【今回レビューする内容】2024年 高校の大学受験向け電子辞書の性能とおすすめ・選び方: 中高生・中高一貫校・大学受験用の電子辞書:シャープのブレーン・カシオのエクスワードの収録辞書の違いや性能ランキング:英語難関校対応
【比較する製品型番】カシオ エクスワード XD-SX4820 XD-SX4820BK XD-SX4820WE XD-SX4820PK XD-SX4820BU XD-SX4820GN XD-SX4810 XD-SX4920 XD-SX4920WE XD-SX4920BK XD-SX4920GN XD-SX4910 XD-SV4000 XD-Z4000 XD-SX4200 XD-EZ4000 XD-SXN482 XD-SXN492 シャープ ブレーン PW-S3 PW-S3-K PW-H2 PW-H2-B PW-H2-W PW-H2-R W-H2-K PW-H2-V Brain PW-S2 Brain PW-S2-K PW-S2-W PW-S1
今回のお題
高校の授業や大学受験におすすめな電子辞書はどれ?
ども、Atlasです。
今日は、2024年9月現在、最新の高校生向けの電子辞書の比較です。
10年以上大学で教職科目の講師を担当してきたAtlasの経験をふまえて、「大学入試まで対応できるか?」という観点から、記事を書きました。
高校生用電子辞書は、カシオとシャープが生産しています。
以前は、両社とも毎年「高校生モデル」の新製品を出していました。しかし、少子化や、スマホほか検索方法の多様化で、最近は、両社とも隔年ごと新製品が出るか出ないかという状況です。
そのため、現行品でも、収録されるコンテンツが製品によっては「最新でない」という困った状況が生まれています。
そこで、今回の記事では、収録される辞書の中身(品質)まで踏み込みつつ、現行製品を詳しく見ていきます。未来の「大学入試」までしっかり対応できるかに注目しながら、比較します。
高校生用電子辞書の場合、「格好良い!」「使いやすそう!」などの考えで電子辞書を決めてしまうと、今後の受験勉強に支障が出る場合があります。
なぜなら、高校生用電子辞書は、各社から(値段の異なる)「3グレード」が出ていて、収録される辞書の種類や参考書の内容が大きく変わるからです(上表)。
加えて、少し安い「型落ち旧型モデル」も長期間併売されており、新モデルとは内容が違う場合も多いからです。
1・高校生用の電子辞書の比較 (1)
1-1:選び方の基本の説明【導入】
1-2:カシオ〈受験向け〉
1-3:シャープ〈受験向け〉
2・高校生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:カシオ〈AO入試向け〉
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
そこで、今回の記事は、こうした状況を整理しながら、メーカーごとに比較します。
ただ、カシオ機は、受験用と言うより、普段の授業向けの機種があるので、それだけは別に見るつもりです。
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
理社系事典 ★★★★★
難関校対策 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
参考書の数 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
その上で、記事の結論編(こちら)では、上表のようなポイントから分かるように「Atlasのオススメ機種」もしっかり提案します。
よろしくお願いします。
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1・小学生向け電子辞書の比較
2・中学生向け電子辞書の比較
3・高校生向け電子辞書の比較
4・大学生向け電子辞書の比較
5・英語学習向け電子辞書の比較
6・電子辞書の賢い選び方【まとめ】
今回の記事は、このブログの電子辞書比較シリーズの3回目記事として書きました。
1-1・高校生用電子辞書の選び方の基本
はじめに、高校生用電子辞書の「選び方の基本」から説明します。
日本で「学生・生徒用」の電子辞書を製造しているのは、シャープとカシオだけです。
・中学生向け電子辞書
・高校生向け電子辞書
・大学生向け電子辞書
注意して欲しいのは、両社は、「中学生」「高校生」「大学生」と、電子辞書を明確に「分けて」売っているということです。
各辞書は、それぞれの年齢に最適な辞典・事典・参考書で構成されています。
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したがって、進学時の辞書の買い換えは、「マスト」です。
例えば、「高校生」が、中学時代に買った「中学用」電子辞書をそのまま使う場合、学習に支障がでる懸念があります。
なぜなら「中学生」と「高校生」は利用するべき辞書・事典・問題集が大きく異なるからです。
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「中高生用」という電子辞書は(残念ながら)ありません。
辞書はともかくとして、参考書は古くなると使い物にならない部分がありますし、出版社へのライセンス料の支払いで、結局価格は高くなるので、分けるのが合理的だと思います。
いずれにしても、中学生や中高一貫校の中等部用にお探しの場合は、このブログの別の記事【中学生向け辞書の比較記事】で紹介する電子辞書を、基本的には選んでください。
繰り返しますが、電子辞書は(追加コンテンツの購入が割高なので)、進学時に「買い換える」のが原則です。
1・標準モデル
=国立・私立の一般入試向け
2・難関校受験モデル
=英語の難しい私立大入試向け
3・入門モデル
=普段の授業やAO入試向け
「高校生」向け電子辞書は、冒頭でも少し書いたように、目的別に3種類あると言えます。
重要な部分なので、その違いを順番に説明していきます。
第1に、高校生用のスタンダードな電子辞書です。
受験で言えば、このクラスの電子辞書で、共通テスト(センター試験)・国立二次・私学入試のいずれも対応可能です。
理由は後ほど詳しく書きますが、基本的に大学受験まで「間違いなく使える」といえます。
