Top プリンター 比較2024' 新型A3カラープリンタ35機の性能とおすすめ・選び方(1)

2024年12月07日

比較2024' 新型A3カラープリンタ35機の性能とおすすめ・選び方(1)

【今回レビューする内容】 2024-2025年 最新A3カラーインクジェット複合機の性能とおすすめ・選び方:A3カラープリンター: エプソン カラリオ ブラザー プリビオ Canon インクジェットプリンター PIXUS Widows 11 Mac OS13対応

【比較する製品型番】Colorio EP-982A3 プロセレクション PIXUS iP8730 iP6830 プリビオ HL-J7010CDW SC-PX1V SC-PX1VL EW-M973A3T EW-M973A3T1ほか

今回のお題
A3対応カラープリンターのおすすめ機種はどれ?

 ども、Atlasです。

 今回は、2024年12月現在、最新のA3カラープリンタ(複合機)を比較します。

 基本となる画質印刷速度のほか、インク代の安さには特にこだわって比較しました。

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1・A3インクジェット(複合機)の比較
 価格:1.5万円〜
 印刷単価:約10円/枚〜
 用途 :年賀状/写真など家庭での利用

 なお、A3プリンターは、数が多いので、記事は4つに大きく分けています。

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 1回目記事(今回)は、一般的な、A3カラーインクジェットプリンタ(複合機)の比較です。

 簡単に言えば、インクを使う製品で、普通の文書印刷のほか年賀状・写真印刷などに向く家庭用プリンタです。

 ファミリー向けに「一家に一台」あると便利な、「最もふつうのプリンタ」です。

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2・A3ビジネスインクジェットの比較
 価格:3万円〜
 
印刷単価:約3.7円/枚〜
 用途 :ビジネス文書のカラー印刷向け
3・エコタンク搭載プリンタの比較
 価格:3万円〜
 
印刷単価:0.9円/枚〜
 用途 :コスト最優先での大量印刷向け
4・A3カラーレーザープリンタの比較
 価格:5万円〜
 
印刷単価:11.1円/枚〜
 用途 :高画質なオフィス向け

 2回目記事は、同じインクジェットですが「仕事向け」の製品の紹介です。

 インクに、耐久性・耐水性がよい「全量顔料インク」を採用しているのが特徴です。

 「ふちなし印刷」などができない部分で、(年賀状をふくめた)家庭用にはあまり向かないと言えます。

 3回目記事も、同じく仕事用のインクジェットです。

 しかし、インク詰め替え式の「コスパ優先モデル」の製品の紹介です。。

 4回目記事は、カラーのレーザープリンタです。

 こちらは、説明不要でしょう。

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 結論的にいえば、家庭で、仕事にも使うが、年賀状や写真印刷にも利用したいならば、今回の1回目記事をそのまま見て頂ければ、OKです。

 仕事用に考える方のみ、次回以降の記事も合わせて検討してください。

 よろしくお願いします。

インクコスト ★★★★★
画質(普通紙)★★★★★
画質(写真) ★★★★★ 
印刷スピード ★★★★★
設置性の良さ ★★★★★
総合評価   ★★★★★

 というわけで、以下では、いつものように、各社のプリンターを一機ずつ比較していきます。

 そして、最後の「結論」では、上表のようなポイントから、予算別・目的別にAtlasの「おすすめ機種」をいくつか提案していきます。

ーーー

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1・A4インクジェット複合機(6色)
2・A4インクジェット複合機(4色)
3・A3インクジェット複合機   
4・ビジネスインクジェット  
5・A4モノクロレーザー
6・A4モノクロレーザー 複合機
7・A4カラーレーザープリンタ
8・A3カラーレーザープリンタ
9・プリンターの基本的な選び方

 なお、今回の記事は、このブログのプリンター比較シリーズの第3回目記事として、書きました。

1・A3カラープリンタの比較

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 では、具体的なA3インクジェットプリンターの比較にはいります。

1・A3インクジェットの比較 (1)
 1-1:エプソン〈日本〉
 1-2:キヤノン〈日本〉
 1-3:ブラザー〈日本〉
2・A3インクジェットの比較 (2)
 =最終的なおすすめ機種の提案

 今回は、上表のように、メーカーごとに比較していきます。

1-1・EPSONのA3インクジェット

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 最初に紹介するのは、エプソンA3インクジェットプリンタです。

