギリの水準です。

ドライバーは、50mmです。
同社の最上位機同様のフリーエッジ型ドライバーです。
とくに低域の安定感に寄与すると思われますが、デノンのスピーカーにもみられたシステムです。
音質は、高音質は、「きらびやかさ」より、自然さを重視します。共振を抑えるゼブラウッドの効果もあってでしょう。
中音域も同じ傾向で、高音域とのクロスも良好で、ボーカルが自然です。
低音域は、量感は十分です。重低音はそこまで感じませんが、厚みにDENONらしさを感じます。とはいえ、量感だけで言えば、オーディオテクニカの重低音機(ATH-WS1100)のがやや強めです。
ただ、低音の質は良く、スピード感を感じます。また、中・低音域のクロスが自然で、質の良い中低音域を楽しめます。
この部分もDENONらしいです。
インピーダンスは、24Ωです。ポータブルな携帯機器でも使えます。
----
以上、DENONのAH-D5200の紹介でした。
量感はそこまで強調しないが、このクラスだと「質の良い中・低音域」といえ、実にDENONらしいヘッドホンです
ハイレゾ向けに言えば、高音域は「自然さ」重視で、「きこえない音探し」のような方向性ではないですが、落ちついて、良質な音源を聴きたい場合には結構良さそうです。
自宅用に「ちょっと良い」ヘッドホンを探している方には良さそうに思えました。
ーーー

【2023年発売】
12・DENON AH-D7200
¥79,127 楽天市場 (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:24Ω
再生周波数帯域: 5Hz〜40kHz
ドライバー:50mm
重さ:385g
なお、同じ形状のフラッグシップとなるのが、AH-D7200です。

本機も、同じく50mmのフリーエッジドライバーですが、素材が異なり、(化0本)ナノファイバー振動板になります。
ただ、価格差の多くを占めるのは、やはり、羊革のヘッドバンドと、ハウジングの天然木に、アメリカン・ウォールナット材を採用しているからかと思います。
そのほか、着脱式ケーブルの銅の純度などに差が見られます。
--
結論的にいえば、主に、高音域(きらびやかさ)において、下位機より改善効果が見込めます。あとは、音場や定位の部分でも改善効果はあるでしょう。
ただハイエンドの常で、AH-D5200に比べての差はわずかですし、コスパはやはり下位機の方が良いです。
1-5・JVCのヘッドホン

つづいて、日本のJVCケンウッド(日本ビクター)の密閉型構造のハイレゾヘッドホンです。

【2015年発売】
【上位機種】
13・JVC WOOD 01 HA-SW01
¥35,500 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
【下位機種】
14・JVC WOOD 02 HA-SW02
¥29,764 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:密閉型
インピーダンス:56Ω
再生周波数帯域: 8Hz〜45kHz
ドライバー:40mm
重さ:330g / 320g
WOOD 01は、JVCケンウッドのCLASS-Sシリーズに属するハイレゾ対応機です。

なお、下位機が併売されます。
上位機は、内部ユニットのいくつかに木製パーツが増えるほか、音響用ハンダで接着した点が、下位機種と異なります。
--
結論的にいえば、以下、上位機ベースに書きますが、そこまで変わらない印象なので、個人的には下位機でも良いかと思います。

