【今回レビューする内容】2024年 目的別の電子辞書の選び方とおすすめ機種:シャープ・ブレーンとカシオ・エクスワードの辞書の違いと評価・レビュー:中高生に電子辞書は必要か・本体性能・検索機能の違いなど:Brain ex-word
今回のお題
最新モデルの電子辞書の選び方のおすすめは?
ども、Atlasです。
今日は、2024年9月現在、最新の電子辞書に関する「賢い選び方」について書きます。
中高生用・社会人用・大学生用・検定試験用など、目的に沿ってどのように電子辞書を選んだら良いのかについて、最新機種からまとめました。
(大学講師をしている)Atlasの経験をふまえて紹介します。
以下では、自分用や、お子さんのために電子辞書を買う方で、「どれを選んで良いか分からない」という方向けに、基本的な選び方をまとめます。
その上で最後に、用途別、年代別にAtlasのおすすめ機種!を提案していきます。
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1・小学生向け電子辞書の比較
2・中学生向け電子辞書の比較
3・高校生向け電子辞書の比較
4・大学生向け電子辞書の比較
5・英語学習向け電子辞書の比較
6・電子辞書の賢い選び方 【まとめ】
なお、今回の記事は、このブログの電子辞書比較シリーズの6回目記事として書きました。
1・「電子辞書選び」のはじめ方
電子辞書は、デンキヤにおかれた最新機種だけで も20機種以上あります。
1・小学生向け
2・中学生向け
3・高校生向け
4・大学生向け
5・英語学習者向け
ただし、用途で分類すると、辞書「大ざっぱ」5つのカテゴリーに区分できます。
これらの製品は、それぞれの学習目的・学習段階にあった国語系辞典・英語系辞典・理社系事典類・参考書が搭載されます。
収録辞書の内容については、上のリンク先の個別記事でかなり細かく紹介しました。今回は、その話題は繰り返さず、コンテンツの特徴について概要を解説します。
1・小学生用の電子辞書
第1に、小学校用の電子辞書です。
児童用の辞書は、中学受験を睨んだ親御さんが買われる場合が多いです。
ただ、さほど市場が広くないため、機種的な選択肢は少なめです。
小学生用の電子辞書を選ぶ場合、重要なのは、英語の辞書の充実度です。
小学生向けのモデルには、小学生用の英語辞書が搭載されます。
三省堂のキッズクラウン英和辞典(カシオ)や、学研のレインボー英和・和英辞典(シャープ)などが代表的です。
その他、発見学習に用いるコンテンツや、中学受験の国語系の出題にも利用できる類語事典類・熟語事典類などが搭載されます。また、「わかる」シリーズなど、人気の学習参考書も教材として入っています。
なお、小学生用は、カシオは(中学兼用設計の上位機を除いて)、小学生用は、中学の段階で必須な、古語辞典や漢和辞典などは省略されます。シャープも、中学生用の入門用学習英語辞書が未搭載です。
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結論的にいえば、いずれにしても6年生が終わった段階で、買い直しになる点は、注意が必要です。
2・中学生用の電子辞書
第2に、中学校用の電子辞書です。
後ほど具体的に紹介しますが、高校受験までに対応できるモデルは、シャープのブレーンと、カシオのエクスワード両方から出ています。
中学生用の電子辞書を選ぶ場合、最も重要なのは、英語系辞典の構成です。
なぜなら、中学生は、授業でニューホライズン英和和英辞典や初級クラウン英和和英辞典のような「入門用の学習英語辞典」を、難関校でも、やはりエースクラウンのような、「中学生向け」の「初級学習英語辞典」を使うからです。
これらの英語辞典は、高校生以上向けの電子辞書には未収録です。
そのため、この年代では、「将来も長く使えるモデル」とせず、中学校向けに特化した、専門の電子辞書を選んでください。
なお、難しいのが中高一貫校の場合です。
ただ、高校生用の電子辞書には「初級学習英語辞典」も収録されない点をふまえれば、中学生用を選び、大学受験が近づく頃に買い換えるのが良いでしょう。
3・大学受験用の電子辞書
第3に、大学受験の電子辞書です。
大学受験用(=高校生モデル)電子辞書は、学生用としては、種類が最も豊富です。
格安を売りにしたエントリーモデルから、英語に特化した難関校向けモデルなど、多くのラインナップがあります。
高校生用の電子辞書を選ぶ場合も、最も利用する英語系辞書の構成に注目するのが、間違いがない方法です。