 写真用インクジェットでは「業界最大手」といえる日本企業です。

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 以下の記事では、Atlasのおすすめポイントについては赤字で、イマイチと思う部分については、青字で書いています。


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 Windows XP〜11 MacOS 10.6〜15

 【2019年発売】

 1・EPSON Colorio EP-982A3
  ¥28,209 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

インク種類:染料インク
カラーインク数:5色
黒インク数: 1色
印刷速度:5.5枚/分(A4普通紙)
自動両面印刷:対応(A4)
サイズ:幅479x高さ148x奥行356mm

 EP-982A3 は、同社の「カラリオシリーズ」のA3印刷対応プリンターです。

 昔、「ふだんはA4、ときどきA3」というCMで宣伝されていた機種です。

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 本体のサイズは、幅479x高さ148x奥行356mmです。

 横幅はありますが、高さ部分ではだいぶコンパクトです。

 とくに奥行については、A4プリンターとあまり変わらないので、家庭でも邪魔にならないサイズです。

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 液晶は、感覚的に操作できるタッチパネルです。

 本機は、電源がONになると自動で排紙トレイ・用紙カバー・操作パネルが開き、印刷が終わると自動で収納される自動オープン機能が搭載されます。

 これは、高級プリンタだけに実装される「ギミック」です。

 電源も、パソコンから印刷が指令されると、連動して自動的にスリープ状態から起動して印刷を開始する自動電源オン・オフ機能も搭載されます。

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 インクの色数は、6色です。

 写真のようにシアン・マゼンダ・ブラック・イエローという標準色に加えて、ライトシアンマゼンダという中間色を加えています。

 全て写真向きの「染料インク」です。

 写真印刷時の発色については、他社機に比べても能力は高いです。

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 カラー印刷のクオリティは、高いです。

 他社のA3モデルは、4色インクの場合がほとんどです。

 クオリティ重視でカラー印刷をしたければ、4色インクは性能的に限界があるので、6色インクはクオリティ上、優位性があります。

 エプソンは、6色以上のインクを搭載する機種を「エプソンカラー」として、同社の「プレミアモデル」としています。

 モノクロ印刷のクオリティは、注意が必要です。

 なぜなら、黒インクも「染料インク」のため、ビジネス文書を普通紙に印刷する場合、やや文字が滲みやすいからです。

 その点で言えば「写真は得意」だが、ビジネス文書は「そこそこ」な機種です。

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 【6色パック

 EPSON IC6CL80L
  ¥7,550 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 【ブラック 増量1本

 EPSON ICBK80L
  ¥1,326 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 純正インクの単価は、以上の通りです。

 世の中には、他社製の「互換インク」もあります。

 しかし、エプソンの高画質モデルは、インクが特別なので、互換インクだと十分な性能が発揮できない場合が多いです。

 また、それらを使うと1年保証も得られなくなるので、画質重視の場合は、ネットの特売を利用しながら、純正品を買うのが良いでしょう。

メーカー公表印刷コスト
 L判光沢紙:約24.8円
実際の印刷コスト
 L判光沢紙:約16.9円
 フォト年賀状印刷:約24.9円
 A4 Photoカラー:約93.3円

 インクのコストパフォーマンスは Amazonでの実売価格をふまえると、上表のようになります。

 なお、各社ともメーカー公表の印刷コストは、自社の光沢紙(L版)の値段を含めての算出ですが、それだとメーカー間で印刷コストを比べにくいと言えます。

 そのため、実印刷コストは、用紙部分は除外したインクのみのコストとなります。(以下、他機も同じです)

 写真印刷のコストは、画質重視の「6色インク」は、他社の4色モデルよりも高めのコスト水準です。

 ただ、クオリティとコストは反比例するため、ある程度は仕方ないでしょう。

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 普通紙印刷のコストは、エプソンは非公開です。

 しかし、用紙サイズや印刷密度から試算はできます。

 A4普通紙印刷では(多く見積もって)約21円ほど、A4白黒印刷では、約9円でしょう。

 こういった印刷ならば、それなりに低コストです。

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 印刷速度は、メーカー公表値を基にすると、A3の光沢印刷で1分55秒で、L版写真で13秒です。