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第2に、英語難関大学対応の上級の電子辞書です。
こちらは、筆記試験に難問を出す(ごく少数の)難関私学に対応する「特殊な」製品です。
トップクラスの難関国立を狙う方でも、このレベルの辞書は「情報過多」といえ、基本不要です。
ただし、大学の講義でも使える英語系辞書が入るので、英語系の学部に進学希望の方には選んでも良いでしょう。
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第3に、基礎学習用のエントリークラスの電子辞書です。
これは、高校の授業のみ使えればよく、大学受験(大学入学共通テスト)に望まない学生・学校向けの製品と言えます。
なお、電子辞書の製品価格は、出版社からの辞書・参考書のライセンス料が多くの部分を占めます。
基礎学習用は、(高価な辞書を多く収録しないで良いので)わりと値段は安いです。しかし、「やっぱり受験!」となった場合に対応できず、「買い直し」になる可能性があります。
この部分は、注意して選びましょう。
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なお、できるだけ「学用品費を安く」したいならば、値下がりした(前年度の)型落ち品を選ぶのが大きなポイントです。
辞書は1年程度で古くならないため、(多くの場合)学習に支障は生じません。
そのため、今回の記事では型落ち品と新型の違いについても詳しく書いていきます。
では、具体的な辞書の紹介に入ります。先ほど書いたような順番で、メーカーごとに見ていきます。
1-2・カシオの高校生モデル
はじめに、カシオの製品からです。
同社の高校生向きのうち、高校生向きの標準モデルと難関校向けのモデルを見ていきます。
なお、ほとんどの高校生は標準モデルのほうで大丈夫です。
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なお、以下の記事では、Atlasのおすすめポイントを赤系の文字色で、イマイチと思う部分を青字で記していきます。
【EX-wordシリーズ】
【2023年2月発売】
1・カシオ XD-SX4820BK 【黒】
2・カシオ XD-SX4820WE 【白】
3・カシオ XD-SX4820PK 【ピンク】
4・カシオ XD-SX4820BU 【青】
5・カシオ XD-SX4820GN 【緑】
¥31,649 楽天市場 (9/14執筆時)[
【2023年10月発売】(Amazon限定)
5・カシオ XD-SX482BK 特別セット 【黒】
6・カシオ XD-SX482WE 特別セット 【白】
7・カシオ XD-SX482PK 特別セット 【ピンク】
8・カシオ XD-SX482BU 特別セット 【青】
9・カシオ XD-SX480GN 特別セット 【緑】
¥35,907 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:
国語大辞典:デジタル大辞泉
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:2冊
類語辞典:1冊
百科事典: 2巻
XD-SX4820シリーズは、カシオのEX-word(エクスワード)シリーズの高校生向の標準モデルです。2023年発売の本機が、今のところ最新です。
なお、Amazon限定の「特別セット」となるSXN482もあります。実際は同じ商品・コンテンツです。なにかしらのオマケ(付箋・マスク・ノートほか)が時期により付属します。
形状は、ノートPCを小さくした形状です。
後ほどみるシャープは、タブレット形状にできますが、カシオはこの形で利用するのが基本です。問題ないですが、通学中に電車などで利用する場合、やや不利です。
ただ、キーボードは、シャープより大きめで、打ちやすいです。
液晶は、5.7型で、解像度はWVGA相当のタッチパネルです。
輝度を含めて、視認性は十分です。フォントもアウトラインフォントであり、見やすいです。
タッチペンも付属ですので、キーボード入力が苦手な方に場合にも良いでしょう。件数は限定されますが、手書きでも書込もできます。
【Amazon限定】
パナソニック エネループ 4本セット
¥2,180 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
パナソニック エネループ 急速充電器
¥2,708 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
バッテリーは、充電池ではなく、アルカリ電池式です(単3電池2本)。
1回130時間ほど保ちます。繰り返し利用できるエネループ充電池を使うなど工夫すると良いでしょう。その場合も110時間です。
保証は、1年間の保証が付属します。
有償修理の場合、大きな破損は12500円、小さな破損は9000円で定額修理して貰えます。
定額での修理制度は嬉しいです。もちろん、本体はアルミ合金製で壊れにくい仕様です。
続いて、収録コンテンツをみていきます。
英語系の辞書は、使用頻度が高いため、辞書を選ぶ際に最も重要視したい部分です。
英語の辞書と言っても色々あるので、小分けして順番にみていきます。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
中辞典とは、高校の授業で使う厚さの辞書で、高校生には必ず必要なものです。
この機種は、高校で最も採用率の高い、大修館のジーニアス英和辞典・和英辞典が基本辞書として収録されています。
高校生用「上級学習英和辞典」では、最も有名な辞書です。
ジーニアス英和辞典は、2022年11月発表の「ジーニアス英和辞典 第6版」です。
辞書の改定頻度はわりと遅いのですが、実に、8年ぶりの改定を済ませたばかりです。
コロナ禍以降の新語を含め1000語の追加で、時事英語に対応するようになりました。
そのほか、この期間に改定があった、学習指導要領をふまえた「重要語のランク」の表示など、結構大きな進化です。この電子辞書を選ぶ場合のポイントと言えます。
同じく、中辞典としては、オーレックス英和辞典・和英辞典も搭載です。
ジーニアスに較べて、用例が豊富であり、英作文の出題がある難関校に対応できるといえます。
また、ウィズダム英和辞典(第5版)・和英辞典(第3版)も搭載です。