基本的に、「高校英語辞書の三種の神器」といえるのは、、大修館のジーニアス英和辞典・和英辞典、三省堂のウィズダム英和辞典・和英辞典と、オーレックス英和・和英辞典です。
これらが揃ったモデルならば、用例を「1回の操作で串刺し検索できる」ため、利便性においてかなりのメリット性がります。
一方、私立の難関大学のの受験対策には、大学で利用できるレベルの「一般英和辞典(大辞典)」を補足的に搭載した上位機を選ぶのもありです。
ただ、国立大学のい二次やセンター入試では不要です。
国語系は、高校での学習に使う「中辞典」として、(用例が面白い)新明解国語辞典か、(現代語に強い)明鏡国語辞典のいずれかが入っていればもんでありません。
その上で、分厚い「大辞典」として、大辞林・大辞泉・広辞苑のいずれかを含んでいれば良いでしょう。
なお、大学受験を考える場合、明治大正期の文章に強いのは「広辞苑」です。スーパー大辞林も、分量は同等で、かつ、逐次更新で現代語に強いので捨てたものではないです。
ただ、出題する側は、(伝統的に)広辞苑を参照する率が高いでしょうから、この点で、広辞苑がやや有利です。
このほか、漢和辞典・古語辞典も必要ですが、基本、高校生モデルには搭載されるので、選ぶ際に気にする必要は少ないでしょう。
また、高校生用は、高校用の文法書の構成と受験用の学習教材の豊富さも注目ポイントです。
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なお、大学受験向けの参考書・問題集と、英検にかかわるコンテンツは、高校生モデル以外は、基本未収録です。
したがって、受験生は、大人向けではなく、高校生専用モデルを購入するのが良いです。また、逆に「中学生モデル」だと、「英語学習の三種の神器」が省略されているため、買い換えが必要です。
4・大学生・社会人向けの電子辞書
第4に、大学生・社会人向けの電子辞書です。
大学生向けは、かなり豊富な電子辞書のラインアップがあります。
英語学習に特化した文系モデルや、理系向きの電子辞書などがあります。
大学生用の電子辞書を選ぶ場合、英語辞書の構成に注目しましょう。
大学生の場合、高校で利用する、ジーニアス英和/和英辞典のような上級学習英和・和英辞典(中辞典)では、(一般教養としての英語科目以外は)不十分になります。
とくに、語学専攻や専門英語の講義を受ける場合、分厚い英語の大辞典(一般英和辞典)が必要になります。
そのほか、学習英英辞典や類語辞典(シソーラス)も必要となってきます。
こうした専門的な大辞典・英英辞典は、高校生モデルにはたいがい未搭載なので、進学時に買い直すのは良い選択肢です。
国語系辞書については、(まっとうな)大学生モデルならば、どのモデルも、大辞典(広辞苑・スーパー大辞林・大辞泉)と、中辞典(明鏡・新明解)から各一冊以上付属しているはずです。
ただ、受験勉強に関係しないという意味で、国語系辞書は、電子辞書を選ぶ際の基準になりにくいです。どれかが入っていれば、とりあえず良いでしょう。
一方、あまり注目されないのが、類語辞典類です。
例えば、日本語コロケーション辞典、日本語大シソーラス・角川新類語辞典などです。これらは、レポートや論文において、豊かな日本語表現をしたい場合、たいへん役に立ちます。
同じ「品質」のレポートでも、日本語が洗練されていた方が(たいがい)「点数は高くなる」ので、少なくとも1冊は装備した辞書を選びましょう。
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なお、このほかに、理系向きの電子辞書や、英語以外の語学を強化した電子辞書もあります。これについては、後ほど説明します。
5・英語学習/英会話向けの電子辞書
第5に、英語学習者向けの電子辞書です。
基本的には、リスニング・スピーキングやボキャブラリーの構築を重視した、「TOEICなどの資格のための英語学習機」という位置づけです。
語学学習用の電子辞書を選ぶ場合、どちらかといえば、収録される辞書よりも、TOEIC・TOEFL・英検などの対策となる語学教材の多様性や過去問の充実度を重視するベきです。
また、小型で、通勤通学時にも使いやすい端末を選ぶのもポイントです。
資格試験対策として実践的な学習を考えている方は、このジャンルの電子辞書を選ぶとよいでしょう。
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以上、ここまでは、5つのジャンルに分け、電子辞書の選び方を解説しました。
