【今回レビューする内容】2025年 高校生・高校向けの電子辞書の性能・おすすめ・選び方:カシオのエクスワードとシャープのブレーンの違い、英語辞書・国語辞書の構成の違い、学習用コンテンツの違いなど
【比較する製品型番】カシオ EX-word 標準モデル XD-SA4200シリーズ XD-SA4200WE XD-SA4200BK XD-SX4820シリーズ XD-SX4820BK XD-SX4820WE XD-SX4820PK XD-SX4820BU XD-SX4820GN XD-SX482シリーズ XD-SX482BK XD-SX482WE XD-SX482PK XD-SX482BU XD-SX480GN EX-word 高校生 英語・国語強化モデル XD-SA4900シリーズ XD-SA4900WE XD-SA4900BK XD-SA4900BU XD-SA4900PK XD-SX4920シリーズ XD-SX4920WE XD-SX4920BK XD-SX4920GN XD-SXN492シリーズ XD-SXN492WE XD-SXN492BK XD-SXN492GN シャープ Brain PW-S3-K PW-H2
今回のお題
高校の授業や大学受験におすすめな電子辞書はどれ?
ども、Atlasです。
今日は、2025年4月現在、最新の高校生向けの電子辞書の比較です。
主に、辞書コンテンツの質に注目して「大学入試まで対応できるか?」という観点から、記事を書いています。
ちなみに、Atlasは(長いこと)大学で学び、また、教えている研究者でもあるので、自身やの利用経験や、教えた学生の利用状況などをふまえて書いています。
各社の新製品の登場するごと、この記事を定期的に更新しています。
1・高校生用の電子辞書の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:カシオ
1-3:シャープ
2・高校生用の電子辞書の比較 (2)
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
記事では、はじめに高校生向けの辞書の「選び方の基本」を紹介します。
そのあと、上表のような企業順に各社の製品を紹介していきます。
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
理社系事典 ★★★★★
難関校対策 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
参考書の数 ★★★★★
問題集の数 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、記事の結論編では、上表のようなポイントから、「Atlasのオススメ機種」を提案していくつもりです。
よろしくお願いします。
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1・小学生向け電子辞書の比較
2・中学生向け電子辞書の比較
3・高校生向け電子辞書の比較
4・大学生・語学学習者向け電子辞書の比較
なお、回の記事は、このブログの電子辞書比較シリーズの3回目記事として書きました。
補足・カシオの電子辞書事業撤退報道について
なお、本論に入る前に、1点、あらかじめ説明しておくべきことがあります。
カシオは、2025年2月、電子辞書の新規開発の中止を発表しています。(2025年2月14日 日経新聞記事 ほか)
現状では、シャープとカシオの2社のみしか、展開がありません。市場規模の縮小傾向からして、決定に納得感はありつつも、やはり驚きでした。
カシオの場合、ただ、2025年に(かなり久しぶりに)新しい筐体を市場投入しています。
つまり、ハードはもう開発しないが、この筐体で、しばらくは製品供給はするということのようです。
ソフト(=学習・辞書コンテンツ)を、次年度以降更新するかは不明です。
しかし、(ノートPCと同じで)筐体は、そもそも数年間はモデルチェンジなしなものなで、個人的には、ソフト更新は「ありえる」と思っています。
同社は辞書コンテンツの教育市場(タブレット)向け展開は続けるため、そう難しくもないかと思うので。
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結論的にいえば「2025年度」モデルは、でたばかりの新型であり、在学期間中、数年間の利用は問題ない付くにといえます。
今後(2026年度以降)の動向は、来年度に近づいた段階で、わかり次第で補記します。
1-1・高校生用電子辞書の選び方の基本
はじめに、高校生用電子辞書の「選び方の基本」の説明します。
日本で「学生・生徒用」の電子辞書を製造しているのは、シャープとカシオだけです。
注意して欲しいのは、両社は、「中学生」「高校生」「大学生」と、電子辞書を明確に「分けて」売っているということです。
各辞書は、それぞれの年齢に最適な辞典・事典・参考書で構成されています。
したがって、進学時の辞書の買い換えは、「マスト」です。
例えば、「高校生」が、中学時代に買った「中学用」電子辞書をそのまま使う場合、学習に支障がでる懸念があります。
なぜなら「中学生」と「高校生」は利用するべき辞書・事典・問題集が大きく異なるからです。
一方、高校生用として売られる電子辞書ならば「どれも同じ」ではないです。
現行機を大きく分ければ、高校生用は上記3種の展開があります。
収録される辞書の種類や参考書の内容が大きく変わるからです(上表)。
本編記事を先取りする形にはなりますが、「ざっくりした特徴を」以下、簡単に解説しておきます。
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【2025年発売】
・カシオ EX-word XD-SA4200WE
¥46,200 楽天市場 (4/21執筆時)
第1に、カシオの高校用の標準モデルです。
同社の高校生向けの同社の「安いほう」とも言い換えられます。
英語系辞書は、高校で必要な辞書は、しっかりまとまっており問題ないです。
国語系辞書は、ただ少し弱く、構成される辞書が少ないです。
理社系辞典は、一方、かなり充実します。
とくに、社系は、山川系の用語集が全部付きますので。
参考書は、英語の文法書など、しっかりした構成です。
問題集は、ただ、そこまで充実はしません。
暗記科目など、実践的なコンテンツはさほど多くもないです。
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結論的にいえば、この水準でも、日々の授業や大学受験には問題ないです。
ただ、国語系の辞書構成に弱さがあるのと、実践的な問題集が少ないのがネックです。
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【2025年発売】