重さは、330gです。
したがって、軽量化のために音質は犠牲にしないタイプの「音質重視」の機種です。
再生周波数帯域も、8Hz〜45kHzです。

ドライバーは、ウッドドーム振動板を採用します。
JVCは、ヘッドホンのハウジングに限らず天然木を利用した振動板を利用することに「こだわり」があります。その他の部分も、木製素材を多用します。
木製素材を多用する場合、素材的な特性(内部損失)で、「自然な音色」になる傾向ですが、本機もそう言えます。
口径は、ただ、40mmです。
Bluetooth型だとこのサイズも多いですが、有線としてはそこまで大きくないです。
音質は、ウッドドーム振動板の効果が目立ちます。
高音域は、きらびやかさはあまりない一方、聴き疲れにくい「自然な音質」です。
中音域は、明晰性は普通で、やはり聴き疲れない音質です。
低音域は、質感(スピード感)は木製素材の場合、あまりなく、むしろ自然な残響の余韻を楽しむものです。
ドライバーは、先述のように、ドライバーは小さめですが、量感はわりと感じます。1テスラの高磁束で、振り幅が十分だからでしょうか。
インピーダンスは、大きいので、携帯機器には向かない可能性があります。
---
以上、JVCのWOOD 01の紹介でした。
一般的な意味で「ハイレゾ向き」かは留保せざるを得ないですが、同社伝統のWOODシリーズらしく、「温もりのある自然な響き」は期待できます。
あまり大きなボリュームにせず、自宅でゆったり聴きたい製品です。
1-6・ゼンハイザーのヘッドホン
![]()
はじめに、ドイツの老舗音響メーカーのゼンハイザーのハイレゾ対応の開放型ヘッドホンからです。

【2016年発売】
【通常型番】
15・ゼンハイザー HD 599
¥23,800 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
【Amazon限定】
16・ゼンハイザー HD599 SE
¥21,203 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:50Ω
再生周波数帯域: 12Hz〜38.5kHz
ドライバー:38mm
重さ:250g
HD 599は、ドイツの音響メーカーであるゼンハイザーのヘッドフォンです。
タイプは、こちらはオープン型です。
この価格愛ではオープン型の「代表格」とも言えるモデルであり、独特の「プリン型」は根強いファンがいます。
なお、この製品には、アマゾン限定色があります。簡易包装での発送となりますが、性能は同じです。

重さは、250グラムと、オープン型としては平均的です。
再生周波数帯域は、しかしながら、12Hz〜38.5kHzです。
この部分の数値でとらえると、低音・高音共に余裕が少ない状況です。

ドライバーは、サイズ非公開ですが、およそ38mmです。
むしろ形状に特色があり、本機は、E.A.R.(Ergonomic Acoustic Refinement)配置です。耳道に向けて角度付けして、真っ直ぐ鼓膜に音を送る同社の技術です。
音質は、味付けの少ない「まろやかな」サウンドです。
高音域は「きらびやかさ」はあまりなく、開放型らしい音抜けが良く、自然な感じです。
中音域は、明晰感がありつつ、高音域とのクロスもなめらかで、聞きやすいです。
低音域も、質感(質感(スピード感)が良く、音も自然です。
重低音域を含めて、さすがにオープン型だと量感控えめですが、そこを狙うジャンルでもないでしょう。中音域の良さを邪魔しない、質の良さが人気の秘密です。
低音が膨らみすぎないので小音量再生もしっかりこなしますし、音場の広さも、定位感も良いです。
インピーダンスは、50Ωと高めです。
実際、開放型なので、自宅のオーディオ機器で聴くのに向いている機種です。
---
以上、ゼンハイザーのHD 599の紹介でした。
周波数帯域などの部分で明確に「ハイレゾ向け」とされる製品ではないものの、その音源自体の良さを引き出せる品質があると評価できます。
一方、E.A.R.は装着状況で、とくに低音の量感が左右されますので、買ってみてあまり良い音がしない場合、装着方法を見直すのも重要です。

【2023年発売】HD 660S後継機
17・ゼンハイザー HD 660S2
¥71,800 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:300Ω
再生周波数帯域: 8Hz〜41.5kHz
ドライバー:38mm
重さ:260g
HD 660S2も、ドイツの音響メーカーであるゼンハイザーの開放型ヘッドフォンです。
2017年に登場した初代から、5年ぶりに新機種になりました。
スペック的に音域がやや拡がりました。
その上で、とくに、低音の音圧が上がったのが今回の改良点です。

重さは、260グラムです。
下位機種より20gほど重い水準です。
ただ、さほど変わらないと言えばそうです。
タイプは、オープン型です。
再生周波数帯域は、8Hz〜41.5kHzです。
下位機種より、やや向上しています。
ただし、高音域は「ハイレゾ」ギリギリの水準ではあります。同社も明確に「ハイレゾ用」とは言いません。本機の個性は、どちらかと言えば低音なので。