ここからは、これらの区分を「基本」としたうえで、カシオの「エクスワード」と、シャープの「ブレーン」を「対決」させて、「辞書・コンテンツ構成」「キーボードの打ちやすさ」「画質」「保証」などの面で、優れた機種はどちらか?について、Atlas的の見解を示していきたいと思います。
2・電子辞書に搭載される辞書の比較
「辞書・コンテンツ構成」は、電子辞書を選ぶ場合、最も重要視したい部分です。
1・小学生向け
2・中学生向け
3・高校生向け
4・大学生向け
5・英語学習者向け
詳しい搭載コンテンツの比較は、後ほどじっくりするとして、はじめに、メーカーごとの「一般的な傾向」を簡単に確認しておきましょう。
1・カシオのエクスワード
第1に、カシオのエクスワードです。
このメーカーの電子辞書は、各年代とも、英語辞書が非常に充実します。
大辞典・中辞典系の収録語数の多い辞書を多めに入れています。例えば、高校生用ならば、「大人向け」といえる辞書もあえて載せている印象です。
また、近年は国語系の辞書コンテンツの充実にも熱心です。
例えば、(10年ぶりに)2018年に更新された「広辞苑7版」もすぐに搭載してきました。
学生用モデルについては、理系・社会系の事典類も多めであり、「百科事典的」に使えるモデルが多いです。
2・シャープのブレーン
第2に、シャープのブレーンです。
このメーカーの電子辞書も、英語・国語の語学辞書は充実します。
ただ、カシオに較べると、年代ごとに必要以上に詳しい辞書を加えたり、同じ系統の辞書を複数掲載せず、必要な部分だけ選択的に入れている印象です。
また、国語系の大辞典は「スーパー大辞林」を採用し、全体を通して広辞苑は不採用です。こちらも良い辞書ですが、この部分で、多少ライセンス料を節約している印象があります。
その代わり、TOEIC・英検・大学受験などのための学習教材は、各年代とも、カシオより充実している傾向です。実践的なコンテンツを優先して、採用しています。
学生用モデルについては、理社系を含めて、「ひいて勉強する」事典類よりも、「即効性」のある受験対策本が多いです。
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以上、2社のコンテンツ面での「一般的な傾向」を確認しました。
結論的にいえば、カシオは、学校のような「調べるための辞書重視」(コツコツ勉強する型)、シャープは進学塾のような「実践的な参考書などの重視」(受験のための短期実践型)という傾向があります。
ただ、各年代の電子辞書によっては、この傾向が通用しない部分も多くあります。
例えば、カシオも、高校生のリスニング対策・スピーキング対策については、近年の入試の傾向をふまえて、かなり力を入れています。
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1・小学生向け電子辞書の比較
2・中学生向け電子辞書の比較
3・高校生向け電子辞書の比較
4・大学生向け電子辞書の比較
5・英語学習向け電子辞書の比較
詳しい収録辞書の構成は、このブログの「5本の記事」でかなり詳しく書きました。
目的に応じて、後ほどご確認ください。
3・電子辞書のハード性能の比較
続いて、電子辞書本体のについての説明です。
シャープも、カシオも、「中学生向け」「高校生向け」「英語学習向け」などの電子辞書を多数出しています。しかし、基本的にどのモデルも同じ本体を使っており、中身の辞書コンテンツの種類だけが異なります。
これをふまえて、両メーカーのキーボードの特長と欠点について見ていきましょう。
1・カシオのエクスワード
はじめに、カシオのエクスワードです。
液晶画面は、5.2型タッチパネル(864×480ドット)です。
2019年の改良で、シャープとほぼ並ぶ大画面となりました。
視認性は、いずれの年代のモデルも高く、十分と言えます。
利用されるフォントは、パソコンと同じアウトラインフォントです。
文字を拡大してもぼやけず、視認性は極めて良いです。字体もゴシック系と明朝系を選べます。
ただし、この改良は2019年1月発売モデルからで、2018年までの旧機種は、視認性が多少劣る、ビットマップフォントでした。
キーボードは、シャープに比べても広めで、打ちやすいです。
キー自体も指のかかりが良く、入力を安定させられるバーティカルストローク機構を採用するため、ノートパソコンのように打ちやすいキータッチです。
タッチペンも、利用可能です。
入力方法は、ソフトキーボード式と、手書き文字の認識が選択できます。
認識精度はかなり良く、利用するエンジンの性能は十分です(2018年モデル)。
