【今回レビューする内容】2023年 大学生・大学院生向けの電子辞書の性能とおすすめ・選び方:文系 理系 理工系 医学系 経済 社系 大学院・一般社会人向け:安い型落ちの入門用モデルから高性能な高級電子辞書まで:搭載辞書の違い
【比較する製品一覧】シャープ ブレイン Brain PW-B2 PW-A2 PW-B1 PW-SB7 PW-AA2 PW-A1 カシオ エクスワードXD-SX8500 D-SR8500 XD-SX9810 XD-SX9800 XD-SXN98WE XD-SXN98BK XD-SX21000 XD-SX20000 XD-SXN200 XD-SX7000 XD-SX9860 XD-SX9850 D-SXN985 中国語 SX7300RD SX7300WE XD-SXN73RD XD-SXN73WEドイツ語 XD-SX7100 D-SXN71 フランス語 XD-SX7200 D-SXN72 XD-SX5700MED XD-SR5700MED XD-Z5700MED XD-SX5900MED XD-SR5900MED XD-Z5900MED
今回のお題
大学での学習に便利な電子辞書のおすすめはどれ?
ども、Atlasです。
今日は、2023年8月現在、最新の大学生用電子辞書の比較です。
大学生向けは、シャープ・カシオの2社からのみの販売です。
ただ、収録される辞書の種類の違いで、文系・理工系・医薬系・語学系など細かく分かれるので、安めの型落ち製品を含めると相当数の製品があります。
そのため収録辞書の中身(品質)まで踏み込みながら、皆さんの目的に適う製品の「賢い選び方」を、今回は解説していくつもりです。
ちなみに、Atlasは(長いこと)大学で学び、また、教えている研究者でもあるので、自身やの利用経験や、教えた学生の利用状況などをふまえて書いています。
1・大学生用の電子辞書の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:文系向け
1-3:語学専攻向け
1-4:理系向け
2・大学生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:医薬系向け
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
記事では、はじめに大学生向け電子辞書の「選び方の基本」を説明します。
その上で、上表のように「学部別」に分けつつ、各社の製品をみていくつもりです。
講義以外にも、翻訳やTOEIC受験生など使える電子辞書もフォローします。
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
専門事典類 ★★★★★
英会話教材 ★★★★★
TOEIC対策 ★★★★★
就活コンテンツ ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
以下では、いつものように各製品を紹介していきます。
そして、最後の「結論」では、上表のようなポイントから、目的別・予算別に、Atlasのおすすめ機種を提案する形式で書いていきます。
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1・小学生向け電子辞書の比較
2・中学生向け電子辞書の比較
3・高校生向け電子辞書の比較
4・大学生向け電子辞書の比較
5・英語学習向け電子辞書の比較
6・電子辞書の賢い選び方【まとめ】
なお、今回の記事は、電子辞書に関する一連の記事の、第4回目の記事となります。
1-1・大学生の電子辞書の選び方の基本
1:文系向け電子辞書
:人文・法・社・経済系学部生
2:語学専攻向け電子辞書
:英語・外国語系学部生
3:理系向け電子辞書
=理工系学部生
4:医系向け電子辞書
=医・歯・薬・看護系学部生
はじめに、大学受験向き電子辞書の「選び方の基本」について書いておきます。
大学生用の場合上表のように「学部別」にコンテンツが最適化されています。
そのためそれに合わせて選ぶのが「正解」です。
ただし、例外と言える部分もあるので、あらかじめ、もう少し詳しく説明しておきます。
第1に、理工系と医学系の学生の場合です。
この場合、あると便利な辞書・事典の種類が文系とは根本的に違います。そのため、基本的には専用を選ぶのが良いでしょう。
ただし、特に英語辞書や参考書について「語学専攻向け電子辞書」でないと収録されない辞書が(けっこう)あります。
そのため、留学対策・TOEIC・TOEFLをはじめとして、英語の勉強で主に利用するならば、「語学専攻向け電子辞書」や「文系向け電子辞書」が良い場合があります。
収録コンテンツの違いは、本編で後ほど詳しく書きます。専門的な辞書が不要そうならば、そちらを検討対象にしてください。
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第2に、語学専攻の学生・その他の大学院生の場合です。
この場合、少し高いのですが、専門特化した「語学専攻向け電子辞書」を選んでください。
一般的な「文系向け電子辞書」でも、大学生のTOEIC対策など実用英語は対応可能です。ただ、英語辞書の数が少なく、専門的な英語の講義で必要とする辞書が未掲載の場合があるからです。
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第3に、それ以外の学部生の場合です。
基本的に「文系向け電子辞書」として今回紹介する製品から、自分の目的に適うモデルを選べばOKです。
例えば、就活に強いモデル、TOEICに強いモデルなど、それぞれ特長があります。
ただし、特に英語と国語の辞書について、大学生向きの辞書が充実せず、学習に支障が出そうな電子辞書はあるので、今回、注意して見ていくつもりです。
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第4に、英語以外の語学に対応したい場合です。
(自分の専門ではない)一般教養科目を含めて、大学の講義用に「英語以外」の外国語に対応したくて、新しい電子辞書をお探しだった方もいると思います。