・カシオ EX-word XD-SA4900WE
¥55,000 楽天市場 (4/21執筆時)
第2に、カシオの英語難関大学対応の上級の電子辞書です。
同社の高校生向けの同社の「高いほう」とも言い換えられます。
英語系・国語系辞書とも、このクラスだと、引き続き大学でも使える水準です。
特に英語辞書は、普通の高校生には「オーバースペック」気味ではありますが、高校生用では、最高水準です。
難関校の問題文の細かい意味まで調べる質の高校生には良い構成です。
問題集も、カシオでもこのクラスならば、だいぶ充実します。
現行機で同社で「持ち歩く学習塾」と言えるのは、このグレードです。
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結論的にいえば、難関校受験用というより、勉強において、細かい部分まで「探究学習」するような、真面目なコツコツ型の学生に向く製品です。
問題集や暗記学習なども充実しますし、高レベルでまとまった製品です。
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【2024年発売】
・シャープ Brain PW-S3-K
¥44,800 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
第3に、シャープの高校生向けの電子辞書です。
同社は、今年は1グレードのみです。
カシオの上位機と、下位機の真ん中ほどの値段、性能です。
総合的には、難関校受験にも使える水準の辞書です。
英語系辞書は、カシオの上位機並みの構成です。
国語系辞書は、ただ、広辞苑がないなど、多少不足はあります。
理社系辞典も、カシオとの大きな差で、特に社系が弱いです。
参考書は、可もなく不可もない、構成と言えます。
問題集は、ただ、かなり充実します。
暗記系を含む即効的な問題集の構成数と質は良いです。
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結論的にいえば、辞書構成において大きな問題がない製品です。
カシオ上位機に比べると「持ち歩く学習塾」という表現に最も近く、受験に直結するようなコンテンツが多いです。
ただ、本編で書くように、システム的に「調べ物学習」に向く要素もあるので、コツコツ型に、向かない機種でもないです。
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第4に、各社の型落ちの電子辞書です。
できるだけ「学用品費を安く」したいならば、値下がりした旧モデルが選択肢になります。
コンテンツは1年程度で古くならないため、(多くの場合)学習に支障は生じません。
しかし、今年は共通テスト(旧センター試験)も新課程に完全移行にしたという特有の事情があります。
そのあたりを含めて、本編で説明します。
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以上、高校生向けの電子辞書の「選び方の基本」の説明でした。
こうした部分をふまえつつ、先ほど書いたようなメーカー順に、各機について説明していきます。
1-2・カシオの高校生モデル
はじめに、カシオの製品からです。
同社の高校生向きのうち、高校生向きの標準モデルと難関校向けのモデルを見ていきます。なお、ほとんどの高校生は標準モデルのほうで大丈夫です。
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なお、以下の記事では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【2024年2月発売】
1・カシオ EX-word XD-SA4200WE【白】
2・カシオ EX-word XD-SA4200BK 【黒】
¥39,170 楽天市場 (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:
国語大辞典:デジタル大辞泉
国語辞典: 1冊
漢和・古語辞典:2冊
類語辞典:1冊
百科事典: 2巻
EXD-SA4200は、カシオのEX-word(エクスワード)シリーズの高校生向の標準モデルです。
形状は、ノートPCを小さくした形状です。
2025年機は、相当久しぶりに、本体デザインの改良がありました。
ショートカットでごちゃごちゃしていた、キーボードが整理され、また、キーとキーの間が離れたアイソレーション式となり、押しやすくなりました。
タッチパネル(タッチペン)で、パネル上で辞書を選べますし、デザイン面も、実用面も良い進化といえます。
液晶は、5.7型で、解像度はWVGA相当のタッチパネルです。
輝度を含めて視認性は十分です。フォントもアウトラインフォントであり、見やすいです。
タッチペンも付属ですので、キーボード入力が苦手な方に場合にも良いでしょう。件数は限定されますが、手書きでも書込もできます。
【Amazon限定】
パナソニック エネループ Pro 4本セット
¥2,160 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
パナソニック エネループ 急速充電器
¥2,806 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
バッテリーは、充電池ではなく、アルカリ電池です(単3電池2本)。
1回130時間ほど保ちます。エネループの上位版(プロ)ならば、充電池の保ちも良いでしょう。充電池でも保ちは110時間です。
保証は、1年間の保証が付属します。
有償修理の場合、大きな破損は12,500円、小さな破損は9.000円で定額修理して貰えます。
定額での修理制度は嬉しいです。もちろん、本体はアルミ合金製で壊れにくい仕様です。
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以下、収録される辞書について、詳しく説明していきます。
英語系の辞書は、使用頻度が高いため、辞書を選ぶ際に最も重要視したい部分です。
英語の辞書と言っても色々あるので、小分けして順番にみていきます。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
中辞典とは、高校の授業で使う厚さの辞書で、高校生には必ず必要なものです。
この機種は、高校で最も採用率の高い、大修館のジーニアス英和辞典・和英辞典が基本辞書として収録されています。
高校生用「上級学習英和辞典」では、最も有名な辞書です。
ジーニアス英和辞典は、2022年11月発表の「ジーニアス英和辞典 第6版」です。
辞書の改定頻度はわりと遅いのですが、8年ぶりの改定でした。