検索機能については、串刺し検索・あいまい検索・成句/例文検索など、基本的な検索システムにフル対応です。
実際利用する上で、結構重要な部分な部分なので、詳しく解説します。
第1に、「串刺し検索」です。
電子辞書において最も基本的な機能です。こちらは、1つの単語について、複数の辞書の見出しを同時に検索できます。
ただし、検索できるのは見出し語だけで、成句・用例をふくめた例文全体からの串刺し検索は非対応です。
第2に、「あいまい検索」です。
こちらは、文末・文中・末尾など、部分的にスペルが分からない場合、「※」を入れると補えるワイルドカード検索に対応します。
知っておくと、うろ覚えの単語も検索できるため、便利です。なお、これは、PCなどでも使える「わざ」です。
第3に、「成句/例文検索」です。
カシオの場合、「英語辞書」に限ってですが、成句/例文自体を検索することが可能です。英語でも日本語でも対応できるので、英作文に有利です。
例えば「自動車」「運転する」と入れて検索すれば、そのようなフレーズのある英語例文を探し当てることができます。ただし、複数の辞書を一度に串刺しで探すことはできません。
また、英語の場合「get」と「to」を入力して、「get to」など成句(熟語)を簡単に探し出せます。
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結論的にいえば、検索機能においては、最新の電子辞書として、問題ないレベルで高性能と言えます。ブラウザも分かりやすいので、あまり意識しなくても、便利に使えそうです。
バッテリーは、カシオの場合、アルカリ電池を使います。充電式のエネループ・エボルタも可能可能です。
アルカリ電池だと、最大130時間ほど電池が持ちます。なお、電池の重さを考慮に入れても、重さは、シャープと変わらず、軽量(約285g)です。
本体の堅牢性は、エクスワードの「売り」です。
本体各所に、高強度材のサイドビームとアルミ合金パネルを使った堅牢設計を独自に「TAFCOT」と名付けるほどの力の入れようです。
75センチからの落下試験をクリアした上で、閉じた状態での加速、自転車での持ちはこびなどの振動にも強い構造を採用しています。
本体の保証は、1年保証が付きます。
その上で、まさかの事態で液晶が破損してしまった場合などの修理費も「分かりやすく」示しています。
基本的に「定額修理方式」を採用しており、カシオのページで確認が取れます。調査時、大修理は12000円ほど、軽修理は9500円でした。
不足するコンテンツの追加は、カシオの場合は、2020年新モデルから簡単に可能となりました。
なぜなら、2020年モデルから、本体にWi-Fiが搭載され、電子辞書から追加コンテンツが直接購入・インストール・管理可能となったからです。
2019年旧モデルまでは、コンテンツカードを買う形式だったので、かなり手間だったので、利便性の面では大きな進化です。
なお、購入可能なコンテンツは、【こちら】にリストがありますが、直販価格なので、お買得感は乏しいです。
単体で辞書を購入した場合の費用は、とくに英語・国語・社会・理科系の事典類については、かなり割高で、「本体を買い直した方が安いほど」です。
そのため、大学生など、語学の授業用に追加購入したいという場合を除けば、電子辞書は、「進学したら買い換える」のが原則です。
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以上、カシオのエクスワードのハード面とOS面の性能を見てきました。
結論的にいえば、カシオのエクスワードは、ハードや保証面での性能もレベルが高いです。
先述のように、エクスワードは、本体自体はほとんどの機種で同じ作りなので、実際選ぶ場合は、「搭載される辞書の種類だけ重視して選べば良い」といえます。
ただし、一部の高校生用の隠すモデルと小学生向けモデルについては、本体が異なる場合があります。この点は、注意が必要です。
2・シャープのブレーン
つづいて、シャープのブレーンです。カシオと同じ観点で比較していきます。
液晶画面は、5.5型タッチパネル(854×480ドット)です。
カシオと比較して、右側のサイドバーの部分も液晶なので、画面としてはシャープのがやや広めです。
また、シャープの場合、上図の様に、キーボードを収納し手帳(タブレット)形式でも利用できます。タッチペン派の方や、電車などでの利用などに便利です。
搭載されるフォントは、カシオと同じで、美しいアウトラインフォント(美文字なめらかフォント)です。
なお、2018年モデルを含め、シャープは昔からこのフォントですので、旧機種でも美しい文字です。