このうち、「中国語 ・ドイツ語・フランス語」は、カシオから各辞書搭載の電子辞書の販売があります。今回の記事でも詳しく説明しています。
・中国語 ・ドイツ語・フランス語
・スペイン語・ポルトガル語
・フランス語・イタリア語
・韓国語・イタリア語・ロシア語
それ以外も、上表の言語の辞書も、電子辞書からコンテンツを直接買い増すことで利用可能です。
利用できる辞書の種類や、追加方法などは「語学専攻向け電子辞書」の項目で、後ほど詳しく説明しようと思います。
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というわけで、電子辞書の「選び方の基本」を簡単に書きました。
このほかの「おすすめの辞書構成」などの具体的な話は、本編で(飽きるほど)書いていますので、ご安心ください。
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1・大学生用の電子辞書の比較 (1)
1-1:電子辞書の選び方の基本【導入】
1-2:文系向け
1-3:語学専攻向け
1-4:理系向け
2・大学生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:医薬系向け
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
というわけで、学部別のおすすめ辞書の話に入ります。
冒頭で書いたような順番で、各辞書を紹介していきます。
1-2・文系向けの電子辞書
はじめに、「文系」の一般教養科目やリテラシーの授業などに向く電子辞書を紹介します。
「語学専攻」以外の文系の大学生の場合、このカテゴリーの辞書が適当です。TOEICなどの検定対策や、専門的ではない英語科目などならば、このグレードの電子辞書で十分です。
ただし、搭載辞書の違いなどで優劣がありますから、機種ごとに細かく見ていきましょう。
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なお、以下ではAtlasのおすすめポイントを赤字系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【2022年型番】
1・シャープ Brain PW-B2-K 【黒】
¥31,790 楽天市場 (8/25執筆時)
【2021年型番】
2・シャープ Brain PW-B1-K 【黒】
3・シャープ Brain PW-B1-R 【赤】
¥27,690 楽天市場 (8/25執筆時)
【2020年型番】
4・シャープ Brain PW-SB7-K 【黒】
5・シャープ Brain PW-SB7-R 【赤】
¥22,980 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:4冊
中級英和/和英辞典:0冊
英英辞典: 2冊
国語大辞典:スーパー大辞林
国語辞典:0冊
類語辞典: 2冊
百科事典: 1巻
こちらは、シャープのPW-SBシリーズです。
同社には10を超える電子辞書のラインナップがあります。しかし、シャープが「大学生・ビジネスモデル」として売られているのは、本機だけです。
本機は、旧モデルが残っています。
2021年モデルは、新機種とあまり変わりません。
漢和辞典(漢字辞典)が学研の漢字源から、大修館の新漢語林に変更された程度のの違いです。こちらを選んでもOKです。
1・英語学習コンテンツの増加
2・ステップリスニング機能
3・一部問題集のアップデート(1年分)
2020年モデルは、割と大きな変化で、以上の違いがあります。
特に目立つのが、「ステップリスニング」に未対応である点です。
リスニングとスピーキングの練習で、和文を見ながら聴いた後、英語をみて発音し、英文を見ずに練習(シャドーイング)するというという機能です。ただ、対応コンテンツはさほど多くないので、「辞書の利用目当て」で買うならば、2020年機でも良いでしょう。
なお、辞書というのは10年以上のスパンで更新されていくの普通ですから、そうそう陳腐化しません。
学習に支障は出ないため、旧機種はお買得です。
英語系の辞書は、充実します。
第1に、一般英和・和英辞典(大辞典)です。
つまり、書籍版だと重たすぎて持ち運べないサイズの、専門家や語学専攻の方向けの英語辞典です。
この機種の場合、定番のジーニアス英和大辞典と新和英大辞典のほか、リーダーズ英和辞典 第3版・リーダーズ・プラスの4冊が装備されます。
いずれも、大学における専門的な英語学習では必須と言える大辞典も搭載で、収録語数は、学習英和辞典の数倍です。
とくに、ジーニアスについては、10万語以上のネイティブの発音確認(ジーニアス・サウンズ for G5)ができるため、便利です。
そのほか、とりわけ理系・社系の専門用語対策として、200万語専門用語英和和英大辞典も搭載されます。
第2に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
つまり、高校生用の辞書です。
この点で言えば、この電子辞書は、ジーニアス英和辞典・和英辞典を含め一切このグレードを含まない点が注意すべき部分です。
先述のように、この辞書は大辞典は4冊と豊富ですが、大辞典は文法的な解説や用例は少ないです。
そのため、「もはや、学習英和レベルの文法は不要!」と言い切れる語学力のある人以外は、やや不安の残る辞書構成です。
第3に、英英辞典類です。
OXFORD現代英英辞典 第10版
英英辞典は、世界的に有名な「学習英英辞典」3冊のうち、コウビルドを除いたOXFORD現代英英辞典(OALD)・ロングマン現代英英辞典(LDOCE)が収録されています。
「学習英英辞典」とは、英語を母語としない学生のため、辞書の解説につかう単語(語彙)の数を制限したものです。日本で英語を学ぶ大学生には使いやすいでしょう。
レベル的には、ロングマンは簡単(2000語レベル)で、Oxfordは、多少レベルが上(3000語)です。
このほか、英作文に便利な英語版シソーラス ロングマン連語類語辞典が付属します。英作文で同じ言い回しを使い回すのは避けた方が良いので、そういった場合に利用すると便利です。
ちろん、コーパスは新しいに越したことはないものの、学習上、あまり大きな問題ではないでしょう。