コロナ禍以降の新語を含め1000語の追加で、時事英語に対応するようになりました。
そのほか、この期間に改定があった、学習指導要領をふまえた「重要語のランク」の表示など、結構大きな進化です。この電子辞書を選ぶ場合のポイントと言えます。
同じく、中辞典は、オーレックス英和辞典・和英辞典(第2版新装班)も搭載です。
ジーニアスに較べて、用例が豊富であり、英作文の出題がある難関校に対応できるといえます。
ただ、正確を期して言えば、2024年の秋に紙版は改訂版(第3版)になりましたが、辞書化は、今年は見送られたようです。
また、ウィズダム英和辞典(第4版)・和英辞典(第3版)も搭載です。
2018年登場の現行版です。比較的新しいコーパス(PCで収集した語彙のデータベース)から作成されており、会話文などの問題へ対応力で、定評があります。
つまり、入試の時事英語に強い辞書です。
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結論的にいえば、カシオの電子辞書の場合、ジーニアス・ウィズダム・オーレックスが網羅されている点が、本機の良い部分の1つです。
これらの辞書は「大学受験のための三種の神器」とも言える必須の辞書ですから。
電子辞書は、複数の辞書を一度で「串刺し検索」できるので、複数の中辞典を持つほど、能力が高いと言えます。
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第2に、初級学習英和・和英辞典です。
初級学習辞典とは、収録語彙(語数)を絞って、単語の説明量を増やした初心者向け辞書です。例えば、カタカナでの発音表記もあります。
説明がかみ砕いて書かれるので、中学生から高校1年生頃にかけては、このレベルの辞書があると学習上便利な場合があります。
本製品については、最新のベーシックジーニアス(第2版)が付属です。
問題ありません。
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第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
大辞典とは、とにかく、大きくて分厚い、専門の英語辞書のことです。
本機は、リーダース英和辞典など有名なものを含めて、大辞典は未収録です。
ただ、珍問題を出す傾向の強い一部の超難関私立を受験しないならば不要です。とくに、悪問の出にくい国公立やセンターならば、難関校でも問題なく対応できるでしょう。
第4に、英英辞典です。
ロングマン現代英英辞典 6訂版(LDOCE)が搭載です。
英語を母国語としない日本人などの「学習英和辞典」として「世界の三強」に入る英英辞典です。
収録語数は、英和辞典より多く、解説も簡単な英単語のみで書かれるため、高校生にも分かりやすい英英です。
前年までは、オックスフォード現代英英辞典(第10版)も収録でした。
英英辞典は、高校生レベルではさほどの充実は望まれないため、共通テスト(センター試験)レベルの準備ならば、1つでも問題ないでしょう。
ただ、英語難関校を受験する高校生や留学を目指す方には、2モデルの搭載は魅力的です。
英語辞書を補うコンテンツは、学習文法書として、大修館のジーニアス総合英語(第2版)が搭載されます。
ジーニアス総合英語は、シャープには搭載されない文法書で、カシオ独自です。
電子辞書版は、検索の際、ジーニアス英和辞典と相互的に行き来ができるため、語のニュアンスを知りたい場合に、便利です。
このほか、啓林館のVision Quest 総合英語(3版)とその、難関大対応版となるVision Quest 総合英語 Ultimate 2nd Editionも収録です。
このシリーズは、ジーニアスと合わせて参考書では「三種の聖典」ともいうべきものの一角です。
いずれも、2022年以降の発売で、新課程に対応している世代です。
リスニング・スピーキング教材も、一定程度対応できます。
音声センサーで、文章形式の発音チェックに対応します。
音声解析教材を出すプロンテスト社の提供の「発音トレーニング」(36音素・220例文)で、発音をスコア分析し、矯正する仕組みです。
電子辞書だと、このあたりが限界とは言え、基本部分のチェックには有用です。
なお、EX-wordの場合、「英単語最大20万語ネイティブ発音」として、英語辞書の各単語を調べる際、発音が確認できる仕組みにしています。
英会話コンテンツは、ラジオ英会話を1年分採録している点が強調できます。
加えて、NHKのラジオ講座の基礎英語 (1-3)も1年分採録しますので、基礎的な文法事項の学び直しもできます。
カシオは「Englishトレーニングジム」というアプリで英語参考書をまとめていて、勉強した部分(達成率)にチェックがつく形式ですので、やりがいも出るでしょう。
内容は、2018年放送分(基礎英語は2019年分)です。ただ、教材として言えば、実用性において大きな違いはないでしょう。
そのほか、聞いて単語を覚えるやり方が人気のユメタンが10冊以上収録されます。
単語学習系は、このほか、旺文社の英単語ターゲット(1900)が1冊、システム英単語(5版)が1冊で、こちらも、ネイティブ発音が付属です。
なお、システム英単語は、頻出英単語を頻度順に2000語収録した人気の参考書で、文庫版は受験生のベストセラーの1つです。
英検教材は、過去問は未付属です。
(後から入れる)アフターコンテンツとして、旺文社の2級・準2級・3級のドリルが付く程度です。
この部分を重視したい場合は、あとでみる難関校向モデルけが良いでしょう。
このほか、カシオの場合英語系の辞書について、検索履歴から「検索した回数」が表示されるので、「単語の暗記」のモチベーションアップにつながる工夫も見どころです。
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国語系の辞書も、種類別にみていきます。
第1に、中辞典です。
英語の場合と同じで、高校の授業で日常的にもっとも使う学習用辞書です。
本機は、新しい用語に強い2021年登場の明鏡国語事典(3版)が採用されます。
一方、従来搭載だった、文例が豊富な新明解国語辞典(3版) の搭載は見送られていまっす。若干、見劣りする構成です。
第2に、大辞典です。
大辞典とは、中辞典に載っていないような単語や言葉を調べるための詳しい辞書です。
小学館の大辞泉(2024年更新版)が搭載されます。
大辞泉という(本の)辞書をベースに、新語を追加で毎年加えていくというタイプの辞典です。収録数は31万語以上と多いです。
ただ、日本でもっとも有名で、また、受験においても有用と言える、広辞苑(第7版)が省略なのは少しマイナスです。
広辞苑は、過去の用法にも強いため、明治期・大正期などの小説などが問題として出た場合、重宝する大辞典で、受験対策にはあって無駄にならない辞書ですから。