キーボードは、一方、カシオに比べると、方向キーなどがぎっしり詰まっています。
キーストローク(=押し込む感覚)も浅いので、キーボードの打ちやすさはカシオに負けます。
これは、先述のようにタブレット型(手帳型)に変化するギミックがあるための弊害です。
タッチペンも、利用可能です。
入力方法は、こちらもソフトキーボード式と、手書き文字の認識が選択できます。
手書き認識画面は、カシオと異なり、文字枠がない構造です。
1文字ずつでなく、全部書き終わった後にCPUが検索をはじめるため、検索速度はカシオよりやや遅めです(2018年モデル)。
検索機能については、先ほどカシオで説明した、串刺し検索・あいまい検索・成句/例文検索など基本的な検索にフル対応です。
その上で、シャープの場合、辞書ごとの全文検索に対応します。
先述のように、カシオは、「成句/例文検索」で、「英語辞書に限って」、見出し語だけでなく、例文の検索ができました。
しかし、シャープは、コンテンツ全文検索対応なので、「英語辞典・国語辞典などを含めて」、「例文・用例」と「説明文」の検索が可能です。
全文検索は、さほど多用するものではないですが、(CPUパワーがある)PCベースの辞書に慣れている人は、この機能は「嬉しい」と感じるかもしれません。
なお、2021年モデルからは、「全文検索」「一括検索」の際に、「英・数字・漢字が混在検索」に対応しました。上図の様に「IPS細胞」なども、検索語の工夫せずにヒットします。
また、小中高生用については、「全文検索」を含めて、こうした「高度な検索の仕方」を感覚的に使える、探求検索用インターフェースが加わりました。
学習指導要領改定の「統合的な探究の時間」に対応する形ですが、ものごとの「調べ方を覚える」のは、将来にわたって良い勉強になるため、良い工夫です。
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結論的にいえば、検索機能においては、日本語を含めた全文検索に対応する点で、マイナー語句は「より引っかけやすい」と言えるでしょう。
バッテリーは、スマートフォンのようにリチウムイオン電池が搭載されます。
つまり、コンセントやパソコンからUSBで充電する方式です。
最大120時間の連続使用が可能ですが、電池切れの場合は、付属USBケーブルで、コンセントかパソコンから充電します。フル充電まで5時間ほどかかります。充電量はスマートフォンのように残量がわかります。
なお、【スマホ用USBモバイルバッテリーの比較記事】で紹介したような、モバイル電源からも充電が可能です。
重さは、代表的なハイエンド新機種の場合、シャープは約265g、カシオは約280gですから、ほぼ誤差の範囲です。
本体の堅牢性は、シャープは、衝撃や加圧に強いパワーボディを採用します。
カシオ同様のアルミ合金を試用しており、カシオ同様の75cmからの落下試験をクリアします。
本体の保証は、1年保証が付きます。
ただし、カシオと違って、修理料金は開示していません。とはいえ、そう簡単には壊れるものではないですので、過度の心配は不要でしょう。
不足するコンテンツの追加は、Wi-Fiを搭載しないので、カード形式にはなりますが、同社も可能です。
コンテンツとして、中国語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語・フランス語の辞書などが用意されます。
大学の第2外国語などで学べる科目の追加辞書に限っては、10000円程度から購入できます。
ただし、これらはほとんど、「コンサイス版」の簡略な辞書で、初級外国語レベルですから、この部分はカシオに負けます。
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以上、シャープのブレーンのハード面とOS面の性能を見てきました。
カシオのエクスワードと比較した場合、タブレット型(手帳型)に変形し、使いやすい点と、完全検索ができる点で、特に国語系辞書における検索の網羅性が高度である点が魅力です。
一方、キーボードの打ちやすさはカシオに及ばず、タッチペン入力の速度もやや遅めというのが欠点です。
結論的にいえば、一長一短の部分があるので、どちらが上とは言えません。
ただ、実際的に、ハードやソフト部分では両者の差はほとんどないので、(繰り返しますが)、最新モデルの電子辞書を選ぶ場合、実際選ぶ場合は、「搭載される辞書の種類だけ重視して選べば良い」といえます。
4・中高生などに電子辞書は必要か?