第4に、資格学習についてです。
TOEICの資格試験対策については、この機種は、相当コンテンツが充実します。
とくに、単語・熟語などの教材はとにかく多く、実践的です。
ただし、TOEFLは、最低限というレベルで、英検についてはほぼフォローされません。
第5に、英会話学習についてです。
この部分でも、TOEIC対策にかかわる部分のほか、ビジネス英会話の教材も多めです。
その点で言えば、大学生だけでなく、社会人でも使いやすいモデルです。
発音学習(スピーキング)は、2021年新モデルから、発音を録音してチェックできるATR CALLが省略となりました。
ただ、(高校生までならともかく)大学生向けの実践的な英会話としてその機能が有効だったかといえば微妙だったので、特段惜しくはないです。
このほか、主にリスニング学習教材として、NHKラジオ講座の入門ビジネス英語(2017年版)と、基礎英語(2018年版)が収録されています。
ただ、基礎英語は中学向けのコンテンツですし、さほど有用ではないでしょう。
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以上、英語系のコンテンツを紹介しました。
結論的にいえば、英語を専門的に学ぶ外国語学部の、大学の授業でもこれだけあれば当面は十分でしょう。
ただ、「高校の学び直し」が必要な方については、文法的な情報が豊富な、ジーニアス英和辞典などの高校生向きの辞典の未搭載のほか、日本語の文法書の未搭載は、ネックになるでしょう。
そういった意味では、大学生でも「英語ができる」かたにオススメしたい機種です。
国語系の辞書は、バランス的にはイマイチです。
第1に、国語大辞典です。
この機種は、大辞林を搭載し、広辞苑は未搭載です。
両者を比較した場合、大辞林は、(ネット版として毎年更新するので)現代語に強いという特色があります。
受験勉強では、明治の文学に強い広辞苑はあったほうが良いですが、大学生や社会人向けとしては、大辞林も「悪くない」構成です。
第2に、国語中辞典です。
国語中辞典は、高校生も受験につかう「持ち運べるサイズ」で用例が多い辞書です。
しかし、この機種は一冊も搭載しません。
そのほか、古語辞典が未搭載なのは、大学生ならば良いかもしれませんが、漢和辞典(漢字辞典)が、高校生用としても、ベーシックな新漢語林だけです。
第3に、類語辞典類です。
こちらは、レポートなどの執筆に役立つ類語辞典である日本語大シソーラスに加えて、「正確な日本語の組み合わせ」がわかる日本語コロケーション辞典も搭載です。
綺麗な日本語でレポートを書く技術を身につけるには、この2冊は必須といえますので、この部分だけは充実します。
理系や社系の辞書についても、あまり充実していません。
百科事典は、ブリタニカ百科事典がかろうじて搭載される程度です。
本体の使い勝手の部分では、キーボードを収納して、タブレットの用に利用できる点がシャープの「売り」です。
液晶画面も十分に大きく、表示されるフォントもPCと同じアウトラインフォントですから、視認性も良いです。
ただし、キーボードは、タブレット構造を取る弊害で「やや押し込められた感」があり、カシオに比べると手狭です。
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以上、シャープのPW-SBシリーズの紹介でした。
大学生・ビジネス向けの機種として、大学の授業やTOEICの勉強でも十分使えるグレードです。英会話や資格試験対策にも強い機種なので、その用途でも良いでしょう。
ただし、英語が不得意な方で、文法について英英辞典だけは対応は心配な方には、高校レベルの辞書・教材をバッサリと切っている点は注意しましょう。
また、大学用として言えば、国語系・百科事典系コンテンツが多少弱い点も残念です。
【2022年型番】(2022年2月発売)
6・シャープ Brain PW-A2-R【黒】
7・シャープ Brain PW-A2-W【白】
¥29,700 楽天市場 (8/25執筆時)
【2021年型番】(2021年2月発売)
8・シャープ Brain PW-A1-R【赤】
9・シャープ Brain PW-A1-W【白】
¥18,700 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【2020年型番】(2019年秋発売)
10・シャープ Brain PW-AA2-G【緑】
11・シャープ Brain PW-AA2-W【白】
¥20,090 Amazon.co.jp (8/25執筆時
専門英語辞典:0冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典: 0冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 1冊
類語辞典: 1冊
百科事典: 1巻
こちらは、シャープのPW-AAシリーズです。
本機については、大学生の明示がなく「生活・教養モデル」として売られます。ただ、(恐らく値段の安さで)本機を新調して買っている大学生が毎年います。
どうして、それが「まずい」のかを中心に、以下、概略をかいておきます。
なお、新旧機種があります。
2022年機は、国語辞典の「明鏡国語辞典」が2010年からの久しぶりの更新で新しい3版になったほか、漢和辞典が学研の漢字源から、大修館の新漢語林に変更されました。
ただ、値段差はあるため、旧機種を選んでも良いかと思います。2020年機も構成は同じとなります。
まず、国語系の辞書です。
こちらについては、大学生モデルで説明した大辞林・日本語大シソーラスなど重要なところは同じく搭載です。
その上で、大学生モデルで省略されていた国語中辞典として明鏡国語事典 3版が採用されています。
名前通りの「生活・教養モデル」といってよい構成です。
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英語系の辞書は、あまり充実しません。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
高校生・受験生が最も良く使う厚さの辞書です。