 A4カラー写真は、65秒程度で印刷できるでしょう。  

 また、実測値では、普通紙でビジネス文書を印刷する場合は、5.5枚/分でした。

 より速い機種はほかにありますが、家庭用としては不満のないスペックです。

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 A3印刷は、一方、本機は「手差し対応」になります。

 1枚づつ差していくことになるので、複数枚印刷する仕事用には向きません

 しかし、例えば、ショップのチラシやメニュー印刷や、図面印刷には活躍できるでしょう。A4については、トレイで100枚まで対応します。

 自動両面プリントは、対応します。

 A4までの対応です。


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 スキャナーは、解像度が4800dpiです。

 そこそこ高性能で、8000円台の単品スキャナと同等程度です。

 ただし、コピーやスキャニングの際に読み取る原稿を自動で送るADFは付属しません。また、スキャナーやコピーは、A4までの対応になります。

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 ネットワークは、USBのほか、Wi-Fiと有線LANでの接続に対応します。

 スマホからの写真印刷もフォローします。

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 以上、EPSONEP-979A3 の紹介でした、

 キャッチコピー通りで、普段はA4を使うが、「時々A3を使いたい」方に良い機種です。

 画質については「エプソンカラー機」として、特に写真印刷に向く機種です。写真や年賀状印刷をメインに考えるならば「最適」です。

 手差し給紙でA3用紙が印刷できる構造にしたため、本体もA4機並みに小型であり、設置性も良いです。家庭用A3機として隙がない1台です。


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 【2021年2月発売】

 Windows XP〜11 MacOS 10.6〜15

 2・EPSON エコタンク搭載 EW-M973A3T
  ¥83,880 楽天市場 (12/7執筆時)

 【Amazon限定】(専用用紙付 説明書なし)

 3・EPSON エコタンク搭載 EW-M973A3T1
  ¥(86,200) Amazon.co.jp (12/7執筆時)

インク種類:染料+顔料インク
カラーインク数:4色
黒インク数: 3色
印刷速度:
自動両面印刷:対応
サイズ:幅523x奥行379x高さ168mm

 EW-M973A3Tも、EPSONのA3プリンターです。

 冒頭で「エコタンクは分けて別記事で書く」としました。

 しかし、本機に限っては、画質的に家庭用の一般木として利用できる(というより、下位機種より画質が良い)ため、例外としました。

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 本体のサイズは、幅523x奥行379x高さ168mm です。

 幅広ですが、邪魔になると言えるほどではないでしょう。

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 インクの色数は、こちらも同じ6色インクです。

 ただし、これまでにない構成です。

 カラー系はお馴染みの三原色ですが、黒系を、フォトブラック・マットブラック・グレーの3色と充実させています。

 インクは、カラリオカラーではなく、ClearChrome K2 Plusインクという名前です。プロ用上位機製品に沿ったネーミングであり、力の入れようがわかります。

 なお、マットブラッグだけ顔料インクで、あとは染料インクです。

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 EPSON Velvet Fine Art Paper
  ¥3,280 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 とくに、マットブラックを顔料インクにした効果で、素材的に染料インクにシビアな、特殊素材のアート紙に、より適応的になりました。

コットン紙で凹凸があり、にじみやすいVelvet Fine Art Paperに対応させるためとされます。

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 カラー印刷のクオリティは、ライトシアンとライトマゼンダと淡い系の色味を大事にしてきた「カラリオカラー」とは少し違います。

 黒系インクが多いため、カラーでも階調性が期待できます。エプソンによれば、従来より広色域化もなされたとのことです。

 最近はカメラもテレビもですが、コントラスト強化の傾向なので、「時代に合わせた配色」だと思います。

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 モノクロ印刷のクオリティも、グレーインクの採用で、とくに写真印刷においては、効果が高いです。

 一方、本機の使途として、あまり利用者はいないでしょうが、文字印刷の品質も、顔料インクの採用で、期待値は高いです。

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 【6色必要】

 EPSON マットブラック TOB-PB
  ¥1,844 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 EPSON シアン TOB-C
  ¥1,844 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 純正インクの単価は、以上です。

 単体でしか売らない方向性ですが、全色で1万円強なので、「趣味の印刷」でも(それなりに)罪悪感がない水準はキープします。

メーカー公表印刷コスト
 L判光沢紙 約8.7円
 A4カラー文書 約1.6円
実際の印刷コスト
  L判光沢紙 約2,6円
 フォト年賀状印刷 約3.8円
  A4 Photoカラー 約14.2円