続いて、根本的な「問い」といえる、「電子辞書は必要なの?」という部分について、Atlasの思うことを書いておきます。
1・紙の辞書(本)を買う
2・スマホの辞書アプリを買う
3・PC用の辞書を買う
「電子辞書を買わない」オルタナティブな選択肢としては、以上の3つの選択肢があるでしょう。
第1に、「紙の英語辞書」などを使う方法です。
Atlasは、「辞書を引けること」「それ自体眺めながら勉強をすること」は、重要だと考えています。とくに、学生については、少なくとも現在は、一定の学習的な意味があります。
ただし、それだけ使う場合の、難点もあります。
例えば、即効性に乏しいため「検索時間・勉強時間の浪費になる点」、「逆引き・複合検索」など、電子辞書しかできない機能がある点です。こうした点で、現状はやや「不利」と言えます。
また、現在の電子辞書は、「問題集・参考書」が充実しているため、費用対効果が低いとも一概に言えません。
第2に、「スマホ用の辞書アプリ」で代用する方法です。
こちらについては、必要な辞書だけ買えるので比較的導入費が安くなるというメリットがあります。そのため、1万円程度で「最低限」のシステムを検討している場合には、検討の余地はあります。
ただし、今回紹介した電子辞書に較べると、辞書の網羅性はイマイチです。受験に対応できるレベルまで、電子辞書と同じだけのコンテンツを揃えようと思うと、数倍の費用がかかります。
また、iOSについては全てのメーカーが、Android系でも多くのメーカーが、辞書間の横断検索(串刺し検索)に対応しないなど、難しい部分もあります。
第3に、PC用の辞書を買う方法です。
PC用(Mac用)は、パソコン限定で作業をしている方には相当便利です。
ただ、モバイル性がないほか、「辞書横断的な検索」に完全に対応したい場合、サードパーティのアプリや、プログラムを使う必要があり、やや難易度が高いです。
もちろん「どこでも使える」という利便性も削がれます。
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以上をふまえると、学生の場合はとくに、「電子辞書はあった方が便利」というのがAtlasの意見です。
ただ、学生でも、受験などの目的ではなく「日常的な調べ物」「紙の辞書の補助として1冊欲しいくらい」ならば、学費の削減のため、スマホアプリも「手」ではあります。
その場合、「モノマニア」には、43の辞書アプリを比較した【スマホ用電子辞書アプリの比較記事】があります。興味のある方はご覧ください。
ただし、繰り返しますが、電子辞書は現在「辞書機能を超越した学習機」と化していますので、あったほうが、数倍便利です。
今回の結論
おすすめといえる電子辞書は結論的にこの機種!
というわけで、今回は、ここまでの記事内容の「まとめ」として、ざっくりとした辞書の「選び方」を解説してきました。
最後に、いつものように、目的別、予算別にAtlasのおすすめ機種!について、改めて書いておきます。
第1に、小学生向けにもっともおすすめなのは、
【通常型番】
1・カシオ エクスワード XD-SK2800WE【青】
2・カシオ エクスワード XD-SK2800VP 【桃】
¥22,000 Amazon.co.jp (9/17執筆時)
小学生用英和辞典:1冊
小学生用和英辞典:1冊
中学用英和辞典:2冊
中学用和英辞典:2冊
小学生用国語系辞典:4冊
百科事典: 2巻
【Amazon限定】【おまけでノート付属】
3・カシオ エクスワード XD-SK2805WE 【青】
4・カシオ エクスワード XD-SK2805VP 【桃】
¥(16,400) Amazon.co.jp (9/17執筆時)
小学生用英和辞典:1冊
小学生用和英辞典:1冊
中学用英和辞典:2冊
中学用和英辞典:2冊
小学生用国語系辞典:4冊
百科事典: 2巻
カシオのEX-wordの2800シリーズがおすすめです。
入門用の英語辞書であるキッズクラウン英和辞典・キッズクラウン和英辞典が搭載し、小学生用の辞書の構成が最も充実しているからです。
その他にも、中学受験に利用できる教材や問題集が豊富に網羅されているため、価格分のもとはすぐ取れるでしょう。
なお、収録される辞書コンテンツの詳細など、より詳しくは、さらにリンク先の1番の記事をご覧頂ければと思います。
とくに、すでに小学校6年生ほどで、中学で買い直さずに使い続けたい場合は、「おすすめ」機種が異なります。詳しくは、上記リンクをご覧ください。
第2に、中学生向けにもっともおすすめなのは、
【2023年2月発売】
5・カシオ XD-SX3810WE ホワイト
6・カシオ XD-SX3810GN グリーン
¥35,777 楽天市場 (9/17執筆時)
【2020年発売】
7・エクスワード XD-SX3800WE ホワイト
8・エクスワード XD-SX3800GN グリーン
¥22,800 Amazon.co.jp (9/17執筆時)
中学用英和辞典:3冊
中学用和英辞典:3冊
中級英和辞典:1冊
中級和英辞典:1冊
国語大辞典:大辞泉