第3に、漢和辞典・古語辞典です。
古語辞典については、旺文社の全訳古語辞典(第5版)が搭載されます。
定評のある古語辞典で、大学入試の分析をふまえたセレクションと、分かりやすい現代語訳という「実践派」として有名です。漢和辞典は、お馴染みの新漢語林(2版)です。
第4に、類語辞典です。
本機は、類語辞典が未付属です。
語彙を鍛えるために重要ですし、ここは大きな弱点でしょう。
AO入試を含む、小論文対策にあって困らない辞書ですので。
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結論的にいえば、国語辞典は、必要最低限という構成です。
従来から同社のスタンダードモデルはそこまで構成が良くなかったのですが、さらに弱めです。
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社会系の事典は、日本史小辞典・世界史小辞典が付属します。
進学校で採用される、山川出版社の用語集は、政経・地理・公共をふくめて社会系全教科を網羅しています。どれも、新課程対応版です。
これらの用語集には、「用語が各メーカーの教科書に出現する頻度」が書いてあります。いいかえれば、「この用語集に載っている単語ならば受験に出る可能性がある」といえます。
加えて、新指導要領から登場した新しい「歴史総合」も、山川の「山川歴史総合用語解説で、フォローします。
百科事典は、ブリタニカ国際百科事典と小学館の日本大百科全書(ニッポニカ)の2冊が搭載です。
日本における百科事典の「三強」のうち、2つを網羅します。
内容は少し古いのですが、それでも、日本の著名研究者が執筆したこれらの百科事典は、網羅性・専門性が高く、高校生の調べ物(探求学習)にも使えます。
理系科目は、旺文社の数学公式200と、生物辞典・化学事典・地学用語集・物理事典が網羅されます。
新しい共通テスト科目となる「情報1」については、河合出版の高等学校 情報I 重要キーワード736を付けています。
検索機能は、一方、注意点があります。
辞書を引く際、複数の辞書の検索結果を同時表示する串刺し検索や、一部のスペルが分からない場合に利用するあいまい検索(ワイルドカード)はできます。
加えて、見出し語だけでなく、成句・例文を含めて検索できる「成句/例文検索」も対応です。
例えば「自動車」「運転する」と入れて検索すれば、そのようなフレーズのある英語例文を探し当てることができます、英語の場合「get」と「to」を入力して、「get to」など成句(熟語)を簡単に探し出せます。
ただ、カシオの場合成句/例文検索は、英語辞書のみ対応で、国語辞典ほかの辞書の全文検索ができません。この部分は、他の辞書も対応するシャープに負けます。
コンテンツ追加は、対応です。
そのほか、本機には、Wi-Fiが搭載されています。
内蔵メモリも多め(10GB)なので、コンテンツは十分に入ります。
ただ、(ドイツ語など)外国語の追加コンテンツを買う用途に利用するものなので、高校生には、あまり関係ないでしょう。また、一般的に、追加コンテンツは高いです。
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以上、カシオのEXD-SA4200シリーズの紹介でした。
英語辞書は、受験までに一般的に必要な辞書は、最新版が網羅されます。
英語の学習文法書、理系・社系の参考書も、新課程対応の新しいバージョンに更新されており、好印象です。
一方、国語方面のコンテンツは「必要最低限」です。とくに、中辞典が1冊だけというのは、国語科の先生でも納得する方は少ないな気はします。
最終的な「おすすめ」は、記事の最後で改めて考えます。
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【2023年2月発売】
3・カシオ XD-SX4820BK 【黒】
4・カシオ XD-SX4820WE 【白】
5・カシオ XD-SX4820PK 【ピンク】
6・カシオ XD-SX4820BU 【青】
7・カシオ XD-SX4820GN 【緑】
¥32,980 楽天市場 (4/21執筆時)[
【2023年10月発売】(Amazon限定)
8・カシオ XD-SX482BK 特別セット 【黒】
9・カシオ XD-SX482WE 特別セット 【白】
10・カシオ XD-SX480GN 特別セット 【緑】
¥34,800 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:
国語大辞典:デジタル大辞泉
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:2冊
類語辞典:1冊
百科事典: 2巻
なお、通例通り、「1年落ち」の旧製品が残ります。
Amazon限定版は、栞など、ちょっとした「おまけ」が付くだけで同じです。
本体は、新機種と比べる場合、筐体が旧型です。
ボタンが、やや「ごちゃごちゃ」して、ショートカットが多いキーボードです。
とはいえ、慣れれば、「使いにくい」わけではないので、そこまで大きな違いではないです。
語系辞書は、新機種と辞書構成は同じです。
最も使う、ジーニアスも、この世代だとすでに新版でした。
国語系は、逆に充実して居ました。
国語の中辞典に新明解国語辞典 第八版が付属して2冊構成でしたのです。
英語の学習文法書は、旧機だと、5冊構成と充実します。
新機種と比べて多いのは、いいずな書店系の総合英語 Evergreen、総合英語be 4th Editionが追加です。
一方、大修館のジーニアス総合英語が、新課程前の旧版です。カシオの場合、ジーニアスの辞書と相互リンクがある点で、使いやすいためここは残念です。
ただ、ここを除けば、新課程以後の世代に改訂がある文法書( Evergreen)もありますし、まずまず、問題ない構成でしょう。
英語の発音練習、単語学習も、旧機種のが充実します。
アルク系だと、ユメタンだけでなく、難関問題版を含めた、各レベルのキクタン・キクジュク・ユメブンなども10冊付きました。
旺文社の英単語ターゲットも、こちらの方が構成冊数が多く、やはり、充実します。
システム英単語(5版)も引き続きあります。
英検教材も、(1級を含め)過去問を含めて充実していてました。
(英検のライバルと言える)GTECの共在すらありました。英単語ターゲットも3冊で、英会話のスキットトレーニング教材もありました。
こうした部分で、国語系辞書ほか、「持ち歩く学習塾」的な意味では、旧機のがだいぶ良かったといえます。
理社系の用語集(山川系)は、一方、注意点です。
新課程対応の「前の世代」のバージョンだからです。
24年から、共通テスト自体が、新課程に完全移行したことをふまえる場合、この部分は注意を要するといえます。「情報1」のテキストもないです。