 インクのコストパフォーマンスは、Amazonでのインク売価をふまえた場合、上表のようになります。

 カラー印刷のコストは、説明するまでもなく、上表のように、カラリオ系より7倍は安いです。

 メーカースペックからL判光沢紙の用紙代を除いて計算すると、A4に伸ばして印刷しても10円前後(税別)というのは、写真用では考えられないコスパです。

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 サードパーティの詰め替えボトルではないので、エコタンクは「挿すだけで満タン」ですし、面倒さも少ないです。

 普通紙印刷のコストは、用途的に説明不要でしょう。

 ただ、A4カラー文書で1.6円という水準なので、1円を大幅にきるでしょう。

 印刷速度は、一方、A4写真用紙で55秒、L判で19秒です。

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 A3印刷は、A3ノビまで対応です。

 内蔵トレイはA4までなので、背面トレイを利用します。

 もしくは、ストレート給紙もできます。

 自動両面プリントは、対応します。

 ただし、A4までの対応です。

 スキャナーは、1200×4800dpiに対応で、すこし良いです。

 A4までの原稿に対応します。

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 ネットワークは、USBWi-Fiでの接続に対応です。

 100Base-Tの有線LAN接続にも対応します。

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 以上、EPSONEW-M973A3Tの紹介でした、

 抜群の印刷コストの安さがありつつ、画質も良い機種です。

 ただ、印刷速度の部分で、ビジネス用として使うものではないので、その点だけは注意してください。

 また、その場合もインクの使用期限(約2年)はあるので、家庭用としては少し特殊です。逆に、業務用とする場合、本機は(家庭用なので)「耐用枚数」が非開示です。

 結論的にいえば、写真印刷を趣味にしている人に向けた製品で、そういった方におすすめします。


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 【2020年発売】

 Windows 7〜11 MacOS 10.9〜15

 【A3ノビ】

 4・EPSON プロセレクション SC-PX1V
  ¥89,979 楽天市場 (12/7執筆時)  

インク種類:顔料インク
カラーインク数:6色
黒インク数: 4色
印刷速度:
自動両面印刷:
サイズ:幅515×奥行368×高さ185mm

  SC-PX1Vは、エプソンのプロセレクションシリーズという「ハイアマチュア」向けのプリンターです。

 同社のハイエンド機ですが、このグレードでは、旧機の SC-PX5VII以来、2020年に実に6年ぶりの新機種です。

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 価格もとびきりします。

 しかし、性能は、「業務用」レベルと言える値段にあった超高画質であり、写真家向け高性能機として、地味ながら、たいへん売れています。

 なお、こちらは「複合機」ではありません。

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 本体のサイズは、幅515×奥行368×高さ185mm です。

 下位機種に比べると大きいとはいえ、従来機の最上位機に比べて68%小型です。

 設置性はすこぶる良くなったと言えます。

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 インクの色数は、この機種の場合、10色インクの製品になります。

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 黒・グレー系は4色です。

 黒は、光沢・非光沢のフォトブラック・マットブラックが選択できます。

 ライトグレーは、旧機種時代からありましたが、今回は、暗部表現のオーバーコートに使われる点が新機軸です。階調表現が高まっています。

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 カラーインクは、今回は、旧機種に対して、青系が強化されました。

 シアン系3色目となるディープブルー色が加わり6色となります。

 したがって強調されるのは、青・紫といった色域の拡大です。 

 なお、プロセレクションシリーズについては、「全色とも顔料インク」です。

 「カラリオ」は染料インクを利用していましたが、プロ用については、速乾性があり、色温度の調整が容易な「顔料インク」を利用します。

 「全量顔料インク」で彩度や階調を出すためには、「10本ものインクが必要」なわけで、クオリティが出せるのは、高級機のみです。

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 カラー印刷のクオリティは、印刷サンプルを見ても、暗部の階調表現の強化が強調できます。