本機には、日本で最も有名と言える、ジーニアス英和辞典・ジーニアス和英辞典が搭載です。
このタイプの辞書がない「大学生モデル」よりは一般向きです。
ただ、多くの大学では一般教養レベルまでに通用する辞書です。つまり、大学の専門英語の授業に対応できないでしょう。
さらに言えば、複数の英語辞書を搭載しないので、「串刺し検索」ができない点も不便です。実際この部分では、高校生用の電子辞書より劣ります。
第2に、英英辞典類です。
この部分は注意点で、英英辞典は省略です。
第3に、資格学習についてです。
TOEIC・TOEFLなどの資格試験対策は、ざっくりと省略です。
第4に、英会話学習についてです。
この部分は、もともと想定してない商品です。
2021年~は発音をチェックするATR CALLも省略なので、ほぼ機能なしと言えます。
百科事典系は、最も一般的なブリタニカ百科事典は搭載されます。
歴史系の辞典類、理系の事典類は付属しません。
このほか、家庭の医学や、ブルーガイド わがまま歩き旅行会話 英語(英語・イタリア語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・韓国語・タイ語・ベトナム語など)が搭載されます。
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以上、PW-SAシリーズの紹介でした。
とにかく、大学生には、英語辞書の構成が弱すぎるのが欠点です。専門英語を履修しない大学生としても、正直なところ、高校向けの電子辞書より辞書構成が貧弱です。
名前通りに、本機は「家庭向きの情報源」として、主にお年寄りなどをターゲットにした製品ですので、大学生は、選ぶべきではないでしょう。
【2020年型番】
【通常型番】
12・カシオ エクスワード XD-SX8500DB
13・カシオ エクスワード XD-SX8500BN
14・カシオ エクスワード XD-SX8500PG
¥20,500 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【2019年型番】
15・カシオ エクスワード XD-SR8500GY
16・カシオ エクスワード XD-SR8500PG
17・カシオ エクスワード XD-SR8500MB
¥22,999 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:2冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典: 2冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典:1冊
類語辞典: 1冊
百科事典: 2巻
こちらは、カシオのエクスワード8600シリーズです。
このシリーズは、カシオとしては「大学生向け」ではなく「生活・ビジネスモデル」として売られています。
旧モデルも残りますが、辞書構成は同じですので、値段で決めて良いでしょう。
英語系の辞書は、注意が必要です。
第1に、一般英和・和英辞典(大辞典)です。
こちらは、シャープの上位機種と較べると、ジーニアス英和大辞典が省略されます。
とはいえ、リーダーズ英和辞典とリーダーズプラスという2冊の大辞典が収録されため、構成としては、一見すると、問題なく思います。
しかし、単体の和英大辞典が不採用です。
たしかに、受験時に較べて和英辞典の出番は低いですが、講義での英作文の宿題、英語でメールを書く際などには物足りません。
また、電子辞書は「用例検索」・「串刺し検索」が可能なので、ジャンルの違う辞書の多様性は重要です。
第2に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
高校生向きの辞書ですが、ジーニアス英和・和英辞典が収録です。
シャープは、上位機では高校生にも使え、日本語による文法解説もあるこのレベルの辞書が不採用でした。
その点で言えば、シャープほどは、英語上級者のみを想定していないとも言えます。
第3に、英英辞典類です。
英英辞典は、その構成は弱く、「3強」のなかでは最も簡易といえるロングマン現代英英辞典(LDOCE)のみ収録です。
大学では、複数の辞書をひくことが求められる場合が多く、その用途をこなせません。
一方、200万語専門用語 英和・和英大辞典・経済・ビジネス英語2万語辞典・ビジネス英語 スーパー辞典など、専門特化したサブコンテンツは多いです。
この部分が、「生活・ビジネスモデル」として売られている理由ですね。社会人の方には良さそうな構成です。
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なお、2020年新モデルからは、これらに加えて、大修館のアメリカ英語表現辞典が新しく加わりましたが、旧モデルとの重要な違いはそこに止まります。
第4に、資格学習についてです。
TOEICについては、シャープの英語重視モデルほどではないですが、最低限のコンテンツがあります。
ただ、TOEFLや英検については、想定した作りではないでしょう。
第5に、英会話学習についてです。
こちらについては、NHKのビジネス系英会話・NHK入門ビジネス英語・NHKラジオ英会話などの2017年のコンテンツが、電子辞書用に最適化されて搭載されます。
ただし、文法書なども含めて、本格的に英語を勉強する人のコンテンツより、「英語の学び直し」を目指す社会人に向いたコンテンツが多いです。
そのため、キクタン・キクジュクなど、日本語で書かれた受験用教材も多めに入ります。
国語系辞書は、割と特色があります。
第1に、国語大辞典です。
こちらは、広辞苑(第7版)が搭載です。
2017年に久々に更新された、最新かつ「超高額辞書」ですが、カシオは、早々と搭載しました。大きな見所と言えます。
第2に、国語中辞典です。
こちらは、現代的な用法で定評がある、明鏡国語辞典をしっかり搭載します。広辞苑との役割分担、という意味で、バランスが良いです。
第3に、類語辞典類です。
こちらは、先ほども紹介したる日本語コロケーション辞典が搭載です。
ただ、シャープに比べると、日本語大シソーラスは未搭載なので、綺麗な日本語レポートの作成に役立つ辞書は少ないです。