比較的新しいコーパス(PCで収集した語彙のデータベース)から作成されており、会話文などの問題へ対応力で、定評があります。
つまり、入試の時事英語に強い辞書です。
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結論的にいえば、カシオの電子辞書の場合、ジーニアス・ウィズダム・オーレックスが網羅されている点が、本機の良い部分の1つです。
これらの辞書は「大学受験のための三種の神器」とも言える必須の辞書ですから。
電子辞書は、複数の辞書を一度で「串刺し検索」できるので、複数の中辞典を持つほど、能力が高いと言えます。
第2に、初級学習英和・和英辞典です。
初級学習辞典とは、収録語彙(語数)を絞って、単語の説明量を増やした初心者向け辞書です。例えば、カタカナでの発音表記もあります。
説明がかみ砕いて書かれるので、中学生から高校1年生頃にかけては、このレベルの辞書があると学習上便利な場合があります。
本製品については、最新のベーシックジーニアス(第2版)が付属です。問題ありません。
第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
大辞典とは、とにかく、大きくて分厚い、専門の英語辞書のことです。
本機は、リーダース英和辞典など有名なものを含めて、大辞典は未収録です。
ただ、珍問題を出す傾向の強い一部の超難関私立を受験しないならば不要です。とくに、悪問の出にくい国公立やセンターならば、難関校でも問題なく対応できるでしょう。
英英辞典は、ロングマン現代英英辞典 6訂版(LDOCE)とOXFORD現代英英辞典 10版(OALD)という構成です。
英語を母国語としない日本人などの「学習英和辞典」として「世界の三強」に入る英英辞典です。
収録語数は、英和辞典より多く、解説も簡単な英単語のみで書かれるため、高校生にも分かりやすい英英です。
英英辞典は、高校生レベルではさほどの充実は望まれないため、共通テスト(センター試験)レベルの準備ならば、いずれか1つでも問題ないでしょう。
ただ、英語難関校を受験する高校生や留学を目指す方には、2モデルの搭載は魅力的です。
英語辞書を補うコンテンツは、学習文法書として、大修館のジーニアス総合英語が搭載されます。
ジーニアス総合英語は、シャープには搭載されない文法書で、カシオ独自です。
電子辞書版は、検索の際、ジーニアス英和辞典と相互的に行き来ができるため、語のニュアンスを知りたい場合に、便利です。
このほか、いいずな書店の総合英語 Evergreen、啓林館のVision Quest 総合英語も収録です。
ジーニアスと合わせて参考書では「三種の聖典」ともいうべきものです。
このほかいいずな書店の総合英語 be 4th editionと、総合英語 be 3rd Editionも加わりました。
全部で「5冊」です。
多く搭載するは、「考える」ことに重点を置く新テスト(大学入学共通テスト)の傾向に合わせたメーカー側の対策と言えます。
リスニング・スピーキング教材も、本機の充実する部分です。
受験には必須の時代ですから、対策という意味で「高い実力」があります。
本機は、音声センサーで、文章形式の発音チェックに対応します。
対応するコンテンツは、「発音トレーニング」「しゃべって身につく 英会話スキット・トレーニング」掲載の約2000の例文に関してのみですが、基本部分のチェックに有用です。
英会話コンテンツは、ラジオ英会話を1年分採録している点が強調できます。
加えて、NHKのラジオ講座の基礎英語 (1-3)も1年分採録しますので、基礎的な文法事項の学び直しもできます。
カシオは「Englishトレーニングジム」というアプリで英語参考書をまとめていて、勉強した部分(達成率)にチェックがつく形式ですので、やりがいも出るでしょう。
内容は、2018年放送分(基礎英語は2019年分)です。しかし、実用性において大きな違いはないでしょう。
そのほか、絶対『英語の耳』になるシリーズが3冊、聞いて単語を覚えるやり方が人気のキクタン・ユメタン・キクジュクが10冊以上収録されます。
古豪の旺文社の英単語ターゲットも3冊あります。
難関校向けの「キクタン Advanced 6000」と「 キクタンSuper 12000」も収録しています。キクジュクも「Super3600」まで搭載です。
新しい学習指導要領では、学習するべき英単語数が従来より増えたので、その対策も込めて上位版を載せています。
英検教材は、旺文社の予想問題ドリルやでる順パス単を3級か1級まで網羅します。
キクタンの英検対応版もあります。
また、前バージョンまで省略されていた、過去問も2級〜3級にかけて掲載(2022年版)です。過去問は英検でもとても重要ですから、この部分は良い変更だと思います。
カシオの場合、民間英語検定の教材として、福武書店のGTEC用の教材も多いです。
ただ、留学に使うようなTOEIC・TOEFL教材は非搭載で、あくまで高校生向けです。
このほか、カシオの場合英語系の辞書について、検索履歴から「検索した回数」が表示されるので、「単語の暗記」のモチベーションアップにつながる工夫も見どころです。
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国語系の辞書も、種類別にみていきます。
第1に、中辞典です。
英語の場合と同じで、高校の授業で日常的にもっとも使う学習用辞書です。
文例が豊富な新明解国語辞典(8版) と、新しい用語に強い2021年登場の明鏡国語事典(3版)が採用されます。
第2に、大辞典です。
大辞典とは、中辞典に載っていないような単語や言葉を調べるための詳しい辞書です。
小学館のデジタル大辞泉(2版)が搭載されます。
大辞泉という(本の)辞書をベースに、新語を追加で毎年加えていくというタイプの辞典です。収録数は28万語以上と多いです。
ただ、日本でもっとも有名で、また、受験においても有用と言える、広辞苑(第7版)が省略なのは少しマイナスです。
広辞苑は過去の用法にも強いため、明治期・大正期などの小説などが問題として出た場合、重宝する大辞典で、受験対策にはあって無駄にならない辞書ですから。
第3に、漢和辞典・古語辞典です。
古語辞典については、旺文社の全訳古語辞典(第五版)が搭載されます。