 前モデルでも黒・グレー系インクの改良階調性は最高レベルでした。しかし、黒系インクの構成の改良と、青インクを加えたことがで、すごみが増しています。

 結果、黒つぶれを効果的に防ぐことに成功しています。

 TVの場合もそうですが、黒の表現力(深み)が増すと、カラー部分の階調性が高まるため、全体的な階調性が劇的に改善します。

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 モノクロ印刷のクオリティも、高いです。

 プロ用の印画紙を用いた展覧会用の印刷も、このグレードならばこなせます。

 モノクロ写真モードでは、「冷黒」「温黒」「セピア」などの色調を変えられるモノクロ写真モードも搭載です。

 一方、理論的には、文字印刷も「得意」となりますが、この目的に使うには「大げさな機種」でしょう。

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 EPSON 10i色パック IC10CL97
  ¥23,326 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

 純正インクの単価は、上記の通りです。

 Epson UltraChrome K3Xインクを10本使うため、消耗品単価は高めです。

 写真の世界で費用がかかるのはアナログの昔からそうなので、これは仕方ないです。 インクのコストパフォーマンスは、Amazonでの売価をふまえると、上表のようになります。

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メーカー公表印刷コスト
 L判光沢紙:約22.7円
実際の印刷コスト
  L判光沢紙:約15.4円
 フォト年賀状印刷:約22.7円
  A4 Photoカラー:約84.9円

 写真印刷のコストは、1枚あたりで上表の通りです。

 安価ではないですが、驚くほどは高くないという数字です。

 A3にのばして印刷しても、1回150円前後のコストなので、ハイアマチュア以上なら、趣味の範囲として許される額でしょう。

 普通紙印刷のコストは、試算すれば、A4普通紙印刷では約20円ほど、A4白黒印刷では約8円ほどです。

 ただ、このプリンターは、フォト用紙への印字に最適化された製品なので、あえて言えば、という話です。

 印刷速度は、L判の写真用紙の場合44秒というスペックです。

 また、A3ノビの写真用紙を利用する場合、約3分17秒になります。

 仕様上、時間がかかるのは仕方ないですし、問題もないでしょう。

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 A3印刷は、A3ノビサイズまで対応です。

 A4を超えるサイズの用紙の場合、こちらも手差し対応です。

 ただ、用紙のズレを効果的に防げる前面給紙を採用し、傾きによりスプリントは少ない仕様です。

 そのほか、4.3インチのタッチパネル式、液晶モニターで、簡易的ながら画像を確認することができるようになりました。

 また、機内照明を装備し、閉めたままで、中を確認できるようにもなりました。利便性は上がっています。

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 用紙については、旧機種と同じで、ロール紙ホルダーが付属し、ロール紙にも対応できます。

 刷り物に利用する場合には便利でしょう。なお、今回から、0.5mmのファインアート紙は、背面給紙も可能になっています。

 自動両面印刷は、構造的に不可能です。

 ただ、CDのレーベル印刷機能などは付属します。

 スキャナーは、こちらはプリンタ専用機のため未付属です。

 ネットワークは、USBのほか、Wi-Fiと有線LANでの接続に対応します。スマホからの写真印刷もフォローします。

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 以上、プロセレクションシリーズ SC-PX1Vの紹介でした。

 ハイアマチュア向けの超高級機で、画質は家庭用としては最高峰です。ここまでの額をプリンタに投資できる方は限られるでしょう。

 インクコストは、下位機種に比べてさほど高いわけではないです。その点で言えば、初期コストさえなんとかなれば、長期間楽しめるでしょう。

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 Windows 7〜10 MacOS 10.9〜15

 【A2ノビ】

 【2020年発売】

 5・EPSON プロセレクション SC-PX1VL
  ¥159,973 Amazon.co.jp (12/7執筆時) 

インク種類:顔料インク
カラーインク数:6色
黒インク数: 4色
印刷速度:
サイズ:615×368×199mm (収納時)
自動両面印刷:

 また、同型でA2ノビサイズまで対応できるプロセレクション SC-PX1VL という商品もあります。

 同じく、10本の顔料インク技術を使う製品ですが、A2サイズということで完全に業務用に向いた品です。注意しましょう。インクタンクの型番も異なります。

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 なお、こうした「プロ用」の写真専用プリンターについては、キャノンのライバル機機を含めて、【高画質プリンターの比較記事】で、割と詳しく比較しました。

1-2・キヤノンのA3インクジェット

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 続いて、CANONのA3対応プリンターの紹介です。


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 【2014年発売】

 Windows 7〜11 Mac 10.10〜14.0

 7・Canon インクジェット PIXUS iP8730
  ¥28,512 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