一方、漢和辞典は、シャープと同じ新漢語林であり、古語辞典は未搭載です。あまり重視していません。
百科事典は、ブリタニカ国際百科事典と「日本大百科全書(ニッポニカ)」をダブルで搭載します。
日本の「二強」ですから、十分です。
このほか、「ビジネスモデル」だけに、会計・監査や不動産などの実務に関する辞典類も収録です。
2020年モデルは、旧機種に較べて、この部分がさらに充実しましたが、多くの大学生にはあまり関係ない部分でしょう。
本体の性能面は、カシオと異なり画面を裏返してタブレット上にはできません。
しかし、その分、キーボードが広く打ちやすいので、一長一短です。
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以上、カシオのエクスワード8600シリーズの紹介でした。
「生活・ビジネスモデル」としては、コンテンツが整理されており、使いやすそうです。一方、大学生の講義用として考える場合、英語辞書コンテンツの偏りは、やや不便に感じるでしょう。
1-3・語学専攻向けの電子辞書
続いて、大学生向け機種の中で、とりわけ、英語学習用のコンテンツが充実した機種を紹介します。
こちらは、大学生でも英語学科の方や、留学を考えている方、または、英語の論文やサマリーを書く大学院生の方におすすめのモデルです。
なお、このグレードの電子辞書はシャープでは販売がなく、「カシオの独壇場」となります。
【2023年発売】
18・カシオ エクスワード XD-SX9810WE
19・カシオ エクスワード XD-SX9810BK
¥47,501 楽天市場 (8/25執筆時)
【2020年発売】
【通常型番】
20・カシオ エクスワード XD-SX9800WE 【白】
21・カシオ エクスワード XD-SX9800BK 【黒】
¥32,600 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【Amazon限定】(付箋などおまけ付)
22・カシオ エクスワード XD-SXN98WE 【白】
23・カシオ エクスワード XD-SXN98BK 【黒】
¥37,000 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:6冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典: 8冊
国語大辞典:大辞泉
国語辞典:1冊
類語辞典: 1冊
百科事典: 2巻
カシオのエクスワード9800シリーズは、大学生向けの「外国語」スタンダードモデルです。「実践的な英語をよりしっかり学びたい」方向けの電子辞書です。
こちらも、旧機種が残ります。
大きな違いは、後述するジーニアス英和辞典が、旧版になる点です。
あとは変わりませんが、(高校用とはいえ)文法事項の解説は厚いので、この部分で新モデルを選ぶのは、大学生ならば「あり」かと思います。
値段は断然旧機種が安いですが。
英語辞書は、かなり充実します。
第1に、一般英和・和英辞典(大辞典)です。
こちらは、大学生の多くが利用する大辞典といえるジーニアス英和大辞典のほかに、専門的なリーダーズ英和辞典とリーダーズプラスが収録されます。
英語系の大辞典の「3強」全てが収録されている点で、「大学生向き」と言って良い電子辞書です。
また、それだけではなく、収録語数の多い、新英和大辞典・新和英大辞典が搭載です。
さらに、「日本最強」のコロケーション辞典である新編英和活用大辞典が搭載されるため、大辞典は全5冊というボリュームです。用例、例文探しに串刺し検索できるため便利です。
これに、専門用語 英和・和英大辞典が加わるため、業務翻訳にも完全に対応できる構成です。
もちろん、大学で学ぶ専門語学のほか、「洋書を読む、仕事で英語を使う、翻訳する」などのビジネス用途にも使える製品です。
そのほか、(作られたのはあまり新しくはないのですが)業務翻訳に便利な200万語専門用語 英和・和英大辞典も搭載されます。
第2に、上級学習英和辞典(中辞典)です。
つまり、高校生用の辞書です。
こちらは、高校生がよく使うジーニアス英和辞典(6版)・和英辞典(3版)が収録です。2023年モデルは、ジーニアス英和辞典が8年降りに改定されて、5版から6版になりました。
コロナ禍以降の新語を含め1000語の追加で、時事英語に対応するようになっています。
すでに学習英和は不要という方を除けば、このグレードの学習英和辞典はジーニアスだけなので、新しいことにはそれなりに「意味はある」と言えます。
実際、こなれた翻訳をしたい場合など、専門家による用例や(日本語による)英文法の詳しい解説が多い、学習英和辞典は有用です。
第3に、英英辞典は、かなり充実します。
「学習英英辞典」、「三強」のうち、コウビルドは省略されますが、ロングマン現代英英辞典(LDOCE)と、オックスフォード現代英英辞典は搭載です。
加えて、シソーラス(類語辞典)については、オックスフォード類語辞典(OTE)のほか、同系列の連語辞典・英英活用辞典・イディオム辞典・句動詞辞典という豪華なラインナップです。
さらに、33万項目レベルの、「英英大辞典」となる、Oxford Dictionary of English(ODE)も採録と、上級者でも問題の無い構成です。
トータルの英英辞典の収録点数は相当多いです。先生に「色々な辞書見ること」を求められる場合も、ある程度対応できるでしょう。
第4に、資格学習についてです。
TOEICについては、下位機種同様に、過去問を含めそれなりに対応できる水準のコンテンツ量です。シャープの大学生モデルよりは、コンテンツが少ないですが、十分です。
TOEFLについても、この機種は問題集が多くはいります。TOEFL対策については、シャープよりコンテンツ構成が良いです。
一方、英語の資格ではないですが、就職活動対策用のSPIの練習問題や、経営用語辞典、金融用語辞典、流通用語辞典、不動産用語辞典、広告用語辞典などもあり、就活で業界研究をしたい大学生向けに作られています。
第5に、英会話学習についてです。
リスニング教材は、NHKラジオ英会話(2018年)、入門ビジネス英語(2017年)、実践ビジネス英語(2017年)が各年分と『絶対「英語の耳になる」』リスニングシリーズが3冊分付属します。