定評のある古語辞典で、大学入試の分析をふまえたセレクションと、分かりやすい現代語訳という「実践派」として有名です。漢和辞典は、お馴染みの新漢語林(2版)です。
第4に、類語辞典です。
2020年モデルは、類語辞典としては最も使いやすいと言える「角川類語新辞典」が収録です。
AO入試を含む論文対策にあって困らない辞書です。
結論的にいえば、国語辞典は素晴らしい充実度ですが、古語辞典は、(英語コンテンツの充実度に比して)やや貧弱な構成です。
カシオはここのところ、年々、国語系コンテンツが弱くなっていく印象です。
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社会系の事典は、日本史小辞典・世界史小辞典が付属します。
進学校で採用される、山川出版社の用語集は、政経・地理・現社をふくめて社会系全教科を網羅しています。
これらの用語集には、「用語が各メーカーの教科書に出現する頻度」が書いてあります。いいかえれば、「この用語集に載っている単語ならば受験に出る可能性がある」といえます。
加えて、新指導要領から登場した新しい「歴史総合」も、山川の「山川歴史総合用語解説」を早々と取り入れました。
百科事典は、ブリタニカ国際百科事典と小学館の日本大百科全書(ニッポニカ)の2冊が搭載です。
日本における百科事典の「三強」のうち、2つを網羅します。
内容は少し古いのですが、それでも、日本の著名研究者が執筆したこれらの百科事典は、網羅性・専門性が高く、高校生の調べ物(探求学習)にも使えます。
理系科目は、数学解法事典・生物辞典・化学事典・地学用語集・物理事典が網羅されます。
用語集の数は、十分以上で、学習の補助に役立つでしょう。
サポートコンテンツとしては、高校数学公式集・覚えておくべき 物理公式101なども採録です。
検索機能は、一方、注意点があります。
辞書を引く際、複数の辞書の検索結果を同時表示する串刺し検索や、一部のスペルが分からない場合に利用するあいまい検索(ワイルドカード)はできます。
加えて、見出し語だけでなく、成句・例文を含めて検索できる「成句/例文検索」も対応です。
例えば「自動車」「運転する」と入れて検索すれば、そのようなフレーズのある英語例文を探し当てることができます、英語の場合「get」と「to」を入力して、「get to」など成句(熟語)を簡単に探し出せます。
ただ、カシオの場合、成句/例文検索は、英語辞書のみ対応で、国語辞典ほかの辞書の全文検索ができません。この部分は、他の辞書も対応するシャープに負けます。
そのほか、本機には、Wi-Fiが搭載されています。
ただ、(ドイツ語など)外国語の追加コンテンツを買う用途に利用するものなので、高校生には、あまり関係ないでしょう。また、一般的に、追加コンテンツは高いです。
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以上、カシオのXD-SX4820シリーズの紹介でした。
英語辞書は、受験までに一般的に必要な辞書は、最新版が網羅されます。英語の学習文法書も、しっかりした構成で英語コンテンツの充実度が魅力です。
また、社会系・理科系のコンテンツが多いので、そちらの学習の際、調べ物に使いたい場合も有利でしょう。
一方、国語方面のコンテンツは「必要最低限」である点が、次にみるシャープ機と較べた場合の難点と言えます。じっくりと、比較することが必要でしょう。
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【2022年2月発売】
10・カシオ XD-SX4810
¥29,800 楽天市場 (9/14執筆時)
・カシオ XD-SX4810BK 【黒】
・カシオ XD-SX4810WE 【白】
・カシオ XD-SX4810PK 【ピンク】
・カシオ XD-SX4810BU 【青】
・カシオ XD-SX4810GN 【緑】
カシオには、旧機種が長いこと残る傾向にあります。
2023年モデルとの大きな違いは、先ほど書いた「ジーニアス英和辞典」のバージョンです。和英辞典は同じですが、8年前の第5版になります。
その他は、英語参考書の学習文法書のBeが最新版に更新されたこと、英検の過去問が付属する用になったことが、新旧の違いです。
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結論的にいえば、やはりジーニアス英語辞典が旧版になるのがネックです。
Atlasは毎年、「値段面」で過去モデルを「推す」ことが多いのですが、中級英和辞典の更新はとても大きいです。
時事英語対応の部分を含めて、今年は新機種を推します。
【EX-wordシリーズ】
【2023年2月発売】
11・カシオ XD-SX4920WE 【白】
12・カシオ XD-SX4920BK 【黒】
13・カシオ XD-SX4920GN 【緑】
¥35,800 楽天市場 (9/14執筆時)
【2023年10月発売】(Amazon限定)
14・カシオ XD-SXN492WE 【白】
15・カシオ XD-SXN492BK 【黒】
16・カシオ XD-SXN492GN 【緑】
¥38,590 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:2冊
国語大辞典:広辞苑
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:5冊
類語辞典:1冊
百科事典:2巻
XD-SX4920シリーズは、カシオ「エクスワード」の「難関大学対応」の高校生向けモデルです。
こちらも、Amazon限定モデルがありますが、性能は同じで、付箋などの「オマケ」が付く以外は同じです。
本体性能は、1つ上で見たカシオの標準モデルと同じです。
こちらは標準モデルをベースに英語・国語の辞書をより強化したモデルと考えてください。
そのため、以下では、強化された部分の解説を中心に説明していきます。
英語系の辞書は、相当程度充実します。
こちらも種類別に見ていきましょう。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
高校生が最も受験に利用するレベルの辞書ですが、ジーニアス英和・和英、ウィズダム英和・和英、オーレックス英和・和英という欠かせない3つの辞書が網羅されます。
ジーニアス英和辞典は、もちろん、2022年登場の「最新版」です。