この部分は、科目によってはそこまで変わらないとはいえますが、気になる差ではあります。
あとは、目に付く違いはないです。
あえて言えば、追加コンテンツの追加が、内蔵メモリーではなく、マイクロSDカードになるほどです。
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結論的にいえば、先述の文法書(ジーニアス総合英語)のバージョンと、特に「社系」用語集類の新課程対応に「目をつむる」ならば、価格的に本機を選ぶのは「あり」だと思います。
「ちょこっと」した調べ物を別とすれば、電子辞書で、社系のコンテンツを多用することはあまりないでしょうし、文法書も数として充実しますし、ここは妥協して良いかと思います。
物価高ですし、予算を抑えたい場合本機を候補にしても良いでしょう。
【2024年2月発売】
11・カシオ EX-word XD-SA4900WE 【白】
12・カシオ EX-word XD-SA4900BK 【黒】
13・カシオ EX-word XD-SA4900PK 【桃】
¥46,458 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
14・カシオ EX-word XD-SA4900BU 【緑】
¥45,185 楽天市場 (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:2冊
国語大辞典:広辞苑
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:5冊
類語辞典:1冊
百科事典:2巻
XD-SA4900シリーズは、カシオ「エクスワード」の「高校生 英語・国語強化モデル」とです。
ようするに「難関校受験向け」として、英語・国語の辞書をより強化したモデルと考えてください。
本体色は、4色です。
ただし、黒以外は、フロントパネルの色が変わるだけです。
本体性能は、1つ上で見たカシオの標準モデルと同じです。
そのため、以下では、辞書部分で強化された部分の解説を中心に説明していきます。
英語系の辞書は、相当程度充実します。
こちらも種類別に見ていきましょう。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
高校生が最も受験に利用するレベルの辞書ですが、ジーニアス英和・和英、ウィズダム英和・和英、オーレックス英和・和英という欠かせない3つの辞書が網羅されます。
ジーニアス英和辞典は、もちろん、2022年登場の「最新版」です。
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第2に、初級学習英和・和英辞典です。
カシオは、このグレードは未搭載です。
基本的に高校1年生までくらいで便利な辞書ですので、上位機は省略したのだと思います。
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第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
こちらは、標準モデルともっとも異なる部分で、専門的な英語大辞典であるリーダーズ英和辞典とリーダーズプラスが付属します。
用例が少ないので、高校生向きではないです。
ただ、その圧倒的な収録語数は、難関校受験者で、長文読解の「難語」まで調べられる便利さをもちます。大学入学後も使えるでしょう。
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第4に、英英辞典です。
学習英英辞典の「世界3強」を構成する、オックスフォード現代英英辞典(OALD)のほか、ロングマン現代英英辞典(LDOCE)がこちらも収録です。
また、それを補うコンテンツとして、オックスフォード連語辞典・ロングマン英語アクティベータも付属します。
学習文法書は、カシオの標準モデルで説明したジーニアス総合英語を含めた3冊は網羅します。
その上で、いずな書店の3冊(総合英語be 4th Edition・英文法・語法 Vintage 3rd Edition・総合英語 Evergreen)が追加されます。
さらに、難関校の受験には伝統的に人気のある「ロイヤル英文法(改定新版)」が加わります。
「英語強化」という名前にふさわしく同社の下位機種よりだいぶ強化されるといって良いでしょう。この構成ならば、メジャーどころが揃うので、学校で使っているものが1冊ははいるかと思います。
問題集は、アルクの参考書がより充実します。
新ユメタンほか、ユメジュク、キクタン、キクタン英会話、ユメブン系が20冊以上です。
とくに、キクタンは、初級から難関クラスまで網羅です。
スタンダードモデルにもあった駿台のシステム英単語はむろん装備で、旺文社の、ターゲットも、英熟語系を含めて3冊と増えます。
ラジオ講座ほか、スタンダードモデルにあったコンテンツは網羅します。
英検対策は、3級・準2級・2級の過去問が付属です(24年版)。
旺文社の問題集(でる順パス単 5訂版)が、3級〜1級まで網羅です。
GTECの問題集や過去問もあります。
そのほか、TOEFL、TOEICの問題集も多く、留学を考える方も「歯ごたえ」のある構成です。
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結論的に言えば、英語辞書の構成は、高校生モデルの中では「最強クラス」です。
「持ち歩く学習塾」といって良い水準の十分な実力があると言えます。
一部の超難関校の場合、例えば長文問題など、英単語や用法用例の部分で中辞典では手に負えないグレードの単語が出る場合があります。そういった場合に、大辞典の搭載は安心感が高いです。
共通テスト(=旧センター試験)や国公立の入試、普通の難関校の入試では不要ですが、大学に入ってからの授業で使おうと考える場合、英語系大辞典が必要になる可能性があります。
こちらを導入しておけば、買い換えの費用の節約になる面はあるでしょう。
国語系の辞書も充実します。
中辞典は、新明解国語辞典(8版) ・明鏡国語事典(3版)が採用されます。
下位機は、明解が省略でしたが、2冊ですので相互参照できます。
大辞典は、大辞泉の代わりに、広辞苑(7版)が採用されます。
カシオは標準モデルでこちらは省略なので、本機のワンポイントとなります。
第3に、古語辞典と漢和辞典です。
こちらは、漢語林と全訳古語辞典に加えて、標準モデルに未搭載だった旺文社古語辞典(10版)・大修館新全訳古語辞典・三省堂全訳読解古語辞典(5版)が加わります。
そのため、総数5冊で、とくに古語辞典の充実度は相当に高いです。
第4に、類語辞典です。
標準モデル同様に、角川類語新辞典が付属です。
ほか、反対語辞典、カタカナ語辞典など、語彙力を向上させるコンテンツも装備です。