キクタン・キクジュク・キクタンリーディングなど、教材も多いので、飽きずに使えるでしょう。
国語系辞書は、やや省略が多い構成です。
第1に、国語大辞典です。
カシオの「目玉」である広辞苑が不採用で、その代わりにデジタル大辞泉が採用です。
現代語に強いとされますが、辞書のコンテンツ価格的には、スーパー大辞林より安価で、イマイチです。
第2に、国語中辞典です。
中辞典は、こちらも現代語に強い明鏡国語辞典が収録されます。
そのほか、漢和辞典は、新漢語林が、古語辞典は、 全訳古語辞典が搭載です。高校受験用ではないですが、大学の基礎教養に対応できるでしょう。
第3に、類語辞典類です。
また、レポートや論文において綺麗な日本語を書くために重要ですが、こちらは、日本語コロケーション辞典のみ搭載です。
百科事典は、ブリタニカ国際百科事典のほか、日本の百科事典としては三指に入る「日本大百科全書(ニッポニカ)」が付属します。
Wikipediaに頼らない調べ物ができる点は、大学生のレポート作成時などに、かなり便利だと思います。
そのほか、日本史・世界史小辞典が網羅されますが、理系の事典類は付属しません。
本体の性能面は、下位機種と基本的に同じです。
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以上、カシオのエクスワード9800シリーズの紹介でした。
英語に特化した製品は、次に紹介する上位機もあります。ただ、この機種でも、およそ、大学の語学専攻で必要な英語辞書の水準はクリアしていると言えます。
国語系はイマイチではありますが、充実する百科事典類や、TOEIC・TOEFLなどの資格試験対策や、就職やビジネスにも使えそうなコンテンツ構成です。
語学科の方や、大学院に進学を考えている方、留学を目指している方は、とくにオススメです。
【2023年発売】
24・カシオ エクスワード XD-SX21000
¥41,600 楽天市場 (8/25執筆時)
【2020年型番】
【通常モデル】
25・カシオ エクスワード XD-SX20000
¥41,600 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【Amazon限定モデル】(おまけ付)
26・カシオ エクスワード XD-SXN200
¥49,000 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:9冊
中級英和/和英辞典:6冊
英英辞典: 8冊
国語大辞典:広辞苑/日本国語大辞典
国語辞典:2冊
類語辞典: 3冊
百科事典: 2巻
XD-SX21000は、カシオの最上位機です。
同社ではフラッグシップにあたる「プロフェッショナルモデル」となり、最も多くの辞書が搭載されます。
新旧両機種あります。
こちらの場合も、高校生向けのジーニアス英和辞典が旧機は、1つ古い5版になります。ただ、このグレードは、陳腐化しやすい学習教材が(そもそも)ないシリーズです。学習英和も、ジーニアス以外も収録されるため、予算に酔っては旧機種でも良いでしょう。
なお、旧機は、Amazon限定モデルがありますが、不定期でクーポン割引があるほかは、小物類(マスクケース・付箋・ノートほか)のオマケが1点付くだけの違いです。
国語系の辞書は、大学生向きでは最も充実した構成です。
第1に、国語大辞典です。
こちらは、10年ぶりに2018年に登場した、広辞苑第7版が採録されます。日本で最も有名な辞典ですし、あって損はないです。
その上で、より専門的で語彙の多い、日本国語大辞典も搭載です。紙の辞書だと3冊分の収録がある、日本屈指の国語事典です。
第2に、国語中辞典です。
こちらは、下位機種に搭載された明鏡国語辞典に加えて、新明解国語辞典も搭載です。中辞典の「二強」は、高校生モデルだとほとんどの機種に備わりますが、「大人用」だとこのグレードからです。
古語辞典も、旺文社古語辞典と旺文社全訳古語辞典が、漢和辞典も新漢語林が付属します。
第3に、類語辞典類です。
最上位機だけあって、使いやすい角川類語新辞典と、用例の多い日本語大シソーラスが共に搭載です。
日本語コロケーション辞典も付属するので、文句の付けようがないです。
大学生向けではこの機種だけの搭載ですが、論文・レポートに作成に置いて有用でしょう。
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結論的にいえば、国語系の辞書はかなりの充実度です。
下位機種は、国語系が多少弱い部分でしたので、国文系や日本史・東洋史系の大学生は多少高いですが、この機種を選ぶべきでしょう。
英語系の辞書は、さらに充実します。
第1に、一般英和・和英辞典(大辞典)です。
こちらは、下位機種の「外国語モデル」(エクスワード9800シリーズ)に搭載されていた英語大辞典類6種は全て網羅します。
また、自然科学系英和・和英大辞典や専門用語 英和・和英大辞典などの業務翻訳用の辞書も網羅です。
その上で、この機種の場合、小学館のランダムハウス英和大辞典が搭載されているのが非常に大きいです。
辞書の世界ではイギリス系の大辞典が多いのですが、ランダムハウスはアメリカ系の英語辞典であり、収録語数やボキャブラリーなど、語学系の学生には非常に有用です。
少し古いので、いい加減改訂して欲しい部分が大いにあるものの、Atlasも常用している辞典の1つです。
第2に、上級学習英和辞典(中辞典)です。
こちらは、高校生向きのジーニアス・オーレックス・ウィズダムという3種の英和・和英辞典を網羅します。
学習英和辞典は、文法的な解説や用例は、大辞典より詳しいため、完璧を期すためにはあっても損はないでしょう。
家庭教師や資格試験用のグラマーの学習にも有効です。
第3に、英英辞典です。
先ほどび「外国語モデル」と同じ構成に、ロングマン系のロングマン英語アクティベータが追加搭載された構成であり、カシオ系では「最強」です。
もちろん、「英英大辞典」となる、オックスフォード新英英辞典(ODE)も搭載します。
第4に、資格学習についてです。
この部分は、この機種の注意点です。