インク種類:染料+顔料インク
カラーインク数:3色
黒インク数: 3色
印刷速度:A4カラー10枚/分 白黒14.5枚/分
自動両面印刷:
サイズ:幅590x高さ159x奥行331mm

  PIXUS iP8730は、キヤノンのA3インクジェットプリンタです。

 「A3ノビ」まで対応しますが、「複合機」ではない機種です。

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 本体のサイズは、幅590x高さ159x奥行331mm となります。

 エプソンの「カラリオ」に比べると、横幅がある製品ですので、寸法には注意してください。

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 インクの色数は、合計で6色です。

 エプソンの構成とは異なり、イエローシアンマゼンダブラック・グレーという染料インクと、顔料系のブラックという構成です。

 注目点は、ブラック顔料インクを利用する点です。

 顔料インクは、速乾性で文字が滲みにくいため、文字の印字に力を発揮します。

 したがって、例えば、喫茶店のメニューなど、文字混在でカラー印刷する場合は優位性があります。

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 カラー印刷のクオリティは、「顔料黒インク」である点が、逆にネックです。

 「染料インク」で統一するエプソンの「カラリオ」とは差があります。

 一方、普通紙で文字入りチラシなどを作成する場合は、差はないといえます。

 なお、エプソンの高級機「プロセレクション」は「全量顔料インク」でした。(繰り返しますが)あれは、8色インクという「力業」ゆえの例外であり、基本的に写真は「染料インク」がおすすめです。

 モノクロ印刷のクオリティは、ビジネス文書については、文字の鮮明度の面でこちらがエプソン「カラリオ」より上です。

 なお、グレーインクは採用されますが、「モノクロームな写真」については、「染料インク」で統一するエプソンの「カラリオ」に及びません。

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 BCI-351XL+350XL/6MP 6色セット
  ¥7,800 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

 BCI-350XLPGBK 黒大容量インク
  ¥889 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 純正インクの単価は、上記の通りです。

 6色組のセットが販売されています。

メーカー公表印刷コスト
 L判光沢紙:約20.5円
実際の印刷コスト
  L判光沢紙:約12.0円
 フォト年賀状印刷:約17.8円
  A4Photoカラー:約66.0円

 インクのコストパフォーマンスは、Amazonでのインク価格をふまえた場合、上表のようになります。

 写真印刷のコストは、上表の通りです。

 エプソン機(カラリオ入門機)と比べて少し安いものの、とびきり安いわけでもない水準です。

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 普通紙印刷のコストは、試算すれば、A4普通紙印刷約17円ほど、A4白黒印刷では約7円ほどです。

 エプソンの入門機に比べるとコスパは良いです。しかし、次に見る上位機に比べるとやや高めの水準です。

 印刷速度は、文字中心のビジネス文書をA4印刷する場合、カラーは1分に10枚、モノクロだと1分に14.5枚印刷できます。

 写真を印刷しない場合は、キャノンのは速度面で優秀です。

 一方、写真用紙で印刷する場合は、L判の光沢紙で30秒A3写真用紙で約2分というスペックです。

 これは、エプソンに比べると多少遅いといえます。

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 A3印刷は、EPSONのカラリオと異なり、こちらは「後部トレイでA3印刷を標準でサポートする」機種です。

 同時に150枚まで用紙挿入可能です。

 もちろんその分本体の大きさもやや大きめで、幅も広めです。

 自動両面印刷は、非対応です。

 スキャナは、未付属です。

 ネットワークは、USBのほか、Wi-Fiでの接続に対応します。スマホからの写真印刷もフォローします。

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 一方、EPSON「カラリオ」と異なり、液晶窓やタッチパネルは装備されません。CDのレーベル印刷ができる程度です。「ストイック」なプリンターです。

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 以上、キヤノンのPIXUS iP8730の紹介でした。

 手差しではなく後トレイ(150枚)から直接A3が印刷できるのが大きな魅力です。

 ただ、片面のプリントしかできない機種で、スキャナなども付属しない機種です。筐体もやや大きめです。

 「ときどきA3」ではなく「A3をよく印刷する」人向きの機種と言えます。

 ビジネス文書の印刷速度も速いので、業務用に探している方は選択肢にしても良いかもしれません。


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 【2014年発売】

 Windows 7〜11 MacOS 10.10〜15

 8・Canon PIXUS iP6830
  ¥24,791 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