第2に、初級学習英和・和英辞典です。
標準モデルと同じでベーシックジーニアス英和辞典(2版)です。
基本的に高校1年生までくらいで便利な辞書ですが、需要があるとの判断でしょう。
第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
こちらは、標準モデルともっとも異なる部分で、専門的な英語大辞典であるリーダーズ英和辞典とリーダーズプラスが付属します。
用例が少ないので、高校生向きではないです。
ただ、その圧倒的な収録語数は、難関校受験者で、長文読解の「難語」まで調べられる便利さをもちます。大学入学後も使えるでしょう。
英英辞典は、学習英英辞典の「世界3強」を構成する、オックスフォード現代英英辞典(OALD)のほか、ロングマン現代英英辞典(LDOCE)がこちらも収録です。
また、それを補うコンテンツとして、オックスフォード連語辞典・ロングマン英語アクティベータも付属します。
学習文法書は、カシオの標準モデルで説明したジーニアス総合英語を含めた6冊は網羅します。
その上で、難関校の受験には必携の「ロイヤル英文法(改定新版)」が加わります。この部分も、同社の下位機種より強化されたといって良いでしょう。
問題集は、単語学習に人気の英熟語ターゲットが追加搭載されています。
その上で、『キクタン』シリーズや『英単語ターゲット』ほか、駿台のシステム英単語も収録となるので、やはりこの部分も強化されています。
英検対策は、こちらも3級・準2級・2級の過去問ほか、各種問題集が掲載です。
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結論的に言えば、英語辞書の構成は、高校生モデルの中では「最強」です。
十分な実力があると言えます。
一部の超難関校の場合、例えば長文問題など、英単語や用法用例の部分で中辞典では手に負えないグレードの単語が出る場合があります。そういった場合に、大辞典の搭載は安心感が高いです。
共通テスト(センター試験)や国公立の入試、普通の難関校の入試では不要ですが、大学に入ってからの授業で使おうと考える場合、英語系大辞典が必要になる可能性があります。
こちらを導入しておけば、買い換えの費用の節約になる面はあるでしょう。
国語系の辞書も充実します。
第1に、中辞典は、新明解国語辞典 ・明鏡国語事典(2版)が採用されます。
この部分は、標準モデルと同じで、明鏡はやはり、新しい3版ではないです。
第2に、大辞典は、しかし、広辞苑(7版)が採用されます。
カシオは標準モデルでは省略なので、本機のワンポイントとなります。
そのこともあり、過去は「英語強化モデル」だったこのグレードは「 英語・国語強化モデル」と名前を替えました。
第3に、古語辞典と漢和辞典です。
こちらは、漢語林と全訳古語辞典に加えて、カシオの標準モデルに未搭載だった旺文社古語辞典(10版)・大修館新全訳古語辞典・三省堂全訳読解古語辞典(5版)が加わります。
そのため、総数5冊で、とくに古語辞典の充実度は相当に高いです。
第4に、類語辞典です。
標準モデル同様に、角川類語新辞典が付属です。
なお、その他のコンテンツ(英語補助コンテンツや理社系のコンテンツ)は、漢検の問題集が充実する程度で、ほかは、先ほど紹介した、下位機種と同じです。
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以上、カシオのXD-SX4910の紹介でした。
英語については、大学生用の辞書まで網羅された、難関校対応モデルです。
おそらく受験生総数の10%以下でしょうが、このレベルを実際必要とする人は確実にいます。
それ以外にも、高校3年生で購入される方は、「大学以後」で使うことを考えて、これを選んでも損はないでしょう。
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【EX-wordシリーズ】
【2022年2月発売】
17・カシオ XD-SX4910
¥36,317 楽天市場 (9/14執筆時)
カシオ XD-SX4910WE 【白】
カシオ XD-SX4910BK 【黒】
カシオ XD-SX4910GN 【緑】
一方、上位機の場合も、2022年旧モデルが残ります。
旧機種との違いは、冒頭で見た下位機の場合と同じです。やはり、必携のジーニアス英和辞典が8年前のジーニアス英和辞典である点が残念です。
先ほど説明した通り、あとの部分は英検の過去問の部分はそう大きくは変わりません。
ただ、ジーニアス英和辞典の部分だけでも、新機種を選んだ方が良いかと思います。
ジーニアス英和辞典は「三種の神器」といえる英和辞典の中でも教員側が好んでいる場合が多く、先生側もベースにして教える場合が多いですから。
1-3・シャープの高校生モデル
続いて、シャープの高校生向けモデルです。
カシオのライバルで、同社の場合も、高校生向けの標準モデルと、難関校向けモデルがあります。
順番にみていきます。
【2022年1月発売】
18・シャープ Brain PW-H2-B 【黒】
19・シャープ Brain PW-H2-W 【白】
20・シャープ Brain PW-H2-R 【赤】
21・シャープ Brain PW-H2-K 【ネイビー】
22・シャープ Brain PW-H2-V 【紫】
¥27,400 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典: 2冊
百科事典:1巻
PW-H2シリーズは、シャープの高校生用標準モデルです。
同社は「ブレーン」というシリーズ名です。
2022年1月発売のこちらが最新です。
上でみたカシオ機の標準モデルと比べながらみていきます。
形状は、本機は、2in1ノートPCのような形式で、タブレット形状にできます。
ここはカシオにないメリットで、通学電車などでの勉強の際に便利であり、その部分で人気です。
一部の英語単語集や、キクタン、山川出版社の社会系の問題集などについて、本体を縦型にした状態で、暗記ツールとして利用できます。
後述するリスニング学習の「ステップリスニング」と発音学習のATR CALL 5000も縦型表示に対応なので、通学中ほか「隙間時間」の英語学習の幅が拡がります。
紙の問題集に赤いフィルムを被せる感覚で「特定の文字の色を消す」ことができるため、通学時の暗記帳としても便利に使えます。