ドライバーは、38mmです。
本機も、鼓膜に向けて角度があるE.A.R.構造です。
振動板はラミネート振動板で、ポリマーフィルムを積層させて剛性を高めています。音に悪い分割振動を抑えながら、振動幅を拡大することで、特に低音域の量感をアップさせています。そのほか、超軽量アルミボイスコイルの採用で、音の質感(応答性)の改善を測る工夫もみれます。
その他の部分を含めて、総じて「低域の質感・量感」に注目した上位機と言えます。
音質は、開放型ですが、低音域が、質・量ともに充実する傾向です。
低音域は、軽量ボイスコイルの作用で、質感(スピード感)がよいほか、つながりも自然です。量感も、特に40Hz以下の重低音は下位機種以上に豊かです。
中音域・高音域は、下位機種とそこまで大きく変わりませんが、明晰性はやや上がります。
インピーダンスは、300Ωですので、本格的なシステムにつなげるべき製品です。
----
以上、ゼンハイザーのHD 660S2の紹介でした。
しっかりしたアンプとつなげて、開放型特有の抜け感を感じつつ、低音域の充実度を楽しむ製品でしょう。
一方、ハイレゾ向きかと言われると難しい部分で、少なくともそこをターゲットにした製品ではない、という言い方になります。

【2021年発売】
18・ゼンハイザー HD 560S
¥22,700 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:120Ω
再生周波数帯域: 6Hz〜38kHz
ドライバー:38mm
重さ:240g
HD 560sも、ドイツの音響メーカーであるゼンハイザーの開放型ヘッドフォンです。
ヘッドホンは新機種への更新頻度が遅いですが、本機は、2021年に発売された新しめの製品です。
重さは、240グラムです。
HD 599と同じほどで、HD 660sより、軽量性を意識したとされます。

再生周波数帯域は、6Hz〜38kHzです。
したがって、ハイレゾ対応機として、高音域は平凡です。
ただ、低音域方面が6Hzとスペックが良いです。
実際、この部分を重視した改良だったようで、低音域の表現力はより充実します。
ドライバーは、38mmです。
素材は、不明ですが「ポリマー化学物質をブレンド」との表現が見られます。
また、先述のEAR技術は採用されません。ただ、音通路全体ではないですが、ドライバーについては同じように角度付けをして鼓膜の方向に向ける「斜めドライバー(Angled Transducers)」構造の言及はあります。
おそらく、装着状況によるユーザー体験の差異に配慮されたのかと思います。
音質は、同じオープン型のHD 599と若干色合いが変わります。
高音域は、「きらびやかさ」の部分では、本機の方がやや良いです。
おそらく振動板素材の違いが由来していると思われます。逆に「自然さ」という部分ではHD 599ですが、そこまで悪いわけでもないです。
中音域もより明晰で、低音域の質感の向上も見られます。
低音の量感も良化している印象で、中音域の邪魔をしていない点を含めて質の良さを感じます。
インピーダンスは、引き続き高めの、120Ωです。
----
以上、ゼンハイザーのHD 560sの紹介でした。
基本設計の世代差もあり、本機のほうが、音質傾向としては「新しい」ようには思います。今どきの「ハイレゾ向き」としては、こちらのほうが、評価は高めです。
ただ、HD 599の良い部分は「聴き疲れにくさ」なので、そちらを重視する場合は、本機は選択肢にならないでしょう。小音量再生の品質もそちらが良いです。
一方、音が装着状況に左右されやすい部分は、本機もあるといえ、そこが注意点です。
1-7・AKGのヘッドホン

続いて、AKGの製品です。
AKGは、オーストリアの音響メーカーです。
JBLなどと同じくHarman傘下で、そのルートで日本にやってきているようです。

【2020年発売】K702-Y3-E
19・AKG K702-Y3
¥20,900 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:62Ω
再生周波数帯域: 10Hz〜39.8kHz
ドライバー:
重さ:235g
K702は、AKGのハイレゾ対応製品です。
もともと2011年に展開されたモデルです。保証期間の延長(3年)で型番が変わりました。
イヤーパッドに低反発性素材を使って、長時間かけても疲れないと評判のあるヘッドフォンです。
タイプは、オープン型です。
密閉型ではないため、自宅で使うオープンタイプのヘッドフォンです。