TOEICを含めて、学習コンテンツ数は少なく、英語特化型のエクスワード9800シリーズに比べても弱いです。
高い辞書類を搭載するために、犠牲となっている部分です。
第5に、英会話学習についてです。
こちらも、資格学習同様に、犠牲とされる部分です。ラジオ講座などのコンテンツを含めて、かなり省略されます。
ロイヤル英文法・表現のための実践ロイヤル英文法など、(会話と言うより大学などのグラマー授業向けの)授業教材は収録です。
百科事典は、ブリタニカ国際百科事典のほか、日本の百科事典としては2強に入る「日本大百科全書(ニッポニカ)」が付属します。
そのほか、理社系のコンテントとして、旺文社と山川出版社双方の日本史・世界史小辞典や、生物・物理・科学事典のほか、マイペディアやビジュアル 大世界史などのサブコンテンツも備えます。
ただし、理化学事典や、理化学英語辞典などの理系の専門辞書は省略されます。
そういった点で、こちらは英語学習用と言うよりも、英語を専門の仕事にする方や、大学院生などに向いた電子辞書なのだと思います。
本体の性能面は、下位機種と同様です。
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以上、カシオの最上位機種の20000シリーズの紹介でした。
昔ながらの意味での「国語事典」「英語辞典」「百科事典」の「超豪華版」です。
学習コンテンツ数が少ないので「大学生向き」とは言いがたいですが、翻訳や研究者などの「プロフェッショナル」に最適化されたモデルです。
【EX-wordシリーズ】
【2020年型番【通常型番】
27・カシオ XD-SX7000 【外国語ベース】
¥33,876 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
28・カシオ XD-SX7300RD 【中国語/赤】
29・カシオ XD-SX7300WE 【中国語/白】
30・カシオ XD-SX7100【ドイツ語】
30・カシオ XD-SX7200【フランス語】
¥37,901〜 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【Amazon限定モデル】(+おまけ)
32・カシオ XD-SXN73RD 【中国語/赤】
33・カシオ XD-SXN73WE 【中国語/白】
34・カシオ XD-SXN71【ドイツ語】
35・カシオ XD-SXN72【フランス語】
¥39,000〜 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:0冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典:1冊
国語大辞典:大辞泉
国語辞典:1冊
類語辞典:
百科事典:2冊
XD-SX7000シリーズは、英語以外の語学学習用の電子辞書として売られている電子辞書です。
基本的に、英語や国語の辞書だけが入った「外国語ベース」を購入し、必要に応じて、外国語辞書の「追加コンテンツ」をあとから購入する形式です。
中国語
中日大辞典・中日辞典
日中辞典・中日辞典
現代漢語大詞典 漢英英漢大詞典
漢英大詞典・英漢大詞典
中国語 新語ビジネス用語辞典
ドイツ語
小学館 独和大辞典 アクセス独和辞典
アクセス和独辞典
オックスフォード ドイツ語辞典
DUDEN独独辞典第6版
フランス語
小学館ロベール仏和大辞典
ロワイヤル仏和中辞典
プチ・ロワイヤル和仏・仏和辞典
オックスフォード フランス語辞典
PETIT ROBERT仏仏辞典
ただし、中国語・ドイツ語・フランス語については、大学生で学ぶ人が多いので、辞書が複数インストールされた状態の製品の購入も可能です。
値段は、結構高い気がします。
しかし、フランス語・ドイツ語・中国語は、どれも、専門的な大辞典クラスの辞書が含まれるため、この販売価格は値段相応だと思います。
ただ、いずれの機種も、当該語学以外の辞書は「貧弱」です。
百科事典こそ、日本大百科事典・ブリタニカ国際百科が付属しますが、英語系の大辞典はジーニアス英和大辞典のみ、英英辞典は、オックスフォード現代英英辞典のみ、国語系は大辞泉と明鏡国語辞典のみです。
そのため、専門にその語学を学ぶわけでなく、例えば、大学の「第二外国語」で「1年間だけちょっと使いたい」程度の辞書ならば、これらの機種の購入は、全く「おすすめ」できません。
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結論的にいえば、「第二外国語」用として「おすすめ」したいのは、エクスワード9800シリーズのような、英語・国語系の辞書コンテンツの充実した電子辞書を買うことです。
その上で、「追加コンテンツ」として、必要な語学辞書を足す方法です。
カシオは、2020年新モデルから、Wi-Fiを本体に内蔵させ、直接辞書コンテンツの追加購入・インストールができるようになりました。
その場合、1言語あたり、1.1万円で辞書セットが追加可能です。追加で購入可能なコンテンツのリストは、【カシオのコンテンツプラスの説明サイト】にあります。
韓国語
朝鮮語辞典 小学館 日韓辞典 Dong-a韓韓辞典
イタリア語
伊和中辞典 和伊中辞典
オックスフォードイタリア語
ロシア語
オジェゴフ露露辞典 オックスフォードロシア語辞典
コンサイス露和・和露辞典
スペイン語
現代スペイン語辞典 和西辞典 小学館 西和中辞典
オックスフォードスペイン語事典
ポルトガル語
現代ポルトガル語辞典 現代日葡辞典
コリンズポルトガル語辞典
なお、カシオの場合、他言語の辞書もインストール可能です。
韓国語・ロシア語ならば、大辞典クラスもあり、充実します。
1-4・理系向けの電子辞書
続いて、理系に特化した電子辞書を紹介します。
理系でも、英語の講義など一般教養系の講義に使えれば十分ならば、上で紹介した文系用の辞書を選んでも問題ありません。
ただし、卒論や論文サマリーなどに英語を求められる場合などは、こうした専門機を選んでも良いでしょう。
【2023年発売】(理系モデル)
36・カシオ エクスワード XD-SX9860
¥44,958 楽天市場 (8/25執筆時)
【2020年発売】
【通常型番】
37・カシオ エクスワード XD-SX9850