中学国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典: 2冊
類語辞典:1冊
百科事典: 3巻
カシオのEX-wordの3800シリーズがおすすめです。
なぜなら、中学の授業でもっとも重要な部分と言える、英語辞書が充実しているからです。
具体的には、東京書籍のニューホライズンの英和・和英辞典と、三省堂のクラウン英和辞典・和英辞典がダブルで採用され、初級の日常会話に強いエースクラウン英和辞典も掲載されます。
参考書類も、受験目的の実用性重視のもの、事典など「調べる力」を付けるもの双方バランス良く配分されます。
なお、2020年旧モデルは、高校生向けのジーニアス英和辞典が新しい6版です。
それ以外の大きな違いはないですから、高校入学で買い直す前提ならば、旧機で良いかと思います
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【2022年型番】(2022.2月発売)
11・シャープ Brain PW-J2-W 【白】
12・シャープ Brain PW-J2-V 【紫】
¥31,496 楽天市場 (9/17執筆時)
中学用英和辞典:1冊
中学用和英辞典:0冊
中級英和辞典:1冊
中級英和辞典:1冊
国語大辞典:大辞林
中学国語辞典: 1冊
漢和・古語辞典: 2冊
類語辞典:
百科事典: 2巻
一方で、シャープは、初級辞書としては学研のジュニア・アンカー英和・和英だけなので、重要な英語辞書の構成がやや弱めです。
しかし、問題集や参考書類がむしろ充実し、タブレット型で、通学時に勉強しやすい側面はあります。通学が長いなどの場合は、むしろこちらが良いでしょう。
また、先述のように「調べる力」を付けやすい探求検索がある部分も、「勉強の基礎」の強化似つながる点で、割と良いポイントです。
なお、収録される辞書の種類など、より詳しくは、上記2番のリンク記事をご覧頂ければと思います。
第3に、高校生向けにもっともおすすめなのは、
【2024年2月発売】
19・シャープ Brain PW-S3-K 【ネイビー】
¥45,302 楽天市場 (9/17執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:3冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典:2冊
百科事典: 1巻
おすすめは、場合分けで、2機種あります。
1台目は、シャープの高校生用モデルのPW-S3シリーズです。
参考書類・問題集、文法書の構成が実践的で、最近の大学受験の傾向を考えて充実させている点を評価しました。
また、タッチペンでタブレットのように使える構造で、スマホ慣れている高校生ほどには使い勝手の部分でも良いと言える点も評価しました。
辞書についても、国語辞典は、現代語に強い大辞林をはじめ、十分な数を揃えています。
英和・和英辞典も、ジーニアス英和・和英辞典に加えて、三省堂のウィズダム英和辞典と、英作文の用例が豊富なオーレックス英和・和英辞典が採用され、「英語学習の三種の神器」といえる辞書は網羅されます。
その上で、ネイティブの語感を掴みやすいコンパスローズ英和辞典が新搭載される部部も良いところです。
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【EX-wordシリーズ】
【2023年2月発売】
8・カシオ XD-SX4920WE 【白】
9・カシオ XD-SX4920BK 【黒】
10・カシオ XD-SX4920GN 【緑】
¥35,800 楽天市場 (9/17執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:2冊
国語大辞典:広辞苑
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:5冊
類語辞典:1冊
百科事典:2巻
もう一方のオススメは、カシオのXD-SR4900です。
とくに、(国立ではなく)難問を出す超難関私立の場合は、こちらが良いです。
英語系については、高校生用の中辞典の「三種の神器」である、ジーニアス・ウィズダム・オーレックスが網羅された上で、リーダーズなどの上級の英語辞典も含むため、難関私大の受験も対応できます。
英語の文法書も、2020年度の学習指導要領改訂に合わせて6冊構成と大幅にパワーアップさせてもいます。
シャープ機に比べて数が少なかった部分ですが、逆転しました。
国語系の辞書も、現代文における明治大正期の文章に強いと言われる「広辞苑」が付属する点が大きいです。
広辞苑は2018年に10年ぶりに更新されたばかりなので、現在的に「スーパーコンテンツ」と言えます。
その上で、例文がおもしろい新明解国語辞典と、現代表現に強い明鏡国語辞典がフォローするので、最も重要な英語・国語において、「ワンランク上」です。
なお、カシオの場合は、2018年の社会系の教科書の改訂に合わせて、2020年新モデルから社会系の参考書も全て新仕様にしています。