重さは、235グラムと軽量です。
装着感も良いため、疲れにくいヘッドホンです。
再生周波数帯域は、10Hz〜39.8kHzです。
ハイレゾ対応をそこまで意識した作りではないです。
ドライバーは、Varimotion二層振動板です。
中央部とエッジで振動板の厚さを変える方式で、剛性と内部損失を両立させる方式です。音の品質をある程度保ちつつ、ハイレゾに高度に対応するための工夫です。
軽く密度があるフラットワイヤーボイスコイルの工夫も高音域における微細音の再現性に貢献するだろう工夫と言えます。
音質は、高音域は、自然さより「きらびやかさ」を強く感じる音質です。
中音域は明晰で、低音域も質感は高いですが、量感はやや課題を感じます。
一方、注目するべきは、広めの音場感と定位感です。高音域の特長もあって、かなり明るい色目です。オープン型で、特徴的な3Dフォームパッドの効果です。
ただ、小音量再生の場合、低音域がやや物足りない印象です。
インピーダンスは、62Ωです。
能率が悪いので、携帯音楽プレーヤーには向かないと言える機種です。
自宅やスタジオで使うと真価が発揮できるタイプのヘッドフォンです。
---
以上、AKGのK702の紹介でした。
一般的な意味で「ハイレゾ向け」な仕様です。小音量再生と低音域に弱さを抱えますが、ある程度の音料理、広い音場で、良質な定位感を得られつつ、繊細な高音域を楽しめます。
とくに、クラシックの再生にはこのメーカーは個人的にはおすすめです。
ーー

【2020年発売】K712 PRO-Y3-E
20・ AKG K712 PRO-Y3
¥38,800 Amazon.co.jp (11/5執筆時)
タイプ:オープン型
インピーダンス:62Ω
再生周波数帯域: 10Hz〜39.8kHz
ドライバー:
重さ:235g
なお、K712PROは、AKGのハイエンドモデルです。
唯一、モニタリング用ヘッドフォンという高級オーディオの称号?を付けられています。こちらも2013年モデルが、保証延長で型番が変わっています。
デザインも下位機種よりもスタイリッシュで、価格相応の高級感があります。
ドライバーは、本機もVarimotion二層ダイアフラムです。
ボイスコイル部分の仕様も同じです。
再生周波数帯域は、10Hz〜39.8kHzというハイレゾを満たす最低水準です。
音質は、ただ、変わります。
本機は高音域の「きらびやかさ」をやや抑える一方で、低音域のボリューム感をやや底上げしています。中音域は、輪郭重視のフラット傾向で、そこまで変わりません。
広めの音場感と定位感という先ほどの機種の印象はそのままです。小音量再生は、低域の量感が増えたことで、わりと上手です。
インピーダンスは62Ωです。
こちらもオープンタイプの構造なので、携帯用ハイレゾプレーヤーではなく、自宅やスタジオ向きのヘッドフォンだといえます。
---
結論的にいえば、モニターヘッドホンですので「個性がありすぎる」K702を、ある程度「落ちついた普通のスペック」に落とした感じの製品に思えます。
ただ、ハイレゾ再生の部分では、先ほどの機種の方が、「音の成分」が分かりやすいように思うので、一般向けにはそちらでしょう。
次回に続く!
ハイレゾ対応ヘッドホンのおすすめは結論的にこのれ!
というわけで、今回は、ハイレゾヘッドフォンの比較の1回目記事でした。
しかし、記事はまだまだ「続き」ます。

2・有線ハイレゾヘッドホンの比較 (2)
2-1:beyerdynamic〈ドイツ〉
2-2:FiiO
2-3:最終的なおすすめ機種の提案
次回の2回目記事(こちら)では、ドイツのbeyerdynamicの製品をみたあと、FiiOの製品をみていきます。
音質の良さ ★★★★★
重低音 ★★★★★
原音再現性 ★★★★★
疲れにくさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、ここまで紹介してきた製品全てから、価格別・目的別に、Atlasのおすすめ機種!を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
2回目記事は→こちら
---
今回の記事がお役に立ったようならば、Twitter Facebook はてなブックマークなどで話題を共有していただければ嬉しいです。