インク種類:染料+顔料インク
カラーインク数:3色
黒インク数: 2色
印刷速度:A4カラー10枚/分 白黒14.5枚/分
自動両面印刷:
サイズ:幅590x高さ159x奥行331mm

  iP6830も、キャノンのA3ノビ対応プリンタです。

 1つ上で見た、PIXUS iP8730の「廉価版」という扱いの製品になります。

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 インクの色数は、「染料インク」としてイエローシアンマゼンダブラック4色です。それに「顔料インク」の黒が加わり、タンクは5本です。

 上位機と比べると、中間色のグレーインクが欠如します。

 カラー印刷のクオリティは、グレーのインクがないために、写真の階調表現については、上位機種に劣ります。

 モノクロ印刷のクオリティは、上位機なみです。

 ただし、グレーインクがない分、階調のあるモノクロ写真は、本機については不得意です。

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【5色 大容量パック】

 Canon BCI-351XL+BCI-350XL
  ¥6,546 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

【ブラック大容量】

 Canon BCI-350XLPGBK
  ¥889 Amazon.co.jp (12/7執筆時)  

 純正インクの単価は、上記の通りです。5色組の大容量のセットが販売されています。

メーカー公表印刷コスト
 L判光沢紙:約20.5円
実際の印刷コスト
  L判光沢紙:約13.2円
 フォト年賀状印刷:約19.4円
  A4Photoカラー:約72.8円

 インクのコストパフォーマンスは、Amazonでの売価をふまえた場合、上表のようになります。

 写真印刷のコストは、インクが少ない分、上位機種より安めです。

 普通紙印刷のコストは、メーカ公表値でカラー普通紙15.6円です。

 白黒での実コストは、試算すればA4白黒印刷では約6円ほどです。

 印刷速度は、先ほどの上位機種と同じです。

 繰り返せば、ビジネス文書をA4印刷する場合、カラーは1分に10枚、モノクロだと1分に14.5枚です。

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 A3印刷は、後トレイから150枚の給紙に対応します。

 実用的な方法です。

 一方、上位機と比べると、CDのレーベル印刷ができない点が追加の違いです。

 そのほかは、Wi-Fi対応になる部分をふくめて同じです。

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 以上、PIXUS iP6830の紹介でした。

 上位機に比べると画質が及ばず、コスト面も悪い機種です。

 本体価格の差もさほどないため、キヤノンを選ぶならばこの機種ではなく、先ほどの上位機種を選ぶのが正解だと思います。

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 Windows 7〜11 MacOS 10.12〜15

 【2020年発売】【上位機】

 9・CANON imagePROGRAF PRO-G1
  ¥78,200 楽天市場 (12/7執筆時)

インク種類:顔料インク
カラーインク数:6色
黒インク数: 3色
印刷速度:
ふちなし印刷:対応
自動両面印刷:
サイズ:幅639×奥行379×高さ200mm

 【2020年発売】【下位機】

 10・Canon PIXUS PRO-S1
  ¥76,780 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

インク種類:染料インク
カラーインク数:5色
黒インク数: 3色
印刷速度:
ふちなし印刷:対応
自動両面印刷:
サイズ:幅639×奥行379×高さ200mm

 なお、キヤノンのインクジェットプリンタの「最高画質機」は、これらの製品です。

 全量「顔料インク」と全量「染料インク」という2種類となります。

 これらについても「フォト用のプロ専用機」となるため、【高画質プリンターの比較記事】のほうでで、エプソン機とまとめて比較しています。

1-3・ブラザーのA3インクジェット

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 最後に、ブラザーのA3インクジェットプリンターです。


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 【2022年発売】

 Windows 7〜11 MacOS 10.11〜15

 11・ブラザー First Tank HL-J7010CDW
  ¥55,000 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

インク種類:顔料インク
カラーインク数:3色
黒インク数: 1色
印刷速度:A4カラー30枚/分 白黒30枚/分
自動両面印刷: 対応(A3)
サイズ: 幅576×奥行477×高さ315mm