問題集は、漢検(2級、準2級、3級)の問題集や、漢字・古語ターゲット小論文のガイド、
なお、その他のコンテンツ(英語補助コンテンツや理社系のコンテンツ)は、漢検の問題集が充実する程度で、ほかは、先ほど紹介した、下位機種と同じです。
理社系も、ほぼ変わりません。
目に付くのは、高校数学解法事典 第九版がこちらのみ付属で、情報Iのテキストが書略されているほどです。
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以上、カシオのXD-SA4900シリーズの紹介でした。
英語については、大学生用の辞書まで網羅された、難関校対応モデルです。受験生総数の10%以下でしょうが、このレベルを実際必要とする人は確実にいます。
一方、冒頭で見た、今年度のカシオの標準モデルは、例年に比べても国語の辞書構成が弱すぎるのと、英語も含めて「持ち歩く学習塾」と言うほどには、英語の問題集、参考書が充実しない部分があります。
その点をふまえると、英語「超難関校」とまではいかない難関校を受験する可能性がある方で、(単なる辞書の域を超えて)電子辞書を学習の中心に据える場合、カシオでは、本機の方が良いように思います。
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【EX-wordシリーズ】
【2023年2月発売】
15・カシオ XD-SX4920WE 【白】
16・カシオ XD-SX4920BK 【黒】
17・カシオ XD-SX4920GN 【緑】
¥35,800 楽天市場 (4/21執筆時)
【2023年10月発売】(Amazon限定)
18・カシオ XD-SXN492WE 【白】
19・カシオ XD-SXN492BK 【黒】
20・カシオ XD-SXN492GN 【緑】
¥35,820 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:2冊
国語大辞典:広辞苑
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:5冊
類語辞典:1冊
百科事典:2巻
なお、「高校生 英語・国語強化モデル」も、23年旧モデルが残ります。
Amazonモデルも、栞などの「おまけ」が付く以外は同じです。
新機種と比べる場合、上位機は、辞書コンテンツはほぼ同じです。
あえて言えば、旧機は中学生向けののベーシックジーニアスが付属でしたが、まあなくても良いでしょう。
英語の問題集類は旧機も多く、国語系も広辞苑を含めて、新機種と同じ構成です。
ただ、カシオの標準モデルの場合と同じく、英語の文法学習書のうち、ジーニアス総合英語が旧版です。理社系の用語集も、新課程対応の前のバージョンです。
その部分で、違いがあります。
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結論的にいえば、購入目的が、国語辞書、英語辞書の参照利用ならば、値段が安いうちは、値段の安いこちらでOKです。
ただ、新入生用の場合で、ジーニアス総合英語を、学校の副読本で使うような場合は、新機種が良いかなとは思います。そのように言えるのかは、時間が経たないと分からない部分がありますし、心配ならば、新機種を選んでください。
1-3・シャープの高校生モデル
続いて、シャープの高校生向けモデルです。
カシオのライバルです。
従来は、高校生用に複数のモデルがありましたが、最新モデルは、1モデルです。
英語は、カシオの難関校向けモデルに近い仕様ですが、国語は、標準モデルに近い感じの位置です。
順番にみていきます。
【2024年1月発売】
21・シャープ Brain PW-S3-K
¥43,200 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:3冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典: 2冊
百科事典:1巻
PW-H2シリーズは、シャープの高校生用標準モデルです。
同社は「ブレーン」というシリーズ名です。執筆時の最新は、2024年2月発売のこちらです。
2024年からは、電子辞書ではなく「辞書+学習機」というカテゴリで売るようになりました。
形状は、本機は、2in1ノートPCのような形式で、タブレット形状にできます。
ここはカシオにないメリットで、通学電車などでの勉強の際に便利であり、その部分で人気です。
一部の英語単語集や、キクタン、山川出版社の社会系の問題集などについて、本体を縦型にした状態で、暗記ツールとして利用できます。
後述するリスニング学習の「ステップリスニング」と発音学習のATR CALL 5000も縦型表示に対応なので、通学中ほか「隙間時間」の英語学習の幅が拡がります。
紙の問題集に赤いフィルムを被せる感覚で「特定の文字の色を消す」ことができるため、通学時の暗記帳としても便利に使えます。
復習用のホーム画面(Brain Learning)も学習形態ことに感覚的に整理さています。
学生が使いやすいような配慮がなされた機種と言えます。
一方、変形させるギミックがある分、キーボード自体のはややスリムサイズです。カシオと比較すると、「キーを無理に詰め込んだ感」はあります。
液晶は、5.5型で、解像度はWVGのタッチパネルです。
カシオよりわずかに小さめですが、見た目で分かるほどではないです。
輝度を含めて、視認性は十分です。フォントも、カシオと同じアウトラインフォントですから、見やすいです。
こちらもタッチペンが付属し、文字で入力もできます。
その上で、最近はローマ字入力が苦手な学生は多そうなので、タッチタイプのトレーニングソフトが内装されるのは、面白い工夫です。
バッテリーは、内蔵バッテリー式で、USB充電する方式です。
1回の充電で50時間ほど保ちます。
こまめな充電が必要ですが、充電中も利用できる形式です。【スマホ用モバイルバッテリーの比較記事】で、紹介したようなモバイル電源でも利用可能です。
保証は、1年間の保証が付属します。
有償修理の場合、定額修理保証はありません。保証期間以後や、自損の場合、大修理になると結構するので、気をつけて使いましょう。
英語系の辞書は、シャープも最近力を入れています。
こちらも、カシオと同じように種類に分けてみていきます。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
シャープも、カシオ同様に、ジーニアス英和辞典・和英辞典、三省堂のウィズダム英和辞典・和英辞典と、オーレックス英和・和英辞典と、先ほど紹介した「英語受験の三種の神器」が収録されています。
各辞書のバージョンも同じです。
ただ、研究社のコンパスローズ英和辞典が加わるのは見どころです。