一方、変形させるギミックがある分、キーボード自体のはややスリムサイズです。カシオと比較すると、「キーを無理に詰め込んだ感」はあります。
液晶は、5.5型で、解像度はWVGのタッチパネルです。
カシオよりわずかに小さめですが、見た目で分かるほどではないです。
輝度を含めて、視認性は十分です。フォントも、カシオと同じアウトラインフォントですから、見やすいです。
こちらもタッチペンが付属し、文字で入力もできます。
その上で、最近はローマ字入力が苦手な学生は多そうなので、タッチタイプのトレーニングソフトが内装されるのは、面白い工夫です。
バッテリーは、シャープの場合は、内蔵バッテリー式で、USB充電する方式です。
1回の充電で50時間ほど保ちます。
こまめな充電が必要ですが、充電中も利用できる形式です。【スマホ用モバイルバッテリーの比較記事】で、紹介したようなモバイル電源でも利用可能です。
保証は、1年間の保証が付属します。
有償修理の場合、定額修理保証はありません。保証期間以後や、自損の場合、大修理になると結構するので、気をつけて使いましょう。
英語系の辞書は、シャープも最近力を入れています。
こちらも、カシオと同じように種類に分けてみていきます。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
シャープも、カシオ同様に、ジーニアス英和辞典・和英辞典、三省堂のウィズダム英和辞典・和英辞典と、オーレックス英和・和英辞典と、先ほど紹介した「英語受験の三種の神器」が収録されています。
ただ、ジーニアス英語辞典は、旧バージョンの5版です。
カシオは、標準モデルで最新版に更新されたので、この部分は残念です。
ただ、研究社のコンパスローズ英和辞典が加わるのは見どころです。
書籍版も(再版・改定ではなく)、初版が2018年と新しく作られた辞書です。
新しい試みがなされた「実践的な辞書」といえます。
「イメージ(語の核心)」から「文法(分の骨組み)」を理解させる方向性で、ネイティブの単語の使い方が身につけやすい点で好評です。
受験に必須な辞書ではないですが、英会話学習の方面であって損はないと言えます。
第2に、初級学習英和・和英辞典です。
ベーシックジーニアス英和辞典(2版)・カタカナで引ける英和辞典などが採録されます。
英語が少し苦手な高校一年生などには便利でしょう。
第3に、一般英和辞典(大辞典)です。
英和大辞典は、1冊も採用されません。
難関私立以外の一般的な受験には「なし」で問題ありません。
英語辞書を補うコンテンツは、シャープも充実します。
学習文法書は、カシオと構成が少し異なります。
いいずな書店の「総合英語 Evergreen 」「英文法・語法 Vintage 3rd Edition」「総合英語 be 3rd Edition」と、新興出版社啓林館の「Vision Quest 総合英語 3rd」の4冊は、カシオと同じ構成です。
しかし、シャープの場合、難関校の受験に昔から定評のある旺文社の「ロイヤル英文法」ほか、三省堂の「クラウン総合英語」が収録です。
合計で6冊なので、カシオよりシャープの方が1冊多いです。
しかし、大修館のジーニアス総合英語が、不採用です。
採用率も高く、同社の英語辞書と連動して行来ができる点で便利なので、総合的には、この部分は、カシオとあまり差はないといえます。
英英辞典は、ロングマン現代英英辞典 6(LDOCE)とOXFORD現代英英辞典 10(OALD)という構成です。
したがって、世界の「三強」学習英英辞典のうち「2つ」が搭載です、充実度は高いです。
リスニング・スピーキング教材は、キクタン・ユメタンシリーズ、英単語ターゲットなどは、カシオ同様に採用されます。「キクタン」は最上位の「Super」まで搭載ですので、この部分も「互角」です。
シャープは、熟語はリスニングを伴わないユメジュクのみで、カシオが採用する、キクジュクは未搭載です。
ただ、駿台のシステム英単語 5訂版が搭載されます。
これは、頻出英単語を頻度順に2000語収録した人気の参考書で、文庫版は受験生のベストセラーの1つです。
カシオの標準モデルには搭載はないので「ワンポイント」です。
そのほか、『英文法のトリセツ』などの受験参考書系コンテンツも多く、「実践的なコンテンツ」が多いのは、シャープの強みです。
英会話には、単語・文章形式とも対応するATR CALL 5000が付属です。
発音を録音して、ネイティブの発音に近いか検証して貰うシステムです。
一方、カシオと比べるとラジオ英会話は未収録です。
中学生向きの基礎英語(2018年)1-3の抜粋のみが収録です。
ただ、基礎英語は「ステップリスニング」として、(和訳・文字を消しつつ)3段階表示できる機能が追加されました。
こうした使い方ならば、基礎英語教材も高校生には効果的と思います。
英検教材は、問題集を多めに構成していたカシオと異なります。
シャープは、5級から1級まで過去6年間の問題が収録です(2021年版)。
充実しますが、発売年の関係で、2022年データは非対応です。
英研は過去問を解くのが結構重要です。受験の考慮要素になりますし、充実しているに越したことはないです。
民間試験は(英検のライバルと言える)福武書店の検定GTECの問題集は少ないです。
逆に、留学などに使うTOEIC・TOEFL教材が多めである点が、カシオとの違いです。
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国語辞典系も、順番にみていきます。
第1に、中辞典です。
つまり、高校の授業で日常的に使う学習用辞書です。
カシオ同様に、文例が豊富な新明解国語辞典 と、新しい用語に強い明鏡国語事典(3版)が採用されます。
第2に、大辞典です。
シャープも広辞苑が不採用で、大辞林を採用しています。
大辞林(旧名はスーパー大辞林)は紙の辞書と連動せず、毎年内容を更新するため、同じく大辞典の広辞苑と比べた場合、現代語に強いという特色があります。
ただ、明治期・大正期の古めの文学への対応力は、すこし弱いです。
入試にも出題がありますし、出題者側も、広辞苑をチェックしないことはありえないことをふまえると、高校生用としてこの構成は、多少マイナスの部分はあります。
第3に、漢和辞典・古語辞典です。
カシオ同様に、大修館の新漢語林・全訳古語辞典が搭載されます。