これらの機種も、収録される辞書の種類など、より詳しくは、さらにリンク先のこの記事をご覧頂ければと思います。
第3に、大学生が、講義用に選ぶ電子辞書としておすすめなのは、
【2023年発売】
18・カシオ エクスワード XD-SX9810WE
19・カシオ エクスワード XD-SX9810BK
¥41,660 楽天市場 (9/17執筆時)
【2020年発売】
【通常型番】
20・カシオ エクスワード XD-SX9800WE 【白】
21・カシオ エクスワード XD-SX9800BK 【黒】
¥39,700 Amazon.co.jp (9/17執筆時)
専門英語辞典:6冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典: 8冊
国語大辞典:大辞泉
国語辞典:1冊
類語辞典: 1冊
百科事典: 2巻
カシオの大学生・ビジネス向けモデルとなるXD-9800シリーズが良いと思います。
旧機種が残ります。
旧機は、高校生向けのジーニアス英和辞典が5版と1世代前ですが、大学生ならば(まあ)値段で決めて良いかなと思います。
英語系・国語系・百科事典系は、中級辞典から、大辞典まで網羅されており、大学の一般教養のほか、専門語学まで対応できる水準です。
その上で、TOEIC・TOEFLなどの語学教材が豊富なほか、就活に役立つコンテンツも多いです。
また、今年度モデルからはQRコードを使ったネットでの語学学習とのリンクもはじまり、使い勝手が向上しています。ライティング・スピーキング・リスニングにフル対応できる万能機なので、迷った場合はこれが良いと思います。
こちらも2097年モデルと2018年モデルがありますが、コンテンツ部分についてあ、基本辞書の構成が変わらないので、安いほうでも良いでしょう。
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【2022年型番】
1・シャープ Brain PW-B2-K 【黒】
¥33,240 楽天市場 (9/17執筆時)
【2021年型番】
2・シャープ Brain PW-B1-K 【黒】
3・シャープ Brain PW-B1-R 【赤】
¥23,160 楽天市場 (9/17執筆時)
専門英語辞典:4冊
中級英和/和英辞典:0冊
英英辞典: 2冊
国語大辞典:スーパー大辞林
国語辞典:0冊
類語辞典: 2冊
百科事典: 1巻
シャープのBrainから選ぶのならば、こちらのPW-SBシリーズでしょう。
新旧両機種ありますが、漢和辞典(漢字辞典)が学研の漢字源から、大修館の新漢語林に変更された程度の違いです。旧機を選んでもOKです。
英語系の大辞典の多さは、カシオのエクスワードとほぼ互角です。リスニング教材・TOEIC教材なども多くあります。
その上で、価格は安いので、予算的な意味でこちらを選んでも良いですが、高校生までに使う、ジーニアス英和/和英辞典などの中級英語辞典が付属しない点は注意しましょう。
専門英語辞典は、日本語での文法や用法の解説が少ないので、こうしたものを英英辞典で調べられる方に限ってオススメします。
なお、具体的なコンテンツの種類や、大学生向きの機種については、以上のリンク記事を参考になさって頂ければ幸いです。
一方、大学の講義用と言うよりは、ビジネスパーソンなど「TOEIC・TOEFL」の勉強に使いたい場合は、以上の記事をご覧ください。
補足:その他の電子辞書について
というわけで、今回は、電子辞書の記事のまとめでした。最後に「おまけ」です。
今回の一連の紹介で漏れてしまった、多少変わった電子辞書「ナゾル」について、補足的に紹介します。
シャープ(英和モデル) ナゾル BNNZ1E
シャープ(英語モデル) ナゾル BNNZ2E
シャープ (国語モデル) ナゾル BNNZ1J
¥1,940〜 Amazon.co.jp (9/17執筆時)
シャープか発売しているスティックタイプの電子辞書である「ナゾル」です。
こちらは、本体の先にスキャナが装備されており、読み取った単語の意味を液晶表示するという「新しいタイプ」の電子辞書です。英語などの長文読解に「あると便利」だと、誰もが一度は思った夢の製品です。
正確に言えば、スキャナ付きの電子辞書は、だいぶ昔にもありましたので「精度を向上させて復活」した製品です。
ただ、総合的な電子辞書ではありません。英和モデルは、36万語収録のグランドコンサイズ英和辞典のみ、英語モデルは、それに21万語のグランドコンサイズ和英辞典、国語モデルは25.5万語掲載の大辞林のみの搭載です。
こうした点で、どちらかと言えば、「業務の時短のため」に専門家が使う商品です。
しかし、「2台目の電子辞書」としてニーズはあると思います。バッテリーは、アルカリ電池2本で、約900ワードまで検索できます。
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というわけで、今回の記事はこれまでです。
最後になりましたが、もしこの記事がもしお役に立ったようならば、はてなブックマーク・Twitter Facebookなどで話題を共有していただければ嬉しいです。ではでは。