書籍版も(再版・改定ではなく)、初版が2018年と新しく作られた辞書です。
新しい試みがなされた「実践的な辞書」といえます。
「イメージ(語の核心)」から「文法(分の骨組み)」を理解させる方向性で、ネイティブの単語の使い方が身につけやすい点で好評です。
受験に必須な辞書ではないですが、英会話学習の方面であって損はないと言えます。
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第2に、初級学習英和・和英辞典です。
あえて言えば、タカナで引ける英和辞典などが付属です。
中学生用のベーシックジーニアス英和辞典(2版)は、未付属です。
英語が少し苦手な高校1年生などは、やや不利です。ある程度「英語のできる学生向き」の製品です。
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第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
こちらは、カシオ同様(上位版)と同じで、専門的な英語大辞典であるリーダーズ英和辞典とリーダーズプラスが付属します。
その上で、大修館の大辞典であるジーニアス英和大辞典 も付属するのが独自です。
カシオに比べても、この部分のコンテンツは充実していると言えます。
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第4に、英英辞典です。
学習英英辞典の「世界3強」を構成する、オックスフォード現代英英辞典(OALD)のほか、ロングマン現代英英辞典(LDOCE)がこちらも収録です。
また、それを補うコンテンツとし、ロングマン連語類語辞典・ロングマン英語アクティベータも付属します。
類語辞典の種類こそ異なりますが、カシオの英語特化モデルとほぼ同等です。
英語辞書を補うコンテンツは、シャープも充実します。
学習文法書は、新課程発表後の出版は、いいずな書店の総合英語 Evergreenと啓林館のVision Quest 総合英語 3rd Editionです。
三省堂のクラウン総合英語 第3版と、いいずな書店の総合英語 be 3rd Editionと英文法・語法 Vintage 3rd Editionは、それ以前の(少し前の)出版年のバージョンです。
(英語ですし)そこまで変わらないでしょうが、大修館のジーニアス総合英語は、ありません。採用率も高く、同社の英語辞書と連動して行来ができる点で便利なので、ここは、すこし負けます。
その代わり、シャープの場合、難関校の受験に昔から定評のある旺文社の「ロイヤル英文法」が収録です。
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結論的にいえば、合計で6冊なので、新旧取り混ぜて言えば、カシオと(まずまず)互角とみて良いかと思います。
リスニング・スピーキング教材は充実します。
アルク系は、カシオも採用していたキクタン、ユメタン、ユメジュクを複数冊、装備です。そのほか『英文法のトリセツ』などの受験参考書系コンテンツも多く、「実践的なコンテンツ」が多いのは、シャープの強みです。
とくに、キクタンは、カシオにない、細かい専門版のキクタンサイエンス(工学編、情報科学編、生命科学編、地球とエネルギー編)まで、細かく網羅します。
他社だと、旺文社の英単語ターゲットが複数冊、駿台のシステム英単語 5訂版、Z会系の速読英単語など、お馴染みのものが網羅です。
その他の本を含めて、「暗記学習系(リピート学習系)」のコンテンツは、シャープは、カシオに比べても充実すると言えます。
とくに、カシオの下位機に比べたら「段違い」に多いです。
英検教材は、ただ、過去問が未掲載です。
その代わり、旺文社の問題集(英検3級 でる順パス単)が、1級から5級まであります。
カシオも採用でしたが、こちらは、総計1万語のでる順パス単が、通常コンテンツとしても、「4択学習」用としても利用できる仕様です。
先述のように、シャープは縦型で通学中に、ちょっと学習できるのが良い部分ですから、ここは進化した言えます。
このほか、英検用のキクタン(英検3級〜2級)も収録です。
TOEFL・TOEICの問題集も、多めです。
もともとシャープは、(コツコツ派というより)受験に即効性がある実践的なコンテンツが多い印象の企業なので、やはり、問題集は多いです。
英会話には、単語・文章形式とも対応するATR CALL 5000が付属です。
発音を録音して、ネイティブの発音に近いか検証して貰うシステムです。
一方、カシオと比べるとラジオ英会話は未収録です。
中学生向きの基礎英語(2018年)1-3の抜粋のみが収録です。
ただ、基礎英語は「ステップリスニング」として、(和訳・文字を消しつつ)3段階表示できる機能が追加されました。
こうした使い方ならば、基礎英語教材も高校生には効果的と思います。す。
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国語辞典系も、順番にみていきます。
第1に、中辞典です。
つまり、高校の授業で日常的に使う学習用辞書です。
カシオ同様に、文例が豊富な新明解国語辞典 と、新しい用語に強い明鏡国語事典(3版)が採用されます。
第2に、大辞典です。
シャープも広辞苑が不採用で、大辞林(2022年5月改訂版)を採用しています。
大辞林(旧名はスーパー大辞林)は紙の辞書と連動せず、毎年内容を更新するため、同じく大辞典の広辞苑と比べた場合、現代語に強いという特色があります。
ただ、明治期・大正期の古めの文学への対応力は、すこし弱いです。また、最終改訂も22年で止まっています。
入試にも出題がありますし、出題者側も、広辞苑をチェックしないことはありえないことをふまえると、高校生用としてこの構成は、多少マイナスの部分はあります。
第3に、漢和辞典・古語辞典です。
カシオ同様に、大修館の新漢語林・全訳古語辞典が搭載されます。
その上で、カシオにない、旺文社標準古語辞典も搭載されるため、辞書の充実度はカシオを少し上回ります。
第4に、類語辞典です。
シャープは、収録語数が多い日本語大シソーラスと日本語コロケーション辞典が採用されます。
入試の形態も多様化していますし、小論文対策となる辞書が複数で構成される点は、この機種の強みだと思います。
そのほか、各年度の「現代用語の基礎知識」カタカナ外来語ABC略語辞典と三省堂 反対語便覧が搭載される部分も、シャープの強みでしょう。
国語系問題集は、旺文社の『漢字ターゲット1700』、『古文単語・熟語ターゲット270』,『漢検ポケットでる順 3級〜2級』などです。
その他の構成を含めて、カシオの上級版とあまり変わりません。
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社会系の事典は、カシオと同じく、日本史小辞典・世界史小辞典が付属します。