その上で、カシオにない、旺文社標準古語辞典も搭載されるため、辞書の充実度はカシオを少し上回ります。
第4に、類語辞典です。
シャープは、収録語数が多い日本語大シソーラスと日本語コロケーション辞典が採用されます。
入試の形態も多様化していますし、小論文対策となる辞書が複数で構成される点は、この機種の強みだと思います。
そのほか、各年度の「現代用語の基礎知識」カタカナ外来語ABC略語辞典と三省堂 反対語便覧が搭載される部分も、シャープの強みでしょう。
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社会系の事典は、カシオと同じく、日本史小辞典・世界史小辞典が付属します。
ただ、日本史小事典は、カシオと違って2018年の学習指導要領(教科書)改訂以前のバージョンです。
また、受験において極めて重要な扱いをされる、山川の各種用語集が省略です。カシオにはない、旺文社 日本史事典・世界史事典が付属するのは良い部分にせよ、充実度では負けます。
一方、Z会 入試に出る日本史B・Z会 入試に出る世界史Bや、山川 一問一答 日本史/世界史など、(調べ物と言うより)受験に即効性のあるコンテンツは多めという印象です。
「歴史年代暗記ターゲット」をもとにした「クイズ機能」も、受験用であり、それっぽいです。
理科系・数学系の事典は、物理・生物・化学の各事典・数学解法事典が搭載されています。
ここは、カシオと同じ構成ですが、高校数学公式集などは付属しません。
一方、数学検定の問題集が付属する点は面白いです。
百科事典は、ブリタニカ百科事典(小項目電子辞書 2021年改訂版)1冊だけと少ないです。
検索機能は、一方、シャープはカシオより優秀です。
串刺し・曖昧・成句用例検索ができる上で、カシオが非対応の全文検索ができるからです
全辞書について、見出しだけでなく、本文の文字列が引っかかるので、 「英語辞典・国語辞典などを含めて」、「例文・用例」と「説明文」の検索が可能です。
そのため、検索でヒットする情報は、英語以外は見出し語のみのカシオより多いです。
探究学習モードは、「全文検索」機能を活かしたもので、シャープの見どころです。
専用のインターフェイスで、百科事典を含む辞書の「全文検索」が簡単にできるモードです。
最近は学習指導要領の改訂で「統合的な探究の時間」が高校で新設されています。
高校生にはとっつきやすく、特にあまり「調べる」ということが得意でない方が、辞書をより深く使いこなしていくには良い仕組みといえます。
もっとも役立つだろう「百科事典」は、先述のよう1冊だけですが、(最近まともに日本で更新しているのは)そもそもブリタニカ百科事典だけですし、ここ欠点ではないでしょう。
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以上、シャープのPW-H2の紹介でした。
カシオの高校生用標準モデルとどちらを選ぶか難しい機種です。
英語系の辞書の構成は、ジーニアス英和辞典のバージョンが古いです。
その分、評判の良い、研究社のコンパスローズ英和辞典を搭載するので健闘はしていますが、高校生用と考えれば、今年度モデルにはカシオがやや上でしょう。
文法書や問題集・発音学習はだいたい同じくらい、受験用や英検対策も方向性は異なるにせよ、どちらが上とは言えない状況です。
国語系辞書構成は、広辞苑がないのが多少「痛い」です。
ただ、カシオも標準もでるだと同じですので、ここも決定的な「差」ではない状況です。
社会系・百科事典系コンテンツは、ただ、学習系の辞書辞典・用語集が多少弱めで、あまり重要視していない印象です。
一方、予備校系の「即戦力的な問題集」は、割と多いですし、受験と割り切って勉強するなら、良いでしょう。
ハード面ではタブレット型にして単語などの暗記学習に利用できる点で、シャープは便利です。通学時に、電車やバスに乗っている時間が多い人は、この部分でかなり有利です。
なお、カシオを含めた最終的なオススメ機種は、高校生向きの全モデルを紹介したあと、記事の最後でまとめるつもりです。
【2024年2月発売】
23・シャープ Brain PW-S3-K 【ネイビー】
¥40,500 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:3冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典:2冊
百科事典: 1巻
PW-S3は、シャープの難関大学向けの電子辞書です。
同社の上位品でコンテンツが多めです。
執筆時の最新は、2024年2月発売のこちらです。
2024年からは、電子辞書ではなく「辞書+学習機」というカテゴリで売るようになりました。
24年発売機となるため、旧機や、先ほどみた同社の標準モデルと異なり新しいです。
とくに、復習用のホーム画面(Brain Learning)が一新され、学習形態ことに感覚的に整理されました。学生が使いやすいような配慮がなされた点がパワーアップした点です。
ちなみに、こちらが、旧機(=標準モデル)のホーム画面です。
内容はあまり変わりませんが、感覚的に何のためのコンテンツがは分かりにくいと言えます。
このほか、学習面で「4択学習」機能が加わりました。
加えて、英単語を「クイズ形式」の4択で選んで学ぶ4択学習が学習画面に加わりました。
1700語の「旺文社・英検2級 でる順パス単」ほか、英検5級から1級まで7グレードの問題で、全1万語レベルです。
先述のように、シャープは縦型で通学中に、ちょっと学習できるのが良い部分ですから、ここは進化した言えます。
英語系の辞書は、カシオより力を入れている部分もあります。
こちらもグレード別に見ていきましょう。
第1に、上級学習英和・和英辞典(中辞典)です。
高校生が最も受験に利用するレベルの辞書です。
ジーニアス英和・和英、ウィズダム英和・和英、オーレックス英和・和英という欠かせない「三種の神器」は全て網羅されます。
シャープも24年機は、カシオ同様新しいジーニアス英和辞典は旧版(6版)です。
同社の標準モデルの場合と同じで、ネイティブによる用法を感覚的に掴みやすい点で定評のあるコンパスローズ英和辞典は付属します。
第2に、一般英和辞典(大辞典)です。
こちらは、カシオ同様に、専門的な英語大辞典であるリーダーズ英和辞典とリーダーズプラスが付属します。