  HL-J7010CDWは、ブラザーのA3プリンター複合機です。

 同社は、近年「家庭用」と「ビジネス用」とを明確に分けなくなったので、この機種はビジネスプリンターとも言えます。

  202308242034.jpg

 本体のサイズは、幅576×奥行477×高さ315mm です。

 加減はありますが、それでも2段トレイの複合機なので、背の高さはある機種です。

 202209161406.jpg

 インクの色数は、4色です。

 ブラザーの場合、このモデルは全量顔料インクです。

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 カラー印刷のクオリティは、顔料インクのため、写真印刷には苦手とします。

 とくに、ブラザーの高画質機は最小液滴量が1.5pLなのですが、スピード重視のビジネス用は、若干スペックが落ちます(カラー2.5pl〜、ブラック4pl〜)。

 しかし、グラフなどのビジネスカラー文書については、にじみやすい染料インクを利用しない分、クッキリハッキリします。

 モノクロ印刷のクオリティも、顔料インク採用ですから、やはり文字がにじみにくい利点がある機種です。

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 【4色別売】

 Brother 交換インク LC417XLBK
  ¥3,545 Amazon.co.jp (12/7執筆時)

 純正インクの単価は、上記の通りです。

 この機種については、4色組の大容量のセットの販売がありません。

 201811141114.jpg

 そのかわり、大量に印刷できる製品です。ただ、インク自体の耐用期間は、1年未満なので、大量に使う予定がない場合は、あまり向かない機種です。

メーカー公表印刷コスト
 A4普通紙カラー:4.1円
 A4普通紙モノクロ: 0.9円

 インクのコストパフォーマンスは、ブラザーの場合、この機種を「写真印刷用機」としては販売していないため、光沢紙などへの写真印刷に要する費用は非公開です。

 A4普通紙のコストは、インクの実売価格を加味した場合、1枚あたりの普通紙カラーの印刷コストは、約4.1円、モノクロカラーの印刷コストは、約0.9円です。

 他社と比べても、劇的に安いと言えます。

 印刷速度は、こちらはビジネス向き機種として、大きなヘッドを採用し、印刷スピードが劇的に速い機種です。

 A4カラー・A4白黒とも30枚/分と、業務用クラスのハイスピードです。

 もちろん両面印刷もできます。

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 A3印刷は、強調するべき点です。

 手差しや後トレイでなく、しっかりとした給紙トレイから差し込める形式だからです。

 トレイは、250枚入りで2段に対応します。大量印刷に向きます。

 自動両面印刷も、A3に対応します。

 ネットワークは、USBのほか、Wi-Fi・無線LANでの接続に対応します。液晶窓もあるため、スマホからの写真印刷もフォローできます。

---

 以上、ブラザーの HL-J7010CDWの紹介でした。

 写真印刷にはあまり向かない機種です。一方、ビジネスカラー文書は、コスト面でも、印刷速度面でもかなり優秀ですが、インクの耐用年数を考えると、ここまでのスペックは一般的に不要でしょう。

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  201807181818.jpg

 なお、今回は「家庭用A3プリンターの特集」ということで、ブラザー・エプソンを含めて、(筐体が大きめとなる)複合機は除外して掲載しています。

 それを含める場合、この機種と同じく、顔料インク採用でビジネスに向くA3機プリンターの選択肢はかなり増えます。

 インクタンクがもっと小さい機種もあるため、ビジネス用と考え、設置サイズ面で問題ない方は、このブログの【A3ビジネスプリンターの比較記事】もチェックしてみてください。

次回につづく
A3カラープリンタのおすすめは結論的にこの機種!

 というわけで、今回は、A3インクジェットプリンタの比較の1回目記事でした。

 しかし、記事はもう少しだけ「続き」ます。

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1・A3インクジェットの比較 (1)
 1-1:エプソン〈日本〉
 1-2:キヤノン〈日本〉
 1-3:ブラザー〈日本〉
2・A3インクジェットの比較 (2)
 =最終的なおすすめ機種の提案

インクコスト ★★★★☆
画質(普通紙)★★★★☆
画質(写真) ★★★★★ 
印刷スピード ★★★☆☆
設置性の良さ ★★★★★
総合評価   ★★★★★

 次回の2回目記事こちら)では、ここまで紹介したプリンター全機種から、いつものように、目的別・予算別にAtlasのおすすめ機種!を提案していきます。

 引き続きよろしくお願いします。

 2回目記事は→こちら

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posted by Atlas at 21:28 | プリンター

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