¥35,554 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
【Amazon限定モデル】(おまけ付)
37・カシオ エクスワード XD-SXN985
¥37,000 Amazon.co.jp (8/25執筆時)
専門英語辞典:4冊
中級英和/和英辞典:2冊
英英辞典:1冊
国語大辞典:大辞泉
国語辞典:1冊
類語辞典:3冊
百科事典: 2巻
カシオ エクスワード 9850シリーズは、『理系』大学生や、理系の仕事をされている方におすすめの構成になっている辞書です。
新旧両機種あります。
外国語モデルほかと同じで、高校生向けのジーニアス英和辞典が旧版(5版)になります。また、旧機には、なにかしら、文房具・小物類の「おまけ」がつく、Amazonモデルがありますが、性能は変わりません。
先述のように、値段差があるため、この部分の要不要を判断して選んでください。もう、学習英和は「不要」なかたは、もちろん旧機でOKです。
国語系の辞書は、理系のモデルは、文系とは異なる構成です。
第1に、国語大辞典です。
こちらは、デジタル大辞泉が採用されます。先述のように、辞書単価からすると広辞苑やスーパー大辞林に及ばない水準です。
第2に、国語中辞典です。
こちらは、明鏡国語辞典が収録です。また、漢和辞典として新漢語林が搭載です。
大学の一般教養科目をクリアするには十分な水準でしょう。
なお、2018年モデルは、新明解国語辞典も加わっていました。理系モデルとしては、「ややオーバースペック気味かな」と思っていたら、2019年モデルで案の定省略でした。
第3に、類語辞典類です。
こちらは、角川新類語・日本語コロケーション辞典・使い方の分かる類語例解辞典とかなりの充実度です。
理系は、大学生のうちから論文発表の機会があることを反映し、校正のニーズがあるからでしょう。構成としては、文系モデルに負けません。
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結論的にいえば、理系モデルながら、国語は軽視されず、実用性は高いと言えます。
実際、理系でも文章力は重要ですから、この構成には個人的には納得がいきます。
英語辞書は、なかなか充実します。
第1に、一般英和・和英辞典(大辞典)です。
大辞典は、リーダーズ・リーダーズプラス・ジーニアス英和大辞典・新編英和活用辞典です。
さきほどの英語重視モデルに比べると、大辞典は、新英和大辞典・新和英大辞典が省かれる構成ながら、それ以外の4冊の大辞典が網羅されます。
専門辞書は、英語モデルに搭載されていた、専門用語 英和・和英大辞典はこちらも搭載です。
その上で、自然科学系英和大辞典・自然科学系和英大辞典という理系に必須の辞書が網羅されます。
また、英語モデルにはない、理化学英和辞典が搭載されるほか、200万語専門用語 英和・和英大辞典も搭載です。
第2に、上級学習英和辞典(中辞典)です。
「外国語モデル」と同じで、高校生がよく使うジーニアス英和辞典・和英辞典のみの搭載です。
先述のように、2022年に英和辞典が第6版になっています。
第3に、英英辞典です。
英英辞典は、一方で、かなり省略されており、オックスフォード現代英英辞典(OALD)のみの構成です。
第4に、資格学習についてです。
TOEIC・TOEFLについては、文系大学生モデルのエクスワード9800シリーズとほぼ同様な水準で対応します。
こちらも、就職活動対策用のSPIの練習問題や、経営用語辞典、金融用語辞典、流通用語辞典、不動産用語辞典、広告用語辞典などを搭載し、就活などにも使えるような構成です。
第5に、英会話学習についてです。
こちらも、やはりNHKのラジオ講座が採録されるほか、キクタン・キクジュク・キクタンリーディングなど、十分な量です。
百科事典は、「日本大百科全書(ニッポニカ)」とブリタニカ国際大百科と言う構成です。
そのほか、理社系の辞典類として日本史・世界史小辞典のほか、生物・物理・科学事典が網羅されます。
加えて、理系特化モデルであるこちらは、岩波の理化学辞典と、数学解法事典も付属します。
なお、こちらもTOEIC向けの問題集や、SPI対策問題集ほか、経営用語辞典、金融用語辞典、流通用語辞典、不動産用語辞典、広告用語辞典なども付属します。
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以上、カシオ エクスワード 9850シリーズの紹介でした。
理系モデルとして、理化学英和辞典と岩波の理化学辞典が付属しているのが大きな特長です。
国語系・英語系も、理系の論文(日本語・英語)を書くにあたって必要な辞書のバランスが良く、好感が持てる仕様です。
資格の勉強にも使えるため、理系の大学生ならば、このモデルで良いでしょう。
唯一、英英辞典系が弱体化している点が問題ですが、それ以外は弱点らしい弱点はない機種です。
次回につづく
大学生におすすめの電子辞書は結論的にこの機種!
以上、今回は、大学生向けの電子辞書を紹介してきました。
しかし、記事は、もう少しだけ、続きます。
2・大学生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:医薬系向け
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
次回の2回目記事(こちら)では、、今回紹介できなかった、医療系モデルを紹介します。
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
専門事典類 ★★★★★
英会話教材 ★★★★★
TOEIC対策 ★★★★★
就活コンテンツ ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、ここまで紹介した全機種から、最終的な「結論」として、目的別、予算別に「Atlasのおすすめ機種!」を提案していきます。
引き続きよろしくお願いします。
後編記事は→こちら!
最後になりましたが、今回の記事が皆様のお役にたったならば、はてなブックマーク・Twitter Facebookなどで話題を共有していただければ嬉しいです。ではでは。