その上で、大修館の大辞典であるジーニアス英和大辞典 も付属するので、カシオに比べても、コンテンツは充実していると言えます。
一方、ベーシックジーニアス英和辞典など、初等者向けのコンテンツは(カシオ同様)バッサリ切っているため、「英語のできる学生向き」の製品です。
学習文法書は、各社の総合英語をふくめて「総計6冊」です。
同社の標準モデルとこの部分では同じで、やはり、ジーニアス総合英語は未搭載です。
そのかわりに、クラウン総合英語が付くので、数の上ではカシオの難関校モデルと同等ですが、全体としてはわずかに負けます。
英英辞典は、学習英英辞典の「世界3強」を構成する、オックスフォード現代英英辞典(OALD)のほか、ロングマン現代英英辞典(LDOCE)がこちらも収録です。
また、それを補うコンテンツとし、ロングマン連語類語辞典・ロングマン英語アクティベータも付属します。
こちらについては、類語辞典の種類こそ異なりますが、カシオの英語特化モデルとほぼ同等です。
英検教材は、2024年版から、過去問が省略です。
以前は、旺文社の過去問全問が掲載でした。書籍版は今年も出ているのですが、掲載は見送られたようです。
その代わり、先述の「4択学習」用の1万語のでる順パス単が、4択用ではない通常コンテンツとしても利用できるほか、リスニング用のキクタン(英検3級〜2級)が収録です。
もともとシャープは、(コツコツ派というより)受験に即効性がある実践的なコンテンツが多い印象の企業なので、納得感はあります。
リスニング・スピーキング教材は、シャープの標準モデルと変わりません。
「ユメタン・キクタン・ユメジュク」系のお馴染みの教材と、中学生向けの「NHKの基礎英語」です。
リスニング・スピーキング教材は、シャープの標準モデルとほぼ同様の構成です。
ただTOEIC教材は、問題集の点数が相当増えています。
TOEFLについても、大学生モデルに比する充実度ですから、大学に入っても使える構成です。
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国語辞典系は、下位機種と全く同じ構成です。
こちらも、大辞典は、大辞林で、広辞苑が不採用です。
ただ、漢和辞典・古語辞典や小論文用の類語辞典は、必要な数は揃うので、総合的には問題ありません。
社会系の事典や百科事典の構成も、シャープの高校生用の通常モデルと同じです。
用語辞典や百科事典がやや弱く、どちらかと言えば、(予備校的な)「即効性」を重視する問題集が多い構成です。
ただ、先述のように、シャープは、辞書間の串刺し検索対応です。
その部分で「探究学習」については、やや強みがあります。
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以上、シャープのPW-S3の紹介でした。
カシオ機に比べると、特に学習向けの英語コンテンツについて、復習に役立つ実践的な学習コンテンツが多い印象です。カシオより「学習塾」的な方向性が強い機種ですので、受験という意味での即効性はありそうです。
とくに、通学中に「ながら学習」をする場合、縦表示できる形状を含めてよさそうに思います。
一方、辞書・辞典類は、英語は十分以上ですが、国語系・理社系は、カシオの構成と比べると充実度において負けるでしょう。
ただ、シャープは、辞書間で「串刺し検索」できる部分に、メリット性があります。「探究学習(発見学習)」により向く側面があるので、突き詰めて調べ物をするような学生でないならば、この部分でも使いやすいのはシャープでしょう。
英検対策は、過去問がない点は注意点ですが、そこは問題集などで補いましょう。
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【2022年2月発売】
24・シャープ Brain PW-S2-K 【青】
¥31,480 Amazon.co.jp (9/14執筆時)
25・シャープ Brain PW-S2-W 【白】
¥38,960 楽天市場 (9/14執筆時)
中級英和辞典:3冊
中級和英辞典:3冊
上級英語辞典:3冊
国語大辞典:大辞林
国語辞典: 2冊
漢和・古語辞典:3冊
類語辞典:2冊
百科事典: 1巻
なお、シャープはこのグレードの旧機種が残ります。
比較する場合、ジーニアス英語辞典が旧5版になります。また、先述の英単語の「4択問題」に未対応です。
英検の過去問がその代わり採録される部分はありますが、2021年版になりますし、あまり意味がないでしょう。
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結論的にいえば、シャープの難関校向けは、24年の改編で大きく改良されているため、こちらの過年度モデルはあまり魅力には思えません。
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【2021年2月発売】
26・シャープ Brain PW-S1-K 【青】
27・シャープ Brain PW-S1-W 【白】
¥29,085 楽天市場 (9/14執筆時)
さらに、2世代前の過年度モデルが残ります。
2021年モデルは、コンテンツの部分で新モデルとあまり差はなく、残念なのは、明鏡国語事典が2版である点と、コンパスローズ英和辞典がない部分ほどです。
やはり、基本(中の基本)辞書と言えるジーニアス英語辞典が古いのがネックとなるため、今選べる感じではないです。
次回につづく
高校生・大学受験におすすめな電子辞書は結論的にこの機種!
というわけで、今回は、高校生向けの電子辞書の比較の1回目記事でした。
記事はもう少し続きます。
2・高校生用の電子辞書の比較 (2)
2-1:カシオ〈AO入試向け〉
2-2:最終的なおすすめの提案【結論】
英語系辞書 ★★★★★
国語系辞書 ★★★★★
理社系事典 ★★★★★
難関校対策 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
参考書の数 ★★★★★
総合評価 ★★★★★
次回の2回目記事(こちら)では、エントリークラスの高校生用の電子辞書を追加でみます。
その上で、ここまで紹介した全機種から、予算別・目的別に、Atlasのオススメ機種を最終的に提案します。
引き続きよろしくお願いします。
2回目記事は→こちら!