ただ、日本史小事典は、カシオと違って2018年の学習指導要領(教科書)改訂以前のバージョンです。
また、受験において極めて重要な扱いをされる、山川の各種用語集が省略です。
カシオにはない、旺文社 日本史事典・世界史事典が付属するのは良い部分にせよ、充実度では負けます。
ただ、日本史・世界史の「年代暗記」を含めた「問題集」が充実するのは「シャープらしい」です。
Z会 入試に出る日本史B・Z会 入試に出る世界史Bや、山川 一問一答 日本史/世界史など、(調べ物と言うより)受験に即効性のあるコンテンツは多めという印象です。
「歴史年代暗記ターゲット」をもとにした「クイズ機能」も、受験用であり、それっぽいです。
理科系・数学系の事典は、物理・生物・化学の各事典・数学解法事典が搭載されています。
ここは、カシオと同じ構成ですが、高校数学公式集などは付属しません。
一方、数学検定の問題集が付属する点は面白いです。
百科事典は、ブリタニカ百科事典(小項目電子辞書 2021年改訂版)1冊だけと少ないです。
検索機能は、一方、シャープはカシオより優秀です。
串刺し・曖昧・成句用例検索ができる上で、カシオが非対応の全文検索ができるからです
全辞書について、見出しだけでなく、本文の文字列が引っかかるので、 「英語辞典・国語辞典などを含めて」、「例文・用例」と「説明文」の検索が可能です。
そのため、検索でヒットする情報は、英語以外は見出し語のみのカシオより多いです。
探究学習モードは、「全文検索」機能を活かしたもので、シャープの見どころです。
専用のインターフェイスで、百科事典を含む辞書の「全文検索」が簡単にできるモードです。
最近は学習指導要領の改訂で「統合的な探究の時間」が高校で新設されています。
高校生にはとっつきやすく、特にあまり「調べる」ということが得意でない方が、辞書をより深く使いこなしていくには良い仕組みといえます。
もっとも役立つだろう「百科事典」は、先述のよう1冊だけですが、(最近まともに日本で更新しているのは)そもそもブリタニカ百科事典だけですし、ここ欠点ではないでしょう。
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以上、シャープのPW-S3の紹介でした。
カシオ機で言えば、上位の難関校モデルに近いコンテンツ構成です。
カシオ機に比べると、特に学習向けの英語コンテンツについて、復習に役立つ実践的な学習コンテンツが多い印象です。カシオより「学習塾」的な方向性が強い機種ですので、受験という意味での即効性はありそうです。
通学中に「ながら学習」をする場合、縦表示できる形状を含めてよさそうに思います。
問題集も、各科目とも充実しており、「学習塾代わり」の利用、あるいは、「実践的な受験対策」という部分では、カシオ以上でしょう。
予備校系の「即戦力的な問題集」は、割と多いですから。
公共交通機関での高校までの通学時間が長い高校生にも、形状を含めて向きそうです。
一方、辞書・辞典類は、英語は十分以上です。ただ、国語系・理社系は、カシオの上位機の構成と比べると充実度において負けるでしょう。
ただ、シャープは、辞書間で「串刺し検索」できる部分に、メリット性があります。「探究学習(発見学習)」により向く側面があるので、突き詰めて調べ物をするような学生でないならば、この部分でも使いやすいのはシャープでしょう。
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【2022年1月発売】
22・シャープ Brain PW-H2-B 【黒】
23・シャープ Brain PW-H2-W 【白】
24・シャープ Brain PW-H2-R 【赤】
25・シャープ Brain PW-H2-K 【ネイビー】
26・シャープ Brain PW-H2-V 【紫】
¥38,900 Amazon.co.jp (4/21執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典: 2冊
百科事典:1巻
なお、シャープは、旧機(2022年機)が一定数残ります。
こちらは、カシオで言えば「難関校受験」モデルというより、「標準モデル」といえるグレードの製品です。
形状は、新機種と同じで、「タブレット型」にできる機種です。
インターフェイスは、ただ、発売年の関係で、旧式です。。
復習などの際に、コンテンツを感覚的に選びにくく、使い勝手が悪いです。
先述の「4択問題」の工夫も24年機からだったので、不採用です。
英語辞書は、中辞典のジーニアス英和が旧版です。
発売年の関係ですが、よく使う辞書だけに、ここは痛いです。
あとの中辞典の構成は同じで、カシオにないコンパスローズ英和辞典も付属します。
そのほか、上級の大辞典類が未付属になり、英英辞典が2冊(ロングマン現代英英辞典 6(LDOCE)とOXFORD現代英英辞典 10(OALD))となるだけです。
この世代だと、英検の過去問も付属するのですが、発売年が古いので、あまり意味はないでしょう。
国語辞典系は、新機種と全く同じ構成です。
したがって、大辞典は、大辞林で、広辞苑が不採用です。
社会系の事典や百科事典の構成も、シャープの高校生用の最新モデルと同じです。
繰り返せば、用語辞典や百科事典がやや弱く、どちらかと言えば、(予備校的な)「即効性」を重視する問題集が多い構成です。
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結論的にいえば、やはり、最も大事な英語辞書の部分で、(辞書の)ジーニアスが旧版であるのが「痛い」です。
予算を重視して、型落ちを選ぶとしても、1年新しく、(辞書の)ジーニアスが現行版である、カシオの型落ちの方が良いように思います。
次回につづく
高校生・大学受験におすすめな電子辞書は結論的にこの機種!
というわけで、今回は、高校生向けの電子辞書の比較の1回目記事でした。
記事はもう少し続きます。
2・高校生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:最終的なおすすめの提案【結論】
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
理社系事典 ★★★★★
難関校対策 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
参考書の数 ★★★★★
問題集の数 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
次回の2回目記事(こちら)では、結論編です。
ここまで紹介した全機種から、予算別・目的別に、Atlasのオススメ機種を最終的に提案します。
引き続きよろしくお願いします。
2回目記事は→こちら!